JP3485270B2 - 湿式摩擦材料 - Google Patents
湿式摩擦材料Info
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- JP3485270B2 JP3485270B2 JP22073293A JP22073293A JP3485270B2 JP 3485270 B2 JP3485270 B2 JP 3485270B2 JP 22073293 A JP22073293 A JP 22073293A JP 22073293 A JP22073293 A JP 22073293A JP 3485270 B2 JP3485270 B2 JP 3485270B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ブレーキパッドあるい
はクラッチフェーシングとして好適な優れたエネルギー
吸収能と高摩擦性能を備える焼結金属系の湿式摩擦材料
に関する。
はクラッチフェーシングとして好適な優れたエネルギー
吸収能と高摩擦性能を備える焼結金属系の湿式摩擦材料
に関する。
【0002】
【従来の技術】相対する摩擦面間に潤滑油などの液体が
介在する状態で使用される湿式摩擦材料は、ブレーキパ
ッドやクラッチフェーシングとして有用されている。こ
の湿式摩擦材料には、ペーパー系、ゴム系などのものも
あるが、現状では主に耐熱性および機械的強度に優れる
焼結金属系が用いられている。
介在する状態で使用される湿式摩擦材料は、ブレーキパ
ッドやクラッチフェーシングとして有用されている。こ
の湿式摩擦材料には、ペーパー系、ゴム系などのものも
あるが、現状では主に耐熱性および機械的強度に優れる
焼結金属系が用いられている。
【0003】焼結金属系の湿式摩擦材料としては、従来
からCuを主成分としSn、Zn、Al、Al2 O3 、
SiO2 、MoS2 等を添加した組成成分を焼結した銅
合金系材質のものが主流となっているが、これら金属お
よびセラミック粉末に加えて黒鉛その他の炭素質粉末を
有効成分として添加する試みがなされている。すなわ
ち、黒鉛は本来的に優れた潤滑性と熱的・化学的安定性
を備えているため従来から摩擦材料のフィラーとして用
いられてきた(例えば特開昭61−67736 号公報)が、炭
素質物の添加による一層の材質改善を図ったものとし
て、摩擦調整材の一部もしくは全部を結晶格子定数C0
が6.75〜6.85のセミ黒鉛で構成することにより
潤滑性の温度影響を除いた摩擦材(特開昭64−49726 号
公報)、フィラーとして膨張黒鉛を含有する高弾性の摩
擦材料(特開平3−282028号公報)、黒鉛粉末を10〜
30wt%、気孔率が10〜20%のコークス粉末を3〜
15wt%含有し、残部が銅を主体とした金属成分粉末の
焼結体からなる安定した高摩擦係数を有する湿式摩擦材
料(特開平5−32955 号公報)などが提案されている。
からCuを主成分としSn、Zn、Al、Al2 O3 、
SiO2 、MoS2 等を添加した組成成分を焼結した銅
合金系材質のものが主流となっているが、これら金属お
よびセラミック粉末に加えて黒鉛その他の炭素質粉末を
有効成分として添加する試みがなされている。すなわ
ち、黒鉛は本来的に優れた潤滑性と熱的・化学的安定性
を備えているため従来から摩擦材料のフィラーとして用
いられてきた(例えば特開昭61−67736 号公報)が、炭
素質物の添加による一層の材質改善を図ったものとし
て、摩擦調整材の一部もしくは全部を結晶格子定数C0
が6.75〜6.85のセミ黒鉛で構成することにより
潤滑性の温度影響を除いた摩擦材(特開昭64−49726 号
公報)、フィラーとして膨張黒鉛を含有する高弾性の摩
