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JP3514052B2 - 無段変速機 - Google Patents

無段変速機

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Publication number
JP3514052B2
JP3514052B2 JP29419296A JP29419296A JP3514052B2 JP 3514052 B2 JP3514052 B2 JP 3514052B2 JP 29419296 A JP29419296 A JP 29419296A JP 29419296 A JP29419296 A JP 29419296A JP 3514052 B2 JP3514052 B2 JP 3514052B2
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JP
Japan
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torque
engine
continuously variable
variable transmission
hydraulic
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JP29419296A
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JPH10141101A (ja
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孝男 谷口
昭一 宮川
一雅 塚本
史郎 榊原
武 犬塚
雅士 服部
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Aisin AW Co Ltd
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Aisin AW Co Ltd
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Publication date
Application filed by Aisin AW Co Ltd filed Critical Aisin AW Co Ltd
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Priority to US08/941,278 priority patent/US6146308A/en
Priority to EP97117172A priority patent/EP0834680B1/en
Priority to DE69709518T priority patent/DE69709518T2/de
Publication of JPH10141101A publication Critical patent/JPH10141101A/ja
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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Transmission Devices (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラネタリギヤと
組合せてトルク循環を生ずる無段変速機に係り、特に自
動車に搭載して好適な無段変速機に係り、詳しくは上記
トルク循環によりニュートラル状態を現出する無段変速
機(IVT)に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、燃料消費率の向上及び運転性能の
向上等の要求により、自動車のトランスミッションとし
てベルト式無段変速装置(CVT)を組込んだ自動変速
機が注目されている。
【0003】従来、特開平6−331000号公報に示
すように、無段変速機構と、一定速機構と、プラネタリ
ギヤ機構を備え、該プラネタリギヤ機構にて前記無段変
速機構と一定速機構とからの動力を合成して、無段変速
機構に動力(トルク)循環を発生して変速幅の増幅を図
った無段変速機が案出されている。該無段変速機は、エ
ンジン出力を、一定速機構を介してキャリヤに伝達する
と共に、無段変速機構及び第1(ロー)クラッチ又はワ
ンウェイクラッチを介してサンギヤに伝達し、この状態
では、無段変速機構にトルク循環が生じてその変速比が
小(O/D)から大(U/D)になるに従って、リング
ギヤからの無段変速機出力軸の変速比が後進→∞(出力
回転数0)→前進大(U/D)→前進小(O/D)にな
り、更に前記第1クラッチ又はワンウェイクラッチを解
放すると共に第2(ハイ)クラッチを係合することによ
り、無段変速機構からの回転が直接出力軸に伝達され
て、該無段変速機構の変速比が大(U/D))から小
(O/D)になるに従って、出力軸の回転比も大(U/
D)から小(O/D))に変速される。
【0004】上記トルク循環を行う無段変速機は、無段
変速機構の変速比を、プラネタリギヤ機構のギヤ比にて
定まる所定値にすることにより、上述したように、幾何
学上出力軸の回転数が0となるギヤニュートラル位置が
存在し、従って理論上、発進クラッチ等の発進装置がな
くても成り立つ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記トルク循環を伴う
無段変速機は、上記ギヤニュートラル位置にあっては、
トルク比が無限大に拡散する関係上、その近傍において
も極めて大きなトルク比となる。このため、無段変速機
の伝動要素、特にCVTのベルトの許容伝達トルク容量
に規制されて、無段変速機への入力トルクを制限する必
要がある。
【0006】一般に、車輌に搭載される無段変速機は、
動力源として内燃エンジンが用いられるが、上記トルク
増幅比が最大となるギヤニュートラル位置近傍において
は(車輌発進時)、上記入力トルクの制限によりスロッ
トル開度が極低開度(例えば5%程度)に抑えられる。
該極低開度スロットルによるエンジン出力でも、上記無
段変速機はトルク増幅比が最大となる関係で必要トルク
に対応することができるが、該スロットルの極低開度に
あっては、エンジン出力特性の等スロットル線が右下が
り傾向となっており、エンジン回転数も非常に低くな
る。このため、運転者は、加速しようとしてアクセルペ
ダルを踏込んでも、トルクは十分に出力するがエンジン
回転数は低回転のままとなり、逆にCVTをアップシフ
ト(U/D方向に変速)してエンジン回転数を高くする
と、トルクが十分に出力されなくなる。
【0007】これは、従来一般に用いられる発進装置、
例えばトルクコンバータの特性、即ち「アクセルペダル
を踏込むと、それに応じてエンジン回転数が高くなり、
かつ変速機の入力トルクが大きくなる」という特性と大
きく異なり、運転者に違和感を与えてしまう。
【0008】そこで、本発明は、発進時にエンジンのス
ロットルを極低開度に抑えて、トルク循環によるトルク
増幅比に対応して無段変速機への入力トルクを制限する
ものでありながら、エンジンを適正に制御して、上記課
題を解決することを目的とするものである。
【0009】
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項に係る本発明
は、エンジンの出力軸(2)に連動する入力軸(3)
と、車輪(5)に連動する出力部材(21)と、前記入
力軸に連動する第1の回転部材(7)、第2の回転部材
(9)、これら両回転部材の回転比を変更する変速操作
手段(7c,9c)(7c,9d)(7e,9e)を有
する無段変速装置(11)と、少なくとも第1、第2及
び第3の回転要素(19c,19s,19r)を有し、
前記無段変速装置(11)の回転比(IP )の変更に基
づき、前記両回転部材間でトルク伝達方向が変更される
と共に、前記出力部材(21)の出力トルク方向が変更
されるように、前記第1の回転要素(19c)を前記入
力軸(3)に、前記第2の回転要素(19s)を前記第
2の回転部材(9)に、前記第3の回転要素(19r)
を前記出力部材(21)にそれぞれ連動してなるプラネ
タリギヤ(19)と、を備えてなる無段変速機(1)に
おいて、前記出力部材の回転が0となるニュートラル位
置からの発進時において、前記エンジンの出力トルク
(Te)が、前記無段変速装置の回転比に応じて設定さ
れる制限トルク内となるスロットル開度内で、該エンジ
ンの回転数が、該エンジンを人為操作するアクセル操作
手段の操作量(θd)に応じた目標回転数になるように
前記スロットル開度(θ)を制御する電子スロットル
制御手段(Q)と、該電子スロットル制御手段によるエ
ンジンの出力トルクに応じて、前記無段変速装置(1
1)に、前記ニュートラル位置(GN)から所定量ずれ
るような付勢力(ΔP)が作用するように前記変速操作
手段を制御するエンジン負荷制御手段(R)と、を備え
てなる、ことを特徴とする無段変速機にある(図21、
図22参照)。
【0011】請求項に係る本発明は、前記エンジン負
荷制御手段(R)は、前記エンジンの回転数が目標回転
数(Nei )になるように前記変速操作手段を制御して
なる、請求項記載の無段変速機にある(図21、図2
2参照)。
【0012】請求項に係る本発明は、前記電子スロッ
トル制御手段(Q)は、前記アクセル操作手段を最大限
に操作した際の該電子スロットル制御手段によるスロッ
トル開度に基づく前記制限トルクに対して、前記アクセ
ル操作手段の操作量の割合に応じて設定された出力トル
ク(Te)となるようにスロットル開度を制御してな
る、請求項1又は2記載の無段変速機にある(図24、
図25参照)。
【0013】請求項に係る本発明は、前記無段変速装
置(11)は、第1及び第2のプーリ(7,9)、これ
ら両プーリに巻掛けられているベルト(10)、及び前
記両プーリに軸力を作用する油圧アクチュエータ(7
c,9c)(7c,9d)(7e,9e)を有するベル
ト式無段変速装置からなり、前記エンジン負荷制御手段
(R)は、前記油圧アクチュエータを操作して、前記ベ
ルト式無段変速装置(11)を、前記エンジンの回転数
が目標回転数(Nei )になるように制御してなる、請
求項記載の無段変速機にある。
【0014】[作用]前記構成に基づき、入力軸(3)
からのエンジン出力は、ベルト式等の無段変速装置(1
