JP3468246B2 - アスファルト改質用ブロック共重合体 - Google Patents
アスファルト改質用ブロック共重合体Info
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Description
ジエンブロック共重合体(但し、スズ系カップリング剤
でカップリングされたブロック共重合体を除く)に関す
るものである。さらに詳しく述べれば、本発明は、アス
ファルト用改質剤として用い、その感温特性、特に低温
での伸度とタフネス、テナシティー、針入度、軟化点等
の物性バランスを改良し、更に加工性とのバランスを向
上させる、道路舗装用、ルーフィング用、防水シート用
などに好適な、特定の構造を有するスチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体(但し、スズ系カップリング剤でカ
ップリングされた共重合体を除く)に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】従来、アスファルト組成物は、道路舗
装、防水シート、遮音シート、ルーフィング等の用途に
広く使用されている。その際、アスファルトに種々のポ
リマーを添加して、その性質を改良しようとする試みが
多くなされている。 【0003】そのポリマーの具体例としては、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート
共重合体、ゴムラテックス、共役ジエンとビニル芳香族
炭化水素とからなるブロック共重合体等が使用されてい
る。 【0004】しかしながら、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体をアスフ
ァルトに添加したアスファルト組成物は、道路舗装の場
合に低温特性に劣り、そのために可撓性を示す充分な伸
度性能が不足する等で、冬場のひび割れが発生して好ま
しくない。 【0005】一方、ゴムラテックスは、いわゆるI型に
分類される改質剤として、例えば低温特性に優れること
などの理由から広く使用されているが、アスファルトと
混合する際、ラテックス中に含有される多量の水分を蒸
発させる必要があるためにそのプロセスや、加工性が非
常に煩雑となって、しかも水分蒸発に必要な加熱コスト
の点で、経済的にも問題があった。 【0006】近年、熱可塑性のエラストマー、即ち共役
ジエンとビニル芳香族炭化水素とからなるブロック共重
合体がアスファルトの改質剤として用いられている。該
共重合体をアスファルト改質剤として使用する場合は、
プロセス上、クラムやペレットといった固体形状での使
用が可能であるために、アスファルトとの配合物とする
際に、上述したゴムラテックスのような水分蒸発等のプ
ロセスは不要であり、又、加工性の点でも簡便であると
いう利点がある。 【0007】例えば、特公昭47−17319号公報や
特公昭59−36949号公報などには、ブロック共重
合体を改質剤として使用しており、アスファルト配合物
の感温特性は改良されてはいるものの、タフネスやテナ
シティーといった機械強度は不充分であり、特に、低温
での伸度改良といった極めて高度な感温特性は達成され
ていない。 【0008】そのために、改質剤の配合量を増加するこ
とで改質効果を高める方法が一般にはとられるが、配合
時間が長くなり、また配合物の溶融粘度も高くなるなど
加工性が損なわれるだけでなく、経済性にも劣るなどの
不利益な問題がある。 【0009】このように、アスファルトのタフネス、テ
ナシティーなどの高い機械的強度と、特に低温でラテッ
クス並の高い伸度が発現する優れた低温特性を有し、更
に優れた加工性を満足させうるアスファルト改質剤は、
これまで見出されていない。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の熱可塑性エラストマーが持つ低温特性を解決し、
ラテックスと同等以上の低温伸度を有し、かつラテック
ス以上の高い軟化点やタフネス、テナシティー等の機械
強度を同時に満足させ、更に、良好な加工性を有するア
スファルト用改質剤を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の好ま
しい物性を発現するアスファルト改質剤を開発するため
