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JP3489865B2 - ヒト成長ホルモンの製造法 - Google Patents

ヒト成長ホルモンの製造法

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JP3489865B2
JP3489865B2 JP02437194A JP2437194A JP3489865B2 JP 3489865 B2 JP3489865 B2 JP 3489865B2 JP 02437194 A JP02437194 A JP 02437194A JP 2437194 A JP2437194 A JP 2437194A JP 3489865 B2 JP3489865 B2 JP 3489865B2
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JP
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dna
hgh
brevis
bacillus brevis
growth hormone
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重三 鵜▲高▼
勉 梶野
陽子 太田
正名 平井
幸生 山田
文彦 星野
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Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異種遺伝子としてヒト
成長ホルモン(以下、「hGH」と略記する場合もあ
る)をコードするDNAを保持したバチルス・ブレビス
Bacillus brevis)によるhGHの製造法、ならびに
前記DNAおよびそのDNAを保持したバチルス・ブレ
ビスに関する。
【0002】
【従来の技術】hGHは191個のアミノ酸からなり、
そのアミノ酸配列は既に明らかにされている(Bancrof
t,F.C., Expl.Cell Res.,79,275-278(1973)または、Dav
id V.Goeddel ら,Nature, 281,544-548(1979)参
照)。本物質は、成長促進、脂肪代謝及び糖代謝作用等
を有することから小人症等の治療薬として古くから利用
され、さらに近年は老人性痴呆症の治療薬としても注目
されている。
【0003】今日まで多くの組換えDNA研究は、大腸
菌(E.coli)を用いて成されており、既に多くの異種蛋
白質が大腸菌内で生産されている。しかし、この方法で
は、生産された異種蛋白質は菌体内に蓄積されるため、
目的産物の菌体からの抽出及びその抽出液からの精製に
多大の時間と労力を要するだけでなく、目的とする物質
を完全な形で純粋に得ることが容易ではない。
【0004】一方、バチルス属に属する微生物は、古く
から種々の菌体外酵素の生産菌として工業的に利用され
ている。これら菌体外酵素のうち、バチルス・アミロリ
クイフアシエンス(Bacillus amyloliquefaciens ) の
α−アミラーゼ遺伝子(I.Palva ら,Gene, 22,229(198
3)) 、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus lichen
iformis )のペニシリナーゼ遺伝子(S.Chang ら,Mole
cular Cloning and Gene Regulation in Bacilli,Acade
mic Press,659,(1982)) や枯草菌(Bacillussubtilis)
のα−アミラーゼ遺伝子(H.Yamazakiら, J.Bacterio
l., 156,327(1983)) などが既にクローン化され、これ
らのプロモーター或いはシグナルペプチドを利用した異
種蛋白質の分泌生産が報告されている。
【0005】上記したバチルス属菌における異種蛋白質
の分泌生産には、主に枯草菌が宿主として用いられてい
るが、この微生物は菌体外プロテアーゼを多量に生産す
るため、組換えDNA技術により分泌された異種蛋白質
は分解を受け、その蓄積量は著しく減少する傾向があ
る。
【0006】これに対し、鵜▲高▼らは菌体外にプロテ
アーゼをほとんど生産しないバチルス・ブレビス47
(特開昭60−58074号、同62−201583号
公報;FERM P−7224)を宿主とし、そして本
菌株の主要菌体外蛋白質の一つであるMWP(Middle W
all Protein)(H.Yamagata ら, J.Bacteriol., 169,123
9(1987) 、塚越規弘、日本農芸化学会誌、61,68(1987)
