JP3549511B2 - 介護用ベッド - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はおもに身障者や高齢者などの要介護者が使用する介護用ベッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、日本国においては高齢化社会を迎えつつあり、このような傾向を踏まえ、介護に関する商品が多数発表されており、その一つに介護用ベッドがあった。
【0003】
【発明が解決しようする課題】
しかしながら、この種のベッドの使用者は、主として要介護者が使用するものであるから、一般的に車椅子と併用して使用する場合が多く、例えば、前記要介護者をベッドから車椅子に乗せる場合、前記ベッドにおける要介護者の居る位置に接近させることができず、これにより、要介護者の移送に費やす時間が必然的に長くなる為、要介護者の身体と介護者の負担が増大する問題点があった。
【0004】
本発明は、ベッドとしての使用が快適であるのは勿論、要介護者を車椅子に容易に移動する事が可能な介護用ベッドを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、要介護者の寝台を備えるベッド形成部と、このベッド形成部の上方位置に設置したレールに沿って移動可能な前記要介護者の搬送手段と、から構成し、前記寝台は、前後に分割され且つ可変部材を介して折曲げ可能に連結してあり、さらに、この寝台の要介護者の居る位置を基準とする後方側を牽引昇降装置に連結設置し、この牽引昇降装置の起動によって、寝台をベッド形成部の後方側(要介護者の頭部側)に引き寄せながら、要介護者が寝姿勢をおこなえるフラットな状態から屈曲して座姿勢をおこなえる椅子型に可変可能であるとともに、前記ベッド形成部の前方位置(要介護者の足下側)に、車椅子の設置スペースを形成し、前記搬送手段は、前記設置スペースの上方位置まで移動可能であるとともに、要介護者の持ち上げが可能な昇降装置が設けてあることを特徴とする。
【0006】
ここでベッド形成部の前後とは、要介護者の居る位置を基準にするものである。また寝台とは、要介護者がベッド形成部において生活を行う領域をすべて含んだ概念である。また椅子型とは、要介護者が座姿勢をとった際の背もたれの部位と腰掛ける部位とを保有する形態である。さらに可変部材とは、寝台をフラットな状態から椅子型に可変できるものであればよく、具体的には、丁番やラチェット装置などが挙げられる。また、搬送手段とは、要介護者を寝台から前方位置に移送可能な手段であればよい。
【0007】
このように形成すると、寝台のフラットな状態から椅子型への可変により、寝姿勢にある要介護者を座姿勢となるように容易に身体を起こせるとともに、前記寝台が椅子型に可変したことにより、この寝台全体がベッド形成部の後方側に引き寄せられ、要介護者の居る位置を基準とする前方側に車椅子を設置できるスペースが開放され、これにより、要介護者の居る位置と近い場所に車椅子を接近できる。そして、要介護者を昇降装置の使用により寝台から持ち上げ、さらに、持ち上がった状態にある要介護者を搬送手段により、レールに沿って前方に移動することで、要介護者の身体に大きな負担を与えず、しかも、介護者側の負担も軽減した形で前記要介護者を容易に車椅子に乗せることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。
本介護用ベッドは図1に示すように、要介護者Qの寝台2をフラットな状態から屈曲して椅子型に可変可能なベッド形成部1と、このベッド形成部1の上部位置に支持されたレール3に沿って移動する搬送装置4と、この搬送装置4と一体化され且つ吊下ベルト26により要介護者Qの持ち上げが可能な昇降装置5と、から構成されている。
尚、本実施形態では、要介護者Qが寝姿勢にある場合の足下側を前方向とし、この位置を基準に以下の方向を順次定めるものである。
【0009】
前記ベッド形成部1は、幅が均一で方形に組み上げ且つ上面が板張りのスチール製の枠体7,8,9,10を縦列に4体並べるとともに各枠体7,8,9,10を丁番14によりそれぞれ屈曲可能に連結した寝台2と、この寝台2を可変可能に支持する側部支持フレーム20と、前記寝台2を側部支持フレーム20の一方側に引き寄せるための牽引昇降装置12と、から構成されている。
【0010】
そして、前記寝台2及び可変形態を中心にベッド形成部1の構成を更に詳細に説明する。
まず図2に示すように、この寝台2を構成している4つの各枠体7,8,9,10を第1、第2、第3、第4の各枠体7,8,9,10とすると、この寝台2を可変してフラットな状態から椅子型に変形する場合、第1枠体7は要介護者Qが背もたれとして使用可能なように最も面積が広く形成されており、また、第2枠体8は要介護者Qが腰掛ける部位となり、さらに第3、第4の各枠体9,10は、折り畳まれて牽引昇降装置12側に折れ曲がって格納され、最終的に前記寝台2が椅子型に可変することになる。また、寝台2の可変を一層スムーズに行うために、各枠体7,8,9,10の左右の側部位置には、それぞれ車輪19が設けてあり、ベッド形成部1の側部支持フレーム20の上面側に、各車輪19がスライド可能に掛る状態で前記寝台2が支持されている。
尚、第3、第4の各枠体9,10は、寝台2をフラットな状態で使用する場合には、不意な折り曲がりを防止するために各枠体9,10間に支持棒40が架け渡してある。
【0011】
