JP3543219B2 - アーク溶接方法 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、溶接方法、特に、溶接ワイヤーを用いるアーク溶接方法に関する。
背景技術
金属製のワークに対して溶接を施すための方法として、アーク溶接方法が知られている。この溶接方法では、溶接ワイヤーとワークとの間に電圧を印加しながら溶接ワイヤーをワークに接触させ、この際の通電により溶融する溶接ワイヤーの先端部をワークに溶着させる。そして、溶接ワイヤーの先端部が溶融している状態の間に溶接ワイヤーをワークから離してワーク上の次の溶接部と対向させ、当該次の溶接部に対して引き続き同様の溶接を施す。
上述のアーク溶接方法においては、一連の溶接工程中、溶接ワイヤーに対して継続的に電圧を印加しているため、溶接ワイヤーがワークから離れた瞬間にその先端部分が破裂する場合がある。破裂した溶接ワイヤーの先端部は、溶滴となってワーク上に飛び散り、ワーク上にスパッタを発生させて溶接部付近の見栄えや仕上がり感を損なうおそれがある。
ところで、上述のようなスパッタの発生は、通常、溶接部位に炭酸ガスや炭酸ガスとアルゴンガスとの混合ガスなどの各種のガスを供給すると有効に抑制できることが知られている。しかし、このようなガスの利用は溶接コストを高める原因になり、また、利用するガスの種類によっては、環境保護の観点から、その使用量が今後規制される可能性も予想される。
本発明の目的は、アーク溶接方法において、溶接部位へ供給するガスの使用量を抑制しながらスパッタの発生を抑制することにある。
発明の開示
本発明に係るアーク溶接方法は、溶接ワイヤーを用いてワークに対して溶接を施すための方法である。この溶接方法は、溶接ワイヤーとワークとの間に電圧を印加しながら溶接ワイヤーをワークに接触させ、この際に溶融する溶接ワイヤーの端部をワークに溶着させるための工程と、溶接ワイヤーとワークとの接触中における溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値を求め、当該電気抵抗値の最小値を検出するための工程と、前記抵抗値の最小値を検出した後に、溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止するための工程と、を含んでいる。
ここで、溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値は、例えば、溶接ワイヤーとワークとの間の電圧値と電流値とを計測し、この電圧値および電流値に基づいて求めている。
また、溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止するのは、例えば、上述の電気抵抗値の最小値を検出した時点から所定時間が経過したときである。ここでの所定時間は、例えば、溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値が、予め求められた、溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値の最大値と、上述の最小値との差の10%以上98%以下の電気抵抗値を上述の最小値に加えた電気抵抗値に到達するのに要する時間である。または、所定時間は、例えば0.5msである。
或いは、溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止するのは、例えば、上述の電気抵抗値の最小値を検出した時点から、溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値が上昇して所定の電気抵抗値に到達したときである。ここでの所定の電気抵抗値は、例えば、予め求められた、溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値の最大値と、上述の最小値との差の10%以上98%以下の電気抵抗値を上述の最小値に加えた電気抵抗値である。
なお、溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止する時間は、例えば0.25msである。
このような本発明のアーク溶接方法では、アークに対して溶着する溶接ワイヤーの端部により、ワークに対して所要の溶接が施される。このような溶接過程において、溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値の最小値を検出した後に溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止すると、溶接ワイヤーは先端部での破裂を起こしにくくなる。このため、ワーク上には溶接ワイヤーからの溶滴が飛散しにくくなり、ワーク上におけるスパッタの発生が効果的に抑制される。
また、本発明に係るアーク溶接装置は、溶接ワイヤーを用いてワークに対して溶接を施すためのものである。このアーク溶接装置は、溶接ワイヤーとワークとの間に電圧を印加するための手段と、溶接ワイヤーをワークに接触するよう移動させるための手段と、溶接ワイヤーとワークとの接触中における溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値を求め、当該電気抵抗値の最小値を検出するための手段と、電気抵抗値の最小値を検出した後に、溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止するための手段とを備えている。
このような本発明のアーク溶接装置は、溶接ワイヤーを移動させてワークに接触させる。この結果、溶接ワイヤーとワークとの間に印加されている電圧により溶接ワイヤーが溶融し、ワークに対して所要の溶接が施される。このような溶接ワイヤーとワークとの接触中において、電気抵抗値の最小値を検出した後に溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止すると、溶接ワイヤーは先端部での破裂を起こしにくくなる。このため、ワーク上には溶接ワイヤーからの溶滴が飛散しにくくなり、ワーク上におけるスパッタの発生が効果的に抑制される。
本発明の他の目的および効果は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施の一形態に係るガスメタルアーク溶接装置の概略図である。第2図は、このガスメタルアーク溶接装置に採用された制御装置の概略構成を示す図である。第3図は、このガスメタルアーク溶接装置の制御フローチャートの一部である。第4図は、このガスメタルアーク溶接装置の制御フローチャートの一部である。第5図は、このガスメタルアーク溶接装置の制御フローチャートの一部である。第6図は、このガスメタルアーク溶接装置の制御フローチャートの一部である。第7図は、このガスメタルアーク溶接装置による溶接過程を示す図である。第8図は、この溶接過程における溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値の変化を示す図である。第9図は、本発明の変形例に係るガスメタルアーク溶接装置の制御フローチャートの一部である。
発明の詳細な説明
第1図を参照して、本発明の実施の一形態に係るガスメタルアーク溶接方法を実施するための溶接装置を説明する。図において、ガスメタルアーク溶接装置1は、キャリヤー2、トーチ3、ワイヤーフィーダー4、電源装置5、炭酸ガスボンベ6および制御装置7を主に備えている。
