JP3551431B2 - 免疫抑制剤の定量法 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、FK506やサイクロスポリンAのようなカルシニューリンの作用を阻害する免疫抑制剤の正確な定量法に関するものであり、医療の分野で利用できる。
背景技術
下記構造式及び化学名で表わされるFK506もしくはFR−900506とも表記される化合物は、強力な免疫抑制作用を有し、臓器移植時の拒絶反応や自己免疫疾患の予防剤または治療薬として使用しうることはよく知られている(例えばEP−0184162−A2)。
化学名:17−アリル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル)−1−メチルビニル]−23,25−ジメトキシ−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−ジオキサ−4−アザトリシクロ[22.3.1.04,9]オクタコス−18−エン−2,3,10,16−テトラオン
FK506の免疫抑制作用は、そのメカニズム探索により、細胞質内FK506結合蛋白質であるFKBP−12にFK506が結合した後、カルモジュリンやカルシウムイオンとともにカルシニューリンと複合体(FK506:FKBP−12:カルシニューリン=1:1:1)を形成する結果、カルシニューリンのフォスファターゼ活性が阻害され、このフォスファターゼ活性の阻害によりnuclear factor of activated T−cells(NFAT)の活性化が抑制され、IL2産生が阻害されることにより免疫抑制が引き起こされるものと考えられている。
又、同様な免疫抑制作用を示すサイクロスポリンAも同様の複合体を形成することにより、この免疫抑制作用を示すと考えられている。(例えば、Biochemical and Biophysical Research Communications,192(3),1388−1394(1993)やAngew,Chem,Int.Ed Engl,31(1992)384−400参照)。
FK506の免疫抑制剤としての有用性はよく研究され、日本においては特に肝移植時の拒絶反応抑制剤として既に発売されている。
しかしながら、その作用は、非常に強力であるため、最適投与量の決定は重要な問題であり、副作用等を発生させることなく、効果的な免疫抑制活性を発揮させ得る量を投与することが極めて重要である。
その目的の為に、FK506中の抗原決定基を認識する抗体を用いた酵素免疫測定法(例えば、EP−0293892−A2)や、前記酵素免疫測定法とHPLCを組み合わせた方法、あるいはFK506結合蛋白質(FKBP−12)を利用したラジオレセプター法等、いくつかの測定法が提案されている(例えば、Clin,Chem.38/7,1307〜1310(1992)参照)。
一方、代謝メカニズムの研究から、FK506は生体により代謝を受けるが、それら代謝物の中には、免疫抑制活性を依然として保持しているものや、あるいはFK506に対するモノクローナル抗体との結合性はあるものの、免疫抑制活性が極めて弱いもの等が混在していることも明らかとなっている。(例えば、Drug Metabolism and Disposition,21(6),971−977(1993))。
又、FK506結合蛋白質(FKBP)とは結合するものの、免疫抑制活性を有しない物質(例えば506BD)の存在も明らかにされている(例えば、Angew,Chem,Int.Ed,Engl.31(1992)384−400)。
従って、FK506の抗原決定基を認識する抗体とFK506との結合やFKBPとFK506との結合のみを指標としている従来の測定方法では、現実の免疫抑制状態を正確に測定しているとは言いがたく、実際に免疫抑制活性を有する代謝物をも含めた活性な薬物の全濃度を正確に測定しうる定量法の開発が望まれていた。
発明の開示
本発明の発明者らは、FK506又はサイクロスポリンAのような免疫抑制剤がイムノフィリン(FKBP−12やサイクロフィリンのような免疫抑制剤と結合する蛋白)と結合後、カルシニューリン、カルモジュリンそしてカルシウムイオンと複合体を形成し、カルシニューリンの活性を阻害するという事実に注目し、それらの複合体形成能を利用した、免疫抑制剤の定量法を確立することに成功した。
即ち、本発明は、(1)イムノフィリン、(2)カルシニューリン、(3)カルモジュリン、(4)カルシウムイオン及び、(5)カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤を含有する複合体を定量することからなるカルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤の定量法を提供するものである。
以下に、本発明の範囲内に包含される種々の定義の好ましい例及び詳細を説明する。
「イムノフィリン」とは、免疫抑制剤が結合する細胞質内受容蛋白質を意味し、例えば、分子量約12KのFK506結合蛋白質でペプチジルプロリルシストランスイソメラーゼ(PPIase)活性を有するFKBP−12や、サイクロスポリンAの細胞内受容体で、同様のPPIase活性を有する分子量約17Kのサイクロフィリンが挙げられるが、好ましくはウシや人のような哺乳動物が産生するFKBP−12やサイクロフィリンが挙げられる。
それらは既に公知であり、J.Am.Chem.Soc.113,1409−1411(1991)及びProc.Natl.Acad.Sci.USA,88,6229−6233(1991),Nature 346,671−674(1991),WO92/01052,WO91/17439やNature,337,473−475,476−478(1989)特開平2−209897等と同様にして得られる。
「カルシニューリン」は、カルシウムイオンおよびカルモジュリン依存性のセリン/スレオニンフォスファターゼとして公知であり、ラットやウシや人のような哺乳動物から得られたものを使用できる。例えばラットやウシのカルシニューリンはAサブユニットとBサブユニットから成るヘテロダイマーであること、更にAサブユニットにはAαとAβの2種類が存在することが知られ、例えばラットの脳から単離、精製することにより得ることが出来る(例えばJ.Neurochem.58,1643−1651(1992)参照)。またウシのカルシニューリンは、Adv.Enzymol.,61,149−200(1989)やMethods Enzymol.102,244−256(1983)と同様にしても得られ、更にプロティンフォスファターゼ−2Bなどの品名でアップステートバイオテクノロジー社やシグマ社から市販されてもいるため、それらを利用してもよい。
「カルモジュリン」とは、カルシウム結合蛋白質として公知の物質であり、カルシウムイオン存在下で前記カルシニューリンのような種々の酵素を活性化することが知られており、ウシや人などの哺乳動物のカルモジュリンであれば使用できる。例えば、ウシのカルモジュリンは、J.Biochem.87,1313−1320(1980)と同様にして調製・入手することが出来るが、アップステートバイオテクノロジー社やシグマ社から市販されているものを利用することも出来る。
本発明において定量される「カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤」とは、イムノフィリン、カルシニューリン、カルモジュリン、及びカルシウムイオンとともに複合体を形成し、カルシニューリンのフォスファターゼ活性を阻害し、免疫抑制活性を有する化合物を意味する。好ましい例としては、例えば次式の化合物が挙げられる。
(式中、R1はヒドロキシ基または保護されたヒドロキシ基、R2は水素、ヒドロキシ基または保護されたヒドロキシ基、R3はメチル基、エチル基、プロピル基またはアリル基、R4はヒドロキシ基またはメトキシ基、R5は水素、またはR4とR5が共になってオキソ基、nは1または2の整数、実線と点線により表わされる記号は単結合または二重結合を意味し、
但しR4がヒドロキシ基およびR5が水素であるか、またはR4とR5が共になってオキソ基を意味する場合、R2は保護されたヒドロキシ基ではない)
上記一般式[I]で使用されている記号の説明並びに後記説明において使用される「低級」なる用語は、特に指示しない限り、炭素原子数が1〜6個であることを意味する。
「保護されたヒドロキシ基」における好適な保護基としては次の様なものが例示される。
例えばメチルチオメチル、エチルチオメチル、プロピルチオメチル、イソプロピルチオメチル、ブチルチオメチル、イソブチルチオメチル、ヘキシルチオメチル等の低級アルキルチオメチル基のような1−(低級アルキルチオ)(低級)アルキル基、さらに好ましいものとしてC1〜C4アルキルチオメチル基、最も好ましいものとしてメチルチオメチル基;
例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、第三級ブチル−ジメチルシリル、トリ第三級ブチルシリル等のトリ(低級)アルキルシリル、例えばメチル−ジフェニルシリル、エチル−ジフェニルシリル、プロピル−ジフェニルシリル、第三級ブチル−ジフェニルシリル等の低級アルキル−ジアリールシリル等のようなトリ置換シリル基、さらに好ましいものとしてトリ(C1〜C4)アルキルシリル基およびC1〜C4アルキルジフェニルシリル基、最も好ましいものとして第三級ブチル−ジメチルシリル基および第三級ブチル−ジフェニルシリル基;
カルボン酸、スルホン酸およびカルバミン酸から誘導される脂肪族アシル基、芳香族アシル基および芳香族基で置換された脂肪族アシル基のようなアシル基;等。
尚、上述のアシル基について、更に詳細な具体例を挙げて説明すれば下記の通りである。