1)を介して適宜変速されてプラネタリギヤ(19)の
第2の回転要素(19s)に伝達されると共に、定速回
転が第1の回転要素(19c)に伝達され、これら両回
転が、プラネタリギヤ(19)で合成されて、第3の回
転要素(19r)から出力部材(21)を介して駆動車
輪に伝達される。この際、トルク循環を生じて、出力部
材の回転が0となるニュートラル位置(GN)を挟むよ
うにして、無段変速装置(11)の回転比により出力部
材の回転方向が正転及び逆転に切換わる。
【0015】前記回転比(IP )がニュートラル位置
(GN)近傍にある発進時、無段変速装置の回転比に応
じて設定される制限トルク内になるように、電子スロッ
トル制御手段(Q)によりスロットル開度が制御され
る。通常の走行状態では、走行抵抗の急変により、エン
ジン回転数が大きく変化するため、変化しても制限トル
クを越えないように、エンジンのスロットル開度は、エ
ンジン出力特性の等スロットル開度上の最大トルクを基
準にして制限しなければならないが、発進時には上記走
行抵抗等の外的影響を受けることがないため、最大トル
クを基準にしてスロットル開度を制限しなくともよい。
従って、上記制限トルク内にて、アクセル操作手段の操
作量に応じた目標回転数になるように、エンジンのスロ
ットル開度を電子スロットル制御手段(Q)にて制御す
る。
【0016】同時に、エンジン負荷制御手段(R)が、
該電子スロットル制御手段(Q)によるエンジン出力ト
ルクに応じて、無段変速装置(11)に、前記ニュート
ラル位置(GN)から所定量ずれるような付勢力(Δ
P)が作用するよう変速操作手段を制御して、例えばエ
ンジン回転数が目標回転数(Nei * )になるように該エ
ンジンに作用する負荷を制御する。
【0017】なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照
するためのものであるが、何等本発明の構成を限定する
ものではない。
【0018】
【0019】
【発明の効果】請求項に係る本発明によると、発進時
エンジン回転数を任意に設定することができると共
に、エンジンの出力トルクに応じて、無段変速装置がニ
ュートラル位置から所定量ずれるように該無段変速装置
に付勢力を作用して、エンジンの負荷を制御することに
より、車輌発進時のクリープトルクを任意に設定するこ
とができる。従って、従来のトルクコンバータ、電磁ク
ラッチ、マニュアルクラッチ等の発進装置に合わせたス
トール特性(回転数、トルク)を得ることができ、滑ら
かに発進することができる。
【0020】請求項に係る本発明によると、上記無段
変速装置の付勢力を制御することによるエンジン負荷の
変更により、エンジン回転数を目標値回転数に安定し
て、正確なエンジン回転数からなる所望ストール特性を
得ることができる。
【0021】請求項に係る本発明によると、アクセル
操作手段を最大に操作した状態での最大制限トルクに対
するアクセル操作手段の操作量の割合に応じて、エンジ
ン出力トルクを制御するので、運転者の操作感覚に合っ
たエンジン出力トルクを得ることができる。
【0022】請求項に係る本発明によると、ベルト式
無段変速装置を用い、かつ油圧アクチュエータを用いる
簡単で信頼性の高い制御により、エンジン回転数を目標
回転数に安定させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面に沿って、本発明に係
る実施の形態について説明する。車載用自動無段変速機
1は、図1に示すように、エンジンクランクシャフト2
に整列する第1軸3、第2軸4、前車軸に整列する第3
軸5(a,b)及びカウンタシャフトからなる第4軸6
を有しており、第1軸3上にはプライマリ(第1の)プ
ーリ7が配置され、また第2軸4上にはセカンダリ(第
2の)プーリ9が配置されており、これら両プーリ7,
9にベルト10が巻掛けられて、ベルト式無段変速装置
11を構成している。
【0024】更に、第1軸3は、エンジンのトルク変動
を吸収するダンパー装置12を介してエンジンクランク
シャフト2に直接連結して入力軸を構成し、該入力軸3
はプライマリプーリ7の固定シーブ7a及び該固定シー
ブ7aのボス部7a1 にスプライン嵌合されたシャフト
3aで構成されている。そして、入力軸3を構成するシ
ャフト3aにはロークラッチCL の入力側部材13が固
定されていると共にその出力側部材15が回転自在に支
持されており、かつ該出力側部材15には定速伝動装置
16を構成するプライマリ側スプロケット18が一体に
連結されている。また、入力軸3を構成するプライマリ
プーリ7の固定シーブ7aにオイルポンプ17が連結さ
れており、前記固定シーブ7aには可動シーブ7bが後
述する油圧アクチュエータ7cにより軸方向に移動可能
に支持されている。
【0025】第2軸4は、セカンダリプーリ9の固定シ
ーブ9aで構成され、該固定シーブ9aには可動シーブ
9bが油圧アクチュエータ9cにより軸方向に移動可能
に支持されている。更に、前記第2軸4上にはハイクラ
ッチCH 及びプラネタリギヤ19が配設されていると共
に、セカンダリ側スプロケット20及び出力ギヤ(出力
部材)21が回転自在に支持されている。
【0026】前記プラネタリギヤ19は、サンギヤ19
s、リングギヤ19r及びこれら両ギヤに噛合している
ピニオン19pを回転自在に支持しているキャリヤ19
cを有するシングルピニオンプラネタリギヤからなる。
そして、前記サンギヤ19sが第2軸4を構成するセカ
ンダリプーリ9の固定シーブ9aに連結されて第2の回
転要素を構成し、前記リングギヤ19rが出力ギヤ21
に連結されて第3の回転要素を構成し、前記キャリヤ1
9cがセカンダリ側スプロケット20に連結されて第1
の回転要素を構成している。また、プライマリ側及びセ
カンダリ側スプロケット18,20にはサイレントチェ
ーン、ローラチェーン等のチェーン又はタイミングベル
ト等の巻掛け体22が巻掛けられている。また、サンギ
ヤ19sとリングギヤ19rとの間にハイクラッチCH
が介在している。
【0027】また、前記出力ギヤ(出力部材)21は第
4軸を構成するカウンタシャフト6の大ギヤ23aに噛
合しており、該シャフトの小ギヤ23bはディファレン
シャル装置25のリングギヤ24に噛合しており、該デ
ィファレンシャル装置25は第3軸を構成する左右のア
クスル軸5a,5bにそれぞれ差動回転を出力する。
【0028】また、前記プライマリプーリ7及びセカン
ダリプーリ9の油圧アクチュエータ7c,9cはそれぞ
れ固定シーブボス部7a1 ,9a1 に固定されている仕
切り部材45,46及びシリンダ部材47,49と、可
動シーブ7b,9b背面に固定されているドラム部材5
0,51及び第2ピストン部材52,53とを有してお
り、仕切り部材45,46が第2ピストン部材52,5
3に油密状に嵌合すると共に、これら第2ピストン部材
52,53がシリンダ部材47,49及び仕切り部材4
5,46に油密状に嵌合して、それぞれ第1の油圧室5
5,56及び第2の油圧室57,59からなるダブルピ
ストン(ダブルチャンバ)構造となっている。
【0029】そして、前記油圧アクチュエータ7c,9
cにおける第1の油圧室55,56は、それぞれ可動シ
ーブ7b,9bの背面がピストン面を構成しかつ該ピス
トン面の有効受圧面積が、プライマリ側及びセカンダリ
側にて等しくなっている。また、プライマリ側及びセカ
ンダリ側固定シーブボス部7a1 ,9a1 にはそれぞれ
第1の油圧室55,56に連通する油路32,33及び
第2の油圧室57,59に連通する油路35,36が形
成されており、またプライマリ側及びセカンダリ側の可
動シーブ7b,9bをそれぞれ固定シーブ7a,9aに
近づく方向に付勢するプリロード用のスプリング65,
66が縮設されている。
【0030】ついで、上記無段変速機1に基づく作用に
ついて、図1、図2、図3に沿って説明する。エンジン
クランクシャフト2の回転は、ダンパー装置12を介し
て入力軸3に伝達される。Dレンジおいて、ロークラッ
チCL が接続してハイクラッチCH が切断されているロ
ーモードにあっては、前記入力軸3の回転は、プライマ
リプーリ7に伝達されると共に、プライマリ側スプロケ
ット18、巻掛け体22及びセカンダリ側スプロケット
20からなる定速伝動装置16を介してプラネタリギヤ
19のキャリヤ19cに伝達される。一方、前記プライ
マリプーリ7の回転は、後述する油圧アクチュエータ7
c,9cによりプライマリ及びセカンダリプーリのプー
リ比が適宜調節されることにより無段に変速されてセカ
ンダリプーリ9に伝達され、更に該プーリ9の変速回転
がプラネタリギヤ19のサンギヤ19sに伝達される。
【0031】プラネタリギヤ19において、図2の速度
線図に示すように、定速伝動装置16を介して定速回転
が伝達されるキャリヤ19cが反力要素となって、ベル
ト式無段変速装置(CVT)11からの無段変速回転が
サンギヤ19sに伝達され、これらキャリヤとサンギヤ
の回転が合成されてリングギヤ19rを介して出力ギヤ
21に伝達される。この際、出力ギヤ21には反力支持
要素以外の回転要素であるリングギヤ19rが連結され
ているため、前記プラネタリギヤ19はトルク循環を生
じると共に、サンギヤ19sとキャリヤ19cとが同方
向に回転するため、出力軸5は零回転を挟んで正転(L
o)及び逆転(Rev)方向に回転する。即ち、前記ト
ルク循環に基づき、出力軸5の正転(前進)方向回転状
態では、ベルト式無段変速装置11はセカンダリプーリ
9からプライマリプーリ7へトルクが伝達され、出力軸
の逆転(後進)方向回転状態では、プライマリプーリ7
からセカンダリプーリ9へトルクが伝達される。
【0032】そして、ロークラッチCL が切断されかつ
ハイクラッチCH が接続されているハイモードにあって
は、定速伝動装置16を介してのプラネタリギヤ19へ
の伝達は断たれ、該プラネタリギヤ19は、ハイクラッ
チCH の係合により一体回転状態となる。従って、入力
軸3の回転は、専らベルト式無段変速装置(CVT)1
1及びハイクラッチCH を介して出力ギヤ21に伝達さ
れる。即ち、CVT11は、プライマリプーリ7からセ
カンダリプーリ9に向けて動力伝達する。更に、出力ギ
ヤ21の回転は、カウンタシャフト6のギヤ23a,2
3bを介してディファレンシャル装置25に伝達され、
左右のアクスル軸5a,5bを介して左右前輪に伝達さ
れる。
【0033】図2の速度線図、図4の出力トルク図、図
5の出力回転数図にて示すように、ローモードにあって
