JP3541150B2 - 作業車の昇降制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行機体に対して昇降自在な作業装置を昇降操作する昇降操作手段と、設定時間経過する毎に又は設定距離走行する毎に前記作業装置の対地高さの検出値を出力する対地高さ検出手段と、前記対地高さ検出手段の検出情報に基づいて、前記作業装置の対地高さが目標対地高さになるように前記昇降操作手段を制御する制御手段とが備えられた作業車の昇降制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成の作業車の昇降制御装置において、従来では、前記対地高さ検出手段として、超音波式の対地高さセンサを用いて前記作業装置の対地高さを検出するように構成され、その作業装置の対地高さが目標対地高さになるように、前記昇降操作手段を制御するように構成したものがあった。尚、上記超音波式の対地高さセンサは、超音波発信器と超音波受信器とを備えて構成されるとともに、超音波発信器から超音波を発信してから、その超音波が地面で反射して来る反射波を超音波受信器にて受信するまでの経過時間に基づいて、地面までの離間距離、即ち、対地高さを検出する構成であり、このような超音波センサは設定時間(例えば、数十msec)が経過する毎に検出値を出力する構成となっている。
そして、作業装置の対地高さと目標対地高さとの間に偏差がある場合には、昇降操作手段による昇降作動を開始して作業装置を昇降させることになるが、このとき、超音波センサにて検出される対地高さの検出値をフィードバック情報として用いて、つまり、作業装置の実際の対地高さがどのような高さになっているか検出しながら、その対地高さの検出値が目標対地高さになるように昇降操作手段をフィードバック制御する構成となっていた(第1の従来技術)。
【0003】
又、上記第1の従来技術の構成と異なる構成として、例えば、特開平8−37865号公報に示される構成のものもある。
つまり、作業車の一例であるコンバインの走行機体に対して昇降自在な作業装置(刈取処理部)を、昇降操作手段としての油圧シリンダにて昇降操作自在に構成するとともに、超音波センサを備えて構成される対地高さ検出手段にて検出される作業装置の対地高さが、目標対地高さになるように油圧シリンダの作動を制御する構成については、上記第1の従来技術と同じであるが、超音波センサによる前記対地高さの検出方法が異なっている。
つまり、超音波センサにて20ms毎に対地高さの検出値を出力するとともに、制御装置が、その超音波センサの出力に基づいて、走行機体の走行距離が5cmになる毎にその間で検出される複数の検出値の平均値を求めるとともに、その時点から過去の30cm走行する間における上記5cm毎に求めた複数の検出値をさらに平均処理してその平均値を対地高さとして求める構成となっている。従って、走行機体が設定距離(5cm)走行する毎に、作業装置の対地高さの検出値が求められる構成となっており、このようにして求めた対地高さが目標対地高さになるように、油圧シリンダに対する圧油供給状態を制御する。つまり、作業装置の対地高さと目標対地高さとの間に偏差がある場合には、油圧シリンダによる昇降操作方向並びに操作速度を求めて油圧シリンダを作動させることになるが、このとき、走行機体が設定距離(5cm)走行する毎に求められる対地高さの検出値をフィードバック情報として用いて、その対地高さの検出値が目標対地高さになるように油圧シリンダ(昇降操作手段)をフィードバック制御する構成となっていた(第2の従来技術)。
【0004】
更に、別の従来技術として、次のように構成されるものもある。
前記対地高さ検出手段として、地面に接地追従しながら作業装置に対して昇降移動自在な接触片と、この接触片の作業装置に対する高さを検出する昇降量検出手段とを備えた接地式センサと備えて構成され、走行機体が設定距離走行する毎に、又は、設定時間経過する毎に、その間に接地式センサにて検出された複数の検出値を平均化処理して、その平均化処理した値を作業装置の対地高さとして求めるように構成され、このようにして求めた対地高さが目標対地高さになるように、昇降操作手段を制御する。つまり、作業装置の対地高さと目標対地高さとの間に偏差がある場合には、昇降操作手段による昇降作動を開始して作業装置を昇降させることになるが、このとき、走行機体が設定距離走行する毎に、又は、設定時間経過する毎に求められる作業装置の対地高さの検出値をフィードバック情報として用いて、つまり、作業装置の実際の対地高さがどのような高さになっているか検出しながら、その対地高さの検出値が目標対地高さになるように昇降操作手段をフィードバック制御する構成となっていた(第3の従来技術)。
【0005】
上記第2の従来技術、及び、第3の従来技術のように、設定距離走行する毎に、又は、設定時間経過する毎に、複数の検出値の平均処理を行い、その平均値に基づいて対地高さを求めるようにしているのは、この種の作業車による刈取作業が行われる圃場においては、対地高さの検出対象となる走行面は細かな凹凸があったり、藁屑や雑草等が存在するおそれもあるので、このような細かな凹凸又は藁屑や雑草等に起因して検出値のバラツキが大きくなるのを防止するようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1、第2及び第3のいずれの従来構成においても、作業装置の対地高さが目標対地高さになるように前記昇降操作手段を制御する場合に、設定時間経過する毎に又は設定距離走行する毎に対地高さ検出手段にて検出される対地高さを、フィードバック情報として用いて、昇降操作手段をフィードバック制御する構成となっていたので、次のような不利な面があり、改善の余地があった。
【0007】
つまり、上記従来構成においては、昇降操作手段の作動を制御する場合には、対地高さ検出手段の検出情報に基づいて、作業装置の実際の対地高さが目標対地高さになっているか否かを判断しながら制御する必要があるが、上記したように対地高さ検出手段による検出作動は、設定時間経過する毎に、又は、設定距離走行する毎に作業装置の対地高さの検出値を出力する構成となっていることから、昇降操作手段の作動を制御するときに要求される検出速さより遅いため、昇降操作手段の昇降操作がオーバーシュートしてしまうといった不利がある。