脂肪族アシル基としては、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、カルボキシアセチル、カルボキシプロピオニル、カルボキシブチリル、カルボキシヘキサノイル等の、カルボキシのような適当な置換基を1個以上有していてもよい低級アルカノイル基、たえばシクロプロピルオキシアセチル、シクロブチルオキシプロピオニル、シクロヘプチルオキシブチリル、メンチルオキシアセチル、メンチルオキシプロピオニル、メンチルオキシブチリル、メンチルオキシペンタノイル、メンチルオキシヘキサノイル等の、低級アルキルのような適当な置換基を1個以上有していてもよいシクロ(低級)アルコキシ(低級)アルカノイル基、カンファースルホニル基、例えばカルボキシメチルカルバモイル、カルボキシエチルカルバモイル、カルボキシプロピルカルバモイル、カルボキシブチルカルバモイル、カルボキシペンチルカルバモイル、カルボキシヘキシルカルバモイル等のカルボキシ(低級)アルキルカルバモイル基、または例えばトリメチルシリルメトキシカルボニルエチルカルバボイル、トリメチルシリルエトキシカルボニルプロピルカルバモイル、トリエチルシリルエトキシカルボニルプロピルカルバモイル、第三級ブチルジメチルシリルエトキシカルボニルプロピルカルバモイル、トリメチルシリルプロポキシカルボニルブチルカルバモイル基等のトリ(低級)アルキルシリル(低級)アルコキシカルボニル(低級)アルキルカルバモイル基等の保護されたカルボキシ(低級)アルキルカルバモイル基等のようなカルボキシもしくは保護されたカルボキシのような適当な置換基を1個以上有する低級アルキルカルバモイル基等が挙げられる。
芳香族アシル基としては、例えばベンゾイル、トルオイル、キシロイル、ナフトイル、ニトロベンゾイル、ジニトロベンゾイル、ニトロナフトイル等の、ニトロのような適当な置換基を1個以上有していてもよいアロイル基、例えばベンゼンスルホニル、トルエンスロホニル、キシレンスルホニル、ナフタレンスルホニル、フルオロベンゼンスルホニル、クロロベンゼンスルホニル、ブロモベンゼンスルホニル、ヨードベンゼンスルホニル等の、ハロゲンのような適当な置換基を1個以上有していてもよいアレーンスルホニル基等が挙げられる。
芳香族基で置換された脂肪族アシル基としては、例えばフェニルアセチル、フェニルプロピオニル、フェニルブチリル、2−トリフルオロメチル−2−メトキシ−2−フェニルアセチル、2−エチル−2−トリフルオロメチル−2−フェニルアセチル、2−トリフルオロメチル−2−プロポキシ−2−フェニルアセチル等の、低級アルコキシおよびトリハロ(低級)アルキルのような適当な置換基を1個以上有していてもよいアル(低級)アルカノイル基等が挙げられる。
上記アシル基中、さらに好ましいアシル基としては、カルボキシを有していてもよいC1〜C4アルカノイル基、シクロアルキル部分に(C1〜C4)アルキルを2個有するシクロ(C5〜C6)アルキルオキシ(C1〜C4)アルカノイル基、カンファースルホニル基、カルボキシ(C1〜C4)アルキルカルバモイル基、トリ(C1〜C4)アルキルシリル(C1〜C4)アルコキシカルボニル(C1〜C4)アルキルカルバモイル基、ニトロ基を1個または2個有していてもよいベンゾイル基、ハロゲンを有するベンゼンスルホニル基、C1〜C4アルコキシとトリハロ(C1〜C4)アルキルを有するフェニル(C1〜C4)アルカノイル基が挙げられ、それらのうち、最も好ましいものとしては、アセチル、カルボキシプロピオニル、メンチルオキシアセチル、カンファースルホニル、ベンゾイル、ニトロベンゾイル、ジニトロベンゾイル、ヨードベンゼンスルホニルおよび2−トリフルオロメチル−2−メトキシ−2−フェニルアセチル等が挙げられる。
上記一般式[I]で表示される化合物及びその製造法は、既に公知であり、たとえば、EP−0184162−A2やEP−0353678−A2と同様の方法により得られる。
とりわけ、FR900506(=FK506)、FR900520、FR900523及びFR900525と表記される化合物は、EP−0184162−A2に記載されているようにストレプトミセス(Streptomyces)属、特にストレプトミセス・ツクバエンシス(Streptomyces tsukubaensis)No.9993(微工研条寄第927号)もしくは、ストレプトミセス・ハイグロスコピカス・サブスペシース・ヤクシマエンシス(Streptomyces hygroscopicus subsp.yakushimaensis)No.7238(微工研条寄第928号)により産生される。
又、米国特許第4,117,118、4,215,199、4,288,431、4,388,307、Helv.Chim.Acta 60,1568(1977)及び65,1655(1982)やTransplant.Proc.17,1362(1985)等より既に公知の、例えばサイクロスポリンA、B、C、D、E、F、Gのようなサイクロスポリン類もしくはその誘導体も、サイクロフィリン、カルシニューリン、カルモジュリン及びカルシウムイオンと複合体を形成し、そのためカルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤であるので本発明の定量法により測定できる。
本発明におけるイムノフィリン、カルシニューリン、カルモジュリン、カルシウムイオン、及びカルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤を含有する複合体の作成方法には、特に特徴はなく、イムノフィリン、カルシニューリン、カルモジュリン、及びカルシウムイオンをカルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤を含有する検体とともに適当な溶媒中で常法により反応させることによって作成することが出来る。
例えば、各成分を適当な緩衝液中で、30〜40℃に加温下、数時間放置しておけばよい。
尚、実際に医療の場で当該定量法を実施する場合には「カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤を含有する検体」としてはカルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤を投与した患者から得られた全血液もしくは血漿を意味するが、例えばEP0293892−A2に記載のあるようなセップパックカラム処理や、ジクロロメタン、メタノールのような適当な抽出液により前処理されたものの方が好ましい。
得られた複合体は、適当な方法で分離後、放射性同位元素や酵素によって標識された各成分もしくは複合体中の成分のいずれかの部分を認識する抗体を利用するような常法により、複合体量を定量し、それにより目的とする免疫抑制剤を定量することが可能である。
具体的には次のような方法により本発明を実施することが出来る。尚、以下において「カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤」を単に「免疫抑制剤」と表記する。
(1) 複合体構成成分のうち適当な成分の1つをプレート、試験管、ビーズ等の固相に常法にて固定化し、得られた複合体が固相に固定化されるようにしておくと、複合体調製後、不要成分等を含む反応液から容易に分離できる。
固相に固定化される複合体構成成分のうちの適当な成分とは、イムノフィリン、カルシニューリン、カルモジュリンである。
(1−1):例えば、固相に固定化させた過剰量のイムノフィリン、及び過剰量のカルモジュリン、カルシウムイオン、及びカルシニューリンを測定したい免疫抑制剤が含まれる検体とともに反応させることにより、含まれる免疫抑制剤の量に応じた複合体を形成させる。そして、反応液等の吸引及び適当な緩衝液による洗浄等により、その複合体を分離したのち、カルシニューリンあるいはカルモジュリンを認識する適当な酵素標識抗体を用いて複合体を、即ち複合体を形成している免疫抑制剤を定量することができる。
「カルシニューリンあるいはカルモジュリンを認識する酵素標識抗体」としては、通常の酵素免疫測定法に使用される酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、りんご酸脱水素酵素、もしくはウレアーゼ等)を常法により結合させた抗カルシニューリン抗体あるいは抗カルモジュリン抗体である。
上記のような酵素標識抗体を作用させることによって認識された複合体の量は、標識に使用されている酵素の活性を例えばEP0293892−A2記載のような常法により測定することにより定量することが出来る。例えば、標識に用いられた酵素がペルオキシダーゼの場合には、o−フェニレンジアミンと過酸化水素水とを含む酵素基質溶液を、又、酵素が、アルカリホスファターゼの場合には、4−メチルウンベリフェリルホスフェートを酵素基質として、その発色の度合いをそれぞれ測定することにより複合体の量を知ることが出来る。
(1−2):(1−1)における「カルシニューリンあるいはカルモジュリンを認識する酵素標識抗体」のかわりに、カルシニューリンあるいはカルモジュリンを認識する抗体(第一抗体)及びその第一抗体を認識する酵素標識抗体(第二抗体)を用いることも出来る。
上記第一抗体及び(1−1)で使用しうる抗カルシニューリン抗体あるいは抗カルモジュリン抗体としては、カルシニューリンやカルモジュリンを抗原として常法により調製されるポリクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体を使用できる(例えば、J.Neurochem.58(5)、1643−1651(1992))が、例えばアップステートバイオテクノロジー社から市販されているような抗カルシニューリン抗体(=抗プロティンフォスファターゼ−2B)や抗ウシカルモジュリン抗体を利用することが出来る。それら抗体のクラスは特に限定されないが、好ましくはIgGであり、マウス等を免疫して得られる抗体が利用できる。
