JP3541461B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は自動変速機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機は一般に、遊星歯車式の多段変速歯車機構とトルクコンバ−タとを備えて、該多段変速歯車機構がトルクコンバ−タを介してエンジンに連結される。この多段変速歯車機構は、油圧作動式の摩擦締結要素の締結、締結解除を切換えることにより、動力伝達系路を切換えるつまり変速を行うようになっている。この摩擦締結要素に対する作動油圧の供給系路には、油圧の棚圧を形成するためのアキュムレ−タが接続されて、摩擦締結要素に供給される油圧の急激な変化を防止して、セレクトショックや変速ショックを防止するようになっている。そして、このアキュムレ−タには、ライン圧に応じて設定される背圧が印加されるようになっている。
【0003】
ところで、ニュ−トラルレンジからDレンジあるいは後退レンジ等の走行レンジに切換えられた場合、前進走行用の摩擦締結要素あるいは後退走行用の摩擦締結要素の締結速度を十分早めるために、プリチャ−ジと呼ばれるように、ライン圧を一時的に最高圧あるいは略最高圧にまで高めること、つまり摩擦締結要素の遊び分を高いライン圧とすることにより早期に吸収させることが行われている(特開昭62−181926号公報参照)。
【0004】
前記プリチャ−ジによりライン圧を高めておくのは、摩擦締結要素の締結開始直前までとするのが、その締結速度を早めつつ、セレクトショックを防止する上で要求される。このプリチャ−ジを行う期間を、タイマによる時間で設定する場合は、摩擦締結要素の締結開始時期の変動を考慮して、摩擦締結要素が実際に締結開始される前までの十分余裕を持った時間として設定せざるを得ないことになり、この場合は、締結の応答性を十分高めるという点で十分満足のいかないものとなる。
【0005】
一方、前記プリチャ−ジ期間を、例えばタ−ビン回転数が低下開始したときまでというように、摩擦締結要素の締結開始時期を見て設定することが考えられる。この場合は、摩擦締結要素が実際に締結開始までの間プリチャ−ジを行えるので、締結の応答性を十分確保できることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プリチャ−ジ期間を、摩擦締結要素が実際に締結開始されるまで行う場合、アキュムレ−タに対する背圧が、当該摩擦締結要素が実際に締結開始した時点からその直後まで大きい状態となってしまう。このことは、アキュムレ−タによる棚圧が大きくなり過ぎたり、あるいは棚圧を形成しておく時間が極めて短いものとなってしまい、セレクトショックを防止する上で問題となる。このような問題は、例えば1速から2速への変速時等における変速ショック防止という点でも問題となる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、摩擦締結要素の締結の応答性を高めるために一時的にライン圧を高めるものを前提として、摩擦締結要素の締結の際のショックを十分に防止できるようにした自動変速機の制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような構成としてある。すなわち、
動力伝達系路切換用の摩擦締結要素の作動油圧供給系路にアキュムレ−タが接続された自動変速機において、
前記摩擦締結要素の締結時に、自動変速機の入力側回転数が低下開始となるまでの間、ライン圧を最高圧あるいは略最高圧付近に高めるプリチャ−ジ手段を備え、
前記アキュムレ−タの背圧が、前記摩擦締結要素に対する作動油圧とは別個独立して設定されている、
ような構成としてある。
上記構成を前提とした本発明の好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。
【発明の効果】