キャリヤー2は、溶接を施す対象となるワークWを載置するためのものであり、図示しない移動装置により、図の左方向に一定速度で移動し得るように構成されている。
トーチ3は、キャリヤー2の上方に配置されており、ワークWに対して溶接を施すための溶接ワイヤー8を保持している。トーチ3に保持された溶接ワイヤー8は、図の下方、すなわちキャリヤー2方向に延びており、キャリヤー2上のワークWと対向している。なお、溶接ワイヤー8は、一般に市販されている溶接用の金属製のワイヤーである。
このようなトーチ3は、モーター9を備えている。このモーター9は、トーチ3を上下方向に移動させるためのものであり、正転したときにトーチ3を下方に移動させ、逆転したときにトーチ3を上方に移動させるように設定されている。
また、トーチ3は、ワークW方向に延びる溶接ワイヤー8の出口付近に図示しないガス噴出口を有している。このガス噴出口は、トーチ3から突出する溶接ワイヤー8の周りを覆い包むようにかつワークW方向に吹き付けるようにガス(炭酸ガス)を噴出できるように設定されている。
ワイヤーフィーダー4は、トーチ3に向けて溶接ワイヤー8を供給するためのものであり、一定の速度で溶接ワイヤー8を送り出すことができるように設定されている。
電源装置5は、キャリヤー2上に載置されたワークWとトーチ3に保持された溶接ワイヤー8との間に電圧を印加するためのものであり、正極がトーチ3を介して溶接ワイヤー8に接続されており、負極がワークWに接続されている。なお、この電源装置5は、例えば電子制御によりON/OFFが可能なものが用いられる。
炭酸ガスボンベ6は、トーチ3に接続されており、トーチ3のガス噴出口から噴出させる炭酸ガスを供給するためのものである。
制御装置7は、ガスメタルアーク溶接装置1の動作を制御するためのものであり、第2図に示すように、制御を司るための中央処理装置(CPU)10、各種のデータを記憶するためのランダムアクセスメモリー(RAM)11、制御プログラムが記録された読み取り専用メモリー(ROM)12および入出力ポート13を備えている。入出力ポート13の入力側には、電圧用A/D変換器14および電流用A/D変換器15の他、オペレーターが所定の情報や処理命令等を入力するためのキーボード等のその他の入力装置が接続されている。また、入出力ポート13の出力側には、電源装置5、モーター9およびワイヤーフィーダー4やキャリヤー2などのその他の装置が接続されている。
電圧用A/D変換器14は、溶接ワイヤー8とワークWとが導通したときの電圧値を測定するための電圧測定回路16(第1図)に接続されている。この電圧測定回路16は、電源装置5とトーチ3とを接続する電源回路17に一端が接続されており、また、他端がワークWと電源装置5とを接続する電源回路18に接続されている。したがって、電圧測定回路16は、結果的に両電源回路17,18からなる一連の電源回路に対して並列に接続されている。
一方、電流用A/D変換器15は、溶接ワイヤー8とワークWとが導通したときの電流値を測定するための電流測定回路19(第1図)に接続されている。この電流測定回路19は、電源回路18に設けられたシャント抵抗20から分岐して設けられており、結果的に電源回路18に対して直列に接続されている。
次に、上述のガスメタルアーク溶接装置1を用いたアーク溶接方法について説明する。ここでは、第3図〜第6図に示す制御フローチャートを参照して、上述のガスメタルアーク溶接装置1による溶接動作を説明する。
オペレーターがガスメタルアーク溶接装置1の電源をONにすると、制御プログラムは、先ずステップS1において、キャリヤー2を初期位置に設定したり、電源装置5を作動させるなどの初期設定を行う。この際、炭酸ガスボンベ6からトーチ3への炭酸ガスの供給も開始される。
次に、ステップS2において、プログラムは、オペレーターが所定値を入力するのを待つ。ここで、所定値とは、溶接ワイヤー8の断面積Sや材料定数Cなどである。因に、材料定数Cは、溶接ワイヤー8を構成する金属材料に固有の定数である。オペレーターが必要な所定値を入力すると、プログラムはステップS2からステップS3に移行し、入力された各種の所定値をRAM11に記録する。
ステップS3の後、プログラムは、ステップS4において、オペレーターが溶接ワイヤー8とワークW上の被溶接部との間の最適距離D(第1図参照)を入力するのを待つ。なお、最適距離Dは、溶接ワイヤー8やワークWの種類などにより異なり、オペレーターが適宜設定することができる。オペレーターが最適距離Dを入力すると、ステップS5において当該最適距離DがRAM11に記録される。
次に、ステップS6において、プログラムは、オペレーターが溶接開始命令を入力するのを待つ。オペレーターが溶接開始命令を入力すると、プログラムはステップS7に移行し、そこでモーター9を正転させる。これにより、溶接ワイヤー8を保持したトーチ3が第1図の下方に向けて、即ち、ワークW方向に向けて移動する。トーチ3の移動により溶接ワイヤー8の先端部がワークW上の被溶接部に接触すると、溶接ワイヤー8とワークWとが導通し、プログラムは、これによる電気信号を受けてステップS8において導通状態を確認すると共にモーター9を停止させ、次のステップS9に移行する。
このように溶接ワイヤー8とワークWとが接触して導通すると、電源装置5からの電流が溶接ワイヤー8からワークWに流れ、ワークW上の被溶接部に溶接が施される。
第7図を参照して、このような溶接時の状況をより詳細に説明する。先ず、第7図の(a)に示すように、溶接ワイヤー8がワークWの被溶接部W1に接触すると、電源装置5により溶接ワイヤー8とワークWとの間に電流が流れ、両者間に電圧が印加される。この結果、溶接ワイヤー8の先端部が温められ、第7図の(b)に示すように溶接ワイヤー8の先端部が溶解して被溶接部W1上で表面張力によりすそ拡がりの状態となり、当該被溶接部W1に溶着し始める。この状態が進行すると、第7図の(c)に示すように溶接ワイヤー8がネッキングし、やがて第7図の(d)に示すように溶接ワイヤー8が途切れてワークWから離れる。これにより、被溶接部W1には、溶着した溶接ワイヤー8の先端部による溶接が施されることになる。なお、ワークWから離れた溶接ワイヤー8の先端部は、第7図の(e)に示すように、キャリヤー2が第1図の左方向に徐々に移動しているためにワークW上の次の被溶接部W2の上方に配置される。
上述のような一連の溶接過程において、プログラムは、溶接ワイヤー8とワークWとの接触当初から、溶接ワイヤー8とワークWとの間に流れる電流の電圧値および電流値の測定を開始する(ステップS9)。ここで、電圧値は、電圧測定回路16における電圧値を電圧用A/D変換器14でデジタル信号化することに測定され、また、電流値は、電流測定回路19を流れる電流値を電流用A/D変換器15でデジタル信号化することにより測定される。
次に、ステップS10において、測定された電圧値と電流値とに基づいて、溶接ワイヤー8とワークWとの間の電気抵抗値Rを計算する。そして、ステップS11において計算した電気抵抗値Rを記録し、さらにステップS12において電気抵抗値Rを時間で微分する。次のステップS13では、電気抵抗値Rの微分値が0またはそれ以上(すなわち、正の値)になったか否かを判断する。ステップS13において、“No”と判断した場合、プログラムはステップS9に戻り、ステップS13において“Yes”と判断するまでステップS9からステップS13を繰り返す。このような繰り返し動作では、溶接ワイヤー8とワークWとの間の電気抵抗値Rが連続的に計測され、最新の電気抵抗値Rがステップ11において記録されることになる。