前記第二抗体としては、第一抗体を認識しうるポリクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体であれば使用可能であり、前記(1−1)に記載のような酵素を常法により結合して使用することが出来る。例えば、アルカリホスファターゼで標識された抗ラビットIgGは市販されており、ベクター研究所(VECTOR Labs.,米国)等より購入し、利用することが出来る。
(1−3):又、過剰量のイムノフィリンを固相に固定化し、(1−1)のようにして複合体を作成させる際に、通常のカルシニューリンやカルモジュリンのかわりにあらかじめ適当な前記のような酵素もしくは放射性同位元素(例えば125Iなど)を用いて常法により標識しておいたカルシニューリンもしくはカルモジュリンを用いることにより、存在する免疫抑制剤の量に応じて形成される複合体量の酵素活性あるいは放射線量を指標として常法により測定することが出来る。
(1−4):イムノフィリンではなく、過剰量のカルシニューリンあるいはカルモジュリンを固相に固定化していてもよい。その場合には、過剰量のイムノフィリンとカルシウムイオン及び検体とを加え、前述と同様にして複合体を作成・分離させた後、常法により調製された「適当な酵素で標識された、イムノフィリンを認識しうる抗体」(酵素標識抗イムノフィリン抗体)を用いて複合体量を定量することも出来る。又は、(1−2)と同様にイムノフィリンを認識する第一抗体及びその第一抗体を認識しうる酵素標識第二抗体を使用してもよい。
(2) 一方、複合体構成成分のうちのどれかを固定化していなくとも、作成した複合体の分離取得は可能である。即ち、形成した複合体に複合体構成成分のいずれかを認識しうる抗体を作用させて、沈降・分離させればよい。
(2−1):例えば、カルシニューリンあるいはカルモジュリンを認識する抗体を用いて、複合体を沈降・分離させることが出来るが、その場合には、3Hのような放射性同位元素で標識された免疫抑制剤の一定量を共存させておくことにより定量することが出来る。
(2−2):一方、例えば国際出願公開WO94/04700のようにして調製したイムノフィリンを認識するポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体を用いて複合体を沈降・分離させることも出来る。その場合には、複合体形成に使用するカルシニューリンやカルモジュリンを(1−3)と同様に適当な酵素もしくは放射性同位元素(例えば125I)を用いて標識しておくことにより、その後、常法により複合体を定量することが出来る。
尚、上記(2−2)、及び(1−3)、(1−4)において標識するために用いられる適当な酵素とは、(1−1)において記載のものと同様のものである。
前記のように種々の測定法が考えられるが、好ましくは、
固相に固定化した過剰量のイムノフィリンと、過剰量のカルシニューリン、カルモジュリン、カルシウムイオンそしてサンプル中の免疫抑制剤とを反応させて、免疫抑制剤の量に応じた複合体を作成させ、分離処理後、得られた複合体を構成するカルシニューリンを酵素免疫測定法により定量し、それによって免疫抑制剤を定量する方法である。その場合の酵素免疫測定法としては、ペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼのような通常使用される酵素により標識した抗カルシニューリン抗体を、あるいは、2種類の抗体、つまり、抗カルシニューリン抗体と前記のような酵素により標識した抗IgG抗体を用いる測定法が好ましい。
本発明の定量法は、自動あるいは非自動(手動)いずれの手段を用いても実行可能である。
また、当該定量法の実施の際に、便利なキットを提供することも可能である。そのキットには、イムノフィリン、カルシウムイオン、カルモジュリン、カルシニューリンや標準品としての免疫抑制剤の全部あるいは一部が含まれていてもよい。更には、必要に応じ放射性同位元素を用いて標識された免疫抑制剤、適当な酵素もしくは放射性同位元素により標識されたカルシニューリンあるいはカルモジュリン、適当な酵素により標識された抗イムノフィリン抗体あるいは抗カルシニューリン抗体や抗カルモジュリン抗体、抗イムノフィリン抗体、抗カルシニューリン抗体、あるいは抗カルモジュリン抗体などが含まれていてもよい。
又、複合体作成の際には、カルシウムイオンを使用するのが普通であるが、カルシニューリン、カルモジュリン、免疫抑制剤とともに複合体を形成しうるものであれば他のイオンであっても使用することは可能であり、例えばBiochemical and Biophysical Research Communications 192(3),1388−1394(1993)により同様に複合体を形成することが確認されているマンガンイオンを代わりに用いることも可能である。
更に、複合体形成後の分離・定量に支障がない限り、イムノフィリン、カルシニューリン、カルモジュリン、カルシウムイオン、カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤からなる複合体に、更に他の成分が付加していてもよい。
次にこの発明を実施例によって説明する。
製造例1 FKBP−12の製造
Nature,346,671−674(1990)の中でHarvard大学S.L.Schreiberらの報告しているDNA sequenceより、FKBP−12のC−末に相当するDNA 48merをApplied Biosystem社のDNA synthesizerを使って合成した。
5'−CCACATGCCACTCTCGTCTTCGATGTGGAGCTTCTAAAACTGGAATGA−3'
この48−merの末端を25Pでラベルし、プローブとしてCLONTECH社のヒトT−cell cDNAライブラリーHL1016b 50万プラークをスクリーニングしたところ、ポジティブプラークを一つ得た。このプラークよりFKBP−12cDNAを含む断片をサブクローニングした「pUC−23(Ec)]。このpUC−23(Ec)をシークエンスしたところ、N−末DNAシークエンス1番から32番に相当する部分が欠損していたので、この部分を補完すると共に、大腸菌での発現を高くする為に合成したAT rich silent mutant N−末DNA約80b.p.とを利用し、EcoR I−BamH I siteとして、J.Biochem.101.123−134(1987)と同様にして作成したtryptophan promotorの制御下で発現するプラスミドに組み込み、発現ベクターpFKBP333を得た。これを、E.coli HB101に形質転換し、発現菌HB101−pFKBP(AT)311を得た。これを、L−amp.brothにて19時間培養し、蛋白合成の誘発は、90μg/ml(final濃度)となる様にIAA(Indol−Acrylic acid)を添加することにより行った。E.coliを集菌し、50mM Tris−HCl,2mM β−ME,2mM CaCl2,10mM MgCl2,5% glycerol中でFrench Pressにて細胞を粉砕し、遠心(4℃,6,000×g,30分)−上清を60℃,15分間熱処理−遠心(4℃,6,000×g,45分+4℃,18,000×g,20分×2回)−透析[20mM Tris−HCl(pH7.4),4℃ 終夜]−DEAE−Toyo PEARL 650M−逆相HPLC(C4)にてFKBP−12を精製した。
得られた精製FKBP−12及び、下記組成からなるカルシウムイオン、マグネシウムイオンを含まないリン酸緩衝液を用いてFKBP−12のリン酸緩衝溶液(50μg/ml)を調製した。
リン酸緩衝液溶液(pH7.4)組成
塩化ナトリウム 8.0 g
塩化カリウム 0.2 g
リン酸水素二ナトリウム・無水(Na2HPO4) 1.15g
リン酸二水素カリウム・無水(KH2PO4) 0.2 g
上記に蒸留水を加えて1000mlとする。
実施例1 FK506の定量法
(1) 製造例1のようにして得られたFKBP−12のリン酸緩衝溶液(50μg/ml)100μlずつを添加したイムノマイクロタイタープレートの各ウェル(well)を、4℃で1晩振とうさせた後、製造例1と同様のリン酸緩衝液溶液で3回洗浄し、FKBP−12を各ウェルに固定化した。各ウェルに下記組成のアッセイ緩衝液(300μl)を加え、15分後にその液を除去することにより、各ウェル中の余剰の蛋白結合サイトをブロックした。
アッセイ緩衝液組成
トリス・塩酸塩 (50mM,pH7.5)
牛血清アルブミン (5mg/ml)
トリトン(Triton) (0.001%)
ディーティーティー(DTT) (0.5mM)
塩化カルシウム (1mM)
(2) その後、下記の要領にて調製した牛カルシニューリン粗精液(50μl),牛カルモジュリン液(50μl)及びFK506溶液(100μl)の各希釈液を各ウェルにそれぞれ加え、37℃で1時間放置し、複合体を形成させた。
牛カルシニューリン粗精液
常法により調製した粗精品の20mMトリス塩酸塩(pH7.0)溶液(5mg/ml)を前記アッセイ緩衝液にて40倍希釈したもの。
牛カルモジュリン液
市販の牛カルモジュリンを前記アッセイ緩衝液にて適度に希釈したもの(ウェル中の最終濃度が95nMになるように調製)。
FK506溶液
FK506のメタノール溶液(1mg/ml)を前記アッセイ緩衝液にて適度に希釈したもの。
(3) 牛血清アルブミンを含まない前記アッセイ緩衝液を用いて各ウェルを洗浄(4回)後、公知の方法、例えばJ.Neurochem.58,1643−1651(1992)のようにして得られ、適当にアッセイ緩衝液にて希釈されたカルシニューリン−Aα鎖を認識するラビットのポリクローナル抗体(100μl)を添加し、室温下1時間反応させた。
