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JP3492980B2 - ガラス表面のためのカーボンに基づく防汚性コーティング - Google Patents

ガラス表面のためのカーボンに基づく防汚性コーティング

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JP3492980B2
JP3492980B2 JP2000152706A JP2000152706A JP3492980B2 JP 3492980 B2 JP3492980 B2 JP 3492980B2 JP 2000152706 A JP2000152706 A JP 2000152706A JP 2000152706 A JP2000152706 A JP 2000152706A JP 3492980 B2 JP3492980 B2 JP 3492980B2
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glass
coating
water
sputtering
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  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汚れ及び水による
しみの蓄積を防ぐガラス基材等のためのコーティングを
提供する。本発明のコーティングされたガラス基材は、
絶縁ガラスユニットで使用することができ、ここでは本
発明のコーティングは1つのガラス板の外部用表面に支
持させ、このガラス板の反対側には反射性コーティング
を適用する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】窓及び
他のガラス表面を清浄に維持することは比較的費用がか
かり、また時間がかかる。いくつかの個々の窓を清浄に
することはそれほど大変なことではないが、多数の窓を
きれいに維持することはかなりの負担である。例えば、
近代的なガラス張りのオフィスビルでは、窓の外部用表
面を常にきれいにするためにはかなりの費用と時間がか
かる。
【0003】窓及び他のガラス表面は様々な様式で「汚
れる」又は「汚染される」。窓に汚れが集まる2つの主
な様式は、ガラス表面での水の作用を含む。第1に、水
自身が汚れ、又はミネラル類等をガラスの表面に集め又
は堆積させる。明らかに、ガラス上に付着した汚れた水
は、乾燥すると同伴された又は溶解した汚れをガラス上
に残す。窓の外部用表面に比較的きれいな水が付着した
場合であっても、窓に付着したそれぞれの水滴は、乾燥
する間にほこり及び他の浮遊粒子を捕らえる傾向があ
る。水に溶解したこれらの粒子及び他の化学種は、時間
と共に濃縮され、特徴的な斑点又は乾燥環をガラス表面
に残す。
【0004】窓又は他のガラス表面に汚れた又はあまり
好ましくない外観をもたらす傾向の第2の様式は、ガラ
ス表面自身に対する攻撃と関連している。比較的清浄な
水滴がガラス表面に存在する場合であっても、これはガ
ラスからアルカリ化合物を浸出させ始める。典型的なソ
ーダ−ライムガラスの場合、ソーダ及びライムがガラス
から浸出し、滴のpHが上昇する。pHが上昇すると、
ガラスの表面に対する攻撃はより激しくなる。結果とし
て、乾燥していく水滴の下側のガラスは、水滴が完全に
乾燥するまでにわずかに比較的粗くなる。加えて、ガラ
スから浸出するアルカリ化合物は、乾燥環としてガラス
表面に再び堆積する。この乾燥したアルカリ物質はガラ
スの外観を悪くするだけでなく、ガラス表面が濡れたと
きに再び溶液になり、次の水滴のpHを素早く上昇させ
てガラス表面に癒着させる傾向もある。
【0005】ガラス板を貯蔵又は輸送する場合、隣接す
るガラス板間の水の存在は長年の問題である。ガラスが
直接に水と接触しないような保護処理をすることができ
るが、湿った環境においガラスを貯蔵する場合、水は周
囲からガラス表面に凝縮することがある。
【0006】比較的多くのガラスを集める場合にこのこ
とはより大きな問題である。多くのガラスの熱量はかな
り大きく、暖めるのにはかなりの時間がかかる。結果と
して、周囲の温度が上昇したときに(例えば朝に)、こ
れらのガラスは周囲空気よりも低温となり、空気中の湿
分がガラス表面に凝縮する。空気循環が制限されている
ので、ガラス板間に凝縮した湿分は完全に乾燥させるこ
とが難しい。このことは、凝縮した湿分がガラスからア
ルカリ成分を浸出させる機会を与え、ガラス表面に好ま
しくない影響を与える。この攻撃の速度は、ガラスの表
面に酸を適用することによっていくらか低下させること
ができる。これは、ガラス板が付着しないようにし且つ
ガラス板が互いに摩擦しないようにするために使用する
分離剤中に緩酸、例えばアジピン酸を含ませることによ
って通常は行う。
【0007】比較的長い期間にわたってガラス板の外観
をきれいに維持するために、多くの試みが行われてき
た。最近の研究の1つの目的は、ガラス又は他のセラミ
ック類のための「自己清浄化」表面である。この分野で
の研究は、ある種の金属酸化物類が赤外光を吸収して、
光触媒的に生化学的な物質、例えばオイル、植物的な物
質、脂質、及びグリース等を分解する能力を持つことに
基づいている。最も強力な光触媒金属酸化物は二酸化チ
タンであると考えられるが、この光触媒効果を持つと考
えられる他の金属酸化物としては、鉄、銀、銅、タング
ステン、アルミニウム、亜鉛、ストロンチウム、パラジ
ウム、金、白金、ニッケル、及びコバルトの酸化物を挙
げることができる。
【0008】そのような光触媒コーティングは生化学的
な起源の物質を除去するのにはいくらかの利点を有する
が、他の物質への直接的な影響は明確でなく、また紫外
光への露出によって変化すると考えられる。従って、そ
のようなコーティングをされたガラス表面の水に関する
上述の問題は、そのような光触媒コーティングとは直接
に関わりがない。
【0009】水を小さい滴にすることによってガラス表
面の水の影響を最小化しようとする多くの試みが行われ
てきた。例えば、米国特許第5,424,130号明細
書(ナカニシら、この教示はここで参照することによっ
て本発明の記載に含める)は、フルオロアルキル基を含
むシリカに基づくコーティングによってガラス表面をコ
ーティングすることを示唆している。この参考文献は、
ガラス表面にシリコーンアルコキシドペイントを適用
し、このペイントを乾燥し、そして乾燥したこのペイン
トを空気中において燃焼させることを教示している。ナ
カニシらは、非金属原子の置換部分の重要性、すなわち
SO2 層の酸素をフルオロアルキル基で置換することの
重要性を強調している。ここでは、1.5%までの酸素
原子を置換するべきであるとしている。ナカニシらは、
0.1%未満の酸素原子がフルオロアルキル基で置換さ
れている場合、ガラス表面での水の接触角が80°未満
であるので、ガラスは適当に撥水しないとしている。
【0010】そのような「撥水性」コーティングは、ガ
ラス表面の水を細かくする傾向がある。このコーティン
グを自動車の風防等に適用すると、速い速度の一定の空
気流れがそのような表面上に吹くと、この水を細かくす
る効果は、水滴を表面から吹き飛ばすことを可能にし
て、ガラス表面から水を除去するのに役立つ。しかしな
がら、比較的静的な用途においては、これらの滴はガラ
ス表面上に残って、ゆっくりと蒸発する傾向がある。結
果として、この「撥水性」コーティングは、上述の水に
関する汚れの問題を解決しない。反対に、比較的容易に
水を細かくすることによって、実際に問題を悪化させる
こともある。
【0011】
【課題を解決するための手段】1つの面では本発明は、
水をシート状にするコーティングを有するガラス物品、
及びそのようなコーティングを適用する方法を提供す
る。本発明の第1の態様においては、ガラス物品は水を
シート状にするコーティングを有する少なくとも1つの
コーティングされた表面を有する。水をシート状にする
このコーティングは、ガラスの外部用表面に直接にスパ