に、鋭意検討を重ねた結果、基本的に上記(b)/(a)比=
0.2〜0.8の特定の構造を有するビニル芳香族化合
物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体(但し、ス
ズ系カップリング剤でカップリングされたブロック共重
合体を除く)がその目的を達成することを見出し、本発
明を完成するに至った。 【0012】すなわち、本発明は;全ビニル芳香族化合
物含有量が20〜50重量%、ビニル芳香族化合物を主
体とするブロック含有量が5〜30重量%であり、前者
に対する後者の比が0.2〜0.8のビニル芳香族化合
物と共役ジエンとのブロック共重合体(但し、スズ系カ
ップリング剤でカップリングされたブロック共重合体を
除く)であって、 【0013】更に、ビニル芳香族化合物を主体とするブ
ロックが、異なる分子鎖長を有する少くとも2個のビニ
ル芳香族化合物を主体とするブロックよりなり、最大鎖
長に対する最小鎖長の比が0.1〜0.9、かつ最小鎖
長のビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量
が0.1〜1.0万である、低温伸度に優れたアスファ
ルト改質用熱可塑性エラストマーに関する。 【0014】以下、本発明を詳細に述べる。本発明のビ
ニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体
(但し、スズ系カップリング剤でカップリングされたブ
ロック共重合体を除く)は、(a)全ビニル芳香族化合
物含有量が20〜50重量%、(b)ビニル芳香族化合
物を主体とするブロック含有量が5〜30重量%であ
り、(c)前者に対する後者の比が0.2〜0.8であ
る。 【0015】ここで、ビニル芳香族化合物を主体とする
ブロックとは、ビニル芳香族化合物を70重量%以上、
好ましくは85重量%以上含有するビニル芳香族化合物
単独又は共役ジエンとの共重合体ブロックである。該ビ
ニル芳香族化合物を主体とするブロック重合体の形成に
関与しない残余のビニル芳香族化合物は、共役ジエンと
の所謂、ランダム共重合体を形成するが、その結合様式
は均一であってもよいし、テーパー形状の様な不均一で
あってもよい。 【0016】更に、(d)ビニル芳香族化合物を主体と
するブロックは、少くとも2個のビニル芳香族化合物を
主体とするブロックよりなる。ここで、ビニル芳香族化
合物−共役ジエンブロック共重合体の構造は、直鎖状で
あっても分岐状であってもよいが、直鎖状の方が好まし
い。 【0017】本発明のブロック共重合体中の全ビニル芳
香族化合物含有量(a)が20重量%未満の場合、アス
ファルト改質剤として用いてもタフネス・テナシティー
等の機械強度や軟化点、更に、充分な伸度を発現させる
ことができない。 【0018】また、50重量%を越える場合は、フラー
ス脆化点や、低温伸度などの低温可撓性が著しく低下す
る。より好ましくは、全ビニル芳香族化合物含有量が3
0〜40重量%の範囲にある場合である。 【0019】また、本発明のビニル芳香族化合物−共役
ジエンブロック共重合体のビニル芳香族化合物を主体と
するブロック含有量(b)は5〜30重量%であること
が必要である。ビニル芳香族化合物を主体とするブロッ
ク含有量(b)が5重量%未満では、充分な凝集力が得
られず、従って、アスファルト配合物の軟化点、タフネ
ス・テナシティーなどの機械強度に乏しい。 【0020】一方、30重量%を越える場合は伸度改良
効果に乏しい。好ましくは7〜25重量%、更に好しく
は10〜20重量%の場合である。更に、本発明のブロ
ック共重合体は、先述したように、ビニル芳香族化合物
と共役ジエンとのランダム共重合体より成るエラストマ
ー部分を含有する。 【0021】本発明の目的とする低温伸度に優れ、か
つ、高い軟化点とタフネス・テナシティーなどの高度な
バランスを有するアスファルト改質効果を達成するに
は、ビニル芳香族化合物を主体とするブロックとランダ
ム共重合体との極めて限定された範囲でのバランスが必
要である。 【0022】即ち、本発明のブロック共重合体(但し、
スズ系カップリング剤でカップリングされたブロック共
重合体を除く)は、全ビニル芳香族化合物に対するビニ
ル芳香族化合物を主体とするブロックの比(c)が0.