参照) のプロモーター及びシグナルペプチドを利用し
て、α−アミラーゼ(特開昭62−201583号公
報、H.Yamagataら, J.Bacteriol., 169,1239(1987))や
ブタペプシノーゲン(鵜▲高▼重三、日本農芸化学会昭
和62年度大会講演要旨集p837−p838;塚越規
弘、日本農芸化学会誌、61,68(1987))の分泌生産に成功
している。
【0007】また、鵜▲高▼らはバチルス・ブレビスの
菌体外プロテアーゼを生産しない菌株バチルス・ブレビ
スHPD31(FERM BP−1087) を分離し、
これを宿主として耐熱性α−アミラーゼ( 特開昭63−
56277号公報、日本農芸化学会昭和62年度大会講
演要旨集、p27)、ヒトEGF(H.Yamagataら, Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA , 86,3589(1989) 、特開平2−3
1682号公報)の高分泌生産に成功している。
【0008】hGHについては、大腸菌(David V.Goed
del ら,Nature, 281,544-548(1979),Chang C N. ら,
Gene, 55,189-196(1987)) 、枯草菌(M.Honjoら、J.Biot
ech.,6 ,191-204(1987))、酵母(R.Hiramatsu ら,App
l.Environ.Microbiol. , 57,2052-2056(1991)) 、動物
細胞(Lupker J H. ら,Gene, 24,281-287(1983)) を宿
主とした生産が既に報告されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述のように大腸菌、
酵母及び動物細胞などを宿主としてhGHの生産が試み
られているが、いずれも精製の煩雑さや生産性などの点
で満足できるものとはいいがたい。したがって、本発明
の目的は、hGHの効率のよい生産を可能にする宿主−
ベクター系を提供すること、ならびにそれらを使用する
hGHの効率のよい製造法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】鵜▲高▼らは、異種蛋白
質生産のための宿主−ベクター系の開発を行ってきた
が、宿主としてバチルス・ブレビスが有利に使用できる
ことを見い出し、数種の異種蛋白質生産への利用を提案
してきた(例えば、前記特開昭63−56277号公
報)。一方、これらの宿主菌でhGHをコードするDN
Aを効率よく発現できる組換えプラスミドを作出すべく
研究を重ねたところ、宿主菌となるバチルス・ブレビス
に由来するプロモーターや、分泌に必要なDNAを特定
の態様で使用すると、hGHの発現にも有効であること
を見い出した。
【0011】したがって、前記課題は、バチルス・ブレ
ビス由来のプロモーター領域を含有するDNAの3′末
端にhGHをコードするDNAを結合させた組換えDN
Aの使用によって解決される。すなわち、本発明によれ
ば、前記組換えDNA、その組換えDNAを保持するバ
チルス・ブレビス及びかかるバチルス・ブレビスを栄養
培地に培養することにより、培養物からhGHを採取す
ることを特徴とするhGHの製造法が提供される。
【0012】
【具体的な態様】本発明で使用するhGHをコードする
DNAは、直接ヒトの脳下垂体から分離されたDNAの
他、公知のhGHのアミノ酸配列に基づき化学合成され
たDNA(Ikehara ら, Proc.Natl.Acad.Sci.USA , 8
1,5956(1984))のいずれでもよい。プロモーターは、バ
チルス・ブレビス(以下、「B・ブレビス」と略記する
場合もある)で機能するものであればB・ブレビスに属
するいずれの株に由来するものも使用できる。
【0013】例えば、具体的なものとしてはB・ブレビ
ス47(FERM P−7224)またはブレビスHP
D31(FERM BP−1087)の主要菌体外蛋白
質遺伝子のプロモーターが挙げられる。プロモーター領
域を含有するDNAは、上記プロモーター以外に、SD
配列、翻訳開始コドンなどを有していることが必要であ
り、さらに主要菌体外蛋白質遺伝子の一部を含んでいて
もよい。
【0014】これらのプロモーター領域を含有するDN
Aの3′末端にhGHをコードするDNAを結合させる
には、B・ブレビスの染色体から切り出してきたDNA
(T.Adachiら、J.Bacteriol ., 171 , 1010-1016(198
9) の3′末端にhGHをコードするDNAを結合させ
ればよい。hGHはB.ブレビスの菌体内、菌体外のい
ずれに蓄積されてもよいが、菌体外にhGHを蓄積する
場合、プロモーター領域を含有するDNAの3′末端側
にシグナルペプチドをコードする領域も含まれている必
