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JP3539329B2 - 希ガスエキシマーランプの駆動方法 - Google Patents

希ガスエキシマーランプの駆動方法 Download PDF

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JP3539329B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体障壁を介した放電により生成するエキシマーからの真空紫外光を利用する半導体ウエハー並びに液晶基板ガラス等の洗浄用途の希ガスエキシマーランプ、または、該真空紫外光を可視光変換してファクシミリ・複写機・イメージリーダ等の情報機器における原稿照明用に利用する希ガスエキシマーランプの駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
希ガスエキシマーランプの駆動方法に関しては、従来技術として、特開平10−223384号公報などにより、従来の正弦波点灯よりランプ効率のよい点灯装置が開示されている。特開平10−223384号公報中、段落[0010]には、放電Bに続いて、極端に短い時間t2後に放電Cが発生する場合、放電Bで生成したキセノンの励起種はエキシマーを生成する過程で生成したエキシマー共々、続く放電Cにより破壊されることが記載されている。しかしながら、1つの放電に続いて、短い時間後に次の放電が発生する場合が実用上多く見受けられ、このような場合の変換効率の改善が求められていた。
ここで、変換効率とはランプに入力される電力に対するエキシマー発光への変換効率のことである。ランプ入力は、エキシマー光へ変換される以外はほとんど誘電体での損失、放電のジュール熱など発熱となってしまう。
【0003】
通常、希ガスエキシマーの発光は、真空紫外域に現れるが、この発熱は放電容器に石英ガラスを使用する半導体ウエハー等の洗浄・表面改質の用途においては、石英ガラスの真空紫外域での透過率を低下させることから真空紫外光強度が低下し、結果として洗浄速度が低下する問題がある。また原稿照明用光源においても、ランプの発熱により、ランプに使用する蛍光体の温度消光の現象や、原稿をセットするプラテンガラスの温度上昇により、原稿の熱変質や、原稿のプラテンガラスへの溶着などが問題となっていた。このため、従来は発熱を抑えるためにランプ入力を抑えて必要光量を犠牲にすることが余儀なくされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、比較的短時間の間に複数の放電により生成するエキシマーからの真空紫外光の生成量を増加してランプ効率を改善し、ランプからの発熱を少なくした希ガスエキシマーランプの駆動方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、請求項1の発明においては、
誘電体からなる放電容器内にキセノンを主とした希ガスを封入し、誘電体障壁を介した放電により生成するエキシマーからの発光を利用する希ガスエキシマーランプを、周期的なランプ電圧波形により各主放電エネルギーを時間的に分離して供給しランプを駆動する方法であって、前記周期的なランプ電圧波形の立上がり、立下り時に対応して現われ前記放電により放射される800nmから1100nmの領域内の放射の総量の時間的な変化に対応する2つの赤外発光強度ピークについて、時間的に最初のピークの強度をh1とし、t1時間後のピークの強度をh2としたとき、h2>h1かつ0.5μs < t1 < 3.4μsとしたことを特徴とする希ガスエキシマーランプの駆動方法とするものである。
【0006】
請求項2の発明は、誘電体からなる放電容器内にキセノンを主とした希ガスを封入し、誘電体障壁を介した放電により生成するエキシマーからの発光を利用する希ガスエキシマーランプにおいて、周期的なランプ電圧波形により各主放電エネルギーを時間的に分離して供給しランプを駆動する方法であって、前記周期的なランプ電圧波形の立上がり、立下り時に対応して現われ前記放電により放射される800nmから1100nmの領域内の放射の総量の時間的な変化に対応する2つの赤外発光強度ピークについて、時間的に最初のピークの強度をh1とし、t1時間後のピークの強度をh2としたとき、h1>2×h2かつ0.5μs<t<2.0μsとしたことを特徴とする希ガスエキシマーランプの駆動方法とするものである。