2〜0.8である。全ビニル芳香族化合物に対するビニ
ル芳香族化合物を主体とするブロックの比が0.2未満
である場合、アスファルト配合物とした時、タフネス・
テナシティーなどの充分な機械強度が得られず、また
0.8を越える場合においても伸度が不足する。より好
ましくは、0.3〜0.7の範囲である。 【0023】本発明者らは、ビニル芳香族化合物−共役
ジエンブロック共重合体を改質剤としたアスファルト配
合物の他の配合物物性を高度に維持しつつ、特に優れた
伸度特性を発現させるべく、該ブロック共重合体中のビ
ニル芳香族化合物を主体とするブロックの大きさに注目
して鋭意検討した結果、以下の更に特定された構造が著
しい伸度改良効果を有することを見出した。 【0024】即ち、本発明のビニル芳香族化合物と共役
ジエンとのブロック共重合体(但し、スズ系カップリン
グ剤でカップリングされたブロック共重合体を除く)
は、(d)ビニル芳香族化合物を主体とするブロックが
異なる分子鎖長を有する少くとも2個のビニル芳香族化
合物を主体とするブロックよりなり、(e)最大鎖長と
最小鎖長の比が0.1〜0.9、かつ(f)最小鎖長の
ビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量が
0.1〜1.0万である。 【0025】ビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロ
ック共重合体において、例えばA−B−A′型(ここ
で、A、A′:ビニル芳香族化合物重合体、B:共役ジ
エン重合体)における、物理的架橋点は、ビニル芳香族
化合物重合体であるA、及びA′によりドメインが形成
され、その架橋点の強さ、即ち凝集力は基本的に分子量
で表わされるドメインの大きさに左右されるが、その際
A及びA′を好適に調製することにより、該ブロック共
重合体をアスファルト改質剤として用いた際に、所期の
目的である伸度発現に顕著な効果を及ぼすことを見出し
た。 【0026】即ち、本発明の範囲である、ビニル芳香族
化合物を主体とするブロック含有量が5〜30重量%で
ある場合(b)において、該ブロックは異なる分子鎖長
を有する少くとも2個のビニル芳香族化合物を主体とす
るブロックを含有している(d)ことが必要であって、
その最大鎖長に対する最小鎖長の比は0.1〜0.9の
範囲(e)に限定される。 【0027】この比が0.1未満の場合には他のアスフ
ァルト性能が充分に発現され得ず、0.9を越える場合
には、一般に、ビニル芳香族化合物を主体とするブロッ
クの凝集力が高くなり、アスファルト物性における本発
明の目的である伸度改良効果が発現され難い。好ましく
は0.2〜0.6の範囲である。 【0028】更に、本発明の目的とする、アスファルト
配合物の高い軟化点とタフネス・テナシティー等と優れ
た伸度特性を発現させるためには、上記ビニル芳香族化
合物を主体とするブロックの最小鎖長は分子量で表して
0.1〜1.0万である(f)ことが必要である。 【0029】ここで、分子量は重量平均分子量を言い、
例えばゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)
等により測定される。該鎖長が0.1万未満の場合に
は、凝集力が不足して満足ゆくアスファルト物性が発現
せず、また、1.0万を越える場合には、逆に凝集力が
強過ぎて、優れた伸度改良効果が発現しない。好ましく
は、0.2〜0.6万である。 【0030】本発明のブロック共重合体を形成するビニ
ル芳香族化合物としては、例えばスチレン、P−メチル
スチレン、第三級ブチルスチレン、α−メチルスチレ
ン、1,1−ジフェニルエチレンなどの単量体が挙げら
れ、中でもスチレンが好ましい。これらの単量体は、単
独でも2種以上の併用でもよい。 【0031】一方、共役ジエンとしては、例えば1,3
−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3
−ブタジエン、ピペリレン、3−ブチル−1,3−オク
タジエン、フェニル−1,3−ブタジエンなどの単量体
が挙げられる。中でも1,3−ブタジエン及びイソプレ
ンが好ましい。これらの単量体は、単独でも2種以上の
併用でもよい。 【0032】また、本発明の共役ジエン化合物重合体中
のビニル結合含率は50重量%以下である。ビニル結合
含率が50重量%を越えると、アスファルト配合物の低
温特性が著しく劣ったものになり、本発明の目的が達成
されない。また、ブロック共重合体の溶融温度が高くな
り、アスファルトを配合する際の溶解性等、加工性が困
難となって好ましくない。 【0033】より好ましくは、ビニル結合含率が10〜
40重量%の範囲にある場合である。本発明の熱可塑性
エラストマーは、例えば不活性炭化水素溶媒中におい
て、有機リチウム化合物などを重合開始剤としてまずビ
ニル芳香族化合物を重合させ、次いで共役ジエンとビニ
ル芳香族化合物とを共重合させ、再度ビニル芳香族化合
物を重合させる操作を繰返し行なう方法などによって製
造することができる。 【0034】これらの反応における重合温度については
特に制限はないが、生産性を考慮して通常20〜130