要がある。シグナルペプチドとしては、例えば、B・ブ
レビス47あるいはB・ブレビスHPD31の主要菌体
外蛋白質のシグナルペプチドなどが挙げられる。特に、
B・ブレビス47のMWP(Middle Wall Protein)のシ
グナルペプチドはその一例である。
【0015】前記プロモーター領域を含有し、hGH遺
伝子の発現に用いる発現ベクターとしては、例えばpH
Y500,pNU200(特開平2−31682号公
報、鵜▲高▼重三、日本農芸化学会誌、61,669(1987))
などが挙げられる。これらの発現ベクターと上記DNA
を用いてhGH発現プラスミドを構築する方法は、例え
ば、Molecular Cloning 2nd.Ed.,A Laboratory Manual
(Cold Spring Harbor Laboratory(1990))に記載される
ように当該技術分野で既知であり、これらの方法に従っ
て目的の組換えDNA(hGH発現プラスミド)を構築
することができる。
【0016】かかる、hGH発現プラスミドの好ましい
ものとしては、後述の実施例で調製されるようなpNU
200−GHなどを挙げることができる。プラスミドの
構築に用いる宿主としては、大腸菌、枯草菌、B・ブレ
ビスに属する微生物であればいずれでも良く、例えば大
腸菌HB101、大腸菌JM109、枯草菌RM141
J.Bacteriol., 158,1054(1984))、B・ブレビス47
(FERM P−7224)などが挙げられる。
【0017】また遺伝子の発現に用いる宿主としては、
B・ブレビス47(FERM P−7224)、B・ブ
レビス47−5(FERM BP−1664) 、B・
ブレビスHPD31(FERM BP−1087) を始
めとする前記プラスミドの発現により生産されるhGH
に対して宿主自体が著しい悪影響を与えないものであれ
ばいずれも使用できる。特に、好ましいものとしては、
B・ブレビスHPD31からの変異処理で得られたB・
ブレビス31−OK(FERM BP−4573) を挙
げることができる。この変異菌は、hGHに対してプロ
テアーゼ活性を実質的に示さないので、培養物(特に、
菌体外)中に産生、蓄積したhGHを安定に維持でき
る。
【0018】宿主B・ブレビスを、前記hGH発現プラ
スミドで形質転換するには、例えばTakahashi らの方法
J.Bacteriol., 156,1130(1983))あるいはエレクトロ
ポレーションによる方法(H.Takagiら、Agric.Biol.Che
m., 53, 3099-3100(1989))などに記載される方法に従え
ばよい。こうして創製される形質転換体は、それらを栄
養培地で培養することにより、hGHを多量に生産しそ
の大部分は菌体外に分泌する。なお、宿主としてB・ブ
レビス31−OKを使用した場合には、菌体外に分泌さ
れたhGHが安定に維持できるので、培養物からhGH
を効率よく採取することが可能になる。
【0019】培養に用いる栄養培地には炭素源、窒素源
の他、無機塩類が必要に応じて含められる。また、糖と
無機塩類を主とする合成培地を用いて培養してもよい。
栄養要求性を示す菌株を用いる場合には、その生育に必
要な栄養物質を培地に添加することが望ましい。さら
に、必要であれば、培地に抗生物質や消泡剤などを加え
てもよい。培養条件としては、培地の初発pHを5.0〜
9.0、好ましくは6.5〜7.5に調節する。培養温
度は、通常15℃〜42℃、好ましくは24〜37℃で
あり、培養時間は通常16〜360時間、好ましくは2
4〜144時間である。
【0020】培養終了後、培養物からhGHを採取する
には、例えば遠心分離、ろ過などで菌体と上清を分離す
る。菌体内に産生されたhGHは、当該技術分野におけ
る常法、例えば超音波破砕法、フレンチプレス法などに
より菌体を破砕し、さらに必要ならば界面活性剤を加え
ることにより抽出される。次いで、このようにして得ら
れた培養上清または菌体抽出液中に含まれるhGHは、
常用されている蛋白質精製法、例えば塩析、等電点沈
澱、ゲルろ過、イオン交換、逆層などの各種クロマトグ
ラフィーなどにより精製され、目的とするhGHを得る
ことができる。
【0021】得られたhGHは、抗hGH抗体を用いた
酵素免疫測定法、あるいはHPLCを用いて定量するこ
とができる。また3T3−L1細胞に対する脂肪細胞分
化活性(細胞培養の技術(第2版)日本組織培養学会
編)からもhGHを定量することができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。実施例1ヒト成長ホルモン(hGH)発現ベクターの
構築及び形質転換体の調 プラスミドpGH−L9(Ikeharaら, Proc.Natl.Acad.
