JP3542025B2 - 薄型電磁誘導器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてインバータを用いてマグネトロンを駆動する用途などに用いられるトランスのような薄型電磁誘導器の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は特公平7−40465号公報に開示されているインバータ方式の高周波加熱装置(電子レンジ)を示すもので、商用電源61は整流回路62で整流平滑され、インバータ63で20kHz以上の高周波交流電流に変換されてギャップ付コアを備えたトランス64の1次巻線64pに供給される。トランス64の2次巻線64sの高周波出力電圧は、半波整流回路65で整流平滑されて、直流高電圧としてマグネトロン66に供給される。トランス64のヒータ巻線64hでヒータが駆動されるマグネトロン66は、直流高電圧の供給を受けてマイクロ波を発生する。
【0003】
図13は前記トランス64の構成を示す断面図で、ボビン70には、1次巻線64pと2次巻線64sおよびヒータ巻線64hが軸方向に離間して巻回されている。コの字型のコア71,71は、各々の一方の磁脚を上記ボビン70の円筒部70s内に挿入するとともに、円筒部70s内に形成されている厚さGのスペーサ70gを介して対向させることにより、各々の両磁脚の相対向する先端面の各間にそれぞれギャップ73,74を有するロの字形状コア75を形成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記トランス64は、1次および2次巻線64p,64sの一側方に、ロの字形コア75の巻線を施さない磁脚が存在するために、トランス64の横寸法が大きくなる。このトランス64を偏平形状にするために、両巻線64p,64sの巻幅(軸方向長さ)を小さくすると、所定の電圧などを得るのに必要な巻数を確保するために、両巻線64p,64sの巻厚さ(径方向厚さ)が大きくなるので、トランス64の横寸法がさらに大きくなる。
【0005】
また、上記トランス64では、1次および2次巻線64p,64sの一側方(図の左側方)にのみ磁気回路Cが形成されるだけであるから、磁気損失が大きくなって、強い磁束を形成することができない。そのため、所要の電圧を得るためには、1次および2次巻線64p,64sの巻数を少なくできない。したがって、上記トランス64は、偏平形状にするために、両巻線64p,64sの巻幅を小さくした場合、所定の電圧を得るのに必要な巻数を確保するために、両巻線64p,64sの巻厚さが大きくなるので、トランス64の横寸法が大きくなる。結局、上記構成のトランス64は、小型化することができないので、配線基板への装着面積が大きくなる。
【0006】
また、ヒータ巻線64hは、ボビン70にコア71,72を組付けた状態としたのちに、巻回するのが困難であるため、予め手作業でボビン70に巻回しておく必要があり、製造工程が煩雑化する。さらに、上記トランス64の組み立てに際しては、ボビン70にコア71,72を組付けたのちに、コアバンドなどの固定具を用いてコア71,72をボビン70に固定する工程を必要とし、工数および部品点数が多くなってコスト高となる。
【0007】
さらに、上記トランス64は、1次巻線64pで取り囲まれる位置に、ギャップ73を形成するためのスペーサ70gを設け、磁脚の長さの異なるコの字形コア71,72を使用して、各コア71,72の一方の磁脚をボビン70の円筒部70sに挿入している。したがって、上記トランス64では、形状の異なる2種類のコアが必要となるので、コアの種類が増し、製造コストが上がる。
【0008】