さらに、前記寝台2が上記のような可変を行うには図3のように、第1と第2の各枠体7,8を谷折れするように連結し、さらに、該第2と第3の各枠体8,9を山折れ、該第3と第4の各枠体9,10を谷折れするように、順次丁番14の回動方向を適応させて連結する。そして、このように連結した各枠体7,8,9,10のうち、第1枠体7の牽引昇降装置12の設置側の端部には、上下に自在な角度調整が可能な丁番11を介してナット15を備えており、さらにこのナット15は、ベッド形成部1の後部側から起立するボルトシャフト16に螺合されている。
【0012】
そして前記ボルトシャフト16は図4のように、下端部にかさ歯車43を備えており、一方、ベッド形成部1に備えたハンドル17の軸の先端部においても、かさ歯車44が備えてあり、各歯車43,44同士が噛合している。これにより、介護者が前記ハンドル17を回転することで、ハンドル17の回転に連動してボルトシャフト16が軸回転し、このボルトシャフト16の回転に伴い、前記ナット15が該ボルトシャフト16に沿って上昇し、さらにナット15の上昇に伴って前記第1枠体7の後部側が丁番11を回動しながら次第に引き上げられ、しかも各枠体7,8,9,10がベッド形成部1の後方側に順次引き寄せられる。
【0013】
そして、前記寝台2の第1枠体7が前記ボルトシャフト16に沿って上昇することで、第1枠体7の一方側が持ち上がり徐々に第1枠体7が傾斜していき、また第2枠体は車輪19により、前後に2点で側部支持フレーム20に支持されているので、水平な角度を保ったまま側部支持フレーム20の上面に沿ってスライドし、さらに、第3、第4の各枠体9,10は、第3枠体9が後部側、第4枠体10が前部側の一箇所のみ、それぞれ車輪19により側部支持フレーム20に支持されているので、前記支持棒40の取外しにより第3、第4の各枠体が谷折りに屈曲し、寝台2が引き寄せられるベッド形成部1の後方側に折畳まれて格納される。最終的に前記寝台2が椅子型に可変し、これにより、ベッド形成部1の前方に車椅子18の設置が可能な開放した設置スペースSを形成することになる。また、前記ハンドル17を逆回転することで、椅子型にある寝台2の第1、第2枠体7,8がフラットになり、さらに、第3、第4枠体9,10間に支持棒40を再び架け渡すことで、寝台2が元のフラットな状態に戻ることになる。このように、介護者の情況に応じて、ベッドをフラットな状態と椅子型に繰り返し自在に変えることができる。
尚、寝台2の可変に伴って布団も変形するので、本実施形態では、足下側の布団39のみが離脱可能となる特殊な布団を使用している。
【0014】
次に、レール3及び該レール3に沿って移動する搬送装置4並びに該搬送装置4に支持される昇降装置5の構成を図5に基づいて更に詳細に説明する。
まず前記レール3は、側部支持フレーム20の上方位置において縦フレーム21を介在して左右に2本ずつ、ベッド形成部1の前後方向に架け渡されている。また、前記各レール3の上面側には全長に亘りラック22が延設するものであり、さらにこの各レール3には、前記搬送装置4に備わる歯車23が噛み合い、搬送装置4が前記レール3上を噛合する形で走行する。さらに搬送装置4を駆動する手段は、この搬送装置4の歯車23に無端の一方が重みを伴って掛け合わされ且つ他方側が垂下するチェーンベルト24によっておこなわれ、このチェーンベルト24の一部分を介護者が引き下げる事により、前記歯車23に回転力が伝達され、これにより、歯車23が回転して搬送装置4がレール3上を走行することになる。
尚、搬送装置4の駆動手段は、本実施形態においては手動で行っているが、例えば、電動式のものであってもよく、その駆動源については特に限定しない。
【0015】
また昇降装置5は図6のように、前記搬送装置4の上部側において前後左右4箇所に備えてある各回転ドラム25により、4本の吊下ベルト26が同時に上下し、さらに、この4本の各吊下ベルト26の下端側には、それぞれ固定フック(図示省略)が固着してあり、この各固定フックには方形の厚手の布27の四つ角部分がそれぞれに掛けられ、これにより、この布27の上に腰掛けた要介護者Qの持ち上げを可能にしている。さらに前記各回転ドラム25には、当該各回転ドラム25のそれぞれの下方位置に無端ベルト42を介し、対応する伝導ドラム41が設けてあり、この伝導ドラム41の各軸穴28には、着脱自在なハンドル29の軸部30を同時に差し込むことが可能であり、さらにこのハンドル29に介護者が回転力を伝達することで、前記各伝導ドラム41を同時に回転でき、これにより、伝導ドラム41の回転に連動して回転した前記各回転ドラム25によって巻き取り、あるいは巻き出された前記4本の各吊下ベルト26が同時に昇降装置5から上下するので、前記布27がハンドル29の回転によって自在に要介護者Qを昇降できる。
尚、前記伝導ドラム41は、介護者が昇降装置5の操作を行い易い高さ位置に操作部位を設けるものであり、例えば、回転ドラム25に直接回転力を付与してもよいので、必ずしも設置する必要はない。
【0016】
上記のように本実施形態の介護用ベッドを形成すると図1に示すように、ベッド形成部1に備えてあるハンドル17を回し、寝台2がフラットな状態から一方に引き寄せられて椅子型に可変することで、要介護者Qが寝姿勢から座姿勢にスムーズに移行でき、しかも、寝台2の第3、第4枠体9,10が折り畳まれて格納され、要介護者Qの前方位置に開放スペースSが形成され、この開放スペースSに車椅子18を置くことが可能となる。さらに前記寝台2の可変に伴い、座姿勢にある要介護者Qの腰部を昇降装置5から垂下する布27に乗せてそのまま昇降装置5を操作して持ち上げ、さらに、搬送装置4によりレール3に沿ってベッド形成部1の前方側に移送することで、要介護者Qを車椅子18のシート位置に向けてスムーズに運ぶことが可能となる。