擦材料(特開平3−282028号公報)、黒鉛粉末を10〜
30wt%、気孔率が10〜20%のコークス粉末を3〜
15wt%含有し、残部が銅を主体とした金属成分粉末の
焼結体からなる安定した高摩擦係数を有する湿式摩擦材
料(特開平5−32955 号公報)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、青銅系
焼結材からなる摩擦材料において特に摩擦時のエネルギ
ー吸収能と添加黒鉛粉末との関係に着目して鋭意研究を
重ねた結果、フィラー成分の組成比を特定範囲に設定
し、かつ特定性状の黒鉛粉末を添加すると優れたエネル
ギー吸収能を発揮する摩擦材料が得られることを確認し
た。
焼結材からなる摩擦材料において特に摩擦時のエネルギ
ー吸収能と添加黒鉛粉末との関係に着目して鋭意研究を
重ねた結果、フィラー成分の組成比を特定範囲に設定
し、かつ特定性状の黒鉛粉末を添加すると優れたエネル
ギー吸収能を発揮する摩擦材料が得られることを確認し
た。
【0005】本発明は前記に知見に基づいて開発された
もので、その目的は、優れたエネルギー吸収能を発揮
し、常に安定した高摩擦性能を保有する金属焼結系の湿
式摩擦材料を提供することにある。
もので、その目的は、優れたエネルギー吸収能を発揮
し、常に安定した高摩擦性能を保有する金属焼結系の湿
式摩擦材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による湿式摩擦材料は、C:20〜30重量
%、Sn:2〜8重量%、SiO2 :4〜10重量%、
残部がCuからなり、前記Cが平均粒子径20〜60μ
m で粒子径5〜100μm の粒分が90%以上の粒子性
状を有し、かつ黒鉛結晶面間C0 の層間距離が0.67
2nm以下の黒鉛粉末である組成の青銅系成分を焼結して
なることを構成上の特徴とする。
めの本発明による湿式摩擦材料は、C:20〜30重量
%、Sn:2〜8重量%、SiO2 :4〜10重量%、
残部がCuからなり、前記Cが平均粒子径20〜60μ
m で粒子径5〜100μm の粒分が90%以上の粒子性
状を有し、かつ黒鉛結晶面間C0 の層間距離が0.67
2nm以下の黒鉛粉末である組成の青銅系成分を焼結して
なることを構成上の特徴とする。
【0007】本発明の湿式摩擦材料は、Cuを主体と
し、これに特定範囲のC、SnおよびSiO2 を添加配
合したフィラー組成からなる。添加成分のうち、Snは
焼結時にCuに固溶して焼結を促進し、750〜850
℃範囲での焼結化を可能にすると共に焼結体の開気孔率
を増大させる成分となる。その配合量は2〜8重量%と
する必要があり、2重量%未満ではCuの焼結が困難と
なり、8重量%を越えるとSn成分の凝固偏析を生じて
摩擦性能を劣化させる原因となる。SiO2 は、耐摩耗
性を付与し、同時に相手部材を適度に削磨して新たな摩
擦面を露出させることにより摩擦性能を安定させる成分
となるもので、4〜10重量%の範囲で添加する。この
添加量が4重量%未満であると耐摩耗性および摩擦係数
が低下し、10重量%を越えると相手部材に対する削磨
性が増大し過ぎるうえ焼結体の強度低下を招く。
し、これに特定範囲のC、SnおよびSiO2 を添加配
合したフィラー組成からなる。添加成分のうち、Snは
焼結時にCuに固溶して焼結を促進し、750〜850
℃範囲での焼結化を可能にすると共に焼結体の開気孔率
を増大させる成分となる。その配合量は2〜8重量%と
する必要があり、2重量%未満ではCuの焼結が困難と
なり、8重量%を越えるとSn成分の凝固偏析を生じて
摩擦性能を劣化させる原因となる。SiO2 は、耐摩耗
性を付与し、同時に相手部材を適度に削磨して新たな摩
擦面を露出させることにより摩擦性能を安定させる成分