は、ベルト式無段変速装置(以下CVTという)11が
増速方向の限度(O/D端)にある場合(図2の線a位
置)、サンギヤ19sが最大回転することに基づき、一
定回転数のキャリヤ19cの回転に対してリングギヤ1
9rを逆転し、逆回転(REV)を出力ギヤ21に伝達
する。そして、CVT11が減速(U/D)方向に変速
することにより、逆回転の回転数が減少し、プラネタリ
ギヤ19及び定速伝動装置16のギヤ比で定まる所定プ
ーリ比において、出力ギヤ21の回転数が零になるニュ
ートラル位置(NEU)になる。更に、CVT11が減
速方向に変速することにより、リングギヤ19rは正転
方向に切換えられ、出力ギヤ21には該正転回転即ち前
進方向の回転が伝達される。この際、図4から明らかな
ように、上記ニュートラル位置NEU近傍にあっては、
出力ギヤ21のトルクは無限大に発散する。
【0034】ついで、CVT11が減速方向(U/D)
端になると、ハイクラッチCH が接続してハイモードに
切換えられる。該ハイモードにあっては、CVT11の
出力回転がそのまま出力ギヤ21に伝達されるため、図
2の速度線図にあっては、bに示すように平行線とな
る。そして今度は、CVT11が増速(O/D)方向に
変速されるに従って、出力ギヤ21の回転も増速方向に
変更され、その分伝達トルクは減少する。なお、図2に
おけるλは、サンギヤの歯数Zsとリングギヤの歯数Z
rとの比(Zs/Zr)である。
【0035】なお、図3に示すパーキングレンジP及び
ニュートラルレンジNにあっては、ロークラッチCL
びハイクラッチCH が共に切断されて、エンジンからの
動力は断たれる。この際、パーキングレンジPにあって
は、ディファレンシャル装置25がロックされて車軸5
a,5bがロックされる。
【0036】ついで、本実施の形態による油圧制御機構
について、図6に沿って説明する。該油圧制御機構70
は、プライマリレギュレータバルブ71、レシオコント
ロールバルブ72、ダウンシフトリリーフバルブ73、
マニュアルバルブ75、ローハイコントロールバルブ7
6、ロークラッチリリーフバルブ77、及びクラッチモ
デュレーションバルブ79を備えており、更に、規制手
段としてのレシオセンシングバルブ80、プーリ比検出
手段としてのセンサシュー81、及びロック手段として
のインターロックロッド82を備えている。
【0037】センサシュー81は、プライマリプーリ7
の軸と平行に配置されたガイド部材83によってスライ
ド自在に支持されている。センサシュー81からは、2
本の連結部81b,81cが突出されており、一方の連
結部81bは、プライマリプーリ7の可動シーブ7bに
係合され、また他方の連結部81cは、上述のレシオセ
ンシングバルブ80に係合されている。したがって、可
動シーブ7bが軸に沿ってO/D方向またはU/D方向
に移動すると、その移動量は、センサシュー81を介し
て、そのままレシオセンシングバルブ80に伝達され
る。
【0038】更に、センサシュー81には、凹部81a
が形成されており、この凹部81aには、インターロッ
クロッド82の基端部82aが係脱される。インターロ
ックロッド82は、バルブボディを貫通するようにして
配置されており、その先端部82bは、ローハイコント
ロールバルブ76の凹部76a,76bに係脱される。
なお、図6においては、インターロックロッド82は、
その基端部82aと先端部82bとが分割して図示され
ているが、実際には、これは一体に形成されている。ま
た、インターロックロッド82の基端部82aがセンサ
シュー81の凹部81aに係合されているときは、先端
部82bは、ローハイコントロールバルブ76の凹部7
6a、76bのいずれにも係合されないでローハイコン
トロールバルブ76の表面に当接し、反対に、基端部8
2aがセンサシュー81の凹部81aから外れてセンサ
シュー81の表面に当接しているときは、先端部82b
は、ローハイコントロールバルブ76の凹部76a、7
6bのいずれかに係合するように構成されている。
【0039】上述した油圧制御機構70は、ニュートラ
ル状態ではプライマリ及びセカンダリ側の両第1の油圧
室55,56に油圧を供給すると共に両第2の油圧室5
9,57の油圧を解放した状態にあり、該ニュートラル
状態からの前進方向発進時は、セカンダリ側の第2の油
圧室59に油圧を供給してCVT11をU/D方向に変
速し、また後進方向発進時は、プライマリ側の第2の油
圧室57に供給してCVTをO/D方向に変速する。こ
の際、コンピュータの誤作動により、ローハイコントロ
ールバルブ76が切換わって、例えばDレンジにおいて
後進方向に発進することを確実に防止すべく、CVTの
所定前進範囲では、レシオセンシングバルブ80により
ダウンシフトを禁止すると共に、ローハイコントロール
バルブ76の切換えを前記インターロックロッド82に
より機械的に規制している。具体的には、図5に示す前
進域の1.0より僅かに大きい所定プーリ比B(例えば
1.3)を境として、これよりプーリ比が大きい領域
(U/D側)及び小さい領域(O/D側)とで、それぞ
れ制御を変更する。該制御の変更により、前記所定プー
リ比B以下の領域において、Dレンジローモード及びR
レンジでのダウンシフトを禁止し、かつDレンジHモー
ドから、DレンジLモード及びRレンジへの飛び込みを
禁止する。
【0040】ついで、上述構成の油圧制御機構70の作
用について、図6に沿って説明する。以下においては、
(1) Dレンジのローモード、(2) Dレンジのハイモー
ド、(3) R(リバース)レンジ、(4) N(ニュートラ
ル),P(パーキング)レンジの順に説明する。まず、
(1) 〜(4) のいずれのモードにおいても、図6に示すよ
うに、オイルポンプ17からの油圧が、プライマリレギ
ュレータバルブ71によって適宜調圧され、出力ポート
vから出力されると共に、前記プライマリ及びセカンダ
リ側の両油圧サーボ7c,9cの第1の油圧室55,5
6に送られて両者が等圧に制御され、更にクラッチモデ
ュレーションバルブ79に送られる。そして、クラッチ
モデュレーションバルブ79からの出力油圧は、(4) の
N,Pレンジの場合を除いて、ロークラッチCL または
ハイクラッチCH に選択的に供給される。 (1) Dレンジ−ローモード 第1の油圧室55,56に等しい油圧が供給され、ロー
クラッチCL が接続され、更に、アップシフトにおいて
はセカンダリ側の第2の油圧室59に油圧が供給され、
また、ダウンシフトでは、上記プーリ比B以上において
のみプライマリ側の第2の油圧室57に油圧が供給され
る。即ち、アップシフトにおいては、マニュアルバルブ
75がDレンジポジションに操作されて、ポートaと
b、cとd、eとfが連通し、またローハイコントロー
ルバルブ76がローモードポジションにセットされて、
ポートhとi,jとk,lとmが連通すると共に、ポー
トgがドレーンポートExに連通するように切り換え・
保持されている。
【0041】従って、ロークラッチCL には、クラッチ
モデュレーションバルブ79からの油圧が、マニュアル
バルブ75のポートa及びb、ローハイコントロールバ
ルブ76のポートh及びi、そしてロークラッチリリー
フバルブ77のポートn及びoを介してローラクラッチ
用油圧サーボに供給され、該ロークラッチCL が係合さ
れる。また、プライマリレギュレータバルブ71の出力
ポートvからの油圧は、レシオコントロールバルブ72
によって、目標プーリ比に対応した油圧になるように徐
々に増加され、ポートp及びq、マニュアルバルブ75
のポートc及びd、ローハイコントロールバルブ76の
ポートj及びkを介してセカンダリ側の第2の油圧室5
9に供給される。なお、この状態では、ハイクラッチC
H は、ローハイコントロールバルブ76のポートgから
ドレーンポートExに連通されて解放状態にあり、また
プライマリ側の第2油圧室57は、ローハイコントロー
ルバルブ76のポートm及びl、そしてマニュアルバル
ブ75のポートf及びe、ダウンシフトリリーフバルブ
73のポートsを介してドレーンポートExに連通して
いる。なお、該アップシフトによりCVT11が前記所
定プーリ比Bを越えない範囲では、前記インターロック
ロッド82によりローハイコントロールクラッチ76が
切換えられることを機械的に規制されている。
【0042】これにより、ロークラッチCL が接続する
と共に、CVT11は、第1及び第2の油圧室56,5
9の両方に油圧が作用するセカンダリ側油圧サーボ9c
による軸力が、第1の油圧室55のみに油圧が作用する
プライマリ側油圧サーボ7cによる軸力より高くなると
ともに軸力が徐々に増加され、プーリ比が増加される。
このとき、プライマリプーリ7の可動シーブ7bは、U
/D側に移動する。この状態では、入力軸3からローク
ラッチCL 及び定速伝達装置16を介してプラネタリギ
ヤ19のキャリヤ19cに伝達されるエンジントルク
は、サンギヤ19sを介して前記所定プーリ比によるC
VT11にて規制されつつ、リングギヤ19rを介して
出力ギヤ21から取出される。
【0043】Dレンジ−ローモードにおけるダウンシフ
トについては、前記所定プーリ比B以下の領域では、セ
ンサシュー81を介してレシオセンシングバルブ80
が、図6に示す状態にあり、プライマリレギュレータバ
ルブ79の出力ポートvからの油圧が、このレシオセン
シングバルブ80によって停止され、これにより、ダウ
ンシフトに必要なプライマリ側の第2の油圧室57への
油圧の供給が不能となる。なお、この場合においても、
レシオコントロールバルブ72のポートqをドレーンポ
ートExに連通させることで、セカンダリ側の第2の油
圧室59の油圧をドレーンすることができるので、ニュ
ートラル状態までのダウンシフトは可能である。一方、
前記所定プーリ比B以上の領域においては、レシオセン
シングバルブ80等によって、ダウンシフトが可能とな
る。即ち、該所定プーリ比B以上では、プライマリプー
リ7の可動プーリ7bがU/D側に移動し、センサシュ
ー81を介してレシオセンシングバルブ80が同図中の
下方に移動する。従って、プライマリレギュレータバル
ブ71からの油圧は、レシオセンシングバルブ80のポ
ートtとuが連通されることに伴い、更にチェックバル
ブ85を介して、ダウンシフトリリーフバルブ73に導
かれる。そこで、ダウンシフトリリーフバルブ73を同
図中、上方に移動させてポートrとsとを連通させるこ
とにより、マニュアルバルブ75のポートe及びf、ロ
ーハイコントロールバルブ76のポートl及びmを介し
