JP3544962B2 - 改良された結合アッセイ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含んでなる結合アッセイによるサンプル中のアナライトの検出又は測定方法に関する。より具体的には、本発明は、遊離形態である前記結合対のハプテン又はハプテン様分子を含むプロセス及び試験キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
結合アッセイは、現在では研究の場や臨床診断の場において広く用いられている。結合アッセイの利用は約30年前に始まった(Engvall E.及びPerlmann P. (1971), Immunochemistry 8, 871; van Weemen, B.K.及びSchuures A.H.W.M. (1971), FEBS letters 15, 232)。それ以来、結合アッセイは大きく進歩しており、特異的結合アッセイを実施するための方法並びにその実際の応用は、当業者にとっては一般的な知識となった。関連する教科書にまとめられた方法及び手順は、本明細書中に参照により組み入れられ、そのほんの数例として、免疫学的検出方法を扱う、P. Tijssen (1992) Elsevier Science Publishers B.V.による「酵素イムノアッセイの実際と理論(Practice and theory of enzyme immunoassays)」及びColowick S.P., Caplan N.O.(編), Academic Pressの「酵素学における手法(Methods in Enzymology)」の種々の版が特に挙げられる。
【0003】
結合アッセイは、通常、用いられる検出の様式によって分類される。すなわち、酵素イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、蛍光偏光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、比濁分析アッセイなどである。一方、結合アッセイは、用いられるアッセイ手順によっても分類することができる。かかる手順のよく知られた例は、競合アッセイ形式、サンドイッチ型アッセイ形式並びに沈降又は凝集の原理に基づくアッセイである。
【0004】
大部分の結合アッセイでは、少なくとも1種の特異的結合対を直接的若しくは間接的に、担体に被覆するか又は結合させることが必要である。多くの場合、かかる担体は固相材料、例えば、マイクロタイタープレート、ラテックス粒子若しくはガラス粒子、又はテストストリップなどであるが、これらは最も著名なものを挙げたに過ぎない。異なる生体分子が全く異なる物理化学的性質を示すことは、よく知られた現象である。そのように異なる性質により、担体材料への該分子の結合又は被覆には、全く異なる条件が必要となり得る。
【0005】
特異的結合対のメンバーを担体に間接的に結合させるために、ハプテン又はハプテン様結合対が、非常に有利に用いられてきた。ハプテン様の非免疫学的な結合対の最も知られた例は、ビオチン/アビジン系又はビオチン/ストレプトアビジン系である。ビオチン−(ストレプト)アビジン系の特徴及び利点は、例えば、米国特許第4,298,685号(Parikhら); Green, Methods in Enzymology (1990) 184:51−67; Greenら、Biochem. J.(1971) 125:781−791; Weberら、Science (1989) 243:85−88; Morganら、Polym. Sci., Part A: Polm. Chem. (1994) 32:1331; Akiyama, Protein Expression Purif. (1992) 3:427; Nutikka Clin. Biochem. (1991) 24:469−473に記載又は開示されている。
【0006】
米国特許出願第6,096,508号は、ビオチン−アビジン/ストレプトアビジンの相互作用に基づくナイロンメンブランを用いた核酸ハイブリダイゼーションをベースとした検出用アッセイにおいて、非特異的結合によって生じたバックグラウンドシグナルに起因して直面する問題に関する。1回以上の洗浄工程を含む不均一アッセイ手順では、バックグラウンドシグナルの低減が認められる。遊離ビオチンが1種以上の洗浄バッファーに添加される。
【0007】
Enzymun(登録商標)及びELECSYS(登録商標)の商品名でRoche Diagnostics GmbHにより市販されているような製品は全て、ストレプトアビジン/ビオチン系によってもたらされる大きな利点に基づくものである。
【0008】
他の基準もあるが、アッセイ感度及びアッセイ精度は、結合アッセイにとって非常に重要な品質基準である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
改良されたアッセイ法及び試験キットを提供するために、感度及び/又は精度に関して、ハプテン又はハプテン様結合対の利用に基づくアッセイ法を改良し得るかどうか研究することが本発明の課題であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
驚くべきことに、少なくとも1のインキュベーション工程中に遊離形態のハプテン又はハプテン様分子を添加するか又は存在させることにより、少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む、サンプル中のアナライトを検出又は測定する特異的結合アッセイに基づく方法を改良し得ることが見出され、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、ハプテン又はハプテン様結合対を利用する結合アッセイにおいて遊離ハプテン又はハプテン様分子を添加するか、又は存在させることによって引き起こされる明白で驚くべき効果に基づくものである。
【0012】
具体的には、少なくとも1つの反応混合物又はインキュベーション工程中に、遊離ハプテン又はハプテン様分子を添加するか、又は存在させることにより、アナライトの検出又は測定方法を改良し得ることが見出され、証明された。この改良された方法により、より良い感度及び/又は精度を示すアッセイを行うことができる。
【0013】
好ましい実施形態において、本発明は、改良されたアッセイ手法における遊離ハプテン又はハプテン様分子の有利な使用に関する。
【0014】
遊離形態のハプテン又はハプテン様分子を含有する少なくとも1種の試薬を含む、ハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対の利用に基づいてサンプル中のアナライトを検出又は測定するアッセイを行うための、試験キットも開示されるが、これは本発明のさらなる実施形態を示すものである。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(10)を提供する。
【0016】
(1)少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含んでなる特異的結合アッセイによりサンプル中のアナライトを検出又は測定する方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、前記方法、
(2)前記ハプテン/抗ハプテン系が、ジゴキシン又はジゴキシゲニンと、それぞれ抗ジゴキシン抗体又は抗ジゴキシゲニン抗体とを含むことを特徴とする、上記(1)に記載の方法、
(3)前記ハプテン様結合対が、ビオチンとアビジン及び/又はストレプトアビジンを含むことを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の方法、
(4)前記ハプテン様結合対が、ビオシチンとアビジン及び/又はストレプトアビジンを含むことを特徴とする、上記(1)〜(3)に記載の方法、
(5)少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む、サンプル中のアナライトの検出又は測定に用いる特異的結合アッセイの感度を向上させる方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、前記方法、(6)少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む、サンプル中のアナライトの検出又は測定に用いる特異的結合アッセイの精度を向上させる方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、前記方法、(7)前記方法が均一イムノアッセイであることを特徴とする、上記(1)〜(6)に記載の方法、
(8)前記方法において、被覆されたラテックス粒子を用いることを特徴とする、上記(1)〜(7)に記載の方法、
(9)ハプテン化されたアッセイ成分を反応混合物に添加する前に、前記遊離ハプテン又はハプテン様分子を該反応混合物中に存在させることを特徴とする、上記(1)〜(7)に記載の方法、及び
(10)ハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を利用してサンプル中のアナライトを検出又は測定するアッセイを行うためのアッセイキットであって、遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を含有する少なくとも1種の試薬を含むことを特徴とする、前記キット。