となるもので、4〜10重量%の範囲で添加する。この
添加量が4重量%未満であると耐摩耗性および摩擦係数
が低下し、10重量%を越えると相手部材に対する削磨
性が増大し過ぎるうえ焼結体の強度低下を招く。
【0008】上記の青銅系成分には、必要に応じてZn
を8重量%以下の量比で添加することができる。Znは
Snと同様に焼結助剤および開気孔率形成剤として機能
する成分となる。このため、Sn量を多くした際には無
添加でもよいが、高価なSnの添加量を少なくしてZn
を添加することが良好な配合手段となる。しかし、Zn
の添加量が8重量%を上廻ると凝固偏析を生じて摩擦性
能の低下原因となる。
を8重量%以下の量比で添加することができる。Znは
Snと同様に焼結助剤および開気孔率形成剤として機能
する成分となる。このため、Sn量を多くした際には無
添加でもよいが、高価なSnの添加量を少なくしてZn
を添加することが良好な配合手段となる。しかし、Zn
の添加量が8重量%を上廻ると凝固偏析を生じて摩擦性
能の低下原因となる。
【0009】C成分としては、平均粒子径が20〜60
μm の範囲にあり、粒子径5〜100μm の粒分含有率
が90%以上の粒子性状を有し、かつ黒鉛結晶を構成す
るC0 面間の層間距離が0.672nm以下の黒鉛化が進
んだ黒鉛粉末を選択使用し、20〜35重量%の量比で
添加する。粒子性状を前記の範囲に限定する理由は、平
均粒子径20〜60μm で粒子径5〜100μm の粒分
が90%以上の条件を満たす場合に優れたエネルギー吸
収能が付与され、安定した摩擦性能と高い材質強度の保
持が可能となるためである。例えば、5μm 未満の微細
黒鉛粉末が多くなるとCu合金マトリックスの結合を分
断して焼結体の強度低下を招き、逆に100μm を上廻
る粒分が多くなると摩擦係数が減退する。黒鉛結晶面間
C0 の層間距離が0.672nm以下の黒鉛粉末を用いる
のは、この高黒鉛性が摩擦特性を安定化させるために不
可欠な要素となるからである。また、該黒鉛粉末の添加
量を20〜35重量%の範囲に設定するのは、20重量
%を下廻ると上記の諸効果が発揮されず、また35重量
%を越えると焼結体の強度ならびに摩擦係数の低下が生
じるためである。
μm の範囲にあり、粒子径5〜100μm の粒分含有率
が90%以上の粒子性状を有し、かつ黒鉛結晶を構成す
るC0 面間の層間距離が0.672nm以下の黒鉛化が進
んだ黒鉛粉末を選択使用し、20〜35重量%の量比で
添加する。粒子性状を前記の範囲に限定する理由は、平
均粒子径20〜60μm で粒子径5〜100μm の粒分
が90%以上の条件を満たす場合に優れたエネルギー吸
収能が付与され、安定した摩擦性能と高い材質強度の保
持が可能となるためである。例えば、5μm 未満の微細
黒鉛粉末が多くなるとCu合金マトリックスの結合を分
断して焼結体の強度低下を招き、逆に100μm を上廻
る粒分が多くなると摩擦係数が減退する。黒鉛結晶面間
C0 の層間距離が0.672nm以下の黒鉛粉末を用いる
のは、この高黒鉛性が摩擦特性を安定化させるために不
可欠な要素となるからである。また、該黒鉛粉末の添加
量を20〜35重量%の範囲に設定するのは、20重量
%を下廻ると上記の諸効果が発揮されず、また35重量
%を越えると焼結体の強度ならびに摩擦係数の低下が生
じるためである。
【0010】上記のフィラー要件に加えて、焼結体とし
ての開気孔率が15〜20容量%であり、抗折力が20
MPa以上の特性を保持することが好ましい。開気孔率
は介在する油を含浸担持するために有効な特性であり、
これが15容量%未満では油の含浸担持能力が不足し、
20容量%を越えると強度低下を生じる。また、抗折力
は実用性のある材質強度を保持する要件で、20MPa
