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JP3542681B2 - 光学異方素子を用いた液晶素子 - Google Patents

光学異方素子を用いた液晶素子 Download PDF

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JP3542681B2
JP3542681B2 JP03815396A JP3815396A JP3542681B2 JP 3542681 B2 JP3542681 B2 JP 3542681B2 JP 03815396 A JP03815396 A JP 03815396A JP 3815396 A JP3815396 A JP 3815396A JP 3542681 B2 JP3542681 B2 JP 3542681B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は視角特性、耐久性に優れ、高速表示が可能な液晶素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
日本語ワードプロセッサやディスクトップパソコン等のOA機器の表示装置の主流であるCRTは、薄型軽量、低消費電力という大きな利点をもった液晶素子に変換されてきている。現在普及している液晶素子(以下LCDと称す)の多くは、ねじれネマティック液晶を用いている。このような液晶を用いた表示方式としては、複屈折モードと旋光モードとの2つの方式に大別できる。
【0003】
複屈折モードを用いたLCDは、液晶分子配列のねじれ角90°以上ねじれたもので、急崚な電気光学特性をもつ為、能動素子(薄膜トランジスタやダイオード)が無くても単純なマトリクス状の電極構造でも時分割駆動により大容量の表示が得られる。しかし、応答速度が遅く(数百ミリ秒)、諧調表示が困難という欠点を持ち、能動素子を用いた液晶素子(TFT−LCDやMIM−LCDなど)の表示性能を越えるまでにはいたらない。
【0004】
TFT−LCDやMIM−LCDには、液晶分子の配列状態が90°ねじれた旋光モードの表示方式(TN型液晶素子)が用いられている。この表示方式は、応答速度が数+ミリ秒程度であり、高い表示コントラストを示すことから他の方式のLCDと比較して最も有力な方式である。しかし、ねじれネマティック液晶を用いている為に、表示方式の原理上、見る方向によって表示色や表示コントラストが変化するといった視角特性上の問題があり、CRTの表示性能を越えるまでにはいたらない。
【0005】
TN型LCDに対して、SID’92 Digest p.798などに見られるように、画素を分割し、それぞれ電圧印加時のチルト方向を逆向きにして、視角特性を補償する方法が提案されている。この方法によると、上下方向の階調反転に関する視角特性は改善されるが、コントラストの視角特性はほとんど改善されない。
【0006】
更に、特開平6−75116号、EP0576304A1、および特開平6−214116号公報において、光学的に負の一軸性を示し、その光学軸が傾斜している位相差板を用いることにより、TN型LCDの視角特性を改良する方法が提案されている。
また特開平6−347742号、EP628847A1、特開平7−20434号、特開平7ー63916号公報に、液晶性高分子を用いた光学フイルムが提案されている。
これらの方法によれば視野角は従来のものと比べ、改善はされるが、それでもCRT代替を検討する程の広い視野角は実現困難であり、また動画に対応しうる高速表示も困難であった。
【0007】
そこで従来の液晶モードでは見られない広視野角、高速応答という特徴を有するベンド配向液晶セル(=πセル)がSID‘93 Digest p.273、p.277、US5、410、422等で提案され、更に’95第42回春の応用物理学会29a−SZC−20などで、この考え方を反射型LCDに応用したHAN(Hybrid−Aligned Nematic)型液晶セルが提案された。
この液晶モードで、動画に対応し得る高速表示が可能となったが、視野角に関しては、まだ十分とは言えなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、正面のコントラストおよび輝度の低下がなく、視角特性に優れ、高速表示が可能な液晶素子を提供する事を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により達成された。
(1) 2枚の電極基板間に液晶を挟持してなる液晶セルと、その両側に配置された2枚の偏光素子と、該液晶セルと該偏光素子の間に少なくとも1枚の光学異方素子を配置した液晶素子において、該光学異方素子が透明支持体および円盤状化合物を含む光学異方性層を有し、光学異方性層が重合性基を有する円盤状化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、ディスコティックネマチック相形成温度まで加熱した後、円盤状化合物を重合させることにより得られた層であって、そのヘイズが5%以下であり、また液晶セルがセル中央部にねじれ配向が存在する液晶セルを含むベンド配向液晶セルあるいはHAN型液晶セルであることを特徴とする液晶素子。
(2) 該円盤状化合物の円盤面が、透明支持体の面に対して傾いて配置されており、かつ円盤面と透明支持体とのなす角度が光学異方層の深さ方向において変化している事を特徴とする(1)に記載の液晶素子。
(3) 該角度が光学異方性層の底面からの距離の増加とともに増加している事を特徴とする(2)に記載の液晶素子。
(4) 該光学異方素子を、液晶素子の両側の、液晶素子と偏光素子との間に1枚づつ合計2枚配置した事を特徴とする(1)に記載の液晶素子。