て、プライマリ側の第2の油圧室57に対する油圧の供
給が可能となる。 (2) Dレンジ−ハイモード プライマリ及びセカンダリ側の両第1の油圧室55,5
6に等しい油圧が供給され、ハイクラッチCH が接続さ
れ、更に、アップシフトにおいてはプライマリ側の第2
の油圧室57に油圧が供給され、また、ダウンシフトに
おいてはセカンダリ側の第2の油圧室59に油圧が供給
される。即ち、Dレンジ−ハイモードにおけるアップシ
フトにあっては、マニュアルバルブ75は先のローモー
ドと同じDレンジポジションにあるが、ローハイコント
ロールバルブ76は、ハイモードポジションに切換えら
れ、ポートhとg,jとm,lとkがそれぞれ連通し、
かつポートiがドレーンポートExに連通する。
【0044】従って、プライマリレギュレータバルブ7
1の出力ポートvからの出力油圧は、マニュアルバルブ
75のポートa及びb、ローハイコントロールバルブ7
6のポートh及びgを介してハイクラッチ用油圧サーボ
に供給されて、該クラッチCH を係合し、またレシオコ
ントロールバルブ72のポートp及びq、マニュアルバ
ルブ75のポートc及びd、ローハイコントロールバル
ブ76のポートj及びmを介してプライマリ側の第2の
油圧室57に供給される。なお、この状態では、ローク
ラッチ用油圧サーボCL は、ローハイコントロールバル
ブ76のポートiからドレーンポートExに連通されて
解放状態にあり、またセカンダリ側の第2の油圧室59
は、ローハイコントロールバルブ76のポートk及び
l、マニュアルバルブ75のポートf及びe、ダウンシ
フトリリーフバルブ73のポートsを介してドレーンポ
ートExに連通している。
【0045】これにより、ハイクラッチCH が接続する
と共に、CVT11は、第1及び第2の油圧室55,5
7に油圧が供給されているプライマリ側油圧サーボ7c
による軸力が、第1の油圧室56のみに供給されている
セカンダリ側油圧サーボ9cによる軸力により大きくな
り、プライマリプーリ7からセカンダリプーリ9へのト
ルク伝達に対応した軸力状態で、前記レシオコントロー
ルバルブ75を適宜調整することにより、プライマリ油
圧サーボ7cの第2の油圧室57の油圧が調整されて、
プライマリプーリ7の軸力が調節されて、適宜のプーリ
比(トルク比)が得られる。この状態では、エンジンか
ら入力軸3に伝達されたトルクは、プライマリプーリ7
からセカンダリプーリ9に伝達されるCVT11により
適宜変更され、更にハイクラッチCH を介して出力ギヤ
21から取出される。
【0046】また、上述のDレンジ−ハイモードにあっ
ては、CVT11が前記所定プーリ比Bより小さい(O
/D側)領域にある場合、ローハイコントロールバルブ
76がローモードに切換えられることが、インターロッ
クロッド82により機械的に禁止されている。また、C
VTのプーリ比が前記所定プーリ比B以下の場合におい
ても、前述のDレンジ−ローモードの場合と異なり、ダ
ウンシフトが禁止されることはない。即ち、Dレンジ−
ハイモードでも、プライマリレギュレータバルブ71の
出力ポートvからの油圧は、図6の状態にあるレシオセ
ンシングバルブ80によって停止されるため、この油圧
がダウンシフトリリーフバルブ73、マニュアルバルブ
75、ローハイコントロールバルブ76を介してセカン
ダリ側の第2の油圧室59に供給されることはない。し
かし、これに代えて、ハイクラッチCH からの油圧が、
チェックバルブ85、ダウンシフトリリーフバルブ73
のポートr及びs、マニュアルバルブ75のポートe及
びf、ローハイコントロールバルブ76のポートl及び
kを介して、セカンダリ側の第2の油圧室59の供給さ
れる。これにより、Dレンジ−ハイモードにあっては、
プーリ比の全領域でダウンシフトが可能となる。 (3) Rレンジ Rレンジにあっては、所定油圧が、プライマリ側油圧サ
ーボ7cの第1及び第2の油圧室55,57に供給され
ると共に、セカンダリ側油圧サーボ9cの第1の油圧室
56に供給され、かつロークラッチ用油圧サーボCL
供給される。即ち、該Rレンジにあっては、マニュアル
バルブ75はRレンジポジションにあり、かつローハイ
コントロールバルブ76はローモードポジションにあ
る。従って、プライマリレギュレータバルブ71の出力
ポートvからの油圧は、マニュアルバルブ75のポート
a及びb、ローハイコントロールバルブ76のポートh
及びiを介してロークラッチ用油圧サーボCL に供給さ
れ、またレシオコントロールバルブ72のポートpと
q、マニュアルバルブ75のポートc及びf、ローハイ
コントロールバルブ76のポートl及びmを介してプラ
イマリ側の第2の油圧室57に供給される。また、ダウ
ンシフトリリーフバルブ73のポートsがドレーンバル
ブExに連通される。
【0047】これにより、ロークラッチCL が接続する
と共に、CVT11は、第1及び第2の油圧室55,5
7に油圧が作用するプライマリ側油圧サーボ7cによる
軸力が、第1の油圧室56のみによるセカンダリ側油圧
室9cによるセカンダリ側に比して高くなり、プライマ
リプーリ7からセカンダリプーリ9にトルク伝達に対応
する軸力状態となり、かつレシオコントロールバルブ5
7の調整により、プライマリ油圧サーボ7cの第2の油
圧室57の油圧が調整され、適宜のプーリ比が得られ
る。この状態では、CVT11のプーリ比が所定増速
(O/D)状態にあって、入力軸3からのエンジントル
クは、ロークラッチCL 及び定速伝達装置16を介して
プラネタリギヤ19のキャリヤ19cに伝達されると共
に、プライマリプーリ7からセカンダリプーリ9へトル
ク伝達されるCVT11を介してサンギヤ19sに伝達
され、これら両トルクがプラネタリギヤ19で合成され
てリングギヤ19rを介して出力軸5に逆回転として取
出される。なお、該Rレンジにおいても、Dレンジ−ロ
ーモードの所定プーリ比B以下の場合と同様に、センサ
シュー81、レシオセンシングバルブ80によって、ダ
ウンシフトリリーフバルブ73に対する油圧の供給が禁
止されるため、ダウンシフトが禁止されるが、Rレンジ
においては、元来、エンジンブレーキを特に必要とする
ものではないので、ダウンシフトが禁止された場合で
も、何等不都合は生じない。 (4) N,Pレンジ マニュアルバルブ75のPレンジポジション及びNレン
ジポジションにあっては、ロークラッチCL 及びハイク
ラッチCH の両方が解放されると共に、プライマリ側及
びセカンダリ側の両油圧サーボ7c,9cの第1の油圧
室55,56に所定油圧が供給される。即ち、マニュア
ルバルブ75は、ポートcとd,eとfが連通し、かつ
ポートbがドレーンポートExに連通する。また、ロー
ハイコントロールバルブ76は前述したローモードポジ
ションに保持される。また、レシオコントロールバルブ
72のポートqはドレーンポートExに連通し、レシオ
センシングバルブ80は、図6の位置に保持される。従
って、プライマリ油圧サーボ7c及びセカンダリ油圧サ
ーボ9cは、共に第1の油圧室55,56にのみ同じ油
圧が作用して、プライマリ及びセカンダリ両プーリ7,
9は、略々等しい軸力が作用する。
【0048】なお、本油圧制御機構は、特願平7−32
7663号(出願時未公開)に詳しく説明してある。
【0049】ついで、本実施例の無段変速機の制御につ
いて説明する。
【0050】図7は、電子制御部(ECU)90のブロ
ック図であり、91は、無段変速機1に設置され、該変
速機の入力軸2の回転数を検出するセンサ、92は、C
VT11のセカンダリプーリ9の回転を検出するセン
サ、93は、無段変速機の出力軸5の回転を検出する車
速センサ、94は、無段変速機のシフトレバー即ちマニ
ュアルバルブがP,R,N,Dの各シフトポジションの
どこに位置しているかを検知するセンサ、95は、最大
動力特性に基づくパワーモード又は最良燃費特性に基づ
くエコノミーモードを選択するモードセレクトスイッ
チ、96は、アクセル(スロットル)ペダルに基づくス
ロットル開度を検出するセンサ、97は、エンジンに設
置されたポテンショメータからなり、実際のスロットル
の開放度を検出するセンサ、98は、ブレーキペダルが
踏込み位置にあることを検出するスイッチ、99は、ア
クセルペダルから足が離れて、スロットルがアイドル状
態であることを検出するセンサ、100は、アクセルペ
ダルが一杯に踏込まれた状態を検知するキックダウンス
イッチ、101は、トランスミッションの油温センサ、
102は、エンジン回転数を検出するセンサである。
【0051】上記各センサからの信号は、それぞれ入力
処理回路及び入力インターフェイス回路を介してCP
U、ROM又はRAMに取込まれる。そして、該CPU
等からなる制御部には、インプット回転センサ91及び
セカンダリ軸回転センサ92の信号に基づき算定される
CVT11のプーリ比、及びアクセルペダル(アクセル
操作手段)の踏量によるスロットル開度センサ96から
の信号に基づき、電子スロットル開度信号を電子スロッ
トルシステム109に出力する電子スロットル制御手段
Qと、該電子スロットル制御手段Qによる出力トルクに
応じて、CVT11に、ニュートラル位置から所定量ず
れるような付勢力が作用するように、油圧アクチュエー
タ7c,9cに所定圧力差ΔPを作用するエンジン負荷
制御手段Rとが備えられている。上記電子スロットル制
御手段は、後述する出力ギヤの回転が0となるニュート
ラル位置からの発進時において、エンジンの出力トルク
が、ベルト式無段変速装置11のプーリ比に応じて設定
される制限トルク内となるスロットル開度内で、該エン
ジンの回転数が、該エンジンを人為操作するアクセルペ
ダル(操作手段)の操作量に応じた目標回転数になるよ
うに、スロットル開度を制御する。また、上記電子スロ
ットル制御手段Rは、上記油圧アクチュエータ7c,9
cに所定圧力差ΔPを付与して、エンジン回転数が目標
回転数になるようにエンジン負荷を制御する。
【0052】一方、出力側において、76cは、ローモ
ード及びハイモードに切換えるためのローハイコントロ
ールバルブ76用のソレノイドであり、ON−OFF動
作される。73aは、高圧側回路をドレーンするための
ダウンシフトリリーフバルブ73用のソレノイドであっ
て、エンジンブレーキ時や後述するニュートラル(N)
制御時に作動されるものであり、デューティ又はリニア
ソレノイドからなる。72aは、変速制御用油圧を調圧
するためのレシオコントロールバルブ72用のソレノイ
ドであり、デューティ又はリニアソレノイドからなる。
77aは、ロークラッチリリーフバルブ77用のソレノ