Sci.USA .,81,5956-5960(1984)参照) よりhGHをコー
ドする565bp HinfI−SalI断片を単離し
た。MWPのシグナルペプチドとhGHとを連結するた
めに、DNAリンカーを化学合成した。その合成リンカ
ーと前記のhGH遺伝子を含むHinfI−SalI断
片をT4DNAリガーゼにより連結し、596bp N
coI−SalI断片を得た。
【0023】一方、バチルス・ブレビス47(FERM
P−7224)の主要膜蛋白質の一つMWP(Middle
Wall Protein)のシグナルペプチドの内、C末端領域を
含むプラスミドpBR−AN2(特開平2−25787
6号公報参照)から27bpNcoI−SalI断片を
除去し、これに上記の596bp NcoI−SalI
断片を挿入してプラスミドpBR−AN2−GHを得
た。
【0024】プラスミドpBR−AN2−GHを、制限
酵素ApaLI,HindIII で処理して656bp
ApaLI−HindIII 断片を単離した。一方、プラ
スミドpNU200(鵜▲高▼重三、日本農芸化学会
誌、61,669-676(1987)参照)を制限酵素ApaLI,H
indIII で切断し、その大きい断片と上記656bp
【0025】ApaLI−HindIII 断片とをT4D
NAリガーゼで連結させた反応液を用いて、Takahashi
らの方法( J.Bacteriol., 156,1130(1983) 参照) によ
ってバチルス・ブレビス47−5(FERM BP−1
664,IFO 14698) の形質転換を行った。得
られたエリスロマイシン耐性の形質転換体からアルカリ
抽出法( Molecular Cloning 2nd ed.,A laboratory Ma
nual,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)参照) によ
ってプラスミドを単離し、これをpNU200−GHと
命名した。
【0026】さらに、プラスミドpNU200−GHを
制限酵素ApaLI,BclIで切断し、hGH遺伝子
を含むApaLI−BclI断片を得た。また、MWP
シグナル配列(図5(MWP);配列番号:1)の疎水
領域にLeu3個、正電荷領域にArg2個を付加した
改良シグナル配列R2L4(図5(R2L4);配列番
号:2)を有するプラスミドpNUR2L4を制限酵素
ApaLI,BclIで切断し、得られた約3.8kb
p ApaLI−BclI断片と上記hGH遺伝子を含
むDNA断片とをT4DNAリガーゼで結合し、プラス
ミドpNUR2L4−GHを得た。
【0027】上記のプラスミドpNU200−GH及び
pNUR2L4−GHを Takahashiの方法( J.Bacteri
ol., 156,1130(1983) 参照)によりバチルス・ブレビス
31−OK(FERM BP−4573) に導入し、形
質転換体を得た。得られた形質転換体の中から安定株を
分離し、これをバチルス・ブレビス31−OK(pNU
200−GH)及びバチルス・ブレビス31−OK(p
NUR2L4−GH)と命名した。
【0028】実施例2形質転換体の培養およびhGH
の分泌生産 実施例1で得られた形質転換体バチルス・ブレビス31
−OK(pNU200−GH)、バチルス・ブレビス3
1−OK(pNUR2L4−GH)及びその対照となる
バチルス・ブレビス31−OK(pNU200)、バチ
ルス・ブレビス31−OK(pNUR2L4)をポリペ
プトン3%、酵母エキス0.2%、グルコース3%、M
gSO4 ・7H2 O 0.01%、CaCl2 ・7H2
O 0.01%、MnSO4 ・4H2 O 0.001
%、FeSO4 ・7H2 O 0.001%、ZnSO4
・7H2 O 0.0001%およびエリスロマイシン1
0mg/L(pH7.2)からなる培地で30℃、3〜6日
間培養した。
【0029】上記培養液を遠心分離し、その上清のhG
H濃度を抗hGH抗体を用いた酵素免疫測定法により求
めた(表1)。なお、hGHの標準品としては、 Biopr
oducts社(生化学工業(株))から購入した物を用い
た。
【0030】
【表1】
【0031】次に、上記の培養上清を Laemmliの方法
Nature, 227,680(1970)参照) に準じてSDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動にかけた後、Burnetteの方
法(Anal.Biochem.,112,195(1981) 参照) に準じて抗h
GH抗体を用いてウェスタンブロティングを行った。そ
の結果、バチルス・ブレビス31−OK(pNU200
−GH)およびバチルス・ブレビス31−OK(pNU