(5) 該光学異方素子を、液晶素子の一方の側の偏光素子との間に2枚積層して配置した事を特徴とする(1)に記載の液晶素子。
(6) 該液晶セルのラビング方向と該偏光素子の透過軸とのなす角度が22.5゜から67.5゜の範囲にあり、該透過軸と該円盤状化合物の円盤面の法線方向のフイルム面への正射影の平均方向とがー20゜から20゜の範囲にある事を特徴とする(4)または(5)に記載の液晶素子。
(7) 該透明支持体の残留揮発分が2%以下である事を特徴とする(1)に記載の液晶素子。
(8) 光学異方性層の引掻強度が約20g以上である事を特徴とする(1)に記載の液晶素子。
(9) 該光学異方素子の、光学異方性層の反対の面に化学処理、機械処理、コロナ放電処理、火炎処理、UV処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、又はオゾン酸化の処理活性化処理が施されている事を特徴とする(1)に記載の液晶素子。
(10) 該光学異方素子の屈折率異方性をΔn3とし、厚みをd3としたときに、Δn3とd3との積の絶対値が50nm以上、1000nm以下である事を特徴とする請求項1記載の液晶素子。
(11) 光学異方性層と透明支持体との間に、配向膜が形成されている事を特徴とする(1)に記載の液晶素子。
(12) 該支持体が溶液流延して得られるフイルムである事を特徴とする(1)に記載の液晶素子。
(13) ノーマリーホワイトモードであることを特徴とする(1)記載の液晶素子。
(14)2枚の電極基板間に液晶を挟持してなる液晶セルと、その両側に配置された2枚の偏光素子と、該液晶セルと該偏光素子の間に少なくとも1枚の光学異方素子を配置し、該光学異方素子が透明支持体および円盤状化合物を含む光学異方性層を有し、そのヘイズが5%以下であり、液晶セルがセル中央部にねじれ配向が存在する液晶セルを含むベンド配向液晶セルあるいはHAN型液晶セルである液晶素子の製造方法であって、重合性基を有する円盤状化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、ディスコティックネマチック相形成温度まで加熱した後、円盤状化合物を重合させることにより光学異方性層を製造することを特徴とする液晶素子の製造方法。
(15)光学異方性層がさらに光重合開始剤を含み、ディスコティックネマチック相形成温度まで加熱した後、UV光の照射により円盤状化合物を重合させる(14)に記載の液晶素子の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
TN−LCDやSTN−LCDの視野角が狭い原因の一つは、見る方向によってレターデーションが異なるというものである。図1に示したように、方向14は液晶の複屈折の比較的大きい方向であるため、レターデーションが大きい。また、方向15は液晶の複屈折が比較的小さい方向であるため、レターデーションが小さい。
【0011】
これに対して、図2に示したベンド配向液晶セルにおいては、見る方向によるレターデーションの違いが比較的小さい。図2に示したように、方向24は下基板23付近では液晶の複屈折が小さく、上基板21付近では液晶の複屈折が大きい。方向25はこの逆であり、方向24と25でレターデーションは等しい。したがって、液晶セルの厚み方向中央部に対して対称となるために自己補償型のセルだということができる。これらの特徴を有するために、ベンド配向液晶セルでは視野角は原理的に広い。反射型LCDとして用いられるHAN型液晶セルの例を図3に示すが、HAN型液晶セルについても同様なことが言える。
【0012】
しかしながら、ベンド配向液晶セル、HAN型反射型LCDにおいても、視角を大きくすることに伴って、黒表示部からの光の透過率が著しく増大し、結果としてコントラストの急激な低下を招いていることになる。本発明は、この様な斜方入射におけるコントラストの低下を防ぎ、視角特性を改善し、同時に、正面のコントラストを改善しようとするものである。
【0013】
もし、黒表示において液晶セルが正の一軸性の光学異方体だとするならば、これを光学的に補償するには、図4に示したように、負の一軸性の光学異方体を用いればよい。そうすることによって、斜めから見た場合の液晶セルによって生じるレターデーションは、負の一軸性の光学異方体によってキャンセルされ、光漏れを抑えることができる。
【0014】
しかし、実際の液晶セルを正の一軸性の光学異方体とし、負の一軸性の光学異方体によって補償するのには限界がある。本発明者らは、鋭意検討した結果、更に大幅な視野角改善をし、CRT代替の可能性を切り開くためには、図5や図6に示したように、黒表示におけるベンド配向液晶セルやHAN型液晶セルと同様な配向状態を負の一軸性の化合物で実現した光学異方素子が必要であることを見出した。
本発明における液晶素子とは、表示のために用いられる直視型、投写型の素子、光変調素子として用いられる素子などを含む。
【0015】
本発明はベンド配向液晶セルあるいはHAN型液晶セル等の高速表示が可能な液晶素子に、透明支持体および円盤状化合物を含む光学異方性層を有し、ヘイズが5%以下の光学異方素子を適用することにより、正面のコントラスト、輝度を低下させる事なく視野角の改良を実現したものである。
【0016】
本発明における透明支持体としては、透明である限りどのような材料でも使用することができるが、光透過率が80%以上の材料が好ましい。
このような材料としては、ゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)及びフジタック(富士写真フイルム(株)製)などの市販品を使用することができる。
また本発明に用いられる透明支持体は、表面の平滑性の点から溶液流延で得られるフイルムが好ましく、光学異方素子の耐湿熱性の点から、支持体に含まれる残留揮発分は2%以下である事が好ましい。