【0008】
【作用】
本発明の作用の説明に入る前に、800nmから1100nmの領域内の放射光の発光メカニズムを図5により説明する。この領域の発光のほとんどは、キセノン原子からの遷移に帰属される。従って、キセノン以外の希ガス、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンなどとの混合の場合においてもこの領域の発光はキセノン原子からの遷移が支配的であるとみなして良い。ここで800nmから1100nmの領域内の放射光は、放電プラズマ中の電子がキセノン原子と衝突し、キセノン原子が高い励起状態となり、その高い励起状態から低い励起状態へ遷移する際に放出される光に対応するものである。
【0009】
低い励起状態となったキセノン原子は、別の基底状態のキセノン原子と2回衝突することにより、キセノンエキシマー分子を生成し、ただちに152nmから172nm付近の真空紫外光を放射する。つまり、キセノン原子からの800nmから1100nmの領域内の放射光をモニターすることにより、間接的に真空紫外光の生成に関する知見を得ることが可能である。この点については数多くの学術文献があり、例えば、B.Eliasson and U.Kogelschatz(Appl.Phys.B46,299,1988)などが挙げられる。
【0010】
発明者らは、このキセノン原子からの800nmから1100nmの領域内の放射光の発光ピーク強度とその時間分解を観察することにより、1つの放電に続いて、短い時間後に次の放電が発生する場合においても効率よく真空紫外光を生成する条件があることを見いだした。その結果、請求項1に記載の発明においては、周期的なランプ電圧波形の立上がり、立下り時に対応して現われ放電により放射される800nmから1100nmの領域内の放射の総量の時間的な変化に対応する2つの赤外発光強度ピークについて、時間的に、最初のピークの強度をh1とし、t1時間後のピークの強度をh2としたとき、h2>h1かつ0.5μs < t1 < 3.4μsとしたことにより、最初のピークによりエキシマー分子が生成される時間内に次のピークから支配的にエキシマー分子が生成される。そのために、最初のピークにより生成途中のエキシマー分子の、高エネルギー電子により破壊される割合を低く抑えることとなり、エキシマー分子の生成量をより増加でき、結果的に放電エネルギーを、エキシマー分子からの真空紫外光に効率よく変換することができるものである。
【0011】
また、請求項2に記載の発明において、周期的なランプ電圧波形の立上がり、立下り時に対応して現われ放電により放射される800nmから1100nmの領域内の放射の総量の時間的な変化に対応する2つの赤外発光強度ピークについて、時間的に最初のピークの強度をh1とし、t1時間後のピークの強度をh2としたとき、h1>2×h2かつ0.5μs < t1< 2.0μsとしたことにより、最初のピークにより支配的にエキシマー分子が生成される時間内に次のピークからエキシマー分子が生成される。そして、最初のピークにより生成途中のエキシマー分子の、高エネルギー電子により破壊される割合をより低く抑えることとなり、エキシマー分子の減少を抑えることができ、結果的に放電エネルギーをエキシマー分子からの真空紫外光に効率よく変換することができるものである。
【0012】
尚、放電により放射される、キセノン原子からの800nmから1100nmの領域内の放射光に対応する、各発光強度ピークを生成する放電の放電容器内での発生個所は必ずしも同じではなく、例えば、最初のピークを生成する放電が一方の電極付近で主に生成され、続くピークを生成する放電は、該電極と対向する電極付近で生成される場合がある。つまり、空間的には、各ピークの生成する個所が異なる場合があるが、本発明は、このような空間的な生成個所の違いがあっても効果が認められるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
電気エネルギーからエキシマー分子による真空紫外光への変換効率を見積もるためには、まずランプに入る電気エネルギーを見積もらなければならない。一般に誘電体バリア放電を利用したランプは、少なくとも一方の電極が誘電体を介して放電空間に接するため、放電容器内に一対の電極を有する通常のランプのように、ランプ電流、ランプ電圧、陰極降下電圧ならびに陽極降下電圧などから単純に放電への入力を見積もることはできない。