R2L4−GH)の培養上清にはhGHが認められ、そ
の分子量は標準品のそれと一致した(図1)。
【0032】実施例3hGHの精製 実施例2で得られた培養上清100mlを限外ろ過(Fitr
on,Minisette Omega,10k cutoff)により前処理した後、
イオン交換(Pharmacia)、逆層(Pharmacia)、逆層(Wa
ters) の各クロマトグラフィーの順に精製してhGHの
精製標品2.3mgを得た。
【0033】実施例4hGH精製標品の性質 実施例3で得られたhGH精製標品の諸特性は以下の通
りであった。 HPLCの保持時間 逆層HPLCで調べた結果、得られたhGH精製標品は
ほぼ単一であり(図2)、その保持時間はhGH標準品
(Bioproducts社製) のそれと一致した。 PAGE 0.1%SDSを含む16%ポリアクリルアミドゲル電
気泳動で調べた結果、還元条件下、非還元条件下のいず
れの場合も、精製標品は標準品と同じ挙動を示した(図
3)。
【0034】 N末端アミノ酸配列 パルスリキッド自動エドマン分解(Applied Biosystems
社製、473A型)により精製標品のN末端アミノ酸配
列を調べた結果、精製標品の配列は文献(Bancroft,F.
C., Expl.Cell Res.,79,275-278(1973),David V.Goedde
lら,Nature, 281,544-548(1979)参照) のそれと、下
記のとおり一致した。
【0035】
【表2】
【0036】 生物活性 3T3−L1細胞に対する脂肪細胞への分化能を指標と
してhGHの生物活性(日本組織培養学会編、組織培養
の技術(第2版)p110-115 参照) を調べた結果、精製
標品は標準品と同等の生物活性を有していた(図4)。
【0037】参考例1バチルス・ブレビス(Bacillus
brevis)31−OKの創製 実施例1で得たプラスミドpNU200−GHを、Taka
hashi らの方法により親株バチルス・ブレビスHPD3
1(特開昭63−56277号公報、FERMBP−1
087)に導入し、バチルス・ブレビスHPD31(p
NU200−GH)を得た。その形質転換体をT2培地
に希釈懸濁し、T2プレートに塗抹した後、紫外線(2
J/m2 )に暴露した。
【0038】30℃で一晩培養し、得られたコロニーを
5YC培地に植菌し、30℃で6日間培養した。3日目
と6日目の培養液を採取し、培養上清液中に含まれるh
GH量を酵素免疫測定法により測定した。この際に、3
日目から6日目にかけて培養上清中のhGH量が増加し
ている1株を選択分離した。変異株と親株を比較する
と、親株では培養上清中のhGH量が3日目から6日目
にかけて減少するのに対して、得られた変異株は、3日
目以降もhGH量が増加するという顕著な違いを示し
た。変異株よりプラスミドを除去するために、変異株を
エリスロマイシンを含まないT2培地で繰り返し継代培
養した後、エリスロマイシン感受性でかつhGHを生産
しない株が容易に得られた。本菌株をバチルス・ブレビ
ス31−OKと命名した。
【0039】バチルス・ブレビス31−OK(FERM
BP−4573)の菌学的性質は、親菌株バチルス・
ブレビスHPD31(特開昭63−56277号公報参
照)と特定の異種蛋白質に対する作用が異なる点を除き
ほぼ同様な性状を示した。以下に、その主要な性質を示
す。
【0040】
【0041】
【0042】 ゼラチンの分解 − グルコースから酸の生成 − キシロース分解 − ラクトース分解 − マルトース分解 − アルギニン加水分解 − 生育できる pH 5.5〜8.5
【0043】形態的性質 細胞の大きさ 液体培地;0.9〜1.2×
3.9〜5.8μm 寒天培地;0.9〜1.2×2.9〜4.2μm 細胞の形 桿菌 細胞の多形性の有無 無 運動性の有無 有
【0044】参考例2プラスミドpNUR2L4の調
(1)プラスミドM13MWPの構築 pNU200を制限酵素EcoRI,HindIII(宝酒
造社製)で消化し、得られた約670bpのDNA断片
を、プラスミドM13mp18をEcoRI,Hind
III で消化したものに挿入し、プラスミドM13MWP
を得た。MWPプロモーターからシグナル配列までの塩
基配列は図5(MWP)(配列番号:1)に示した。
【0045】(2)プラスミドM13R2の構築 前記で得たM13MWP一本鎖DNAを鋳型として、合
成プライマーR2(図6)(配列番号:3)を用いて部
位特異的変異を行った。部位特異的変異はアマーシャム
キット (Oligonucleotide-directed in vitro mutagene
sis system, Amersham) によった。次にDNAの塩基配