(4) 牛血清アルブミンを含まない前記アッセイ緩衝液を用いて各ウェルを洗浄(4回)後、アルカリフォスファターゼでラベルされている抗ラビットIgG(ベクター ラボラトリーズ社製)のアッセイ緩衝液による適当な希釈液(100μl)を添加した。
(5) 牛血清アルブミンを含まないアッセイ緩衝液を用いて各ウェルを洗浄(4回)後、下記要領にて調製した4−メチルウンベリフェリル フォスフェイト(以下4−MUと略記)基質溶液(1mM)の200μlずつを添加し、室温下20分経過後にサイトフルオル2350(商標、ミリポア(米国)社製)を用いて、螢光分析(励起波長360nm,測定波長460nm)を行なった。結果を表1に示す。
4−MU基質溶液
水を用いて、4−MU(シグマ社製)の100mM溶液を調製後、更にジエタノールアミン(0.7ml/l)と塩化マグネシウム・6水和物(0.1g/l)とからなる緩衝液(10mM,pH10.0)を用いて希釈し、1mMの4−MU基質溶液とする。
実施例2 FK506の代謝物の定量法
FK506をラットの肝ミクロゾームにて処理した際に得られる代謝物として、Drug Metabolism and Disposition 21(6),971〜977等により既に公知となっている下記の代謝物M−II及びM−IIIを用い、実施例1と同様にして、定量分析を行なった。
結果を表1に示す。
表1の結果は、FK506及びM−IIがそれらの濃度に応じた螢光度を示すのに対し、M−IIIは濃度に対応した値を示さないことを示している。
実施例3
FKBP−12と結合するだけでなく実際に免疫抑制作用を有するFK506及びその代謝物の血中濃度のみを測定することが出来ることを確認するために、FK506及び先の代謝物(M−II,M−III)のFKBP−12との結合活性及び免疫抑制活性をそれぞれ以下のようにして測定した。
(1) FKBP−12との結合活性測定は、Clinical Chemistry 38/7,1307−1310(1992)に記載の測定法と同様の方法により、3H−ジヒドロ−FK506、FKBP−12、活性炭を付着させたデキストラン(Dexstran charcoled)等を用いて、行った。
(2) 又、免疫抑制活性は例えばヨーロッパ特許公開公報EP−0184162−A2の67ページに記載され、よく知られている試験管内混合リンパ球反応(MLR)試験により測定した。結果を表2に示す。
表2の結果より、FKBP−12との結合活性は有するものの、免疫抑制活性を有しないM−IIIのような代謝物は当該複合体定量法では検出されず(即ち、複合体形成能比活性(%)が0)FK506とその代謝物(M−II)のように免疫抑制活性を有する物質のみを検出できていることが確認された。
実施例4 サイクロスポリンAの定量法
(1) FKBP−12のかわりに、シグマ社より購入したヒトサイクロフィリンを実施例1(1)と同様に各ウェルに固定化した。
(2) その後、実施例1(2)と同様の牛カルシニューリン粗精液、牛カルモジュリン液及び下記のサイクロスポリンA溶液を各ウェルに反応させて、複合体を形成させた。
サイクロスポリンA溶液
サイクロスポリンAのメタノール溶液(1mg/ml)を実施例1(1)と同様のアッセイ緩衝液にて適度に希釈したもの。
(3) そして、実施例1の(3)と同様に牛血清アルブミンを除いて調製されたアッセイ緩衝液を用いて洗浄後、アップステートバイオテクノロジー社より購入したカルシニューリンのβサブユニットに対するマウスのモノクローナル抗体(α−CN β−MoAb)を前記アッセイ緩衝液にて希釈した溶液(1μg/ml)100μlずつを各ウェルに添加し、1時間反応させた。
その後は実施例1(4)及び(5)と同様にして、螢光分析を行ないサイクロスポリンAの濃度に応じて形成された複合体を定量した。結果を表3に示す。
本発明の定量法を使用することにより、例えば次のような症状もしくは疾患の患者に、カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤、特にFK506に代表される化合物[I]を治療もしくは予防のため投与した際の血中濃度を正確に定量することが出来るようになった。
心臓、腎臓、肝臓、骨髄、皮膚、角膜、肺、膵臓、小腸、手足、筋肉、神経、椎間板、気管等の臓器または組織の移植の際の拒絶反応;骨髄移植による移植片対宿主反応;慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、原発性粘膜水腫、自己免疫性萎縮性胃炎、早発性閉経、男性不妊症、若年型糖尿病、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、交感性眼炎、水晶性ぶどう膜炎、特発性白血球減少症、活動性慢性肝炎、特発性肝硬変、円板状紅斑性狼瘡、I型糖尿病等の自己免疫疾患;並びに病原性微生物(例えば、アスペルギルス・フミガーシス、フサリウム・オキシスポルマ、トリコフィトン・アステロイデス等)による感染症;
炎症性および増殖亢進性皮膚病および免疫学的仲介皮膚疾患(例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、偏平苔癬、天疱瘡、水疱瘡類天疱瘡、表皮水疱症、じんま疹、血管性水腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、紅斑性狼瘡、座瘡および円形脱毛症);
自己免疫疾患の眼疾患(例えば、角結膜炎、春季結膜炎、ベーチェット病関連のブドウ膜炎、角膜炎、ペルペス性角膜炎、円錐形角膜炎、角膜上皮異栄養症、角膜白斑、眼天疱瘡、モーア潰瘍、強膜炎、グレーブス眼障害、フォークトー小柳−原田症候群、類肉腫症等);
可逆的閉塞性気道疾患[ぜん息(例えば、気管支ぜん息、アレルギー性ぜん息、内因性ぜん息、外因性ぜん息および塵埃性ぜん息)、特に慢性または難治性ぜん息(例えば、遅発型ぜん息および気道反応性亢進)、および気管支炎等];
粘膜および血管の炎症(例えば胃潰瘍、虚血症および血栓症による気管損傷、虚血性腸疾患、腸炎、壊死性全腸炎、火傷による腸損傷、ロイコトリエンB4−仲介疾患);
腸の炎症/アレルギー(例えば、小児脂肪便症、直腸炎、好酸性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病および潰瘍性大腸炎);
胃腸管から遠隔の部位に症候性症状発現をする食物関連アレルギー疾患(例えば偏頭痛、鼻炎および湿疹);
腎症(例えば、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群および糖尿病性腎症);
神経性疾患(例えば多発性筋炎、ギラン−バレー症候群、メニエール病、多発神経炎、多発性神経炎、単発性神経炎および神経根障害);
内分泌疾患(例えば、甲状腺機能亢進症およびバセドウ病);
血液疾患(例えば、純赤芽球病、再生不良性貧血、形成不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血および赤血球形成不全症);
骨疾患(例えば、骨粗鬆症);
呼吸器系統疾患(例えば、サルコイドーシス(類肉腫症)、肺繊維症および特発性間質性肺炎);
皮膚疾患(例えば、皮膚筋炎、尋常性白斑症、尋常性魚鱗癬、光線過敏症および皮膚T細胞リンパ腫);
循環器系統疾患(例えば、動脈硬化症、アテローム硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎および心筋症);
膠原病(例えば、強皮症、ウェゲナー肉芽腫およびシェーグレン症候群);
脂肪過多症;
好酸球性筋膜炎;
歯周病[例えば、歯肉、歯周、歯槽骨、(歯の)セメント質の損傷];
ネフローゼ症候群(例えば、糸球体腎炎);
男性型脱毛症または老人性脱毛症;
筋ジストロフィー;
膿皮症およびセザリー症候群;
アジソン病;
染色体異常症(例えば、ダウン症候群);
活性酸素仲介疾患[例えば、臓器損傷(保持、移植または虚血性疾患(血栓症、心筋梗塞等)の際に生ずる(心臓、肝臓、腎臓、消化器等の)臓器の虚血性血流損傷):腸疾患(例えば、エンドトキシンショック、偽膜性大腸炎、薬剤または放射線による大腸炎):腎性疾患(例えば、虚血性急性腎不全、慢性腎不全):肺疾患[例えば、肺中酸素または薬剤(例えばパラコート、ブレオマイシン)による中毒、肺癌、肺気腫]:眼病[例えば、白内障、鉄沈着症(眼球鉄錆症)、網膜炎、色素沈着症、老人性斑点変質、ガラス体瘢痕、アルカリ火傷角膜]:皮膚炎(例えば、多形性紅斑、線状免疫グロブリンA皮膚炎、セメント皮膚炎):およびその他の疾患[例えば、歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、または環境汚染(例えば、大気汚染)、老化、発癌物質、癌転移、高山病による疾患]];
ヒスタミンまたはロイコトリエンC4遊離による疾患;
ベーチェット病(例えば、腸型、血管型、神経型、口腔、皮膚、目、外陰部、関節、副睾丸、肺、腎);
肝疾患[例えば、免疫原性疾患(自己免疫性肝臓病、原発性胆汁性肝硬変または硬化性胆管炎のような慢性自己免疫性肝臓病)、部分的肝臓切除、急性肝臓壊死(例えば、毒物、ウイルス性肝炎、ショックまたは無酸素症による壊死)、B型肝炎、非A非B型肝炎、肝硬変(例えばアルコール性肝硬変)および肝機能不全(例えば、劇症肝炎、遅発性肝炎および急性から慢性へ移行した肝機能不全)]。
本発明は、FK506やサイクロスポリンAのようなカルシニューリンの作用を阻害する免疫抑制剤の正確な定量法に関するものであり、医療の分野で利用できる。
背景技術
下記構造式及び化学名で表わされるFK506もしくはFR−900506とも表記される化合物は、強力な免疫抑制作用を有し、臓器移植時の拒絶反応や自己免疫疾患の予防剤または治療薬として使用しうることはよく知られている(例えばEP−0184162−A2)。