イドバルブであって、デューティソレノイドからなる。
71aは、ライン圧を制御するためのプライマリレギュ
レータバルブ71用のソレノイドであり、リニアソレノ
イドからなる。そして、上記各ソレノイドは、それぞれ
出力インターフェイス回路からの信号に基づき、所定の
電圧又は出力を発生させるソレノイド駆動回路106を
介して駆動され、かつ各ソレノイドの作動は、モニタ回
路107によりチェックされ、フェールが判定されると
共に自己判断が行なわれる。
【0053】109は、エンジン制御用の電子スロット
ルシステム部であり、かつ110は、電子スロットル用
ステッピングモータの駆動信号を出力したり、フィード
バック情報を入力するための処理回路である。112
は、インジケータランプ等からなり、本電子制御部90
のフェール時に自己診断結果を出力するチェッカー部材
であり、かつ113は、上記フェール時に自己診断結果
を出力するための回路である。115は、パワーモー
ド、エコノミモード表示ランプ等の無段変速機の状態を
表示する表示装置であり、かつ116はそのための駆動
回路である。そして、本無段変速機1は、エンジン出力
軸2からダンパー装置12のみを介して直接入力軸3に
伝達されており、従来必要であった発進装置、即ちトル
クコンバータ、流体継手、電磁粉クラッチ又は入力クラ
ッチを必要としない。従って、D及びRレンジにおい
て、車輌停止時、該無段変速機1が自動的にニュートラ
ルとなる(ニュートラル)N制御が必要となる。
【0054】該N制御は、前記判断手段がニュートラル
状態を要求しているとの判断に基づき作動する前記ニュ
ートラル制御手段Nにより作動され、プライマリプーリ
7及びセカンダリプーリ9の軸力が実質的に等しくなる
ように制御する。即ち、少なくともプライマリ及びセカ
ンダリプーリの軸力の差を、出力トルク方向が正の場合
その時点でのCVTの入力トルク及びプーリ比から決定
される前記両プーリの軸力の差より、その大小関係を逆
転させない範囲で小さい値か、又は出力トルク方向が負
の場合のその時点でのCVTの入力トルク及びプーリ比
から決定されるプライマリ及びセカンダリプーリの軸力
の差より、その大小関係を逆転させない範囲で小さい値
になるように制御する。具体的には、プライマリ及びセ
カンダリの両油圧アクチュエータ7c,9cにおける両
第1油圧室55,56に油圧を供給した状態で、両第2
油圧室57,59の油圧を解放し、両プーリ7,9の軸
力を等しくする。
【0055】なお、該N制御、即ちプライマリ側及びセ
カンダリ側の両油圧アクチュエータ7c,9cの軸力の
差を所定範囲以内にすることにより、CVT11がニュ
ートラル状態となるように自己収束する制御について
は、特願平7−66234号又は特願平7−12870
1号に詳細に述べられている。
【0056】上記先願にあっては、コースト時における
負トルク状態によりCVTがU/D(減速)方向に変速
して、そしてエンジン回転数がアイドル回転数より低く
なると、正トルク状態となってCVTがO/D(増速)
方向に変速することを車速に応じて繰返し、ギヤニュー
トラル(GN)点にCVT11が自己収束し、該ニュー
トラル点において、車輌停止状態に安定保持される旨を
説明している。上記正トルク状態及び負トルク状態にお
けるプライマリプーリ及びセカンダリプーリの軸力の差
に基づき、両軸力を実質的に(所定範囲内で)等しくす
ることによりCVT11はGN点に安定保持されるが、
上記N制御時における該GN点への自己収束は、上記負
トルク及び正トルクの切換えによっては収束速度が遅
く、本実施の形態では、上記N制御において、常に正ト
ルク状態になるように、エンジントルクを制御する。
【0057】該入力(エンジン)トルク制御に基づくN
制御時の自己収束の原理ついて説明する。Vベルトの軸
力を示す式(バランス式)に下記式1に示す小笠原の式
がある。
【0058】
【式1】 ここで、FDVは駆動側プーリ(セカンダリプーリ)の軸
力、FDNは従動側プーリ(プライマリプーリ)の軸力、
φ1 は駆動側プーリベルト巻掛け角、φ2 は従動側プー
リベルト巻掛け角、r1 は駆動側プーリ有効半径、r2
は従動側プーリ有効半径、Tinは入力(エンジン)トル
ク。
【0059】上記式1を簡略化してまとめると、式2に
なる。
【0060】
【式2】 ここで、f(Ip )は、プーリ比(r2 /r1 )により
変化する関数。
【0061】即ち、従動側軸力FDNにバランスする駆動
側軸力FDVは、入力トルクTinが大きくなればより大き
な力を必要とすることになる。ここで、上記N制御によ
り両軸力を実質的に等しくした場合、軸力の関係は、下
記式3になる。
【0062】
【式3】 ここで、式3におけるバランス値(理論値)は、φ1
φ2 なる関係にあって、FDV≒FDNとなるように制御す
ると、駆動側(セカンダリ)プーリの軸力が余剰にな
り、この軸力差ΔFDVが駆動側プーリを閉じてCVTが
O/D方向になるように収束する。即ち、上記軸力の実
行値とバランス値(理論値)との差ΔFDV[ΔFDV=F
DV(実行値)−FDV(バランス値)]でGN点へ収束
し、この荷重差(ΔFDV)は、式3からも明らかなよう
に、入力トルク(Tin)が大きくなれば、より大きな荷
重となる。
【0063】上記小笠原の式1に基づく、入力トルクT
in(=TE ;エンジン出力トルク)とGN点への収束力
ΔFとの関係を図8に示す。該図8から、CVTの各プ
ーリ比(1.3,1.0,0.8,GN)において入力
トルクTinが増加すれば、収束力ΔFが増加することが
明らかであり、かつ該収束力の増加により収束速度が速
くなる。
【0064】入力トルク即ちエンジントルクを制御する
(スロットル開度をを固定した場合)ことによるN制御
の収束メカニズムについて図9に沿って説明する。アク
セルペダルを離し、或いは更にブレーキペダルを踏んだ
車輌減速状態において、車速が所定速度以下になるとN
制御が開始される、該N制御によりエンジンの出力トル
ク(CVTの入力トルク)がアップされ、上述したよう
にCVTのプーリ比がGN点へ向って速い速度で自己収
束し、従ってエンジン回転数が増加し、これに伴いエン
ジントルクが徐々に低下する(開始→A)。
【0065】すると、エンジントルクの低下により収束
速度が遅くなり、これによりエンジン回転数の上昇も抑
制される。一方、車輌の減速は続いているので、上記C
VTの収束が車輌の減速に追従できなくなったところで
エンジン回転数は下降する(A→B)。エンジン回転数
が下降すれば、エンジントルクが上昇するので、上述し
たように収束速度が再び速くなり、車輌の減速に追従で
きるようになる(B以降)。以降、これを繰返してCV
Tのプーリ比がGN点に収束し、車輌は停止される。
【0066】ついで、上述したCVTのGN点にてニュ
ートラル状態となる自動無段変速機(IVT)1のクリ
ープトルクの発生の原理について、図10に沿って説明
する。従来のプラネタリギヤ等の多段変速機構を有する
自動変速機(A/T)は、エンジン出力軸と多段変速機
構入力軸との間にトルクコンバータ(発進装置)を備え
ており、該トルクコンバータが、多段変速機構入力軸を
停止した状態においてエンジン回転数に応じて増加した
トルクを該入力軸に付与し(ストールトルク)、車輌を
滑らかに発進する。上記自動無段変速機1は、N制御に
より自動的にニュートラル位置に保持され、該ニュート
ラル状態において上記トルクコンバータと同様な前進方
向のトルク(クリープトルク)を発生する。
【0067】前述したように、CVTが前進域から又は
後進域からGN点に自己収束する力FN が発生してお
り、該GN点への達成によりCVTは無負荷或いは限り
なく無負荷に近い状態になる。一方、CVT11自体
は、プライマリ及びセカンダリプーリがベルト張力によ
り拮抗した状態、即ちプーリ比が1.0になる状態が安
定状態であり、該プーリ比1.0に向って力FA が発生
する。従って、前記CVTがGN点になって自動無段変
速機(IVT)1が無負荷状態になると同時に、該CV
T自体の安定収束点であるプーリ比1.0の点へ向う力
A が発生する。該無負荷状態でのプーリ比1.0に向
う力FA と、該力FA によりCVTがGN点から外れる
ことによる負荷状態でのGN点に向う力FN が、拡大モ
デル図に示すように渦状態となり、これにより前進クリ
ープトルクが発生する。
【0068】上記プーリ比1.0に向う力FA と対抗す
るように、プライマリ及びセカンダリプーリ側の第1の
油圧室55,56に面積差を設ける等によりCVTにO
/D方向の軸力FO を付与すると、前記力FA は打消さ
れて前進クリープトルクは消失する。前記軸力FA 及び
O は、入力トルクや伝達効率の影響を受けることがな
く、N制御時におけるプライマリ及びセカンダリプーリ
の軸力を、前記等しい値から予め所定量バイアスして、
任意のクリープトルクを得ることができる。
【0069】図11は、前記プライマリ及びセカンダリ
プーリの軸力差(上段)及び供給油圧差(下段)と、ク
リープトルクとの関係を示す図であり、横軸の上段はプ
ライマリプーリに対するセカンダリプーリの軸力差を示
し、縦軸において、上方が前進方向、下方が後進方向の
トルク増幅比を示す。図1に示すように、プライマリ及
びセカンダリの両プーリ7,9における第1の油圧室5
5,56の有効受圧面積が等しい場合(AP =AS )、
両プーリに対する軸力差が0となって、前進方向に所定
トルク増幅比のクリープトルクを発生する。横軸の下段
は、プライマリ側及びセカンダリ側油圧アクチュエータ
の有効受圧面積に差を設け(AP >AS)、両油圧アク
チュエータに等しい油圧を供給すると、クリープトルク
が略々0となるように設定した自動無段変速機におい
て、プライマリ側油圧アクチュエータの供給油圧に対す
るセカンダリ側油圧アクチュエータへの供給油圧の差を
示す。このものにおいて、自動変速機1が前進状態とな
ることを保障し、かつ、従来のトルクコンバータに近似
したトルクによる前進方向のクリープトルクを設定する
場合、セカンダリ側の油圧室にプライマリ側より高い差
圧PC が供給される。該前進保障圧油圧範囲では、N制
御時にあっても所定前進クリープトルクが発生し、ブレ
ーキを離せば車輌は前進方向にクリープする。
【0070】また、両プーリの油圧室に面積差を設けて
(AP >AS )、前記FA =FO に設定すると、クリー
プトルクは0となる。ただし、実際の制御においては、
設定される油圧に誤差が存在し、該誤差範囲では運転者