本発明は、前記従来のトランスの課題を解決して、横寸法が大きくなることなく薄型化できるとともに、組立工数および部品点数を削減してコストダウンを図ることのできる薄型電磁誘導器を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1構成に係る薄型電磁誘導器は、軸方向の寸法が径方向の寸法よりも短い偏平な形状の樹脂製のボビンに巻線が装着され、このボビンの中心孔に、一対のT字形のコア片の脚部が挿入され、両コア片のアーム部が前記巻線の径方向に延びて互いに平行に対向しており、前記ボビンは軸方向に分割された複数のボビン片を有し、前記各コア片が対応する前記各ボビン片にインサート成形で装着されている。ここで、T字形とは、立体視でT字形を呈するものをいい、円盤の中央部に軸方向に突出する脚を設けて側面視のみがT字形となるものを含まない。
【0010】
この薄型電磁誘導器では、巻線の側方にコア片も、コア片に接続されて磁路を形成する磁性体からなるヨークも存在しないので、巻線の軸方向と直交する径方向の寸法が小さくなる。しかも、ボビンが偏平な薄型であるから、一対のT字形のコア片のアーム部同士の間隔が小さくなって、強い磁束が発生するので、優れた磁気特性が確保される。また、各コア片は、対応する各ボビン片にインサート成形により装着されてボビン片と一体になっているので、コアをボビンに組付けたのちにコアバンドなどで固定する工程が不要となり、その分だけ工数および部品点数を削減してコストダウンできる。
【0011】
また、本発明の第2構成に係る薄型電磁誘導器は、軸方向の寸法が径方向の寸法よりも短い偏平な形状の樹脂製のボビンに巻線が装着され、このボビンの中心孔に、一対のL字形のコア片の脚部が挿入され、両コア片のアーム部が前記巻線の径方向に延びて互いに平行に対向しており、前記ボビンは軸方向に分割された複数のボビン片を有し、前記各コア片が対応する前記各ボビン片にインサート成形で装着されている。ここで、L字形とは、立体視でL字形を呈するものをいい、円盤の周縁部に軸方向に突出する脚を設けて側面視のみがL字形となるものを含まない。
【0012】
この薄型電子誘導器では、巻線の側方にコアも、コアに接続されて磁路を形成する磁性体からなるヨークも存在しないので、巻線の軸方向と直交する径方向の寸法が小さくなる。しかも、ボビンが偏平な薄型であるから、一対のL字形のコア片のアーム部同士の間隔が小さくなって、強い磁束が発生するので、優れた磁気特性が確保される。また、各コア片は、対応する各ボビン片にインサート成形により装着されてボビン片と一体になっているので、コアをボビンに組付けたのちにコアバンドなどで固定する工程が不要となり、その分だけ工数および部品点数を削減してコストダウンできる。
【0013】
また、本発明の第3構成に係る薄型電磁誘導器は、軸方向の寸法が径方向の寸法よりも短い偏平な形状の樹脂製のボビンに巻線が装着され、このボビンの中心孔に、一対のF字形のコア片の中脚部が挿入されるとともに、外脚部が前記ボビンの外方で前記巻線の径方向の外側に位置し、前記両コアのアーム部が前記巻線の径方向に延びて互いに平行に対向しており、前記ボビンは軸方向に分割された複数のボビン片を有し、前記各コア片が対応する前記各ボビン片にインサート成形で装着されている。ここで、F字形とは、立体視でF字形を呈するものいい、円盤の中央部と周縁部に軸方向に突出する脚を設けて側面視のみがF字形となるものを含まない。
【0014】
この薄型電磁誘導器では、両コア片の中脚部、アーム部および外脚部を通る磁気回路に加えて、両コア片の中脚部、アーム部および両アーム部の先端間の空隙を通る磁気回路が形成されるため、磁気損失が従来のロの字形コアよりも少なくなり、二つの磁気回路によって強い磁束が発生する。さらに、ボビンは、径方向の寸法よりも軸方向の寸法が短い偏平な形状であるから、一対のコア片のアーム部同士の間隔が小さくなるので、磁気回路に発生する磁束が一層強くなる。その結果、この薄型電磁誘導器は、優れた磁気特性が確保されるので、1次および2次巻線の巻幅(軸方向長さ)が小さい薄型であるにも拘わらず、所定の電圧を得るのに必要な1次および2付巻線の巻数を少なくすることができ、その分だけ横寸法、つまりボビンの径方向に沿った寸法が小さくなって小型化でき、配線基板に装着するときの装着面積の増大を抑制できる。また、各コア片は、対応する各ボビン片にインサート成形により装着されてボビン片と一体になっているので、コア片をボビンに組付けたのちにコアバンドなどで固定する工程が不要となり、その分だけ工数および部品点数を削減してコストダウンできる。
