JP3541013B2 - 優れた接触疲労特性を有する動力伝達部品用鋼 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,摩擦係数の大きい潤滑油を介して,接触の摩擦力により動力を伝達する部品,例えばトロイダル式無段変速機等に使用される鋼,および部品に関し,特に優れた接触疲労特性を示す動力伝達部品用鋼,およびその鋼を用いた動力伝達部品に関する。
【0002】
【従来技術】
一般に,自動車や産業機械等に用いられ,接触疲労を受ける部品としては歯車や軸受が代表される。歯車は動力伝達部品として,特に自動車用変速機に,また,軸受は回転体の支持部に使用されており,これらは動力損失の原因となる接触による摩擦力の低減が重要とされている。
【0003】
近年,この歯車による変速機に代るものとして,トロイダル式無段変速機が採用され始めている。このトロイダル式無段変速機は,歯車の機械的かみ合いで動力を伝達するのではなく,駆動側回転体(円盤状部品,ディスクと呼ぶ)と従動側回転体(円盤状部品,ディスクと呼ぶ)との間に複数のローラを配置し,それぞれの接触部に発生する摩擦力によって回転し,動力を伝達するものである。従って,円盤状部品の上を円形軌道でローラが転がるため,その接触部においてスピンすべりが生じて発熱し,さらに,摩擦力によって動力を伝達するため接触部表面には通常の転がり接触にはない大きな摩擦力が発生する。このため,トロイダル式無段変速機は,構成部品に使用される鋼にとって,軸受等と比べて非常に苛酷な環境と考えられている。ここで,スピンすべりとは,円盤状部品の上を円形軌道でローラが転動する時,その接触面内における周速の差から生じるすべりを意味する。
【0004】
従来から,接触疲労をともなう歯車や軸受等には,SCR420やSCM420に代表される肌焼鋼や,SUJ2に代表される高炭素クロム軸受鋼が主に使用されている。しかし,これらの鋼をトロイダル式無段変速機等の用途に用いると,早期破損を起こす問題があった。そこで,このような特殊な使用環境下において,優れた接触疲労特性を有する鋼,およびその鋼を用いた部品が要望されている。
【0005】
こうした状況のもとに提案された鋼は,これまでに,特開平8−326862,特開平9−79337,特開平10−103440などに開示されている。たとえば,特開平8−326862は表面硬化処理として高周波焼入を採用しており,また,特開平9−79337は表面硬化処理として浸炭焼入と高周波焼入が併用しており,さらに特開平10−103440は浸炭焼入を採用している。これらはいずれも,本用途に対して疲労寿命向上効果が十分ではなく,さらに浸炭については,その処理に膨大な時間とエネルギーを必要とし,同時にCO2排出等の環境問題も生じる可能性があった。
【0006】
【解決しようとする課題】
これらの問題を考慮し,本発明の目的は,軸受等とは異なり,高面圧で,かつ,大きな摩擦力と高温という非常に苛酷な環境下において,優れた接触疲労特性を示す動力伝達部品用鋼及び,その鋼を用いた動力伝達部品を提供することにある。
【0007】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,C:0.55〜0.65重量%,Si:0.5超〜2.0重量%,Mn:1.0重量%以下,P:0.025重量%以下,S:0.035重量%以下,Cu:0.3重量%以下,Cr:1.6〜3.0重量%,Mo:1.6〜2.5重量%,V:0.75〜1.5重量%,Al:0.05重量%以下,O:0.0015重量%以下,N:0.030重量%以下,Ti:0.005重量%以下を含有し,かつ,(Mo%+V%)/C%:4.5〜6.0の関係を満足し,残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を球状化焼鈍した動力伝達部品用鋼であって,
該動力伝達部品用鋼に,焼入焼戻しをしたとき又は焼入焼戻しにサブゼロ処理を併用したとき,その硬さがHv680以上になることを特徴とする優れた接触疲労特性を有する動力伝達部品用鋼である。
【0008】
本発明によれば,潤滑油を介して接触し,その摩擦力を利用することで動力伝達を行う動力伝達部品用鋼に,溶製時の適正な化学成分と適切な硬化熱処理を施すことによって,一般的に用いられるSUJ2,SCM420および他の従来鋼に対して,優れた接触疲労特性向上効果を得ることができる。