ここで、電気抵抗値Rの変化の様子を説明する。第8図に示すように、電気抵抗値Rは、溶接ワイヤー8とワークWとの接触当初(即ち、第7図の(a)の時点)から徐々に小さくなり、溶接ワイヤー8がネッキングすることなく溶融してワークWとの接触面積が最も広くなった時点(即ち、第7図の(b)の時点)で最も小さくなる。そして、溶接ワイヤー8がネッキングし始めると(例えば、第7図の(c)の時点)、電気抵抗値Rは徐々に大きくなり始め、溶接ワイヤー8の先端部がワークWから離れる直前が最大値Rmaxになる。したがって、ステップS13において“Yes”と判断されるのは、電気抵抗値Rが減少から増加に転じる時点、すなわち電気抵抗値Rの最小値Rminの時点になる。この最小値Rminは、ステップS11においてRAM11に記録される。
次のステップS14では、ステップS13で“Yes”と判断した時点の時間(t)を制御装置7の内部タイマーで0に設定する。すなわち、t=0に設定されるのは、電気抵抗値Rが最小値Rminになった時点になる。次に、ステップS15において、t=0に設定してからの経過時間がt1に達したか否かを判断する。ここで、経過時間t1は、例えば、電気抵抗値Rが最小値Rminと最大値Rmaxとの差の10%以上98%以下、好ましくは50%以上97%以下、より好ましくは75%以上95%以下の電気抵抗値分最小値Rminから増加するのに要する時間を想定した時間であり(第8図参照)、通常は最小値Rminの時点から0.5ms程度である。なお、最大値Rmaxは、上述のように溶接ワイヤー8がワークWから離れる直前、すなわち、電気抵抗値Rが無限大となる直前の電気抵抗値であり、予め実験的に求めて制御装置7に記憶させておくことができる。
ステップS15において、“Yes”と判断した場合は、次のステップS16において電源装置5をOFFにする。これにより、溶接ワイヤー8とワークWとの間に電圧が印加されるのが停止され、溶接ワイヤー8がワークWから離れたとき(即ち、第7図の(d)のとき)に溶接ワイヤー8の先端部が破裂するのが防止される。この結果、ワークW上には、溶接ワイヤーからの溶滴が飛散しにくくなり、スパッタの生成が起こりにくくなる。なお、上述のように電源装置5をOFFにした場合であっても、溶接ワイヤー8の先端部は、余熱による溶融状態にあり、キャリヤー2によるワークWの移動に従ってワークWから自然に離れることができる。
次に、ステップS17において、時間tがさらにα時間経過したか否か、すなわち、時間tがt1+αになったか否かを判断する。ここで、αは、通常、0.25ms程度の時間である。ステップS17において“Yes”と判断した場合、プログラムはステップS18に移行し、再び電源装置5をONにする。これにより、再び溶接ワイヤー8とワークWとの間に電圧が印加され、溶接が可能な状態に設定される。
次のステップS19において、プログラムは、下記の数式(1)に従って、溶接ワイヤー8とワークWとの最適距離Dを達成するために必要な補正値Lを計算する。なお、数式(1)において、RminはステップS11で記録された抵抗値Rの上述の最小値であり、また、CおよびSは、ステップS3で記録された、それぞれ溶接ワイヤー8の材料定数および断面積である。
ステップS20では、ステップS5において記録された最適距離D値からステップS19で得られた補正値Lを引き、差Xを算出する。そして、次のステップS21において、差Xが0であるか否かを判断する。ステップS21において“Yes”と判断した場合は、第7図の(e)において溶接ワイヤー8の先端部とワークWの次の被溶接部W2との距離dが既に最適距離Dになっているため、プログラムはステップS7に戻り、被溶接部W2に対してステップS7以下の溶接動作を繰り返す。
一方、ステップS21において“No”と判断した場合、プログラムはステップS22に移行し、そこで差Xが0よりも大きいか否かを判断する。ステップS22において“Yes”と判断した場合、プログラムはステップS23に移行し、モーター9を逆転させる。これにより、トーチ3が第1図の上方に移動する。次のステップS24では、トーチ3が差X相当分だけ移動したか否かを判断する。なお、この移動量は、モーター9の作動量に置き換えて判断することができる。
トーチ3の移動量が差X相当分になると、プログラムはステップS24からステップS25に移行し、モーター9を停止する。この結果、溶接ワイヤー8の先端部とワークWの次の被溶接部W2との間の距離d(第7図の(e)参照)は最適距離Dに設定される。ステップS25の終了後、プログラムはステップS7に戻り、被溶接部W2に対してステップS7以下の溶接動作を繰り返す。
ステップS22において“No”と判断した場合、プログラムはステップS26に移行し、モーター9を正転させる。これにより、トーチ3が第1図の下方に移動する。次のステップS27では、トーチ3が差Xの絶対値相当分だけ移動したか否かを判断する。なお、この移動量は、上述の通りモーター9の作動量に置き換えて判断することができる。
トーチ3の移動量が差Xの絶対値相当分になると、プログラムはステップS27からステップS28に移行し、モーター9を停止する。この結果、溶接ワイヤー8の先端部とワークWの次の被溶接部W2との間の距離d(第7図の(e)参照)は最適距離Dに設定される。ステップS28の終了後、プログラムはステップS7に戻り、被溶接部W2に対してステップS7以下の溶接動作を繰り返す。
上述のように、本実施の形態では、ステップS16において一時的に電源装置5をOFFにしているため、溶接ワイヤー8の先端部がワークWから離れたときに破裂しにくく、結果的にワークW上にはスパッタが発生しにくい。従って、この実施の形態では、従来のアーク溶接方法の場合のようにワークWに向けて吹き付ける炭酸ガス中にスパッタを抑制するための高価なアルゴンガスを混入しなくても、或いは、そのような炭酸ガスの使用量(吹き付け量)そのものを減少させた場合であっても、仕上がり感が良好な溶接を安価に実現することができる。
また、この実施の形態では、溶接ワイヤー8とワークWとの接触中の電気抵抗値Rの最小値Rminに基づいて補正値Lを算出し、これに従って溶接ワイヤー8とワークW上の被溶接部との最適距離Dが達成されるようにトーチ3を移動させている。ここで、電気抵抗値Rは、溶接ワイヤー8とワークWとの接触中における電圧値や電流値に比べて安定した状態で得られるので、その最小値Rminを正確に得ることができる。このため、トーチ3は、最適距離Dが達成されるように、溶接ワイヤー8を正確に上下方向に移動させることができる。従って、上述のガスメタルアーク溶接装置1によれば、ワークWの被溶接部の形状(例えば起伏等)に沿って最適距離Dが確保されるよう溶接ワイヤー8を自動的に移動させることができ、ワークWに対して仕上がりの良好な溶接を安定に施すことができる。
なお、上述の実施の形態では、ステップS15で判断する経過時間t1を上述のように設定したが、本発明はこれに限定されない。この経過時間t1は、電気抵抗値Rの最小値Rminが検出された時点から溶接ワイヤー8がワークWから離れる直前(すなわち、溶接ワイヤー8のネッキングが十分に生じた時点)までに要する時間の範囲で任意に設定されていてもよい。