℃の範囲で選ばれるが、好ましくは重合開始温度が30
〜90℃の範囲で、かつ最高到達温度が80〜120℃
の範囲にあることが望ましい。 【0035】前記不活性炭化水素溶媒としては、例えば
シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、
オクタンなどやこれらの混合物が使用されるが、これら
の中でシクロヘキサンが好ましい。 【0036】また、該有機リチウム化合物としては、例
えばn−ブチルリチウム、sec −ブチルリチウム、tert
−ブチルリチウムなどが挙げられるが、これらの中でn
−ブチルリチウム及びsec −ブチルリチウムが好適であ
る。 【0037】本発明の共役ジエン重合体は、実質的に、
ビニル芳香族化合物とのランダム共重合体を含有してい
るが、そのようなランダム共重合体を得る際、意図的
に、いわゆるランダム化剤を使用することも可能であ
る。そのようなランダム化剤として、少量のアルカリ金
属第三級アルコシキドを不活性炭化水素溶媒中に共存さ
せてもよい。 【0038】このアルカリ金属第三級アルコシキドとし
ては、例えばカリウム−tert−ブトキシド、ナトリウム
−tert−ブトキシド、セシウム−tert−ブトキシド、カ
リウムイソペンチルオキシドなどが挙げられるが、これ
らの中でカリウム−tert−ブトキシドが好ましい。 【0039】また、共役ジエン重合体のミクロ構造を調
整するため、いわゆるビニル化剤を不活性炭化水素溶媒
中に添加することもできる。そのような例として、エー
テル類や第三級アミン類などの極性化合物、例えばエチ
レングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、α−メトキシテトラヒドロフラン、N,N,N′,
N′−テトラメチルエチレンジアミンなど、好ましくは
テトラヒドロフランやN,N,N′,N′−テトラメチ
ルエチレンジアミンを所定量共存させることができる。 【0040】これらビニル化剤は、ミクロ構造調整剤と
してだけでなく、ランダム化剤としての効果も持つため
に、好適に使用される。このようにして得られた熱可塑
性エラストマーには、必要に応じ、軟化剤、酸化防止
剤、光安定剤、ブロッキング防止剤などを添加すること
ができる。 【0041】該軟化剤としては、例えばナフテン系、パ
ラフィン系、アロマ系のプロセスオイル及びこれらの混
合系オイルなどが挙げられるが、これらの中でナフテン
系、パラフィン系及びこれらの混合系オイルが好まし
い。 【0042】該酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ
ーt−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシ
ル−3−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブ
チルフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレンビ
ス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,
2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−
o−クレゾール、 【0043】2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−
2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフ
ェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−
〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェ
ニル)エチル〕フェニルアクリレートなどのヒンダード
フェノール系酸化防止剤; 【0044】ジラウリルチオプロピオネート、ラウリル
ステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトー
ル−テトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)な
どのイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホ
スファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイトなどのリン系酸化防止剤などを挙げる
ことができる。 【0045】また、光安定剤としては、例えば2−
(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−t
−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−
ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−
5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤や2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ある