尚、前記ベッド形成部1の下端に、キャスターを備えておけば、本介護ベッドの移動を一層スムーズに行うことが可能となる。
【0017】
また本実施形態の介護用ベッドには図7のように、折畳み式のテーブル31を備えることが可能であり、このテーブル31は、昇降装置5との取付部位となる垂下板32と、該垂下板32の下端部に丁番を介して回動可能に連結するフラットな台33と、から構成されており、この台33は前記垂下板32の下端に取付けられたストッパー34により、略水平な位置よりも下方に回動しないように規制されている。また、前記テーブル31は昇降装置5の使用時においては使用の妨げになる可能性があるので、前記昇降装置5に着脱可能に取り付けることが望ましい。
【0018】
さらに本介護用ベッドは図8に示すように、寝台2を構成する第2枠体8に簡易トイレ38用の開閉扉35を設けることも可能であり、この開閉扉35の構成は、ベッド形成部1を構成する側部フレーム22側にハンドル36が設けてあり、このハンドル36を回すことにより、開閉扉35の側部に当接しているボルト37が連動して出入りし、簡易トイレ38を使用する場合には、ボルト37が引く方向にハンドル36を回すことで、開閉扉35が下方に開くことになる。また簡易トイレ38の使用時には、開閉扉35の下方位置に前記簡易トイレ38を設置し、さらに図示はしていないが、前記開閉扉35を設けてある箇所との対応位置が刳り貫かれた形状の特殊な布団を使用する必要があり、この刳り貫かれた部分には、布団と同様の構造をなすクッションが着脱自在に嵌め込まれ、これにより簡易トイレ38未使用時には、通常の布団のように使用できる。
【0019】
次に、本発明の介護用ベッドの他の実施形態について説明する。
本介護用ベッドは図9(イ)(ロ)のように、上記において説明した手動式の介護用ベッドを構成する部位のうち、寝台2の各枠体7,8,9,10を屈曲し且つベッド形成部1の後方側に前記各枠体7,8,9,10を引き込むための牽引昇降装置12と、要介護者Qの搬送装置4並びに昇降装置5と、を電気的に作動するものであり、以下に本介護用ベッドの各構成部位についてそれぞれ詳細に説明する。
尚、本介護用ベッドを説明する際の方向の定義については、寝台2の上に要介護者Qが横たわる場合の足元側を前方、頭部側を後方とそれぞれ定めるものであり、これを基準に各方向について定めるものである。
【0020】
まず、本介護用ベッドの牽引昇降装置12について以下に説明する。
本実施形態の牽引昇降装置12は図10のように、寝台2を構成している前後に連接した第1、第2、第3、第4の各枠体7,8,9,10のうち、第1枠体7の後端側の左右位置に、上下に貫通した筒状ジョイント63,63が固定してあり、また、ベッド形成部1の牽引昇降装置12が固定してある側部支持フレーム20の左右には、間隔をあけて2本のシャフト64,64が立ててあり、当該各シャフト64,64に沿って前記各筒状ジョイント63,63がそれぞれ同時に上下摺動可能なように嵌められている。
【0021】
また、前記筒状ジョイント63,63を上下に摺動するための駆動手段の構成は、一方のシャフト64の下方位置にモータ66によって回転する駆動プーリー67が備わり、また、前記シャフト64の上方位置には従動プーリー68が備わっており、さらに、各プーリー67,68間には無端ベルト69が掛け渡されている。そして、この無端ベルト69の1カ所には、前記した各筒状ジョイント63,63のうちの前記シャフト64と対応箇所にある側の筒状ジョイント63が、該筒状ジョイント63の内側部に備わる連結部に固着しており、ベッド形成部1の縦フレーム21に設置してあるコントロールボックス78において、介護者が寝台2の状態を目視しながら、前記コントロールボックス78の操作パネルに備えてある昇降を制御する各操作ボタンを前記介護者が任意に押す事で、前記駆動プーリー67の回転方向を自在に可変でき、駆動プーリー67の回転に伴う無端ベルト69の上下への移動によって、前記各筒状ジョイント63,63がシャフト64,64にガイドされながら同時に上下動し、次いで、前記第1枠体7の後端側がシャフト64をガイドとして持ち上がって該第1枠体7が傾斜し、最終的に、各枠体7,8,9,10がベッド形成部1の牽引昇降装置12側に順次引き込まれていく。
【0022】
さらに前記牽引昇降装置12には、寝台2の第3枠体9と第4枠体10を牽引するためのシリンダ70が設けてある。このシリンダ70は、各シャフト64,64がそれぞれ立ててある側部支持フレーム20の長手方向の中間の下端面に、該シリンダ70の上部に設けてあるフランジ91を当接してボルトとナットによって締結してある。さらに、前記シリンダ70のピストンロッド71の先端には、第2枠体8と第3枠体9との連結シャフト72において垂下するコの字状の補助アーム73が備えてあり、該補助アーム73の略中間の位置に交差する状態で、T字状をなすジョイント部材74によって連結してある。
【0023】
そして、前記構成のシリンダ70を前記コントロールボックス78において、介護者が任意の操作ボタンを押す事により、前記シリンダ70におけるピストンロッド71が摺動し、図9(ロ)のように、第2枠体8の後端側に向けて第3枠体9と第4枠体10とが谷折りの状態で折り畳まれる。そして前記シリンダ70は、無端ベルト69の回転によって、前端側が徐々に持ち上がっていく第1枠体57が、要介護者Qの求める傾斜角度になった段階で、第3枠体9と第4枠体10をベッド形成部1における牽引昇降装置12側への引き込みを行い、最終的に寝台2がフラットな状態から椅子型に可変することとなる。