また、上述の実施の形態では、溶接ワイヤー8とワークWとの間への電圧の印加を一時的に停止するタイミングを最小値Rminが検出された時点からの経過時間(例えば、上述の経過時間t1)に基づいて決定するようにしているが、このタイミングは、他の基準に従って決定してもよい。例えば、最小値Rminを検出後も溶接ワイヤー8とワークWとの間の電気抵抗値Rの計測(算出)を継続し、その電気抵抗値Rが上昇して所定の電気抵抗値、すなわち、最小値Rminと予め実験的に求められて記憶された最大値Rmaxとの間の所定の電気抵抗値になったときに、電圧の印加を一時的に停止するようにしてもよい。
なお、ここでいう所定の電気抵抗値は、通常、最小値Rminと最大値Rmaxとの差の10%以上98%以下、好ましくは50%以上97%以下、より好ましくは75%以上95%以下の電気抵抗値分を最小値Rminに加えた電気抵抗値に設定するのが好ましい。このような所定の電気抵抗値に到達する前に電圧の印加を一時的に停止すると、溶接ワイヤー8がワークWから滑らかに離れにくくなる可能性があり、スパッタの発生は抑制されるものの、結果的に溶接の仕上がり感が損なわれるおそれがある。
第9図を参照して、上述のような所定の電気抵抗値を基準として電圧の印加を一時的に停止する場合の動作を具体的に示す。この変形例では、上述の実施の形態の場合の制御フローチャートの一部、すなわち、ステップS8からステップS18の間が第9図に示すステップS29からステップS41のように変更されている。以下、この変形例の動作を第9図に基づいて説明する。なお、ここでは、制御装置7において、上述のような所定の電気抵抗値(以下、電気抵抗値R1と称す)が予め記憶されているものとする。
プログラムは、上述の実施の形態の場合と同様に動作してステップS8に到達し、そこで溶接ワイヤー8とワークWとの導通を確認すると、次のステップS29において溶接ワイヤー8とワークWとの間に流れる電流の電圧値および電流値の測定を開始する。ここで、電圧値および電流値は、上述の実施の形態の場合と同様に測定される。
次に、ステップS30において、測定された電圧値と電流値とに基づいて、溶接ワイヤー8とワークWとの間の電気抵抗値Rを計算する。そして、次のステップS31において、計算された電気抵抗値Rが所定の電気抵抗値R1以上であるか否かを判断する。電気抵抗値Rが所定の電気抵抗値R1よりも大きい場合、プログラムはステップS32に移行し、そこでCPU10内の特定のフラグがONになっているか否かを判断する。フラグがONになっていなければ、プログラムはステップS30において計算した電気抵抗値Rを記録し(ステップS33)、さらにステップS34において電気抵抗値Rを時間で微分する。次のステップS35では、電気抵抗値Rの微分値が0またはそれ以上(すなわち、正の値)になったか否かを判断する。ステップS35において、“No”と判断した場合、プログラムはステップS29に戻り、ステップS35において“Yes”と判断するまでステップS29からステップS35を繰り返す。このような繰り返し動作では、溶接ワイヤー8とワークWとの間の電気抵抗値Rが連続的に求められ、最初の電気抵抗値Rがステップ33において記録されることになる。なお、ここでの電気抵抗値Rの変化の様子は上述の実施の形態において説明した通りである。
ステップS35において“Yes”と判断した場合、すなわち、電気抵抗値Rの最小値Rminが検出されると(なお、この最小値RminはステップS33においてRAM11に記録されているが、消去されないようRAM11内において別途保存される)、プログラムはステップS36に移行し、そこで上述の特定のフラグがONになっているか否かを判断する。フラグがONになっている場合、プログラムはステップS29に戻り、ステップS29からステップS36までの同じ動作を繰り返す。一方、フラグがONになっていない場合、プログラムは、ステップS37においてCPU10内の特定のフラグ(これは、ステップS32およびステップS36において判断の対象となるフラグである)をONに設定し、その後ステップS29に戻る。
このような一連の動作において、電気抵抗値Rが最小値Rminを経過後に上昇し、上述の所定の電気抵抗値R1に達すると、プログラムは、ステップS32において“Yes”と判断し、ステップS38に移行する。ステップS38では、そのときの時間(t)を制御装置7の内部タイマーで0に設定する。次に、ステップS39において、電源装置5をOFFにする。これにより、溶接ワイヤー8とワークWとの間に電圧が印加されるのが停止され、溶接ワイヤー8がワークWから離れたとき(即ち、第7図の(d)のとき)に溶接ワイヤー8の先端部が破裂するのが防止される。この結果、ワークW上には、溶接ワイヤーからの溶滴が飛散しにくくなるので、スパッタの生成が起こりにくくなる。なお、上述のように電源装置5をOFFにした場合であっても、溶接ワイヤー8の先端部は、余熱による溶融状態にあり、キャリヤー2によるワークWの移動に従ってワークWから自然に離れることができる。
ステップS39の後、プログラムは、ステップS40において上述の特定のフラグをOFFに設定し、続いて、ステップS38において内部タイマーを0に設定してからα時間経過したか否か、すなわち、時間tがαになったか否かをステップS41で判断する。ここで、αは、通常、0.25ms程度の時間である。ステップS41において“Yes”と判断した場合、プログラムは上述の実施の形態の場合と同じくステップS18に移行して再び電源装置5をONにし、その後上述の実施の形態の場合と同様に動作する。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
本発明は、溶接方法、特に、溶接ワイヤーを用いるアーク溶接方法に関する。
背景技術
金属製のワークに対して溶接を施すための方法として、アーク溶接方法が知られている。この溶接方法では、溶接ワイヤーとワークとの間に電圧を印加しながら溶接ワイヤーをワークに接触させ、この際の通電により溶融する溶接ワイヤーの先端部をワークに溶着させる。そして、溶接ワイヤーの先端部が溶融している状態の間に溶接ワイヤーをワークから離してワーク上の次の溶接部と対向させ、当該次の溶接部に対して引き続き同様の溶接を施す。
上述のアーク溶接方法においては、一連の溶接工程中、溶接ワイヤーに対して継続的に電圧を印加しているため、溶接ワイヤーがワークから離れた瞬間にその先端部分が破裂する場合がある。破裂した溶接ワイヤーの先端部は、溶滴となってワーク上に飛び散り、ワーク上にスパッタを発生させて溶接部付近の見栄えや仕上がり感を損なうおそれがある。
ところで、上述のようなスパッタの発生は、通常、溶接部位に炭酸ガスや炭酸ガスとアルゴンガスとの混合ガスなどの各種のガスを供給すると有効に抑制できることが知られている。しかし、このようなガスの利用は溶接コストを高める原因になり、また、利用するガスの種類によっては、環境保護の観点から、その使用量が今後規制される可能性も予想される。
本発明の目的は、アーク溶接方法において、溶接部位へ供給するガスの使用量を抑制しながらスパッタの発生を抑制することにある。
発明の開示