このように本発明によれば,高面圧で,かつ,大きな摩擦力と高温という非常に苛酷な環境下において優れた接触疲労特性を示す動力伝達部品用鋼を提供することができる。
【0009】
以下に各合金元素の限定理由について説明する。
C:0.55〜0.65重量%
Cは鋼の強度を保持するために必須であり,また,焼もどしによる2次硬化で高硬度を確保するためにも必要な元素である。そのためには,少なくとも0.55重量%以上必要であるが,その含有量が多過ぎれば,Cとの結合力が特に強いMoやVと結合することで,大型の共晶炭化物やネット状炭化物が析出し易くなり,熱間および冷間加工性を阻害し製造性を悪化させるばかりか,接触疲労特性をも劣化させるため,上限を0.65重量%とした。
【0010】
Si:0.5超〜2.0重量%
Siは本発明にとって重要な元素の1つであり,発明者らは焼戻し軟化抵抗を与えるだけでなく,接触摩擦力によって動力伝達する部品において,その接触疲労特性の劣化を抑制する効果を見出した。その効果のためには0.5重量%を超えた含有量が必要である。しかし過剰に添加してもその効果は飽和するばかりでなく,鋼の変態点を高めるので熱処理温度を高温とする必要を生ずるほか,鍛造性および冷間加工性を損なうなどの弊害をもたらすので,Si含有量の上限を2.0重量%とする。好ましくは0.6〜1.2重量%が望ましい。
【0011】
Mn:1.0重量%以下
Mnは鋼の焼入れ性を向上させる元素であるが,過剰に添加すると素材の軟化焼鈍を困難とし,また加工性および熱間加工性をも劣化させるため上限を1.0重量%とする。
【0012】
P:0.025重量%以下
Pは鋼中に多量に存在すると結晶粒界に偏析し,粒界を脆化させる原因になる元素である。従って,可能な限り低いことが望ましく,上限を0.025重量%に規制する。
【0013】
S:0.035重量%以下
Sは切削性を向上させる元素であるが,多量に添加すると大型のMnS等の非金属介在物を生成し,疲労特性を劣化させるため上限を0.035重量%とする。
【0014】
Cu:0.3重量%以下
Cuは鋼の焼入れ性,耐食性を向上させる元素である。本発明においては,その含有量が多すぎれば赤熱脆性等の不具合を起こし,製造性を悪化させるので上限を0.3重量%とする。
【0015】
Cr:1.6〜3.0重量%
Crは本発明にとって必須の元素の1つで,焼戻し軟化抵抗性を与えるだけでなく,2次硬化にも寄与し,また,炭化物を生成することで耐摩耗性を付与するために必要な元素である。さらに,本発明において,Si,Mo,Vと同時に添加することにより,接触摩擦力によって動力伝達する部品において,接触疲労特性の劣化を抑制する効果を見出した。その効果のためには1.6重量%以上添加する必要がある。しかし,過剰に添加してもその効果は飽和するばかりか,Mo,Vと複合した巨大な共晶炭化物を析出させることで疲労特性を劣化させる場合があり,さらにはいたずらにコストを高めるのみなので,その含有量上限を3.0重量%とする。
【0016】
Mo:1.6〜2.5重量%
MoはCrと同様に炭化物形成元素であり,2次硬化や耐摩耗性に影響を与え,さらに焼戻し軟化抵抗性も向上させる。さらに,本発明においては,Si,Cr,Vと同時に添加することにより,接触疲労特性を向上できることを見出したことから必須の元素である。これらの効果のためには,少なくとも1.6重量%の添加が必要である。しかし,MoはCrよりもより安定な炭化物を形成することから,その含有量が多くなると,疲労特性を劣化させる大型の共晶炭化物やネット状炭化物の生成を促進させ,さらに,2次硬化に必要な固溶C量を確保するための焼入れにおいて,その温度の高温化を招くことで熱処理コストを上昇させ,さらに熱間加工性等の鋼の生産性にも悪影響を及ぼすので,上限を2.5重量%以下とする。
【0017】
V:0.75〜1.5重量%
VはMoと同様に炭化物形成元素であり,2次硬化や耐摩耗性に影響を与える元素である。特に,2次硬化に関しては,その効果は大きいことに加え,本発明においては,Si,Cr,Moと同時に添加することで,接触疲労特性を向上させることを見出した。これらの効果のためには,少なくとも,0.75重量%以上が必要である。しかしながら,過剰に添加すると,CrやMoに比べて非常に強い炭化物形成能を有することから,大型の共晶炭化物やネット状炭化物を生成しやすくなり,接触疲労特性を劣化させる場合があり,さらに加工性等をも劣化させるばかりか,いたずらにコストを上昇させてしまうため,上限を1.5重量%とする。
【0018】