具体的に説明すると、前記対地高さ検出手段にて検出対地高さが出力されて、その検出対地高さと目標対地高さとの間に偏差があると、その偏差を解消するべく、作業装置が目標対地高さになるように昇降操作手段を作動させることになるが、その後、検出対地高さが出力されるのは、前回の出力時点から設定時間が経過するか又は設定距離走行した後であり、その次回の検出対地高さが出力されるまでに、昇降操作手段が前記目標対地高さを越えて更に昇降操作を継続して、作業装置が目標対地高さを越えてオーバーシュートしてしまうことがある。そうすると、次回の対地高さ検出値が出力された時点では、対地高さの検出値と目標対地高さとの間に、再度、偏差が生じてしまうことになる。
その結果、走行機体が走行を継続すると、このように対地高さの検出値の出力タイミングが遅れることによるオーバーシュートが繰り返し発生して、目標対地高さへの収束性が悪く、作業装置の昇降操作が頻繁に繰り返されて乗り心地が悪くなったり、作業高さが安定し難いものとなる等の不利があった。因みに、目標対地高さに収束させるために、対地高さの検出値と目標対地高さとの偏差が小さくなるほど昇降操作手段による昇降速度を小さくさせるようにしているが、上述の通り、収束性が悪いものであった。
【0008】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、上記したような昇降操作手段によるオーバーシュートに起因して作業装置の昇降操作が頻繁に繰り返されるといったおそれの少ない安定した状態で昇降制御を行うことが可能となる作業車の昇降制御装置を提供する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の特徴構成によれば、走行機体に対して昇降自在な作業装置を昇降操作する昇降操作手段と、設定時間経過する毎に又は設定距離走行する毎に前記作業装置の対地高さの検出値を出力する対地高さ検出手段と、前記対地高さ検出手段の検出情報に基づいて、前記作業装置の対地高さが目標対地高さになるように前記昇降操作手段を制御する制御手段とが備えられた作業車の昇降制御装置において、前記作業装置の前記走行機体に対する高さを検出する対機体高さ検出手段が設けられ、前記制御手段は、前記対地高さ検出手段にて検出される検出対地高さと前記目標対地高さとの間に偏差がある場合には、前記検出対地高さを前記目標対地高さにするために前記走行機体に対して前記作業装置を昇降させる必要昇降量又は目標昇降位置を求める昇降量算出処理と、前記作業装置を現在高さから前記必要昇降量を昇降させるべく、又は、前記作業装置を前記目標昇降位置に昇降させるべく、前記対機体高さ検出手段の検出情報に基づいて前記昇降操作手段を作動させる対機体昇降処理とを繰り返し実行するように構成されている。
【0010】
従って、制御手段は、対地高さ検出手段にて検出される作業装置の検出対地高さと目標対地高さとの間に偏差がある場合には、検出対地高さを目標対地高さにするために走行機体に対して作業装置を昇降させる必要昇降量、又は、検出対地高さを目標対地高さにするための走行機体に対する作業装置の目標昇降位置を求める。
次に、対機体高さ検出手段の検出情報に基づいて、作業装置を現在高さから前記必要昇降量を昇降させるべく昇降操作手段を作動させるか、又は、作業装置を前記目標昇降位置に昇降させるべく昇降操作手段を作動させる対機体昇降処理を実行する。つまり、対機体高さ検出手段の検出情報をフィードバック情報として用いて、実際の作業装置の対機体高さが必要昇降量に対応する高さ、又は、目標昇降位置になっているか否かを判断しながら、昇降操作手段を制御することになる。そして、上記したような昇降量算出処理と対機体昇降処理とを繰り返し実行することになる。
【0011】
その結果、設定時間経過する毎に又は設定距離走行する毎に出力される対地高さの情報に比べて時間遅れの生じ難い状態で検出しやすい対機体高さの検出情報をフィードバック情報として用いて昇降操作手段を制御することにより、時間遅れによる上記したようなオーバーシュートを少ないものにして、目標対地高さへ極力速やかに収束させることが可能であり、作業装置の昇降操作が頻繁に繰り返されて乗り心地が悪くなったり作業高さが安定し難いものとなる等の従来の不利を解消して、安定した状態で昇降制御を行うことが可能となった。
【0012】
請求項2に記載の特徴構成によれば、請求項1において、前記制御手段は、前記対機体昇降処理が終了した後に、前記昇降量算出処理を実行するように構成されている。
【0013】
従って、作業装置の対地高さと目標対地高さとの間に偏差がある場合に、その偏差を解消するように、対機体昇降処理を実行して、必要昇降量を昇降させるか又は目標昇降位置になるまで昇降操作を継続して、その処理が終了してから、次回の昇降量算出処理を実行することになる。
その結果、例えば、昇降操作手段による昇降作動を実行している途中に、前記昇降量算出処理を実行すると、偏差が解消されていない状態で新たな対機体昇降処理が実行され、頻繁な昇降作動を繰り返すおそれがあるが、上記したような構成とすることで、このような不利がなく、作業装置の昇降操作が頻繁に繰り返されるおそれの少ない安定した状態で昇降制御を行うことが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の特徴構成によれば、請求項1又は2において、前記昇降操作手段は、前記作業装置を昇降操作するときの操作速度を変更可能に構成され、前記制御手段は、前記対機体昇降処理を実行するときに、前記必要昇降量の残存量が大であるほど、又は、前記目標昇降位置から離れているほど、前記操作速度を大にさせる状態で、前記昇降操作手段を制御するように構成されている。
【0015】
前記対機体昇降処理を実行するときに、前記必要昇降量の残存量が大であるほど、又は、前記目標昇降位置から離れているほど、昇降操作手段により作業装置を昇降操作するときの操作速度を大にさせるのである。従って、目標とする位置まで離れているときには大きい速度で素早く昇降させるので能率よく昇降させることができ、目標とする位置に近づくほど操作速度が小になるので目標とする位置にて昇降操作を停止させるときには低速状態になっているので、停止するときのショックを小さいものに抑制できることになる。
【0016】