が前進状態を意識しても後進方向にトルクが発生する場
合も生じるので、セカンダリ側に僅かな差圧を供給して
車輌が実際に前進しない範囲(車輌を移動するための必
要トルク以下)での前進側に範囲Pmin を設定する。該
min の範囲では、N制御にあっては、ブレーキペダル
を離しても車輌は停止状態を維持する。
【0071】更に、プライマリプーリの油圧室にセカン
ダリ側より高い油圧を供給すると、自動無段変速機が後
進状態となることを保障した油圧誤差の範囲となる。該
後進保障圧油圧範囲では、N制御状態にあっても後進ク
リープトルクが発生し、ブレーキペダルを離せば車輌は
後進方向にクリープする。
【0072】ついで、図12に沿って、前記プライマリ
及びセカンダリの両プーリにおける第1の油圧室に等し
い油圧を供給した際にクリープトルクが略々0となるよ
うにした実施の形態について説明する。図12において
プライマリプーリ側油圧アクチュエータ7cは、図1の
ものと同様であるが、セカンダリプーリ側の油圧アクチ
ュエータ9dが僅かに相違している。該セカンダリプー
リ側油圧アクチュエータ9dの第2の油圧室59の有効
受圧面積はプライマリ側の第2の油圧室57と同じであ
るが、第1の油圧室56の有効受圧面積(AS )が、プ
ライマリ側の第1の油圧室55の面積(AP )より所定
量小さく設定されている(AP >AS )。従って、プラ
イマリ及びセカンダリ側の両第2の油圧室57,59の
油圧が解放され、両第1の油圧室55,56に同じ所定
油圧が供給されるN制御において、プライマリプーリ7
の軸力FP に対してセカンダリプーリ9の軸力FS が所
定量小さくなる。この両プーリの軸力の差(FP −F
S )が、前記プーリ比1.0に向う力FA に対抗する前
記力FO になり、これにより前進方向のクリープトルク
が打消される。この状態では、N制御にあっては、実質
的にクリープトルクは0となり、ブレーキを離しても、
車輌は停止状態に保持される。
【0073】更に、図13及び図14に沿って、一部変
更した無段変速機及び油圧制御機構について説明する。
本無段変速機1は、油圧アクチュエータが相違している
以外、先の実施の形態と同じであるので、同一部分は同
一符号を付して説明を省略する。
【0074】プライマリ及びセカンダリ側プーリ7,9
における固定シーブ7a,9aのボス部の端にはそれぞ
れフランジ部材120,121が固定されており、かつ
可動シーブ7b,9bの背面にはドラム部材122,1
23が固定されている。これら可動シーブ7b,9bの
背面及びフランジ部材120,121との間にそれぞれ
油圧室125,126が形成されて、プライマリ側及び
セカンダリ側にそれぞれシングルチャンバータイプの油
圧アクチュエータ7e,9eが構成される。前記油圧室
125,126にはそれぞれ油路127,129を介し
て油圧が供給されると共に、プリロード用のスプリング
130,131が縮設されている。
【0075】上記プライマリ及びセカンダリ側の油圧ア
クチュエータ7e,9eは、プライマリ側の油圧室12
5の有効受圧面積AP がセカンダリ側の油圧室126の
有効受圧面積AS より所定量大きく設定されており(A
P >AS )、両油圧室125,126に等しい油圧が供
給されると、クリープトルクが略々0となるように設定
されている。
【0076】図14は、上記シングルチャンバーからな
る油圧アクチュエータ7e,9eに適用される油圧制御
機構を示すものであって、レギュレータバルブが2個あ
る点で図6に示すものと相違する。本油圧制御機構は、
ハイレギュレータバルブ711 と、ローレギュレータバ
ルブ712 を有している。
【0077】Dレンジローモードにあっては、ハイレギ
ュレータバルブ711 により調圧された油圧は、クラッ
チモジュレーションバルブ79、マニュアルバルブ75
のポートa,b、ローハイコントロールバルブ76のポ
ートh,i及びロークラッチリリーフバルブ77を介し
てロークラッチ用油圧サーボCL に供給されると共に、
レシオコントロールバルブ72により調圧されて、該調
圧油圧がマニュアルバルブ75のポートc,d、ローハ
イコントロールバルブ76のポートj,kを介してセカ
ンダリ側油圧室126に供給される。一方、ローレギュ
レータバルブ712 からの油圧は、マニュアルバルブ7
5のポートe,f、ローハイコントロールバルブ76の
ポートl ,mを介してプライマリ側油圧室125に供給
される。
【0078】これにより、ローレギュレータバルブ71
2 に基づく低圧からなる一定圧がプライマリ側油圧室1
25に供給した状態で、ハイレギュレータバルブ711
に基づく高圧がセカンダリ側油圧室126に供給され、
かつ該高圧がレシオコントロールバルブ72により適宜
調圧されることにより、CVT11が変速される。
【0079】そして、N制御にあっては、レシオコント
ロールバルブ72がダウンに切換わり、ローレギュレー
タバルブ712 からの一定低圧が、レシオセンシングバ
ルブ80、ダウンシフトバルブ73、レシオコントロー
ルバルブ72のポートx,y、マニュアルバルブ75の
ポートc,d、ローハイコントロールバルブ76のポー
トj,kを介してセカンダリ側油圧サーボ126に供給
される。
【0080】これにより、プライマリ側油圧室125と
セカンダリ側油圧室126には、ローレギュレータバル
ブ712 からの等しい油圧が作用し、これら両油圧室の
面積差(AP >AS )に基づきクリープトルクが略々0
となる。
【0081】また、Dレンジハイモードにあっては、ロ
ーハイコントロールバルブ76が切換えられ、クラッチ
モジュレータバルブ79からの油圧がハイクラッチ用油
圧サーボCH に供給され、かつローレギュレータバルブ
712 からの一定低圧がセカンダリ側油圧室126に供
給されると共に、ハイレギュレータバルブ711 からの
高圧がプライマリ側油圧室125に供給され、かつ該高
圧がレシオコントロールバルブ72にて適宜調圧され
る。
【0082】なお、上記図13に示す油圧アクチュエー
タは、図12に示すものと同様に、両油圧室に面積差を
設けて、クリープトルクが略々0になるように設定した
が、両油圧室に面積差を設けずに、図1に示すものと同
様に、等しい油圧を両油圧室に供給することにより、前
進方向のクリープトルクを発生するように設定してもよ
いことは勿論である。
【0083】ついで、図15に示すメインフローチャー
トに沿って、本実施の形態の制御について説明する。
【0084】S1は、プログラム開始にあたり、すべて
の条件を初期設定するステップであり、S2は、T/M
インプット(プライマリ軸)回転センサ91、セカンダ
リ軸回転センサ92、車速センサ93の信号により、現
在のT/M入力軸(プライマリ軸)、セカンダリ軸、出
力軸回転数を算出するステップであり、S3は、入力
軸、セカンダリ軸回転数から、プーリ比IP (プライマ
リ軸回転数/セカンダリ軸回転数)を計算するステップ
である。また、S4は、ドライバーのスロットル開度セ
ンサ96の信号より、現在のドライバーのスロットル開
度(θd)を算出するステップであり、S5は、T/M
温度センサ101の信号より、現在のトランスミッショ
ンの油温(ATF油温)を算出するステップである。そ
して、S6は、Lo−Hiモード切換用ソレノイド76
cの信号により、現在の無段変速機の状態がローモード
であるかどうか判断するステップであり、S7は、ロー
モード時の目標スロットル開度(θ* )を算出するステ
ップであり、S8は、車速センサ93による現在の車速
Vと所定最低車速Vmin とを比較して、車輌が停止状態
であるかどうか判定するステップである。
【0085】そして、S9は、現在のプーリ比が前記図
4に示すプーリ比B(例えば1.3)、即ちコースト状
態において、伝達効率によるスムーズなトルク伝達の阻
害及び大きなギヤ比による大きなエンジンブレーキの作
用(コースト状態による伝動不具合)が生ずる虞れがあ
るプーリ比未満であるかどうか判定するステップであ
り、S10は、エンジンスロットル開度センサ97及び
エンジン回転数センサ102の信号に基づくマップから
求められるエンジン推定トルク値Teが、設定値Te
min 未満であるかどうかを判断するステップであり、S
11は、エンジンが負駆動(コースト)されないように
するための後述するコースト回避制御サブルーチンであ
る。
【0086】また、S12は、前述したローモード時の
変速制御を行うステップである。ただし後述するステッ
プS11−4で定まる強制オフアップフラグがONされ
ている場合、変速速度は最大としてアップシフトさせ
る。S13は、油圧制御用ソレノイド71aに圧信号を
出力して、計算されたライン圧をリニアソレノイド圧に
より制御するステップであり、S14は、レシオ制御用
ソレノイド77aに信号を出力して、変速するための変
速圧をソレノイド圧により制御するステップであり、S
15は、Lo−Hiモード切換え用ソレノイド76cに
信号を出力して、ローモードとハイモードのクラッチ切
換をソレノイドにより制御するステップであり、S16
は、電子スロットルシステム109に信号を出力して、
目標スロットル開度信号を出力し、電子スロットルの開
度制御を行うステップである。
【0087】また、S17は、後述する停止時からの発
進制御サブルーチンであり、S18は、ハイモード時の
目標スロットル開度θ* を算出するステップであり、S
19は、前述したハイモード時の変速制御を行うステッ
プである。
【0088】ついで、図16に示すフローチャート及び
図17、図18、図19に示すタイムチャートに沿っ
て、本発明の特徴部分である前記コースト回避制御につ
いて説明する。即ち、車速Vが最低速Vmin より高く、
所定走行状態にあり、かつプーリ比IP がコースト状態
による伝動不具合を生ずる可能性のある所定領域内にあ
り(IP <B)、そしてアクセルオフでエンジントルク
Teが所定最低エンジントルクTemin より小さい場
合、該コースト回避制御が作動する。まず、現在のエン
ジン回転数から、図20に示すマップにより電子スロッ
トルシステム109による目標スロットル開度θ* を算
出し、前記ステップS7により設定された目標スロット
ル開度に対して再設定する(S11−1)。そして、ブ
レーキスイッチ98により、ブレーキが作動されている
か判断する。
【0089】ブレーキオンの場合、前述したN制御が作
動する(S11−5)。図17は、ブレーキオン時の変
速及びエンジン制御のタイムチャートである。まず、C
VT11がGN点(例えば0.692)にあってエンジ