請求項1に記載された発明によれば、アキュムレ−タの背圧がライン圧と無関係に別項独立して設定されるので、摩擦締結要素の締結応答性を高めるためにライン圧を高めても、この高められたライン圧に応じた背圧をアキュムレ−タに作用させなくてすみ、摩擦締結要素の締結時のショックを十分に防止することが可能となる。つまり、アキュムレ−タの背圧は、ライン圧とは無関係に締結ショック防止の観点を十分加味して自由に設定できることになる。
【0009】
請求項2に記載したような構成とすることにより、アキュムレ−タの背圧を零にすることにより、背圧設定が極めて簡単となる。
請求項3に記載したような構成とすることにより、アキュムレ−タの背圧を零以外の低圧の一定圧とすることにより、背圧設定を簡単化する上で好ましいものとなる。
【0010】
請求項4に記載したような構成とすることにより、ライン圧を一時的に高めるプリチャ−ジ後のライン圧を、エンジン負荷あるいは変速機入力軸回転数に応じて最適設定して、締結されようとする摩擦締結要素の好ましくない滑りや過大な締結力作用を防止して、摩擦締結要素の耐久性向上等の点から好ましいものとなる。
【0011】
請求項5に記載したような構成とすることにより、油圧の供給応答性に大きな影響を与える油温に応じてライン圧を補正して、請求項4に対応した効果をより確実に得る上で好ましいものとなる。
【0012】
請求項6に記載したような構成とすることにより、アキュムレ−タの背圧を可変制御することにより、摩擦締結要素の締結ショックをより十分に防止する上で好ましいものとなる。
【0013】
請求項7に記載したような構成とすることにより、後退レンジ選択のときは、複数の摩擦締結要素を同時に締結する等の観点から、特に締結の応答性が悪くなりかつセレクトショックが大きくなり易いが、この後退アレンジ選択のときの摩擦締結要素の締結応答性とセレクトショック防止とを共に十分に満足させることができる。
【0014】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を添付した図面に基いて説明する。
図2は自動変速機10の概要を示すもので、この自動変速機10は、主なる構成要素としてトルクコンバ−タ20と、該トルクコンバ−タ20の出力により駆動される遊星歯車式の多段変速歯車機構30とからなる。多段変速歯車機構30は、その動力伝達経路に介在する歯車の使用態様を変更させるクラッチあるいはブレ−キ等の複数の摩擦締結要素41〜46及びワンウエ−クラッチ51、52とを有し、これらにより走行レンジとしてのDレンジでは1〜4速の各変速段が得られるようになっている。そして、図1に示すように、多段変速歯車機構30は、トルクコンバ−タ20を介してエンジンEGの出力軸1に連結される。
【0015】
上記トルクコンバ−タ20は、エンジン出力軸1に連結されたポンプケ−ス21に固設されたポンプ22と、該ポンプ22に対向して配置されて該ポンプ22により作動油を介して駆動されるタ−ビン23と、これらポンプ22とタ−ビン23との間に介設され且つ変速機ケ−ス11にワンウエ−クラッチ24を介して支持されてトルク増大作用を行なうステ−タ25と、上記ケ−ス21とタ−ビン23との間に設けられ、上記ポンプケ−ス21を介してエンジン出力軸1とタ−ビン23とを直結するロックアップクラッチ26と、で構成されて、上記タ−ビン23の回転がタ−ビンシャフト27を介して上記変速歯車機構30側に出力されるようになっている。
【0016】
ここで、上記エンジン出力軸1には、タ−ビンシャフト27内を貫通して延びるポンプシャフト12の前端が連結され、該シャフト12により変速機10の後端部に備えられたオイルポンプ13の駆動が行なわれるようになっている。
【0017】