以上、実用上は20〜60MPaの範囲に調整する。こ
れら開気孔率および抗折力の特性は、焼結体を得る際の
成形圧力、焼成温度等の条件制御によって付与すること
ができる。
ての開気孔率が15〜20容量%であり、抗折力が20
MPa以上の特性を保持することが好ましい。開気孔率
は介在する油を含浸担持するために有効な特性であり、
これが15容量%未満では油の含浸担持能力が不足し、
20容量%を越えると強度低下を生じる。また、抗折力
は実用性のある材質強度を保持する要件で、20MPa
以上、実用上は20〜60MPaの範囲に調整する。こ
れら開気孔率および抗折力の特性は、焼結体を得る際の
成形圧力、焼成温度等の条件制御によって付与すること
ができる。
【0011】本発明の湿式摩擦材料は、上記した青銅系
フィラー成分を焼結して構成されるが、この焼結体は次
のようにして製造することができる。まず、好ましくは
電解銅粉のようなCu粉末に、フィラー全量に対する配
合割合として2〜35重量%の黒鉛粉末、2〜8重量%
のSn粉末、4〜10重量%のSiO2 粉末および必要
に応じて8重量%以下のZn粉末を添加する。黒鉛粉末
は、黒鉛結晶面間C0の層間距離が0.672nm以下に
なるまで黒鉛化した黒鉛材を、平均粒子径が20〜60
μm で含有する粒子径5〜100μm の粒分が90%以
上になるように粉砕・分級したものを使用する。Sn粉
末およびZn粉末としては、粒度200メッシュ以下の
アトマイズド粉またはスタンプ粉を用いることが好まし
く、SiO2 粉末としては5〜50μm の微粉末を適用
することが望ましい。
フィラー成分を焼結して構成されるが、この焼結体は次
のようにして製造することができる。まず、好ましくは
電解銅粉のようなCu粉末に、フィラー全量に対する配
合割合として2〜35重量%の黒鉛粉末、2〜8重量%
のSn粉末、4〜10重量%のSiO2 粉末および必要
に応じて8重量%以下のZn粉末を添加する。黒鉛粉末
は、黒鉛結晶面間C0の層間距離が0.672nm以下に
なるまで黒鉛化した黒鉛材を、平均粒子径が20〜60
μm で含有する粒子径5〜100μm の粒分が90%以
上になるように粉砕・分級したものを使用する。Sn粉
末およびZn粉末としては、粒度200メッシュ以下の
アトマイズド粉またはスタンプ粉を用いることが好まし
く、SiO2 粉末としては5〜50μm の微粉末を適用
することが望ましい。
【0012】上記の組成を有するフィラー成分は均一に
機械混合し、圧粉成形したのち加圧下に焼結処理する。
圧粉成形はフィラー成分を金型に充填し、100〜10
00MPaの範囲内で得られる焼結体の開気孔率を考慮
した加圧力を適用しておこなう。焼結処理は、1〜10
MPaの圧力を付与した状態で還元性もしくは不活性雰
囲気下750〜850℃の温度域で実施する。この際の
適用圧力および焼結温度範囲は、得られる焼結体に開気
孔率および材質強度のバランズを考慮して条件設定され
る。得られた焼結体は、最終的に摩擦材形状に沿う加工
を施して製品とする。
機械混合し、圧粉成形したのち加圧下に焼結処理する。
圧粉成形はフィラー成分を金型に充填し、100〜10
00MPaの範囲内で得られる焼結体の開気孔率を考慮
した加圧力を適用しておこなう。焼結処理は、1〜10
MPaの圧力を付与した状態で還元性もしくは不活性雰
囲気下750〜850℃の温度域で実施する。この際の
適用圧力および焼結温度範囲は、得られる焼結体に開気
孔率および材質強度のバランズを考慮して条件設定され
る。得られた焼結体は、最終的に摩擦材形状に沿う加工
を施して製品とする。
【0013】
【作用】本発明に係る湿式摩擦材料によれば、C:20
〜35重量%、Sn:2〜8重量%、残部がCuからな