ッタリングしたカーボンを含む。
【0012】本発明の第2の態様では、定期的に水と接
触する外部用表面を持つ少なくとも1つのガラス板を含
む窓を提供する。このガラス板の外部用表面は、約15
Å〜約350Åの平均厚さでガラス表面に直接にスパッ
タリングしたカーボン含む水をシート状にするコーティ
ングを有する。
【0013】本発明の更なる態様では、反射性コーティ
ングを有する内部用表面と、水をシート状にするコーテ
ィングを有する外部用表面とを有するガラス板を提供す
る。この反射性コーティングは、反射性金属層と、少な
くとも1つの誘電体層とを含むことができる。水をシー
ト状にするコーティングは、ガラス板の外部用表面に直
接にスパッタリングしたカーボンを含む。
【0014】上述のように本発明は、ガラス表面を防汚
性及び防汚染性にする方法も考慮している。1つの態様
においては、本発明の方法は、内部用表面及び外部用表
面を有するガラス板を始めに提供することを含む。この
ガラス板の内部用表面及び外部用表面は清浄化する。そ
の後、ガラス板の内部用表面を、少なくとも1つの誘電
体層、少なくとも1つの金属層、及び少なくとも1つの
第2の誘電体層の順序でスパッタリングすることによっ
て、反射性コーティングを適用する。ガラスの外部用表
面は、ガラス板の外部用表面に直接にカーボンをスパッ
タリングすることによって、水をシート状にするコーテ
ィングを適用する。所望であれば、反射性コーティング
を適用するのに使用したのと同じスパッタリングコーテ
ィング設備において、水をシート状にするコーティング
を適用することができる。適当に材料を選択すると、水
をシート状にするコーティング及び反射性コーティング
の誘電体層のうちの1つは、非酸化雰囲気の同じスパッ
タリング容器で適用することもできる。所望であれば、
内部用表面が外部用表面の上側になるようにしてガラス
を一定の向きに維持して、ガラス板の内部用表面と外部
用表面の両方にコーティングを適用することができる。
【0015】本発明の他の方法では、内部用表面及び外
部用表面を有するガラス板を提供する。スパッタリング
ラインも提供し、ここでこのスパッタリングラインは、
それぞれがガラス板の支持体を有する一連のスパッタリ
ング容器を具備している。これらのスパッタリング容器
のうちの少なくとも1つは、支持体の上方に配置された
上側ターゲットと支持体の下方に配置された下側ターゲ
ットとを有する2方向スパッタリング容器を含む。ガラ
スの内部用表面及び外部用表面を清浄化し、その後、内
部用表面が上側ターゲットに向くようにし且つ外部用表
面が下側ターゲットを向くようにして、ガラス板を、2
方向スパッタリング容器の支持体上に配置する。上側タ
ーゲットをスパッタリングして、誘電体層を堆積させ
る。この誘電体層は、ガラスの内部用表面に直接に、又
はガラスの内部用表面に予め堆積させた積層体に、堆積
させることができる。2方向スパッタリング容器にガラ
ス板を維持したままで、下側ターゲットをスパッタリン
グして、ガラスの外部用表面に水をシート状にするコー
ティングを堆積させる。1つの可能な好ましい態様で
は、上側ターゲットと下側ターゲットの両方を、同じス
パッタリング容器において非酸化雰囲気でスパッタリン
グする。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の1つ有用な態様
の、一対のコーティングを有するガラス板の概略を示し
ている。ガラス板10は、外部用面12と内部用面14
とを有する。(ここで、この「外部用」面と「内部用」
面は任意に決定できるものである。しかしながら多くの
場合には、外部用面は、汚れ及び水等と接触することが
ある周囲雰囲気に露出されると考えられる。内部用面が
そのような周囲雰囲気に向いていてもよい。しかしなが
ら図2及び図3に示される態様においては、「内部用」
面は実際に保護されており、第2のガラス板はこの内部
用面と周囲雰囲気との間に夾まれている。)
【0017】本発明に関連して使用することが好ましい
ガラス基材10は、コーティングされたガラス物品を調
製する分野で既知の任意の従来のガラス基材を含む。自
動車の窓及び板状ガラスの製造において典型的に使用さ
れるガラス基材は一般に、ソーダ−ライム−シリカガラ
スと呼ばれる。他の適当なガラスは一般に、アルカリ−
ライム−シリカガラス、ボロシリケートガラス、アルミ
ノシリケートガラス、ボロアルミノシリケートガラス、
ホスホネートガラス、溶融シリカ等、及びそれらの組み
合わせとして考慮することができる。好ましいガラス板
10は、ソーダ−ライム−シリカガラスでできている。
【0018】ガラス10の内部用面14は、反射性コー
ティング30を有する。当業者が容易に認識するよう
に、この反射コーティングは、所望の性質に依存して任
意の所望の形でよい。そのような様々なフィルムが当該
技術分野で既知であり、反射コーティング30の厳密な
性質は本発明の範囲外のものである。
【0019】例えばガラス物品を鏡として使用する場
合、コーティング30は単純に反射性金属の比較的厚い
層を含むことができる。所望であれば、誘電体材料の保
護コーティングを、ガラスと接触する金属の表面と反対
の表面上に適用することができる。当該技術分野で既知
のように、これは化学的な攻撃及び物理的な攻撃から金
属層を保護するのに役立つ。反射性金属層の両方の面に
誘電体層を有する当該技術分野で既知の任意の様々な鏡
コーティングを使用することもでき、当該技術分野で既
知の多くの2色性鏡はそのような構造を使用している。
【0020】図1の態様においては、反射性コーティン
グ30は典型的に、低放射率太陽光制御フィルムで一般
に使用されるタイプの赤外線反射コーティングである。
典型的にそのようなフィルムは、一対の誘電体層に夾ま
れた金属層を含む。この構造を反復して、この積層体の
赤外線反射性能を更に促進することができる。有益な赤
外線反射積層体の1つの例は米国特許第5,302,4
49号明細書(Ebyら)によって開示されており、こ
の教示はここで参照することによって本発明の記載に含
める。
【0021】図1で示されている積層体30は、1又は
複数の誘電体層を含むことができるベースコーティング
32を有する。このベースコーティング32は例えば、
約150〜275Åの厚さで適用された酸化亜鉛を含む
ことができる。第1の金属層34は、このベースコーテ
ィング32の上に直接に適用することができる。この金
属は例えば、約100〜約150Åの厚さで適用された
銀でよい。第2の誘電体層38は、第1の金属層34上
に適用することができる。この誘電体層38の厚さは少
なくとも部分的に、第2の金属層40が積層体に含まれ
るかどうかに依存している。2つの金属層を有する積層
体では、図示されているように、この第2の誘電体層3
8は典型的に比較的厚い金属酸化物の層を含んでおり、
これは例えば700〜750Åの酸化亜鉛である。所望
であれば、比較的薄い犠牲層36を金属層34と誘電体
層38との間に適用することができる。これは、誘電体
層38のスパッタリング堆積の間に、金属層34を保護
するのに役立つ。例えば、この犠牲層36は25Å以下
の厚さで適用された金属チタンの層を含むことができ
る。この金属チタンは、金属酸化物誘電体38の適用の
間に犠牲となって酸化して、下側の銀層34が受ける損
傷を制限する。
【0022】説明されている積層体では、第2の金属層
40を第2の誘電体層38上に適用している。この第2
の金属層40は通常は、第1の金属層34と同じ金属で
できている。例えば、この第2の金属層40は、約12
5〜175Åの銀を含んでいてよい。また、チタン等の
犠牲層42をこの金属層40上に適用して、その後の上
側誘電体層44及び46の堆積の間に、この金属層40
を保護することができる。第3の誘電体層44を犠牲層
42上に適用する。この誘電体層44は金属酸化物、例
えば約250〜300Åの厚さで適用された酸化亜鉛で
もよい。所望であれば、もう1つの誘電体材料の保護オ
ーバーコーティング46をこの誘電体コーティング44