【0015】
また、本発明の好ましい実施形態においては、前記コア片のアーム部における脚部が形成されていない頂面の少なくとも一部分が外部に露出している。これにより、インサート成形によってボビン片に埋設されているコア片の発生熱を良好に放散させることができる。
【0016】
さらに、本発明の好ましい実施形態においては、前記巻線として、1次巻線と2次巻線が軸方向に離間してボビンに取り付けられ、前記一対のコア片の脚部の対向する先端面の間にギャップが形成されている。この構成によれば、ギャップの存在により、磁気飽和しにくい特性の薄型電磁誘導器が得られる。
【0017】
好ましくは、前記1次巻線と2次巻線の結合係数が0.6から0.8の間に設定されている。この構成の薄型電磁誘導器をインバータ方式の高周波加熱装置に適用することにより、2次側の高周波チョークが不要となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係るマグネトロン駆動用の薄型トランスの平面図、図2はその正面図、図3は縦断面図、図4(A)(B)はコアの正面図および底面図、図5はトランスの一部の平面図、図6は分解正面図である。図3に示すように、樹脂製のボビン1は、軸方向に2分割された樹脂製の第1のボビン片2と第2のボビン片3とにより構成されている。第1のボビン片2には、円筒形の筒部14の外周面に円盤状の三つのつば4,7,8が互いに平行な配置で一体形成されている。第1のつば4と第2のつば7との間に形成された1次巻枠9には、1次巻線11が円筒状に巻き付けられているとともに、第2のつば7と第3のつば8との間に形成されたヒータ巻枠10には、ヒータ巻線13が1〜2ターン巻き付けられている。
【0019】
一方、第2のボビン片3には、中央の筒部17の外周面に円盤状のつば18が一体形成されている。第1のボビン片2の筒部14内部の中心孔29と、第2のボビン片3の筒部17内部の中心孔30とは、同一径であって、両ボビン片2,3が後述のように連結されたときに、ボビン1としての一つの中心孔となる。また、第2のボビン片3の筒部17は、第1のボビン片2の筒部14の先端開口側に形成された大径内周面15の内径とほぼ同じ外径を有している。したがって、第2のボビン片3は、筒部17を第1のボビン片2の筒部14の大径内周面15に嵌入して接着剤で接着することにより、第1のボビン片2に連結されるとともに、つば18と第1のボビン片2の第3のつば8との間に、2次巻線12が巻き付けられる2次巻枠19が形成される。
【0020】
2次巻線12は、芯線である電線に熱融着材を被覆した融着線を予め円筒状に整列巻きし、加熱融着して固定化したものである。なお、組み立てに際しては、第2のボビン片3を第1のボビン片2に連結するのに先立って、第2のボビン片3の筒部17の外周面に2次巻線12が予め装着され、この状態で筒部17が第1のボビン片2の筒部14の外周面に嵌め込み接着される。なお、2次巻線12は、前記融着線を加熱融着して固定化したものを用いる代わりに、ボビン1を組み立てたのち、2次側巻線溝19に巻き付けてもよい。
【0021】
図2に示すように、ボビン1は、軸方向の寸法D1が径方向の寸法D2よりも短く、偏平な薄型形状になっている。ここで、前記軸方向の寸法D1は、ボビン1の両端のつば4,18を含む各巻線11〜12が装着される部分の軸方向長さであり、径方向の寸法D2は、複数のつば4,7,8,18の最大外径である。
【0022】
図3に示すように、コアCRを構成する一対の同一形状および同一寸法のT字形のコア片20,20は、それぞれインサート成形によって第1および第2のボビン片2,3内に埋設されている。すなわち、各コア片20,20は、各々のアーム部21,21が、対応するボビン片2,3の外側となる中空円盤状の端枠部23,24内に埋設され、各々の脚部22,22が、対応するボビン片2,3の筒部14,17内に埋設されている。