いはヒンダードアミン系光安定剤などを挙げることがで
きる。 【0046】さらに、ブロッキング防止剤としては、例
えば高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、ワックス類、脂
肪酸アミド、脂肪酸エステル、無機の金属塩類や水酸化
物などが挙げられる。 【0047】本発明の熱可塑性エラストマーは、アスフ
ァルト100重量部に対して通常1〜25重量部、好ま
しくは2〜15重量部、より好ましくは2.5〜8重量
部の割合で用いられる。 【0048】この配合量が1重量部未満では該アスファ
ルトの改質効果が発現されず、25重量%を越えて配合
してもそれ以上の改質効果は得られないばかりか、アス
ファルトの溶融粘度が著しく増大して、加工性が損なわ
れるなど、経済的にも性能的にも不利である。 【0049】本発明で使用されるアスファルトは、特に
制限されるものでなく、慣用されているアスファルト、
例えば、ストレートアスファルト、(セミ)ブローンア
スファルト、及びこれらの混合物などが挙げられる。好
適には、針入度40〜120のストレートアスファル
ト、針入度10〜30のブローンアスファルト及びこれ
らの混合物が挙げられる。 【0050】このようにして調製されたアスファルト組
成物には、必要に応じ、従来アスファルト組成物に慣用
されている各種添加剤、例えばシリカ、タルク、炭酸カ
ルシウム、鉱物質粉末、ガラス繊維などの充てん剤や補
強剤、鉱物質の骨材、顔料あるいはプロセスオイルなど
の軟化剤、アゾジカルボンアミドなどの発泡剤、ポリエ
チレンやエチレン−アクリル酸エチル共重合体などの熱
可塑性樹脂などを添加することができる。 【0051】また、道路舗装用として用いられる場合に
は、通常該アスファルト組成物は、鉱物質の石、砂、ス
ラグなどの骨材と混合して使用される。本発明の熱可塑
性エラストマーとアスファルトを混合する方法は特に限
定されるものでなく、所望により前記の各種添加剤を、
例えば熱溶融釜、ロール、ニーダー、バンバリーミキサ
ー、押出機などにより加熱溶融混練することにより調製
することができる。 【0052】 【実施例】以下、実施例によって本発明を説明するが、
これらの実施例は本発明を限定するものでない。なお、
各種測定は下記の方法に従った。 【0053】ブロック共重合体の物性測定; 1)全スチレン含量:紫外線分光光度計(日立UV 2
00)を用いて262nmの吸収強度より算出した。 2)ブロックスチレン含量:四酸化オスミウムとt−ブ
チルハイドロパーオキシドによる酸化分解法〔「ジャー
ナル・オブ・ポリマー・サイエンス」第1巻、第429
頁(1946年)に記載〕に従って求めた。なお、スチ
レン重合体ブロックの重量測定は、紫外線分光光度計
(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より
算出した。 【0054】3)ブロックスチレン分子量:上記の2)
の方法に従って調製したブロックスチレンは、GPC
〔装置は、ウオーターズ製であり、カラムはショウデッ
クス製のK−801、802、803の計3本の組合せ
である。溶媒にはクロロホルムを用い、測定条件は温度
35℃、流速1.0ml/分、試料濃度0.1重量%、注
入量50μlである〕のクロマトグラムより、重量平均
分子量を求めた。なお、分子量は以下の標準ポリスチレ
ン(ウオーターズ製)検量線からの換算値である。 35,000、8,500、1,800、790、68
0 【0055】4)ブタジエンブロック部のミクロ構造:
紫外線分光光度計(パーキンエルマー製モデル171
0)を用いて測定し、ハンプトン法により測定した。アスファルト組成物の物性測定; 【0056】1)溶融粘度:180℃でブルックフィー
ルド型粘度計により測定した。 2)タフネス、テナシティ:舗装工事に関する試験方法
(日本道路建設業協会編)に準じて測定した。 【0057】3)伸度、針入度、軟化点:JIS−K
2207に準拠して測定した。 【0058】(参考例)参考例では、市販のスチレン−
ブタジエン系ラテックス(全スチレン含量25重量%、
ブロックスチレン含量0重量%、ビニル含量15%、重
量平均分子量28万)の水分を加熱除去した後、得られ
たポリマー成分3gと、極東石油(株)製ストレートア
スファルト(60/80)100gとを、180℃、9
0分間溶融混練しアスファルト混合物を調製した。その
特性値を表1に示した。 【0059】(実施例1)ジャケットと攪拌機の付いた
40Lのステンレス製反応器を充分窒素置換した後、シ
クロヘキサン17,120g、テトラヒドロフラン43
g、スチレン150gを仕込み、ジャケットに温水を通
水して内容物を約65℃に設定した。 【0060】この後、n−ブチルリチウムシクロヘキサ
ン溶液(純分で2.3g)を添加し、スチレンの重合を
開始した。スチレンがほぼ完全に重合してから3分後
に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)1,920gと
スチレン480gとの混合物を添加し、重合を継続し