るか、これに必要に応じてZn:8重量%以下を配合し
た青銅系成分のフィラー組成が、焼結体に適度の気孔率
と実用範囲の材質強度を与え、同時に優れた耐摩耗性と
安定した摩擦性能ならびに相手材に対する適度の削磨性
を付与するために機能する。特にC成分として平均粒子
径20〜60μmで粒子径5〜100μm の粒分含有率
が90%以上の粒子性状を有し、かつ黒鉛結晶面間C0
の層間距離が0.672nm以下の黒鉛粉末を選択的に配
合することにより、摩擦時のエネルギー吸収能が増大
し、一層安定した高水準の摩擦特性を保持させることが
可能となる。
〜35重量%、Sn:2〜8重量%、残部がCuからな
るか、これに必要に応じてZn:8重量%以下を配合し
た青銅系成分のフィラー組成が、焼結体に適度の気孔率
と実用範囲の材質強度を与え、同時に優れた耐摩耗性と
安定した摩擦性能ならびに相手材に対する適度の削磨性
を付与するために機能する。特にC成分として平均粒子
径20〜60μmで粒子径5〜100μm の粒分含有率
が90%以上の粒子性状を有し、かつ黒鉛結晶面間C0
の層間距離が0.672nm以下の黒鉛粉末を選択的に配
合することにより、摩擦時のエネルギー吸収能が増大
し、一層安定した高水準の摩擦特性を保持させることが
可能となる。
【0014】また、焼結体組織の開気孔率が15〜20
容量%で、抗折力が20MPaの特性は、介在する潤滑
油等の液体を気孔内部に含浸担持して摩擦時のエネルギ
ー吸収能を高める作用をなし、同時に実用的な材質強度
を保持して安定した摩擦性能が付与される。
容量%で、抗折力が20MPaの特性は、介在する潤滑
油等の液体を気孔内部に含浸担持して摩擦時のエネルギ
ー吸収能を高める作用をなし、同時に実用的な材質強度
を保持して安定した摩擦性能が付与される。
【0015】このような作用が相俟って、ブレーキパッ
ドあるいはクラッチフェーシングとした場合に常に安定
した高摩擦性能が発揮される。
ドあるいはクラッチフェーシングとした場合に常に安定
した高摩擦性能が発揮される。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
体的に説明する。
【0017】実施例1〜11、比較例1〜12
Cu粉末(電解銅粉)に対しSn粉末(スタンプ粉、20
0#以下) 、Zn粉末(スタンプ粉、200#以下) 、SiO
2 粉末(珪石粉、平均粒径17μm )および特定性状を有
する黒鉛粉末からなるC粉末を、表1に示す割合で配合
し、V型混合機により20分間乾式混合して均質な混合
粉末を調製した。これら青銅系フィラーの混合粉末を外
径335mm、内径280mmのリング状金型に充填したの
ち、所定の圧力を適用して圧粉成形し、厚さ1.5mmの
円板成形体を得た。ついで、各成形体を鉄芯板の両面に
配置して所定の加圧力を付与しながら還元性雰囲気下で
所定温度に加熱焼結して摩擦材料を作製した。該摩擦材
料平面研削加工し、更に油溝として螺旋溝および放射溝
(中心から外側に両面で38本) を加工して摩擦板を得
た。
0#以下) 、Zn粉末(スタンプ粉、200#以下) 、SiO
2 粉末(珪石粉、平均粒径17μm )および特定性状を有
する黒鉛粉末からなるC粉末を、表1に示す割合で配合
し、V型混合機により20分間乾式混合して均質な混合
粉末を調製した。これら青銅系フィラーの混合粉末を外
径335mm、内径280mmのリング状金型に充填したの
ち、所定の圧力を適用して圧粉成形し、厚さ1.5mmの
円板成形体を得た。ついで、各成形体を鉄芯板の両面に
配置して所定の加圧力を付与しながら還元性雰囲気下で
所定温度に加熱焼結して摩擦材料を作製した。該摩擦材
料平面研削加工し、更に油溝として螺旋溝および放射溝