Al:0.05重量%以下
Alは鋼を製造する上で脱酸剤として使用するため不可避に存在するもので,Nと結合して,結晶粒の成長を抑制することが知られている一方,過剰に添加すると酸化物系介在物となりやすく,接触疲労特性に悪影響を及ぼすので,上限を0.05重量%とする。
【0019】
O:0.0015重量%以下
OはAlと結合することで,接触疲労特性の低下を招く硬質な非金属介在物を形成する元素であるため,可能な限り低いことが望ましく,0.0015重量%以下に規制する。
【0020】
N:0.030重量%以下
NはAlと結合して結晶粒の成長を抑制することが知られており,その効果のために添加することが可能であるが,しかし過剰に添加すると,鋳造欠陥等の不具合を生じるので,その含有量上限を0.030重量%とする。
【0021】
Ti:0.005重量%以下
TiはNと結合して,大型で硬質な非金属介在物を生成しやすく接触疲労特性を劣化させるので,可能な限り低いことが望ましく,0.005重量%以下に規制する。
【0022】
(Mo%+V%)/C%:4.5〜6.0
本発明の請求範囲内において,特に,C,Mo,Vの間に最適な範囲が存在することを見出した。すなわち,本発明の請求範囲において,接触疲労特性を向上させ,また,必要な2次硬化能を付与するためには,少なくとも,(Mo%+V%)/C%が4.5以上必要である。しかし,Cとの結合力が強いMo,VがC量に対して過多になると,凝固時に大型の共晶炭化物やネット状炭化物を生成し,接触疲労特性に悪影響を及ぼすばかりか,過剰な合金添加による鋼のコスト増になるため,(Mo%+V%)/C%は6.0以下とする。
【0023】
焼入焼もどし硬さ:Hv680以上
動力伝達部品用鋼は接触荷重を受けるため,材料の塑性変形を防止し,その面圧に耐える必要があることから下限をHv680とした。
【0024】
本発明において,2次硬化をより効果的にするために,熱処理として,サブゼロ処理を併用してもかまわない。
【0025】
請求項2の発明のように,上記鋼は,更に,Ni:1.0重量%以下を含有していることが好ましい。
【0026】
Niは鋼中マトリックスを強化して靭性を向上させる点で,疲労特性の向上に有効な元素である。しかし,含有量が多くなるとその効果が飽和するばかりか冷間加工性を阻害し,さらに材料コストの上昇を招くことからその含有量は上記のように1.0重量%以下とすることが好ましい。
【0027】
次に,請求項3の発明は,C:0.55〜0.65重量%,Si:0.5超〜2.0重量%,Mn:1.0重量%以下,P:0.025重量%以下,S:0.035重量%以下,Cu:0.3重量%以下,Cr:1.6〜3.0重量%,Mo:1.6〜2.5重量%,V:0.75〜1.5重量%,Al:0.05重量%以下,O:0.0015重量%以下,N:0.030重量%以下,Ti:0.005重量%以下を含有し,かつ,(Mo%+V%)/C%:4.5〜6.0の関係を満足し,残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を球状化焼鈍した動力伝達部品用鋼からなる動力伝達部品であって,
該動力伝達部品には,焼入焼戻し又は焼入焼戻しにサブゼロ処理が併用されており,
上記動力伝達部品の硬さはHv680以上であることを特徴とする優れた接触疲労特性を有する動力伝達部品である。
【0028】
本発明の動力伝達部品は,摩擦力により動力を伝達するときに,優れた接触疲労特性を発揮することができる。また,高面圧で,かつ,大きな摩擦力と高温という非常に苛酷な環境下においても優れた接触疲労特性を発揮することができる。
【0029】
請求項4の発明のように,上記鋼は,更に,Ni:1.0重量%以下を含有していることが好ましい。1.0重量%を超える場合には,冷間加工性を阻害し,材料コストの上昇を招くおそれがある。
本発明の動力伝達部品の具体例としては,たとえば,トロイダル式無段変速機などがある。
【0030】
【発明の実施の形態】
発明者らは本発明を成すために,対象となる鋼あるいは部品が使用される環境を再現した試験を実施する必要があると考えた。すなわち,高面圧,摩擦力による動力伝達,高温,また接触面内におけるスピンすべり等が考慮された試験でなければならない。
【0031】
図1は本発明に係わる試験で用いた接触疲労試験機を示す。本試験機は円盤状試験片(従動円盤)2上において,垂直荷重を受けた2ないし3つの駆動ローラ1が駆動モータ3にて転動し,十分な摩擦力を与えるために動力吸収機4によって制動している従動円盤2を,駆動ローラ1と接触させ,その接触面21に発生する摩擦力を利用して駆動させるものである。