本発明に係るアーク溶接方法は、溶接ワイヤーを用いてワークに対して溶接を施すための方法である。この溶接方法は、溶接ワイヤーとワークとの間に電圧を印加しながら溶接ワイヤーをワークに接触させ、この際に溶融する溶接ワイヤーの端部をワークに溶着させるための工程と、溶接ワイヤーとワークとの接触中における溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値を求め、当該電気抵抗値の最小値を検出するための工程と、前記抵抗値の最小値を検出した後に、溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止するための工程と、を含んでいる。
ここで、溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値は、例えば、溶接ワイヤーとワークとの間の電圧値と電流値とを計測し、この電圧値および電流値に基づいて求めている。
また、溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止するのは、例えば、上述の電気抵抗値の最小値を検出した時点から所定時間が経過したときである。ここでの所定時間は、例えば、溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値が、予め求められた、溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値の最大値と、上述の最小値との差の10%以上98%以下の電気抵抗値を上述の最小値に加えた電気抵抗値に到達するのに要する時間である。または、所定時間は、例えば0.5msである。
或いは、溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止するのは、例えば、上述の電気抵抗値の最小値を検出した時点から、溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値が上昇して所定の電気抵抗値に到達したときである。ここでの所定の電気抵抗値は、例えば、予め求められた、溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値の最大値と、上述の最小値との差の10%以上98%以下の電気抵抗値を上述の最小値に加えた電気抵抗値である。
なお、溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止する時間は、例えば0.25msである。
このような本発明のアーク溶接方法では、アークに対して溶着する溶接ワイヤーの端部により、ワークに対して所要の溶接が施される。このような溶接過程において、溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値の最小値を検出した後に溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止すると、溶接ワイヤーは先端部での破裂を起こしにくくなる。このため、ワーク上には溶接ワイヤーからの溶滴が飛散しにくくなり、ワーク上におけるスパッタの発生が効果的に抑制される。
また、本発明に係るアーク溶接装置は、溶接ワイヤーを用いてワークに対して溶接を施すためのものである。このアーク溶接装置は、溶接ワイヤーとワークとの間に電圧を印加するための手段と、溶接ワイヤーをワークに接触するよう移動させるための手段と、溶接ワイヤーとワークとの接触中における溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値を求め、当該電気抵抗値の最小値を検出するための手段と、電気抵抗値の最小値を検出した後に、溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止するための手段とを備えている。
このような本発明のアーク溶接装置は、溶接ワイヤーを移動させてワークに接触させる。この結果、溶接ワイヤーとワークとの間に印加されている電圧により溶接ワイヤーが溶融し、ワークに対して所要の溶接が施される。このような溶接ワイヤーとワークとの接触中において、電気抵抗値の最小値を検出した後に溶接ワイヤーとワークとの間への電圧の印加を一時的に停止すると、溶接ワイヤーは先端部での破裂を起こしにくくなる。このため、ワーク上には溶接ワイヤーからの溶滴が飛散しにくくなり、ワーク上におけるスパッタの発生が効果的に抑制される。
本発明の他の目的および効果は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施の一形態に係るガスメタルアーク溶接装置の概略図である。第2図は、このガスメタルアーク溶接装置に採用された制御装置の概略構成を示す図である。第3図は、このガスメタルアーク溶接装置の制御フローチャートの一部である。第4図は、このガスメタルアーク溶接装置の制御フローチャートの一部である。第5図は、このガスメタルアーク溶接装置の制御フローチャートの一部である。第6図は、このガスメタルアーク溶接装置の制御フローチャートの一部である。第7図は、このガスメタルアーク溶接装置による溶接過程を示す図である。第8図は、この溶接過程における溶接ワイヤーとワークとの間の電気抵抗値の変化を示す図である。第9図は、本発明の変形例に係るガスメタルアーク溶接装置の制御フローチャートの一部である。
発明の詳細な説明
第1図を参照して、本発明の実施の一形態に係るガスメタルアーク溶接方法を実施するための溶接装置を説明する。図において、ガスメタルアーク溶接装置1は、キャリヤー2、トーチ3、ワイヤーフィーダー4、電源装置5、炭酸ガスボンベ6および制御装置7を主に備えている。
キャリヤー2は、溶接を施す対象となるワークWを載置するためのものであり、図示しない移動装置により、図の左方向に一定速度で移動し得るように構成されている。
トーチ3は、キャリヤー2の上方に配置されており、ワークWに対して溶接を施すための溶接ワイヤー8を保持している。トーチ3に保持された溶接ワイヤー8は、図の下方、すなわちキャリヤー2方向に延びており、キャリヤー2上のワークWと対向している。なお、溶接ワイヤー8は、一般に市販されている溶接用の金属製のワイヤーである。
このようなトーチ3は、モーター9を備えている。このモーター9は、トーチ3を上下方向に移動させるためのものであり、正転したときにトーチ3を下方に移動させ、逆転したときにトーチ3を上方に移動させるように設定されている。
また、トーチ3は、ワークW方向に延びる溶接ワイヤー8の出口付近に図示しないガス噴出口を有している。このガス噴出口は、トーチ3から突出する溶接ワイヤー8の周りを覆い包むようにかつワークW方向に吹き付けるようにガス(炭酸ガス)を噴出できるように設定されている。
ワイヤーフィーダー4は、トーチ3に向けて溶接ワイヤー8を供給するためのものであり、一定の速度で溶接ワイヤー8を送り出すことができるように設定されている。
電源装置5は、キャリヤー2上に載置されたワークWとトーチ3に保持された溶接ワイヤー8との間に電圧を印加するためのものであり、正極がトーチ3を介して溶接ワイヤー8に接続されており、負極がワークWに接続されている。なお、この電源装置5は、例えば電子制御によりON/OFFが可能なものが用いられる。
炭酸ガスボンベ6は、トーチ3に接続されており、トーチ3のガス噴出口から噴出させる炭酸ガスを供給するためのものである。
