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JP3515339B2 - 角度センサ - Google Patents

角度センサ

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JP3515339B2
JP3515339B2 JP27972697A JP27972697A JP3515339B2 JP 3515339 B2 JP3515339 B2 JP 3515339B2 JP 27972697 A JP27972697 A JP 27972697A JP 27972697 A JP27972697 A JP 27972697A JP 3515339 B2 JP3515339 B2 JP 3515339B2
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Japan
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angle sensor
hard magnetic
temperature
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phase
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JP27972697A
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章伸 小島
彰宏 牧野
隆史 畑内
豊 山本
一郎 徳永
光正 井上
明久 井上
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
  • Transmission And Conversion Of Sensor Element Output (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬磁性材料を備え
た角度センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に角度センサは、回転軸と、該回転
軸に備えられた硬磁性材料からなる磁石であるロータ
と、この磁石からの磁束の変化量を検出して回転軸の回
転量を検出する検出部とから構成されている。また、ロ
ータが強磁性体からなる角度センサの場合には、この強
磁性体に磁束を印加するための硬磁性材料からなる磁石
が備えられている。従来まで、このような角度センサの
硬磁性材料としては、フェライト磁石、アルニコ磁石
(A1−Ni−Co−Fe系磁石)、Sm−Co系磁
石、Nd−Fe−B系磁石等が用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、Sm−Co系
磁石やNd−Fe−B系磁石を備えた角度センサは、磁
石に10原子%以上のNd、または8原子%以上のSm
を含み、高価な希土類元素の使用量が多いために、角度
センサの製造コストが高くなってしまうという課題があ
った。また、Nd−Fe−B系磁石を備えた角度センサ
は、磁石の温度による磁気特性の変化が大きいために、
角度センサの出力にドリフトが発生し、角度センサとし
て使用できないという課題があった。更に、ゴムやプラ
スチックの結合材と混合して圧縮成形又は射出成形によ
り成形されたボンド磁石は、結合材が存在するために、
磁性体密度が相対的に低下し、硬磁気特性が低下してし
まう。また、結合材の耐熱性が低いために、高温で使用
する角度センサに使用できないという課題もあった。
【0004】一方、フェライト磁石を備えた角度センサ
は、希土類元素を含む磁石に比べて磁石の製造コストは
低いものの、磁化の温度係数の絶対値が大きいために、
角度センサの出力にドリフトが発生し、角度センサとし
て使用できないという課題があった。また、アルニコ磁
石(A1−Ni−Co−Fe系磁石)は、磁化の温度係
数の絶対値が小さく、製造コストが低いものの、保磁力
が小さいために、角度センサに実用が困難であった。
【0005】本発明は上述の課題を解決するためになさ
れたもので、低コストで優れた硬磁気特性を少なくとも
有し、さらには優れた温度特性を有する硬磁性材料から
なる磁石を備えた角度センサを提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明の角度セ
ンサは、硬磁性材料からなり、固化成形された圧密磁石
と、該磁石からの磁束の変化を検出する検出部とを備
前記硬磁性材料は、Fe、Co、Niのうちの1種
以上の元素Tと、希土類元素のうちの1種以上からなる
元素Rと、Bとを含む合金からなり、パーミアンス係数
が2以上となる形状で使用したときの磁化の温度係数の
絶対値が室温から80℃の温度範囲において0.06
/K以下であり、かつ飽和磁化(Is)に対する残留磁
化(Ir)の割合(Ir/Is)が、0.6以上であっ
て下記の組成からなることを特徴とする。 ただし、TはFe、Co、Niのうち1種以上の元素を
表わし、MはZr、Nb、Ta、Hfのうち1種以上の
元素を表わし、Rは希土類元素のうち1種以上の元素を
表わすとともに、組成比を示すx、y、z、wは原子%
で、86≦x≦92、0.5≦y≦3、3≦z≦7、3
≦w≦7である。
【0007】また、本発明に係る硬磁性材料は、保磁力
500Oe以下のソフト磁性相と保磁力500Oe以上
のハード磁性相とをそれぞれ10vol(体積)%以上
含む合金からなることを特徴とする。また、本発明に係
る硬磁性材料は、キュリー温度が600℃以上の磁性相
とキュリー温度が600℃以下の磁性相とをそれぞれ1
0vol(体積)%以上含む合金からなことを特徴とす
る。
【0008】本発明の角度センサは、先に記載の角度セ
ンサであって、前記硬磁性材料の残留磁化(Ir)が9
0emu/g以上であり、かつ保磁力が2kOe以上で
あることを特徴とする。また、本発明の角度センサは、
先に記載の角度センサであって、前記硬磁性材料は、合