【0017】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態において、本発明は、少なくとも1のインキュベーション工程において、遊離形態のハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含んでなる特異的結合アッセイによりサンプル中のアナライトを検出又は測定する方法に関する。
【0018】
一部のアナライト(例えば、特異的活性を有する酵素)は、例えば臨床的/化学的手法を用いて直接的に検出又は測定することができるが、他の多くのアナライトは、かかるアナライトの結合パートナーを用いる方法において検出又は測定される。本発明の意図するアナライトは、特異的結合パートナー、例えば抗体、核酸、レクチン、レセプターなどに結合し得る任意の分子でありうる。特定の場合には、かかるアナライトを測定するために設計されたアッセイにおいて、調べるべきアナライトの性質を模倣することができるアナライト類似体(例えば、より大きな分子の単一エピトープに対応する小さいペプチド配列)を用いるのが好ましい。免疫学的な用語においてそのようなエピトープは、ハプテンに対応する。明確に区別するために、アナライト特異的結合パートナーの結合に直接的に関与するアナライト関連ハプテンは、本発明の範囲内に入らないことを理解しなければならない。
【0019】
本発明に係る好ましいアナライトとしては、ペプチド、タンパク質、改変タンパク質、多糖類、核酸、ホルモン、並びに薬物、代謝物などの小分子が挙げられる。代表的なアナライトとしては、限定されるものではないが、モルヒネ、コデイン、ヘロイン、デキストロメトルファンなどのアルカロイド、それらの誘導体及び代謝物、コカイン及びエクゴニンベンジルを含むコカインアルカロイド、それらの誘導体及び代謝物、カンナビノール及びテトラヒドロカンナビノールを含むマリファナに由来する薬物、ゲンタマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシンなどのアミノグリコシドが挙げられる。
【0020】
このような結合アッセイは、好ましくは1種又は数種のアナライト分子を検査時に特異的に検出するように設計される。
【0021】
結合アッセイは、通常、アナライト又はその類似体と、該アナライトの結合パートナーとを含んでなる少なくとも1種の結合対に基づく。かかる結合対の理論上及び実際上のメンバーは当業者には周知であり、その最も著名なものは、核酸結合対並びに糖/レクチン、ハプテン/抗体又は抗原/抗体などの結合対の使用である。
【0022】
抗体の使用に基づく結合アッセイは広く用いられており、本発明の好ましい実施形態である。使用される免疫学的試薬に基づく結合アッセイは、通常、検出の様式によって、又は用いられるアッセイ手順によって分類される。洗浄工程が該手順に含まれるかどうか(いわゆる不均一アッセイ)又は反応及び検出が洗浄工程を経ずに行われるかどうか(いわゆる均一アッセイ)によって、さらに区別される。上記の主要な用語、手順及び装置は全て、当該技術分野における教科書、例えばTajssen(上掲)及び「酵素学における手法(Methods in Enzymology)」、(上掲)によって、当業者には公知であり、これらは参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0023】
ハプテンは、それ自身は免疫原性を持たない小分子である。しかし、適当な担体分子に結合させれば、そのようなコンジュゲートを用いて該コンジュゲートに免疫原性を持たせ、適当な免疫応答を引き出させることができる。種々のハプテンに対するポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体が当該技術分野において周知である。よく知られたハプテンとしては、例えばフルオレセインジニトロフェニルリン酸(DNP)、ステロイドホルモン、多くの低分子量薬物、ジゴキシン及びジゴキシゲニンが挙げられる。
【0024】
用語「ハプテン様分子」は、非免疫学的結合対の一部である小分子を記述するのに用いられる。かかる結合対のよく知られた例としては、特に酵素の補欠分子族とその酵素、基質の誘導体と対応する酵素、ビオチン/アビジン、又はビオチン/ストレプトアビジンが挙げられる。かかるハプテン様分子は、好ましくは10kD未満、より好ましくは5 kD未満、さらに好ましくは2 kD未満、最も好ましくは1 kD未満の分子量であることを特徴とする。ハプテン又はハプテン様分子を含み、かなり高い親和性を示す結合対が好ましい。かかる親和性は、少なくとも10−9 M/l、より好ましくは10−10 M/l、最も好ましくは10−11 M/l以上であるのが好ましい。
【0025】
本発明の意図するハプテン又はハプテン様分子は、検査の際にはアナライトと関連がない。というよりは、それらは、結合アッセイの少なくとも1種のアナライト特異的成分(例えば、アナライトに結合する抗体、又はレセプターに結合するアナライト、例えば抗体)と、より一般的に適用可能なアッセイ成分との結合を間接的に仲介するのに用いられる。このようなより一般的に適用可能なアッセイ成分としては、例えば、標識された検出試薬(例えば、標識された抗ハプテン抗体)、又は前記ハプテン若しくはハプテン様分子の結合パートナーで被覆された固相若しくは担体材料が挙げられる。
【0026】
多くのアッセイ手順が当該技術分野で公知であり、それらにおいて、少なくとも1種のアナライト特異的成分が、ハプテン又はハプテン様分子、例えばビオチン化又はジゴキシゲニン化された抗体などに結合又は連結される。より一般的な用法では、用語「ハプテン化されたアナライト特異的成分」は、ハプテン又はハプテン様分子がアナライト特異的成分に共有結合により連結されていることを示すために用いられる。
【0027】
ハプテン又はハプテン様分子に基づく結合対は、かかる結合対に基づく方法に依存する特異的結合アッセイを行う場合、様々な目的に用いることができる。ハプテン又はハプテン様結合対は、検出可能な標識を、かかる結合アッセイの成分の1つ、例えばアナライト又はそれに対する抗体に結合させるのに用いられるのが好ましい。最も好ましくは、ハプテン又はハプテン様結合対は、結合アッセイの成分の少なくとも1つを、該ハプテン又はハプテン様分子の結合パートナーを含む固相又は担体上に間接的に結合させるのに用いられる。固相材料としては、特にマイクロタイタープレートの表面、チューブ、又は種々の高分子としての性質を有するビーズ(例えば、ガラス、ラテックス若しくはプラスチック材料)、例えば、テストストリップ製造用の固相化学分析機器に用いるメンブランが挙げられる。担体材料としては、特に高分子の生体分子、例えば、炭水化物、(合成)ポリペプチド、核酸及び核酸誘導体が挙げられる。
【0028】
結合アッセイを行うためには、サンプルと試薬とを混合して、1種以上の反応混合物を得ることが必要である(これはまたハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含むアッセイにも当てはまる)。アナライトを含むサンプルと結合アッセイを行うために用いる試薬とを、連続的又は同時にインキュベートする。現在では、各結合対(すなわち、ハプテン化されたアナライト特異的成分と該ハプテン又はハプテン様分子の結合パートナー)を含むアッセイにおいて、遊離ハプテン又は遊離ハプテン様分子が、少なくとも1のインキュベーション工程中に存在すると、有利であることが見出されている。
【0029】
遊離ハプテン又は遊離ハプテン様分子には、ハプテン又はハプテン様分子自体並びにそれらの誘導体(例えば、コンジュゲート)、又は該遊離分子と本質的に相似的に用いられるそれらの類似体が含まれると理解されるはずである。類似体は、対応する遊離ハプテン又はハプテン様分子と本質的に同じ結合特性を示し、それぞれの結合パートナーに対する結合に有意な影響を及ぼさない重要度の低い改変を含む、同程度の分子量を有する分子である。好ましい実施形態においては、非誘導体化ハプテン又はハプテン様分子を用いる。
【0030】
好ましい誘導体及び好ましい類似体としては、ハプテン又はハプテン様分子の結合ドメインが挙げられるが、それぞれの適当な類似体の結合パートナーに対する結合に関与しないその分子部分で必要に応じて改変されていてもよい。適当な誘導体は、本明細書に記載のイムノアッセイを改良するその能力によって、容易に同定することができる。ハプテン様分子としてビオチンを用いる場合、ビオチンの好ましい類似体は、ビオシチン及びビオチン−メチルエステルであり、最も好ましいビオチンの類似体は、ビオシチンである。本発明による方法においては、ハプテン又はハプテン様分子の類似体を用いるのが好ましい。
【0031】
遊離ハプテン又は遊離ハプテン様分子を、反応混合物に別個の成分として添加するか、又はアッセイを行うために用いる試薬の組合せの1つとして存在させることができる。ハプテン化されたアナライト特異的成分を存在させる前に遊離ハプテン又は遊離ハプテン様分子を反応混合物中に添加するか、又は存在させるようにして、インキュベーション工程を行うような方法で、アッセイを行うのが好ましい。従って、少なくとも1のインキュベーション工程は、ハプテン化されたアナライト特異的成分、そこに含まれるハプテン又はハプテン様分子に対する結合パートナー、及び遊離ハプテン又はハプテン様分子が、同時に存在することを特徴とする。インキュベーション工程は、通常、数分〜数時間継続する。
【0032】