【0023】
各コア片20は、図4に示すように、直方体形状のアーム部21の中央部に、アーム部21の幅とほぼ同一の外径を持つ円柱状の脚部22を形成してT字形としたものである。両コア片20,20のアーム部21,21は、図3に示す各巻線11〜13の径方向に延在して互いに平行に対向している。第1のボビン片2に埋設されたコア片20は、その脚部22の先端が大径内周面15の始端部に一致している。第2のボビン片3の筒部17には、図5に示すように、その先端開口縁部から径方向内方に向け突出した突片からなる四つのスペーサ27が90°の等間隔の配置で一体形成されており、この筒部17の長さとスペーサ27の厚みとの和は、第1のボビン片の大径内周面15の軸方向の長さに一致するよう設定されている。
【0024】
したがって、第2のボビン片3の筒部17が第1のボビン片2の筒部14の大径内周面15内に完全に嵌入されたときには、図3に示すように、各スペーサ27が両コア片20,20の各々の脚部22,22の先端面間に介在して、スペーサ27の厚みによって設定されたギャップGが形成される。こうして、1次巻線と2次巻線12の結合係数は0.6〜0.8に設定されており、これにより、2次巻線12側にリーケージインダクタンスを持たせ、従前のマグネトロン用インバータ回路に必要であった2次側の高周波チョークを不要としている。上記ギャップGは、両ボビン片2,3における1次および2次巻線11,12が施されている筒部14,17の内方に位置している。なお、ギャップGの大きさは適宜設定されるが、ゼロ、つまり脚部22,22の先端面同士を接触させてもよい。
【0025】
また、各ボビン片2,3の各々の端枠部23,24における外端面には、複数個の放熱用孔28が形成されて、コア片20の一部、すなわち、アーム部21における脚部22が形成されていない頂面21aの一部分が、放熱用孔28を通じて外部に露出している。トランス100の駆動時には、各コア片20,20の発生熱が放熱用孔28を通じてボビン片2,3の外部に良好に放散されるようになっている。
【0026】
図2に示す1次巻線11は、図1に2点鎖線で示す巻き始めの引出し線11aが、第1のボビン片2における径方向に延びた切欠溝からなる引出し部31から引き出されて、第1のボビン片2に一体形成された係止部32に係止されているとともに、巻き終わりの引出し線11bが、上記引出し部31から引き出されて、第1のボビン片2に一体形成された係止部33に係止されている。巻き始めの引出し線11aの端末には旗形端子34が取り付けられ、巻き終わりの引出し線11bの端末には丸形端子37が取り付けられている。なお、上記とは逆に、丸形端子37を巻き始めの引出し線11aの端末に、且つ旗形端子34を巻き終わりの引出し線11bの端末に、それぞれ取り付けてもよい。
【0027】
一方、図2に示すように、2次巻線12の引出し線12a,12bは、第2のボビン片3に差込み固定されて軸方向に突出する一対のピン端子38,39に巻き付けられて、半田付けにより接続されている。また、ヒータ巻線13は、両端末にそれぞれピン端子40,41が取り付けられて、図3のヒータ巻枠19に1ターン巻き付けられている。
【0028】
このトランス100の組み立てに際しては、図6に示すように、インサート成形によってコア片20,20が埋設された一対のボビン片2,3にそれぞれ1次巻線11および2次巻線12を巻装したのちに、上述したように、第2のボビン片3の筒部17を第1のボビン片2の筒部14の大径内周面15に嵌入して接着する手順で行われる。したがって、従来トランスのようにコアをボビンに組み付ける工程およびコアバンドなどの固定具を用いてコアをボビンに固定する工程が不要となるので、工数を削減できるとともに組立作業が容易となり、固定具などの部品点数を削減できる。
【0029】