上記変速歯車機構30は、ラビニョン型プラネタリギヤ装置で構成され、上記タ−ビンシャフト27上に遊嵌合された小径のスモ−ルサンギヤ31と、該サンギヤ31の後方において、同じくタ−ビンシャフト27上に遊嵌合された大径のラ−ジサンギヤ32と、前半部がショ−トピニオン33に噛合され、且つ後半部が上記ラ−ジサンギヤ32に噛合されたロングピニオンギヤ34と、該ロングピニオンギヤ34及び上記ショ−トピニオン33を回転自在に支持するキャリヤ35と、ロングピニオンギヤ34の前半部に噛合わされたリングギヤ36と、で構成されている。
【0018】
そして、上記タ−ビンシャフト27とスモ−ルサンギヤ31との間に、フォワ−ドクラッチ41と、第1ワンウエ−クラッチ51とが直列に介設され、またこれらクラッチ41、51に対して並列にコ−ストクラッチ42が介設されている。また、タ−ビンシャフト27とキャリア35との間には3−4クラッチ43が介装されている。また、タ−ビンシャフト27とラ−ジサンギヤ32との間にリバ−スクラッチ44が介装されている。
【0019】
また、上記ラ−ジサンギヤ32とリバ−スクラッチ44との間にはラ−ジサンギヤ32を固定するバンドブレ−キからなる2−4ブレ−キ45が設けられている。また、上記キャリヤ35と変速機ケ−ス11との間には、該キャリヤ35の反力を受け止める第2ワンウエ−クラッチ52と、キャリア35を固定するロ−リバ−スブレ−キ46とが並列に設けられている。そして、上記リングギヤ36が自動変速機の出力軸を実質的に構成する出力ギヤ14に連結され、該出力ギヤ14から差動装置を介して左右の車輪(図示せず)に回転力が伝達されるようになっている。
【0020】
次に、上記摩擦締結要素41〜46及びワンウエ−クラッチ51、52の作動状態と変速段との関係を説明するが、これ等の関係はまとめて図3に示してある。
【0021】
『1速』 フォワ−ドクラッチ41が締結されて、第1、第2のワンウエ−クラッチ51、52はロック状態となる。
このため、トルクコンバ−タ20の出力回転は、タ−ビンシャフト27から上記フォワ−ドクラッチ41及び第1ワンウエ−クラッチ51を介して上記スモ−ルサンギヤ31に入力される。この場合、第2ワンウエ−クラッチ52の作用でキャリヤ35が固定されるため、プラネタリギヤ装置30は、上記スモ−ルサンギヤ31からショ−トピニオンギヤ33及びロングピニオンギヤ34を介してリングギヤ36に回転を伝達する。すなわち、作動動作を行なわない固定的なギヤ列として作動するため、上記スモ−ルサンギヤ31とリングギヤ36との比に対応する大きな減速比の1速状態が得られる。
【0022】
『2速』 上記1速状態に加えて、2−4ブレ−キ45が作動し、プラネタリギヤ装置30におけるラ−ジサンギヤ32が固定されると共に、第2ワンウエ−クラッチ52が空転状態となる。このため、上記タ−ビンシャフト27からスモ−ルサンギヤ31に伝達された回転がショ−トピニオンギヤ33を介してロングピニオンギヤ34に伝達される。ここに、ロングピニオンギヤ34は、これに噛合するラ−ジサンギヤ32が固定されているため、ラ−ジサンギヤ32上を公転し、これに伴ってキャリア35が回転する。従って、1速状態に比較してキャリア35の回転分(ロングピニオンギヤ34の公転分)だけリングギヤ36の回転が増速され、1速のときよりも減速比が小さい2速状態が得られる。
【0023】
『3速』 3速においては、上記2速の状態から2−4ブレ−キ45が開放されると共に、3−4クラッチ43が締結される。このため、タ−ビンシャフト27の回転は、上記フォワ−ドクラッチ41及び第1ワンウエ−クラッチ51を介してスモ−ルサンギヤ31に入力されると同時に、3−4クラッチ43を介してキャリヤ35にも入力されることになる。従って、プラネタリギヤ装置30の全体が一体回転し、リングギヤ36がタ−ビンシャフト27と同じ速度で回転する3速状態が得られる。
【0024】