【0015】
そこで、一般にV−Qリサージュ法により、ランプ入力電力を求める手法がこの種類の放電形態では適用されている。この方法の概略を図1に示す。T1はトランス、C1は静電容量Cmの積分コンデンサーである。まず最初にランプ両端の電圧VLと、C1両端の電圧Vqから求められるC1の蓄積電荷Q(Q=Cm×Vq)より、図7のようなリサージュ図形が得られる。横軸がランプ両端の電圧VLであり、縦軸が積分コンデンサーの蓄積電荷Qである。
このリサージュ図形の面積S(図中斜線部)は、ランプ電圧波形1周期あたりの消費エネルギーに相当する。ここでランプ点灯周波数をfとするとランプ消費電力PはP=S×fで計算できる。なおCmの大きさはVL:Vq=1000:1程度になるように設定し、ランプ電圧波形に大きな影響を与えないよう配慮する。またこのランプ電力Pはランプの誘電体損によるエネルギー消費も含むが、その占める割合は小さく、本発明の効果を説明する上では特に問題にならない。
【0016】
この方法は、使用するオシロスコープや高電圧プローブなど測定機器により測定値にバラツキを生じるため、絶対値としての厳密性は欠けるが、同じ測定系であれば、各ランプ入力を相対値として十分比較できるものであり、広く利用されている。例えば、本発明と同じ誘電体障壁を介して放電するAC−PDP(プラズマディスプレーパネル)の各微小セルの電力の見積もりにも利用されている。(民田ら、電学論A,119,31(1999))
【0017】
図2は本発明が適用される希ガス蛍光ランプの管軸方向に垂直な断面図を示す。
2は放電容器であり、3は蛍光体層、4、4’は電極、5は放電空間を示し、6はアパーチャ部である。
図2に示す希ガス蛍光ランプ1を点灯させ、そのとき得られた発光スペクトルを図3に示す。この例では、蛍光体としては、LaPO4:Ce+3、Tb+3(以下LAPと略称する)を用いた。ここで、一般の水銀からの185nm並びに254nmを利用する蛍光ランプの場合には、Ce+3が共ふっ活剤として発光の際のTb+3へのエネルギー移動に重要な働きをするが、172nm近傍の真空紫外光では、Tb+3が直接、真空紫外光を吸収するため、必ずしもCe+3を必要としない。実際、Ce+3のモル濃度を極力少なくするか、皆無でも、172nmにより効率のよい可視光の発光が得られた。
【0018】
図3において、500nm〜600nm付近にLAP蛍光体からの発光が観察されるが、800nm〜1100nmにも小さいがいくつかのピーク群Pが観測される。図4は、800nm〜1100nm付近を拡大したスペクトル図である。これらのピークはほとんどがキセノン原子の遷移に帰属され、キセノンの高い励起準位から低い励起準位への遷移である。この点は図5中にも示したとおりである。
【0019】
発明者らは、これら800nm〜1100nmの放射光に注目し、種々のランプ駆動方式における、800nm〜1100nm領域のスペクトルの時間分解の解析を行なった。図6は、その際の測定系を示すものである。ランプとしては、図2の希ガス蛍光ランプ1を使用した。ランプには先述のLAP蛍光体が塗布されていることから、照度計により照度も同時に測定した。
【0020】
800nm〜1100nmの放射光の観測には、アバランシェフォトダイオード(以降APDと略称する、浜松フォトニクス社製 型式:S2382)を用いたモジュール(以降MDと略称する、浜松フォトニクス社製、 型式:C5331)を使用した。9はオシロスコープ、10は点灯回路である。
図8は、使用したAPDの分光感度特性の一例である。
【0021】
次に、蛍光体からの可視光を避けるために、ランプ1とAPDの間に赤外光透過フィルター(以降IRFと略称する、シグマ光機社製、型式:TF−50S−76IR)を利用した。図9は、IRFの分光透過率の一例である。この測定系により、先に示した図1により種々の駆動方式のランプ入力を求め、赤外(以下IR)スペクトルの時間分解を観測し、可視光の照度を照度計(以降LMと略称する,ミノルタカメラ社製、型式:T−1M)により測定し、照度÷ランプ入力を照度効率[Lx/W]としてランプ効率の指標とし、評価を行なった。
【0022】