化学名:17−アリル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル)−1−メチルビニル]−23,25−ジメトキシ−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−ジオキサ−4−アザトリシクロ[22.3.1.04,9]オクタコス−18−エン−2,3,10,16−テトラオン
FK506の免疫抑制作用は、そのメカニズム探索により、細胞質内FK506結合蛋白質であるFKBP−12にFK506が結合した後、カルモジュリンやカルシウムイオンとともにカルシニューリンと複合体(FK506:FKBP−12:カルシニューリン=1:1:1)を形成する結果、カルシニューリンのフォスファターゼ活性が阻害され、このフォスファターゼ活性の阻害によりnuclear factor of activated T−cells(NFAT)の活性化が抑制され、IL2産生が阻害されることにより免疫抑制が引き起こされるものと考えられている。
又、同様な免疫抑制作用を示すサイクロスポリンAも同様の複合体を形成することにより、この免疫抑制作用を示すと考えられている。(例えば、Biochemical and Biophysical Research Communications,192(3),1388−1394(1993)やAngew,Chem,Int.Ed Engl,31(1992)384−400参照)。
FK506の免疫抑制剤としての有用性はよく研究され、日本においては特に肝移植時の拒絶反応抑制剤として既に発売されている。
しかしながら、その作用は、非常に強力であるため、最適投与量の決定は重要な問題であり、副作用等を発生させることなく、効果的な免疫抑制活性を発揮させ得る量を投与することが極めて重要である。
その目的の為に、FK506中の抗原決定基を認識する抗体を用いた酵素免疫測定法(例えば、EP−0293892−A2)や、前記酵素免疫測定法とHPLCを組み合わせた方法、あるいはFK506結合蛋白質(FKBP−12)を利用したラジオレセプター法等、いくつかの測定法が提案されている(例えば、Clin,Chem.38/7,1307〜1310(1992)参照)。
一方、代謝メカニズムの研究から、FK506は生体により代謝を受けるが、それら代謝物の中には、免疫抑制活性を依然として保持しているものや、あるいはFK506に対するモノクローナル抗体との結合性はあるものの、免疫抑制活性が極めて弱いもの等が混在していることも明らかとなっている。(例えば、Drug Metabolism and Disposition,21(6),971−977(1993))。
又、FK506結合蛋白質(FKBP)とは結合するものの、免疫抑制活性を有しない物質(例えば506BD)の存在も明らかにされている(例えば、Angew,Chem,Int.Ed,Engl.31(1992)384−400)。
従って、FK506の抗原決定基を認識する抗体とFK506との結合やFKBPとFK506との結合のみを指標としている従来の測定方法では、現実の免疫抑制状態を正確に測定しているとは言いがたく、実際に免疫抑制活性を有する代謝物をも含めた活性な薬物の全濃度を正確に測定しうる定量法の開発が望まれていた。
発明の開示
本発明の発明者らは、FK506又はサイクロスポリンAのような免疫抑制剤がイムノフィリン(FKBP−12やサイクロフィリンのような免疫抑制剤と結合する蛋白)と結合後、カルシニューリン、カルモジュリンそしてカルシウムイオンと複合体を形成し、カルシニューリンの活性を阻害するという事実に注目し、それらの複合体形成能を利用した、免疫抑制剤の定量法を確立することに成功した。
即ち、本発明は、(1)イムノフィリン、(2)カルシニューリン、(3)カルモジュリン、(4)カルシウムイオン及び、(5)カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤を含有する複合体を定量することからなるカルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤の定量法を提供するものである。
以下に、本発明の範囲内に包含される種々の定義の好ましい例及び詳細を説明する。
「イムノフィリン」とは、免疫抑制剤が結合する細胞質内受容蛋白質を意味し、例えば、分子量約12KのFK506結合蛋白質でペプチジルプロリルシストランスイソメラーゼ(PPIase)活性を有するFKBP−12や、サイクロスポリンAの細胞内受容体で、同様のPPIase活性を有する分子量約17Kのサイクロフィリンが挙げられるが、好ましくはウシや人のような哺乳動物が産生するFKBP−12やサイクロフィリンが挙げられる。
それらは既に公知であり、J.Am.Chem.Soc.113,1409−1411(1991)及びProc.Natl.Acad.Sci.USA,88,6229−6233(1991),Nature 346,671−674(1991),WO92/01052,WO91/17439やNature,337,473−475,476−478(1989)特開平2−209897等と同様にして得られる。
「カルシニューリン」は、カルシウムイオンおよびカルモジュリン依存性のセリン/スレオニンフォスファターゼとして公知であり、ラットやウシや人のような哺乳動物から得られたものを使用できる。例えばラットやウシのカルシニューリンはAサブユニットとBサブユニットから成るヘテロダイマーであること、更にAサブユニットにはAαとAβの2種類が存在することが知られ、例えばラットの脳から単離、精製することにより得ることが出来る(例えばJ.Neurochem.58,1643−1651(1992)参照)。またウシのカルシニューリンは、Adv.Enzymol.,61,149−200(1989)やMethods Enzymol.102,244−256(1983)と同様にしても得られ、更にプロティンフォスファターゼ−2Bなどの品名でアップステートバイオテクノロジー社やシグマ社から市販されてもいるため、それらを利用してもよい。
「カルモジュリン」とは、カルシウム結合蛋白質として公知の物質であり、カルシウムイオン存在下で前記カルシニューリンのような種々の酵素を活性化することが知られており、ウシや人などの哺乳動物のカルモジュリンであれば使用できる。例えば、ウシのカルモジュリンは、J.Biochem.87,1313−1320(1980)と同様にして調製・入手することが出来るが、アップステートバイオテクノロジー社やシグマ社から市販されているものを利用することも出来る。
本発明において定量される「カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤」とは、イムノフィリン、カルシニューリン、カルモジュリン、及びカルシウムイオンとともに複合体を形成し、カルシニューリンのフォスファターゼ活性を阻害し、免疫抑制活性を有する化合物を意味する。好ましい例としては、例えば次式の化合物が挙げられる。
(式中、R1はヒドロキシ基または保護されたヒドロキシ基、R2は水素、ヒドロキシ基または保護されたヒドロキシ基、R3はメチル基、エチル基、プロピル基またはアリル基、R4はヒドロキシ基またはメトキシ基、R5は水素、またはR4とR5が共になってオキソ基、nは1または2の整数、実線と点線により表わされる記号は単結合または二重結合を意味し、
但しR4がヒドロキシ基およびR5が水素であるか、またはR4とR5が共になってオキソ基を意味する場合、R2は保護されたヒドロキシ基ではない)
上記一般式[I]で使用されている記号の説明並びに後記説明において使用される「低級」なる用語は、特に指示しない限り、炭素原子数が1〜6個であることを意味する。
「保護されたヒドロキシ基」における好適な保護基としては次の様なものが例示される。
例えばメチルチオメチル、エチルチオメチル、プロピルチオメチル、イソプロピルチオメチル、ブチルチオメチル、イソブチルチオメチル、ヘキシルチオメチル等の低級アルキルチオメチル基のような1−(低級アルキルチオ)(低級)アルキル基、さらに好ましいものとしてC1〜C4アルキルチオメチル基、最も好ましいものとしてメチルチオメチル基;
例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、第三級ブチル−ジメチルシリル、トリ第三級ブチルシリル等のトリ(低級)アルキルシリル、例えばメチル−ジフェニルシリル、エチル−ジフェニルシリル、プロピル−ジフェニルシリル、第三級ブチル−ジフェニルシリル等の低級アルキル−ジアリールシリル等のようなトリ置換シリル基、さらに好ましいものとしてトリ(C1〜C4)アルキルシリル基およびC1〜C4アルキルジフェニルシリル基、最も好ましいものとして第三級ブチル−ジメチルシリル基および第三級ブチル−ジフェニルシリル基;
カルボン酸、スルホン酸およびカルバミン酸から誘導される脂肪族アシル基、芳香族アシル基および芳香族基で置換された脂肪族アシル基のようなアシル基;等。
尚、上述のアシル基について、更に詳細な具体例を挙げて説明すれば下記の通りである。