請求項4に記載の特徴構成によれば、請求項1又は2において、前記作業装置が作業行程での作業を開始する前、及び、前記作業装置が前記作業行程での作業を開始してから設定時間が経過する間又は設定距離走行するまでの間である作業開始状態であるか否かを判別する作業開始状態判別手段が設けられ、前記制御手段は、前記対機体昇降処理を実行するときに、前記作業開始状態判別手段にて前記作業開始状態が判別されているときは、前記作業開始状態が判別されていないときに比べて、前記操作速度を大にさせた状態で、前記昇降操作手段を制御するように構成されている。
【0017】
前記作業開始状態が判別されているときの方が、前記作業開始状態が判別されていないときに比べて、前記操作速度を大にさせるので、例えば、枕地では機体を旋回走行させること等によって地面が荒れていることが多いが、このような枕地で旋回した後に次回の作業行程にて作業を開始する場合(上記作業開始状態)には、地面が荒れて凹凸が多く存在するおそれがあるから、このような状態では、操作速度を大にさせて素早く昇降させることで、作業装置が誤って地面に突っ込む等の不利を極力回避させながら昇降制御を行うことができ、しかも、前記作業開始状態が判別されていないとき、即ち、作業を開始してから設定時間が経過するか又は設定距離走行した後は、地面の荒れによる凹凸も少ないので操作速度を小にしてオーバーシュート等が生じるおそれを少なくして安定した制御を行える。
【0018】
請求項5に記載の特徴構成によれば、請求項1又は2において、前記作業装置が作業行程での作業を開始する前、及び、前記作業装置が前記作業行程での作業を開始してから設定時間が経過する間又は設定距離走行するまでの間である作業開始状態であるか否かを判別する作業開始状態判別手段が設けられ、前記制御手段は、前記対機体昇降処理を実行するときに、前記必要昇降量の残存量が大であるほど、又は、前記目標昇降位置から離れているほど、前記操作速度を大にする状態で、且つ、前記必要昇降量の残存量が同じとき、又は、前記目標昇降位置からの離れ量が同じときの前記操作速度を、前記作業開始状態判別手段にて前記作業開始状態が判別されているときの方が、前記作業開始状態が判別されていないときに比べて、大にする状態で、前記昇降操作手段を制御するように構成されている。
【0019】
従って、前記対機体昇降処理を実行するときに、前記必要昇降量の残存量が大であるほど、又は、前記目標昇降位置から離れているほど、昇降操作手段により作業装置を昇降操作するときの操作速度を大にさせるので、目標とする位置まで離れているときには大きい速度で素早く昇降させるので能率よく昇降させることができ、目標とする位置に近づくほど操作速度が小になるので目標とする位置にて昇降操作を停止させるときには低速状態になっているので、停止するときのショックを小さいものに抑制できることになる。
【0020】
しかも、前記必要昇降量の残存量、又は、前記目標昇降位置からの離れ量が同じであっても、前記作業開始状態が判別されているときの方が、前記作業開始状態が判別されていないときに比べて、前記操作速度を大にさせるのである。
例えば、枕地では機体が旋回走行することに起因して地面が荒れていることが多く、このような枕地で旋回した後に次回の作業行程にて作業を開始する場合には、地面が荒れて凹凸が多く存在するおそれがあるから、このような状態では、操作速度を大にさせて素早く昇降させることで、作業装置が誤って地面に突っ込む等の不利を極力回避させながら昇降制御を行うことができ、しかも、前記作業開始状態が判別されていないとき、即ち、作業を開始してから設定時間が経過するか又は設定距離走行するした後は、地面の荒れによる凹凸も少ないので操作速度を小にしてハンチング等が生じるおそれを少なくして安定した制御を行える。
【0021】
請求項6に記載の特徴構成によれば、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記対地高さ検出手段が、設定サンプリング周期で繰り返して前記作業装置の対地高さの検出値を出力する超音波式の対地高さセンサを備えて構成されている。
【0022】
前記対地高さ検出手段として、例えば、接地追従しながら上下動する接触片を備えてその接触片の上下動量をポテンショメータにて検出するような構成の接地式センサを備えて構成することも考えられるが、対地高さの検出対象である圃場には藁屑や雑草等が存在するおそれがあるが、上記したような接地式センサであれば、接触片に藁屑や雑草等が引っ掛かり堆積して、短期間で使用できない状態になってしまう等の不利があるが、超音波式の対地高さセンサを用いることによって、このような不利を招くことなく長期にわたり良好に対地高さ検出を行うことができ、しかも、設定サンプリング周期で繰り返して検出値を出力する構成であるから、例えば、複数の検出値を平均化処理したり、そのままの出力情報を用いたりする等、制御状況等に応じて出力を使い分けて使用することもできる利点がある。
【0023】
請求項7に記載の特徴構成によれば、請求項6において、前記対地高さ検出手段が、前記設定時間が経過する間に、又は、前記設定距離走行する間に、前記対地高さセンサにて検出された複数の前記対地高さを平均化処理して、前記検出対地高さを求めるように構成されている。
【0024】
前記設定時間が経過する間に、又は、前記設定距離走行する間に、対地高さセンサにて検出された複数の対地高さを平均化処理して検出対地高さを求めるので、圃場の細かな凹凸や藁屑や雑草等によって局部的に変化する異常データが存在していても、複数の検出値を平均化処理することで、これらの異常データがそのまま昇降制御に利用されて昇降操作がオーバーシュートする等の不利を回避して、頻繁な昇降作動を繰り返すおそれが少ないものとなる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る作業車の昇降制御装置について図面に基づいて説明する。図1に作業車としてのコンバインの前部が示されている。このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1L、1Rを備えて走行可能に構成された走行機体Vの前部に、植立穀稈を刈り取り刈取穀稈を後方に向けて搬送する作業装置としての刈取処理部2が昇降自在に備えられ、走行機体Vの後部側に、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置3、脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク4、搭乗運転部5等を備えて構成される。
【0026】