他の生体分子の結合及び/又は検出のための一般的な手段として、ジゴキシン又はジゴキシゲニンを用いるのが非常に有利であることが証明された(US−5,344,757)。他の生体分子(例えば抗体、抗原又は核酸)を、ジゴキシン又はジゴキシゲニンとコンジュゲート化(ハプテン化)し、ジゴキシン又はジゴキシゲニンに対する抗体を用いて、ハプテン化された分子を担体若しくは固相に間接的に結合させるか、又はそのようなハプテン化された成分を検出する。本発明による好ましい実施形態においては、ハプテン/抗ハプテン系は、ジゴキシン又はジゴキシゲニンと、それぞれ抗ジゴキシン抗体又は抗ジゴキシゲニン抗体とを含む。
【0033】
ハプテン様非免疫学的結合対の最も知られた例は、ビオチン/アビジン系又はビオチン/ストレプトアビジン系である。これについてはいくつかの基本的な文献に対する参照が上述されており、その手法は米国特許第4,298,685号(Parikhら); Green,「酵素学における手法(Methods in Enzymology)」 (1990) 184:51−67;Greenら、Biochem. J.(1971) 125:781−791; Weberら、Science (1989) 243:85−88; Morganら、Polym. Sci., Part A: Polm. Chem. (1994) 32:1331; Akiyama, Protein Expression Purif. (1992) 3:427; Nutikka Clin. Biochem. (1991) 24:469−473に記載されている。これらの文献は参照により本明細書に組み入れられるものとする。本発明の好ましい実施形態において、該ハプテン様結合対は、ビオチンとアビジン及び/又はストレプトアビジンを含む。好ましくは、アビジン又はストレプトアビジン成分を、担体又は固相材料に結合させ、これを用いて、行うべき結合アッセイのビオチン化された成分を間接的に結合させる。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む、サンプル中のアナライトの検出又は測定に用いられる特異的結合アッセイの感度を改良する方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において、遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする前記方法において用いられる。
【0035】
本明細書で用いる感度は、適用されるアッセイ手法において検出され得るアナライトの最小量と関連する。必要とされるアナライトが少ないほど、アッセイの感度は高くなる。一般的には、アッセイの感度はアッセイのダイナミックレンジと相関する。そのようなアッセイ間の比較は、アッセイに対し実験当たり1つの改変のみを用いて、その他のあらゆる成分及び手順を本質的には変化させないようにすることにより、実施されるのが好ましい。このようにして、本質的に比較し得るアッセイを実施し、適切な結果を得る。図1に説明するように、実施例1に詳細に説明されるジゴキシンに対するアッセイへの遊離ビオチンの添加により、このアッセイの感度は明らかに改善されるが、その他の成分及び手順は全て一定に保たれている。
【0036】
感度の改善は、かなり小さいアナライトを用いたときに、より顕著であることが見出された。感度を改良するためには、10 kD未満、より好ましくは5 kD未満、最も好ましくは2 kD未満の分子量を有するアナライトを用いて本発明の方法及び手順を用いるのが好ましい。かかるアナライトとしては、特にジゴキシン、ジゴキシゲニン、低分子量薬物、ステロイドホルモン及び濫用薬物が挙げられる。
【0037】
凝集反応、すなわちアッセイの感度は、好ましくは、ハプテン又はハプテン様分子の類似体の使用(例えば、アナライト特異的成分がビオチン化されている場合はビオシチンの使用)により、さらに改変及び最適化される。このような改良については、実施例2に説明され、図2に示されている。
【0038】
さらなる実施形態において、開示された本発明は、少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む、サンプル中のアナライトの検出又は測定において用いられる特異的結合アッセイ精度を改良する方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において、遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする前記方法において用いられる。
【0039】
「精度」とは、標準偏差を用いて計算された結果を指すのに用いられる。標準偏差又は変動係数(CV)が小さいほど、アッセイ精度は高い。図3に示したように、実施例3に記載のように本発明の方法に従って遊離ハプテン又は遊離ハプテン様分子を使用することにより、アッセイ精度が改良された。
【0040】
不均一イムノアッセイは、洗浄工程を含み、そのような洗浄工程は結合しなかった物質及び/又は干渉する可能性のある物質を効率よく除去し得るという大きな利点を有する。これがおそらく、多くの場合、均一アッセイと比較してより感度が高くなるように不均一アッセイを設計し得る主な理由である。現在では、驚くべきことに、開示される方法を適用することにより、均一イムノアッセイを大幅に改良することができることが見出されている。
【0041】
従って、好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む均一イムノアッセイによりサンプル中のアナライトを検出又は測定する方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において、遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、前記方法に関する。被覆された(ラテックス)粒子を利用する均一イムノアッセイの典型的な例を、いくつかの好ましいアッセイ原理をさらに説明するように図4にまとめてある。
【0042】
本発明による均一イムノアッセイは、凝集の原理に基づくものであるのが好ましい。かかるアッセイは、凝集反応の減少又は増加によってアナライトを検出又は測定するように設定されるのが好ましい。通常、かかる凝集反応は、比濁分析装置により測定される。かかるアッセイ方法においては、粒子を用い、かつ粒子を含むのが好ましい。何故なら、粒子に基づくアッセイは、より感度が高いことが判っているからである。
【0043】
最も好ましくは、ラテックス粒子を用いる。本発明による好ましい実施形態においては、該アッセイ方法は均一型であり、さらに、この方法において、被覆されたラテックス粒子を用いるところに特徴がある。
【0044】
上記の均一イムノアッセイにおいて用いられるラテックス粒子は、例えばハプテンに対する抗体(例えば、ジゴキシン若しくはジゴキシゲニンに対する抗体)で被覆されていてもよく、又はアビジン若しくはストレプトアビジンで被覆されていてもよい。アビジン又はストレプトアビジンによる被覆は、米国特許第5,268,306号に記載の手順に従って行うのが最も好ましい。ストレプトアビジンで被覆されたラテックス粒子の使用に基づく均一アッセイ手順において、遊離ビオチン又はその類似体を用いるのが、本発明の好ましい実施形態である。
【0045】
上述の通り、最新技術の知識及び手順を有する当業者であれば、ハプテン又はハプテン様結合対を用いる結合アッセイを構成するために、自己の発明的努力又は過度の負担を要するという問題はないであろう。以下の考察は本発明をさらに説明することを意図するものであるが、本発明は所与の特定の実施例に限定されるものではない。
【0046】
均一アッセイの場合、必要とされる試薬の数は可能な限り少ない方が好ましい。大部分のアナライト(例えば、Roche/Hitachi分析装置シリーズで検出する)については、試薬数を2つに低減及び限定することが可能であった。例えば、試薬R1は、バッファー塩、塩化ナトリウム、ウシ血清アルブミン、保存剤、界面活性剤、ビオチン化された成分及び最適量の遊離ビオチンを含む。多くの場合、試薬R2は、バッファー塩、ウシ血清アルブミン、保存剤及びビオチンに対する最適な結合能力を有するストレプトアビジン−ラテックスを含むように設計される。添加される遊離ビオチンの量は、R2におけるストレプトアビジンラテックスの結合能力及びR1におけるビオチン化された成分の濃度に関して最適化される。そのような最適化は、当業界で公知の日常的な手法によって行われる。
【0047】
種々のバッファー及び添加剤を試薬R1及び試薬R2用に用いて、該試薬の所望のpH及び安定性を達成することができる。バッファーの例としては、2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)、(ピペラジン−N,N’−ビス[2−エタンスルホン酸/1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸)及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが挙げられる。個々のアッセイにおいて、あるバッファー又は別のバッファーが好ましい。同じことが、塩化ナトリウム、ウシ血清アルブミンなどの特定の添加剤、トリトンX−100などの界面活性剤及びNaN3などの保存剤にも当てはまる。均一アッセイを行うには、通常、中程度の温度を用いる。インキュベーション温度は、通常は5〜35℃、より通常には20〜25℃の範囲であろう。アッセイすべきアナライトの濃度は、一般的には10−5〜10−13 M、より通常には10−7〜10−11 Mの範囲であろう。
【0048】
アッセイの必要条件は、例えば、該アッセイが定性的なものであるか、半定量的なものであるか又は定量的なものであるか、そして用いられる検出様式(濁り測定又は比ろう法)に依存する。
【0049】