制御装置7は、ガスメタルアーク溶接装置1の動作を制御するためのものであり、第2図に示すように、制御を司るための中央処理装置(CPU)10、各種のデータを記憶するためのランダムアクセスメモリー(RAM)11、制御プログラムが記録された読み取り専用メモリー(ROM)12および入出力ポート13を備えている。入出力ポート13の入力側には、電圧用A/D変換器14および電流用A/D変換器15の他、オペレーターが所定の情報や処理命令等を入力するためのキーボード等のその他の入力装置が接続されている。また、入出力ポート13の出力側には、電源装置5、モーター9およびワイヤーフィーダー4やキャリヤー2などのその他の装置が接続されている。
電圧用A/D変換器14は、溶接ワイヤー8とワークWとが導通したときの電圧値を測定するための電圧測定回路16(第1図)に接続されている。この電圧測定回路16は、電源装置5とトーチ3とを接続する電源回路17に一端が接続されており、また、他端がワークWと電源装置5とを接続する電源回路18に接続されている。したがって、電圧測定回路16は、結果的に両電源回路17,18からなる一連の電源回路に対して並列に接続されている。
一方、電流用A/D変換器15は、溶接ワイヤー8とワークWとが導通したときの電流値を測定するための電流測定回路19(第1図)に接続されている。この電流測定回路19は、電源回路18に設けられたシャント抵抗20から分岐して設けられており、結果的に電源回路18に対して直列に接続されている。
次に、上述のガスメタルアーク溶接装置1を用いたアーク溶接方法について説明する。ここでは、第3図〜第6図に示す制御フローチャートを参照して、上述のガスメタルアーク溶接装置1による溶接動作を説明する。
オペレーターがガスメタルアーク溶接装置1の電源をONにすると、制御プログラムは、先ずステップS1において、キャリヤー2を初期位置に設定したり、電源装置5を作動させるなどの初期設定を行う。この際、炭酸ガスボンベ6からトーチ3への炭酸ガスの供給も開始される。
次に、ステップS2において、プログラムは、オペレーターが所定値を入力するのを待つ。ここで、所定値とは、溶接ワイヤー8の断面積Sや材料定数Cなどである。因に、材料定数Cは、溶接ワイヤー8を構成する金属材料に固有の定数である。オペレーターが必要な所定値を入力すると、プログラムはステップS2からステップS3に移行し、入力された各種の所定値をRAM11に記録する。
ステップS3の後、プログラムは、ステップS4において、オペレーターが溶接ワイヤー8とワークW上の被溶接部との間の最適距離D(第1図参照)を入力するのを待つ。なお、最適距離Dは、溶接ワイヤー8やワークWの種類などにより異なり、オペレーターが適宜設定することができる。オペレーターが最適距離Dを入力すると、ステップS5において当該最適距離DがRAM11に記録される。
次に、ステップS6において、プログラムは、オペレーターが溶接開始命令を入力するのを待つ。オペレーターが溶接開始命令を入力すると、プログラムはステップS7に移行し、そこでモーター9を正転させる。これにより、溶接ワイヤー8を保持したトーチ3が第1図の下方に向けて、即ち、ワークW方向に向けて移動する。トーチ3の移動により溶接ワイヤー8の先端部がワークW上の被溶接部に接触すると、溶接ワイヤー8とワークWとが導通し、プログラムは、これによる電気信号を受けてステップS8において導通状態を確認すると共にモーター9を停止させ、次のステップS9に移行する。
このように溶接ワイヤー8とワークWとが接触して導通すると、電源装置5からの電流が溶接ワイヤー8からワークWに流れ、ワークW上の被溶接部に溶接が施される。
第7図を参照して、このような溶接時の状況をより詳細に説明する。先ず、第7図の(a)に示すように、溶接ワイヤー8がワークWの被溶接部W1に接触すると、電源装置5により溶接ワイヤー8とワークWとの間に電流が流れ、両者間に電圧が印加される。この結果、溶接ワイヤー8の先端部が温められ、第7図の(b)に示すように溶接ワイヤー8の先端部が溶解して被溶接部W1上で表面張力によりすそ拡がりの状態となり、当該被溶接部W1に溶着し始める。この状態が進行すると、第7図の(c)に示すように溶接ワイヤー8がネッキングし、やがて第7図の(d)に示すように溶接ワイヤー8が途切れてワークWから離れる。これにより、被溶接部W1には、溶着した溶接ワイヤー8の先端部による溶接が施されることになる。なお、ワークWから離れた溶接ワイヤー8の先端部は、第7図の(e)に示すように、キャリヤー2が第1図の左方向に徐々に移動しているためにワークW上の次の被溶接部W2の上方に配置される。
上述のような一連の溶接過程において、プログラムは、溶接ワイヤー8とワークWとの接触当初から、溶接ワイヤー8とワークWとの間に流れる電流の電圧値および電流値の測定を開始する(ステップS9)。ここで、電圧値は、電圧測定回路16における電圧値を電圧用A/D変換器14でデジタル信号化することに測定され、また、電流値は、電流測定回路19を流れる電流値を電流用A/D変換器15でデジタル信号化することにより測定される。
次に、ステップS10において、測定された電圧値と電流値とに基づいて、溶接ワイヤー8とワークWとの間の電気抵抗値Rを計算する。そして、ステップS11において計算した電気抵抗値Rを記録し、さらにステップS12において電気抵抗値Rを時間で微分する。次のステップS13では、電気抵抗値Rの微分値が0またはそれ以上(すなわち、正の値)になったか否かを判断する。ステップS13において、“No”と判断した場合、プログラムはステップS9に戻り、ステップS13において“Yes”と判断するまでステップS9からステップS13を繰り返す。このような繰り返し動作では、溶接ワイヤー8とワークWとの間の電気抵抗値Rが連続的に計測され、最新の電気抵抗値Rがステップ11において記録されることになる。
ここで、電気抵抗値Rの変化の様子を説明する。第8図に示すように、電気抵抗値Rは、溶接ワイヤー8とワークWとの接触当初(即ち、第7図の(a)の時点)から徐々に小さくなり、溶接ワイヤー8がネッキングすることなく溶融してワークWとの接触面積が最も広くなった時点(即ち、第7図の(b)の時点)で最も小さくなる。そして、溶接ワイヤー8がネッキングし始めると(例えば、第7図の(c)の時点)、電気抵抗値Rは徐々に大きくなり始め、溶接ワイヤー8の先端部がワークWから離れる直前が最大値Rmaxになる。したがって、ステップS13において“Yes”と判断されるのは、電気抵抗値Rが減少から増加に転じる時点、すなわち電気抵抗値Rの最小値Rminの時点になる。この最小値Rminは、ステップS11においてRAM11に記録される。
次のステップS14では、ステップS13で“Yes”と判断した時点の時間(t)を制御装置7の内部タイマーで0に設定する。すなわち、t=0に設定されるのは、電気抵抗値Rが最小値Rminになった時点になる。次に、ステップS15において、t=0に設定してからの経過時間がt1に達したか否かを判断する。ここで、経過時間t1は、例えば、電気抵抗値Rが最小値Rminと最大値Rmaxとの差の10%以上98%以下、好ましくは50%以上97%以下、より好ましくは75%以上95%以下の電気抵抗値分最小値Rminから増加するのに要する時間を想定した時間であり(第8図参照)、通常は最小値Rminの時点から0.5ms程度である。なお、最大値Rmaxは、上述のように溶接ワイヤー8がワークWから離れる直前、すなわち、電気抵抗値Rが無限大となる直前の電気抵抗値であり、予め実験的に求めて制御装置7に記憶させておくことができる。