刈取処理部2は、刈取対象条の植立穀稈を振り分け分草する分草具6、植立穀稈を立姿勢に引起す引起し装置7、引起された穀稈の株元側を切断するバリカン型刈取装置8、刈取られた穀稈を徐々に横倒れ姿勢に姿勢変更させながら、後方に搬送する縦搬送装置9等で構成され、機体に対して横軸芯X周りで昇降揺動自在に枢支されている。そして、この刈取処理部2は、昇降操作手段としての油圧シリンダCYの伸縮操作により駆動昇降されるように構成されている。
【0027】
前記縦搬送装置9の搬送入口部には、刈取穀稈が存在するか否かを検出することで、刈取処理部2が刈取作業状態であるか否かを判別するための株元センサS0が備えられている。又、分草具6の後方側箇所に、対地高さを検出する超音波センサS1が備えられている。この超音波センサS1は、図2にも示すように、分草具6や引起し装置7等を支持するために走行機体側から延設された刈取フレーム12に装着され、下方側に向けて超音波を発信する超音波発信器10と、地面にて反射された超音波を受信する超音波受信器11とで構成され、超音波発信器10が超音波を発信してから、地面にて反射してくる反射波を超音波受信器11が受信するまでの経過時間を計測することで、対地高さを検出するように非接触式に構成されている。
説明を加えると、超音波の受信の判別には、受信強度が設定強度(閾値)よりも大であることを条件として「受信」と判別するようになっており、そして、受信器11が発信器10からの直接波を受信することによる誤検出を回避する等の目的のために、前記設定強度は、発信直後の所定時間が経過するまでは最大値に近い大きな値に設定されており、その後の時間経過に伴って漸減するように構成されている。従って、超音波センサS1においては、超音波の反射対象物が非常に遠方にあるときや、極端に近くにある場合には、「受信」と判別されない構成となっている。尚、この超音波センサは、20ms(設定サンプリング周期)毎に刈取処理部2の対地高さの検出値を出力するように構成されている。
【0028】
図2に示すように、前記油圧シリンダCYは単動型シリンダで構成され、油圧シリンダCYに対する作動油の供給状態を、圧油供給による上昇位置、中立停止位置、その他への油圧装置への供給位置の夫々に切り換える3位置切り換え式の電磁操作式の上昇制御弁V1が備えられ、又、油圧ポンプPから油圧シリンダCYに対する圧油供給路18の途中から並列状態で分岐される一対のドレン油路19に、圧油を通過させるオリフィス20と、圧油を排出させる排出位置及び圧油排出を停止させる停止位置に切り換える2位置切換え式の下降制御弁V2とが備えられている。そして、上昇制御弁V1及び下降制御弁V2夫々は、マイクロコンピュータを備えて構成される制御手段の一例としての制御装置14により切り換え制御する構成となっている。
【0029】
そして、この油圧シリンダCYは操作速度を変更調節することができるように構成されている。つまり、上昇制御弁V1を上昇位置に切り換えた状態で、下降制御弁V2を停止位置に切り換えると高速上昇速度になり、下降制御弁V2を排出位置に切り換えると低速上昇速度になり、下降制御弁V2の駆動状態を排出位置と停止位置との2位置の状態を短時間毎に繰り返す、所謂、デューティ制御を実行して、デューティ比を変更調節することにより中間の上昇速度にて適宜変更調節することができる。又、上昇制御弁V1を中立停止位置に切り換えた状態で、下降制御弁V2を停止位置に切り換えると昇降停止状態となり、下降制御弁V2を排出位置に切り換えると高速下降速度になり、下降制御弁V2を上記デューティ制御を実行して、デューティ比を変更調節することにより中間の下降速度にて適宜変更調節することができる。従って、油圧シリンダCYは、上昇操作及び下降操作夫々において操作速度を変更調節することができる。
【0030】
搭乗運転部5には、後述するような刈取処理部の昇降制御を実行するオン状態と制御を実行しないオフ状態とに切換え自在な自動入切スイッチSW3、刈取作業中における刈取処理部2の設定高さを設定する刈高さ設定器15、手動操作に基づいて、刈取処理部2を昇降操作させるための昇降レバー16、この昇降レバー16を中立位置から上昇位置に操作するとオンする上昇スイッチSW1、昇降レバー16を下降位置に操作するとオンする下降スイッチSW2、昇降レバー16における握り部16aの上部に位置して親指にて押し操作される自動昇降スイッチSW4夫々が設けられ、図2に示すように、上記各スイッチSW1,SW2,SW3,SW4の検出情報、及び、刈高さ設定器15の情報は制御装置14に入力されるように構成されている。又、株元スイッチS0の検出結果も制御装置14に入力されるようになっている。
【0031】
刈取処理部2の機体に対する枢支部に、刈取処理部2の機体に対する高さを検出する対機体高さ検出手段としてのポテンショメータ形式の対機体高さセンサS3が設けられ、この対機体高さセンサS3の検出情報も制御装置14に入力される構成となっている。又、クローラ走行装置1L,1Rへの走行駆動系に、走行出力軸の回転数を検出する回転数センサS2が備えられ、制御装置14はこの回転数情報に基づいて、現在の走行車速及び走行距離を演算にて求めるように構成されている。従って、回転数センサS2が車体の車速検出手段を構成することになる。
【0032】
前記制御装置14は、自動入切スイッチSW3のON操作に伴って、前述の超音波センサの検出情報に基づいて、刈取処理部2の対地高さが刈高さ設定器15にて設定された目標対地高さになるように、油圧シリンダCYを制御する昇降制御を実行可能なオン状態に切り換わるように構成されている。
尚、刈取作業の開始時や終了時等において、刈取処理部2を昇降レバー16の指令に基づいて優先して昇降させるべく昇降レバー16の指令があれば、昇降レバー16の指令に基づく手動昇降操作が自動昇降に優先して実行するように構成されており、さらには、前記自動昇降スイッチSW4を押し操作することによって、刈取処理部2を刈取作業用の低い位置と最大上昇位置に近い高い位置とにわたって交互に昇降させることができるようになっている。つまり、刈取処理部2が対機体高さセンサS3の検出値により刈取作業用の低い位置にあることが検出されているときに自動昇降スイッチSW4が押し操作(上昇指令が指令)されると、刈取処理部2を最大上昇位置に近い高さにまで自動で上昇操作させ、且つ、刈取処理部2が対機体高さセンサS3の検出値により高い位置にあることが検出されているときに自動昇降スイッチSW4が押し操作(下降指令が指令)されると、刈取処理部2を刈取作業用の低い位置にまで下降操作させるようになっている。又、自動入切スイッチSW3がオンに設定されている状態で前記下降指令が指令されると、超音波センサS1の検出情報に基づく昇降制御に移行するようになっている。