【0017】
透明支持体の面内の主屈折率をnx、ny、厚み方向の主屈折率をnz、厚さをdとしたとき、三軸の主屈折率の中でnzが一番小さく、式{(nx+ny)/2―nz}×d2で表されるレターデーションが、100〜1000nmであることが好ましく、更に、100〜500nmであることが好ましい。
また、透明支持体の法線方向のレターデーションの絶対値|(nx−ny)×d2|は、0〜200nmであることが好ましく、更に0〜100nmであることが好ましい。
【0018】
この透明支持体と後述する配向膜との接着強度を増大させるために、透明支持体上にゼラチン等を塗布する事で下塗層を設ける事が好ましい。
更に下塗層は、透明支持体との接着強度を大きくするために、透明支持体を表面を活性化処理した後形成する事が好ましい。
活性化処理としては、化学処理、機械処理、コロナ放電処理、火炎処理、UV処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、又はオゾン酸化処理を挙げることができる。
【0019】
円盤状化合物には、一般にディスコティック液晶相(ディスコネマティック相)をとる化合物と、ディスコティック液晶相をとらない化合物とがあるが、これらは一般に負の一軸性の光学特性を有している。
【0020】
本発明の円盤状化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett、A、78巻、82頁(1990年)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.、1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。
【0021】
上記円盤状化合物は、一般的にこれらを分子中心の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその直鎖として放射状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶と呼ばれるものが含まれる。但し、分子自身が負の一軸性を示し、一定の配向を付与できるものであれば、上記記載に限定されるものではない。また、本発明において、円盤状化合物を含むとは、最終的にできたものが前記化合物である必要はなく、例えば、前記の低分子円盤状化合物が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化したものも含まれる。
【0022】
上記円盤状化合物の好ましい例を下記に示す。
【0023】
【化1】
Figure 0003542681
【0024】
【化2】
Figure 0003542681
【0025】
【化3】
Figure 0003542681
【0026】
【化4】
Figure 0003542681
【0027】
本発明の光学異方素子は、好ましくは透明支持体を表面処理し、その上に配向膜を設け、更にその上に光学異方性層を形成することで作製される。
【0028】
配向膜は、一般に透明支持体または上記下塗層上に設けられる。配向膜は、その上に設けられる光学異方性層に含まれる円盤状化合物の円盤面の配向方向を規定するように機能し、その好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、無機化合物の斜方蒸着層、及びマイクログルーブを有する層、さらにω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド及びステアリル酸メチルなどのラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘導体を配向させた層を挙げることができる。
【0029】
有機化合物の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネートなどのポリマー及びシランカップリング剤などの化合物を挙げることができる。
好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
【0030】
中でもアルキル変性のポリビニルアルコールは特に好ましく、円盤状化合物を均一に配向させる能力に優れている。これは配向膜表面のアルキル鎖と円盤状化合物のアルキル側鎖との強い相互作用のためだと推察される。
アルキル変性に用いるアルキル基は、炭素原子数6〜14が好ましく、更に、−S―、―(CH3)C(CN)−、または、−(C2H5)N−CS−S−を介してポリビニルアルコールに結合していることが好ましい。
上記アルキル変性ポリビニルアルコールは、末端にアルキル基を有するものであり、けん化度80%以上、重合度200以上が好ましい。また、上記側鎖にアルキル基を有するポリビニルアルコールとして、クラレ(株)製のMP103、MP203、R1130などの市販品を利用することができる。
さらに配向膜と光学異方性層との接着強度を高めるため、これらアルキル変性ポリビニルアルコールに、円盤状化合物が有するアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイル基等を導入する事が好ましい。
本発明の配向膜として好ましいアルキル変性ポリビニルアルコールの例を下記に示す。
【0031】
【化5】
Figure 0003542681
【0032】
【化6】
Figure 0003542681
【0033】
また、LCDの配向膜として広く用いられているポリイミド膜(好ましくはフッ素原子含有ポリイミド)も有機配向膜として好ましい。これはポリアミック酸(例えば、日立化成(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を支持体面に塗布し、100〜300℃で0.5〜1時間焼成した後、ラビングすることにより得られる。