『4速』 4速においては、上記3速で一旦解放状態とされた2−4ブレ−キ45が再度締結される。このため、タ−ビンシャフト27の回転は、3−4クラッチ43かたプラネタリギヤ装置30のキャリヤ35に入力され、ロングピニオンギヤ34が公転されることになる。このとき、該ロングピニオンギヤ34が噛合ったラ−ジサンギヤ32が上記2−4ブレ−キ45によって固定されているため、ロングピニオンギヤ34はキャリヤ35と共に公転しながら自転することになる。
【0025】
従って、ロングピニオンギヤ34に噛合するリングギヤ36は、キャリヤ35の回転(タ−ビンシャフト27の回転)にロングピニオンギヤ34の自転分だけ増速されて回転することになり、これによりオ−バドライブ状態の4速が得られる。尚、この場合では、フォワ−ドクラッチ41は締結状態にあるが、これに直列の第1ワンウエ−クラッチ51が空転するので、タ−ビンシャフト27の回転がスモ−ルサンギヤ31に入力されることはない。
【0026】
『後退』 リバ−スクラッチ44とロ−リバ−スブレ−キ46とが締結されて、タ−ビンシャフト27の回転は、上記ラ−ジサンギヤ32に入力され、このラ−ジサンギヤ32からロングピニオンギヤ34、リングギヤ36に至る固定的なギヤ列を介して、その回転が伝達される。
【0027】
上記各上記摩擦締結要素41〜46は、既知のように油圧作動式とされて、あらかじめ設定された所定の変速特性およびロックアップ特性に基づいて締結、締結解除の制御が行なわれる。この変速特性あるいはロックアップ特性は、図示は略すが、例えばエンジン負荷と車速とをパラメ−タとして設定される。
【0028】
図4は、ニュ−トラルレンジから後退レンジが選択されたときに締結されるロ−リバ−スブレーキ44に対する油圧系路の一例を示す。この図4において、ポンプ13によりリザ−バ61から汲み上げられた油圧は、ライン62に供給される。ライン62には、電磁制御式のライン圧調整弁PLVが接続されて、その圧力がライン圧とされる。ライン62は、レンジ位置選択用のマニュアルバルブMVに接続されて、該マニュアルバルブが後退レンジ(Rレンジ)にあるときは、ロ−リバ−スブレーキ44に対する作動油圧供給系路としてのライン63が、ライン62に接続される。
【0029】
ライン63には、直列に2つのオリフィス64、65が接続されている。ライン63にはオリフィス64をバイパスするリタ−ンライン66が接続され、該リタ−ンライン66には、互いに直列に、オリフィス67と、ロ−リバ−スブレーキ44側からマニュアルバルブMV側へ向けての流れのみを許容する逆止弁68が接続されている。リタ−ンライン66は、マニュアルバルブMVがロ−リバ−スブレーキ44を締結解除すべきレンジ位置となったときに、当該マニュアルバルブMVを介して油圧をドレンさせために設定されている。
【0030】
ライン63には、オリフィス64と65との間において、分岐ライン63aを介して、アキュムレ−タACCが接続されている。このアキュムレ−タACCは、ケーシング81と、該ケーシング81内に摺動自在に嵌合された可動隔壁としてのピストン82とを有し、ピストン82によりケーシング81内には、常時ライン63と連通された作動室83が画成されると共に、当該作動室83とは反対側において背圧室84が画成されている。背圧室84には、所定の付勢力を有するリタ−ンスプリング85が配設されて、このリタ−ンスプリング85により、ピストン82が作動室83を圧縮する方向に付勢されている。なお、ピストン82は、ケーシング81内において、所定ストロ−ク分だけ摺動可能とされ、作動室84を膨張させる(リタ−ンスプリング85を圧縮させる)方向におけるピストン82のストロ−ク動は、当該ピストン82がケーシング81に形成された係止段部81aに当接することにより規制される。
【0031】