必要とされる感度は、通常、分析しようとするサンプル中に日常的に認められるか、又は期待されるアナライトの濃度に合致するように規定される。アッセイは、アナライトの濃度の生物学的及び/又は診断的に有意な変化が、用いる手法に応じて有意で測定可能なシグナルの差異を確実にもたらすだけの十分な感度を有するべきである。
【0050】
遊離ハプテン又はハプテン様分子の最終濃度は、用いる結合アッセイの種類によって非常に異なるであろう。該アッセイに用いられるハプテン化された化合物に関しては、特にその濃度を注意深く決定する必要がある。遊離ハプテン又はハプテン様分子の量又は濃度は、感度及び/又は精度の点でアッセイの改良をもたらすものが好ましい。ハプテン化された化合物が約0.6〜285 nMの濃度で用いられる均一アッセイの場合、試薬R1中では20〜210 nMの遊離ビオチン及び試薬R2中ではラテックス微粒子表面上に280〜420 nMのストレプトアビジン負荷を用いるのが好ましい。
【0051】
本発明によれば、特異的結合対の一部として遊離ハプテン又は遊離ハプテン様分子を含む結合アッセイに基づいてサンプル中のアナライトを検出又は測定するための改良された均一アッセイ方法における、前記ハプテン又はハプテン様分子の使用もまた好ましい実施形態である。
【0052】
遊離ハプテン又はハプテン様分子は、本発明の手法を実行する種々の工程において存在するのが有利であるが、該遊離ハプテン又はハプテン様分子を反応混合物中に存在させた後に、ハプテン化されたアッセイ成分を該反応混合物に添加するのが好ましい。
【0053】
アナライトの検出又は測定方法を実施するのに必要な試薬の全てではないにせよその大部分を含む試験キットを、顧客に提供することは標準的慣例である。そのような試験キットに、遊離ハプテン又は遊離ハプテン様類似体を含む追加的なボトルを含ませることは非常に有利である。そのような遊離ハプテン又はハプテン様分子を、少なくとも1つの他の試薬ボトル、例えば、アナライトを検出又は測定するのに必要とされる少なくとも1種のアッセイ成分、好ましくはハプテン化された成分を含む試薬ボトル中に含めさせることも可能である。従って、さらに好ましいのは、ハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を利用して、サンプル中のアナライトを検出又は測定するためのアッセイを行うための試験キットであって、遊離形態のハプテン又はハプテン様分子を含有する少なくとも1種の試薬を含む前記キットである。
【0054】
以下の実施例、参考文献及び図面は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、本発明の真の範囲は、本明細書の特許請求の範囲に説明される。本発明の精神を逸脱することなく、本発明の手法に様々な変更が加えられ得ることが理解されよう。
【0055】
図面の説明
図1 種々のジゴキシンアッセイの測定範囲
ジゴキシンアッセイ試薬中のビオチンの濃度に依存して生じるシグナルを示す。試薬R1に遊離ビオチンを添加する場合、生じたシグナルに相関して測定範囲が増大することが明らかである。
【0056】
図2 ビオチン類似体であるビオシチンによる特異的凝集のモジュレーション
凝集反応は、ビオシチンの使用により、さらにモジュレート及び改良される。ビオチン及びビオシチンの濃度を力価測定して、最適な凝集シグナルを得た。ビオシチンは明らかにより強いシグナルを生成し、サンプルをより良く区別できる。
【0057】
図3 種々の Hb Alc アッセイの精度
本図は、試薬R1中の遊離ビオチンの存在及び不在下でのHbAlcアッセイ精度[% CV; CV = 変動係数]を示す。
【0058】
図4 好適なアッセイ形式の概要
本図は、本発明の好ましいアッセイ形式をまとめたものである。符号<...>は、括弧内の抗原に対する抗体が用いられることを示すのに用いられる。省略は以下の通りである。
【0059】
SA = ストレプトアビジン
IgG = γ型免疫グロブリン
Fab及びFab’ = 当業界の最新技術を用いた酵素的な切断によって得られる免疫グロブリンのフラグメント。
【0060】
【実施例】
〔実施例1〕 ジゴキシンに関するアッセイ
材料及び装置
試薬 R1
トリスバッファー(0.05 M, pH 7.2):
7.02 gのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンHClを、1.0 Lの水に溶解し、0.67 gのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩基と合わせると、25℃でpH 7.2となる。
ハプテン−ビオチンコンジュゲートを、Huberら、米国特許第5,219,764号に従って合成した。
【0061】
試薬 R2
HEPES(25℃にてpKa=7.5)バッファー(0.05 M, pH 7.5):
11.9 gのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)を、1.0 Lの水に溶解した。
【0062】
アッセイ測定は全て、以下のアッセイプロトコルに従って、Hitachi, Ltd.(Tokyo, Japan)製のHitachi 917 Automatic Analyzer, Part No. 714−0016, 製造番号1004−8を用いて行った。
サンプル材料は、ヒト血清又はヒト血漿(例えば、ヘパリン−、EDTA−、クエン酸−血漿)である。
【0063】
それぞれ0、1.0及び4.1 ng/mLのジゴキシンを含むカリブレーター(calibrator)を用いて得られた結果を図1に示す。
臨床サンプルを用いた典型的な実験結果は、以下の通りであった(表1)。
【表1】
遊離ビオチンの添加によりシグナル(mAとして測定された吸光度)が顕著に増加したことが明らかである。
【0064】
〔実施例2〕 ジゴキシンに関するアッセイ:ビオチン類似体であるビオシチンの効果
材料及び装置
試薬 R1
ハプテン−ビオチンコンジュゲートを、米国特許第5,219,764号(Huberら)に従って合成した。
【0065】
試薬 R2
【0066】
アッセイ測定は全て、以下のアッセイプロトコルに従って、Hitachi, Ltd.(Tokyo, Japan)製のHitachi 717 Automatic Analyzer, Part No. 717−0016, 製造番号6100−05を用いて行った。
サンプル材料は、ヒト血清及びヒト血漿(例えば、ヘパリン−、EDTA−、クエン酸−血漿)である。
最適なアッセイ性能に対応する濃度を決定するために、所定の範囲内にて、バッファーR1に添加されるビオチン及びビオシチン濃度を滴定した。ビオチンの場合、該濃度は1.02μM(=250 ng/ml)であり、ビオシチンの場合は2.01μM(750ng/ml)であり、これらの濃度により最適な凝集シグナルが得られる。最適化されたビオチン又はビオシチン濃度を用いた典型的な実験結果を、表2及び図2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
〔実施例3〕 ヘモグロビンA1cに対するアッセイ
材料及び装置
試薬 R1
ハプテン−ビオチンコンジュゲートを、米国特許第5,219,764号(Huberら)に従って合成した。
【0069】
試薬 R2
HEPES(25℃にてpKa=7.5)バッファー(0.005 M, pH 7.5):
1.19 gのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)を1.0 Lの水に溶解した。
【0070】
アッセイ測定は全て、以下のアッセイプロトコルに従って、Hitachi, Ltd.(Tokyo, Japan)製のHitachi 717 Automatic Analyzer, Part No. 717−0016, 製造番号6100−05を用いて行った。
溶血させたヒト血液サンプルは、Karl J.らの「新規の免疫比濁法によるHbA1cアッセイの開発及び規格化(Development and Standardization of a New Immunoturbidimetric HbA1c Assay)、Klin Lab 39, 991−996 (1993)」に従って調製した。
【0071】
本実施例に従って実施した最初の典型的な実験の結果を図3に示す。第2の典型的実験の結果は以下の通りである(表3)。
【0072】
【表3】
上記方法におけるビオチンの存在が、向上したアッセイ精度(示されている低減したCV値から明らかである)をもたらすことは明らかである。
【0073】
引用文献のリスト
Engvall, EおよびPerlman, P., Immunochemistry 8 (1971) 871−4
Green, N.M., Methods Enzymol 184 (1990) 51−67
Green, N.M.ら, Biochem J 125 (1971) 781−91
Weber, P.C.ら, Science 243 (1989) 85−8
Akiyama, N.ら, Protein Expr Purif 3 (1992) 427−33
Nutikka, A.ら, Clin Biochem 24 (1991) 469−73
Morgan, H.ら, Polymerization of avidin and streptavidin with aromatic
bisbiotin ligands in ”Polym. Sci., Part A: Polm. Chem.” (1994) 1331−1340,
Univ. Wales, Bangor/Gwynedd, LL57 1, UK, Inst. Mol. Biomol. Electron.