ンがアイドリング状態にある車輌停止状態において、ス
ロットルペダルを踏むと、後述する発進制御が行なわ
れ、電子スロットルシステム109によりエンジンスロ
ットル開度が制御されてエンジン出力トルクが増加し、
これにより前述した前進方向のクリープトルクが発生し
て車輌が前進すると共に、CVT11がU/D方向に変
速して加速する。そして、渋滞等によりプーリ比が所定
範囲内(IP <B)にてアクセルペダルを離し、かつブ
レーキペダルを踏むとニュートラル(N)制御開始状態
となる。
【0090】該N制御では、図1及び図12に示すセカ
ンダリ側第2の油圧室59の油圧が解放され、また図1
3に示すセカンダリ側油圧室126にローレギュレータ
バルブ712 からの低圧が供給されて、両プーリ7,9
に同じ油圧が供給される。同時に、電子スロットルシス
テムによりエンジンスロットル開度θ* が制御され、エ
ンジンが所定の低トルクTE min を出力して、CVT1
1に該トルクが入力される。これにより、前述したよう
に、CVT11は、比較的速い速度でGN点に向って収
束する。
【0091】この際、インプット回転センサ91により
入力軸の回転数が検知され、電子制御システムによりス
ロットル開度θ* が、前記図20に示すマップに基づい
て制御される。即ち、車輪からエンジン方向にトルクが
伝達されるコースト状態とならないように、かつ前記N
制御の収束力が負の値とならないように、所定エンジン
トルクが出力するように制御される。
【0092】そして、車速の低下に対応して、CVT1
1がO/D(ダウンシフト)方向へ変速することによ
り、スロットル開度θ* も徐々に低下し、エンジン回転
数が一定の低トルクTE min を出力する設定エンジン回
転数Neになると、スロットル開度θ* は、該設定回転
数NE 及び所定トルクTE min となる位置に保持される
(θ* 一定)。該所定トルクTE min が保持された状態
で、CVT11はGN点に向って自動的に収束し、該G
N点に至った状態で車輌が停止する。
【0093】ついで、ブレーキペダルが踏まれていない
オフ状態にある場合、N制御(S11−5)にてセット
されたN制御中フラグがリセットされ(S11−3)、
そして強制オフアップフラグがオンされる(S11−
4)。この状態を、図18、図19示すタイムチャート
に沿って説明する。なお、アクセルオフまでの発進制御
にあっては、後述すると共に前記図17と同様なのでこ
こでの説明を省略する。
【0094】図18に示すように、アクセルオフする
と、レシオ制御用ソレノイド72aに信号が出力され、
レシオソレノイドバルブ72は最大出力状態となり、セ
カンダリ側の第2の油圧室59(図1及び図12)又は
セカンダリ側油圧室126(図13)に供給される。こ
れにより、CVT11は、最高速にてU/D(アップシ
フト)方向に変速され、前記所定プーリ比B(伝達効率
によるスムーズなトルク伝達の阻害及び大きなギヤ比に
よる大きなエンジンブレーキの作用(コースト状態によ
る伝動不具合)が生ずる可能性のある領域)から素早く
脱出される。
【0095】この際、電子制御システムによりエンジン
スロットル開度θ* は、エンジン出力が一定トルクTE
min を出力するように、制御される。この状態では、ア
クセルオフでかつブレーキオフの状態にあって、車輌は
惰性により走行しているが、前記CVT11のアップシ
フトにより入力軸3の回転数は急速に低下し、これに合
せてスロットル開度θ* も低下する。そして、CVT1
1が前記コースト状態による伝動不具合を生ずる可能性
のあるプーリ比B以上になると、前記コースト回避制御
が解除されて、通常のローモード変速制御(Sl2)と
なり、同時にスロットル開度はアイドル状態となる。
【0096】一方、図19に示すように、ブレーキオフ
時のコースト回避制御にあって、前記CVTllの最速
アップシフトによる入力軸3の回転数低下に伴い、スロ
ットル開度が、エンジン最低回転数Nemin 、即ちそれ
以上低下するとエンジンストップする回転数(例えば6
00rpm)となると、エンジン出力トルクを一定低ト
ルクTE min 維持しつつ、前記エンジン回転数が最低回
転数Neminを保持するようにスロットル開度が一定
状態に保持される。同時に、CVTllは、ローモード
変速制御により、車輌の惰性走行に伴う減速に見合う分
アップシフト方向に徐々に変速するように制御され、そ
してCVTのプーリ比が前記コースト状態による伝動不
具合を生ずる可能性のあるプーリ比Bを越えた時点で、
スロットル開度はアイドル状態となる。
【0097】なお、上記コースト回避制御の説明は、D
レンジにあって、車輌が前進状態にある場合について説
明したが、Rレンジあって、車輌が後進状態にある場合
も、CVTllのGN点からO/D側にある所定値に、
伝達効率によるスムーズな伝達の阻害及び大きなギヤ比
による大きなエンジンブレーキの作用(コースト状態に
よる伝動不具合)を生ずる可能性のある値が存在し、該
所定値以内のプーリ比にあって、かつアクセルぺダルが
非操作あるいはエンジン出力トルクがTE min以下の場
合、同様にコースト回避制御が行なわれる。
【0098】ついで、図21のフローチャート及び図2
2のタイムチャートに沿って、ステップSl7(図1
5)の発進制御について説明する。まず、車速Vが設定
最低速Vmin を下回ったので、N制御中フラグがリセッ
トされ(Sl7−1)、そして、アイドルスイッチ99
によりスロットル開度がアイドル状態にあるか判断され
る。アイドル状態にある場合は、前記ニュートラル
(N)制御となって、更にブレーキぺダルスイッチ98
によりブレーキオンか否かが判断される(Sl7−1
0)。
【0099】図22に示すように、車輌停止時は、CV
Tllのプーリ比IP はGN点にあり、かつブレーキB
rkがON(作動)状態にあり、そしてスロットル開度θ
はアイドル状態にあって、プライマリ及びセカンダリの
両プーリに作用する油圧差ΔPは、前記車輌を移動する
ことのない最低値Pmin にあり(Sl7−11)、かつ
エンジン目標回転数Ne * は所定の最低値(アイドル回
転数)にある。この状態から、A点に示すように、ブレ
ーキペダルBrkを離してOFF(解放)状態になると、
セカンダリプーリ(駆動)側の第2の油圧室59(図1
及び図12)また油圧室126(図13)に所定油圧が
供給されて、両プーリに作用する油圧差ΔPが前述した
Pcとなり、該油圧差に基づく両プーリに作用する軸力
差により所定クリープ力が発生する(Sl7−12)。
【0100】そして、B点に示すように、運転者がアク
セル(スロットル)ペダルを踏んで、車輌発進を意図す
るが、後述するように通常の自動変速機(A/T)のト
ルクコンバータ特性と同様に、スロットルペダルの踏み
量に応じてストールトルクが高くなるような特性を現出
すべく、エンジンの所定目標回転数Nei * が設定され
(S17−3)、該目標回転数になるように、スロット
ル開度θ* が再設定される(S17−4)。この際、本
自動無段変速機1は、GN点近傍にあってはトルク循環
による大きなトルクが発生するため、ベルト等の許容ト
ルクの制限により、エンジン出力トルクを大幅に規制す
る必要がある。従って、アクセルペダル(アクセル操作
手段)の踏み量θdに対し、制御部からの電子スロット
ル制御手段Qの指令により実際のスロットル開度θ*
低開度に保持される。そして、セカンダリプーリ側の第
2の油圧室(図1及び図12図)又は油圧室126(図
13)への油圧が高められ、前記図11の右方向になる
ように両プーリの差圧ΔPをセットする(S17−
5)。
【0101】上記発進制御において、CVT11は、ギ
ヤニュートラル(GN)位置近傍にあって、図4に示す
ように無段変速装置1の出力トルクは大幅に増幅してい
るため、CVTのベルト10等の許容トルクにより規制
されて無段変速機の入力トルク即ちエンジンの出力トル
クTeは、図24に示すように、プーリ比に応じて制限
される。即ち、プーリ比IP が0.9より大きい場合
は、上記出力トルクの増幅は大きくなく上記制限を必要
としないが、発進時のGN点近傍では、大幅に制限さ
れ、電子スロットル制御手段Qによる目標スロットル開
度の最大値θ* maxは例えば2〜3%に制限される。こ
のようにして、図24に示すように、プーリ比から最大
スロットル開度θ* maxが定まる。
【0102】また、図24に示すように、運転者は、ア
クセルペダルの踏み量(操作量)により加速度等をコン
トロールするが、該アクセルペダル操作量θdが100
%である際の上記最大目標スロットル開度θ* maxに対し
て、それぞれドライバ操作スロットル開度θdの前記フ
ルスロットル(100%)に対する割合(例えば50
%、20%)に応じて各プーリ比における目標スロット
ル開度θ* が設定される。即ち、図25に示すように、
プーリ比に基づく最大目標スロットル開度θ* maxに対し
て、ドライバ操作スロットル開度θdを乗じて目標スロ
ットル開度θ* が設定される。また、設定された目標ス
ロットル開度θ* 上の最大トルクがエンジン出力トルク
Teとして決定される。
【0103】上述したようにスロットル開度が極低開度
にある場合、スロットル開度をパラメータとしたエンジ
ントルク−回転数からなるエンジン出力特性の等スロッ
トル線は右下がりとなる。即ち、スロットル開度を極低
開度で一定に保持する場合、エンジン回転数の上昇に伴
いエンジントルクが低下する傾向にある。
【0104】通常の走行状態(ローモード、ハイモー
ド)にあっては、運転者のブレーキ操作や走行抵抗の急
変等の負荷変動によりエンジン回転数が変動するため、
該当する目標スロットル開度θ* における等スロットル
線上の最大トルクを考慮する必要があるが、発進制御に
おけるストール状態では、上記走行抵抗変化等の外乱的
影響を受けることがなく、エンジンの負荷は無段変速機
の制御により決定される。従って、ドライバ操作スロッ
トル開度θdに基づく発進時(ストール時)のエンジン
目標回転数Nei * が図23に示すマップにより求められ
(S17−3)、該エンジン目標回転数Nei * と、上記
設定されたエンジン出力トルクTeとから、エンジン出
力特性のマップにより目標スロットル開度θ* が更新
(再設定S17−4)されると共に、前記決定されたエ
ンジン出力トルクTeに応じてCVTの両プーリの油圧
差圧ΔPが設定されて(S17−5)、エンジン回転数
が目標値になるようにエンジン負荷が制御される(エン
ジン負荷制御手段R)。