上述のように組立てられたトランス100は、例えば、図11に示した高周波加熱装置におけるマグネトロン66の駆動用に用いられるが、その場合、以下のような手順て高周波加熱装置に組み込まれる。すなわち、トランス100は、図11に示すような回路パターンが形成された配線基板に設けられている接続孔に、図2のピン端子38,39を挿入して半田付けし、旗形端子34と丸形端子37とを上記配線基板に設けられている接続台にそれぞれ差込みおよびねじ止めにより接続し、ピン端子40,41を上記配線基板に設けられている接続端子に差込み接続することで、インバータ回路の配線基板に接続状態に取り付けられる。なお、上記配線基板には、図11の半波整流回路65に代えて、図12の全波整流回路42が形成されていても、上記トランス100を接続状態に取り付けることができる。
【0030】
上記構成によれば、図2に示す各巻線11〜13の側方にコアも、コアに接続されて磁路を形成する磁性体からなるヨークも存在しないので、その分だけトランス100の横方向の寸法,つまりボビン1の径方向に沿った寸法D2が小さくなる。
【0031】
しかも、ボビン1が偏平な形状で、1次および2次巻線11,12の巻幅が小さく、薄型であるために、一対のT字形のコア片20,20のアーム部21,21同士の間隔が小さくなるので、図3に示す脚部22,22とアーム部21,21を通る磁気回路C1,C2に発生する磁束が強くなる。しかも、二つの磁気回路C1,C2が形成されるので、この点からも強い磁束が発生する。したがって、巻線11,12の巻数の増加が抑制され、トランス100を小形化できる。また、両コア片20,20は同一形状および同一寸法であるから、共通の成形型を用いて成形できる。ただし、両コア片20,20は互いに異なる形状または寸法としてもよく、特に、脚部22,22の長さを互いに異ならせて、ギャップGの位置を調整してもよい。
【0032】
また、このトランス100は、上述のように巻線11〜13の側方にコアもヨークも存在しないので、両ボビン片2,3を連結してボビン1を組み立てたのちに、ヒータ巻線13をヒータ巻枠19に巻き付けて取りつけることができる。このように、ヒータ巻線13は、自動巻きされる1次および2次巻線11,12とは別工程において巻き付けできるので、組み立てが容易となる。
【0033】
さらに、通常太い導線で形成されている1次巻線11は、通常太い導線で形成されるので、ボビン1に固定されたピン端子にからげることは容易でないが、本発明の実施形態では、1次巻線11のリード線(端線)は、その先端に取り付けた端子34,37を配線基板に装着した端子台にねじ止めまたは差し込むことにより、配線基板に容易に取り付けることができる。また、通常細い導線で形成される2次巻線12の端部は、ボビン1に固定されたピン端子38,39に接続されているので、高電圧となる2次巻線12の端部が配線基板への取り付け時に不測に揺れ動いて、周囲の導体に接触するおそれがなくなる。
【0034】
図7は本発明の第2実施形態に係るトランス200を示す縦断面図であり、同図において、図3と同一もしくは同等のものには同一の符号付して、その説明を省略する。このトランス200では、第1実施形態のトランス100に用いたT字形のコア片20に代えて、一対のL字形のコア片43を用いてコアCRを構成しており、その他の構成は第1実施形態とほぼ同様である。このコア片43は、図8(A),(B)に示すように、円柱状の脚部45を、平面長方形、つまり直方体形状を持つアーム部44の基端部に形成したものであり、前記T字型コア片20のアーム部21の半分を割愛したものに相当する。脚部45の外径とアーム部44の幅はほぼ同一である。これらコア片43,43のアーム部44,44が、図7に示すように、インサート成形によってボビン片2,3の各々の端枠部48,49内に埋設され、脚部45が筒部14内に埋設されている。
【0035】
コア43のアーム部44の先端は、各巻線11〜13の外径部よりも径方向外方に位置している。このトランス200も、1次巻線11と2次巻線12の結合係数は0.6〜0.8に設定されている。また、両コア片43,43は、やはり同一形状および同一寸法とされているが、互いに異なる形状または寸法としてもよく、特に脚部45,45の長さを互いに異ならせてもよい。