更に、本発明の配向膜は耐湿熱性のため、上記ポリマーに反応性基を導入する、あるいは上記ポリマーをイソシアネート化合物、エポキシ化合物、およびアルデヒド化合物などの架橋剤とともに使用する事で、これらのポリマーを硬化させる事が好ましい。
【0034】
また、前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。すなわち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより円盤状化合物を配向させる事ができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
【0035】
また、無機斜方蒸着膜の蒸着物質としては、SiOを代表とし、TiO、ZnO等の金属酸化物、あるいはMgF等のフッ化物、さらにAu、Al等の金属が挙げられる。なお、金属酸化物は、高誘電率のものであれば斜方蒸着物質として用いることができ、上記に限定されるものではない。
無機斜方蒸着膜は、蒸着装置を用いて形成することができる。フィルム(支持体)を固定して蒸着するか、あるいは長尺フィルムを移動させて連続的に蒸着することにより無機斜方蒸着膜を形成することができる。
【0036】
本発明の光学異方性層は、円盤状化合物を含む層であって、その円盤面が、透明支持体面に対して傾き、その角度か、光学異方層の深さ方向に変化している事が好ましい。
【0037】
上記円盤面の角度(傾斜角)は、光学異方性層の深さ方向で距離の増加とともに増加または減少しており、距離の増加とともに増加することが好ましい。
更に、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、及び増加及び減少を含む間欠的変化等を挙げることができる。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。傾斜角は、変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していることが好ましい。更に、傾斜角は全体として増加していることが好ましく、特に連続的に変化することが好ましい。
【0038】
上記傾斜角(角度)は、5〜85゜の範囲(特に10〜80゜の範囲)で変化していることが好ましい。
上記傾斜角の最小値は、0〜85゜の範囲(特に5〜40゜)にあり、またその最大値が5〜90゜の範囲(特に30〜85゜)にあることが好ましい。
図7において、支持体側の円盤状化合物の傾斜角(例、θa)が、ほぼ最小値に対応し、そして最上位の円盤状化合物の傾斜角(例、θc)が、ほぼ最大値に対応している。
更に、傾斜角の最小値と最大値との差が、5〜70゜の範囲(特に10〜60゜)にあることが好ましい。
【0039】
上記光学異方性層は、一般に円盤状化合物および他の化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコネマチック相形成温度まで加熱し、その後配向状態(ディスコネマチック相)を維持して冷却することにより得られる。
好ましくは上記光学異方性層は、重合性基を有する円盤状化合物および重合性モノマー、光重合開始剤を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、乾燥し、次いでディスコネマチック相形成温度まで加熱した後、UV光の照射により円盤状化合物、モノマーを重合させ、更に冷却することにより得られる。
これにより光学異方性層の強度、特に引掻強度が大きくなり、該光学素子を取り扱う場合、傷がつきにくくなる。引掻強度としては、20g以上が好ましくK、30g以上が更に好ましい。
本発明に用いる円盤状化合物のディスコネマティック液晶相−固相転移温度としては、70〜300℃が好ましく、特に、70〜170℃が好ましい。
【0040】
光学異方性層を形成するための塗布液は、円盤状化合物及び前述の他の化合物を溶剤に溶解することで作製することができる。
上記溶剤の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルフォキシド(DMSO)及びピリジン等の極性溶剤、ベンゼン及びヘキサン等の無極性溶剤、クロロホルム及びジクロロメタン等のアルキルハライド類、酢酸メチル及び酢酸ブチル等のエステル類、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、及びテトラヒドロフラン及び1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類を挙げることができる。アルキルハライド類及びケトン類が好ましい。溶剤は単独でも、組み合わせて使用しても良い。
【0041】
上記溶液の塗布方法としては、カーテンコーティング、押し出しコーティング、ロールコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、印刷コーティング、スプレーコーティング及びスライドコーティングを挙げることができる。
本発明では、ディスコティック構造単位を有する化合物のみの混合物の場合は、蒸着法も使用することができる。本発明では、連続塗布が好ましい。したがって、カーテンコーティング、押し出しコーティング、ロールコーティング及びスライドコーティングが好ましい。
【0042】
また、支持体側の円盤状化合物の円盤面の傾斜角は、一般に円盤状化合物あるいは配向膜の材料を選択することにより、またはラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。