上に適用することができる。1つの好ましい態様におい
ては、このオーバーコーティング46は、50〜60Å
のSi3 4 を含むことができる。
【0023】本発明の水をシート状にするコーティング
20は、ガラス10の外部用表面12に直接に堆積させ
たカーボンを含むことが望ましい。高度に詳細な表面解
析は行わなかったが、カーボンコーティングの表面は比
較的硬質で滑らかであると考えられる。詳細な解析を行
わなかったので、実質的な機能の改良を示すカーボンコ
ーティングの正確な厚さは未知である。カーボンのスパ
ッタリング速度及びこれらのコーティングの製造におい
て使用される既知の電力及びガラス速度に関する報告さ
れている情報から、これらの厚さの経験的な評価を行う
ことが可能であり、またうまく作用する厚さに関する確
信をもたらすことが可能である。この理解によれば、コ
ーティング20の厚さは約15Å〜約150Åであるべ
きであり、この厚さは約15Å〜約100Åであること
が好ましいと考えられる。最少のコストでのこのコーテ
ィングの最大の利益は、約15Å〜約40Åで得られる
と考えられ、実質的に比較的厚い厚さでは、可視光の吸
収が許容できないレベルに増加する傾向があると考えら
れる。このコーティング20をガラス10の外部用表面
12に適用することができる1つの好ましい態様を、以
下でより詳細に説明する。
【0024】図2は、本発明の更なる態様の複数ガラス
板絶縁ガラスユニットの概略図である。絶縁ガラスユニ
ットは、当該技術分野で既知であり、ここでは更なる詳
細を説明する必要はない。しかしながら簡潔に言うと、
そのような絶縁ガラスユニットは一般に2つのガラス板
10、100を有し、これらはスペーサー110によっ
て空間を隔てて保持されている。この態様においては、
ガラス10の外部用表面によって支持される水をシート
状にするコーティング20は、第2のガラス板100の
反対側を向くようにし、ガラス10の内部用表面によっ
て支持される反射性コーティング30は、第2のガラス
板100の方を向くようにしている。スペーサー110
は、片側を第2のガラス板100の内部用表面102に
結合させ、他方を第1のガラス板10に結合させてい
る。当該技術分野で既知のように、スペーサーはガラス
10の内部用表面14に直接に結合させることができ、
又は反射コーティング30をガラス10の周囲にまで拡
げてスペーサーをコーティング30に直接に結合させる
ことができる。
【0025】典型的に、スペーサーは金属等で作られて
おり、乾燥剤112がその中には保持されている。この
乾燥剤は、ガラス板間の空間115のガスと連絡して、
ガラス板の間に拡散することがある湿分を除去すること
ができる。外部シール114をスペーサー110の外周
囲に取り付けて、信頼可能なガス及び湿分のバリアーを
作ることができる。
【0026】図2に示される構造の変形では、図1の上
述のコーティング20と実質的に同一の、水をシート状
にするコーティング(図示せず)を、第2のガラス板1
00の外部用表面104に適用することができる。この
コーティングは、第1のガラス板10の外部用表面で説
明されたコーティング20に加えて又はこのコーティン
グ20の代わりに使用することができる。従って、1つ
の態様(図示せず)においては、第1のガラス板10の
外部用表面12は水をシート状にする本発明のコーティ
ングを有し、第1のガラス板の内部用表面14は多層赤
外線反射コーティング30を有し、第2のガラス板10
0の内側用表面102は2次コーティングを有さず、且
つ第2のガラス板の外部用表面104は、第1のガラス
板の外部用表面のコーティング20と実質的に同じ水を
シート状にする第2のコーティングを有する。
【0027】図3は、本発明のコーティングされたガラ
ス物品のもう1つの用途を説明している。この態様にお
いては、ガラス板10を、中間体の耐裂性プラスチック
フィルム130によって第2のガラス板100に結合し
て、積層構造体を作っている。そのような積層窓構造体
は、自動車の窓の分野で知られている。典型的に、この
プラスチック層130はポリビニルブチラル等の比較的
厚い層であり、これは加熱して溶融させることによって
他の2つガラス板に結合させる。所望であれば、コーテ
ィング30はなくてもよい。しかしながらより好ましく
は、この反射フィルム30は、加熱処理可能な赤外線反
射フィルムを含んでいる。様々なそのようなフィルムが
当該技術分野で既知であり、且つこのフィルムの正確な
性質については本発明の範囲外である。しかしながら、
任意の適当な加熱処理可能コーティング30を使用する
ことができる。
【0028】上述のように、水をシート状にするコーテ
ィングはスパッタリングによって適用することが望まし
い。これは、反射コーティング30が存在する場合のこ
のコーティング30と同様である。これらそれぞれのコ
ーティングは、従来のスパッタリング設備を使用して、
それぞれのためにスパッタリングラインを通して適用す
ることによって適用することができる。例えば、反射性
コーティングを適用する前に、水をシート状にする本発
明のコーティング20をガラスの外部用表面に適用する
ことは、非酸化スパッタリング雰囲気においてガラスの
この表面をカーボン含有ターゲットの下に配置すること
によって行うことができる。その後で、従来の様式で一
連のスパッタリング容器を使用して、多層反射コーティ
ングを適用することができる。ここでそれぞれのスパッ
タリング容器は、所望の積層体の1又は複数の特定の層
をスパッタリングさせるようにしている。
【0029】図4は、本発明の1つの態様の2方向スパ
ッタリング容器の概略を示している。マグネトロンスパ
ッタリング容器は当該技術分野で既知であり、且つ様々
な供給者から商業的に入手することができる。そのよう
なマグネトロンスパッタリング容器についての議論は本
発明の範囲外であるが、そのような装置の比較的有用な
1つの構造は米国特許第5,645,699号明細書
(Sieck)で説明されており、この教示はここで参
照することによって本発明の記載に含める。
【0030】一般に、マグネトロンスパッタリングは、
基材に堆積させる誘電体又は金属で作られたターゲット
を使用する。このターゲットは負に帯電しており、且つ
比較的正に帯電したアノードをこのターゲットに隣接さ
せて配置する。ターゲットの近くで容器に比較的少量の
所望のガスを導入することによって、このガスのプラズ
マを作ることができる。このプラズマ中の原子はターゲ
ットに衝突して、ターゲット物質をターゲットから叩き
出して、これをコーティングする基材にスパッタリング
する。当該技術分野では、ターゲットの背後で磁石を使
用すると、プラズマの形成を補助し、且つプラズマがタ
ーゲットの表面に近接した領域に存在するようにするこ
とが知られている。
【0031】図4においては、コーティングするガラス
板10は複数の支持ローラー210上に配置する。これ
らの支持ローラー210はスパッタリング容器200の
長手方向にわたって間隔を開けて配置されている。以下
でより詳細に説明する理由のためにこれらのローラー2
10の正確な間隔は変えることができるが、容器200
の少なくとも1部の長さではわずかに更に間隔を開けて
配置し、下側ターゲット260からの実効コーティング
領域を増加させることが望ましい。
【0032】図示された態様では、ガラス板10はこれ
らのローラー上を水平に、例えば左から右に移動するよ
うにする。ガラスの内部用表面14は上側を向くように
し、またガラスの外部用表面12はローラー210上で
下側を向くようにする。(おそらくこれが最も典型的な
配置であるが、上側ターゲット200と下側ターゲット
260の相対的な位置も反対であるならば、スパッタリ
ング容器200におけるガラスの相対的な向きを交換で
きることは理解すべきである。従って、「上側」及び
「下側」ターゲットのようにこれらのターゲットを呼ぶ
ことは、単に便利さのためであり、スパッタリング容器
におけるこれらの要素の相対的な配置は、所望に応じて
容易に反対にできることに注意すべきである。)