金溶湯を急冷して得られた非晶質相を主相とする合金を
熱処理して得られる粒径100nm以下の微細な結晶質
相を主相とすることを特徴とする。また、本発明の角度
センサは、先に記載の角度センサであって、前記硬磁性
材料は、合金溶湯を急冷して得られた非晶質相を主相と
する合金の粉末を、熱処理することにより、結晶化と同
時に固化成形された圧密体であることを特徴とする。
【0009】更に、本発明の角度センサは、先に記載の
角度センサであって、前記熱処理する際の昇温速度が1
0℃/分以上であり、熱処理温度が600〜800℃で
あり、保持時間が1〜60分であることを特徴とする
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。本発明の角度センサは、硬磁性材
料からなる磁石と、該磁石からの磁束の変化を検出する
検出部とから構成されている。
【0011】図1(a)は、本発明に係る角度センサを
ロータリーエンコーダ11に用いた例を示すものであっ
て、このロータリーエンコーダ11は、回転軸13に連
結された本発明に係る硬磁性材料からなる複数の円柱状
の磁石15、15…と回転ドラム16とからなるロータ
14と、ロータ14の外周面に離間して配置された検出
部17とから構成されている。磁石15、15…と回転
ドラム16との接合は、例えば接着剤等によって接合さ
れる。また、回転ドラム16の材質は、特に磁性材料に
限られるものではなく、例えば金属材料等を使用するこ
とができる。硬磁性材料からなる磁石15は、図1
(b)に示すように、パーミアンス係数が約2以上とな
る形状に成形された円柱状のものであり、回転ドラム1
6の円周に沿ってNS極が交互に並ぶように配置されて
いる。また、この磁石15は、磁化の温度係数の絶対値
が室温から80℃の範囲において0.06%/K以下の
ものである。検出部17は、ロータ14からの磁束の変
化を検出できるものであれば、どのようなものでも用い
ることができるが、例えば、ホール素子、磁気抵抗素
子、磁気インピーダンス効果素子等を用いることができ
る。また、回転軸13はモータ12に連結されている。
更に、検出部17は、図示しない計測部に接続されてい
る。
【0012】モータ12が回転するとロータ14が同時
に回転し、このとき、ロータ14にはその円周に沿って
硬磁性材料からなる磁石15、15…が複数配置されて
いるので、検出部17に印加されるロータ14からの磁
束の向きが変化し、この磁束の変化に相当する出力信号
(電圧の変化量、電流の変化量等)が検出部17から計
測部に送られ、モータ12の回転量が計測される。
【0013】本発明の角度センサに備えられる硬磁性材
料は、Fe、Co、Niのうち1種以上の元素Tと、希
土類元素のうちの1種以上からなる元素Rと、Bとを含
む合金からなり、パーミアンス係数が2以上となる形状
で使用したときの磁化の温度係数の絶対値が、室温(2
5℃)から80℃の温度範囲において0.06%/K以
下であり、飽和磁化(Is)に対する残留磁化(Ir)
の割合(Ir/Is)が、0.6以上のものである。
【0014】ところで、磁石材料の特性は、ヒステリシ
ス曲線の第2象限の部分、すなわち減磁曲線によって表
される。着磁後の磁石材料は、自身の残留磁化がつくる
逆向きの磁界、即ち反磁界の下にあるので、その動作点
(材料の磁束密度(B)と減磁界(H))は、減磁曲線
上の一点pによって与えられる。ここでB/μ0Hの値
(無次元の数)をパーミアンス係数(p)、pと原点O
間の線(OP)をパーミアンス線とよぶ。このパーミア
ンス係数(p)あるいはパーミアンス線は、磁石の形状
に依存し、磁化方向の長さが短くなると、小さくなり、
長くなると大きくなるものであり、例えば、p=1.5
のものは円盤形であり、p=10のものは角柱形であ
る。パーミアンス係数(p)と反磁界係数(N)との間
には、下記式(I) p=(1−N)/N ・・・(I) で示される関係がある。従って、減磁曲線と磁石材料の
形状が与えられると、その動作点(B,H)は決定され
る。その磁石材料が外部につくる静磁界のエネルギー
(U)は、下記式(II) U=BHV/2・・・(II) (式中、Vは磁性材料の体積) で与えられる。磁石材料の形状が変化すると、反磁界、
すなわちパーミアンス線が変化するので、動作点pが変
化し上記Uの値が変化する。途中ある動作点pmでUの
値が最大となり、そのときの(BH)の積が最大磁気エ
ネルギー積((BH)max)である。
【0015】本発明の角度センサには、温度変化に起因
して出力にドリフトが生じるのを防止するために、温度
特性が優れるものすなわち磁化の温度係数の絶対値が小
さい硬磁性材料を用いることが好ましく、本発明に係る
硬磁性材料は、上述のようにパーミアンス係数が2以上
となる形状で使用したときの磁化の温度係数の絶対値
が、室温(25℃)から80℃の温度範囲において0.
06%/K以下と小さいので、角度センサの出力のドリ
フトを低減することができる。
【0016】従って、本発明に係る硬磁性材料は、Nd
−Fe−B系磁石よりも磁化の温度係数の絶対値を小さ
くすることができるので、従来のNd−Fe−B系磁石
を用いた角度センサよりも出力のドリフトを低くするこ
とができる。更に、本発明に係る硬磁性材料は、アルニ
コ磁石より保磁力が大きく、また、従来から温度特性が
良好なものとして使用されているSm−Co系磁石より
も安価である。本発明に係る硬磁性材料は、特に、後述
するようにSiをT元素置換で0.5〜5原子%添加あ
るいはT元素中にCoが0.5〜20%含まれるように
することにより、温度特性が優れた硬磁性材料を好適に
実現することができる。
【0017】また、本発明の硬磁性材料は、保磁力50
0 Oe以下のソフト磁性相と保磁力500 Oe以上の
ハード磁性相とをそれぞれ10vol(体積)%以上含
むものであってもよい。このように保磁力500 Oe
以下のソフト磁性相と保磁力500 Oe以上のハード
磁性相を上述の範囲で含んでいるとソフト磁性相とハー
ド磁性相の中間の特性を備えることができる点で好まし