【0033】
次に、刈取処理部2の昇降制御について説明する。
前記制御装置14は、平均処理タイミング毎に、その間に超音波センサS1より出力された複数の対地高さの検出値の平均値(第1平均値)を求めるとともに、後述するように設定される信号処理区間Li(設定距離の一例)を走行する間に得られた複数の平均値を平均化処理して第2平均値としての区間平均値を検出対地高さとして求めるように構成されている。前記平均処理タイミングとしては、例えば、車速が0.25m/s以下であれば、超音波センサS1により設定サンプリング周期毎に出力される対地高さの検出値のデータ数が10個になる毎に(即ち、200ms経過する毎に)、前記平均化処理を実行するようになっており、車速が0.25m/sを越えていれば、走行距離が5cm(設定単位距離)に達する毎に前記平均化処理を実行するようになっている。
【0034】
そして、その区間平均値と刈高さ設定器15にて設定された目標対地高さとの間に偏差がある場合には、検出対地高さを目標対地高さにするために走行機体Vに対して刈取処理部2を昇降させるための目標昇降位置を求める昇降量算出処理と、対機体高さセンサS3の検出情報に基づいて刈取処理部2を目標昇降位置に昇降させるべく油圧シリンダCYを作動させる対機体昇降処理とを繰り返し実行するように構成されている。
【0035】
しかも、前記対機体昇降処理を実行するときに、刈取処理部2の現在位置が目標昇降位置から離れているほど操作速度を大にさせる状態で、且つ、刈始め状態であるときは、刈始め状態が終了した刈取作業中に比べて、目標昇降位置からの離れ量が同じときの前記操作速度を大にさせた状態で、油圧シリンダCYを制御するように構成されている。
上記刈始め状態とは、刈取処理部2が作業行程での作業を開始する前、及び、刈取処理部2が作業行程での作業を開始してから設定時間が経過するまでの間のことを言う。具体的には、対地高さの検出情報に基づいて刈取作業用の低い位置にあることが検出されているときに、株元センサS0がOFF状態(非作業状態)にある間、及び、OFF状態からON状態(作業状態)に切り換わったことを検出した時点から設定時間(数秒間)が経過する間の状態である。この状態が作業開始状態に対応する。そして、株元センサS0がOFF状態からON状態に切り換わったことを検出した時点から設定時間(数秒間)が経過した後の状態が、作業開始状態が判別されていないときに対応する。従って、株元センサS0や制御装置14による判別処理手順等によって作業開始状態判別手段101が構成されることになる。
【0036】
以下、図4、図5、図6に示す制御フローチャートに基づいて、制御装置14の昇降制御動作について詳述する。
尚、上記したように自動入切スイッチSW3がONされている状態で前記自動昇降スイッチSW4による下降指令が指令されると、この昇降制御が実行されるようになっている。そして、制御が開始させると前記超音波センサS1による検出作動が開始される。この超音波センサS1は、20msec毎に超音波を発信して、地面にて反射してきた反射波を受信することにより、その発信から受信までの時間を対地高さデータに換算して制御装置14に出力する。
【0037】
制御装置14は、超音波センサS1からの高さ検出信号が出力されていれば、超音波センサS1からの信号を受信する(ステップS0,S1)。検出対地高さデータが200mm以下の値であれば異常値であると判断して、エラー処理を実行し、200mmを越えていれば、メモリにデータを記憶させる(ステップ1〜3)。このとき、異常であればカウンタのカウント値αをカウントアップして、走行機体が1m(異常判別用距離)走行する間にカウント値αが設定回数α0を越えると、超音波センサS1の検出作動が異常であるとして、搭乗運転部5に設けられる報知ランプ21にて報知するようにしている(ステップ4〜7)。尚、超音波センサS1からの高さ検出信号の出力がない場合であっても、後述するような油圧シリンダCYに対する昇降用の制御情報が出力されている状態であれば、このような油圧シリンダCYに対する昇降用の制御情報の出力を優先して実行する(ステップ9)
【0038】
上記したように検出対地高さデータが200mm以下の値であれば異常値であると判断するのは、超音波センサS1は、図2に示すように、刈取処理部2における刈取フレーム12に連設される分草具フレーム17の下端位置よりも所定高さH(200mmよりも少し大きい値)だけ上方側に位置する状態で刈取フレーム12に取付け支持される構成となっている。従って、分草具フレーム17の下端位置が地面に接当する状態まで刈取処理部2が下降したときに対地高さの検出値は200mmより少し大きい値となるが、それよりも刈取処理部2が下方に下がることは無いので、検出対地高さが200mm以下の値であれば異常値であると判断するのである。
【0039】
その後、上記したような平均処理タイミングに達する毎に、検出値の平均化処理を実行することになるが、平均処理タイミングに達するまでの間に、後述するような油圧シリンダCYに対する昇降用の制御情報が出力されている状態であれば、油圧シリンダCYに対する昇降用の制御情報の出力を優先して実行する(ステップ8,9)
平均処理タイミングに達すると、具体的には、車速が0.25m/s以下であれば超音波センサS1による検出値のデータ数が10個になる毎に(即ち、200ms経過する毎に)、又、車速が0.25m/sを越えていれば走行距離が5cmに達する毎に、その間に検出された複数の検出値についての平均化処理を実行するが、そのとき、前記刈始め状態であることが判別されているときは、複数の検出値のうち、対地高さが最大側である一部のデータを除外したその他の多い個数の検出値を用いて平均化処理し、前記刈始め状態であることが判別されていないときには、複数の検出値のうち、対地高さが最大側である一部のデータ、及び、対地高さが最小側である一部のデータ夫々を除外したその他の少ない個数の検出値を用いて平均化処理するようになっている。
【0040】