【0033】図4に示されているスパッタリング容器2
00は、2つの別々の上側スパッタリングターゲット2
20a及び220bを具備している。これらのターゲッ
トは平らなターゲットでよいが、これらはいわゆるロー
タリー又はシリンダー状ターゲットとして示されてい
る。これらのターゲットは、これらのターゲットに対し
て一般的に並行で水平方向に延びる複数のアノード23
0と共に、一般に互いに並行に並べられている。米国特
許第5,645,699号明細書において示唆されてい
るように、中間アノード230をこれら2つのターゲッ
トの間に配置することができる。
【0034】ガス分配装置を使用して、ターゲット22
0a及び220bの近くで容器にスパッタリングガスを
供給する。様々なガラス分配装置が当該技術分野で既知
であるが、このガス分配装置は単純に、一般にターゲッ
トに向けて間隔を開けて配置された複数の開口部又はノ
ズルを伴う一対のパイプ235を有する。
【0035】マグネトロンスパッタリング容器において
ガラス基材の上方に配置された複数のターゲットを使用
することは、当該技術分野では非常に一般的なことであ
る。しかしながら、図4のスパッタリング容器200の
独自の点は、「下側」ターゲット260の存在である。
このターゲットは、ガラスの外部用表面12に直接に、
水をシート状にする本発明のコーティング20をスパッ
タリングするのに使用するターゲットである。上側ター
ゲット220a及び220bの様に、下側ターゲット2
60は少なくとも1つ、好ましくは2つのアノード27
0を十分に近くに具備して、安定なプラズマの発生を確
立する。上側ターゲット220a及び220bに近接し
て示されるガス分配パイプ235が下側ターゲット26
0から遠いことは好ましくなく、またガラス10が断続
的に存在することは、スパッタリング容器200を実質
的に2つの別々な機能の領域に分ける。従って、下側タ
ーゲット260に隣接するガスの下に配置された別々の
ガス分配パイプ275を具備して、このターゲットに近
いプラズマへの一貫したガスの供給を確実にすることは
好ましい。所望であれば、下側パイプ275及び上側パ
イプ235は、同じガス分配装置の一部であってよい。
すなわち、両方のパイプが単一のガス供給源に接続され
ていてよい。
【0036】下側パイプ275が供給するガスの性質
は、少なくとも部分的にスパッタリングターゲット26
0の性質に依存している。従来のマグネトロンスパッタ
リングでは、ターゲットはカソードとして機能しなけれ
ばならない。本発明の水をシート状にするコーティング
20を適用する場合には、グラファイトターゲットを非
酸化雰囲気(好ましくは嫌気性雰囲気)においてスパッ
タリングすることが考えられる。グラファイトは適度に
伝導性であり、また比較的強く硬質である。これはグラ
ファイトに適当な機械的性質を与えて、ターゲット物質
として機能するようにする。また商業的な製造において
は、このターゲットは、グラファイトスパッタリング層
を保持する金属の支えを使用すると考えられる。本発明
で使用するロータリーターゲットは、中空の金属支え管
(ステンレス鋼で作ることができる)を具備することが
でき、例えば、非酸化雰囲気(好ましくはわずかに還元
雰囲気)でのプラズマスプレーによって、又はグラファ
イト粉末の焼結によって、この中空の金属支え管にカー
ボン層を堆積させることができる。このカーボン層はこ
こでは「グラファイト」オーバーコーティングとして言
及しているが、適当なスパッタリングで水をシート状に
する適当なカーボンに基づく本発明のコーティング20
をもたらす限り、このカーボンは任意の他の結晶系又は
アモルファスであってよいことを理解するべきである。
【0037】連続的なガラス板10は、スパッタリング
容器を効率的に分割するが、これは容器の1つの部分か
ら容器の他の部分に移動してくるガスの導入を妨げな
い。下側ターゲット260は非酸化雰囲気においてスパ
ッタリングするグラファイトターゲットを有するするこ
とが好ましいので、上側ターゲット220a及び220
bのスパッタリングが、所望のコーティング組成物を堆
積させるためにスパッタリングプラズマ中の実質的な酸
素を必要としないことが好ましい。これは、ガラス板の
1つの面に水をシート状にするコーティング20を堆積
させ、且つ強力な酸化雰囲気において金属ターゲットを
スパッタリングして他の表面に誘電体金属酸化物を堆積
させる場合におけるこの2方向スパッタリング容器20
0の利用可能性を制限することがある。
【0038】より有利には、図4の2方向スパッタリン
グ容器を使用して、1つの容器において、ガラスの内部
用表面14に誘電体層を堆積させ、且つガラスの外部用
表面12に水をシート状にするカーボンに基づくコーテ
ィング20を堆積させることができる。スパッタリング
された誘電体は金属酸化物であってもよい。
【0039】以下に示すいくつかの実験的な例から示唆
されるように、好ましくは本発明の水をシート状にする
カーボンコーティング20は、非酸化雰囲気、好ましく
はアルゴン又は窒素雰囲気を使用して適用する。所望で
あれば、図4の2方向スパッタリング容器を使用して、
水をシート状にするコーティング20をガラスの外部用
表面12に適用するのと同時に、ガラスの内部用表面1
4に金属の層又は金属窒化物の層を適用することができ
る。下側パイプ275によって輸送されるガスが純粋な
アルゴンであり、且つ上側パイプ235に導入されるガ
スが純粋な窒素又はアルゴンと窒素の組み合わせである
場合でさえも、これら2種類のガスの混合は、上側ター
ゲットを使用して金属窒化物を適用し、同時にグラファ
イトターゲットを使用して水をシート状にするカーボン
に基づくコーティング20を適用することに好ましくな
い影響を実質的に与えないべきである。例えば、これら
のターゲット220a及び220bの1又は両方は、5
%までのアルミニウムでドーピングした金属シリコンで
作ることができ、一組のガス分配パイプ235及び27
5の両方を通して導入されるガスは、アルゴン及び窒素
の適当に釣り合いのとれた混合物又は純粋な窒素を含む
ことができる。
【0040】従来のマグネトロンスパッタリング容器で
は、ガラスを支持するために使用するローラー210の
間隔を非常に狭く維持して、ガラスがローラー間に落下
する全ての有意の危険性をなくして、ライン上において
比較的小さいガラス基材を処理できるようにしている。
しかしながら、ガラスの外部用表面12に水をシート状
にするコーティングを適用する際のローラーによる邪魔
を最少化するために、この間隔は増加させることができ
る。最大安全間隔は、予想されるガラスの大きさの所定
の範囲に基づいて、それぞれの場合に決定する必要があ
る。しかしながら、下側ターゲット260からガラスの
外部用表面12への経路に配置されたローラー間の間隔
が大きければ大きいほど、ガラスに堆積するスパッタリ
ングされたカーボンの割合は増加する。当然に、スパッ
タリング設備の他の領域のローラーは、それらの通常の
間隔を維持することができる。2方向スパッタリング容
器200のローラーのうちのいくつかは容易に取り除け
るようにして、容器を、図示された形状から、ガラスの
片方の面のみをコーティングし且つ互いに比較的狭い間
隔で配置されたローラーを有する比較的一般的に操作さ
れる容器に変えられる様にすることも望ましいことがあ
る。
【0041】ローラー間の間隔を変化させる代わりに、
ローラーの直径を比較的小さくすることができる。従来
のローラーは中空の金属管である。所望であれば、この
直径が比較的小さいローラーは、例えば硬質の発泡体を
充填することによって強化することができる。支持体に
沿うガラスの同じ輸送速度を維持するために、これらの
比較的直径が小さいローラーは、例えば所望のギア比を
有する一対のギアによって比較的速く回転させなければ
ならない。
【0042】ローラー210は任意の従来の形状のもの
でよい。ケブラー(商標)のロープをらせん状に巻き付
けたシリンダー状アルミニウムローラーを使用すること
によって良い結果が得られることが見出されている。こ