【0036】
このL字形のコア片43,43を用いたトランス200によっても、1次および2次巻線11,12の側方にコアもヨークも存在しないが、コア片43,43の脚部45,45、アーム部44,44および両アーム部44,44の先端間の空隙を通る磁気回路C1によって比較的強い磁束が発生し、第1実施形態で説明したと同様の効果が得られる。
【0037】
図9は本発明の第3実施形態に係るトランス300を示す縦断面図であり、同図において、図3およひ図7と同一もしくは同等のものには同一の符号付して、その説明を省略する。このトランス300では、一対のF字形のコア片50,50を用いてコアCRを構成し、1次巻線11として、2次巻線12と同様に、芯線である電線に熱融着材を被覆した融着線を予め円筒状に整列巻きし、加熱融着して固定化したものを使用している。その他の構成は第1および第2実施形態とほぼ同様である。このコア片50は、図10に示すように、直方体形状のアーム部51のほぼ中央部に円柱状の中脚部52が、一端部に四角以上の多角柱状または円柱状の外脚部53が、それぞれ同一方向に平行に延びるように突設されたF字形状になっており、中脚部52の外径および外脚部53の幅は、アーム部51の幅とほぼ同一である。
【0038】
これらコア片50,50のアーム部51,51が、図9に示すように、インサート成形によってボビン片2,3の各々の端枠部54,57内に埋設され、中脚部52が筒部14内に埋設され、外脚部53が、端枠部54,57の一端部から軸方向に突設された被覆部58,59内に埋設されている。第2のボビン片3の被覆部59の先端部には、筒部17と同様に四つの突片からなるスペーサ60が形成されている。両被覆部58,59の各々の先端部は互いに突き合わされて、その間に介在するスペーサ60によって、中脚部52,52の間に形成されるのと同様のギャップGが形成される。
【0039】
上記トランス300は、両コア片50,50の中脚部52,52、アーム部51,51および外脚部53,53を通る磁気損失の少ない磁気回路C1に加えて、両コア50の中脚部52,52、アーム部51,51および両アーム部51,51の他端間の空隙を通る磁気回路C2が形成される。そのため、このトランス300は、二つの磁気回路C1,C2が形成されることによって、磁気損失が少なくなり、それだけ中脚部52を通る磁束、つまり両巻線11,12の内側を通る磁束か強くなる。これに加えて、上記トランス300は、そのボビン1が偏平な形状であるから、一対のコア片50,50のアーム部51,51同士の間隔が小さくなるので、磁気回路C1,C2に発生する磁束がさらに強くなる。
【0040】
その結果、上記トランス300は、優れた磁気特性が確保されるので、1次および2次巻線11,12の巻幅を小さくして薄型とした場合においても、所定の電圧を得るのに必要な1次および2次巻線11,12の巻数を少なくすることができ、その分だけトランス300の横寸法、つまりボビン1の径方向に沿った寸法が小さくなって小形化できる。したがって、このトランス300は、配線基板に装着するときの装着面積の増大を抑制できる。さらに、このトランス300は、第1および第2実施形態と同様に、コア片50をボビン片2,3にインサート成形で装着したことによる組立作業性の向上とコストダウンとの効果を得ることかできる。
【0041】