図10は、上記評価を行った時に観測された800nm〜1100nmのIRの放射強度を時間分解して表した模式図を示したものである。図10(a)においては、最初に低いIRピークが出現し、t1時間後に大きなIRピークが出現する。また(b)においては、最初に大きなIRピークが出現し、t1時間後に小さなIRピークが出現する。(c)、(d)のように複数のIRピークが出現する場合もあったが、主要な放電エネルギーがランプに供給されるA,Bのピークに注目し、Cのようなピークまたは、Dのように強度が小さくブロードなピークは、特に考慮に入れなくても十分本発明の効果を確認できた。
【0023】
【実施例】
図6の測定系により、種々の点灯回路、並びにランプについて、IRピークについて調査した。図11は本発明に使用した点灯回路の実施例を示すものである。図11(a)は、フライバック方式による回路の一例である。T2はトランス、Q1はスイッチング素子、PCは、パルス制御系である。インピーダンスZは、無限大(つまりフローティング)から、ゼロ(グランド)まで、適宜、抵抗、コイル、コンデンサにより形成する。
【0024】
図11(b)は、比較例のために従来から広く利用されている自励式正弦波点灯回路を示したものである。R1、R2は抵抗、Q2、Q3はスイッチング素子、C2はコンデンサー、T3はトランス、Zについては先述と同じである。
【0025】
次に、点灯ランプについては、図2の希ガス蛍光ランプ1により主に実験を行なったが、その他のランプにおいても本発明の適用可能なランプはある。
図12(a)のランプは、その管軸方向の断面図に示したような2重円筒管内に放電空間5を有し、電極7、7’は放電容器2の外面に放電空間5を挟んで配設されて放電容器2が合成石英ガラス製のエキシマーランプである。
また、図12(b)のランプは、放電容器2の中心軸に一方の電極8を配設し、当該電極8は直接エキシマーガスと触れる構成や誘電体を介してエキシマーガスと触れ、他方の電極8’を放電容器2の外側に配設したエキシマーランプである。そして、図12(c)のランプは放電容器2の内表面に電極4’を配設し、ガラス管外表面に電極4を配設したタイプのエキシマーランプであり、これらのランプについても同様な効果が期待できる。
【0026】
図13は、本発明の請求項1に関する赤外光波形の具体例を示したものである。
周期的なランプ電圧波形の立上がり、立下り時に対応してIR強度ピークが現れる。すなわち、周期的なランプ電圧波形により各主放電エネルギーを時間的に分離して供給している。利用したランプは図2に示す希ガス蛍光ランプ1で、さらに詳細には、放電容器2は管径φ8、厚み0.5mmの鉛ガラスで、全長360mmである。放電容器2内壁には、LAP蛍光体の蛍光体層3が厚み約50μmで塗布形成されている。そして、6は蛍光体層3の形成されてないアパーチャ部である。放電空間5内に封入する封入ガスは、キセノン13.3kPaとしたが、駆動回路の入力を選択すれば、エキシマー光出力が顕著となる8KPa付近から加圧とならずランプの製造が容易な101.1kPa程度まで安定した放電が可能である。また、その他の希ガスとの混合も可能である。
【0027】
電極4は、アルミテープを貼着したが、銀ペーストなどを印刷して形成してもよい。このランプを図11(a)により点灯した。この回路は前述した通り、一般にはフライバック方式と呼ばれ、点灯中図13に示す測定系によりAPDの出力波形としてIRピークが観察された。この例では、主放電が起こる点灯周波数は72kHzであり、2つのIRピーク間の時間は2.8μs、最初のIRピークと次のIRピークの高さの比の平均は、2:5であった。
【0028】
次に、このランプを同じ図11(a)の回路構成において、回路定数、トランスの巻線比、並びに周波数等を変えて、同じ図2に示すランプを点灯した。結果を図14に示す。図14においてもAPDの出力波形として、IRのピークが観察された。この例では、主放電が起こる点灯周波数60kHz、2つのIRピーク間の時間は、0.9μsで、最初のピークと次のピークの高さの比の平均は、5:1.2であった。
【0029】
また従来から広く利用されている正弦波の場合についてもAPDの出力波形を観測してみた。図15は、正弦波の電圧波形を印加する駆動方法によるランプ電圧波形とIR波形を示す。点灯周波数は25kHzである。正弦波の場合は、電圧変化が最大となる領域(図中 N)において、連続的なIRスペクトルが観測され最大ピークの位置は、繰り返し波形の中で特に規則性は認められなかった。
【0030】
上述したフライバック方式について、回路定数、トランスの巻線比等を変えて、図2のランプを駆動し、ランプ入力電力と照度計により測定した照度からランプ効率[Lx/W]を求め、h1、h2、t1との関係を調査した。図16にフライバック方式についてのIRピークとランプ効率の関係、正弦波方式についてのランプ効率の関係を表にまとめた。