(中心から外側に両面で38本) を加工して摩擦板を得
た。
【0018】得られた各摩擦材料(焼結体)の開気孔率
および抗折力を測定し、成形および焼結条件と併せて表
2に示した。なお、開気孔率の測定は真空中で焼結体に
水を含浸させ、その含浸量から算出した。また、抗折力
の測定は焼結体から幅15mm、長さ35mmの試片を切り
出し、25mmのスパンによる3点曲げ法(試験速度2mm
/minによる破壊荷重測定)によった。
および抗折力を測定し、成形および焼結条件と併せて表
2に示した。なお、開気孔率の測定は真空中で焼結体に
水を含浸させ、その含浸量から算出した。また、抗折力
の測定は焼結体から幅15mm、長さ35mmの試片を切り
出し、25mmのスパンによる3点曲げ法(試験速度2mm
/minによる破壊荷重測定)によった。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】次に、上記の各摩擦板につき、下記の条件
で慣性型試験機により摩擦試験をおこない、限界状況と
なった時点の周速、停止時間、限界数値、摩擦係数およ
び異常発生状況(焼付以外)を表3に示した。摩擦試験
条件;摩擦板(摩擦面積292.2cm2、有効半径0.1550m)を
各3枚用い、相手材としてS45Cを4枚使って交互に
組み合わせて摩擦面数6面とした。慣性モーメントを1
0.5kgfms2、係合い面圧を20kgf/cm2 にそれぞれ設
定し、周速を6.5m/s から0.8m/s づつ上昇してト
ルク波形の異常などの限界状況が発生するまで摩擦試験
をおこなった。潤滑油にはエンジン油〔三菱石油(株)
製、SAE#30〕を用い、油温70℃、供給油量20ml/c
m2.minとした。なお、周速は焼付きが発生した時点の周
速で、数値が大きいほど高負荷条件で使用できることを
示す。限界数値はエネルギー吸収量を見掛け上の摩擦面
積当たりの慣性体の回転運動エネルギーで示し、エネル
ギー吸収量を停止時間で除したエネルギー吸収工率の値
で示した場合に〔エネルギー吸収量(kgfm/cm2)×エネル
ギー吸収工率(kgfm/cm2/s)〕で算出した値であり、焼付
き発生時の負荷に相当する。したがって、数値が大きい
ほど焼付きなしに高負荷条件で使用し得ることを示す。
また、摩擦係数は周速10m/s 時のトルクから〔μ=T
/P×Z×R〕式(但し、Tはトルク、Pは総押付け
力、Zは摩擦面数、Rは有効半径)で算出した値で、大
きいほど摩擦性能が高いことを示すものである。
で慣性型試験機により摩擦試験をおこない、限界状況と
なった時点の周速、停止時間、限界数値、摩擦係数およ
び異常発生状況(焼付以外)を表3に示した。摩擦試験
条件;摩擦板(摩擦面積292.2cm2、有効半径0.1550m)を
各3枚用い、相手材としてS45Cを4枚使って交互に
組み合わせて摩擦面数6面とした。慣性モーメントを1
0.5kgfms2、係合い面圧を20kgf/cm2 にそれぞれ設
定し、周速を6.5m/s から0.8m/s づつ上昇してト
ルク波形の異常などの限界状況が発生するまで摩擦試験
をおこなった。潤滑油にはエンジン油〔三菱石油(株)
製、SAE#30〕を用い、油温70℃、供給油量20ml/c
m2.minとした。なお、周速は焼付きが発生した時点の周
速で、数値が大きいほど高負荷条件で使用できることを
示す。限界数値はエネルギー吸収量を見掛け上の摩擦面
積当たりの慣性体の回転運動エネルギーで示し、エネル
ギー吸収量を停止時間で除したエネルギー吸収工率の値
で示した場合に〔エネルギー吸収量(kgfm/cm2)×エネル
ギー吸収工率(kgfm/cm2/s)〕で算出した値であり、焼付
き発生時の負荷に相当する。したがって、数値が大きい