【0105】そして、図21に示すように、現在のエン
ジン回転数Ne が、発進制御の目標回転数Nei* に所
定値dを加算した値より大きい場合(Ne >Nei *
d)(S17−6)、セカンダリ側が大となっている前
記差圧ΔPがより大となるように制御して、CVT11
をU/D方向に付勢する(実際はGN点にある)ことに
よりエンジン負荷を増大してエンジン回転数Neを下げ
る(S17−7)。また、前記Ne >Nei * +dでない
場合、現在のエンジン回転数Neが、発進制御目標回転
数Nei * に所定値dを減算した値と比較され(S17−
8)、Ne >Nei−dの場合、即ち現在のエンジン回転
数Ne が目標回転数範囲にある場合そのまま維持され、
e <Nei−dにある場合、前記セカンダリ側が大とな
っている前記差圧ΔPが小さくなるように制御して、C
VT11をO/D方向に付勢する(実際はGN点にあ
る)ことによりエンジンの負荷を減少してエンジン回転
数Neを上げる(S17−9)。即ち、エンジン負荷制
御手段Rにより、両油圧アクチュエータの圧力差が制御
されて、エンジンの回転数が目標回転数になるように、
エンジンに作用する負荷を変更する。
【0106】電子スロットル制御手段Qによりスロット
ル開度を制御すると共に、エンジン負荷制御手段Rによ
りエンジン負荷を制御することにより、エンジン出力ト
ルクTe及びエンジン回転数Neiを任意に設定すること
ができ、アクセルペダルを踏込むと、それに応じてエン
ジン回転数が高くなり、かつ変速機の入力トルクが大き
くなるようにして、従来のトルクコンバータと同様な特
性を得ることができる。なお、エンジン出力トルク及び
エンジン回転数をそれぞれ任意に設定できるので、上記
トルクコンバータの特性に限らず、電磁クラッチ又はマ
ニュアルクラッチ等の他の発進装置の特性をも自由に設
定することができる。
【0107】上記設定されたエンジン回転数及びエンジ
ン出力特性(ストール特性)及び上記クリープトルクに
より、車輌は発進する。これにより、図22に示すよう
に、CVT11のプーリ比IP がU/D方向に僅かに変
更されて、車速が所定の低速値Vmin になると、C点に
示すように、上述した発進制御から通常変速制御に移行
され、エンジン回転数は、該通常時の目標回転数Ne *
設定される。即ち、図23に示すように、前記ストール
トルクを発生するため発進時制御にあっては、エンジン
回転数Ne はNei * に示すように各スロットル開度θd
に対して低く抑えられ、通常変速制御にあっては、最大
出力特性Nep * 又は最良燃費特性Nee *に基づきエンジ
ン回転数Ne が制御される。また、この状態でCVT1
1のプーリ比はU/D方向に変速され、車速Vは増加す
る。
【0108】そして、D点に示すように、CVTのプー
リ比がおよそ1.0になると、前述したベルト等の無段
変速機に過大なトルクが作用することを防止するための
電子スロットル制御手段によるスロットル開度θ* の制
御が解除され、運転者によるスロットルペダルの踏み量
θdに一致する。
【0109】なお、上記説明は、シフトレバーがDレン
ジにある前進方向への発進について述べているが、シフ
トレバーがRレンジに位置して後進方向に発進する場
合、プライマリプーリ側の第2の油圧室57(図1及び
図12)又は油圧室125(図13)に所定油圧が供給
され、図11における後退保障圧油圧誤差範囲となり、
同様なクリープ力が後進方向に向けて発生する。この点
を除いて、図22に示す作動と同じである。
【0110】なお、上記実施の形態は、ベルト式無段変
速装置を用いたが、これに限らず、トロイダル式等の他
の無段変速装置を用いたものにも同様に適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無段変速機を示す正面断面図。
【図2】その速度線図。
【図3】各クラッチの係合状態を示す図。
【図4】そのベルト式無段変速装置(CVT)のトルク
比に関する出力トルクの変化を示す図。
【図5】そのCVTのトルク比に関する出力回転数の変
化を示す図。
【図6】本発明に係る無段変速機に適用し得る油圧制御
機構を示す図。
【図7】その電気制御機構を示すブロック図。
【図8】各プーリ比における入力トルクと収束力との関
係を示す図。
【図9】入力トルク制御によるN制御時のGN点への収
束メカニズムを説明するための図。
【図10】クリープトルクを発生するメカニズムを説明
するための図。
【図11】クリープ時のトルク増幅比と両プーリの軸力
差及び油圧差圧の関係を示す図。
【図12】有効受圧面積を変えた無段変速機を示す正面
断面図。
【図13】他の実施の形態による無段変速機を示す正面
断面図。
【図14】その油圧制御機構を示す図。
【図15】本発明に係る無段変速機の制御を示すメイン
フローチャート。
【図16】そのコースト回避制御のサブルーチンを示す
フローチャート。
【図17】コースト回避制御のブレーキオン時のタイム
チャート。
【図18】コースト回避制御のブレーキオフ時のタイム
チャート。
【図19】コースト回避制御のブレーキオフ時の異なる
タイムチャート。
【図20】エンジン回転数に対する電子スロットル目標
開度のマップを示す図。
【図21】発進制御のサブルーチンを示すフローチャー
ト。
【図22】そのタイムチャート。
【図23】各状態における目標エンジン回転数を示す
図。
【図24】各プーリ比における入力トルク限界を示す
図。
【図25】ストール時の目標スロットル開度θ* を決定
するプロセスを示す図。
【符号の説明】
1 無段変速機 2 動力源(エンジン)出力軸(クランクシャフ
ト) 3 入力軸(第1軸) 5 車軸(第3軸、前車軸) 6 出力軸(第4軸、カウンタ軸) 7 第1の回転部材(プライマリプーリ) 7c,7e 変速操作手段(油圧アクチュエータ) 9 第2の回転部材(セカンダリプーリ) 9c,9d,9e 変速操作手段(油圧アクチュエ
ータ) 10 ベルト 16 定速伝動装置 19 (シンプル)プラネタリギヤ 19c 第1の回転要素(キャリヤ) 19s 第2の回転要素(サンギヤ) 19r 第3の回転要素(リングギヤ) 55,57,125 第1の(プライマリ)プーリの
油圧室 56,59,126 第2の(セカンダリ)プーリの
油圧室 CL クラッチ(ロークラッチ) 90 制御部 91〜102 検出手段 109 電子スロットルシステム Q 電子スロットル制御手段 R エンジン負荷制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 41/14 320 F02D 41/14 320A F16H 9/00 F16H 9/00 E 37/02 37/02 R 61/04 61/04 // F16H 59:18 59:18 (72)発明者 榊原 史郎 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 犬塚 武 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 服部 雅士 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−261303(JP,A) 特開 平10−115357(JP,A) 特開 平1−215635(JP,A) 特開 昭64−44346(JP,A) 特開 平6−249329(JP,A) 特開 平9−166215(JP,A) 特開 平6−331000(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 29/00 - 29/06 B60K 41/00 - 41/28 F16H

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの出力軸に連動する入力軸と、 車輪に連動する出力部材と、 前記入力軸に連動する第1の回転部材、第2の回転部材
    及びこれら第1及び第2の両回転部材の回転比を変更す
    る変速操作手段を有する無段変速装置と、 少なくとも第1、第2及び第3の回転要素を有し、前記
    無段変速装置の回転比の変更に基づき、前記両回転部材
    間でトルク伝達方向が変更されると共に、前記出力部材
    の出力トルク方向が変更されるように、前記第1の回転
    要素を前記入力軸に、前記第2の回転要素を前記第2の
    回転部材に、前記第3の回転要素を前記出力部材にそれ
    ぞれ連動してなるプラネタリギヤと、 を備えてなる無段変速機において、 前記出力部材の回転が0となるニュートラル位置からの
    発進時において、前記エンジンの出力トルクが、前記無
    段変速装置の回転比に応じて設定される制限トルク内と
    なるスロットル開度内で、該エンジンの回転数が、該エ
    ンジンを人為操作するアクセル操作手段の操作量に応じ
    た目標回転数になるように前記スロットル開度を制御す
    る電子スロットル制御手段と、 該電子スロットル制御手段によるエンジンの出力トルク
    に応じて、前記無段変速装置に、前記ニュートラル位置
    から所定量ずれるような付勢力が作用するように前記変
    速操作手段を制御するエンジン負荷制御手段と、を備え
    てなる、 ことを特徴とする無段変速機。
  2. 【請求項2】 前記エンジン負荷制御手段は、前記エン
    ジンの回転数が目標回転数になるように前記変速操作手
    段を制御してなる、 請求項記載の無段変速機。
  3. 【請求項3】 前記電子スロットル制御手段は、前記ア
    クセル操作手段を最大限に操作した際の該電子スロット
    ル制御手段によるスロットル開度に基づく前記制限トル
    クに対して、前記アクセル操作手段の操作量の割合に応
    じて設定された出力トルクとなるようにスロットル開度
    を制御してなる、 請求項1又は2記載の無段変速機。
  4. 【請求項4】 前記無段変速装置は、第1及び第2のプ
    ーリ、これら両プーリに巻掛けられているベルト、及び
    前記両プーリに軸力を作用する油圧アクチュエータを有
    するベルト式無段変速装置からなり、 前記エンジン負荷制御手段は、前記油圧アクチュエータ
    を操作して、前記ベルト式無段変速装置を、前記エンジ
    ンの回転数が目標回転数になるように制御してなる、 請求項記載の無段変速機。
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