【0024】
また、各枠体7,8,9,10の変形時のガイド的な役割をなしている前記側部支持フレーム20のうちの一方の側部支持フレーム20は、ベッド形成部1の中間位置で切れており、さらに、第4枠体10における前記側部支持フレーム20によって支持されていない側には、滑車付きの脚92で支持されており、これにより、各枠体7,8,9,10の変形に支障なく、前記側部支持フレーム20の切れた部分が開放されて、車椅子の乗り入れがしやすくなる。
【0025】
次に、本実施形態の介護用ベッドの搬送装置4と昇降装置5について更に詳細に説明する。
前記搬送装置4は、第1駆動モーター75によって回転するタイヤ85,85がシャフト91を介して左右に備えてあり、ベッド形成部1上部の左右の各レール3,3上に前記各タイヤ85,85を乗せ、これにより搬送装置4を前記各レール3に沿って前後に走行する構成となっている。さらに、前記第1駆動モータ75の回転を制御する手段については、上記の牽引昇降装置を制御するコントロールボックス78において行われ、このコントロールボックス78では、介護者が操作パネル上の任意の操作ボタンを押すことで、搬送装置4側の受信装置に前記コントロールボックス78における送信信号が無線で送り込まれ、その送信信号を受信した前記搬送装置4は、各レール3,3に沿って前後方向への走行と、前記走行の停止との制御をおこなうことが可能となる。しかも、前記各レール3の搬送装置4の始点側端部と終点側端部には、赤外線センサ79,79がそれぞれ設置してあり、この各赤外線センサ79,79の検知によって、前記搬送装置4によるレール3上における一定位置よりも更に前後への走行を強制的に停止し、これにより、前記レール3において万一の搬送装置4の脱落を防止する。
【0026】
また昇降装置5は図10と図11のように、前記搬送装置4の第1駆動モータ75の左隣の僅かに後方側に設置される第2駆動モータ76と、前記第2駆動モータ76の左隣の僅かに後方側の位置に設置される第3駆動モータ77とが、駆動源となっており、さらに前記第2駆動モータ76と第3駆動モータ77には、シャフト86,87を介して左右に2箇所ずつ、計4箇所に回転ドラム83がそれぞれ設けてある。そして前記各回転ドラム83には、吊下ベルト26がそれぞれ垂下しており、さらに各吊下ベルト26,26の下端には、要介護者Qの臀部と膝を乗せるための厚布88,88の両端がそれぞれに結んである。
【0027】
そして、前記第2駆動モータ76の各回転ドラム83において、巻き取り可能に垂下する2本の吊下ベルト26,26の下端部が同時に上下して、要介護者Qの腰部の辺りを保持し、また、第3駆動モータ77の回転ドラム83,83において垂下する吊下ベルト26,26についても、第2駆動モータ76と同様に2本同時に上下し、要介護者Qの膝の辺りを保持している。これにより、第2、第3の各駆動モータ76,77において要介護者Qを自在に昇降できる構成となっている。
尚、前記各駆動モータ75,76,77は独立して個々に動かせるので、要介護者Q及び介護者が吊り下げた身体や足を上げ下げでき、これにより、例えば起立運動等ができるために、自立心をもたせた状態でリハビリすることができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、寝台がフラットな状態から椅子型に可変するとともに、要介護者の居る場所の近くに車椅子を近づけることが可能となるので、要介護者を車椅子にスムーズに移動でき、さらに要介護者の身体への負担、ならびに介護者の労力の負担を軽減するために大きく寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の介護用ベッドの使用を示す縦断面した側面図である。
【図2】本発明の介護用ベッドのベッド形成部の使用状態を示す説明図である。
【図3】同じく、本発明の介護用ベッドのベッド形成部の使用状態を示す説明図である。
【図4】図2中Aを拡大して示す一部を切欠した側面図である。
【図5】本発明のレール及び搬送装置、昇降装置を示す縦断面図である。
【図6】本発明のレール及び搬送装置、昇降装置の使用状態を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図8】図7中Bを拡大して示す縦断面図である。
【図9】(イ)(ロ)本発明の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図10】図9(イ)のC−C線縦断面図である。
【図11】図9(イ)のD−D線横断面図である。
【符号の説明】
1 ベッド形成部
2 寝台
3 レール
4 搬送装置(搬送手段)
5 昇降装置
12 牽引昇降装置
14 丁番(可変部材)
18 車椅子
Q 要介護者
S 設置スペース
【発明の属する技術分野】
本発明はおもに身障者や高齢者などの要介護者が使用する介護用ベッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、日本国においては高齢化社会を迎えつつあり、このような傾向を踏まえ、介護に関する商品が多数発表されており、その一つに介護用ベッドがあった。
【0003】
【発明が解決しようする課題】