列を確認し、得られた目的のプラスミドをM13R2と
した。
【0046】(3)プラスミドM13L4の構築 プラスミドM13MWP一本鎖DNAを鋳型として、合
成プライマーL4(図6)(配列番号:4)を用いて参
考例2−(2)と同様の方法にてプラスミドM13L4
を得た。 (4)プラスミドpNUR2L4の構築 (2)で得たM13R2をEcoRI,HpaIで消化
し、得られた228bpのDNA断片を(3)で得たM
13L4をHpaI,HindIII で消化し得られた1
08bpのDNA断片とを、pNU200をEcoR
I,HindIIIで消化したものに挿入しプラスミドp
NUR2L4を得た。本シグナル配列(R2L4)は図
5(R2L4)(配列番号:2)に示した。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、ヒト成長ホルモン(h
GH)を効率よく生産できる宿主−ベクター系が提供さ
れる。すなわち、宿主としてバチルス・ブレビスを使用
し、hGH発現プラスミドとしてバチルス・ブレビス由
来のプロモーター領域を含有するDNAの3′末端にh
GHをコードするDNAを結合させた組換えDNAを使
用することによりhGHを効率よく生産することができ
る。特に、宿主としてhGHに対してプロテアーゼ活性
を実質的に示さない変異バチルス・ブレビスを使用する
ことが有利である。
【0048】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:73 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:genomic DNA 起源 生物名:バチルス・ブレビス (Bacillus brevis) 株名:47(FERM P−7224) 特徴:バチルス・ブレビス47のMWPのシグナル配列 配列 ATG AAA AAG GTC GTT AAC AGT GTA TTG GCT AGT GCA CTC GCA CTT 45 Met Lys Lys Val Val Asn Ser Val Leu Ala Ser Ala Leu Ala Leu 1 5 10 15 ACT GTT GCT CCC ATG GCT TTC GCT GCAG 73 Thr Val Ala Pro Met Ala Phe Ala 20
【0049】配列番号:2 配列の長さ:88 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 起源 プラスミドpNUR2L4 特徴:バチルス・ブレビス47のMWPのシグナル配列
を改良したシグナル配列 配列 ATG AAA AAA AGA AGG GTC GTT AAC AGT GTA TTG CTT CTG CTA GCT 45 Met Lys Lys Arg Arg Val Val Asn Ser Val Leu Leu Leu Leu Ala 1 5 10 15 AGT GCA CTC GCA CTT ACT GTT GCT CCC ATG GCT TTC GCT GCAG 88 Ser Ala Leu Ala Leu Thr Val Ala Pro Met Ala Phe Ala 20 25
【0050】配列番号:3 配列の長さ:40 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 CACTGTTAAC GACCCTTCTT TTTTTCATGA CCTTGTGTTC 40
【0051】配列番号:4 配列の長さ:37 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 CCGTGCACTA GCTAGCAGAA GCAATACACT GTTAACG 37
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られた培養上清中のhGHと標準
品hGHをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に
かけた後、ウェスタンブロッティングを行った結果を示
す。
【図2】実施例4で得られたhGH精製標品の逆層HP
LCの結果を示す。(横軸は保持時間(分)を、↓はh
GHが溶出した時間(分)を示す。)
【図3】実施例4で得られたhGH精製標品のSDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動のパターンを還元、非
還元の両条件で標準品のそれと比較した結果を示す。
【図4】実施例4で得られたhGH精製標品と標準品の
3T3−L1細胞に対する脂肪細胞への分化能を指標と
する生物活性を比較して示すグラフである。