こで、ケブラー(商標)はガラスが直接に接触する表面
を提供している。
【0043】いくらかの特定の用途では、図4の2方向
スパッタリング容器200は、ガラスの内部用表面と外
部用表面の両方に所望のコーティングの全てを適用する
のに十分なことがある。しかしながら比較的一般的に
は、スパッタリング容器200は、一連のスパッタリン
グ容器を含むスパッタリングラインの一部である。この
ラインのそれぞれのスパッタリング容器は、上側ターゲ
ットと下側ターゲットの両方を具備することができる
が、最も一般的な用途では、ガラスの上側表面に適用す
る積層体がより複雑であり(すなわち、様々な組成の一
連の別個の層を含み)、且つ本発明の水をシート状にす
るコーティングよりも厚い。結果として、スパッタリン
グ容器の大部分は、上側ターゲットのみを具備して支持
体の下に配置された下側ターゲットを具備しない従来の
下向きスパッタリング容器を含むことができる。
【0044】スパッタリングラインが下向きスパッタリ
ング容器と2方向スパッタリング容器200の組み合わ
せを含む場合、スパッタリングラインにおける2方向ス
パッタリング容器の位置は変化させることができる。水
をシート状にする本発明のコーティングを窒素雰囲気で
のグラファイトのスパッタリングによって適用する場
合、例えばこの容器においてガラスの上側表面に、金属
ターゲットから金属酸化物の層を堆積させようとすべき
でない。従って、金属酸化物層をスパッタリングするた
めに使用するこれらの容器だけでも、下側ターゲットな
しで下向きスパッタリング容器として操作することがで
きる。しかしながら、同じ容器において、ガラスの上側
表面に金属窒化物(例えば、Si3 4 、TiN、又は
Si3 4とSiCの組み合わせ)を堆積させることは
可能である。
【0045】従来の認識によれば当業者は、水をシート
状にする本発明のコーティングを、第1のスパッタリン
グ容器又は必要であれば初めの複数のスパッタリング容
器において適用して、容器内においてガラスを支持する
ローラーと接触することによってガラス表面が汚染され
る又は損傷を受ける前に、水をシート状にするコーティ
ングを確実に適用することを選択する。非常に予想外
に、反対の事実が判明した。つまり、本発明の水をシー
ト状にするコーティングは最後のスパッタリング容器に
おいて適用することが最適である。スパッタリングライ
ンを通るガラスの速度を不適当に低下させることなく水
をシート状にする十分に厚いコーティングを堆積させる
ために、1以上の2方向スパッタリング容器200が必
要である場合、水をシート状にするコーティングは最後
の複数のスパッタリング容器において適用することが最
適である。
【0046】水をシート状にする本発明のコーティング
をスパッタリングラインの最初で適用すると、ガラスの
外部用表面の大部分は水をシート状にする所望の性質を
示す。しかしならがら、ガラスの周縁部は、一貫したこ
れらの改良された性質を示さないことがある。これは、
水をシート状にするコーティングの堆積の後でガラスの
上側表面に適用したコーティングのわずかなオーバース
プレーによるものであると考えられる。ここでは、上側
表面に適用した物質の非常に少量が下側表面に移動し
て、ガラス板の縁の近くに存在する水をシート状にする
コーティングの上に重なると考えられる。このオーバー
スプレーによるコーティングは、ガラスの光学的な性質
に容易に検知可能な影響を与えないほど薄いが、この実
質的に不可視的なコーティングは、ガラスの縁に沿う水
をシート状にするコーティングの利点を危険にさらす。
スパッタリングラインの末端部の近くでガラスの外部用
表面にカーボンを適用することによって、カーボンコー
ティング上に堆積するオーバースプレーの量を最少化す
ることができ、またこのコーティングの水をシート状に
する有益な効果を維持することができる。
【0047】図4において示されるような2方向スパッ
タリング容器200は、ガラス板の両面へのコーティン
グの適用において、コストを最少化し且つコーティング
の製造効率を最大化すると考えられる。あまり望ましく
はないが、本発明の水をシート状にするコーティングを
1回の通過で適用し、反射コーティングを2回目の通過
でガラスの他の面に適用することができる。ここでは、
通過の間にガラスを裏返しにすることによって、容器の
支持体の同じ側に全てのターゲットを配置することを可
能にする。しかしながらこれは、先に概略を示した方法
に比べて効率が良くなく、低コストの商業的なガラスの
製造には適当でないと考えられる。
【0048】ガラス基材は容器を通って移動するので、
このガラスが、上側ターゲット200a及び200bを
下側ターゲット260から効果的に保護しないとき又は
下側ターゲットを上側ターゲットから保護しないときが
ある。結果として、上側ターゲットからの物質が下側タ
ーゲットに堆積し、また下側ターゲットからの物質が上
側ターゲットの片方又は両方に堆積することがある。図
4のスパッタリング容器200は、上側ターゲット22
0a及び220bの組成が下側ターゲット260の組成
と実質的に同じ場合に理想的であるが、このことは必要
はわけではない。上側ターゲットと下側ターゲットの組
成が異なる場合、異なるターゲットの相互汚染を最少化
するように注意することが必要なことがある。
【0049】少なくとも理論的には、それぞれのスパッ
タリングターゲットへの電力供給を独立に制御して、ガ
ラス板が上側及び下側のターゲットを互いに保護しする
位置にある場合にのみそれぞれのターゲットをスパッタ
リングすることを確実にすることによって、この問題を
解決することができる。しかしながら、現在商業的に入
手することができる電力供給制御装置は、この様な様式
にはなっていない。更に、一定の大きさではなく様々な
大きさのガラス基材をコーティングするためにこのスパ
ッタリングラインを使用する場合、そのような設定のた
めの制御理論は非常に困難なことがある。
【0050】図5は、1つの可能なスパッタリング容器
300を示している。このスパッタリング容器300を
使用して、スパッタリングターゲットの有意の相互汚染
をなくして、一回の通過で基材の内部用表面14及び外
部用表面12の両方をコーティングすることができる。
図4に示される構成要素と類似の機能を持つ構成要素
は、100を加算した参照番号で示してある。例えば、
図5の上側ガス分配パイプ335は、図4の上側ガス分
配パイプ235と機能的に類似である。
【0051】図5のスパッタリング容器300は、一対
のバリアー340によって、3つのコーティング領域3
00a、300b、及び300cに効果的に分けられて
いる。1つのコーティング領域のいくらかのガス画分
は、もう1つのコーティング領域に流入することもあ
り、従ってこれら3つ全ての領域において同様な雰囲気
を使用することが最良である。しかしながら、バリアー
340は、1つのコーティング領域においてスパッタリ
ングされた物質が、もう1つのコーティング領域のター
ゲットに到達する量を効果的に制限する働きをする。
【0052】図5に示される態様においては、3つのコ
ーティング領域300a〜300cのそれぞれは4つま
でのターゲットを備えるようにされており、ここでは、
2つのターゲットを基材の上方に配置し、2つのターゲ
ットを基材の下方に配置するようになっている。従っ
て、ガラス経路の上方に配置された6個の上側ターゲッ
トマウント321〜326、及びガラス経路の下方に配
置された6個の下側ターゲットマウント361〜366
が存在する。これは、この単一の複数領域スパッタリン
グ容器300を使用して、異なる性質の製品を作る最大
自在性を可能にする。図5は、下側ターゲットマウント
361〜366のうちの1つに垂直に配置されたそれぞ
れの上側ターゲットマウント321〜326の概略を示
している。しかしながら、ターゲットをこの様式で垂直
に配置する必要はないこと、及び水平にずらした配置で
比較的有利に配置できることを理解すべきである。
【0053】図5に示す配置では、第1のコーティング