更に、表面側(空気側)の円盤状化合物の円盤面の傾斜角は、一般に円盤状化合物あるいは併用される他の化合物(例えば、重合性モノマーおよびポリマー)を選択することにより調整することができる。
傾斜角の変化の程度も上記選択により調整することができる。
【0043】
上記重合性モノマーおよびポリマーは、好ましくは円盤状化合物と相溶し、配向を著しく阻害しないものが良い。
重合性モノマー(例、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有する化合物)は、円盤状化合物に対して1〜50重量%(好ましくは5〜30重量%)使用される。
【0044】
ポリマーとしては、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、アルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレート)が好ましく、円盤状化合物に対して一般に0.1〜10重量%(好ましくは0.1〜8重量%、特に0.1〜5重量%)使用される。
この中でもセルロースアセテートブチレート(酢酸酪酸セルロース)が特に好ましく、そのブチリル化度は、30%以上、特に30〜80%の範囲が好ましい。
セルロースアセテートブチレートの粘度(ASTM D−817−72に従う測定により得られる値)は、0.01〜20秒の範囲が好ましい。
【0045】
円盤状化合物は、該化合物の性質、熟成条件等により、複数の異なるドメインを形成する場合があり、これが層内部の不均一性に起因するヘイズとなる。
ヘイズは液晶素子の正面コントラストおよび輝度の低下をもたらし、表示に悪影響を及ぼす。そこでヘイズを低くするため、円盤状化合物をモノドメインとすること、あるいは複数のドメインを形成しても、その1つ1つのドメインサイズを0.1μm以下、好ましくは、0.08μm以下とすることが行われる。
【0046】
本発明における光学異方素子は、法線方向から傾いた方向に、レターデーションの絶対値の最小値(ゼロではない)を有し、光軸を持たない。すなわち光学異方素子のレターデーションの絶対値の最小値を示す方向が、光学異方素子の法線方向から5〜80゜傾斜していることが好ましく、更に10〜70゜が好ましく、特に20〜60゜が好ましい。
また該光学異方素子の屈折率異方性をΔn3、厚みをd3とすると、本発明の光学異方素子は液晶セルの複屈折を補償する事から、Δn3とd3との積で表される複屈折の絶対値は50nm〜1000nmであることが好ましく、更に100〜500nmであることが好ましい。
【0047】
本発明における光学異方素子は前述したように、液晶セルによる複屈折を補償するものであるから、光学異方素子の波長分散は、液晶セルと等しいことが好ましい。光学異方素子の450nm、600nmの光によるレターデーションをそれぞれR(450nm)、R(600nm)とすれば、波長分散を表すR(450nm)/R(600nm)値は、1.0以上であることが好ましく、更に、1.0〜1.3であることが好ましい。
【0048】
また本発明の光学異方素子は粘着剤により、バック面と偏光板、および光学異方性層面と液晶セルとを貼り合わせるため、光学異方素子のバック面および光学異方性層面と粘着剤との接着強度を大きくするために、それぞれの面にコロナ放電等の表面処理を施す事が好ましい。
【0049】
本発明の液晶素子の代表的構成例を図8に示す。図8において、透明電極を備えた一対の基板とその基板間に封入されたベンド配向液晶セルとからなる液晶セルPIC、液晶セルの両側に設けられた一対の偏光板A、B、液晶セルと偏光板との間に配置された光学異方素子OC1、OC2及びバックライトBLが組み合わされて液晶素子を構成している。
更に光学異方素子は両方とも一方にのみ配置しても良い(すなわち、OC1およびOC2を両方ともPICとAあるいはPICとBとの間に配置)。R1、R2の矢印は図7における矢印75に相当する方向である。図8の場合、光学異方素子OC1、OC2の光学異方層側が液晶セル側になっているが、光学異方素子OC1、OC2の光学異方層側を偏光板側に向ける事も出来る。但し、この場合は、R1、R2の矢印の方向は図8とは逆の方向となる。
ここで液晶セルPICの矢印RP1、RP2は、液晶セル基板のラビング方向を表す。PA及びPBは、それぞれ偏光板A、Bの偏光の透過軸を表す。
【0050】
本発明においては、光学異方素子の光学異方性層側が液晶セル側となるように配置することが好ましい。この場合、図8において、R1とRP1、R2とRP2のなす角は、−20゜〜20゜の範囲が好ましく、−10゜〜10゜が更に好ましい。
PAとPBは直交または平行であることが好ましいが、実質的に、直交または平行であればよく、10゜以下であれば、ずれていても構わない。
RP1とPAのなす角およびRP2とPBとのなす角は、22.5゜〜67.5゜が好ましく、35゜〜55゜が更に好ましい。
【0051】
本発明の液晶素子の他の構成例を図9に示す。図9において、91は偏光板、92は本発明における光学異方素子、93は透明電極を備えた一対の基板とその基板間に封入されたHAN型液晶セル、94は反射板である。また、拡散板を備えていても構わない。
95は偏光板の光の透過軸、96の矢印は図7における矢印75に相当する方向、97は液晶セル93の上基板のラビング方向、98は垂直配向膜を示す。
【0052】
図9においても、光学異方素子の光学異方層側が液晶セル側となるように配置することが好ましい。この場合、96と97のなす角は、−20゜〜20゜の範囲が好ましく、−10゜〜10゜が更に好ましい。95と97のなす角は、22。5゜〜67.5゜が好ましく、35゜〜55゜が更に好ましい。
【0053】
本発明においては、セル中央部にねじれ配向が存在する液晶セルを含むベンド配向液晶セル、または、HAN型液晶セルを用いる。