い。保磁力500 Oe以下のソフト磁性相が10vo
l(体積)%未満であると、ハード磁性相に必要なNd
などが多くなり、また、残留磁化も低下するので好まし
くない。また、保磁力500 Oe以上のハード磁性相
が10vol(体積)%未満であると、保磁力が低くな
るため好ましくない。保磁力500 Oe以下のソフト
磁性相の好ましい含有量は20〜60vol(体積)%
であり、保磁力500 Oe以上のハード磁性相の好ま
しい含有量は40〜80vol(体積)%である。
【0018】また、本発明の硬磁性材料は、キュリー温
度が600℃以上の磁性相とキュリー温度が600℃以
下の磁性相とをそれぞれ10vol(体積)%以上含む
ものであってもよく、このようにキュリー温度が600
℃以上の磁性相とキュリー温度が600℃以下の磁性相
を上述の範囲で含んでいるとソフト磁性相とハード磁性
相の中間の特性を備えることができる点で好ましい。そ
れは、bcc−Fe相のキュリー温度は770℃付近で
あり、R2Fe14B相のキュリー温度が315℃付近で
あることから、本発明の硬磁性材料が磁化に関与する相
であるソフト磁性相とハード磁性相との2相を有するた
めには、キュリー温度が600℃以上の磁性相とキュリ
ー温度が600℃以下の磁性相とを含む必要がある。キ
ュリー温度が600℃以上の磁性相が10vol(体
積)%未満であると、比較的高いパーミアンスで使用し
たときの磁化の温度変化が大きくなるため好ましくな
い。また、キュリー温度が600℃以下の磁性相が10
vol(体積)%未満であると、ハード磁性相が少なく
なるため、保磁力が低くなり好ましくない。キュリー温
度が600℃以上の磁性相の好ましい含有量は、20〜
60vol(体積)%であり、キュリー温度が600℃
以下の磁性相の好ましい含有量は40〜80vol(体
積)%である。
【0019】また、本発明の硬磁性材料は、平均結晶粒
径100nm以下の微細結晶質相を主体として含んでお
り、この微細結晶質相には、平均結晶粒径100nm以
下のbcc−Fe相と、平均結晶粒径100nm以下の
2Fe14B相が析出している。更に、本発明の硬磁性
材料は、上記のbcc−Fe相とR2Fe14B相の微細
結晶質相と、残留した非晶質相とのナノ複相組織を形成
している。また、本発明の硬磁性材料は、上記の構成の
合金溶湯を急冷することにより得られた非晶質相を主体
とする合金が熱処理されてなるものである。さらに、本
発明に係る硬磁性材料は、保磁力が2kOe以上のもの
であることが好ましい。上述のような硬磁性材料中の結
晶質相の平均結晶粒径、および各相中における各原子の
濃度の制御は、非晶質合金を熱処理して硬磁性材料を得
る際の熱処理条件を制御することによって実現できる。
熱処理条件としては、昇温速度、熱処理温度(アニール
温度)及びその保持時間などである。
【0020】本発明に係る硬磁性材料は、以下の組成式
で表すことができる。 TxMyRzBw 上記組成式中のTはFe、Co、Niのうち1種以上の
元素を表わす。これらの元素は、本発明に係る硬磁性材
料の主成分であり、磁性を担う元素であり、90emu
/g以上の残留磁化(Ir)を実現するために、Tの濃
度は50原子%以上とする必要がある。また、100e
mu/g以上の残留磁化(Ir)を得るためには、Tの
濃度を80原子%以上とするのが好ましい。Tの組成比
xを増加させると、それに伴って飽和磁化(Is)が増
加する。120emu/g以上の高い残留磁化(Ir)
を実現するためには、飽和磁化(Is)が少なくとも1
30emu/gは必要であり、これを満たすにはTの濃
度は86原子%以上92原子%以下であるのが望まし
い。本発明の硬磁性材料においては、元素Tの少なくと
も一部としてFeが含まれていることが必要である。ま
た、少なくとも元素Tのうち、Feが50%以上含まれ
ていることが好ましい。
【0021】上記組成式中のMはZr、Nb、Ta、H
fのうち1種以上の元素を表わし、これらの元素は非晶
質形成能が高いものである。本発明に係る硬磁性材料に
おいて、Mを添加することにより、希土類元素(R)が
低濃度の場合も非晶質相を形成することができる。希土
類元素(R)置換で元素Mの組成比yを増加させると、
それに伴って残留磁化(Ir)は増加するが、保磁力
(iHc)が低下し、硬磁気特性から軟磁気特性へと変
化する。また、磁性を担う元素(T)置換で非晶質形成
元素(M)を増加させると、飽和磁化(Is)、残留磁
化(Ir)の減少が生じる。従って、元素Mの添加量は
10原子%を上限とし、良好な硬磁気特性を得るため
に、0.5原子%以上3原子%以下の範囲とするのが好
ましく、より好ましくは1.5原子%以上2.5原子%
以下とするのが望ましい。
【0022】上記組成式中のRは希土類金属(Sc、
Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびL
u)のうちの1種以上の元素を表わす。RとFeとBと
を含む非晶質合金を600〜900℃の範囲の適切な温
度で加熱したときに析出する金属間化合物R2Fe141
は、本発明の材料に優れた硬磁気特性を付与するもので
あり、Rの添加量は10原子%以下とするのが好まし
い。Rの組成比zを増加させると、それに伴って飽和磁
化(Ir)が減少する。100emu/g以上の高い残
留磁化(Ir)を得るためには、飽和磁化(Is)が少
なくとも130emu/gは必要であり、これを満たす
にはRの濃度(z)は10原子%以下であることが望ま
しい。またRは非晶質を形成し易い元素であり、Rの組
成比が小さ過ぎると良好な非晶質相または微細結晶相を
得られないため、Rの濃度としては3原子%以上とする
のが望ましい。さらにRの一部または全部をNdおよび
/またはPrで構成すると、さらに高い硬磁気特性が得
られる。
【0023】上記組成式中のBは、非晶質を形成し易い
元素である。またFeとBとを含む非晶質相を、600
〜900℃の範囲の適切な温度で熱処理したときに析出
する化合物R2Fe14Bは、本発明の材料に硬磁気特性