領域300aは2つの上側ターゲット(320a及び3
20b)を具備しているが、下側ターゲットマウント3
61又は362には下側ターゲットが存在しない。第1
のコーティング領域においては上側ガス分配パイプ33
5にスパッタリングガスを供給すべきであり、また上側
アノード330に電力を供給すべきであるが、下側ガス
分配パイプ375にガスを輸送する必要はなく、また下
側アノード370に電力を供給する必要はない。第2の
コーティング領域300bは2つの下側ターゲット36
0c及び360dを具備しているが、上側ターゲットマ
ウント323及び324にはスパッタリングターゲット
が存在しない。同様に、第3のコーティング領域300
cは2つの下側ターゲット360e及び360fを具備
しているが、上側ターゲットマウント325又は326
にはスパッタリングターゲットが存在しない。随意に
(上述のように)、第1のコーティング領域300a
は、基材の内部用表面14によって支持される反射積層
体の最も外側の層を適用するために使用し、後半の2つ
のコーティング領域300b及び300cは、基材の外
部用表面12に水をシート状にするコーティング20を
スパッタリングするために使用する。
【0054】図5の複数領域スパッタリング容器300
におけるターゲットの配置は単に説明のためのものであ
り、ターゲットの配置を変更して、様々な製品の製造効
率を最大化できることを理解すべきである。例えば、同
じガラス速度で水をシート状にする比較的厚いコーティ
ングが所望である場合、それぞれの下側ターゲットマウ
ント361〜366にグラファイトターゲット等を取り
付けて、上側ターゲットマウント321〜326のいず
れもがターゲットを具備しないようにすることができ
る。比較的薄いコーティングで十分な場合(又は適当に
減速させてガラスをコーティング容器に通す場合)、最
後の2つのターゲットマウント325及び326のみが
ターゲットを具備し、初めの4つの上側ターゲットマウ
ント321〜324のそれぞれがスパッタリングターゲ
ットを具備するようにすることができる。当然に、同じ
領域の上側ターゲットマウントと下側ターゲットマウン
トにターゲットを取り付けることによって、図4の2方
向スパッタリング容器200と同様に、コーティング領
域300a〜300cのいずれか1つ又は複数を操作す
ることができる。
【0055】図4及び5の装置及びそのようなコーティ
ング設備を使用するコーティングの堆積方法は、本発明
の用途では主に、ガラスの1つの面の反射性積層体を適
用し、且つガラスの他の面に水をシート状にするコーテ
ィングを適用することに関して説明する。しかしなが
ら、この装置及び方法を使用して、適用するコーティン
グの性質に関わらずに、ガラス板の両方の面にコーティ
ングを適用できることを理解される。例えば、この装置
を使用して、ガラス板の両面に反射防止コーティングを
適用すること、透明若しくは半透明の有機基材の両面に
赤外線反射コーティングを適用すること、又は同じ基材
のそれぞれの面に水をシート状にするコーティングを適
用することができる。
【0056】図4及び5において説明した設備の利点
は、基材を一定の向きに維持しながらコーティング装置
に一回通すことによって、基材の両方の面にスパッタリ
ングによるコーティング(組成に関わらない)を具備さ
せられることである。すなわち、基材をひっくり返すこ
と、方向転換を行うこと、又は手動で操作することが必
要ないということである。これは、単純な一連の標準輸
送ローラーを使用して、製造ラインに沿ってガラスを移
動させることを可能にする。本発明を使用しない場合、
典型的に、ガラスを手動で扱ってひっくり返して更にコ
ーティング装置に戻して通さなければならず、又は製造
プロセスの間のいくつかの箇所で基材を保持してひっく
り返さなければならない複雑なガラス取り扱い設備を使
用しなければならない。これは、コーティングの品質を
低下させずに、両面をコーティングされたガラスを特に
経済的に製造することを可能にする。
【0057】かつては、ガラスの底面側をコーティング
しようとする場合でさえも、ローラーとの接触がコーテ
ィングを傷つけ及び/又はコーティングの適用の前にガ
ラスの底面が損傷を受けると考えられてきた。しかしな
がら意外にも、本発明は、1回の通過でガラスの両面を
コーティングすることが非常によい結果をもたらすこと
を示している。
【0058】水をシート状にする本発明のコーティング
を適用する正確な操作条件(例えば、ターゲット組成、
プラズマ組成等)は、必要に応じて変化させて、所望の
厚さのコーティングの堆積を最適化することができる。
本発明の教示によれば、過度の実験なしで、当業者は適
当な操作条件を選択して本発明のコーティング20を適
用することができる。
【0059】フロートガラスの製造においては、溶融し
たガラスを溶融スズ浴に浮かせる。このガラスには上側
面及び下側面又は「スズ」側面が存在する。最も一般的
には、フロートガラスに反射コーティングを具備させる
場合、このコーティングはガラスの上側に適用する。こ
れは、ガラスのスズ側には、アニール窯において支持ロ
ーラーと接触することによってもたらされることがある
いくらかの小さい表面欠陥が存在するためである。フロ
ートガラス板10に水をシート状にするコーティング2
0及び反射層30を具備させる場合、このガラス板の上
側面をガラスの内部用表面14として使用して、反射性
コーティング30を具備させ、ガラスのスズ側面を外部
用表面として使用して、水をシート状にするコーティン
グ20を具備させることが好ましい。
【0060】本発明の水をシート状にするコーティング
を具備したガラス板の性質は、本発明のコーティングを
具備していない同様なガラス板の性質とは明らかに異な
る。水をシート状にするコーティング20を具備したガ
ラス表面は、コーティングされていない同じ条件の相当
するガラス板と比較すると、比較的容易に水をシート状
にする傾向があり、また可視的な筋又は欠陥を残さずに
かなり容易に清浄化することができる。
【0061】Windex(商標)という商標名で商業
的に入手することができる従来のクリーニング溶液を、
コーティング20を具備したガラス板の表面に噴霧し、
この表面が乾燥したと思われるまでペーパータオルで拭
いた。同じ処理を、平らでコーティングをしていない同
じ組成のフロートガラスに繰り返した。これによって、
水をシート状にする本発明のコーティング20では、標
準のフロートガラスと比較して、比較的少ない労力及び
比較的短い時間で乾燥し且つ筋が無くなることを測定し
た。ガラス上の実質的な全ての残っている筋を無くさな
いと、そのような可視的な筋は最終的に乾燥し、平均的
な人は、可視的な筋が消えるまでガラス表面を拭き続け
る傾向があると考えられるので、水をシート状にするコ
ーティング20を具備していないガラス物品と比較した
ときに、そのようなコーティング20を具備しているガ
ラス物品を清浄化するための労力及び時間が比較的短く
なることを意味する。
【0062】本発明によって提供される表面性質の変化
は、質的なレベルで容易に区別することができるが、有
意の様式によってこれらの差を定量的なレベルで評価す
ることは比較的難しい。にもかかわらず、以下の例はコ
ーティングされていないガラス板と、水をシート状にす
る本発明のコーティング20を具備したガラスの違いを
説明しているものと考える。
【0063】[実験例1]5つの同様なソーダ−ライム
ガラスのガラス板を提供した。試料のうちの2つ(試料
A1及びA2)は、本発明のカーボンコーティング20
によってアルゴン雰囲気でコーティングした。試料のう
ちの他の2つ(試料B1及びB2)は、窒素雰囲気にお
いて同様なコーティングを適用した。5番目の試料(試
料C)はコーティングをしなかった。
【0064】全てのカーボンコーティングは、粒状グラ
ファイト層を噴霧した金属芯を有するロータリーターゲ
ットを使用して、標準の商業的なスパッタリングライン
において適用した。試料A1は、ガラスを約889cm
/分(約350インチ/分)で移動させながら、約4.