図16の表のデータは、周囲温度26℃の環境下で、一次側入力電圧をDC24Vに統一して測定した。この表において、放射温度計(キーエンス社製、型式:IT2−202、型式:IT2−50)により測定したランプの管壁温度も示した。表中のNo.1の例は、従来技術の一例として示した駆動条件であり、No.2、No.3、No.4は請求項1の実施例として示した駆動条件であり、No.5、No.6、No.7は請求項2の実施例として示した駆動条件である。
【0031】
図16を含めた一連の実験において、h1、h2並びにt1については、h1<h2の場合には、IRピークとランプ効率は、t1が3.4μs以上では、時間的に前後するIRピーク間の強弱とランプ効率に明確な因果関係を見いだせなかった。よって、t1の上限として3.4μsより短い領域とした。これは、特開平10−223384号公報の図7にも開示されているが、放電の間隔が3.4μs以上になると照度効率[Lx/W]がほぼ一定となることにも関連していると推察される。
【0032】
次に、IRピークとランプ効率について、h1>2×h2となる条件は、t1が2.0μs以上では、今回のトランスとパルス制御系からは実現できなかった。そこでt1の上限を2.0μsとした。t1が短くなる方向を調査したところ、今般使用した図2のランプにおいては、h1<h2の場合並びにh1>2×h2の場合において、0.5μs以下では、IRピークが複数現れるケースは見出せなかった。つまり、t1が0.5μs以下の領域では、この種類のランプにおける放電条件下として、せいぜい1回程度の放電が発生する程度か、この時間領域において放電空間中には複数の異なる放電が発生していても、区別し、効果を確認することが困難であると推察される。このため、IRピークについてh1<h2の場合並びにh1>2×h2の場合において、t1の下限としては、0.5μsより大きい領域とするのが良いことが分かった。
【0033】
IRピークに関して、図16の表中、従来技術として示したNo.1の例では、h1>h2の条件においては、2×h2≧h1となると著しくランプ効率が下がっている。
これは、h1のピークに関わる放電において生成したエキシマーの大半がh2のピークに関わる放電で破壊される割合が大きく、h2で残存したエキシマーにより真空紫外光発生に寄与するためと考えられる。以上によりh1>2×h2の条件がランプ効率の点で好適であるとみなした。この従来技術の一例をAPD出力波形としてのIRピークを図17に示す。この例では主放電が起こる点灯周波数98kHz、2つのIRピーク間の時間は0.8μsで、最初のIRピークと次のIRピークの高さの比の平均は6:3.4であった。
【0034】
次に、ランプの管壁温度について説明すると、図16よりランプ管壁温度は、ランプ入力電力とランプ効率によりほぼ決定されることがわかる。したがって、同じ照度を得るにはランプ効率が良いほどランプ入力電力が少なくて済み、結果としてランプ管壁温度を抑えることができる。すなわち、h2>h1かつ0.5μs<t1<3.4μs、または、h1>2×h2かつ0.5μs<t1<2.0μsのときに、ランプ効率がよく、ランプの管壁温度を抑えることができる。
ここで、図11(b)による駆動方式の例では、多くのIR出力が観測されているにもかかわらず、時間的に連続に放射されているため、効率よくエキシマーが生成されず、照度効率が悪く、結果としてランプの発熱が大きくなると考えられる。
【0035】
本発明によれば、比較的短時間の間に複数の放電により生成するエキシマーからの真空紫外光の生成量を増加することができ、ランプ管壁温度を下げることができる。また、本発明においては、キセノンの励起種の赤外発光についてその関係を述べたが、クリプトン、アルゴン、ネオンなどについても、本発明の技術思想を適用できるものである。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によって、ランプ電圧波形の一周期内において、周期的なランプ電圧波形の立上がり、立下り時に対応して現われ放電により放射されるキセノン原子からの800nm〜1100nmの領域内の放射光に対応する2つの発光強度ピークについて、最初のピークによりエキシマー分子が生成される時間内に次のピークから支配的にエキシマー分子が生成されるために、最初のピークにより生成途中のエキシマー分子の高エネルギーの電子により破壊される割合を低く抑えることとなり、エキシマー分子の生成量をより増加でき、結果的に放電エネルギーを効率よくエキシマー分子からの真空紫外光に変換することができる。それゆえ、洗浄、表面改質用並びに原稿照明用光源として好適なランプ駆動方法を提供することができる。