を付与するものである。良好な非晶質相または微細結晶
質相を得るためには、Bの濃度を3原子%以上とするの
が望ましいが、Bの組成比(w)の増加に伴って飽和磁
化(Is)、残留磁化(Ir)、および保磁力(iH
c)が減少するので、良好な硬磁気特性を得るために
は、Bの濃度は20原子%以下、好ましくは7原子%以
下、より好ましくは5原子%以下とするのが望ましい。
【0024】また、本発明の硬磁性材料において、T元
素中にFe以外にCoが含まれるようすれば、パーミア
ンス係数が2以上となる形状で使用したときの磁化の温
度係数の絶対値を小さくすることができる点で好まし
い。その理由は、T元素中にCoが含まれているとキュ
リー温度が上昇するので、磁化や保持力の温度変化が小
さくなり、また、磁化の角型比が高くなるため磁気特性
の温度変化が小さくなり、さらに、このCoはbcc−
Fe相にも固溶されるので、残留磁化の温度変化が小さ
くなるからである。Coの含有量は、多過ぎると磁気特
性を劣化させるので、好ましくは50原子%以下、より
好ましくは0.5原子%以上30原子%以下、さらに好
ましくは0.5原子%以上20原子%以下の範囲とさ
れ、合金の組成や熱処理条件等に応じて適宜設定するの
が好ましい。
【0025】また、本発明の硬磁性材料において、Si
をT元素置換で添加すれば、磁気特性、特に保磁力(i
Hc)、および最大磁気エネルギー積((BH)max)
をさらに向上させることができ、また、パーミアンス係
数が2以上となる形状で使用したときの磁化の温度係数
の絶対値を低くすることができる。Siの添加量は、多
過ぎるとT元素の組成比が低くなるために硬磁性材料の
磁気特性がかえって低下するので、好ましくは0.5原
子%以上5原子%以下、より好ましくは0.5原子%以
上3原子%以下の範囲とされ、合金の組成や熱処理条件
等に応じて適宜設定するのが好ましい。
【0026】つぎに、本発明に係る硬磁性材料は、以下
のようにして製造することができる。まず、非晶質相を
主体とする合金を得る方法は、回転ドラムに合金溶湯を
吹き付けて急冷して薄帯状に形成する方法、合金溶湯を
冷却用気体中に噴出して液滴状態で急冷して粉末状に形
成する方法などの液体急冷法、あるいはスパッタリング
やCVD法による方法等を用いることができる。また、
上記非晶質合金に対する熱処理は、任意の加熱手段を用
いて行なうことができ、例えば本発明の硬磁性材料から
なる圧密体を得る場合には、まず非晶質合金を粉末状に
し、その合金粉末をホットプレスにより加圧成形すると
同時に適切な昇温速度および熱処理温度(アニール温
度)で熱処理する方法を好ましく用いることができる。
【0027】熱処理時の昇温速度は、10K/分以上、
好ましくは100K/分以上の範囲で、非晶質合金の組
成により好ましく設定される。熱処理時の昇温速度が1
0K/分未満であると、熱処理により合金中に析出する
結晶粒が粗大化するため、ソフト磁性相(bcc(体心
立方構造)−Fe)とハード磁性相(R2Fe14B)の
交換結合特性が低下し、硬磁気特性が劣化するため好ま
しくない。また、熱処理時の昇温速度を100K/分以
上の範囲とすることにより、微細組織の均一化による特
性向上や、熱処理工程や製造工程に要する時間の短縮化
が可能となる。なお、昇温速度の上限としては、装置上
の制約から、200K/分程度とされる。
【0028】熱処理時の熱処理温度(アニール温度)
は、好ましくは600〜800℃、より好ましくは65
0〜750℃の範囲、保持時間(熱処理時間)は好まし
くは1〜60分、より好ましくは2〜5分の範囲で、非
晶質合金の組成により好ましく設定される。熱処理温度
が600℃未満であると、硬磁気特性を担うR2Fe14
B相の析出量が少ないため十分な硬磁気特性が得られ
ず、好ましくない。一方、熱処理温度が800℃を越え
ると、他の析出物が析出して硬磁気特性が低下してしま
うため好ましくない。
【0029】更に、角度センサに使用される硬磁性材料
からなる磁石を製造する場合の熱処理方法としては、上
述のホットプレス法の他に、プラズマ焼結法を用いるこ
とができる。図2は、放電プラズマ焼結装置の一例の要
部を示すもので、この例の放電プラズマ焼結装置は、筒
型のダイ21と、このダイ21の内部に挿入される上パ
ンチ22および下パンチ23と、下パンチ23を支え、
後述するパルス電流を流す際の一方の電極ともなるパン
チ電極24と、上パンチ22を下側に押圧し、パルス電
流を流す他方の電極となるパンチ電極25と、上下のパ
ンチ22、23に挟まれた原料粉末26の温度を測定す
る熱電対27を主体として構成されている。上述の上パ
ンチ22及び下パンチ23のそれぞれが相互に対向する
面には、得ようとする磁石の形状に対応した型が形成さ
れている。更に、上述の放電プラズマ焼結装置の要部
は、図示しないチャンバ内に収納されている。このチャ
ンバは図示略の真空排気装置および雰囲気ガスの供給装
置に接続されていて、上下のパンチ22、23の間に充
填される原料粉末(粉粒体)26を不活性ガス雰囲気な
どの所望の雰囲気下に保持できるように構成されてい
る。
【0030】前記構成の放電プラズマ焼結装置を用いて
角度センサに備えられる磁石である圧密体を製造するに
は、成型用の原料粉末を用意する。この原料粉末26
は、所定組成の非晶質合金を、溶製してから鋳造法によ
り、あるいは単ロールもしくは双ロールによる急冷法に
よって、さらには液中紡糸法や溶液抽出法によって、あ
るいは高圧ガス噴霧法によって、バルク状、リボン状、
線状体、粉末等の種々の形状として製造する工程と、粉
末状以外のものは粉砕して粉末化する工程により得られ
る。
【0031】次に、所定の組成の原料粉末26を用意し
たならば、これを図2に示す放電プラズマ焼結装置の上
下のパンチ22、23の間に投入し、チャンバの内部を
減圧するとともに、パンチ22、23で上下から圧力を
加えて成形すると同時に、例えば図3に示すようなパル
ス電流を原料粉末26に印加して加熱し、所望の形状の
焼結体に形成する。この放電プラズマ焼結処理において
は、通電電流により原料粉末26を所定の速度で素早く