0mTに維持した約627sccmの流量のアルゴン雰
囲気中において、485Vで約15.5kWの電力を使
用してコーティングした。試料A2は、ガラスを約12
70cm/分(約500インチ/分)で移動させなが
ら、約4.0mTに維持した約616sccmの流量の
アルゴン雰囲気中において、513Vで約15.7kW
の電力を使用してコーティングした。第3の試料試料B
1は、ガラスを約889cm/分(約350インチ/
分)で移動させながら、約4.0mTで約1204sc
cmの流量の窒素雰囲気中において、576Vで約15
kWの電力を使用して作った。最後に試料B2は、ガラ
スを約1270cm/分(約500インチ/分)で移動
させながら、約4.0mTで1187sccmの流量の
窒素雰囲気中において、603Vで約15.3kWの電
力を使用して適用した。
【0065】その後、ガラスのコーティングされた面で
の水の接触角を、そのような接触角を測定する標準の商
業的な装置を使用して測定した。これらの測定の結果は
表1に示す。それぞれの試料は、約15日間にわたって
約120°F(約49℃)で相対湿度を90%に維持し
たSigleton Model SL23湿度試験容
器に配置した。その後、それぞれの試料をこの試験容器
から取り出して、水道水を噴霧し、そして乾燥させた。
その後、乾燥した試料を視覚的に検査して、表面の清浄
性を決定した。ここで、清浄さは1〜5の5段階とし、
1が最も清浄であり5が最も汚れているとした。その
後、これらの汚いガラス表面にWindex(商標)を
噴霧して、KimWipe(商標)ペーパータオルで拭
いた。この清浄化工程の間に、清浄化の容易性及び拭き
取りの容易性を決定した。ここでは、両方の測定で同様
な5ポイント式の格付けを使用し、1が最も容易であり
5が最も困難であるとした。清浄さ、清浄化の容易性、
及び拭き取りの容易性のデータも表1に示す。 [表1] 試料 接触角 清浄さ 清浄化の容易性 拭き取りの容易性 A1 43° 4 3 3 A2 43° 4 3〜4 3 B1 17° 3 2 2 B2 24° 4 3 2 C 4 3 3
【0066】これらの結果は、本発明のコーティングさ
れた試料は少なくともコーティングされていない試料と
同じぐらい好ましいことを示している。おそらく意外に
も、コーティング20の適用において使用したプラズマ
中のガスは、ガラスの性質に有意の影響を与える。特
に、窒素雰囲気において適用したカーボンコーティング
を使用する2つの試料(B1及びB2)は、アルゴン中
においてスパッタリングしたコーティングを有する試料
よりも有意に小さい接触角を有する。試料B1は、清浄
さ、清浄化の容易性、及び拭き取りの容易性に関して、
未処理のコーティングしていないガラスを超えるいくら
かの改良も示す。従って、このコーティングは、コーテ
ィングされていないガラスと比較すると、同じ周囲雰囲
気に露出されたときに、比較的長い期間にわたって清浄
なままであり、且つ汚くなった場合には清浄化がかなり
容易であろう。
【0067】[実験例2]Q Panel Model
QUV試験装置を使用して同様な試料に耐候性試験も
行った。この試験は、太陽光中の紫外線エネルギーへの
長時間の露出及び雨又は露のような水によってもたらさ
れる劣化を模擬している。試料は約7日間にわたって、
約60℃での紫外光線への4時間の露出、及び50°で
の4時間の凝縮(すなわち、この温度において容器内の
相対湿度を十分に高くしてガラスの表面に水を凝縮させ
た)のサイクルに露出した。清浄さ、清浄化の容易性、
及び拭き取りの容易性に関する同様な評価を行った。結
果は以下の表に示している。 [表2] 試料 清浄さ 清浄化の容易性 拭き取りの容易性 A1 3 1 4 A2 3 1 4 B1 2 1 3 B2 2 1 3 C 4 3 3
【0068】このデータは、かなりの改良を示してい
る。本発明のコーティング20を有するそれぞれの試料
は、コーティングをしていないガラスと比較して清浄に
維持されており、且つ清浄化がかなり容易であった。唯
一の欠点は、アルゴン雰囲気中においてコーティングさ
れた試料の拭き取りが、他の試料の拭き取りよりも難し
いことであった。また、窒素雰囲気でのスパッタリング
による水をシート状にするコーティングを有する試料
は、アルゴン雰囲気において適用されたコーティングを
有する試料の結果よりも良好な結果をもたらすことが明
らかである。
【0069】[実験例3]ガラス表面の清浄化の容易性
を、比較的厳密な一連の汚染物質を使用して比較した。
特に、水をシート状にするコーティング20を有するガ
ラスの表面及びコーティングされていないガラスの表面
を、それぞれ水道水(tap water)、汚い水、
雨水、ChapStik(ワックス状の残留物を残すリ
ップクリーム)、及び洗っていない手による指紋で汚し
た。コーティングしていないガラス試料の全ての清浄化
の容易性は上述の5ポイント式の基準では4であったに
もかかわらず、本発明のカーボンでコーティングした表
面の全ての清浄化の容易性の評価は同じ基準で2よりも
良好であった。
【0070】本発明の好ましい態様を説明してきたが、
様々な変更、付加、及び修飾を、本発明の特許請求の範
囲及び本発明の本質の範囲内で行えることは理解すべき
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のコーティングを有するガラス
板の断面概略図である。
【図2】図2は、水をシート状にする本発明のコーティ
ングを組み込んだ複数ガラス板絶縁ガラスユニットの断
面概略図である。
【図3】図3は、水をシート状にする本発明のコーティ
ングを有する自動車用風防で一般的に使用されるタイプ
の積層窓構造体の断面概略図である。
【図4】図4は、本発明で使用する2方向スパッタリン
グ容器の概略図である。
【図5】図5は、本発明のもう1つの態様で使用する複
数領域2方向スパッタリング容器の概略図である。
【符号の説明】
10…ガラス板 12…外部用表面 14…内部用表面 20…水をシート状にするコーティング 30…反射コーティング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ボブ ボンド アメリカ合衆国,ウィスコンシン 53588,スプリング グリーン,ワシン トン 645 (72)発明者 ロジャー スタネク アメリカ合衆国,ウィスコンシン 53588,スプリング グリーン,ノース シンシナティ 633 (72)発明者 ゲイリー ファフ アメリカ合衆国,ウィスコンシン 53588,スプリング グリーン,イース ト マディソン ストリート 1024 (56)参考文献 特開 平2−104665(JP,A) 特開 平1−105895(JP,A) 特表 平8−500061(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 16/56 C03C 15/00 - 23/00 C03C 27/00 - 29/00

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)清浄な内部用表面及び清浄な外部
    用表面を有するガラス板を提供し、 (b)基材支持体を有するスパッタリング容器を提供
    し、ここでこの容器は、下向きにスパッタリングするよ
    うに前記支持体の上方に配置された上側ターゲット、及
    び上向きにスパッタリングするように前記支持体の下方
    に配置された下側ターゲットを具備し、 (c)前記ガラスの前記内部用表面が前記上側ターゲッ
    トに向くようにし、且つ前記ガラスの前記外部用表面が
    前記下側ターゲットに向くようにして、前記支持体上に
    前記ガラス板を配置し、 (d)前記上側ターゲットをスパッタリングして、前記
    ガラスの前記内部用表面に、又は前記ガラスの前記内部
    用表面に予め堆積させた積層体に、反射性コーティング
    の層を堆積させ、そして (e)前記下側ターゲットをスパッタリングして、前記
    ガラスの前記外部用表面にカーボンコーティングを堆積
    させ、それによって水との接触角が約25°以下の水を
    シート状にするコーティングをもたらし、ここで、この
    コーティングはコーティングされたこのガラスの外部用
    表面に適用された水をシート状にする、ことを含むガラ