【0032】
表1は,本試験機と,一般に歯車の代用評価として用いられるローラピッチング試験機と,軸受の代用評価として用いられるスラスト型転動寿命試験機の特徴を合わせて示す。表1より,本試験機は,スピンすべりを伴いながら,接触摩擦力により動力伝達をおこなう部品を評価するのに適している。
表2は本発明を成すために各種検討を実施した供試材の化学成分の一覧表を示す。これらの供試材は,VIMで溶製し,分塊圧延後,熱間で鍛伸および据込み鍛造して素形材とした。その後,鋼A〜Vについては機械加工を容易にするために球状化焼鈍を施しており,特に鋼A〜Uについては,その条件を880℃で5hr保持後,550℃まで15℃/hrの徐冷とした。これら素形材を所定の寸法に機械加工して,所定の硬化熱処理を施した。さらに表面を仕上加工することによりスケールや脱炭層を除去し,その状態で試験に供した。
【0033】
なお,従来鋼V〜Zのなかで,硬化熱処理として浸炭や高周波焼入を施したものについては,当然のことながら,仕上加工代を0.1〜0.2mmとして,有効硬化深さを加工によって浅くしないように配慮している。
【0034】
表3は各供試材の熱処理,および仕上加工後のビッカース硬度計による表面硬さを示す。参考のため,X線回折法によって測定した,その表面の残留オーステナイト量も併記する。各供試材の熱処理のヒートパターンを図2〜図9に示す。図2は,試料A〜F,J,L,N〜Qのヒートパターンを,図3は,試料G〜I,K,M,R〜Uのヒートパターンを示す。図4,図5,図6,図7,図8,図9は,順に,試料A2,V,W,X,Y,Zのヒートパターンを示す。なお,図6,図8および図9中のC.P.とは浸炭雰囲気中のカーボン・ポテンシャルを意味する。
【0035】
これらの供試材を図1に示した接触疲労試験機において,表4に示す条件で試験を実施し,接触疲労特性は,接触面における剥離損傷の発生までの回転数として計測した。その結果を表5に示した。ここで,平均寿命比とは鋼V(JIS−SUJ2)を1とした比で表わしている。
【0036】
以下に本発明に係わる実施例について説明する。本発明鋼は表2における鋼A〜Iであり,表3における鋼A2は,鋼Aに関して熱処理条件を変化させて,仕上加工後の表面硬さを変化させたため比較鋼である。これらの本発明鋼は,表5に示す平均寿命比がいずれも10を超えており,優れた接触疲労特性を有することがわかる。
【0037】
一方,比較鋼は表2における鋼J〜鋼Uであり,本発明鋼に対し,鋼J,鋼Kは(Mo%+V%)/C%の値がそれぞれ下限未満,上限超過しており,表5に示すごとく,本発明鋼に比べて十分な寿命向上効果が得られていない。また,鋼L,鋼N,鋼O,鋼Pおよび鋼Qは,それぞれSi,C,Cr,MoおよびVが本請求範囲より低くなっており,鋼M,鋼Rおよび鋼Sは,それぞれC,MoおよびVが本請求範囲より高くなっており,いずれの比較鋼も表5に示すごとく十分な寿命向上効果が得られていない。さらに,鋼TはOが,また,鋼UはTiが本請求範囲を超えており,非金属介在物が増加していると考えられるため,表5に示すことく本発明鋼ほどの寿命向上効果を得るにいたっていない。
【0038】
ここで,表3および表5の比較鋼として記載してある鋼A2に関して説明する。この鋼A2は本発明鋼Aと同一成分であるが,焼入条件を鋼Aとは変えることによって,表3に示すように,本請求範囲よりも表面硬さが低くなったものである。したがって,この鋼A2においても,鋼Aほどの寿命向上効果が得られていない。
【0039】
さらに,表2における鋼V〜Zは従来鋼を示しており,表3にそれらの熱処理,硬さ,残留オーステナイト量などを示している。ここで,鋼VはJIS−SUJ2であり,鋼WはJIS−SCM420であり,鋼Xは特開平8−326862に相当し,鋼Yは特開平9−79337に相当し,鋼Zは特開平10−103440に相当するものである。いずれの従来鋼も化学成分が本発明鋼の請求範囲を逸脱し,さらに,硬化熱処理手法が異なっており,表5に示すごとく本発明鋼より劣る寿命水準となっている。これらの本発明鋼,比較鋼および従来鋼の結果は,本発明の有効性および妥当性を示すものである。
【0040】