ステップS15において、“Yes”と判断した場合は、次のステップS16において電源装置5をOFFにする。これにより、溶接ワイヤー8とワークWとの間に電圧が印加されるのが停止され、溶接ワイヤー8がワークWから離れたとき(即ち、第7図の(d)のとき)に溶接ワイヤー8の先端部が破裂するのが防止される。この結果、ワークW上には、溶接ワイヤーからの溶滴が飛散しにくくなり、スパッタの生成が起こりにくくなる。なお、上述のように電源装置5をOFFにした場合であっても、溶接ワイヤー8の先端部は、余熱による溶融状態にあり、キャリヤー2によるワークWの移動に従ってワークWから自然に離れることができる。
次に、ステップS17において、時間tがさらにα時間経過したか否か、すなわち、時間tがt1+αになったか否かを判断する。ここで、αは、通常、0.25ms程度の時間である。ステップS17において“Yes”と判断した場合、プログラムはステップS18に移行し、再び電源装置5をONにする。これにより、再び溶接ワイヤー8とワークWとの間に電圧が印加され、溶接が可能な状態に設定される。
次のステップS19において、プログラムは、下記の数式(1)に従って、溶接ワイヤー8とワークWとの最適距離Dを達成するために必要な補正値Lを計算する。なお、数式(1)において、RminはステップS11で記録された抵抗値Rの上述の最小値であり、また、CおよびSは、ステップS3で記録された、それぞれ溶接ワイヤー8の材料定数および断面積である。
ステップS20では、ステップS5において記録された最適距離D値からステップS19で得られた補正値Lを引き、差Xを算出する。そして、次のステップS21において、差Xが0であるか否かを判断する。ステップS21において“Yes”と判断した場合は、第7図の(e)において溶接ワイヤー8の先端部とワークWの次の被溶接部W2との距離dが既に最適距離Dになっているため、プログラムはステップS7に戻り、被溶接部W2に対してステップS7以下の溶接動作を繰り返す。
一方、ステップS21において“No”と判断した場合、プログラムはステップS22に移行し、そこで差Xが0よりも大きいか否かを判断する。ステップS22において“Yes”と判断した場合、プログラムはステップS23に移行し、モーター9を逆転させる。これにより、トーチ3が第1図の上方に移動する。次のステップS24では、トーチ3が差X相当分だけ移動したか否かを判断する。なお、この移動量は、モーター9の作動量に置き換えて判断することができる。
トーチ3の移動量が差X相当分になると、プログラムはステップS24からステップS25に移行し、モーター9を停止する。この結果、溶接ワイヤー8の先端部とワークWの次の被溶接部W2との間の距離d(第7図の(e)参照)は最適距離Dに設定される。ステップS25の終了後、プログラムはステップS7に戻り、被溶接部W2に対してステップS7以下の溶接動作を繰り返す。
ステップS22において“No”と判断した場合、プログラムはステップS26に移行し、モーター9を正転させる。これにより、トーチ3が第1図の下方に移動する。次のステップS27では、トーチ3が差Xの絶対値相当分だけ移動したか否かを判断する。なお、この移動量は、上述の通りモーター9の作動量に置き換えて判断することができる。
トーチ3の移動量が差Xの絶対値相当分になると、プログラムはステップS27からステップS28に移行し、モーター9を停止する。この結果、溶接ワイヤー8の先端部とワークWの次の被溶接部W2との間の距離d(第7図の(e)参照)は最適距離Dに設定される。ステップS28の終了後、プログラムはステップS7に戻り、被溶接部W2に対してステップS7以下の溶接動作を繰り返す。
上述のように、本実施の形態では、ステップS16において一時的に電源装置5をOFFにしているため、溶接ワイヤー8の先端部がワークWから離れたときに破裂しにくく、結果的にワークW上にはスパッタが発生しにくい。従って、この実施の形態では、従来のアーク溶接方法の場合のようにワークWに向けて吹き付ける炭酸ガス中にスパッタを抑制するための高価なアルゴンガスを混入しなくても、或いは、そのような炭酸ガスの使用量(吹き付け量)そのものを減少させた場合であっても、仕上がり感が良好な溶接を安価に実現することができる。
また、この実施の形態では、溶接ワイヤー8とワークWとの接触中の電気抵抗値Rの最小値Rminに基づいて補正値Lを算出し、これに従って溶接ワイヤー8とワークW上の被溶接部との最適距離Dが達成されるようにトーチ3を移動させている。ここで、電気抵抗値Rは、溶接ワイヤー8とワークWとの接触中における電圧値や電流値に比べて安定した状態で得られるので、その最小値Rminを正確に得ることができる。このため、トーチ3は、最適距離Dが達成されるように、溶接ワイヤー8を正確に上下方向に移動させることができる。従って、上述のガスメタルアーク溶接装置1によれば、ワークWの被溶接部の形状(例えば起伏等)に沿って最適距離Dが確保されるよう溶接ワイヤー8を自動的に移動させることができ、ワークWに対して仕上がりの良好な溶接を安定に施すことができる。
なお、上述の実施の形態では、ステップS15で判断する経過時間t1を上述のように設定したが、本発明はこれに限定されない。この経過時間t1は、電気抵抗値Rの最小値Rminが検出された時点から溶接ワイヤー8がワークWから離れる直前(すなわち、溶接ワイヤー8のネッキングが十分に生じた時点)までに要する時間の範囲で任意に設定されていてもよい。
また、上述の実施の形態では、溶接ワイヤー8とワークWとの間への電圧の印加を一時的に停止するタイミングを最小値Rminが検出された時点からの経過時間(例えば、上述の経過時間t1)に基づいて決定するようにしているが、このタイミングは、他の基準に従って決定してもよい。例えば、最小値Rminを検出後も溶接ワイヤー8とワークWとの間の電気抵抗値Rの計測(算出)を継続し、その電気抵抗値Rが上昇して所定の電気抵抗値、すなわち、最小値Rminと予め実験的に求められて記憶された最大値Rmaxとの間の所定の電気抵抗値になったときに、電圧の印加を一時的に停止するようにしてもよい。
なお、ここでいう所定の電気抵抗値は、通常、最小値Rminと最大値Rmaxとの差の10%以上98%以下、好ましくは50%以上97%以下、より好ましくは75%以上95%以下の電気抵抗値分を最小値Rminに加えた電気抵抗値に設定するのが好ましい。このような所定の電気抵抗値に到達する前に電圧の印加を一時的に停止すると、溶接ワイヤー8がワークWから滑らかに離れにくくなる可能性があり、スパッタの発生は抑制されるものの、結果的に溶接の仕上がり感が損なわれるおそれがある。
第9図を参照して、上述のような所定の電気抵抗値を基準として電圧の印加を一時的に停止する場合の動作を具体的に示す。この変形例では、上述の実施の形態の場合の制御フローチャートの一部、すなわち、ステップS8からステップS18の間が第9図に示すステップS29からステップS41のように変更されている。以下、この変形例の動作を第9図に基づいて説明する。なお、ここでは、制御装置7において、上述のような所定の電気抵抗値(以下、電気抵抗値R1と称す)が予め記憶されているものとする。
プログラムは、上述の実施の形態の場合と同様に動作してステップS8に到達し、そこで溶接ワイヤー8とワークWとの導通を確認すると、次のステップS29において溶接ワイヤー8とワークWとの間に流れる電流の電圧値および電流値の測定を開始する。ここで、電圧値および電流値は、上述の実施の形態の場合と同様に測定される。