昇温することができ、また、通電電流の値に応じて原料
粉末26の温度を厳格に管理できるので、ヒータによる
加熱などよりも遥かに正確に温度管理ができ、これによ
り予め設計した通りの理想に近い条件で焼結ができる。
【0032】プラズマ焼結法において、焼結温度は、原
料粉末26を固化成形するために300℃以上とするこ
とが必要であり、優れた硬磁気特性を得るためには50
0℃以上、800℃以下の範囲とすることが好ましい。
【0033】本発明において、焼結を行う際の昇温速度
は、遅い昇温速度では結晶相が析出生成するため、10
℃/分以上とするのが好ましく、40℃/分以上とする
のがより好ましい。また焼結の際の圧力については、加
圧力が低すぎると焼結体を形成できないため、3t/c
2以上とするのが好ましい。
【0034】このようにして得られた圧密体は、原料粉
末として用いられた非晶質合金と同じ組成を有するもの
であるから、室温で優れた硬磁気特性を有し、角度セン
サの磁石として使用することができる。
【0035】上述の角度センサは、Fe、Co、Niの
うち1種以上の元素Tと、希土類元素のうちの1種以上
からなる元素Rと、Bとを含む合金からなり、パーミア
ンス係数が2以上となる形状で使用したときの磁化の温
度係数の絶対値が、室温(25℃)から80℃の温度範
囲で0.06%/K以下である硬磁性材料からなる磁石
を備えており、この硬磁性材料は、従来のフェライトや
Nd−Fe−B系磁石よりも温度特性が同等かまたは優
れているので、角度センサに使用した場合に温度変化に
起因する出力のドリフトを防止することができるので、
検出精度の信頼性を向上させることができる。また、磁
石の形状を薄くすることが可能となるので、角度センサ
の形状を小型にすることができる。更に、上述の硬磁性
材料は、飽和磁化(Is)に対する残留磁化(Ir)の
割合(Ir/Is)が0.6以上であり、最大磁気エネ
ルギー((BH)max)を大きくすることができるの
で、角度センサの検出精度を大幅に向上させることがで
きる。
【0036】上述の角度センサは、残留磁化(Ir)が
90emu/g以上であり、かつ保磁力が2kOe以上
である硬磁性材料を備えているので、角度センサの検出
精度を大幅に向上させることができる。
【0037】本発明に係る硬磁性材料は、平均結晶粒径
100nm以下の微細結晶質相を主体として含んでお
り、この微細結晶質相には、平均結晶粒径100nm以
下のbcc−Fe相と、平均結晶粒径100nm以下の
2Fe14B相が析出しているので、ソフト磁性相(b
cc(体心立方構造)−Fe)とハード磁性相(R2
14B)の交換結合特性が向上しており、残留磁化(I
r)、角型比( Rs)、保磁力(iHc)、最大磁気
エネルギー積((BH)max)が増加し、優れた硬磁気
特性が得られる。具体的には、残留磁化(Ir)が12
0emu/g以上の硬磁性材料、角型比(Rs)が0.
6以上の硬磁性材料、保磁力(iHc)が2kOe以上
の硬磁性材料、最大磁気エネルギー積((BH)max)
が100kJ/m3を越える優れた硬磁性材料を実現す
ることが可能となり、角度センサの検出精度を向上させ
ることができる。
【0038】更に、上述の硬磁性材料を備えた角度セン
サは、希土類元素Rの含有量を少なくしても優れた硬磁
気特性が得られるので、Sm−Co系磁石やNd−Fe
−B系磁石を用いた角度センサよりも製造コストを低く
することができる。さらに、上述の角度センサに用いる
硬磁性材料は、合金溶湯を急冷して得られた非晶質相を
主相とする合金の粉末を、熱処理することにより、結晶
化と同時に固化成形された圧密体であるので、自由な形
状の磁石を容易に製造することが可能となり、角度セン
サの設計の自由度を向上させることができる。
【0039】
【実施例】
(実験例1)以下のようにして、各種組成の急冷薄帯合
金を熱処理して硬磁性材料を作製した。まず、アーク溶
解法によりインゴットを作製し、Ar雰囲気中において
回転しているCuロール上に、溶解した金属をスリット
径約0.3mmの細幅ノズルから吹出すことにより、約
20μmの厚さの急冷薄帯合金を作製した。次いで、得
られた急冷薄帯合金を1×10-2Pa以下の赤外線イメ
ージ炉中において、昇温速度180K/分で加熱し、ア
ニール温度750℃で約180秒間保持する条件で熱処
理して得られる薄帯合金試料(実施例)を得た。ここで
得られた薄帯合金試料の組成は、いずれも本発明の範囲
内にあるFe76Co10Nb2Pr75、Fe66Co20
2Pr75、Fe84Nb2Pr75Si2なる組成の薄
帯合金であった。
【0040】図4〜図6には、得られた実施例の薄帯合
金試料について、VSM(振動試料型磁力計)を用い、
10kOeの印加磁場中及び真空中で室温〜約220℃
における減磁曲線(第2象限)の測定結果を示す。図4
〜図6中、イはパーミアンス係数(p)が10(角柱
形)である直線であり、ロはpが1.5(円盤形)であ
る直線である。また、図7には、実施例の薄帯合金試料
の磁気特性と温度との関係について、減磁曲線(第2象
限)より求めた残留磁化(Ir)及び保磁力(iHc)
の温度変化を示す。
【0041】また、表1には、実施例の薄帯合金試料の
室温での磁気特性を示す。なお、表1中、Ir/Isは
飽和磁化に対する残留磁化の割合(角型比)である。ま
た、表2には、実施例の薄帯合金試料の室温〜約490
KにおけるIr及びiHcの温度係数と、p=1.5、
p=10となる形状としたときの室温〜約490Kにお
けるIrの温度係数を示す。更に、比較例として従来の
フェライト磁石とNd−Fe−B系(Nd2Fe14B)
磁石の磁気特性と温度との関係を図8に合わせて示す。
この従来の磁石のIrの温度係数を表2に合わせて示
す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】図7及び表2から、実施例の薄帯合金試料
ならびに比較例の磁石は、温度の上昇とともにIr及び
iHcが減少する傾向が認められる。iHcの温度係数