脂肪族アシル基としては、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、カルボキシアセチル、カルボキシプロピオニル、カルボキシブチリル、カルボキシヘキサノイル等の、カルボキシのような適当な置換基を1個以上有していてもよい低級アルカノイル基、たえばシクロプロピルオキシアセチル、シクロブチルオキシプロピオニル、シクロヘプチルオキシブチリル、メンチルオキシアセチル、メンチルオキシプロピオニル、メンチルオキシブチリル、メンチルオキシペンタノイル、メンチルオキシヘキサノイル等の、低級アルキルのような適当な置換基を1個以上有していてもよいシクロ(低級)アルコキシ(低級)アルカノイル基、カンファースルホニル基、例えばカルボキシメチルカルバモイル、カルボキシエチルカルバモイル、カルボキシプロピルカルバモイル、カルボキシブチルカルバモイル、カルボキシペンチルカルバモイル、カルボキシヘキシルカルバモイル等のカルボキシ(低級)アルキルカルバモイル基、または例えばトリメチルシリルメトキシカルボニルエチルカルバボイル、トリメチルシリルエトキシカルボニルプロピルカルバモイル、トリエチルシリルエトキシカルボニルプロピルカルバモイル、第三級ブチルジメチルシリルエトキシカルボニルプロピルカルバモイル、トリメチルシリルプロポキシカルボニルブチルカルバモイル基等のトリ(低級)アルキルシリル(低級)アルコキシカルボニル(低級)アルキルカルバモイル基等の保護されたカルボキシ(低級)アルキルカルバモイル基等のようなカルボキシもしくは保護されたカルボキシのような適当な置換基を1個以上有する低級アルキルカルバモイル基等が挙げられる。
芳香族アシル基としては、例えばベンゾイル、トルオイル、キシロイル、ナフトイル、ニトロベンゾイル、ジニトロベンゾイル、ニトロナフトイル等の、ニトロのような適当な置換基を1個以上有していてもよいアロイル基、例えばベンゼンスルホニル、トルエンスロホニル、キシレンスルホニル、ナフタレンスルホニル、フルオロベンゼンスルホニル、クロロベンゼンスルホニル、ブロモベンゼンスルホニル、ヨードベンゼンスルホニル等の、ハロゲンのような適当な置換基を1個以上有していてもよいアレーンスルホニル基等が挙げられる。
芳香族基で置換された脂肪族アシル基としては、例えばフェニルアセチル、フェニルプロピオニル、フェニルブチリル、2−トリフルオロメチル−2−メトキシ−2−フェニルアセチル、2−エチル−2−トリフルオロメチル−2−フェニルアセチル、2−トリフルオロメチル−2−プロポキシ−2−フェニルアセチル等の、低級アルコキシおよびトリハロ(低級)アルキルのような適当な置換基を1個以上有していてもよいアル(低級)アルカノイル基等が挙げられる。
上記アシル基中、さらに好ましいアシル基としては、カルボキシを有していてもよいC1〜C4アルカノイル基、シクロアルキル部分に(C1〜C4)アルキルを2個有するシクロ(C5〜C6)アルキルオキシ(C1〜C4)アルカノイル基、カンファースルホニル基、カルボキシ(C1〜C4)アルキルカルバモイル基、トリ(C1〜C4)アルキルシリル(C1〜C4)アルコキシカルボニル(C1〜C4)アルキルカルバモイル基、ニトロ基を1個または2個有していてもよいベンゾイル基、ハロゲンを有するベンゼンスルホニル基、C1〜C4アルコキシとトリハロ(C1〜C4)アルキルを有するフェニル(C1〜C4)アルカノイル基が挙げられ、それらのうち、最も好ましいものとしては、アセチル、カルボキシプロピオニル、メンチルオキシアセチル、カンファースルホニル、ベンゾイル、ニトロベンゾイル、ジニトロベンゾイル、ヨードベンゼンスルホニルおよび2−トリフルオロメチル−2−メトキシ−2−フェニルアセチル等が挙げられる。
上記一般式[I]で表示される化合物及びその製造法は、既に公知であり、たとえば、EP−0184162−A2やEP−0353678−A2と同様の方法により得られる。
とりわけ、FR900506(=FK506)、FR900520、FR900523及びFR900525と表記される化合物は、EP−0184162−A2に記載されているようにストレプトミセス(Streptomyces)属、特にストレプトミセス・ツクバエンシス(Streptomyces tsukubaensis)No.9993(微工研条寄第927号)もしくは、ストレプトミセス・ハイグロスコピカス・サブスペシース・ヤクシマエンシス(Streptomyces hygroscopicus subsp.yakushimaensis)No.7238(微工研条寄第928号)により産生される。
又、米国特許第4,117,118、4,215,199、4,288,431、4,388,307、Helv.Chim.Acta 60,1568(1977)及び65,1655(1982)やTransplant.Proc.17,1362(1985)等より既に公知の、例えばサイクロスポリンA、B、C、D、E、F、Gのようなサイクロスポリン類もしくはその誘導体も、サイクロフィリン、カルシニューリン、カルモジュリン及びカルシウムイオンと複合体を形成し、そのためカルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤であるので本発明の定量法により測定できる。
本発明におけるイムノフィリン、カルシニューリン、カルモジュリン、カルシウムイオン、及びカルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤を含有する複合体の作成方法には、特に特徴はなく、イムノフィリン、カルシニューリン、カルモジュリン、及びカルシウムイオンをカルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤を含有する検体とともに適当な溶媒中で常法により反応させることによって作成することが出来る。
例えば、各成分を適当な緩衝液中で、30〜40℃に加温下、数時間放置しておけばよい。
尚、実際に医療の場で当該定量法を実施する場合には「カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤を含有する検体」としてはカルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤を投与した患者から得られた全血液もしくは血漿を意味するが、例えばEP0293892−A2に記載のあるようなセップパックカラム処理や、ジクロロメタン、メタノールのような適当な抽出液により前処理されたものの方が好ましい。
得られた複合体は、適当な方法で分離後、放射性同位元素や酵素によって標識された各成分もしくは複合体中の成分のいずれかの部分を認識する抗体を利用するような常法により、複合体量を定量し、それにより目的とする免疫抑制剤を定量することが可能である。
具体的には次のような方法により本発明を実施することが出来る。尚、以下において「カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤」を単に「免疫抑制剤」と表記する。
(1) 複合体構成成分のうち適当な成分の1つをプレート、試験管、ビーズ等の固相に常法にて固定化し、得られた複合体が固相に固定化されるようにしておくと、複合体調製後、不要成分等を含む反応液から容易に分離できる。
固相に固定化される複合体構成成分のうちの適当な成分とは、イムノフィリン、カルシニューリン、カルモジュリンである。
(1−1):例えば、固相に固定化させた過剰量のイムノフィリン、及び過剰量のカルモジュリン、カルシウムイオン、及びカルシニューリンを測定したい免疫抑制剤が含まれる検体とともに反応させることにより、含まれる免疫抑制剤の量に応じた複合体を形成させる。そして、反応液等の吸引及び適当な緩衝液による洗浄等により、その複合体を分離したのち、カルシニューリンあるいはカルモジュリンを認識する適当な酵素標識抗体を用いて複合体を、即ち複合体を形成している免疫抑制剤を定量することができる。
「カルシニューリンあるいはカルモジュリンを認識する酵素標識抗体」としては、通常の酵素免疫測定法に使用される酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、りんご酸脱水素酵素、もしくはウレアーゼ等)を常法により結合させた抗カルシニューリン抗体あるいは抗カルモジュリン抗体である。
上記のような酵素標識抗体を作用させることによって認識された複合体の量は、標識に使用されている酵素の活性を例えばEP0293892−A2記載のような常法により測定することにより定量することが出来る。例えば、標識に用いられた酵素がペルオキシダーゼの場合には、o−フェニレンジアミンと過酸化水素水とを含む酵素基質溶液を、又、酵素が、アルカリホスファターゼの場合には、4−メチルウンベリフェリルホスフェートを酵素基質として、その発色の度合いをそれぞれ測定することにより複合体の量を知ることが出来る。
(1−2):(1−1)における「カルシニューリンあるいはカルモジュリンを認識する酵素標識抗体」のかわりに、カルシニューリンあるいはカルモジュリンを認識する抗体(第一抗体)及びその第一抗体を認識する酵素標識抗体(第二抗体)を用いることも出来る。
上記第一抗体及び(1−1)で使用しうる抗カルシニューリン抗体あるいは抗カルモジュリン抗体としては、カルシニューリンやカルモジュリンを抗原として常法により調製されるポリクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体を使用できる(例えば、J.Neurochem.58(5)、1643−1651(1992))が、例えばアップステートバイオテクノロジー社から市販されているような抗カルシニューリン抗体(=抗プロティンフォスファターゼ−2B)や抗ウシカルモジュリン抗体を利用することが出来る。それら抗体のクラスは特に限定されないが、好ましくはIgGであり、マウス等を免疫して得られる抗体が利用できる。
前記第二抗体としては、第一抗体を認識しうるポリクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体であれば使用可能であり、前記(1−1)に記載のような酵素を常法により結合して使用することが出来る。例えば、アルカリホスファターゼで標識された抗ラビットIgGは市販されており、ベクター研究所(VECTOR Labs.,米国)等より購入し、利用することが出来る。