次に、ステップS30において、測定された電圧値と電流値とに基づいて、溶接ワイヤー8とワークWとの間の電気抵抗値Rを計算する。そして、次のステップS31において、計算された電気抵抗値Rが所定の電気抵抗値R1以上であるか否かを判断する。電気抵抗値Rが所定の電気抵抗値R1よりも大きい場合、プログラムはステップS32に移行し、そこでCPU10内の特定のフラグがONになっているか否かを判断する。フラグがONになっていなければ、プログラムはステップS30において計算した電気抵抗値Rを記録し(ステップS33)、さらにステップS34において電気抵抗値Rを時間で微分する。次のステップS35では、電気抵抗値Rの微分値が0またはそれ以上(すなわち、正の値)になったか否かを判断する。ステップS35において、“No”と判断した場合、プログラムはステップS29に戻り、ステップS35において“Yes”と判断するまでステップS29からステップS35を繰り返す。このような繰り返し動作では、溶接ワイヤー8とワークWとの間の電気抵抗値Rが連続的に求められ、最初の電気抵抗値Rがステップ33において記録されることになる。なお、ここでの電気抵抗値Rの変化の様子は上述の実施の形態において説明した通りである。
ステップS35において“Yes”と判断した場合、すなわち、電気抵抗値Rの最小値Rminが検出されると(なお、この最小値RminはステップS33においてRAM11に記録されているが、消去されないようRAM11内において別途保存される)、プログラムはステップS36に移行し、そこで上述の特定のフラグがONになっているか否かを判断する。フラグがONになっている場合、プログラムはステップS29に戻り、ステップS29からステップS36までの同じ動作を繰り返す。一方、フラグがONになっていない場合、プログラムは、ステップS37においてCPU10内の特定のフラグ(これは、ステップS32およびステップS36において判断の対象となるフラグである)をONに設定し、その後ステップS29に戻る。
このような一連の動作において、電気抵抗値Rが最小値Rminを経過後に上昇し、上述の所定の電気抵抗値R1に達すると、プログラムは、ステップS32において“Yes”と判断し、ステップS38に移行する。ステップS38では、そのときの時間(t)を制御装置7の内部タイマーで0に設定する。次に、ステップS39において、電源装置5をOFFにする。これにより、溶接ワイヤー8とワークWとの間に電圧が印加されるのが停止され、溶接ワイヤー8がワークWから離れたとき(即ち、第7図の(d)のとき)に溶接ワイヤー8の先端部が破裂するのが防止される。この結果、ワークW上には、溶接ワイヤーからの溶滴が飛散しにくくなるので、スパッタの生成が起こりにくくなる。なお、上述のように電源装置5をOFFにした場合であっても、溶接ワイヤー8の先端部は、余熱による溶融状態にあり、キャリヤー2によるワークWの移動に従ってワークWから自然に離れることができる。
ステップS39の後、プログラムは、ステップS40において上述の特定のフラグをOFFに設定し、続いて、ステップS38において内部タイマーを0に設定してからα時間経過したか否か、すなわち、時間tがαになったか否かをステップS41で判断する。ここで、αは、通常、0.25ms程度の時間である。ステップS41において“Yes”と判断した場合、プログラムは上述の実施の形態の場合と同じくステップS18に移行して再び電源装置5をONにし、その後上述の実施の形態の場合と同様に動作する。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
Claims (9)
- 溶接ワイヤーを用いてワークに対して溶接を施すためのアーク溶接方法であって、
前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間に電圧を印加しながら前記溶接ワイヤーを前記ワークに接触させ、この際に溶融する前記溶接ワイヤーの端部を前記ワークに溶着させるための工程と、
前記溶接ワイヤーと前記ワークとの接触中における前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間の電気抵抗値を求め、前記電気抵抗値の最小値を検出するための工程と、
前記電気抵抗値の前記最小値を検出した後に、前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間への電圧の印加を一時的に停止するための工程と、
を含むアーク溶接方法。 - 前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間の電圧値と電流値とを計測し、前記電圧値および前記電流値に基づいて前記電気抵抗値を求める、請求項1に記載のアーク溶接方法。
- 前記最小値を検出した時点から所定時間が経過したときに前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間への電圧の印加を一時的に停止する、請求項2に記載のアーク溶接方法。
- 前記所定時間は、前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間の前記電気抵抗値が、予め求められた、前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間の電気抵抗値の最大値と、前記最小値との差の10%以上98%以下の電気抵抗値を前記最小値に加えた電気抵抗値に到達するのに要する時間である、請求項3に記載のアーク溶接方法。
- 前記所定時間が0.5msである、請求項3に記載のアーク溶接方法。
- 前記最小値を検出した時点から、前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間の前記電気抵抗値が上昇して所定の電気抵抗値に到達したときに前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間への電圧の印加を一時的に停止する、請求項2に記載のアーク溶接方法。
- 前記所定の電気抵抗値が、予め求められた、前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間の電気抵抗値の最大値と、前記最小値との差の10%以上98%以下の電気抵抗値を前記最小値に加えた電気抵抗値である、請求項6に記載のアーク溶接方法。
- 前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間への電圧の印加を一時的に停止する時間が0.25msである、請求項1に記載のアーク溶接方法。
- 溶接ワイヤーを用いてワークに対して溶接を施すためのアーク溶接装置であって、
前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間に電圧を印加するための手段と、
前記溶接ワイヤーを前記ワークに接触するよう移動させるための手段と、
前記溶接ワイヤーと前記ワークとの接触中における前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間の電気抵抗値を求め、前記電気抵抗値の最小値を検出するための手段と、
前記電気抵抗値の前記最小値を検出した後に、前記溶接ワイヤーと前記ワークとの間への電圧の印加を一時的に停止するための手段と、
を備えたアーク溶接装置。
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