(diHc/dT)については、実施例のFe88Nb2
Pr55なる組成の試料が−0.43%/Kであり、比
較例のNd−Fe−B系磁石の値(−0.4%/K)に
近い値であるが、CoやSiを添加した実施例の薄帯合
金試料では−0.28〜−0.36%/Kと比較例のN
d−Fe−B系磁石よりも小さい値であることが認めら
れる。このようにCoを添加することによりiHcの温
度係数が減少するのは、ハード磁性相のキュリー温度が
上昇することに起因するものと考えられる。
【0045】Irの温度係数(dIr/dT)について
は、実施例のFe88Nb2P r55なる組成の試料が−
0.06%/Kであり、比較例のNd−Fe−B系磁石
(Fe77Nd58なる組成の磁石、(Fe0.9Co0.1
77Nd158なる組成の磁石)の値が−0.11〜−
0.18%/Kであるのに比べて低くなっていることが
認められる。これは、比較例の磁石は、磁化に関与する
相がハード磁性相のみであるに対して、実施例の薄帯合
金試料は、ハード磁性相と、磁化の温度変化率の小さい
ソフト磁性相(bcc−Fe相)が混在したナノ複相組
織を有しているためと考えられる。また、CoやSiを
添加した実施例の薄帯合金試料は、Irの温度係数が−
0.02%/Kと大幅に小さい値であることが認められ
る。更に、図5から、Fe66Co20Nb2Pr75なる
組成の試料においては、特にp= 10以上の領域での
磁化の温度変化が小さく、温度特性が優れていることが
分る。
【0046】図8は、実施例の薄帯合金試料をp=1.
5、p=10となる形状でそれぞれ使用したときの温度
とIrとの関係を、図4〜図6に示した減磁曲線より求
めたグラフである。また、比較のために従来のSm−C
o磁石とNd−Fe−B系磁石(Nd2Fe14Bなる組
成)をp=1.5、p=10となる形状でそれぞれ使用
したときの温度とIrとの関係を、図8に合わせて示
す。図9には、本発明の組成の範囲内にあるFe88Nb
2Nd55なる組成の焼結バルク(合金圧密体)試料及
びFe86Nb2Pr75なる組成の薄帯合金試料のパー
ミアンス係数と温度係数との関係を示す。また、比較の
ために従来のNd−Fe−B系磁石(Nd2Fe14Bな
る組成)のパーミアンス係数と温度係数との関係を図9
に合わせて示す。
【0047】表2及び図7〜図9から、p=1.5とパ
ーミアンス係数が低い場合には、Siを添加した実施例
であるFe84Nb2Pr75Si2なる組成の試料の温度
係数が−0.17%/Kであり、Coを添加した実施例
であるFe76Co10Nb2Pr75なる組成と、Fe66
Co20Nb2Pr75なる組成の試料の温度係数が、そ
れぞれ−0.20%/K、−0.33%/Kであり、ま
た、Fe88Nb2Pr55なる組成の試料の温度係数
が、−0.38%/Kと各実施例とも従来の材料と同等
の比較的高い温度係数を有している。p=10と高いパ
ーミアンス係数で使用したときには、実施例のFe88
2Nd55なる組成の試料は温度係数が−0.12%
/Kであり、従来のNd−Fe−B系磁石の温度係数と
同じ程度であるが、Siを添加した実施例のFe84Nb
2Pr75Si2なる組成の試料は−0.05%/Kであ
り、Coを添加した実施例のFe66Co20Nb2Pr7
5なる組成の試料は−0.08%/Kとさらに温度によ
る磁気特性の変化が小さいことを示していることが分
る。また、p=10となる形状で使用したとき、実施例
の薄帯合金試料、特に、Fe66Co20Nb2Pr75
る組成の試料は、室温〜80℃程度の実用温度範囲にお
いて温度係数の絶対値が小さく、比較例のSm−Co系
磁石と同じ程度の優れた温度特性を有しており、また、
比較例のNd2Fe14B系磁石よりも温度特性が優れて
いることが分る。
【0048】表2及び図7〜図9から、実施例の試料
は、パーミアンス係数が2以上で使用すれば、室温〜8
0℃の温度範囲において比較例のNd2Fe14B系磁石
の温度係数の絶対値と同じ程度であるか、あるいは小さ
く、特に、パーミアンス係数が10以上で使用したと
き、温度係数は0.1%/Kよりも小さな値が得られて
おり、比較例のNd2Fe14B系磁石よりも温度係数の
絶対値が小さく、温度特性が優れていることが分る。
【0049】(実験例2)Fe88Nb2Pr55なる組
成の急冷後の非晶質合金薄帯をアニール温度750℃で
熱処理して得られた硬磁性材料の磁化の温度変化を調べ
た。また、Fe88Pr75なる組成の急冷後の非晶質合
金薄帯をアニール温度650℃で熱処理して得られた硬
磁性材料の磁化の温度変化を調べた。その結果を図10
に示す。図10は、Fe88Nb2Pr55なる組成の硬
磁性材料とFe88Pr75なる組成の硬磁性材料の磁化
の温度変化を示す図である。図10に示すように、温度
の上昇とともに磁化は2ステップで減少している。この
ことから、硬磁性材料の磁化に関与する相が2相存在し
ていることが認められる。また、315℃付近で磁化の
減少の度合いが変化していることから、この付近がFe
14Nd2B相のキュリー温度であり、770℃付近で磁
化の減少の度合いが変化していることから、この付近が
bcc−Fe相のキュリー温度であることが分る。な
お、ここで非晶質相に起因する磁化のステップが見られ
ないのは、磁化が低いことと体積分率が小さいことによ
るものと考えられる。
【0050】また、図11には、上述のFe88Nb2
55なる組成の硬磁性材料とFe88Pr75なる組成
の硬磁性材料の磁化曲線の第2象限を示す。図11に示
すように、磁化曲線は、単一相からなる磁性材料と同様
に、ステップの見られない磁化曲線となっており、微細
なソフト磁性相とハード磁性相とが磁気的に結合した交
換結合磁石であることが分る。
【0051】(実験例3)実験例1と同様にして、原子
組成比が、Fe88Nb2Nd55、Fe73Co15Nb2
55、Fe79Co10Nb2Nd45、Fe89Nb2Nd
54、Fe78Co10Nb2Nd55、Fe89Nb2Nd4
5、Fe90Nb2Nd53であり、約20μmの厚さの
急冷薄帯合金を作製した。次に、得られた急冷薄帯合金