【0037】
また、請求項2の発明によって、ランプ電圧波形の一周期内において、周期的なランプ電圧波形の立上がり、立下り時に対応して現われ放電により放射されるキセノン原子からの800nm〜1100nmの領域内の放射光に対応する2つの発光強度ピークについて、最初のピークにより支配的にエキシマー分子が生成される時間内に次のピークからエキシマー分子が生成され、最初のピークにより生成途中のエキシマー分子の高エネルギーの電子により破壊される割合をより低く抑えることとなり、エキシマー分子の減少を抑えることができ、結果的に放電エネルギーを効率よくエキシマー分子からの真空紫外光に変換することができる。それゆえ、洗浄、表面改質用並びに原稿照明用光源として好適なランプ駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるランプ入力電力を求めるための回路図を示す。
【図2】本発明の適用される希ガス蛍光ランプの断面図を示す。
【図3】図2に示した希ガス蛍光ランプの発光スペクトルの一例を示す。
【図4】図3に示した赤外領域の発光スペクトルの拡大図を示す。
【図5】キセノン原子のエネルギー準位図を示す。
【図6】赤外領域の発光スペクトルの時間分解の解析用測定系を示す。
【図7】V−Qリサージュ法の測定結果を示す。
【図8】APDの分光感度特性を示す。
【図9】IRFの分光透過率を示す。
【図10】赤外領域の発光放射強度を時間分解して表した模式図を示す。
【図11】本発明の点灯回路の実施例を数例示す。
【図12】本発明が適用されるランプの数例を示す。
【図13】本発明の請求項1に関する赤外光波形とランプ電圧波形の例を示す。
【図14】本発明の請求項2に関する赤外光波形とランプ電圧波形の例を示す。
【図15】正弦波の電圧波形を印加する駆動方法による赤外光波形とランプ電圧波形の例を示す。
【図16】各駆動方式についてのIRスペクトルとランプ効率の関係を示す。
【図17】図16のNo.1に関する赤外光波形とランプ電圧波形の例を示す。
【符号の説明】
1 希ガス蛍光ランプ
2 放電容器
3 蛍光体層
4、4’ 電極
5 放電空間
6 アパーチャ部
7、7’ 電極
8、8’ 電極
9 オシロスコープ
10 点灯回路
T1、T2、T3 トランス
Lamp ランプ
C1 積分コンデンサー
C2 コンデンサー
Q1、Q2、Q3 スイッチング素子
R1、R2 抵抗
Z インピーダンス
PC パルス制御系

Claims (2)

  1. 誘電体からなる放電容器内にキセノンを主とした希ガスを封入し、誘電体障壁を介した放電により生成するエキシマーからの発光を利用する希ガスエキシマーランプを、周期的なランプ電圧波形により各主放電エネルギーを時間的に分離して供給しランプを駆動する方法であって、
    前記周期的なランプ電圧波形の立上がり、立下り時に対応して現われ前記放電により放射される800nmから1100nmの領域内の放射の総量の時間的な変化に対応する2つの赤外発光強度ピークについて、時間的に最初のピークの強度をh1とし、t1時間後のピークの強度をh2としたとき、h2>h1かつ0.5μs < t1 < 3.4μsとしたことを特徴とする希ガスエキシマーランプの駆動方法。
  2. 誘電体からなる放電容器内にキセノンを主とした希ガスを封入し、誘電体障壁を介した放電により生成するエキシマーからの発光を利用する希ガスエキシマーランプにおいて、周期的なランプ電圧波形により各主放電エネルギーを時間的に分離して供給しランプを駆動する方法であって、
    前記周期的なランプ電圧波形の立上がり、立下り時に対応して現われ前記放電により放射される800nmから1100nmの領域内の放射の総量の時間的な変化に対応する2つの赤外発光強度ピークについて、時間的に最初のピークの強度をh1とし、t1時間後のピークの強度をh2としたとき、h1>2×h2かつ0.5μs<t<2.0μsとしたことを特徴とする希ガスエキシマーランプの駆動方法。
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