van Weemen, B.K.およびSchuurs, A.H.W.M., FEBS Letters 15 (1971) 232−236Karl, J.ら, Klinisches Labor 39 (1993) 991−996
US 4,298,685
US 6,096,508
US 5,344,757
US 5,268,306
【0074】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のサンプル中のアナライトの検出又は測定方法によれば、より高い感度及び/又は精度のアッセイを実施することができる。また本発明により提供される試験キットは、本発明に係るサンプル中のアナライトの改善された検出又は測定方法を実施する上で非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ジゴキシンアッセイ試薬中のビオチンの濃度に依存して生じるシグナルを示し、これは生じたシグナルに相関するジゴキシンアッセイの測定範囲を示した図である。
【図2】ビオチン類似体であるビオシチンによる特異的凝集のモジュレートを示した図である。
【図3】試薬R1中の遊離ビオチンの存在及び不在下でのHbAlcアッセイ精度[% CV; CV =変動係数]を示した図である。
【図4】本発明の好ましいアッセイ形式をまとめた図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含んでなる結合アッセイによるサンプル中のアナライトの検出又は測定方法に関する。より具体的には、本発明は、遊離形態である前記結合対のハプテン又はハプテン様分子を含むプロセス及び試験キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
結合アッセイは、現在では研究の場や臨床診断の場において広く用いられている。結合アッセイの利用は約30年前に始まった(Engvall E.及びPerlmann P. (1971), Immunochemistry 8, 871; van Weemen, B.K.及びSchuures A.H.W.M. (1971), FEBS letters 15, 232)。それ以来、結合アッセイは大きく進歩しており、特異的結合アッセイを実施するための方法並びにその実際の応用は、当業者にとっては一般的な知識となった。関連する教科書にまとめられた方法及び手順は、本明細書中に参照により組み入れられ、そのほんの数例として、免疫学的検出方法を扱う、P. Tijssen (1992) Elsevier Science Publishers B.V.による「酵素イムノアッセイの実際と理論(Practice and theory of enzyme immunoassays)」及びColowick S.P., Caplan N.O.(編), Academic Pressの「酵素学における手法(Methods in Enzymology)」の種々の版が特に挙げられる。
【0003】
結合アッセイは、通常、用いられる検出の様式によって分類される。すなわち、酵素イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、蛍光偏光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、比濁分析アッセイなどである。一方、結合アッセイは、用いられるアッセイ手順によっても分類することができる。かかる手順のよく知られた例は、競合アッセイ形式、サンドイッチ型アッセイ形式並びに沈降又は凝集の原理に基づくアッセイである。
【0004】
大部分の結合アッセイでは、少なくとも1種の特異的結合対を直接的若しくは間接的に、担体に被覆するか又は結合させることが必要である。多くの場合、かかる担体は固相材料、例えば、マイクロタイタープレート、ラテックス粒子若しくはガラス粒子、又はテストストリップなどであるが、これらは最も著名なものを挙げたに過ぎない。異なる生体分子が全く異なる物理化学的性質を示すことは、よく知られた現象である。そのように異なる性質により、担体材料への該分子の結合又は被覆には、全く異なる条件が必要となり得る。
【0005】
特異的結合対のメンバーを担体に間接的に結合させるために、ハプテン又はハプテン様結合対が、非常に有利に用いられてきた。ハプテン様の非免疫学的な結合対の最も知られた例は、ビオチン/アビジン系又はビオチン/ストレプトアビジン系である。ビオチン−(ストレプト)アビジン系の特徴及び利点は、例えば、米国特許第4,298,685号(Parikhら); Green, Methods in Enzymology (1990) 184:51−67; Greenら、Biochem. J.(1971) 125:781−791; Weberら、Science (1989) 243:85−88; Morganら、Polym. Sci., Part A: Polm. Chem. (1994) 32:1331; Akiyama, Protein Expression Purif. (1992) 3:427; Nutikka Clin. Biochem. (1991) 24:469−473に記載又は開示されている。
【0006】
米国特許出願第6,096,508号は、ビオチン−アビジン/ストレプトアビジンの相互作用に基づくナイロンメンブランを用いた核酸ハイブリダイゼーションをベースとした検出用アッセイにおいて、非特異的結合によって生じたバックグラウンドシグナルに起因して直面する問題に関する。1回以上の洗浄工程を含む不均一アッセイ手順では、バックグラウンドシグナルの低減が認められる。遊離ビオチンが1種以上の洗浄バッファーに添加される。
【0007】
Enzymun(登録商標)及びELECSYS(登録商標)の商品名でRoche Diagnostics GmbHにより市販されているような製品は全て、ストレプトアビジン/ビオチン系によってもたらされる大きな利点に基づくものである。
【0008】
他の基準もあるが、アッセイ感度及びアッセイ精度は、結合アッセイにとって非常に重要な品質基準である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
改良されたアッセイ法及び試験キットを提供するために、感度及び/又は精度に関して、ハプテン又はハプテン様結合対の利用に基づくアッセイ法を改良し得るかどうか研究することが本発明の課題であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
驚くべきことに、少なくとも1のインキュベーション工程中に遊離形態のハプテン又はハプテン様分子を添加するか又は存在させることにより、少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む、サンプル中のアナライトを検出又は測定する特異的結合アッセイに基づく方法を改良し得ることが見出され、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、ハプテン又はハプテン様結合対を利用する結合アッセイにおいて遊離ハプテン又はハプテン様分子を添加するか、又は存在させることによって引き起こされる明白で驚くべき効果に基づくものである。
【0012】
具体的には、少なくとも1つの反応混合物又はインキュベーション工程中に、遊離ハプテン又はハプテン様分子を添加するか、又は存在させることにより、アナライトの検出又は測定方法を改良し得ることが見出され、証明された。この改良された方法により、より良い感度及び/又は精度を示すアッセイを行うことができる。
【0013】
好ましい実施形態において、本発明は、改良されたアッセイ手法における遊離ハプテン又はハプテン様分子の有利な使用に関する。
【0014】
遊離形態のハプテン又はハプテン様分子を含有する少なくとも1種の試薬を含む、ハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対の利用に基づいてサンプル中のアナライトを検出又は測定するアッセイを行うための、試験キットも開示されるが、これは本発明のさらなる実施形態を示すものである。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(10)を提供する。
【0016】
(1)少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含んでなる特異的結合アッセイによりサンプル中のアナライトを検出又は測定する方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、前記方法、
(2)前記ハプテン/抗ハプテン系が、ジゴキシン又はジゴキシゲニンと、それぞれ抗ジゴキシン抗体又は抗ジゴキシゲニン抗体とを含むことを特徴とする、上記(1)に記載の方法、
(3)前記ハプテン様結合対が、ビオチンとアビジン及び/又はストレプトアビジンを含むことを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の方法、
(4)前記ハプテン様結合対が、ビオシチンとアビジン及び/又はストレプトアビジンを含むことを特徴とする、上記(1)〜(3)に記載の方法、
(5)少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む、サンプル中のアナライトの検出又は測定に用いる特異的結合アッセイの感度を向上させる方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、前記方法、(6)少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む、サンプル中のアナライトの検出又は測定に用いる特異的結合アッセイの精度を向上させる方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、前記方法、(7)前記方法が均一イムノアッセイであることを特徴とする、上記(1)〜(6)に記載の方法、
(8)前記方法において、被覆されたラテックス粒子を用いることを特徴とする、上記(1)〜(7)に記載の方法、
(9)ハプテン化されたアッセイ成分を反応混合物に添加する前に、前記遊離ハプテン又はハプテン様分子を該反応混合物中に存在させることを特徴とする、上記(1)〜(7)に記載の方法、及び
(10)ハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を利用してサンプル中のアナライトを検出又は測定するアッセイを行うためのアッセイキットであって、遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を含有する少なくとも1種の試薬を含むことを特徴とする、前記キット。