をローターミルを用いて大気中で粉砕することで粉末化
した。得られた粉末の中で粒径53〜105μmのもの
を選別して後の工程に原料粉末として使用した。約2g
の上記原料粉末をWC製のダイスの内部にハンドプレス
を用いて充填した後、図3に示すダイ21の内部に装填
し、チャンバの内部を3×10-5torrの雰囲気中で
上下のパンチ22、23で加圧するとともに、通電装置
から原料粉末にパルス波を通電することにより焼結し、
焼結体を得た。次にこの焼結体を円柱状に複数を切り出
し、図1(a)のロータリーエンコーダ11に使用する
磁石15、15…を得た。このときのパルス波形は、図
3に示すように、12パルス流した後で2パルス休止す
るものとし、最高4700〜4800Aの電流で原料粉
末を加熱した。焼結条件は、試料に6.5t/cm2
圧力をかけた状態で室温から焼結温度まで加熱し、約5
分間保持することにより行った。焼結時の昇温速度は4
0℃/分(0.67K/秒)とした。更に、得られた複
数の磁石15、15…に着磁処理を行い、図1(b)に
示すような、直径0.5mm、長さ1mmの複数の磁石
15、15…を作製し、この磁石15、15…を回転ド
ラム16の円周を覆うように配置してロータ14を作製
し、このロータ14を用いて、図1(a)に示すよう
な、ロータリーエンコーダ11を作製した。尚、ここで
作製したロータリーエンコーダ11の検出部17にはホ
ール素子を用いた。
【0052】このロータリーエンコーダについて、作動
温度を室温(25℃)〜125℃まで上昇させたときの
検出部からの出力電圧の変化を図12に示す。また、作
動温度の変化量(dT)に対する出力電圧の変化量(d
V)の比であるdV/dTを表3に示す。また、表3に
は、従来のNd2Fe14B系磁石、フェライト磁石、S
mCo5磁石を用いて作製したロータリーエンコーダの
dV/dTを合わせて示す。
【0053】表3から明らかなように、本発明の原子組
成の範囲である硬磁性材料からなる磁石を用いたロータ
リーエンコーダは、Nd2Fe14B系磁石、フェライト
磁石を用いたものよりも、dV/dTが小さく、ロータ
リーエンコーダの出力電圧のドリフトが少ないことがわ
かる。また、SmCo5磁石を用いたものと比較する
と、dV/dTがほぼ同程度であるが、SmCo5磁石
は希土類元素であるSmの含有量が高いために、磁石の
製造コストが高く、ロータリーエンコーダの製造コスト
を低くすることができない。更に、図12から明らかな
ように、Coを含有した硬磁性材料からなる磁石を備え
たロータリーエンコーダは、Coを含有しないものと比
べて出力電圧の値が大きく、ロータリーエンコーダの検
出精度を高くすることが可能となる。
【0054】
【表3】
【0055】尚、本発明の技術範囲は上述の実施の形態
に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない
範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、実施の形態においては、本発明の角度センサ
を、ロータリーエンコーダに応用した例について説明し
たがこれに限られず、自動車のアンチブロックシステム
用のセンサや、その他の回転量を計測するセンサに用い
ることができる。
【0056】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
角度センサは、Fe、Co、Niのうち1種以上の元素
Tと、希土類元素のうちの1種以上からなる元素Rと、
Bとを含む合金からなり、パーミアンス係数が2以上と
なる形状で使用したときの磁化の温度係数の絶対値が、
室温〜80℃の温度範囲で0.06%/K以下の硬磁性
材料からなる磁石を備えており、この硬磁性材料は、従
来のフェライトやNd−Fe−B系磁石より温度特性が
同等かまたは優れているので、角度センサに利用した場
合に温度変化に起因する出力のドリフトを防止すること
ができるので、検出精度の信頼性を向上させることがで
きる。また、磁石の形状を薄くすることが可能となるの
で、角度センサの形状を小型にすることができる。ま
た、本発明に係る硬磁性材料は、飽和磁化(Is)に対
する残留磁化(Ir)の割合(Ir/Is)が0.6以
上であり、最大磁気エネルギー((BH)max)を大き
くすることができるので、角度センサの検出精度を大幅
に向上させることができる。
【0057】本発明の角度センサは、残留磁化(Ir)
が90emu/g以上であり、かつ保磁力が2kOe以
上である硬磁性材料を備えているので、角度センサの検
出精度を大幅に向上させることができる。
【0058】また、本発明に係る硬磁性材料は、平均結
晶粒径100nm以下の微細結晶質相を主体として含ん
でおり、この微細結晶質相には、平均結晶粒径100n
m以下のbcc−Fe相と、平均結晶粒径100nm以
下のR2Fe14B相が析出 しているので、ソフト磁性相
(bcc(体心立方構造)−Fe)とハード磁性相(R
2Fe14B)の交換結合特性が向上しており、残留磁化
(Ir)、角型比( Rs)、保磁力(iHc)、最大
磁気エネルギー積((BH)max)が増加し、優れた硬
磁気特性が得られるので、角度センサの検出精度を向上
させることができる。
【0059】さらに、本発明の角度センサに用いる硬磁
性材料は、希土類元素Rの含有量を少なくしても優れた
硬磁気特性が得られるので、Sm−Co系磁石やNd−
Fe−B系磁石を用いた角度センサよりも製造コストを
低くすることができる。さらに、上述の角度センサに用
いる硬磁性材料は、合金溶湯を急冷して得られた非晶質
相を主相とする合金の粉末を、熱処理することにより、
結晶化と同時に固化成形された圧密体であるので、自由
な形状の磁石を容易に製造することができる。また、熱
処理する際の条件を、昇温速度を10℃/分以上、熱処
理温度を600〜800℃、保持時間を1〜60分とす
ることにより、硬磁気特性に優れた硬磁性材料を得るこ