液晶セルの屈折率異方性Δnと、液晶層の厚みdとの積Δn・dは、輝度と視野角を両立させるために、300nm〜3000nmであることが好ましい。
ベンド配向液晶セルにおいては、700nm〜2000nmであることが更に好ましく、800nm〜1800nmであることが特に好ましい。
HAN型液晶セルにおいては、350nm〜1000nmであることが更に好ましく、400nm〜900nmであることが特に好ましい。
【0054】
本発明における液晶素子は、ノーマリーホワイトモード(以下、NWモード)とノーマリーブラックモード(以下、NBモード)で用いることができる。NBモードにおいては、視角が大きくなるにしたがって、色味変化が大きくなることから、NWモードで用いることが好ましい。
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0055】
【実施例】
実施例1
(ベンド配向液晶セルの作製)
ITO電極付きのガラス基板にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行う。このような2枚のガラス基板をパラレルの配置で向き合わせ、セルギャップを9μmに設定し、メルク社製液晶ZLI1132(Δn=0.1396)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。
【0056】
(HAN型液晶セルの作製)
ITO電極付きのガラス基板にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行う。ITO電極付きのガラス基板をもう一枚用意し、SiO蒸着膜を配向膜として設けた。この2枚のガラス基板を向き合わせ、セルギャップ5μmに設定し、メルク社製液晶ZLI1132(Δn=0.1396)を注入し、HAN型液晶セルを作製する。
【0057】
(光学異方素子(1)の作製)
(1)支持体の作製
ホスゲンとビスフェノールAにより得られた分子量3万のポリカーボネートを二塩化メチレンに溶解し、18%溶液とした。これをスチールドラム上に流延し、連続的にはぎ取り、100℃で10分間乾燥した後、170℃で縦および横に延伸(二軸延伸)し、厚さ100μmの支持体(1)を得た。
この支持体のレタデーションをエリプソメーターAEP−100によって測定し、屈折率に換算したところ、nx=1.538、ny=1.538、nz=1.535であった。但しnx、nyは面内にあり、nzは法線方向である。
(2)表面処理
この様にして得られた支持体(1)にピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを用い、コロナ放電処理を行った。
【0058】
(3)下塗層
この様にして表面処理された支持体(1)上に、下記組成の下塗り液をワイヤーバを用い、10ml/mとなるように塗布し、120℃で2分乾燥した。
下塗り液
ゼラチン 1 g
水 1 g
酢酸 1 g
メタノール 50 g
二塩化メチレン 50 g
p−クロロフェノール 4 g
(4)配向膜
次に下塗層を設けた支持体(1)上に下記の組成の配向膜塗布液を、スライドコーターにより25ml/mとなるように布し、60℃で2分間乾燥した後さらに90℃の温風下で3分間乾燥した。
配向膜塗布液
ポリマーA(10%水溶液) 24 g
水 73 g
メタノール 23 g
グルタルアルデヒド(50%水溶液) 0.2g
さらにこの配向膜を設けた支持体(1)に、直径150mmのロールにLCDのラビングで用いるラビング布を巻いたロールを1200rpmの速度で回転させながらラップ角6゜で押しあて、支持体(1)を15m/分の速度で送ってラビングを行った。
【0059】
(5)光学異方性層
この配向膜を設置した支持体(1)上に、以下の組成の光学異方性層用塗布液を#10のワイヤーバーで塗布し、金属の枠に貼り付けて140℃の高温槽中で3分間加熱し、円盤状化合物を配向させた後、140℃のまま120W/cm高圧水銀灯を用いて1分間UV照射した後、室温まで放冷して本発明の光学異方素子(1)を作製した。
光学異方性層塗布液
円盤状化合物(TE−8(8、m=4)) 1.8g
トリメチロールプロバンEO変成トリアクリレート
(V#360 大阪有機化学) 0.2g
セルロースアセテートブチレート(CAB551−0
.2 イーストマンケミカル) 0.04g
セルロースアセテートブチレート(CAB531−1
.0 イーストマンケミカル) 0.01g
光重合開始剤(イルガキュアー907 チバガイギー) 0.06g
増感剤(カヤキュアーDETX 日本化薬) 0.02g
メチルエチルケトン 3.3g
【0060】
(6)評価
光学異方性層の厚みは、およそ5.2μmであり、引掻強度計による引掻強度は30gであった。
光学異方性層のみのレターデーション値をラビング軸に沿って測定したところ、レターデーションが0となる方向は存在しなかった。この値をシミュレーションによってフィッティングしたところ、負の一軸性が厚み方向に4゜から68゜まで連続的に増加したハイブリッド配向を示していることがわかった。
また光学異方素子(1)のヘイズは1.4%であり、屈折率異方性Δn3と厚みd3との積の絶対値は545nmであった。
【0061】
実施例2
(光学異方素子(2)の作製)
光学異方素子(1)と同様にして作製した配向膜を設けた支持体(1)に、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレートを0.15g用い、光学異方性層を塗布後、130℃の高温槽中で2分間加熱し、円盤状化合物を配向させた後、130℃のまま120W/cm高圧水銀灯を用いて2分間UV照射した以外はすべて同様な操作を行い、比較例の光学異方素子(2)を作製した。
(2)評価