以上に本発明の実施例を詳述したが,これは一例であり,本発明の意図を逸脱しない範囲で,摩擦力によって動力を伝達する動力伝達部品用鋼,および動力伝達部品に適用可能である。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば,高面圧で,かつ,大きな摩擦力と高温という非常に苛酷な環境下において,優れた接触疲労特性を示す動力伝達部品用鋼及び,その鋼を用いた動力伝達部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接触疲労特性を測定する接触疲労試験機の概要を示す説明図。
【図2】表3における熱処理のうち,一部の焼入焼もどしに関するヒートパターンを示す説明図。
【図3】表3における熱処理のうち,一部の焼入焼もどしに関するヒートパターンを示す説明図。
【図4】表3における熱処理のうち,一部の焼入焼もどしに関するヒートパターンを示す説明図。
【図5】表3における熱処理のうち,一部の焼入焼もどしに関するヒートパターンを示す説明図。
【図6】表3における熱処理のうち,一部の浸炭焼入に関するヒートパターンを示す説明図。
【図7】表3における熱処理のうち,高周波焼入に関するヒートパターンを示す説明図。
【図8】表3における熱処理のうち,浸炭および高周波焼入に関するヒートパターンを示す説明図。
【図9】表3における熱処理のうち,一部の浸炭焼入に関するヒートパターンを示す説明図。
【符号の説明】
1...駆動ローラ,
2...円盤状試験片(従動円盤),
21...接触面,
3...駆動モータ,
4...動力吸収機,
Claims (4)
- C:0.55〜0.65重量%,Si:0.5超〜2.0重量%,Mn:1.0重量%以下,P:0.025重量%以下,S:0.035重量%以下,Cu:0.3重量%以下,Cr:1.6〜3.0重量%,Mo:1.6〜2.5重量%,V:0.75〜1.5重量%,Al:0.05重量%以下,O:0.0015重量%以下,N:0.030重量%以下,Ti:0.005重量%以下を含有し,かつ,(Mo%+V%)/C%:4.5〜6.0の関係を満足し,残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を球状化焼鈍した動力伝達部品用鋼であって,
該動力伝達部品用鋼に,焼入焼戻しをしたとき又は焼入焼戻しにサブゼロ処理を併用したとき,その硬さがHv680以上になることを特徴とする優れた接触疲労特性を有する動力伝達部品用鋼。 - 請求項1において,上記鋼は,更に,Ni:1.0重量%以下を含有していることを特徴とする優れた接触疲労特性を有する動力伝達部品用鋼。
- C:0.55〜0.65重量%,Si:0.5超〜2.0重量%,Mn:1.0重量%以下,P:0.025重量%以下,S:0.035重量%以下,Cu:0.3重量%以下,Cr:1.6〜3.0重量%,Mo:1.6〜2.5重量%,V:0.75〜1.5重量%,Al:0.05重量%以下,O:0.0015重量%以下,N:0.030重量%以下,Ti:0.005重量%以下を含有し,かつ,(Mo%+V%)/C%:4.5〜6.0の関係を満足し,残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を球状化焼鈍した動力伝達部品用鋼からなる動力伝達部品であって,
該動力伝達部品には,焼入焼戻し又は焼入焼戻しにサブゼロ処理が併用されており,
上記動力伝達部品の硬さはHv680以上であることを特徴とする優れた接触疲労特性を有する動力伝達部品。 - 請求項3において,上記鋼は,更に,Ni:1.0重量%以下を含有していることを特徴とする優れた接触疲労特性を有する動力伝達部品。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105331789A (zh) * | 2015-10-29 | 2016-02-17 | 武汉理工大学 | 车身模具铸造镶块热处理方法 |
CN109338218A (zh) * | 2018-11-06 | 2019-02-15 | 江苏省无锡交通高等职业技术学校 | 柴油机用超高压共轨燃油喷射系统针阀体用钢及制造工艺 |
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2001
- 2001-01-17 JP JP2001009326A patent/JP3541013B2/ja not_active Expired - Lifetime
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