とができ、角度センサの検出精度を向上させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態であるロータリーエンコ
ーダを示す図であって、(a)はロータリーエンコーダ
の要部を示す斜視図であり、(b)はロータリーエンコ
ーダのロータを示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態である放電プラズマ焼結
装置の一例の要部構造を示す断面図である。
【図3】 図2に示す放電プラズマ焼結装置で原料粉末
に印加するパルス電流波形の一例を示す図である。
【図4】 Fe76Co10Nb2Pr75なる組成の薄帯
合金試料の302.5K〜489Kにおける減磁曲線
(第2象限)を示すグラフである。
【図5】 Fe66Co20Nb2Pr75なる組成の薄帯
合金試料の308K〜471Kにおける減磁曲線(第2
象限)を示すグラフである。
【図6】 Fe84Nb2Pr75Si2なる組成の薄帯合
金試料の301.5K〜477Kにおける減磁曲線(第
2象限)を示すグラフである。
【図7】 実施例の薄帯合金試料ならびに比較例の磁石
の磁気特性と温度との関係を示す図である。
【図8】 実施例の薄帯合金試料ならびに比較例の磁石
をそれぞれp=1.5、p=10となる形状で使用した
ときIrの温度変化を示す図である。
【図9】 本発明の組成の範囲内にある焼結バルク(合
金圧密体)、本発明の組成の範囲内にある薄帯合金なら
びに従来のNd−Fe−B系磁石のパーミアンス係数と
温度係数との関係を示す図である。
【図10】 Fe88Nb2Pr55なる組成の硬磁性材
料とFe88Pr75なる組成の硬磁性材料の磁化の温度
変化を示すグラフである。
【図11】 Fe88Nb2Pr55なる組成の硬磁性材
料とFe88Pr75なる組成の硬磁性材料の磁化曲線の
第2象限示すグラフである。
【図12】 本発明の実施の形態であるロータリーエン
コーダの作動温度と出力電圧との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
11 ロータリーエンコーダ 12 モータ 13 回転軸 14 ロータ 15 磁石(圧密磁石) 16 回転ドラム 17 検出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑内 隆史 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アル プス電気株式会社内 (72)発明者 山本 豊 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アル プス電気株式会社内 (72)発明者 徳永 一郎 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アル プス電気株式会社内 (72)発明者 井上 光正 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アル プス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川内住宅11−806 (56)参考文献 特開 平9−143641(JP,A) 特開 平8−124730(JP,A) 特開 平8−337839(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 7/30 101 H01F 1/053

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬磁性材料からなり、固化成形された圧
    磁石と、該圧密磁石からの磁束の変化を検出する検出
    部とを備え 前記硬磁性材料は、Fe、Co、Niのうちの1種以上
    の元素Tと、希土類元素のうちの1種以上からなる元素
    Rと、Bとを含む合金からなり、パーミアンス係数が2
    以上となる形状で使用したときの磁化の温度係数の絶対
    値が室温から80℃の温度範囲において0.06%/K
    以下であり、かつ飽和磁化(Is)に対する残留磁化
    (Ir)の割合(Ir/Is)が、0.6以上であって
    下記の組成からなることを特徴とする角度センサ。 ただし、TはFe、Co、Niのうち1種以上の元素を
    表わし、MはZr、Nb、Ta、Hfのうち1種以上の
    元素を表わし、Rは希土類元素のうち1種以上の元素を
    表わすとともに、組成比を示すx、y、z、wは原子%
    で、86≦x≦92、0.5≦y≦3、3≦z≦7、3
    ≦w≦7である。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の角度センサであって、
    前記硬磁性材料は、残留磁化(Ir)が90emu/g
    以上であり、かつ保磁力が2kOe以上であることを特
    徴とする角度センサ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の角度セ
    ンサであって、前記硬磁性材料は、合金溶湯を急冷して
    得られた非晶質相を主相とする合金を熱処理して得られ
    る粒径100nm以下の微細な結晶質相を主相とするこ
    とを特徴とする角度センサ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の角度セ
    ンサであって、前記硬磁性材料は、合金溶湯を急冷して
    得られた非晶質相を主相とする合金の粉末を、熱処理す
    ることにより、結晶化と同時に固化成形された圧密体で
    あることを特徴とする角度センサ。
  5. 【請求項5】 請求項3または請求項4に記載の角度セ
    ンサであって、前記熱処理する際の昇温速度が10℃/
    分以上であり、熱処理温度が600〜800℃であり、
    保持時間が1〜60分であることを特徴とする角度セン
    サ。
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