光学異方性層の厚みは、およそ5.1μmであり、引掻強度計による引掻強度は18gであった。
また光学異方素子(1)のヘイズは5.5%であり、屈折率異方性Δn3と厚みd3との積の絶対値は540nmであった。
【0062】
実施例3
(ベンド配向液晶素子(1)の作製)
作製したベンド配向液晶セルに、図8で示すように、光学異方素子(1)をセルを挟んで2枚、光学異方性層がセルに近くなるように配置した。ベンド配向液晶セルのラビング方向と光学異方性層のラビング方向は反平行になるように配置し、その外側に全体を挟むように偏光板をクロスニコルに配置して本発明のベンド配向液晶素子(1)を作製した。
【0063】
実施例4
(ベンド配向液晶素子(2)の作製)
作製したベンド配向液晶セルに、光学異方素子(1)をセルの視認側に、光学異方性層がセルに近くなるよう二枚積層して配置した以外は実施例1と全く同様にして本発明のベンド配向の液晶素子(2)を作製した。
【0064】
比較例1
(ベンド配向液晶素子(3)の作製)
作製したHAN型液晶セルに、光学異方素子(1)を視認側に1枚、光学異方性層側がセルに近くなるように一枚配置した以外は実施例4と全く同様にして、比較例のベンド配向液晶素子(3)を作製した。
【0065】
比較例2
(ベンド配向液晶素子(4)の作製)
光学異方素子(1)の代わりに、光学異方素子(2)を用いる以外は実施例3と全く同様にして、比較例のベンド配向液晶素子(4)を作製した。
【0066】
(ベンド配向液晶素子(1)〜(4)の評価)
これらの液晶素子に対して、55Hz矩形波で電圧を印加した。白表示2V、黒表示6VのNWモードとし、透過率の比(白表示)/(黒表示)をコントラスト比として、上下、左右からのコントラスト比を大塚電子製LCD−5000により測定した。
結果を表1にまとめた。
【0067】
【表1】
Figure 0003542681
【0068】
表1から明らかな様に、光学異方素子を二枚用いた本発明の実施例の液晶素子は、正面コントラストが高く視野角もが広いが、比較例の様に光学異方素子のヘイズが高い場合、正面コントラストが低下し、視野角も狭くなる。
【0069】
実施例5
(HAN型液晶素子(1)の作製)
作製したHAN型液晶セルに、光学異方素子(1)を視認側に一枚、光学異方性層側がセルに近くなる様に配置し、HAN型液晶セルのラビング方向と光学異方性層のラビング方向とは反平行になるように配置した。
手前側には偏光板を透過軸と液晶セルのラビング方向とのなす角が45゜となるように配置し。偏光板の更に手前側には拡散板を配置した。その反対面には、ガラス基板の外側にミラーを用い、本発明のHAN型液晶素子(1)を作製した。
【0070】
比較例3
(HAN型晶素子(2)の作製)
光学異方素子(1)の代わりに、光学異方素子(2)を用いる以外は実施例5と全く同様にして、比較例のHAN型液晶素子(2)を作製した。
【0071】
(HAN型液晶素子(1)〜(2)の評価)
これらの反射型液晶素子に放線方向から15゜傾けた方向に光源を置き、光を照射した。液晶素子には40Hz矩形波で電圧を印加した。
白表示2V、黒表示6VのNWモードとし、透過率の比(白表示)/(黒表示)をコントラスト比として、上下、左右からのコントラスト比をTOPCON製BM−7を用いて測定した。結果を表2にまとめた。
【0072】
【表2】
Figure 0003542681
【0073】
表2から明らかなように、反射型のHAN型液晶素子においても、ヘイズの低い光学異方素子を用いると、正面のコントラストが高く、視野角も広くなる事がわかった。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、視角特性が改善され、視認性にすぐれる高速表示が可能な高品位表示の液晶素子を提供することができる。
また、本発明をTFTやMIMなどの3端子、2端子素子を用いたアクティブマトリクス液晶素子に応用しても優れた効果が得られることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のTN型液晶セルの配向状態を模式的に示した図である。
【図2】ベンド配向液晶セルの配向状態を模式的に示した図である。
【図3】HAN型液晶セルの配向状態を模式的に示した図である。
【図4】正の一軸性を仮定した場合の液晶セルが、負の一軸性光学異方体によって視角特性が改善される原理を示した模式図である。
【図5】本発明のベンド配向液晶セルの光学補償を模式的に示した図である。
【図6】本発明のHAN型液晶セルの光学補償を模式的に示した図である。
【図7】本発明に用いられる光学異方素子の断面図である。
【図8】本発明のベンド配向液晶素子の構成を示した図である。
【図9】本発明の反射型HAN型液晶素子の構成を示した図である。
【符号の説明】
11−−−−−−−−液晶セルの上基板
12−−−−−−−−TN型液晶
13−−−−−−−−液晶セルの下基板
14、15−−−−−光の進む方向
21−−−−−−−−液晶セルの上基板
22−−−−−−−−ベンド配向液晶
23−−−−−−−−液晶セルの下基板
24、25−−−−−光の進む方向
31−−−−−−−−液晶セルの上基板
32−−−−−−−−HAN型液晶
33−−−−−−−−液晶セルの下基板
34−−−−−−−−入射光
35−−−−−−−−反射光
41−−−−−−−−負の一軸性の光学異方素子の屈折率楕円体
42−−−−−−−−負の一軸性の光学異方素子
43−−−−−−−−正の一軸性の液晶セル
44−−−−−−−−正の一軸性の液晶セルの屈折率楕円体
51−−−−−−−−負の一軸性を積層した光学異方素子
52−−−−−−−−ベンド配向液晶セル
61―――−−−−−負の一軸性を積層した光学異方素子
62−−−−−−−−HAN型液晶セル
71――――――――透明支持体