尚、刈始め状態とは、上述したように、対地高さの検出情報に基づいて刈取作業用の低い位置にあることが検出されているときに、株元センサS0がOFF状態(非作業状態)にある間、及び、OFF状態からON状態(作業状態)に切り換わったことを検出した時点から設定時間(数秒間)が経過する間の状態である。又、刈始め状態であることが判別されていないときとは、株元センサS0がOFF状態からON状態に切り換わったことを検出した時点から設定時間(数秒間)が経過した後の状態をいう。
【0041】
具体的な数値を用いて説明すると、刈始め状態であれば、例えば車速が0.25m/s以下であれば、5cm走行間のデータの個数が最大10個であり、そのデータのうちの最大対地高さのデータ1個を除く9個(90パーセント)の平均化処理を行い、刈始め状態でないとき、たとえば、車速が0.5m/sであれば、5cm走行間のデータの個数が5個となるが、そのうち最大対地高さのデータ1個と、最小対地高さのデータ1個とを除いた後の残り3個(60パーセント)のデータの平均化処理を行るようになっている(ステップ10,11,12)。尚、刈初め状態の低速走行状態で、データ数nが10個になるのは、メモリバッファ数n0(10個)により制限されるからである。
【0042】
このような刈初め状態においては、上記したような区間平均値を求めるための信号処理区間Liを20cmに設定するようにしている(ステップ13)。刈始め状態では、圃場が荒れていることが多く、短い間隔で敏感に対地高さを検出して昇降制御するようにして、刈取処理部2が土中に突っ込む等の不利を回避するようにしている。又、刈始め状態でないときには、区間平均値を求めるための信号処理区間Liを刈初め状態のときに比べて長くするように変更設定するようにしている(ステップ14)。その区間長さの変更処理については、後で詳述する。
【0043】
次に、走行機体が信号処理区間Liを走行する間に求められた複数の平均値を平均化処理して検出対地高さとしての区間平均を求める(ステップ15,16)。この、平均化処理は、上記したような平均処理タイミングになる毎に、その時点より過去の信号処理区間Li走行する間における平均値であり、平均処理タイミング毎になる間に走行する毎に移動平均を求める処理として実行される。つまり、車速が0.25m/s以下であれば検出データ数が10個になる毎に、又、車速が0.25m/sを越えていれば5cm走行する毎に、検出対地高さが求められることになる。
【0044】
次に、検出対地高さと刈高さ設定器15にて設定された目標対地高さとの間の偏差(高さ偏差Δh)を求める(ステップ17)。次に、この高さ偏差Δhを、刈取処理部2の対機体高さの情報としての位置偏差Δrに換算して(ステップ18)、検出対地高さを目標対地高さにするために、走行機体Vに対して刈取処理部2を昇降させるための昇降用目標位置を求める(ステップ19)。
【0045】
このように求められた位置偏差Δr(目標昇降位置の情報)に基づいて、偏差があれば、油圧シリンダCYを作動させる対機体昇降処理を実行することになるが、このとき、刈取処理部2の現在位置が目標昇降位置から離れているほど、操作速度を大にする状態で、且つ、目標昇降位置からの離れ量が同じときの前記操作速度を、前記刈始め状態が判別されているときの方が、刈始め状態が判別されていないときに比べて、大にする状態で、油圧シリンダCYを制御するように構成されている。
【0046】
つまり、図7に示すように、前記位置偏差Δrの大きさに対する制御出力、具体的には、油圧シリンダに対する圧油供給量の変化特性として、位置偏差Δrの大きさに対して制御出力が直線的に変化するもので、その傾斜状態が互いに異なる2種類が予め用意されており、上記刈始め状態が判別されているときは、目標昇降位置からの離れ量が同じときの操作速度が大である特性ラインQ1を選択し、刈始め状態が判別されていないときは、上記操作速度が小である特性ラインQ2を選択するようになっている(ステップ20,21,22)。
【0047】
そして、対地高さセンサS3の検出値によって刈取処理部2の現在位置を検出しながら、位置偏差Δrの情報と選択された制御特性(特性ライン)に基づいて制御出力を決定し、刈取処理部2が上記目標位置に到達するまで油圧シリンダCYによる刈取処理部2の昇降作動を行う(ステップ23,24,25)。このとき、図7の特性から明らかなように、刈取処理部2の位置が目標昇降位置に近づいてくるほど油圧シリンダCYによる操作速度が直線的に小になるように変化するので、停止時のショックが少ないものとなる。しかも、刈取処理部2の位置が目標昇降位置に到達して対機体昇降処理が終了した後に、前記昇降量算出処理を実行するように構成され、昇降操作を実行している途中で、再度、昇降量算出処理を実行することで、頻繁な昇降作動を繰り返すことを回避している。対地高さセンサS3の検出値によって刈取処理部2の現在位置が前記目標位置に到達すると、昇降作動を停止させる(ステップ26)。
【0048】
刈取作業が継続されるに伴って上記したような昇降制御が実行される結果、刈取処理部2の対地高さが目標昇降位置に対する設定許容範囲(不感帯)内に収束して、安定した状態となってくるが、前記制御装置14は、このような収束状態に達したのちは、上記した区間平均値を求めるための信号処理区間Liを、予め設定した設定範囲を越えない範囲内で、現在値よりも設定量長くさせる漸増処理を繰り返して実行するように構成され、刈取処理部2の対地高さが目標対地高さに対する制御不感帯から外れて、油圧シリンダCYによる昇降作動が行われる制御出力状態においては、信号処理区間Liを設定範囲の下限値としての初期値(20cm)に変更設定するように構成されている。
【0049】
この区間変更処理は、ステップ14にて実行されるが、具体的には図6に示すように制御を実行する。つまり、前記対機体昇降処理が終了した後に、次回の昇降量算出処理を実行する際に、偏差が設定許容範囲(不感帯)内にあれば、目標位置に収束していると判断し、信号処理区間Liを現在値よりも設定量(5cm)だけ長くさせる(ステップ140,141)。但し、信号処理区間Liが60cmを越える場合には、信号処理区間Liを60cmに設定する(ステップ142,143)。つまり、最大値が60cmとなる。
尚、偏差が設定許容範囲(不感帯)内から外れて目標位置に収束していなければ、信号処理区間Liを20cmに設定する(ステップ144)。
従って、収束状態であれば、信号処理区間Liは、20cm(最小値)〜60cm(最大値)の間(設定範囲)で5cmづつ漸増するように変更調節されることになり、偏差が発生すると、すぐに最小値(20cm)に変更するようになっている。