前記ポンプ13からの吐出圧は、ライン71にも供給され、このライン71には、減圧弁を兼用した調圧弁CVを介して、ライン72に接続されている。このライン72は、アキュムレ−タACCの背圧室84に接続されている。ライン72には、デュ−ティソレノイドからなる背圧制御弁73が接続されている。この制御弁73によってライン72のドレン量を制御することにより、ライン72つまり背圧室84に印加される圧力(背圧)の大きさが可変制御可能とされる。図4では、背圧室84の圧力を可変制御する場合、あるいは零以外の一定圧とすることを考慮して制御弁73を設けた場合を示してあるが、背圧室84の圧力を常時零とする場合は、当該制御弁73は不要となる(ライン73が不要となり、背圧室84を大気開放とすることができる)。また、背圧室84の圧力を零以外の一定圧(低圧とされる)に維持する場合は、電磁式の制御弁73を用いる代わりに、機械式の調圧弁を用いることができる(調圧弁CVでこの一定圧を維持するようにしてもよい)。
【0032】
図1において、Uはマイクロコンピュ−タを利用して構成された制御ユニットで、この制御ユニットUには、各種センサS1〜S5からの信号が入力される。センサS1は、車速を検出するものである。センサS2はエンジン負荷(実施例ではスロットル開度)を検出するものである。センサS3タ−ビン回転数を検出するものである。センサS4は、マニュアルバルブMVの操作位置つまりレンジ位置を検出するものである。センサS5は油温を検出するものである。制御ユニットUは、既知のように、あらかじめ設定された変速特性およびロックアップ特性に基づいて、変速制御およびロックアップ制御を行なう他、後述するように、マニュアルバルブMVがニュ−トラルレンジから後退レンジ位置へ切換えられえたとき、ライン圧調整弁PLVを制御して、ライン圧が所定の大きさとなるように制御する。なお、上記変速特性あるいはロックアップ特性は、それぞれ、例えば車速とエンジン負荷とをパラメ−タとして設定されている。
【0033】
図5は、ニュ−トラルレンジから後退レンジへ切換えられたときのライン圧制御の仕方を図式的に示す。この図5において、t1時点で後退レンジへ切換えられたときであり、この切換に同期して、ライン圧が最大圧(略最大圧でも可)とされる。ライン圧を最大圧とすることにより、ロ−リバ−スブレーキ44の遊び(無効ストロ−ク)が早期に吸収される。t2時点では、タ−ビン回転数の低下の開始が検出された時点であり、これは、ロ−リバ−スブレーキ44が、遊び分が完全に吸収されて、実際に締結が開始され始めたことを意味する。このt2時点以後は、小さいライン圧とされ、この小さいライン圧は、後述するように、最低ライン圧を基準値として、スロットル開度とタ−ビン回転数と油温とに応じて補正された大きさとされる。t2後のt3時点では、タ−ビン回転数の低下が終了して、ロ−リバ−スブレーキ44の完全締結が検出された時点である。このt3時点では、後退レンジ位置に応じた所定のライン圧PL(R)とされる。
【0034】
前述したライン圧制御により、ロ−リバ−スブレーキ44の締結圧力(クラッチ圧)は、図6に示すように変化される(図6中のt2、t3は、図5のものに対応する)。すなわち、t2時点まではロ−リバ−スブレーキ44の遊び分を吸収するだけなので、締結圧力は十分小さいものとされる。t2以後は、ロ−リバ−スブレーキ44の締結が実際に開始されるが、このとき、アキュムレ−タACCの作用により、いったん棚圧が形成された状態を経た後、後退レンジに対応したライン圧PL(R)とされる。
【0035】
ここで、t2時点では、図6では理想的な状態として締結圧力が小さいものとして描かれているが、実際には、締結開始を検出した後にライン圧が低下される関係上、応答遅れにより、t2時点からその直後の時点までは、ライン圧はt1時点以後に設定された最大圧とされて、ロ−リバ−スブレーキ44の締結圧力が一時的に極めて大きくなるような傾向を示そうとする(アキュムレ−タACCにより形成される棚圧が大きくなりすぎる)。したがって、アキュムレ−タACCの背圧室84の圧力を、従来のようにこの大きなライン圧に基づいて設定した場合は、ロ−リバ−スブレーキ44の締結開始直後の締結圧力が一時的に大きくなるばかりでなく、アキュムレ−タACCによる棚圧形成の時間が短くなって、大きなセレクトショックを生じてしまうことになる。