(1−3):又、過剰量のイムノフィリンを固相に固定化し、(1−1)のようにして複合体を作成させる際に、通常のカルシニューリンやカルモジュリンのかわりにあらかじめ適当な前記のような酵素もしくは放射性同位元素(例えば125Iなど)を用いて常法により標識しておいたカルシニューリンもしくはカルモジュリンを用いることにより、存在する免疫抑制剤の量に応じて形成される複合体量の酵素活性あるいは放射線量を指標として常法により測定することが出来る。
(1−4):イムノフィリンではなく、過剰量のカルシニューリンあるいはカルモジュリンを固相に固定化していてもよい。その場合には、過剰量のイムノフィリンとカルシウムイオン及び検体とを加え、前述と同様にして複合体を作成・分離させた後、常法により調製された「適当な酵素で標識された、イムノフィリンを認識しうる抗体」(酵素標識抗イムノフィリン抗体)を用いて複合体量を定量することも出来る。又は、(1−2)と同様にイムノフィリンを認識する第一抗体及びその第一抗体を認識しうる酵素標識第二抗体を使用してもよい。
(2) 一方、複合体構成成分のうちのどれかを固定化していなくとも、作成した複合体の分離取得は可能である。即ち、形成した複合体に複合体構成成分のいずれかを認識しうる抗体を作用させて、沈降・分離させればよい。
(2−1):例えば、カルシニューリンあるいはカルモジュリンを認識する抗体を用いて、複合体を沈降・分離させることが出来るが、その場合には、3Hのような放射性同位元素で標識された免疫抑制剤の一定量を共存させておくことにより定量することが出来る。
(2−2):一方、例えば国際出願公開WO94/04700のようにして調製したイムノフィリンを認識するポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体を用いて複合体を沈降・分離させることも出来る。その場合には、複合体形成に使用するカルシニューリンやカルモジュリンを(1−3)と同様に適当な酵素もしくは放射性同位元素(例えば125I)を用いて標識しておくことにより、その後、常法により複合体を定量することが出来る。
尚、上記(2−2)、及び(1−3)、(1−4)において標識するために用いられる適当な酵素とは、(1−1)において記載のものと同様のものである。
前記のように種々の測定法が考えられるが、好ましくは、
固相に固定化した過剰量のイムノフィリンと、過剰量のカルシニューリン、カルモジュリン、カルシウムイオンそしてサンプル中の免疫抑制剤とを反応させて、免疫抑制剤の量に応じた複合体を作成させ、分離処理後、得られた複合体を構成するカルシニューリンを酵素免疫測定法により定量し、それによって免疫抑制剤を定量する方法である。その場合の酵素免疫測定法としては、ペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼのような通常使用される酵素により標識した抗カルシニューリン抗体を、あるいは、2種類の抗体、つまり、抗カルシニューリン抗体と前記のような酵素により標識した抗IgG抗体を用いる測定法が好ましい。
本発明の定量法は、自動あるいは非自動(手動)いずれの手段を用いても実行可能である。
また、当該定量法の実施の際に、便利なキットを提供することも可能である。そのキットには、イムノフィリン、カルシウムイオン、カルモジュリン、カルシニューリンや標準品としての免疫抑制剤の全部あるいは一部が含まれていてもよい。更には、必要に応じ放射性同位元素を用いて標識された免疫抑制剤、適当な酵素もしくは放射性同位元素により標識されたカルシニューリンあるいはカルモジュリン、適当な酵素により標識された抗イムノフィリン抗体あるいは抗カルシニューリン抗体や抗カルモジュリン抗体、抗イムノフィリン抗体、抗カルシニューリン抗体、あるいは抗カルモジュリン抗体などが含まれていてもよい。
又、複合体作成の際には、カルシウムイオンを使用するのが普通であるが、カルシニューリン、カルモジュリン、免疫抑制剤とともに複合体を形成しうるものであれば他のイオンであっても使用することは可能であり、例えばBiochemical and Biophysical Research Communications 192(3),1388−1394(1993)により同様に複合体を形成することが確認されているマンガンイオンを代わりに用いることも可能である。
更に、複合体形成後の分離・定量に支障がない限り、イムノフィリン、カルシニューリン、カルモジュリン、カルシウムイオン、カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤からなる複合体に、更に他の成分が付加していてもよい。
次にこの発明を実施例によって説明する。
製造例1 FKBP−12の製造
Nature,346,671−674(1990)の中でHarvard大学S.L.Schreiberらの報告しているDNA sequenceより、FKBP−12のC−末に相当するDNA 48merをApplied Biosystem社のDNA synthesizerを使って合成した。
5'−CCACATGCCACTCTCGTCTTCGATGTGGAGCTTCTAAAACTGGAATGA−3'
この48−merの末端を25Pでラベルし、プローブとしてCLONTECH社のヒトT−cell cDNAライブラリーHL1016b 50万プラークをスクリーニングしたところ、ポジティブプラークを一つ得た。このプラークよりFKBP−12cDNAを含む断片をサブクローニングした「pUC−23(Ec)]。このpUC−23(Ec)をシークエンスしたところ、N−末DNAシークエンス1番から32番に相当する部分が欠損していたので、この部分を補完すると共に、大腸菌での発現を高くする為に合成したAT rich silent mutant N−末DNA約80b.p.とを利用し、EcoR I−BamH I siteとして、J.Biochem.101.123−134(1987)と同様にして作成したtryptophan promotorの制御下で発現するプラスミドに組み込み、発現ベクターpFKBP333を得た。これを、E.coli HB101に形質転換し、発現菌HB101−pFKBP(AT)311を得た。これを、L−amp.brothにて19時間培養し、蛋白合成の誘発は、90μg/ml(final濃度)となる様にIAA(Indol−Acrylic acid)を添加することにより行った。E.coliを集菌し、50mM Tris−HCl,2mM β−ME,2mM CaCl2,10mM MgCl2,5% glycerol中でFrench Pressにて細胞を粉砕し、遠心(4℃,6,000×g,30分)−上清を60℃,15分間熱処理−遠心(4℃,6,000×g,45分+4℃,18,000×g,20分×2回)−透析[20mM Tris−HCl(pH7.4),4℃ 終夜]−DEAE−Toyo PEARL 650M−逆相HPLC(C4)にてFKBP−12を精製した。
得られた精製FKBP−12及び、下記組成からなるカルシウムイオン、マグネシウムイオンを含まないリン酸緩衝液を用いてFKBP−12のリン酸緩衝溶液(50μg/ml)を調製した。
リン酸緩衝液溶液(pH7.4)組成
塩化ナトリウム 8.0 g
塩化カリウム 0.2 g
リン酸水素二ナトリウム・無水(Na2HPO4) 1.15g
リン酸二水素カリウム・無水(KH2PO4) 0.2 g
上記に蒸留水を加えて1000mlとする。
実施例1 FK506の定量法
(1) 製造例1のようにして得られたFKBP−12のリン酸緩衝溶液(50μg/ml)100μlずつを添加したイムノマイクロタイタープレートの各ウェル(well)を、4℃で1晩振とうさせた後、製造例1と同様のリン酸緩衝液溶液で3回洗浄し、FKBP−12を各ウェルに固定化した。各ウェルに下記組成のアッセイ緩衝液(300μl)を加え、15分後にその液を除去することにより、各ウェル中の余剰の蛋白結合サイトをブロックした。
アッセイ緩衝液組成
トリス・塩酸塩 (50mM,pH7.5)
牛血清アルブミン (5mg/ml)
トリトン(Triton) (0.001%)
ディーティーティー(DTT) (0.5mM)
塩化カルシウム (1mM)
(2) その後、下記の要領にて調製した牛カルシニューリン粗精液(50μl),牛カルモジュリン液(50μl)及びFK506溶液(100μl)の各希釈液を各ウェルにそれぞれ加え、37℃で1時間放置し、複合体を形成させた。
牛カルシニューリン粗精液
常法により調製した粗精品の20mMトリス塩酸塩(pH7.0)溶液(5mg/ml)を前記アッセイ緩衝液にて40倍希釈したもの。
牛カルモジュリン液
市販の牛カルモジュリンを前記アッセイ緩衝液にて適度に希釈したもの(ウェル中の最終濃度が95nMになるように調製)。
FK506溶液
FK506のメタノール溶液(1mg/ml)を前記アッセイ緩衝液にて適度に希釈したもの。
(3) 牛血清アルブミンを含まない前記アッセイ緩衝液を用いて各ウェルを洗浄(4回)後、公知の方法、例えばJ.Neurochem.58,1643−1651(1992)のようにして得られ、適当にアッセイ緩衝液にて希釈されたカルシニューリン−Aα鎖を認識するラビットのポリクローナル抗体(100μl)を添加し、室温下1時間反応させた。
(4) 牛血清アルブミンを含まない前記アッセイ緩衝液を用いて各ウェルを洗浄(4回)後、アルカリフォスファターゼでラベルされている抗ラビットIgG(ベクター ラボラトリーズ社製)のアッセイ緩衝液による適当な希釈液(100μl)を添加した。
(5) 牛血清アルブミンを含まないアッセイ緩衝液を用いて各ウェルを洗浄(4回)後、下記要領にて調製した4−メチルウンベリフェリル フォスフェイト(以下4−MUと略記)基質溶液(1mM)の200μlずつを添加し、室温下20分経過後にサイトフルオル2350(商標、ミリポア(米国)社製)を用いて、螢光分析(励起波長360nm,測定波長460nm)を行なった。結果を表1に示す。
4−MU基質溶液