【0017】
【発明の実施の形態】
第1の実施形態において、本発明は、少なくとも1のインキュベーション工程において、遊離形態のハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含んでなる特異的結合アッセイによりサンプル中のアナライトを検出又は測定する方法に関する。
【0018】
一部のアナライト(例えば、特異的活性を有する酵素)は、例えば臨床的/化学的手法を用いて直接的に検出又は測定することができるが、他の多くのアナライトは、かかるアナライトの結合パートナーを用いる方法において検出又は測定される。本発明の意図するアナライトは、特異的結合パートナー、例えば抗体、核酸、レクチン、レセプターなどに結合し得る任意の分子でありうる。特定の場合には、かかるアナライトを測定するために設計されたアッセイにおいて、調べるべきアナライトの性質を模倣することができるアナライト類似体(例えば、より大きな分子の単一エピトープに対応する小さいペプチド配列)を用いるのが好ましい。免疫学的な用語においてそのようなエピトープは、ハプテンに対応する。明確に区別するために、アナライト特異的結合パートナーの結合に直接的に関与するアナライト関連ハプテンは、本発明の範囲内に入らないことを理解しなければならない。
【0019】
本発明に係る好ましいアナライトとしては、ペプチド、タンパク質、改変タンパク質、多糖類、核酸、ホルモン、並びに薬物、代謝物などの小分子が挙げられる。代表的なアナライトとしては、限定されるものではないが、モルヒネ、コデイン、ヘロイン、デキストロメトルファンなどのアルカロイド、それらの誘導体及び代謝物、コカイン及びエクゴニンベンジルを含むコカインアルカロイド、それらの誘導体及び代謝物、カンナビノール及びテトラヒドロカンナビノールを含むマリファナに由来する薬物、ゲンタマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシンなどのアミノグリコシドが挙げられる。
【0020】
このような結合アッセイは、好ましくは1種又は数種のアナライト分子を検査時に特異的に検出するように設計される。
【0021】
結合アッセイは、通常、アナライト又はその類似体と、該アナライトの結合パートナーとを含んでなる少なくとも1種の結合対に基づく。かかる結合対の理論上及び実際上のメンバーは当業者には周知であり、その最も著名なものは、核酸結合対並びに糖/レクチン、ハプテン/抗体又は抗原/抗体などの結合対の使用である。
【0022】
抗体の使用に基づく結合アッセイは広く用いられており、本発明の好ましい実施形態である。使用される免疫学的試薬に基づく結合アッセイは、通常、検出の様式によって、又は用いられるアッセイ手順によって分類される。洗浄工程が該手順に含まれるかどうか(いわゆる不均一アッセイ)又は反応及び検出が洗浄工程を経ずに行われるかどうか(いわゆる均一アッセイ)によって、さらに区別される。上記の主要な用語、手順及び装置は全て、当該技術分野における教科書、例えばTajssen(上掲)及び「酵素学における手法(Methods in Enzymology)」、(上掲)によって、当業者には公知であり、これらは参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0023】
ハプテンは、それ自身は免疫原性を持たない小分子である。しかし、適当な担体分子に結合させれば、そのようなコンジュゲートを用いて該コンジュゲートに免疫原性を持たせ、適当な免疫応答を引き出させることができる。種々のハプテンに対するポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体が当該技術分野において周知である。よく知られたハプテンとしては、例えばフルオレセインジニトロフェニルリン酸(DNP)、ステロイドホルモン、多くの低分子量薬物、ジゴキシン及びジゴキシゲニンが挙げられる。
【0024】
用語「ハプテン様分子」は、非免疫学的結合対の一部である小分子を記述するのに用いられる。かかる結合対のよく知られた例としては、特に酵素の補欠分子族とその酵素、基質の誘導体と対応する酵素、ビオチン/アビジン、又はビオチン/ストレプトアビジンが挙げられる。かかるハプテン様分子は、好ましくは10kD未満、より好ましくは5 kD未満、さらに好ましくは2 kD未満、最も好ましくは1 kD未満の分子量であることを特徴とする。ハプテン又はハプテン様分子を含み、かなり高い親和性を示す結合対が好ましい。かかる親和性は、少なくとも10−9 M/l、より好ましくは10−10 M/l、最も好ましくは10−11 M/l以上であるのが好ましい。
【0025】
本発明の意図するハプテン又はハプテン様分子は、検査の際にはアナライトと関連がない。というよりは、それらは、結合アッセイの少なくとも1種のアナライト特異的成分(例えば、アナライトに結合する抗体、又はレセプターに結合するアナライト、例えば抗体)と、より一般的に適用可能なアッセイ成分との結合を間接的に仲介するのに用いられる。このようなより一般的に適用可能なアッセイ成分としては、例えば、標識された検出試薬(例えば、標識された抗ハプテン抗体)、又は前記ハプテン若しくはハプテン様分子の結合パートナーで被覆された固相若しくは担体材料が挙げられる。
【0026】
多くのアッセイ手順が当該技術分野で公知であり、それらにおいて、少なくとも1種のアナライト特異的成分が、ハプテン又はハプテン様分子、例えばビオチン化又はジゴキシゲニン化された抗体などに結合又は連結される。より一般的な用法では、用語「ハプテン化されたアナライト特異的成分」は、ハプテン又はハプテン様分子がアナライト特異的成分に共有結合により連結されていることを示すために用いられる。
【0027】
ハプテン又はハプテン様分子に基づく結合対は、かかる結合対に基づく方法に依存する特異的結合アッセイを行う場合、様々な目的に用いることができる。ハプテン又はハプテン様結合対は、検出可能な標識を、かかる結合アッセイの成分の1つ、例えばアナライト又はそれに対する抗体に結合させるのに用いられるのが好ましい。最も好ましくは、ハプテン又はハプテン様結合対は、結合アッセイの成分の少なくとも1つを、該ハプテン又はハプテン様分子の結合パートナーを含む固相又は担体上に間接的に結合させるのに用いられる。固相材料としては、特にマイクロタイタープレートの表面、チューブ、又は種々の高分子としての性質を有するビーズ(例えば、ガラス、ラテックス若しくはプラスチック材料)、例えば、テストストリップ製造用の固相化学分析機器に用いるメンブランが挙げられる。担体材料としては、特に高分子の生体分子、例えば、炭水化物、(合成)ポリペプチド、核酸及び核酸誘導体が挙げられる。
【0028】
結合アッセイを行うためには、サンプルと試薬とを混合して、1種以上の反応混合物を得ることが必要である(これはまたハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含むアッセイにも当てはまる)。アナライトを含むサンプルと結合アッセイを行うために用いる試薬とを、連続的又は同時にインキュベートする。現在では、各結合対(すなわち、ハプテン化されたアナライト特異的成分と該ハプテン又はハプテン様分子の結合パートナー)を含むアッセイにおいて、遊離ハプテン又は遊離ハプテン様分子が、少なくとも1のインキュベーション工程中に存在すると、有利であることが見出されている。
【0029】
遊離ハプテン又は遊離ハプテン様分子には、ハプテン又はハプテン様分子自体並びにそれらの誘導体(例えば、コンジュゲート)、又は該遊離分子と本質的に相似的に用いられるそれらの類似体が含まれると理解されるはずである。類似体は、対応する遊離ハプテン又はハプテン様分子と本質的に同じ結合特性を示し、それぞれの結合パートナーに対する結合に有意な影響を及ぼさない重要度の低い改変を含む、同程度の分子量を有する分子である。好ましい実施形態においては、非誘導体化ハプテン又はハプテン様分子を用いる。
【0030】
好ましい誘導体及び好ましい類似体としては、ハプテン又はハプテン様分子の結合ドメインが挙げられるが、それぞれの適当な類似体の結合パートナーに対する結合に関与しないその分子部分で必要に応じて改変されていてもよい。適当な誘導体は、本明細書に記載のイムノアッセイを改良するその能力によって、容易に同定することができる。ハプテン様分子としてビオチンを用いる場合、ビオチンの好ましい類似体は、ビオシチン及びビオチン−メチルエステルであり、最も好ましいビオチンの類似体は、ビオシチンである。本発明による方法においては、ハプテン又はハプテン様分子の類似体を用いるのが好ましい。
【0031】
遊離ハプテン又は遊離ハプテン様分子を、反応混合物に別個の成分として添加するか、又はアッセイを行うために用いる試薬の組合せの1つとして存在させることができる。ハプテン化されたアナライト特異的成分を存在させる前に遊離ハプテン又は遊離ハプテン様分子を反応混合物中に添加するか、又は存在させるようにして、インキュベーション工程を行うような方法で、アッセイを行うのが好ましい。従って、少なくとも1のインキュベーション工程は、ハプテン化されたアナライト特異的成分、そこに含まれるハプテン又はハプテン様分子に対する結合パートナー、及び遊離ハプテン又はハプテン様分子が、同時に存在することを特徴とする。インキュベーション工程は、通常、数分〜数時間継続する。
【0032】
他の生体分子の結合及び/又は検出のための一般的な手段として、ジゴキシン又はジゴキシゲニンを用いるのが非常に有利であることが証明された(US−5,344,757)。他の生体分子(例えば抗体、抗原又は核酸)を、ジゴキシン又はジゴキシゲニンとコンジュゲート化(ハプテン化)し、ジゴキシン又はジゴキシゲニンに対する抗体を用いて、ハプテン化された分子を担体若しくは固相に間接的に結合させるか、又はそのようなハプテン化された成分を検出する。本発明による好ましい実施形態においては、ハプテン/抗ハプテン系は、ジゴキシン又はジゴキシゲニンと、それぞれ抗ジゴキシン抗体又は抗ジゴキシゲニン抗体とを含む。
【0033】