しかしながら、この種のベッドの使用者は、主として要介護者が使用するものであるから、一般的に車椅子と併用して使用する場合が多く、例えば、前記要介護者をベッドから車椅子に乗せる場合、前記ベッドにおける要介護者の居る位置に接近させることができず、これにより、要介護者の移送に費やす時間が必然的に長くなる為、要介護者の身体と介護者の負担が増大する問題点があった。
【0004】
本発明は、ベッドとしての使用が快適であるのは勿論、要介護者を車椅子に容易に移動する事が可能な介護用ベッドを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、要介護者の寝台を備えるベッド形成部と、このベッド形成部の上方位置に設置したレールに沿って移動可能な前記要介護者の搬送手段と、から構成し、前記寝台は、前後に分割され且つ可変部材を介して折曲げ可能に連結してあり、さらに、この寝台の要介護者の居る位置を基準とする後方側を牽引昇降装置に連結設置し、この牽引昇降装置の起動によって、寝台をベッド形成部の後方側(要介護者の頭部側)に引き寄せながら、要介護者が寝姿勢をおこなえるフラットな状態から屈曲して座姿勢をおこなえる椅子型に可変可能であるとともに、前記ベッド形成部の前方位置(要介護者の足下側)に、車椅子の設置スペースを形成し、前記搬送手段は、前記設置スペースの上方位置まで移動可能であるとともに、要介護者の持ち上げが可能な昇降装置が設けてあることを特徴とする。
【0006】
ここでベッド形成部の前後とは、要介護者の居る位置を基準にするものである。また寝台とは、要介護者がベッド形成部において生活を行う領域をすべて含んだ概念である。また椅子型とは、要介護者が座姿勢をとった際の背もたれの部位と腰掛ける部位とを保有する形態である。さらに可変部材とは、寝台をフラットな状態から椅子型に可変できるものであればよく、具体的には、丁番やラチェット装置などが挙げられる。また、搬送手段とは、要介護者を寝台から前方位置に移送可能な手段であればよい。
【0007】
このように形成すると、寝台のフラットな状態から椅子型への可変により、寝姿勢にある要介護者を座姿勢となるように容易に身体を起こせるとともに、前記寝台が椅子型に可変したことにより、この寝台全体がベッド形成部の後方側に引き寄せられ、要介護者の居る位置を基準とする前方側に車椅子を設置できるスペースが開放され、これにより、要介護者の居る位置と近い場所に車椅子を接近できる。そして、要介護者を昇降装置の使用により寝台から持ち上げ、さらに、持ち上がった状態にある要介護者を搬送手段により、レールに沿って前方に移動することで、要介護者の身体に大きな負担を与えず、しかも、介護者側の負担も軽減した形で前記要介護者を容易に車椅子に乗せることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。
本介護用ベッドは図1に示すように、要介護者Qの寝台2をフラットな状態から屈曲して椅子型に可変可能なベッド形成部1と、このベッド形成部1の上部位置に支持されたレール3に沿って移動する搬送装置4と、この搬送装置4と一体化され且つ吊下ベルト26により要介護者Qの持ち上げが可能な昇降装置5と、から構成されている。
尚、本実施形態では、要介護者Qが寝姿勢にある場合の足下側を前方向とし、この位置を基準に以下の方向を順次定めるものである。
【0009】
前記ベッド形成部1は、幅が均一で方形に組み上げ且つ上面が板張りのスチール製の枠体7,8,9,10を縦列に4体並べるとともに各枠体7,8,9,10を丁番14によりそれぞれ屈曲可能に連結した寝台2と、この寝台2を可変可能に支持する側部支持フレーム20と、前記寝台2を側部支持フレーム20の一方側に引き寄せるための牽引昇降装置12と、から構成されている。
【0010】
そして、前記寝台2及び可変形態を中心にベッド形成部1の構成を更に詳細に説明する。
まず図2に示すように、この寝台2を構成している4つの各枠体7,8,9,10を第1、第2、第3、第4の各枠体7,8,9,10とすると、この寝台2を可変してフラットな状態から椅子型に変形する場合、第1枠体7は要介護者Qが背もたれとして使用可能なように最も面積が広く形成されており、また、第2枠体8は要介護者Qが腰掛ける部位となり、さらに第3、第4の各枠体9,10は、折り畳まれて牽引昇降装置12側に折れ曲がって格納され、最終的に前記寝台2が椅子型に可変することになる。また、寝台2の可変を一層スムーズに行うために、各枠体7,8,9,10の左右の側部位置には、それぞれ車輪19が設けてあり、ベッド形成部1の側部支持フレーム20の上面側に、各車輪19がスライド可能に掛る状態で前記寝台2が支持されている。
尚、第3、第4の各枠体9,10は、寝台2をフラットな状態で使用する場合には、不意な折り曲がりを防止するために各枠体9,10間に支持棒40が架け渡してある。
【0011】
さらに、前記寝台2が上記のような可変を行うには図3のように、第1と第2の各枠体7,8を谷折れするように連結し、さらに、該第2と第3の各枠体8,9を山折れ、該第3と第4の各枠体9,10を谷折れするように、順次丁番14の回動方向を適応させて連結する。そして、このように連結した各枠体7,8,9,10のうち、第1枠体7の牽引昇降装置12の設置側の端部には、上下に自在な角度調整が可能な丁番11を介してナット15を備えており、さらにこのナット15は、ベッド形成部1の後部側から起立するボルトシャフト16に螺合されている。
【0012】