水を用いて、4−MU(シグマ社製)の100mM溶液を調製後、更にジエタノールアミン(0.7ml/l)と塩化マグネシウム・6水和物(0.1g/l)とからなる緩衝液(10mM,pH10.0)を用いて希釈し、1mMの4−MU基質溶液とする。
実施例2 FK506の代謝物の定量法
FK506をラットの肝ミクロゾームにて処理した際に得られる代謝物として、Drug Metabolism and Disposition 21(6),971〜977等により既に公知となっている下記の代謝物M−II及びM−IIIを用い、実施例1と同様にして、定量分析を行なった。
結果を表1に示す。
表1の結果は、FK506及びM−IIがそれらの濃度に応じた螢光度を示すのに対し、M−IIIは濃度に対応した値を示さないことを示している。
実施例3
FKBP−12と結合するだけでなく実際に免疫抑制作用を有するFK506及びその代謝物の血中濃度のみを測定することが出来ることを確認するために、FK506及び先の代謝物(M−II,M−III)のFKBP−12との結合活性及び免疫抑制活性をそれぞれ以下のようにして測定した。
(1) FKBP−12との結合活性測定は、Clinical Chemistry 38/7,1307−1310(1992)に記載の測定法と同様の方法により、3H−ジヒドロ−FK506、FKBP−12、活性炭を付着させたデキストラン(Dexstran charcoled)等を用いて、行った。
(2) 又、免疫抑制活性は例えばヨーロッパ特許公開公報EP−0184162−A2の67ページに記載され、よく知られている試験管内混合リンパ球反応(MLR)試験により測定した。結果を表2に示す。
表2の結果より、FKBP−12との結合活性は有するものの、免疫抑制活性を有しないM−IIIのような代謝物は当該複合体定量法では検出されず(即ち、複合体形成能比活性(%)が0)FK506とその代謝物(M−II)のように免疫抑制活性を有する物質のみを検出できていることが確認された。
実施例4 サイクロスポリンAの定量法
(1) FKBP−12のかわりに、シグマ社より購入したヒトサイクロフィリンを実施例1(1)と同様に各ウェルに固定化した。
(2) その後、実施例1(2)と同様の牛カルシニューリン粗精液、牛カルモジュリン液及び下記のサイクロスポリンA溶液を各ウェルに反応させて、複合体を形成させた。
サイクロスポリンA溶液
サイクロスポリンAのメタノール溶液(1mg/ml)を実施例1(1)と同様のアッセイ緩衝液にて適度に希釈したもの。
(3) そして、実施例1の(3)と同様に牛血清アルブミンを除いて調製されたアッセイ緩衝液を用いて洗浄後、アップステートバイオテクノロジー社より購入したカルシニューリンのβサブユニットに対するマウスのモノクローナル抗体(α−CN β−MoAb)を前記アッセイ緩衝液にて希釈した溶液(1μg/ml)100μlずつを各ウェルに添加し、1時間反応させた。
その後は実施例1(4)及び(5)と同様にして、螢光分析を行ないサイクロスポリンAの濃度に応じて形成された複合体を定量した。結果を表3に示す。
本発明の定量法を使用することにより、例えば次のような症状もしくは疾患の患者に、カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤、特にFK506に代表される化合物[I]を治療もしくは予防のため投与した際の血中濃度を正確に定量することが出来るようになった。
心臓、腎臓、肝臓、骨髄、皮膚、角膜、肺、膵臓、小腸、手足、筋肉、神経、椎間板、気管等の臓器または組織の移植の際の拒絶反応;骨髄移植による移植片対宿主反応;慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、原発性粘膜水腫、自己免疫性萎縮性胃炎、早発性閉経、男性不妊症、若年型糖尿病、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、交感性眼炎、水晶性ぶどう膜炎、特発性白血球減少症、活動性慢性肝炎、特発性肝硬変、円板状紅斑性狼瘡、I型糖尿病等の自己免疫疾患;並びに病原性微生物(例えば、アスペルギルス・フミガーシス、フサリウム・オキシスポルマ、トリコフィトン・アステロイデス等)による感染症;
炎症性および増殖亢進性皮膚病および免疫学的仲介皮膚疾患(例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、偏平苔癬、天疱瘡、水疱瘡類天疱瘡、表皮水疱症、じんま疹、血管性水腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、紅斑性狼瘡、座瘡および円形脱毛症);
自己免疫疾患の眼疾患(例えば、角結膜炎、春季結膜炎、ベーチェット病関連のブドウ膜炎、角膜炎、ペルペス性角膜炎、円錐形角膜炎、角膜上皮異栄養症、角膜白斑、眼天疱瘡、モーア潰瘍、強膜炎、グレーブス眼障害、フォークトー小柳−原田症候群、類肉腫症等);
可逆的閉塞性気道疾患[ぜん息(例えば、気管支ぜん息、アレルギー性ぜん息、内因性ぜん息、外因性ぜん息および塵埃性ぜん息)、特に慢性または難治性ぜん息(例えば、遅発型ぜん息および気道反応性亢進)、および気管支炎等];
粘膜および血管の炎症(例えば胃潰瘍、虚血症および血栓症による気管損傷、虚血性腸疾患、腸炎、壊死性全腸炎、火傷による腸損傷、ロイコトリエンB4−仲介疾患);
腸の炎症/アレルギー(例えば、小児脂肪便症、直腸炎、好酸性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病および潰瘍性大腸炎);
胃腸管から遠隔の部位に症候性症状発現をする食物関連アレルギー疾患(例えば偏頭痛、鼻炎および湿疹);
腎症(例えば、間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群および糖尿病性腎症);
神経性疾患(例えば多発性筋炎、ギラン−バレー症候群、メニエール病、多発神経炎、多発性神経炎、単発性神経炎および神経根障害);
内分泌疾患(例えば、甲状腺機能亢進症およびバセドウ病);
血液疾患(例えば、純赤芽球病、再生不良性貧血、形成不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血および赤血球形成不全症);
骨疾患(例えば、骨粗鬆症);
呼吸器系統疾患(例えば、サルコイドーシス(類肉腫症)、肺繊維症および特発性間質性肺炎);
皮膚疾患(例えば、皮膚筋炎、尋常性白斑症、尋常性魚鱗癬、光線過敏症および皮膚T細胞リンパ腫);
循環器系統疾患(例えば、動脈硬化症、アテローム硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎および心筋症);
膠原病(例えば、強皮症、ウェゲナー肉芽腫およびシェーグレン症候群);
脂肪過多症;
好酸球性筋膜炎;
歯周病[例えば、歯肉、歯周、歯槽骨、(歯の)セメント質の損傷];
ネフローゼ症候群(例えば、糸球体腎炎);
男性型脱毛症または老人性脱毛症;
筋ジストロフィー;
膿皮症およびセザリー症候群;
アジソン病;
染色体異常症(例えば、ダウン症候群);
活性酸素仲介疾患[例えば、臓器損傷(保持、移植または虚血性疾患(血栓症、心筋梗塞等)の際に生ずる(心臓、肝臓、腎臓、消化器等の)臓器の虚血性血流損傷):腸疾患(例えば、エンドトキシンショック、偽膜性大腸炎、薬剤または放射線による大腸炎):腎性疾患(例えば、虚血性急性腎不全、慢性腎不全):肺疾患[例えば、肺中酸素または薬剤(例えばパラコート、ブレオマイシン)による中毒、肺癌、肺気腫]:眼病[例えば、白内障、鉄沈着症(眼球鉄錆症)、網膜炎、色素沈着症、老人性斑点変質、ガラス体瘢痕、アルカリ火傷角膜]:皮膚炎(例えば、多形性紅斑、線状免疫グロブリンA皮膚炎、セメント皮膚炎):およびその他の疾患[例えば、歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、または環境汚染(例えば、大気汚染)、老化、発癌物質、癌転移、高山病による疾患]];
ヒスタミンまたはロイコトリエンC4遊離による疾患;
ベーチェット病(例えば、腸型、血管型、神経型、口腔、皮膚、目、外陰部、関節、副睾丸、肺、腎);
肝疾患[例えば、免疫原性疾患(自己免疫性肝臓病、原発性胆汁性肝硬変または硬化性胆管炎のような慢性自己免疫性肝臓病)、部分的肝臓切除、急性肝臓壊死(例えば、毒物、ウイルス性肝炎、ショックまたは無酸素症による壊死)、B型肝炎、非A非B型肝炎、肝硬変(例えばアルコール性肝硬変)および肝機能不全(例えば、劇症肝炎、遅発性肝炎および急性から慢性へ移行した肝機能不全)]。
Claims (3)
- (1)固層に固定されたFKBP−12、(2)カルシニューリン、(3)カルモジュリン、(4)カルシウムイオン、および(5)カルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤を含有する複合体を作成後、その複合体を定量することからなるカルシニューリン阻害作用を有する免疫抑制剤の定量法であって、
カルシニューリンのAα鎖を認識する抗カルシニューリン抗体およびその抗カルシニューリン抗体を認識するアルカリフォスファターゼ標識抗IgG抗体を用いてカルシニューリンを酵素免疫測定法によって測定する定量法。 - 化合物[I]が17−アリル−1,14−ジヒドロキシ−12−[2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシシクロヘキシル)−1−メチルビニル]−23,25−ジメトキシ−13,19,21,27−テトラメチル−11,28−ジオキサ−4−アザトリシクロ[22.3.1.04,9]オクタコス−18−エン−2,3,10,16−テトラオンである請求項2記載の定量法。
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