【0050】
上記構成においては、超音波センサS1と制御装置14による対地高さの検出処理構成とにより、設定時間経過する毎に又は設定距離走行する毎に前記刈取処理部の対地高さの検出値を出力する対地高さ検出手段100が構成されることになる。又、制御装置14により、刈取処理部2(作業装置)の対地高さが目標対地高さになるように油圧シリンダCY(昇降操作手段)を制御する制御手段102が構成されることになる。
【0051】
〔別実施形態〕
次に別実施形態について説明する。
【0052】
(1)上記実施形態では、作業装置(刈取処理部)の位置が前記目標昇降位置から離れているほど前記操作速度を大にするための構成として、前記位置偏差Δrの大きさに対する昇降操作手段に対する制御出力の変化特性が直線的に変化するものを例示したが、このようなものに限らず、例えば、図8の特性ラインQ1’,Q2’に示すように、位置偏差Δrの大きさに対して制御出力が曲線的に変化し、かつ、位置偏差Δrの大きさが大であるほど、位置偏差Δrの単位変化量に対する制御出力の変化量、即ち、変化特性の傾斜角度が大となるような変化特性を用いてもよい。
【0053】
(2)上記実施形態では、前記対機体昇降処理が終了していなくても、前記平均処理タイミングになる毎に前記昇降量算出処理を実行する構成として、その新たな情報に基づいて対機体昇降処理を実行する構成したが、このような構成に限らず、前記対機体昇降処理が終了した後に、前記昇降量算出処理を実行するように構成してもよい。
つまり、図9に示すように、上記実施形態の制御フローチャートにおけるステップ17の後に、油圧シリンダCYに対する昇降用の制御情報が出力されているか否かの判断処理(ステップ17a)を加え、出力されている状態であれば、上記ステップ23に移行して、このような油圧シリンダCYに対する昇降用の制御情報の出力(対機体昇降処理)を前記昇降量算出処理に優先して実行するようにして、前記対機体昇降処理が終了した後に、前記昇降量算出処理を実行するように構成してもよい。
【0054】
(3)上記実施形態では、前記昇降量算出処理として、前記検出対地高さを前記目標対地高さにするために走行機体に対して刈取処理部を昇降させる目標昇降位置を求め、前記対機体昇降処理として、刈取処理部を目標昇降位置に昇降させるべく昇降操作手段を作動させるようにしたが、このような構成に代えて、前記検出対地高さを前記目標対地高さにするために走行機体に対して刈取処理部を昇降させる必要昇降量を求める構成として、前記刈取処理部を現在高さから前記必要昇降量を昇降させるべく前記昇降操作手段を作動させるようにしてもよい。
【0055】
(4)上記実施形態では、前記対機体昇降処理を実行するときに、刈取処理部の位置が前記目標昇降位置から離れているほど前記操作速度を大にする状態で、かつ、前記目標昇降位置からの離れ量が同じときの前記操作速度を、前記作業開始状態が判別されているときの方が、前記作業開始状態が判別されていないときに比べて、大にする状態で、前記昇降操作手段を制御するように構成するものを例示したが、このような構成に代えて、次のような構成でもよい。
前記昇降量算出処理として、前記検出対地高さを前記目標対地高さにするために走行機体に対して刈取処理部を昇降させる必要昇降量を求める構成として、その必要昇降量の残存量が大であるほど、且つ、前記必要昇降量の残存量が同じときの前記操作速度を、前記作業開始状態が判別されているときの方が、前記作業開始状態が判別されていないときに比べて、大にする状態で、前記昇降操作手段を制御するように構成するものでもよい。
【0056】
又、前記目標昇降位置からの離れ量や前記必要昇降量の残存量に対する上記操作速度の変化特性として、前記作業開始状態であるか否かにかかわらず常に一定の特性で制御を実行するものでよく、あるいは又、上記昇降操作手段の操作速度を常に一定速度で制御する構成であってもよい。
【0057】
(5)上記実施形態では、前記作業開始状態であることが判別されているときとして、刈取処理部2が刈取作業用の低い位置にあって、株元センサS0がOFF状態(非作業状態)にある間、及び、OFF状態からON状態(作業状態)に切り換わったことを検出した時点から設定時間(数秒間)が経過する間の状態とし、前記作業開始状態であることが判別されていないときとは、株元センサS0がOFF状態からON状態に切り換わったことを検出した時点から設定時間(数秒間)が経過した後の状態としたが、このような構成に限らず、次のように設定するものでもよい。
【0058】
例えば、前記作業開始状態であることが判別されているときとして、刈取処理部2が刈取作業用の低い位置にあって、株元センサS0がOFF状態(非作業状態)にある間、及び、OFF状態からON状態(作業状態)に切り換わったことを検出した時点から設定距離走行する間の状態とし、前記作業開始状態であることが判別されていないときとは、株元センサS0がOFF状態からON状態に切り換わったことを検出した時点から設定距離走行した後の状態としてもよい。
【0059】
又、前記作業開始状態が判別されているときとして、刈取処理部2が刈取作業用の低い位置にあって、株元センサS0がOFF状態(非作業状態)にある間、及び、OFF状態からON状態(作業状態)に切り換わったことを検出した時点から、上記昇降制御が実行されて刈取処理部の対地高さが目標対地高さに収束する収束状態に達するまでの間の状態とし、作業開始状態であることが判別されていないときとは、刈取処理部の対地高さが目標対地高さに収束する収束状態に達した後の状態とするように構成してもよい。
【0060】
さらには、作業開始を検出する手段として、株元センサに代えて、引き起こし装置や縦搬送装置あるいは脱穀装置の駆動負荷を検出して作業開始を検出してもよく、検出構成は各種変更して実施してもよい。
【0061】
(6)上記実施形態では、前記対地高さ検出手段として、前記設定距離走行する毎に作業装置の対地高さの検出値を出力する構成として、前記超音波式の対地高さセンサにて、設定サンプリング周期(20ms)で作業装置の対地高さの検出値を出力する構成とし、平均処理タイミング毎に(車速が0.25m/s以下であれば検出データ数が10個になる毎に、又、車速が0.25m/sを越えていれば5cm走行する毎に)、その間での複数の検出値の平均値(第1平均値)を求め、さらに、信号処理区間(20cm〜60cm)走行する間での複数の第1平均値をさらに平均化処理するようにしたが、平均化処理の具体構成を適宜変更したり、又、このような平均化処理を行わない構成でもよい。具体的には、次のように構成するものでもよい。