【図5】バチルス・ブレビス47のMWPのシグナル配
列(MWPとして示す)(配列番号:1)、およびこの
MWPのシグナル配列を改良したシグナル配列(R2L
4として示す)(配列番号:2)を示す図である。
【図6】MWPのシグナル配列をコードするDNAの部
位特異的変異に用いた合成プライマー(配列番号:3お
よび4)を図示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12P 21/02 C12R 1:08) (72)発明者 梶野 勉 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 太田 陽子 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 平井 正名 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 山田 幸生 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 星野 文彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1 株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 特開 平2−31682(JP,A) 特開 平2−257876(JP,A) 特開 昭62−201583(JP,A) Nature,1979年,Vol281, No.5732,p.544−548 Journal of Bioene rgetics and Biomem branes,1990年,Vol.22, No.3,p.233−269 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 JICSTファイル(JOIS) BIOSIS/WPI(DIALOG) SwissProt/PIR/GeneS eq GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq PubMed

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バチルス・ブレビス(Bacillus brevi
    s)由来のプロモーター領域を含有するDNAの3′末端に
    ヒト成長ホルモンをコードするDNAを結合させた組換えD
    NAであって、前記プロモーター領域を含有するDNAの
    3′末端側にバチルス・ブレビス47のMWP(Middle Wall
    Protein)由来の改良シグナル配列R2L4のアミノ酸配列
    (配列番号:2)をコードするDNAが含まれている組換
    えDNA。
  2. 【請求項2】 前記改良シグナル配列R2L4のアミノ酸配
    列(配列番号:2)をコードするDNAが配列番号:2のD
    NAである請求項1記載の組換えDNA。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の組換えDNAを
    保持するバチルス・ブレビス。
  4. 【請求項4】 請求項記載のバチルス・ブレビスを栄
    養培地で培養し、培養物からヒト成長ホルモンを採取す
    ることを特徴とするヒト成長ホルモンの製造法。
  5. 【請求項5】 バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)
    由来のプロモーター領域を含有するDNAの3′末端側に
    バチルス・ブレビス47のMWP由来の改良シグナル配列の
    アミノ酸配列(配列番号:2)をコードするDNAを有
    し、更に前記シグナル配列の3′末端側にヒト成長ホル
    モンをコードするDNAを結合させた組換えDNAを保持する
    バチルス・ブレビスを栄養培地で培養し、培養物からヒ
    ト成長ホルモンを採取することを特徴とするヒト成長ホ
    ルモンの製造法。
  6. 【請求項6】 培養されるバチルス・ブレビスがバチル
    ス・ブレビス31-OK(FERM-4573)である、請求項4また
    5記載のヒト成長ホルモンの製造法。
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Journal of Bioenergetics and Biomembranes,1990年,Vol.22, No.3,p.233−269
Nature,1979年,Vol281, No.5732,p.544−548

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