    ス表面を防汚性及び防汚染性にする方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも1つの上側ガス分配パイプ及
    び少なくとも1つの下側ガス分配パイプを通して、前記
    スパッタリングの間に、気体雰囲気を前記スパッタリン
    グ容器に輸送することを更に含み、ここで、それぞれの
    前記上側パイプが、前記基材支持体の上方に配置された
    上側出口を通してガスを輸送し、且つそれぞれの前記下
    側パイプが、前記基材支持体の下方に配置された下側出
    口を通してガスを輸送する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記スパッタリング容器に非酸化雰囲気
    を輸送することを含む請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記上側ターゲット及び前記下側ターゲ
    ットを実質的に同時にスパッタリングする請求項1に記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 前記上側ターゲットが窒化可能金属であ
    り、且つ前記下側ターゲットがグラファイトを含み、前
    記スパッタリング工程を窒素含有雰囲気において行っ
    て、前記反射性コーティングが金属窒化物を含むように
    し、且つ前記カーボンコーティングが非水素化カーボン
    層を含むようにする請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 (a)清浄な内部用表面及び清浄な外部
    用表面を有するガラス板を提供し、 (b)それぞれが基材支持体を具備する一連のスパッタ
    リング容器を含むスパッタリングラインを提供し、ここ
    でこのスパッタリングラインは、前記支持体の上方に配
    置された上側ターゲットを具備した下向きスパッタリン
    グ容器、及び前記支持体の下方に配置された下側ターゲ
    ットを具備した上向きスパッタリング容器を有し、 (c)前記内部用表面が前記上側ターゲットに向くよう
    にして、前記ガラス板を、前記下向きスパッタリング容
    器の前記支持体上に配置し、そして前記上側ターゲット
    をスパッタリングして、前記ガラスの前記内部用表面
    に、又は前記ガラスの前記内部用表面に予め堆積させた
    積層体に、誘電体層を堆積させ、そして (d)前記外部用表面が前記下側ターゲットに向くよう
    にして、前記ガラス板を、前記上向きスパッタリング容
    器の前記支持体上に配置し、そして前記下側ターゲット
    をスパッタリングして、前記ガラスの前記外部用表面に
    水をシート状にするコーティングを堆積させる、ことを
    含むガラス板の表面を防汚性及び防汚染性にする方法。
  7. 【請求項7】 (a)内部用表面及び外部用表面を有す
    るガラス板を提供し、ここで、前記外部用表面は定期的
    に水と接触する表面であり、そして(b)前記ガラスの
    前記外部用表面に直接にカーボンをスパッタリングする
    ことによって、前記ガラスの前記外部用表面に水をシー
    ト状にするコーティングを堆積させ、ここで、この水を
    シート状にするコーティングは、前記ガラスのコーティ
    ングされた前記外部用表面の水との接触角を約25°以
    下に減少させて、このガラスのコーティングされた前記
    外部用表面に適用された水をシート状にする、ことを含
    むガラスの表面を防汚性及び防汚染性にする方法。
  8. 【請求項8】 前記カーボンを15〜100Åの厚さで
    スパッタリングする請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記カーボンを15〜40Åの厚さでス
    パッタリングする請求項7に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記カーボンを窒素含有スパッタリン
    グ雰囲気においてスパッタリングして、非水素化カーボ
    ンをもたらす請求項7に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記ガラスの前記内部用表面に反射性
    コーティングをスパッタリング堆積させることを更に含
    む請求項7に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記ガラス板を同じ向きに維持しなが
    ら、前記ガラスの前記外部用表面に前記カーボンをスパ
    ッタリング堆積させ、且つ同時に、前記ガラス板の前記
    内部用表面に、又は前記ガラス板の前記内部用表面に予
    め堆積させた積層体に、誘電体層をスパッタリング堆積
    させる請求項7に記載の方法。
  13. 【請求項13】 内側面と、定期的に水と接触する外部
    用面とを有するコーティングされたガラス物品であっ
    て、前記外部用面が、水をシート状にする外側コーティ
    ングを有し、このコーティングが、15〜100Åの厚
    さで前記外部用面に直接にスパッタリングしたカーボン
    層でできており、またこのコーティングが、このガラス
    のコーティングされた外部用面と水との接触角を約25
    °以下に減少させて、このガラスのコーティングされた
    外部用面に適用された水をシート状にするコーティング
    されたガラス物品。
  14. 【請求項14】 前記カーボン層の厚さが15〜40Å
    である請求項13に記載のコーティングされたガラス物
    品。
  15. 【請求項15】 水をシート状にする前記コーティング
    が、非水素化カーボンを含む請求項13に記載のコーテ
    ィングされたガラス物品。
  16. 【請求項16】 前記ガラスの前記内側面に支持される
    反射性コーティングを更に具備し、この反射性コーティ
    ングが、前記内側面と誘電体層との間に金属層を有する
    請求項13に記載のコーティングされたガラス物品。
  17. 【請求項17】 前記反射性コーティングが、前記金属
    層と前記内側面との間に内側誘電体層を有する赤外線反
    射コーティングである請求項16に記載のコーティング
    されたガラス物品。
  18. 【請求項18】 (a)シールされたガラス板間の空間
    を定めるスペーサーによって間隔を開けて保持された第
    1及び第2のガラス板であって、前記第1のガラス板
    が、前記第2のガラス板の反対側を向いていて定期的に
    水と接触する外部用表面を有し、前記第2のガラス板
    が、前記ガラス板間の空間に露出される内部用表面と、
    前記第1のガラス板の反対側を向く外部用表面とを有す
    る第1及び第2のガラス板、 (b)前記第2のガラス板の前記内部用表面によって支
    持される反射性コーティング、並びに (c)前記第1のガラス板の前記外部用表面によって支
    持される水をシート状にするコーティングであって、1
    5〜100Åの厚さで前記第1のガラス板の前記外部用
    表面に直接にスパッタリングしたカーボン層でできてお
    り、また水との接触角が25°以下であって適用された
    水をシート状にする絶縁ガラスユニットの外部用表面を
    定める水をシート状にするコーティング、を有する複数
    ガラス板絶縁ガラスユニット。
  19. 【請求項19】 前記第2のガラス板の前記外部用表面
    によって支持される水をシート状にするコーティングを
    更に含み、ここで、このコーティングは、15〜100
    Åの厚さで前記第2のガラス板の前記外部用表面に直接
    にスパッタリングしたカーボンフィルムでできており、
    また水をシート状にするこのコーティングは、水との接
    触角が25°以下であって適用された水をシート状にす
    る絶縁ガラスユニットの第2の外部用表面を定める、請
    求項18に記載の複数ガラス板絶縁ガラスユニット。
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