▲1▼ 上記信号処理区間(20cm〜60cm)に代えて、信号処理用の設定時間が経過する間での複数の第1平均値を平均化処理する構成。
▲2▼ 前記平均処理タイミングのうち車速が0.25m/sを越えているときに、5cm走行する代わりに、設定時間が経過する間における複数の検出値の平均値を求めてもよい。
▲3▼ 上記したような信号処理区間での平均処理を実行することなく、前記第1平均値をそのまま前記検出対地高さとして求める構成。
▲4▼ 対地高さセンサにて設定単位時間(20ms)が経過する毎に出力される検出値を、平均化処理することなく、そのまま前記検出対地高さとして出力する構成。
【0062】
(7)上記実施形態では、前記対地高さ検出手段として、設定サンプリング周期(20ms)毎に刈取処理部の対地高さの検出値を出力する超音波式の対地高さセンサを備えて構成されるものを例示したが、このような構成に限らず、設定サンプリング周期毎に刈取処理部の対地高さを検出するとともに、設定時間経過する毎に又は設定距離走行する毎に、上記検出値の平均化処理を実行して、その平均値を制御装置に出力するような対地高さセンサにて構成してもよい。
又、前記対地高さ検出手段として、このような超音波式のセンサに代えて、接地追従しながら作業装置に対して上下動自在な接触片と、この接触片の上下動量を検出する昇降量検出手段とを備えて前記上下動量に基づいて対地高さを検出する接地式センサを備える構成として、設定時間経過する毎に又は設定距離走行する毎に、その間に検出された検出値を平均化処理して対地高さの検出値を出力するように構成してもよい。
【0063】
(8)上記実施形態では、作業車としてコンバインを例示したが、本発明はコンバインに限らず、例えば、コンバイン以外のイグサ収穫機や苗移植機、作業機付きのトラクタ等、作業装置を昇降自在に備えた各種の作業車に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの前部の側面図
【図2】超音波センサ配設部の側面図
【図3】制御ブロック図
【図4】制御フローチャート
【図5】制御フローチャート
【図6】制御フローチャート
【図7】出力特性図
【図8】別実施形態の出力特性図
【図9】別実施形態の制御フローチャート
【符号の説明】
2 刈取処理部
100 対地高さ検出手段
101 作業開始状態判別手段
102 制御手段
CY 昇降操作手段
S1 対地高さセンサ
S3 対機体高さ検出手段
Claims (7)
- 走行機体に対して昇降自在な作業装置を昇降操作する昇降操作手段と、設定時間経過する毎に又は設定距離走行する毎に前記作業装置の対地高さの検出値を出力する対地高さ検出手段と、前記対地高さ検出手段の検出情報に基づいて、前記作業装置の対地高さが目標対地高さになるように前記昇降操作手段を制御する制御手段とが備えられた作業車の昇降制御装置であって、
前記作業装置の前記走行機体に対する高さを検出する対機体高さ検出手段が設けられ、
前記制御手段は、
前記対地高さ検出手段にて検出される検出対地高さと前記目標対地高さとの間に偏差がある場合には、前記検出対地高さを前記目標対地高さにするために前記走行機体に対して前記作業装置を昇降させる必要昇降量又は目標昇降位置を求める昇降量算出処理と、前記作業装置を現在高さから前記必要昇降量を昇降させるべく、又は、前記作業装置を前記目標昇降位置に昇降させるべく、前記対機体高さ検出手段の検出情報に基づいて前記昇降操作手段を作動させる対機体昇降処理とを繰り返し実行するように構成されている作業車の昇降制御装置。 - 前記制御手段は、
前記対機体昇降処理が終了した後に、前記昇降量算出処理を実行するように構成されている請求項1記載の作業車の昇降制御装置。 - 前記昇降操作手段は、前記作業装置を昇降操作するときの操作速度を変更可能に構成され、
前記制御手段は、
前記対機体昇降処理を実行するときに、前記必要昇降量の残存量が大であるほど、又は、前記目標昇降位置から離れているほど、前記操作速度を大にさせる状態で、前記昇降操作手段を制御するように構成されている請求項1又は2記載の作業車の昇降制御装置。 - 前記作業装置が作業行程での作業を開始する前、及び、前記作業装置が前記作業行程での作業を開始してから設定時間が経過する間又は設定距離走行するまでの間である作業開始状態であるか否かを判別する作業開始状態判別手段が設けられ、
前記制御手段は、
前記対機体昇降処理を実行するときに、前記作業開始状態判別手段にて前記作業開始状態が判別されているときは、前記作業開始状態が判別されていないときに比べて、前記操作速度を大にさせた状態で、前記昇降操作手段を制御するように構成されている請求項1又は2記載の作業車の昇降制御装置。 - 前記作業装置が作業行程での作業を開始する前、及び、前記作業装置が前記作業行程での作業を開始してから設定時間が経過する間又は設定距離走行するまでの間である作業開始状態であるか否かを判別する作業開始状態判別手段が設けられ、
前記制御手段は、
前記対機体昇降処理を実行するときに、
前記必要昇降量の残存量が大であるほど、又は、前記目標昇降位置から離れているほど、前記操作速度を大にする状態で、
且つ、前記必要昇降量の残存量が同じとき、又は、前記目標昇降位置からの離れ量が同じときの前記操作速度を、前記作業開始状態判別手段にて前記作業開始状態が判別されているときの方が、前記作業開始状態が判別されていないときに比べて、大にする状態で、前記昇降操作手段を制御するように構成されている請求項1又は2記載の作業車の昇降制御装置。 - 前記対地高さ検出手段が、設定サンプリング周期で繰り返して前記作業装置の対地高さの検出値を出力する超音波式の対地高さセンサを備えて構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業車の昇降制御装置。
- 前記対地高さ検出手段が、前記設定時間が経過する間に、又は、前記設定距離走行する間に、前記対地高さセンサにて検出された複数の前記対地高さを平均化処理して、前記検出対地高さを求めるように構成されている請求項6記載の作業車の昇降制御装置。
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