72――――――――配向膜
73――――――――光学異方層
73a、73b、73c――ディスコティック構造単位を有する化合物
Pa、Pb、Pc―――――ディスコティック構造単位の面
71a、71b、71c――透明支持体21の面に平行な面
θa、θb、θc―――――傾斜角
74――――――――透明支持体の法線
75――――――――ラビング方向
PIC―――――――ベンド配向液晶セル
A、B―――――――偏光板
OC1、OC2―――光学異方素子
BL――――――――バックライト
R1、R2―――――図7における矢印75の方向
RP1、RP2―――液晶セル基板のラビング方向
PA――――――――偏光板Aの偏光の透過軸
PB――――――――偏光板Bの偏光の透過軸
91――――――――偏光板
92――――――――光学異方素子
93――――――――透明電極を備えた一対の基板とその基板間に封入されたHAN型液晶セル
94――――――――反射板
95――――――――偏光板の光の透過軸
96――――――――図7における矢印75に相当する方向
97――――――――液晶セル93の上基板のラビング方向
98――――――――垂直配向膜

Claims (15)

  1. 2枚の電極基板間に液晶を挟持してなる液晶セルと、その両側に配置された2枚の偏光素子と、該液晶セルと該偏光素子の間に少なくとも1枚の光学異方素子を配置した液晶素子において、該光学異方素子が透明支持体および円盤状化合物を含む光学異方性層を有し、光学異方性層が重合性基を有する円盤状化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、ディスコティックネマチック相形成温度まで加熱した後、円盤状化合物を重合させることにより得られた層であって、そのヘイズが5%以下であり、また液晶セルがセル中央部にねじれ配向が存在する液晶セルを含むベンド配向液晶セルあるいはHAN型液晶セルであることを特徴とする液晶素子。
  2. 該円盤状化合物の円盤面が、透明支持体の面に対して傾いて配置されており、かつ円盤面と透明支持体とのなす角度が光学異方層の深さ方向において変化している事を特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
  3. 該角度が光学異方性層の底面からの距離の増加とともに増加している事を特徴とする請求項2に記載の液晶素子。
  4. 該光学異方素子を、液晶素子の両側の、液晶素子と偏光素子との間に1枚づつ合計2枚配置した事を特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
  5. 該光学異方素子を、液晶素子の一方の側の偏光素子との間に2枚積層して配置した事を特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
  6. 該液晶セルのラビング方向と該偏光素子の透過軸とのなす角度が22.5゜から67.5゜の範囲にあり、該透過軸と該円盤状化合物の円盤面の法線方向のフイルム面への正射影の平均方向とが−20゜から20゜の範囲にある事を特徴とする請求項4または5に記載の液晶素子。
  7. 該透明支持体の残留揮発分が2%以下である事を特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
  8. 光学異方性層の引掻強度が約20g以上である事を特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
  9. 該光学異方素子の、光学異方性層の反対の面に化学処理、機械処理、コロナ放電処理、火炎処理、UV処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、又はオゾン酸化処理の活性化処理が施されている事を特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
  10. 該光学異方素子の屈折率異方性をΔn3とし、厚みをd3としたときに、Δn3とd3との積の絶対値が50nm以上、1000nm以下である事を特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  11. 光学異方性層と透明支持体との間に、配向膜が形成されている事を特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
  12. 該支持体が溶液流延して得られるフイルムである事を特徴とする請求項1に記載の液晶素子。
  13. ノーマリーホワイトモードであることを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  14. 2枚の電極基板間に液晶を挟持してなる液晶セルと、その両側に配置された2枚の偏光素子と、該液晶セルと該偏光素子の間に少なくとも1枚の光学異方素子を配置し、該光学異方素子が透明支持体および円盤状化合物を含む光学異方性層を有し、そのヘイズが5%以下であり、液晶セルがセル中央部にねじれ配向が存在する液晶セルを含むベンド配向液晶セルあるいはHAN型液晶セルである液晶素子の製造方法であって、重合性基を有する円盤状化合物を溶剤に溶解した溶液を配向膜上に塗布し、ディスコティックネマチック相形成温度まで加熱した後、円盤状化合物を重合させることにより光学異方性層を製造することを特徴とする液晶素子の製造方法。
  15. 光学異方性層がさらに光重合開始剤を含み、ディスコティックネマチック相形成温度まで加熱した後、UV光の照射により円盤状化合物を重合させる請求項14に記載の液晶素子の製造方法。
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