ハプテン様非免疫学的結合対の最も知られた例は、ビオチン/アビジン系又はビオチン/ストレプトアビジン系である。これについてはいくつかの基本的な文献に対する参照が上述されており、その手法は米国特許第4,298,685号(Parikhら); Green,「酵素学における手法(Methods in Enzymology)」 (1990) 184:51−67;Greenら、Biochem. J.(1971) 125:781−791; Weberら、Science (1989) 243:85−88; Morganら、Polym. Sci., Part A: Polm. Chem. (1994) 32:1331; Akiyama, Protein Expression Purif. (1992) 3:427; Nutikka Clin. Biochem. (1991) 24:469−473に記載されている。これらの文献は参照により本明細書に組み入れられるものとする。本発明の好ましい実施形態において、該ハプテン様結合対は、ビオチンとアビジン及び/又はストレプトアビジンを含む。好ましくは、アビジン又はストレプトアビジン成分を、担体又は固相材料に結合させ、これを用いて、行うべき結合アッセイのビオチン化された成分を間接的に結合させる。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明は、少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む、サンプル中のアナライトの検出又は測定に用いられる特異的結合アッセイの感度を改良する方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において、遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする前記方法において用いられる。
【0035】
本明細書で用いる感度は、適用されるアッセイ手法において検出され得るアナライトの最小量と関連する。必要とされるアナライトが少ないほど、アッセイの感度は高くなる。一般的には、アッセイの感度はアッセイのダイナミックレンジと相関する。そのようなアッセイ間の比較は、アッセイに対し実験当たり1つの改変のみを用いて、その他のあらゆる成分及び手順を本質的には変化させないようにすることにより、実施されるのが好ましい。このようにして、本質的に比較し得るアッセイを実施し、適切な結果を得る。図1に説明するように、実施例1に詳細に説明されるジゴキシンに対するアッセイへの遊離ビオチンの添加により、このアッセイの感度は明らかに改善されるが、その他の成分及び手順は全て一定に保たれている。
【0036】
感度の改善は、かなり小さいアナライトを用いたときに、より顕著であることが見出された。感度を改良するためには、10 kD未満、より好ましくは5 kD未満、最も好ましくは2 kD未満の分子量を有するアナライトを用いて本発明の方法及び手順を用いるのが好ましい。かかるアナライトとしては、特にジゴキシン、ジゴキシゲニン、低分子量薬物、ステロイドホルモン及び濫用薬物が挙げられる。
【0037】
凝集反応、すなわちアッセイの感度は、好ましくは、ハプテン又はハプテン様分子の類似体の使用(例えば、アナライト特異的成分がビオチン化されている場合はビオシチンの使用)により、さらに改変及び最適化される。このような改良については、実施例2に説明され、図2に示されている。
【0038】
さらなる実施形態において、開示された本発明は、少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む、サンプル中のアナライトの検出又は測定において用いられる特異的結合アッセイ精度を改良する方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において、遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする前記方法において用いられる。
【0039】
「精度」とは、標準偏差を用いて計算された結果を指すのに用いられる。標準偏差又は変動係数(CV)が小さいほど、アッセイ精度は高い。図3に示したように、実施例3に記載のように本発明の方法に従って遊離ハプテン又は遊離ハプテン様分子を使用することにより、アッセイ精度が改良された。
【0040】
不均一イムノアッセイは、洗浄工程を含み、そのような洗浄工程は結合しなかった物質及び/又は干渉する可能性のある物質を効率よく除去し得るという大きな利点を有する。これがおそらく、多くの場合、均一アッセイと比較してより感度が高くなるように不均一アッセイを設計し得る主な理由である。現在では、驚くべきことに、開示される方法を適用することにより、均一イムノアッセイを大幅に改良することができることが見出されている。
【0041】
従って、好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む均一イムノアッセイによりサンプル中のアナライトを検出又は測定する方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において、遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、前記方法に関する。被覆された(ラテックス)粒子を利用する均一イムノアッセイの典型的な例を、いくつかの好ましいアッセイ原理をさらに説明するように図4にまとめてある。
【0042】
本発明による均一イムノアッセイは、凝集の原理に基づくものであるのが好ましい。かかるアッセイは、凝集反応の減少又は増加によってアナライトを検出又は測定するように設定されるのが好ましい。通常、かかる凝集反応は、比濁分析装置により測定される。かかるアッセイ方法においては、粒子を用い、かつ粒子を含むのが好ましい。何故なら、粒子に基づくアッセイは、より感度が高いことが判っているからである。
【0043】
最も好ましくは、ラテックス粒子を用いる。本発明による好ましい実施形態においては、該アッセイ方法は均一型であり、さらに、この方法において、被覆されたラテックス粒子を用いるところに特徴がある。
【0044】
上記の均一イムノアッセイにおいて用いられるラテックス粒子は、例えばハプテンに対する抗体(例えば、ジゴキシン若しくはジゴキシゲニンに対する抗体)で被覆されていてもよく、又はアビジン若しくはストレプトアビジンで被覆されていてもよい。アビジン又はストレプトアビジンによる被覆は、米国特許第5,268,306号に記載の手順に従って行うのが最も好ましい。ストレプトアビジンで被覆されたラテックス粒子の使用に基づく均一アッセイ手順において、遊離ビオチン又はその類似体を用いるのが、本発明の好ましい実施形態である。
【0045】
上述の通り、最新技術の知識及び手順を有する当業者であれば、ハプテン又はハプテン様結合対を用いる結合アッセイを構成するために、自己の発明的努力又は過度の負担を要するという問題はないであろう。以下の考察は本発明をさらに説明することを意図するものであるが、本発明は所与の特定の実施例に限定されるものではない。
【0046】
均一アッセイの場合、必要とされる試薬の数は可能な限り少ない方が好ましい。大部分のアナライト(例えば、Roche/Hitachi分析装置シリーズで検出する)については、試薬数を2つに低減及び限定することが可能であった。例えば、試薬R1は、バッファー塩、塩化ナトリウム、ウシ血清アルブミン、保存剤、界面活性剤、ビオチン化された成分及び最適量の遊離ビオチンを含む。多くの場合、試薬R2は、バッファー塩、ウシ血清アルブミン、保存剤及びビオチンに対する最適な結合能力を有するストレプトアビジン−ラテックスを含むように設計される。添加される遊離ビオチンの量は、R2におけるストレプトアビジンラテックスの結合能力及びR1におけるビオチン化された成分の濃度に関して最適化される。そのような最適化は、当業界で公知の日常的な手法によって行われる。
【0047】
種々のバッファー及び添加剤を試薬R1及び試薬R2用に用いて、該試薬の所望のpH及び安定性を達成することができる。バッファーの例としては、2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)、(ピペラジン−N,N’−ビス[2−エタンスルホン酸/1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸)及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが挙げられる。個々のアッセイにおいて、あるバッファー又は別のバッファーが好ましい。同じことが、塩化ナトリウム、ウシ血清アルブミンなどの特定の添加剤、トリトンX−100などの界面活性剤及びNaN3などの保存剤にも当てはまる。均一アッセイを行うには、通常、中程度の温度を用いる。インキュベーション温度は、通常は5〜35℃、より通常には20〜25℃の範囲であろう。アッセイすべきアナライトの濃度は、一般的には10−5〜10−13 M、より通常には10−7〜10−11 Mの範囲であろう。
【0048】
アッセイの必要条件は、例えば、該アッセイが定性的なものであるか、半定量的なものであるか又は定量的なものであるか、そして用いられる検出様式(濁り測定又は比ろう法)に依存する。
【0049】
必要とされる感度は、通常、分析しようとするサンプル中に日常的に認められるか、又は期待されるアナライトの濃度に合致するように規定される。アッセイは、アナライトの濃度の生物学的及び/又は診断的に有意な変化が、用いる手法に応じて有意で測定可能なシグナルの差異を確実にもたらすだけの十分な感度を有するべきである。
【0050】
遊離ハプテン又はハプテン様分子の最終濃度は、用いる結合アッセイの種類によって非常に異なるであろう。該アッセイに用いられるハプテン化された化合物に関しては、特にその濃度を注意深く決定する必要がある。遊離ハプテン又はハプテン様分子の量又は濃度は、感度及び/又は精度の点でアッセイの改良をもたらすものが好ましい。ハプテン化された化合物が約0.6〜285 nMの濃度で用いられる均一アッセイの場合、試薬R1中では20〜210 nMの遊離ビオチン及び試薬R2中ではラテックス微粒子表面上に280〜420 nMのストレプトアビジン負荷を用いるのが好ましい。
【0051】
本発明によれば、特異的結合対の一部として遊離ハプテン又は遊離ハプテン様分子を含む結合アッセイに基づいてサンプル中のアナライトを検出又は測定するための改良された均一アッセイ方法における、前記ハプテン又はハプテン様分子の使用もまた好ましい実施形態である。
【0052】
遊離ハプテン又はハプテン様分子は、本発明の手法を実行する種々の工程において存在するのが有利であるが、該遊離ハプテン又はハプテン様分子を反応混合物中に存在させた後に、ハプテン化されたアッセイ成分を該反応混合物に添加するのが好ましい。
【0053】
アナライトの検出又は測定方法を実施するのに必要な試薬の全てではないにせよその大部分を含む試験キットを、顧客に提供することは標準的慣例である。そのような試験キットに、遊離ハプテン又は遊離ハプテン様類似体を含む追加的なボトルを含ませることは非常に有利である。そのような遊離ハプテン又はハプテン様分子を、少なくとも1つの他の試薬ボトル、例えば、アナライトを検出又は測定するのに必要とされる少なくとも1種のアッセイ成分、好ましくはハプテン化された成分を含む試薬ボトル中に含めさせることも可能である。従って、さらに好ましいのは、ハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を利用して、サンプル中のアナライトを検出又は測定するためのアッセイを行うための試験キットであって、遊離形態のハプテン又はハプテン様分子を含有する少なくとも1種の試薬を含む前記キットである。