そして前記ボルトシャフト16は図4のように、下端部にかさ歯車43を備えており、一方、ベッド形成部1に備えたハンドル17の軸の先端部においても、かさ歯車44が備えてあり、各歯車43,44同士が噛合している。これにより、介護者が前記ハンドル17を回転することで、ハンドル17の回転に連動してボルトシャフト16が軸回転し、このボルトシャフト16の回転に伴い、前記ナット15が該ボルトシャフト16に沿って上昇し、さらにナット15の上昇に伴って前記第1枠体7の後部側が丁番11を回動しながら次第に引き上げられ、しかも各枠体7,8,9,10がベッド形成部1の後方側に順次引き寄せられる。
【0013】
そして、前記寝台2の第1枠体7が前記ボルトシャフト16に沿って上昇することで、第1枠体7の一方側が持ち上がり徐々に第1枠体7が傾斜していき、また第2枠体は車輪19により、前後に2点で側部支持フレーム20に支持されているので、水平な角度を保ったまま側部支持フレーム20の上面に沿ってスライドし、さらに、第3、第4の各枠体9,10は、第3枠体9が後部側、第4枠体10が前部側の一箇所のみ、それぞれ車輪19により側部支持フレーム20に支持されているので、前記支持棒40の取外しにより第3、第4の各枠体が谷折りに屈曲し、寝台2が引き寄せられるベッド形成部1の後方側に折畳まれて格納される。最終的に前記寝台2が椅子型に可変し、これにより、ベッド形成部1の前方に車椅子18の設置が可能な開放した設置スペースSを形成することになる。また、前記ハンドル17を逆回転することで、椅子型にある寝台2の第1、第2枠体7,8がフラットになり、さらに、第3、第4枠体9,10間に支持棒40を再び架け渡すことで、寝台2が元のフラットな状態に戻ることになる。このように、介護者の情況に応じて、ベッドをフラットな状態と椅子型に繰り返し自在に変えることができる。
尚、寝台2の可変に伴って布団も変形するので、本実施形態では、足下側の布団39のみが離脱可能となる特殊な布団を使用している。
【0014】
次に、レール3及び該レール3に沿って移動する搬送装置4並びに該搬送装置4に支持される昇降装置5の構成を図5に基づいて更に詳細に説明する。
まず前記レール3は、側部支持フレーム20の上方位置において縦フレーム21を介在して左右に2本ずつ、ベッド形成部1の前後方向に架け渡されている。また、前記各レール3の上面側には全長に亘りラック22が延設するものであり、さらにこの各レール3には、前記搬送装置4に備わる歯車23が噛み合い、搬送装置4が前記レール3上を噛合する形で走行する。さらに搬送装置4を駆動する手段は、この搬送装置4の歯車23に無端の一方が重みを伴って掛け合わされ且つ他方側が垂下するチェーンベルト24によっておこなわれ、このチェーンベルト24の一部分を介護者が引き下げる事により、前記歯車23に回転力が伝達され、これにより、歯車23が回転して搬送装置4がレール3上を走行することになる。
尚、搬送装置4の駆動手段は、本実施形態においては手動で行っているが、例えば、電動式のものであってもよく、その駆動源については特に限定しない。
【0015】
また昇降装置5は図6のように、前記搬送装置4の上部側において前後左右4箇所に備えてある各回転ドラム25により、4本の吊下ベルト26が同時に上下し、さらに、この4本の各吊下ベルト26の下端側には、それぞれ固定フック(図示省略)が固着してあり、この各固定フックには方形の厚手の布27の四つ角部分がそれぞれに掛けられ、これにより、この布27の上に腰掛けた要介護者Qの持ち上げを可能にしている。さらに前記各回転ドラム25には、当該各回転ドラム25のそれぞれの下方位置に無端ベルト42を介し、対応する伝導ドラム41が設けてあり、この伝導ドラム41の各軸穴28には、着脱自在なハンドル29の軸部30を同時に差し込むことが可能であり、さらにこのハンドル29に介護者が回転力を伝達することで、前記各伝導ドラム41を同時に回転でき、これにより、伝導ドラム41の回転に連動して回転した前記各回転ドラム25によって巻き取り、あるいは巻き出された前記4本の各吊下ベルト26が同時に昇降装置5から上下するので、前記布27がハンドル29の回転によって自在に要介護者Qを昇降できる。
尚、前記伝導ドラム41は、介護者が昇降装置5の操作を行い易い高さ位置に操作部位を設けるものであり、例えば、回転ドラム25に直接回転力を付与してもよいので、必ずしも設置する必要はない。
【0016】
上記のように本実施形態の介護用ベッドを形成すると図1に示すように、ベッド形成部1に備えてあるハンドル17を回し、寝台2がフラットな状態から一方に引き寄せられて椅子型に可変することで、要介護者Qが寝姿勢から座姿勢にスムーズに移行でき、しかも、寝台2の第3、第4枠体9,10が折り畳まれて格納され、要介護者Qの前方位置に開放スペースSが形成され、この開放スペースSに車椅子18を置くことが可能となる。さらに前記寝台2の可変に伴い、座姿勢にある要介護者Qの腰部を昇降装置5から垂下する布27に乗せてそのまま昇降装置5を操作して持ち上げ、さらに、搬送装置4によりレール3に沿ってベッド形成部1の前方側に移送することで、要介護者Qを車椅子18のシート位置に向けてスムーズに運ぶことが可能となる。
尚、前記ベッド形成部1の下端に、キャスターを備えておけば、本介護ベッドの移動を一層スムーズに行うことが可能となる。
【0017】