【0036】
これに対して、実施例では、アキュムレ−タACCの背圧室84の圧力を零に設定してあるので、アキュムレ−タACCにより形成される棚圧が大きくなりすぎるのが防止され、かつ棚圧形成時間も十分確保されて、大きなセレクトショックが発生するのが防止される。
【0037】
実施例では、背圧室84の圧力を零とした場合を説明したが、背圧室84の圧力を低圧の一定圧としても、背圧室84の圧力を零とした場合と同様に、大きなセレクトショックが防止される(例えば図6一点鎖線で示すような特性を得る)。また、制御弁73により、背圧室84の圧力を可変制御して、図6破線で示すすように、ロ−リバ−スブレーキ44の締結 力を略線形的に変化させて、大きなセレクトショックを防止することもできる(図6実線や一点鎖線で示すように、棚圧を形成する制御も可能)。
【0038】
図7は、背圧室84の圧力を零あるいは低圧の一定圧にした場合を前提として、図5に示すようなライン圧制御を行う場合のフロ−チャ−トを示すもので、以下の説明でQはステップを示す。
【0039】
先ず、図7のQ1において、各種信号が読み込まれた後、Q2において、マニュアルバルブMVがニュ−トラルレンジから後退レンジへ切換えられた時点であるか否かが判別される(図5t1時点の確認)。Q2の判別でNOのときは、Q1へ戻り、Q2の判別でYESのときは、Q3において、ライン圧が最大圧(略最大圧でも可)とされる。この後、Q4において、タ−ビン回転数NTの変化率が0よりも小さいか否かが判別される(図5t2時点の確認)。
【0040】
Q4の判別でNOのときはQ3へ戻り、Q4の判別でYESのときに、Q5において、ライン圧が、最低ライン圧PL(MIN)を基準値として、スロットル開度、タ−ビン回転数および油温に応じて補正された所定圧とされる。すなわち、スロットル開度に応じた補正係数K1が図8に示すように設定されており(K1≧1.0)、タ−ビン回転数に応じた補正係数K2が図9に示すように設定されており(K2≧1.0)、油温に応じた補正係数K3が図10に示すように設定されており(K3≧1.0)、この各補正係数K1〜K3を最低ライン圧PL(MIN)に乗算した値が、Q5において設定される。
【0041】
Q5の後は、Q6において、タ−ビン回転数NTが零(あるいはほぼ零)になったか否かが判別される(図5t3時点の確認)。Q6の判別でNOのときはQ5へ戻り、Q6の判別でYESのときは、Q7において、ライン圧が、後退レンジに対応した大きさPL(R)に設定される。
【0042】
ここで、前記図8〜図10に示す補正係数K1〜K3について補足説明する。先ず、補正係数K1は、スロットル開度が極めて小さいときは1.0とされて、このスロットル開度が極めて小さい領域以外では、スロットル開度の増大と共に、補正係数K1が線形的に増大される。これにより、ロ−リバ−スブレーキ44の締結時おける駆動系のトルクに応じ締結圧力が得られる。また、補正係数K2は、タ−ビン回転数が極めて小さいときは1.0とされて、このタ−ビン回転数が極めて小さい領域以外では、タ−ビン回転数の増大と共に補正係数K1が非線形的に増大される。これにより、ロ−リバ−スブレーキ44の締結時において、当該ロ−リバ−スブレーキ44が吸収すべき回転数に応じた締結圧力が得られる。さらに、補正係数K3は、油温が極めて高いときは1.0とされて、この油温が極めて高い領域以外では、油温の低下と共に補正係数K3が非線形的に増大される。これにより、温度に応じた作動油の粘性の相違が補償される。
【0043】
以上実施例について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合をも含むものである。
(1)ニュ−トラルアレンジから、前進走行レンジ例えばDレンジへの切換時にも同様に適用し得る。