【0054】
以下の実施例、参考文献及び図面は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、本発明の真の範囲は、本明細書の特許請求の範囲に説明される。本発明の精神を逸脱することなく、本発明の手法に様々な変更が加えられ得ることが理解されよう。
【0055】
図面の説明
図1 種々のジゴキシンアッセイの測定範囲
ジゴキシンアッセイ試薬中のビオチンの濃度に依存して生じるシグナルを示す。試薬R1に遊離ビオチンを添加する場合、生じたシグナルに相関して測定範囲が増大することが明らかである。
【0056】
図2 ビオチン類似体であるビオシチンによる特異的凝集のモジュレーション
凝集反応は、ビオシチンの使用により、さらにモジュレート及び改良される。ビオチン及びビオシチンの濃度を力価測定して、最適な凝集シグナルを得た。ビオシチンは明らかにより強いシグナルを生成し、サンプルをより良く区別できる。
【0057】
図3 種々の Hb Alc アッセイの精度
本図は、試薬R1中の遊離ビオチンの存在及び不在下でのHbAlcアッセイ精度[% CV; CV = 変動係数]を示す。
【0058】
図4 好適なアッセイ形式の概要
本図は、本発明の好ましいアッセイ形式をまとめたものである。符号<...>は、括弧内の抗原に対する抗体が用いられることを示すのに用いられる。省略は以下の通りである。
【0059】
SA = ストレプトアビジン
IgG = γ型免疫グロブリン
Fab及びFab’ = 当業界の最新技術を用いた酵素的な切断によって得られる免疫グロブリンのフラグメント。
【0060】
【実施例】
〔実施例1〕 ジゴキシンに関するアッセイ
材料及び装置
試薬 R1
トリスバッファー(0.05 M, pH 7.2):
7.02 gのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンHClを、1.0 Lの水に溶解し、0.67 gのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩基と合わせると、25℃でpH 7.2となる。
ハプテン−ビオチンコンジュゲートを、Huberら、米国特許第5,219,764号に従って合成した。
【0061】
試薬 R2
HEPES(25℃にてpKa=7.5)バッファー(0.05 M, pH 7.5):
11.9 gのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)を、1.0 Lの水に溶解した。
【0062】
アッセイ測定は全て、以下のアッセイプロトコルに従って、Hitachi, Ltd.(Tokyo, Japan)製のHitachi 917 Automatic Analyzer, Part No. 714−0016, 製造番号1004−8を用いて行った。
サンプル材料は、ヒト血清又はヒト血漿(例えば、ヘパリン−、EDTA−、クエン酸−血漿)である。
【0063】
それぞれ0、1.0及び4.1 ng/mLのジゴキシンを含むカリブレーター(calibrator)を用いて得られた結果を図1に示す。
臨床サンプルを用いた典型的な実験結果は、以下の通りであった(表1)。
【表1】
遊離ビオチンの添加によりシグナル(mAとして測定された吸光度)が顕著に増加したことが明らかである。
【0064】
〔実施例2〕 ジゴキシンに関するアッセイ:ビオチン類似体であるビオシチンの効果
材料及び装置
試薬 R1
ハプテン−ビオチンコンジュゲートを、米国特許第5,219,764号(Huberら)に従って合成した。
【0065】
試薬 R2
【0066】
アッセイ測定は全て、以下のアッセイプロトコルに従って、Hitachi, Ltd.(Tokyo, Japan)製のHitachi 717 Automatic Analyzer, Part No. 717−0016, 製造番号6100−05を用いて行った。
サンプル材料は、ヒト血清及びヒト血漿(例えば、ヘパリン−、EDTA−、クエン酸−血漿)である。
最適なアッセイ性能に対応する濃度を決定するために、所定の範囲内にて、バッファーR1に添加されるビオチン及びビオシチン濃度を滴定した。ビオチンの場合、該濃度は1.02μM(=250 ng/ml)であり、ビオシチンの場合は2.01μM(750ng/ml)であり、これらの濃度により最適な凝集シグナルが得られる。最適化されたビオチン又はビオシチン濃度を用いた典型的な実験結果を、表2及び図2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
〔実施例3〕 ヘモグロビンA1cに対するアッセイ
材料及び装置
試薬 R1
ハプテン−ビオチンコンジュゲートを、米国特許第5,219,764号(Huberら)に従って合成した。
【0069】
試薬 R2
HEPES(25℃にてpKa=7.5)バッファー(0.005 M, pH 7.5):
1.19 gのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)を1.0 Lの水に溶解した。
【0070】
アッセイ測定は全て、以下のアッセイプロトコルに従って、Hitachi, Ltd.(Tokyo, Japan)製のHitachi 717 Automatic Analyzer, Part No. 717−0016, 製造番号6100−05を用いて行った。
溶血させたヒト血液サンプルは、Karl J.らの「新規の免疫比濁法によるHbA1cアッセイの開発及び規格化(Development and Standardization of a New Immunoturbidimetric HbA1c Assay)、Klin Lab 39, 991−996 (1993)」に従って調製した。
【0071】
本実施例に従って実施した最初の典型的な実験の結果を図3に示す。第2の典型的実験の結果は以下の通りである(表3)。
【0072】
【表3】
上記方法におけるビオチンの存在が、向上したアッセイ精度(示されている低減したCV値から明らかである)をもたらすことは明らかである。
【0073】
引用文献のリスト
Engvall, EおよびPerlman, P., Immunochemistry 8 (1971) 871−4
Green, N.M., Methods Enzymol 184 (1990) 51−67
Green, N.M.ら, Biochem J 125 (1971) 781−91
Weber, P.C.ら, Science 243 (1989) 85−8
Akiyama, N.ら, Protein Expr Purif 3 (1992) 427−33
Nutikka, A.ら, Clin Biochem 24 (1991) 469−73
Morgan, H.ら, Polymerization of avidin and streptavidin with aromatic
bisbiotin ligands in ”Polym. Sci., Part A: Polm. Chem.” (1994) 1331−1340,
Univ. Wales, Bangor/Gwynedd, LL57 1, UK, Inst. Mol. Biomol. Electron.
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US 4,298,685
US 6,096,508
US 5,344,757
US 5,268,306
【0074】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のサンプル中のアナライトの検出又は測定方法によれば、より高い感度及び/又は精度のアッセイを実施することができる。また本発明により提供される試験キットは、本発明に係るサンプル中のアナライトの改善された検出又は測定方法を実施する上で非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ジゴキシンアッセイ試薬中のビオチンの濃度に依存して生じるシグナルを示し、これは生じたシグナルに相関するジゴキシンアッセイの測定範囲を示した図である。
【図2】ビオチン類似体であるビオシチンによる特異的凝集のモジュレートを示した図である。
【図3】試薬R1中の遊離ビオチンの存在及び不在下でのHbAlcアッセイ精度[% CV; CV =変動係数]を示した図である。
【図4】本発明の好ましいアッセイ形式をまとめた図である。
Claims (6)
- 少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含んでなる均一特異的結合アッセイによりサンプル中のアナライトを検出又は測定する方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、前記方法。
- 前記ハプテン/抗ハプテン系が、ジゴキシン又はジゴキシゲニンと、それぞれ抗ジゴキシン抗体又は抗ジゴキシゲニン抗体とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記ハプテン様結合対が、ビオチンとアビジン及び/又はストレプトアビジンを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
- 少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む、サンプル中のアナライトの検出又は測定に用いる均一特異的結合アッセイの感度を向上させる方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、前記方法。
- 少なくとも1種のハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を含む、サンプル中のアナライトの検出又は測定に用いる均一特異的結合アッセイの精度を向上させる方法であって、少なくとも1のインキュベーション工程において遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を存在させることを特徴とする、前記方法。
- ハプテン/抗ハプテン又はハプテン様結合対を利用してサンプル中のアナライトを検出又は測定する均一特異的結合アッセイを行うためのアッセイキットであって、遊離形態の前記ハプテン又はハプテン様分子を含有する少なくとも1種の試薬を含むことを特徴とする、前記キット。
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