なお、本発明はトランスのほか、チョークコイル、リアクトルなど、他の電磁誘導器にも適用できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る薄型電磁誘導器は、一対のT字形、L字形またはF字形のコア片を用いてコアを構成したので、巻線の側方にコア片も、コア片に接続されて磁路を形成する磁性体からなるヨークも存在しないので、巻線の軸方向と直交する径方向の寸法が小さくなる。しかも、ボビンが偏平な薄型であるから、一対のコア片のアーム部同士の間隔が小さくなって、強い磁束が発生するので、優れた磁気特性が確保される。また、一対のコア片が対応する各ボビン片にインサート成形で装着されている構成としたので、コア片をボビンに組付けたのちにコアバンドなどで固定する工程が不要となり、その分だけ工数および部品点数を削減してコストダウンできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る薄型電磁誘導器を示す平面図である。
【図2】同実施形態の正面図である。
【図3】同実施形態の縦断面図である。
【図4】(A)は同実施形態のコアを示す正面図、(B)は同底面図である。
【図5】同実施形態の一部の平面図である。
【図6】同実施形態の分解正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る薄型電磁磁誘導器を示す縦断面図である。
【図8】(A)は同実施形態のコアを示す正面図、(B)は同底面図である。
【図9】本発明の第3実施形態係る薄型電磁誘導器を示す縦断面図である。
【図10】(A)は同実施形態のコアを示す正面図、(B)は同底面図である。
【図11】本発明の薄型電磁誘導器を適用できる高周波加熱装置を示す回路図である。
【図12】他の高周波加熱装置を示す要部の電気回路図である。
【図13】従来のトランスを示す断面図である。
【符号の説明】
1…樹脂製のボビン、2,3…ボビン片、11…1次巻線、11a,11b…引出し線(リード線)、12…2次巻線、20…T字形のコア片、21…T字形のコア片のアーム部、22…T字形のコア片の脚部、29,30…ボビンの中心孔、34…旗形端子(端子)、37…丸形端子(端子)、38,39…ピン端子、43…L字形のコア片、44…L字形のコア片のアーム部、45…L字形のコア片の脚部、50…F字形のコア片、51…F字形のコア片のアーム部、52…F字形のコア片の中脚部、53…F字形のコア片の外脚部、G…ギャップ、D1…軸方向の寸法、D2…径方向の寸法。
Claims (6)
- 軸方向の寸法が径方向の寸法よりも短い偏平な形状の樹脂製のボビンに巻線が装着され、このボビンの中心孔に、一対のT字形のコア片の脚部が挿入され、両コア片のアーム部が前記巻線の径方向に延びて互いに平行に対向しており、前記ボビンは軸方向に分割された複数のボビン片を有し、前記各コア片が対応する前記各ボビン片にインサート成形で装着されている薄型電磁誘導器。
- 軸方向の寸法が径方向の寸法よりも短い偏平な形状の樹脂製のボビンに巻線が装着され、このボビンの中心孔に、一対のL字形のコア片の脚部が挿入され、両コア片のアーム部が前記巻線の径方向に延びて互いに平行に対向しており、前記ボビンは軸方向に分割された複数のボビン片を有し、前記各コア片が対応する前記各ボビン片にインサート成形で装着されている薄型電磁誘導器。
- 軸方向の寸法が径方向の寸法よりも短い偏平な形状の樹脂製のボビンに巻線が装着され、このボビンの中心孔に、一対のF字形のコア片の中脚部が挿入されるとともに、外脚部が前記ボビンの外方で前記巻線の径方向の外側に位置し、前記両コアのアーム部が前記巻線の径方向に延びて互いに平行に対向しており、前記ボビンは軸方向に分割された複数のボビン片を有し、前記各コア片が対応する前記各ボビン片にインサート成形で装着されている薄型電磁誘導器。
- 請求項1から3のいずれかにおいて、前記コア片のアーム部における脚部が形成されていない頂面の少なくとも一部分が外部に露出している薄型電磁誘導器。
- 請求項1から4のいずれかにおいて、前記巻線として、1次巻線と2次巻線が軸方向に離間してボビンに取り付けられ、前記一対のコア片の脚部の対向する先端面の間にギャップが形成されている薄型電磁誘導器。
- 請求項5において、前記1次巻線と2次巻線の結合係数が0.6から0.8の間に設定されている薄型電磁誘導器。
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