また本実施形態の介護用ベッドには図7のように、折畳み式のテーブル31を備えることが可能であり、このテーブル31は、昇降装置5との取付部位となる垂下板32と、該垂下板32の下端部に丁番を介して回動可能に連結するフラットな台33と、から構成されており、この台33は前記垂下板32の下端に取付けられたストッパー34により、略水平な位置よりも下方に回動しないように規制されている。また、前記テーブル31は昇降装置5の使用時においては使用の妨げになる可能性があるので、前記昇降装置5に着脱可能に取り付けることが望ましい。
【0018】
さらに本介護用ベッドは図8に示すように、寝台2を構成する第2枠体8に簡易トイレ38用の開閉扉35を設けることも可能であり、この開閉扉35の構成は、ベッド形成部1を構成する側部フレーム22側にハンドル36が設けてあり、このハンドル36を回すことにより、開閉扉35の側部に当接しているボルト37が連動して出入りし、簡易トイレ38を使用する場合には、ボルト37が引く方向にハンドル36を回すことで、開閉扉35が下方に開くことになる。また簡易トイレ38の使用時には、開閉扉35の下方位置に前記簡易トイレ38を設置し、さらに図示はしていないが、前記開閉扉35を設けてある箇所との対応位置が刳り貫かれた形状の特殊な布団を使用する必要があり、この刳り貫かれた部分には、布団と同様の構造をなすクッションが着脱自在に嵌め込まれ、これにより簡易トイレ38未使用時には、通常の布団のように使用できる。
【0019】
次に、本発明の介護用ベッドの他の実施形態について説明する。
本介護用ベッドは図9(イ)(ロ)のように、上記において説明した手動式の介護用ベッドを構成する部位のうち、寝台2の各枠体7,8,9,10を屈曲し且つベッド形成部1の後方側に前記各枠体7,8,9,10を引き込むための牽引昇降装置12と、要介護者Qの搬送装置4並びに昇降装置5と、を電気的に作動するものであり、以下に本介護用ベッドの各構成部位についてそれぞれ詳細に説明する。
尚、本介護用ベッドを説明する際の方向の定義については、寝台2の上に要介護者Qが横たわる場合の足元側を前方、頭部側を後方とそれぞれ定めるものであり、これを基準に各方向について定めるものである。
【0020】
まず、本介護用ベッドの牽引昇降装置12について以下に説明する。
本実施形態の牽引昇降装置12は図10のように、寝台2を構成している前後に連接した第1、第2、第3、第4の各枠体7,8,9,10のうち、第1枠体7の後端側の左右位置に、上下に貫通した筒状ジョイント63,63が固定してあり、また、ベッド形成部1の牽引昇降装置12が固定してある側部支持フレーム20の左右には、間隔をあけて2本のシャフト64,64が立ててあり、当該各シャフト64,64に沿って前記各筒状ジョイント63,63がそれぞれ同時に上下摺動可能なように嵌められている。
【0021】
また、前記筒状ジョイント63,63を上下に摺動するための駆動手段の構成は、一方のシャフト64の下方位置にモータ66によって回転する駆動プーリー67が備わり、また、前記シャフト64の上方位置には従動プーリー68が備わっており、さらに、各プーリー67,68間には無端ベルト69が掛け渡されている。そして、この無端ベルト69の1カ所には、前記した各筒状ジョイント63,63のうちの前記シャフト64と対応箇所にある側の筒状ジョイント63が、該筒状ジョイント63の内側部に備わる連結部に固着しており、ベッド形成部1の縦フレーム21に設置してあるコントロールボックス78において、介護者が寝台2の状態を目視しながら、前記コントロールボックス78の操作パネルに備えてある昇降を制御する各操作ボタンを前記介護者が任意に押す事で、前記駆動プーリー67の回転方向を自在に可変でき、駆動プーリー67の回転に伴う無端ベルト69の上下への移動によって、前記各筒状ジョイント63,63がシャフト64,64にガイドされながら同時に上下動し、次いで、前記第1枠体7の後端側がシャフト64をガイドとして持ち上がって該第1枠体7が傾斜し、最終的に、各枠体7,8,9,10がベッド形成部1の牽引昇降装置12側に順次引き込まれていく。
【0022】
さらに前記牽引昇降装置12には、寝台2の第3枠体9と第4枠体10を牽引するためのシリンダ70が設けてある。このシリンダ70は、各シャフト64,64がそれぞれ立ててある側部支持フレーム20の長手方向の中間の下端面に、該シリンダ70の上部に設けてあるフランジ91を当接してボルトとナットによって締結してある。さらに、前記シリンダ70のピストンロッド71の先端には、第2枠体8と第3枠体9との連結シャフト72において垂下するコの字状の補助アーム73が備えてあり、該補助アーム73の略中間の位置に交差する状態で、T字状をなすジョイント部材74によって連結してある。
【0023】
そして、前記構成のシリンダ70を前記コントロールボックス78において、介護者が任意の操作ボタンを押す事により、前記シリンダ70におけるピストンロッド71が摺動し、図9(ロ)のように、第2枠体8の後端側に向けて第3枠体9と第4枠体10とが谷折りの状態で折り畳まれる。そして前記シリンダ70は、無端ベルト69の回転によって、前端側が徐々に持ち上がっていく第1枠体57が、要介護者Qの求める傾斜角度になった段階で、第3枠体9と第4枠体10をベッド形成部1における牽引昇降装置12側への引き込みを行い、最終的に寝台2がフラットな状態から椅子型に可変することとなる。
【0024】
また、各枠体7,8,9,10の変形時のガイド的な役割をなしている前記側部支持フレーム20のうちの一方の側部支持フレーム20は、ベッド形成部1の中間位置で切れており、さらに、第4枠体10における前記側部支持フレーム20によって支持されていない側には、滑車付きの脚92で支持されており、これにより、各枠体7,8,9,10の変形に支障なく、前記側部支持フレーム20の切れた部分が開放されて、車椅子の乗り入れがしやすくなる。