(2)前進走行時での変速時にも同様に適用し得る。ただし、この場合は、変速信号を受けた時点が、図7のQ2の判別でYESとなる時点に相当し、Q3で大きくされるライン圧は最高圧よりもかなり低い圧力であってもよい(変速前後におけるライン圧よりは高くされる)。
(3)多段変速歯車機構30は、適宜の形式のものが利用し得る。
(4)アキュムレ−タACCは、例えば2段階に棚圧を形成するもの等、適宜の形式のものを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す全体系統図。
【図2】自動変速機の一例を示すスケルトン図。
【図3】変速段と摩擦締結要素との関係を示す図。
【図4】ロ−リバ−スブレーキに対する油圧系路の一例を示す図。
【図5】ライン圧の制御内容を図式的に示す図。
【図6】図5に示すライン圧制御した場合にロ−リバ−スブレーキの締結圧力が変化する様子を示す図。
【図7】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【図8】図7に用いられる補正係数の設定例を示す図。
【図9】図7に用いられる補正係数の設定例を示す図。
【図10】図7に用いられる補正係数の設定例を示す図。
【符号の説明】
U:制御ユニット
S1:センサ(車速)
S2:センサ(エンジン負荷)
S3:センサ(タ−ビン回転数)
S4:センサ(レンジ位置)
S5:油温
EG:エンジン
MV:マニュアルバルブ(レンジ位置切換用)
PLV:ライン圧調整弁
ACCアキュムレ−タ
1:エンジン出力軸
10:自動変速機
20:トルクコンバ−タ
27:タ−ビン軸
30:多段変速歯車機構
44:ロ−リバ−スブレーキ(摩擦締結要素)
63:作動油圧供給系路
72:アキュムレ−タの背圧供給系路
73:制御弁(背圧制御用)
81:ケーシング
82:ピストン
83:作動室
84:背圧室
85:スプリング
Claims (7)
- 動力伝達系路切換用の摩擦締結要素の作動油圧供給系路にアキュムレ−タが接続された自動変速機において、
前記摩擦締結要素の締結時に、自動変速機の入力側回転数が低下開始となるまでの間、ライン圧を最高圧あるいは略最高圧付近に高めるプリチャ−ジ手段を備え、
前記アキュムレ−タの背圧が、前記摩擦締結要素に対する作動油圧とは別個独立して設定されている、
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1において、
前記プリチャ−ジ手段が、ニュ−トラルレンジから走行レンジへ切換えられるときに作動され、
前記プリチャ−ジ手段が作動しているとき、前記アキュムレ−タの背圧が零に設定されるもの。 - 請求項1において、
前記プリチャ−ジ手段が、ニュ−トラルレンジから走行レンジへ切換えられるときに作動され、
前記プリチャ−ジ手段が作動しているとき、前記アキュムレ−タの背圧が零以外の低圧の一定圧に設定されるもの。 - 請求項2または請求項3において、
前記プリチャ−ジ手段の作動停止後のライン圧が、エンジン負荷または自動変速機の入力軸側回転数との少なくともいずれか一方に応じて設定されるもの。 - 請求項4において、
前記プリチャ−ジ手段の作動停止後のライン圧を、油温が低いときは高いときに比して大きくなるように補正する補正手段をさらに備えているもの。 - 請求項1において、
前記アキュムレ−タの背圧を可変制御する背圧制御手段を備えているもの。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記走行レンジが、後退レンジであるもの。
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JP26132594A JP3541461B2 (ja) | 1994-09-30 | 1994-09-30 | 自動変速機の制御装置 |
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