ほど焼付きなしに高負荷条件で使用し得ることを示す。
また、摩擦係数は周速10m/s 時のトルクから〔μ=T
/P×Z×R〕式(但し、Tはトルク、Pは総押付け
力、Zは摩擦面数、Rは有効半径)で算出した値で、大
きいほど摩擦性能が高いことを示すものである。
【0022】
【表3】
【0023】表1〜表3を考察して明らかなとおり、実
施例による摩擦材料はいずれも吸収エネルギー限界数値
が高く、かつ比較的優れた摩擦係数を示している。しか
し、実施例10および11は焼結体の開気孔率が15容
量%を下廻っているため、摩擦特性が低下傾向を示し
た。これに対し、本発明の条件を外れる比較例では、限
界数値および摩擦係数が相対的に低く、焼付き現象以外
の異常発生も多く認められた。
施例による摩擦材料はいずれも吸収エネルギー限界数値
が高く、かつ比較的優れた摩擦係数を示している。しか
し、実施例10および11は焼結体の開気孔率が15容
量%を下廻っているため、摩擦特性が低下傾向を示し
た。これに対し、本発明の条件を外れる比較例では、限
界数値および摩擦係数が相対的に低く、焼付き現象以外
の異常発生も多く認められた。
【0024】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば特定配合
比率によりC、Sn、SiO2 (Zn)を配合したCu
を主体とする組成の青銅系成分をフィラーとし、このう
ちC成分を特定の粒子性状と黒鉛化度を有する黒鉛粉末
とした焼結体からなり、優れたエネルギー吸収能ならび
に高摩擦性能を備えた湿式摩擦材料を提供することがで
きる。したがって、高性能が要求されるブレーキバッド
あるいはクラッチフェーシングとして極めて有用であ
る。
比率によりC、Sn、SiO2 (Zn)を配合したCu
を主体とする組成の青銅系成分をフィラーとし、このう
ちC成分を特定の粒子性状と黒鉛化度を有する黒鉛粉末
とした焼結体からなり、優れたエネルギー吸収能ならび
に高摩擦性能を備えた湿式摩擦材料を提供することがで
きる。したがって、高性能が要求されるブレーキバッド
あるいはクラッチフェーシングとして極めて有用であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C09K 3/14
F16D 69/00 - 69/04
Claims (3)
- 【請求項1】 C:20〜35重量%、Sn:2〜8重
量%、SiO2 :4〜10重量%、残部がCuからな
り、前記Cが平均粒子径20〜60μm で粒子径5〜1
00μm の粒分が90%以上の粒子性状を有し、かつ黒
鉛結晶面間C0の層間距離が0.672nm以下の黒鉛粉
末である組成の青銅系成分を焼結してなることを特徴と
する湿式摩擦材料。 - 【請求項2】 青銅系成分としてZn:8重量%以下を
添加した請求項1記載の湿式摩擦材料。 - 【請求項3】 開気孔率が15〜20容量%、抗折力が
20MPa以上である請求項1又は2記載の湿式摩擦材
料。
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JP22073293A JP3485270B2 (ja) | 1993-08-12 | 1993-08-12 | 湿式摩擦材料 |
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JP22073293A JP3485270B2 (ja) | 1993-08-12 | 1993-08-12 | 湿式摩擦材料 |
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-
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