【0025】
次に、本実施形態の介護用ベッドの搬送装置4と昇降装置5について更に詳細に説明する。
前記搬送装置4は、第1駆動モーター75によって回転するタイヤ85,85がシャフト91を介して左右に備えてあり、ベッド形成部1上部の左右の各レール3,3上に前記各タイヤ85,85を乗せ、これにより搬送装置4を前記各レール3に沿って前後に走行する構成となっている。さらに、前記第1駆動モータ75の回転を制御する手段については、上記の牽引昇降装置を制御するコントロールボックス78において行われ、このコントロールボックス78では、介護者が操作パネル上の任意の操作ボタンを押すことで、搬送装置4側の受信装置に前記コントロールボックス78における送信信号が無線で送り込まれ、その送信信号を受信した前記搬送装置4は、各レール3,3に沿って前後方向への走行と、前記走行の停止との制御をおこなうことが可能となる。しかも、前記各レール3の搬送装置4の始点側端部と終点側端部には、赤外線センサ79,79がそれぞれ設置してあり、この各赤外線センサ79,79の検知によって、前記搬送装置4によるレール3上における一定位置よりも更に前後への走行を強制的に停止し、これにより、前記レール3において万一の搬送装置4の脱落を防止する。
【0026】
また昇降装置5は図10と図11のように、前記搬送装置4の第1駆動モータ75の左隣の僅かに後方側に設置される第2駆動モータ76と、前記第2駆動モータ76の左隣の僅かに後方側の位置に設置される第3駆動モータ77とが、駆動源となっており、さらに前記第2駆動モータ76と第3駆動モータ77には、シャフト86,87を介して左右に2箇所ずつ、計4箇所に回転ドラム83がそれぞれ設けてある。そして前記各回転ドラム83には、吊下ベルト26がそれぞれ垂下しており、さらに各吊下ベルト26,26の下端には、要介護者Qの臀部と膝を乗せるための厚布88,88の両端がそれぞれに結んである。
【0027】
そして、前記第2駆動モータ76の各回転ドラム83において、巻き取り可能に垂下する2本の吊下ベルト26,26の下端部が同時に上下して、要介護者Qの腰部の辺りを保持し、また、第3駆動モータ77の回転ドラム83,83において垂下する吊下ベルト26,26についても、第2駆動モータ76と同様に2本同時に上下し、要介護者Qの膝の辺りを保持している。これにより、第2、第3の各駆動モータ76,77において要介護者Qを自在に昇降できる構成となっている。
尚、前記各駆動モータ75,76,77は独立して個々に動かせるので、要介護者Q及び介護者が吊り下げた身体や足を上げ下げでき、これにより、例えば起立運動等ができるために、自立心をもたせた状態でリハビリすることができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、寝台がフラットな状態から椅子型に可変するとともに、要介護者の居る場所の近くに車椅子を近づけることが可能となるので、要介護者を車椅子にスムーズに移動でき、さらに要介護者の身体への負担、ならびに介護者の労力の負担を軽減するために大きく寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の介護用ベッドの使用を示す縦断面した側面図である。
【図2】本発明の介護用ベッドのベッド形成部の使用状態を示す説明図である。
【図3】同じく、本発明の介護用ベッドのベッド形成部の使用状態を示す説明図である。
【図4】図2中Aを拡大して示す一部を切欠した側面図である。
【図5】本発明のレール及び搬送装置、昇降装置を示す縦断面図である。
【図6】本発明のレール及び搬送装置、昇降装置の使用状態を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図8】図7中Bを拡大して示す縦断面図である。
【図9】(イ)(ロ)本発明の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図10】図9(イ)のC−C線縦断面図である。
【図11】図9(イ)のD−D線横断面図である。
【符号の説明】
1 ベッド形成部
2 寝台
3 レール
4 搬送装置(搬送手段)
5 昇降装置
12 牽引昇降装置
14 丁番(可変部材)
18 車椅子
Q 要介護者
S 設置スペース
Claims (1)
- 要介護者(Q)の寝台(2)を備えるベッド形成部(1)と、このベッド形成部(1)の上方位置に設置したレール(3)に沿って移動可能な前記要介護者(Q)の搬送手段(4)と、から構成し、
前記寝台(2)は、前後に分割され且つ可変部材(14)を介して折曲げ可能に連結してあり、さらに、この寝台(2)の要介護者(Q)の居る位置を基準とする後方側を牽引昇降装置(12)に連結設置し、この牽引昇降装置(12)の起動によって、寝台(2)をベッド形成部(1)の後方側に引き寄せながら、要介護者(Q)が寝姿勢をおこなえるフラットな状態から屈曲して座姿勢をおこなえる椅子型に可変可能であるとともに、前記ベッド形成部(1)の前方位置に、車椅子(18)の設置スペース(S)を形成し、
前記搬送手段(4)は、前記設置スペース(S)の上方位置まで移動可能であるとともに、要介護者(Q)の持ち上げが可能な昇降装置(5)が設けてあることを特徴とする介護用ベッド。
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