た。内容物が完全に重合して最高温度90℃に達した
後、4分後に更にスチレン450gを添加して重合を行
った。重合が完結した後、水6.4gを加えて攪拌機に
よって系内を連続的に攪拌した。 【0061】この後、ブロック共重合体溶液を抜き出
し、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
6.4g、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト4g
を添加し、得られた該溶液をスチームストリッピングす
ることにより溶媒を除去し、引き続き、熱ロール(12
0℃)により脱水乾燥して、ブロック共重合体を得た。 【0062】このようにして得られたブロック共重合体
の全スチレン含量〔A〕と、ブロックスチレン含量
〔B〕を測定した。更に、ブロックスチレン〔B〕をG
PCで測定し、その最小ブロックスチレン分子量を
〔C〕、最大ブロックスチレン分子量を〔D〕とした。
その物性値を、表1に示した。 【0063】得られたブロック共重合体3gと参考例で
使用したストレートアスファルト100gを、180℃
で90分間溶融混練し、アスファルト組成物を調製し
た。その特性値を表1に示した。 【0064】(実施例2〜7、比較例1〜3及び6〜
8)実施例2〜7、及び比較例1〜3及び6〜8では、
全スチレン含量及びブロックスチレン含量を変量とし、
更にブロックスチレン分子量も変量として、実施例1と
同様な操作を行なってブロック共重合体を得た。アスフ
ァルトは実施例1と同じものを用い、アスファルト配
合、組成も実施例1と同等の量、方法で行った。これら
の物性値を表1〜2及び表3〜4に示した。 【0065】(比較例4,5)比較例5ではジャケット
と攪拌機の付いた40Lステンレス製反応器を十分に窒
素置換した後、所定量のシクロヘキサン、テトラヒドロ
フラン、スチレン(第1スチレンと称する)を仕込み、
ジャケットに温水を通水し、内容物を約70℃に設定し
た。 【0066】この後、n−ブチルリチウムシクロヘキサ
ン溶液を所定量添加し、第1スチレンの重合を開始し
た。第1スチレンがほぼ完全に重合してから10分後
に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)を所定量添加し
て重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高
温度に達してから15分後に、再度、スチレン(第2ス
チレンと称する)を第1スチレンと等量添加して重合を
続け、第2スチレンがほぼ完全に重合してから、更に1
5分間保持して重合を完結させた後、水を加えて活性種
を完全に失活させた。 【0067】この後、2,6−ジ−t−ブチル−メチル
フェノールとトリス(ノニルフェノール)ホスファイト
(シクロヘキサン溶液)を添加し、実施例1と同様な方
法で処理を行ってブロック共重合体を得た。比較例4で
は、比較例5で添加した第1スチレンと第2スチレンの
量を、所定量変量して同様の重合と後処理を行なった。 【0068】このようにして得たブロック共重合体は、
実施例1と同様のアスファルトを用い、同等量の配合物
とした。物性値を表2〜3に示した。 【0069】(実施例8)ジャケットと攪拌機の付いた
40lステンレス製反応器を十分窒素置換したのち、所
定量のシクロヘキサンとスチレンを仕込み、ジャケット
に温水を通して内容物を所定の温度に設定した。次いで
n−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液所定量を添加
して、スチレンの重合を開始した。 【0070】スチレンがほぼ完全に重合してから、10
分後に更にスチレンとブタジエンを同等に所定量添加し
て、重合を継続させ、2分経過後に定量ポンプにより1
0〜60分間を要して再度所定量のブタジエンを連続的
に重合系内に供給し、重合を継続させた。これらがほぼ
完全に重合し、最高温度に到達してから15分後、再度
スチレンを所定量添加して、重合を続けた。その後、1
5分間同温度に保持して重合を完結させたのち、水を添
加して重合を停止させた。 【0071】この間、攪拌機により連続的に系内を攪拌
した。反応終了後、ポリマー溶液を抜き出し、これに
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールとト
リス(ノニルフェニル)ホスファイトとジラウリルチオ
ジプロピオネートとを添加して、スチームストリッピン
グすることにより、溶媒を除去し、引続き熱ロールによ
り脱水してブロック共重合体を得た。得られた共重合体
の物性は、表4に示すようにビニル含量が12%のもの
であった。 【0072】実施例1と同等のアスファルト、及び配合
量で得た物性値を表4に示す。 【表1】【0073】 【表2】 【0074】表1〜2より、ブロック共重合体の全スチ
レン含量〔A〕とブロックスチレン含量〔B〕が特定さ
れた範囲にあり、かつ〔B〕/〔A〕の比が限定された
範囲にある。 【0075】 【表3】 【0076】 【表4】【0077】しかも、表3〜4に示した様に、限定され
た小さい分子量を有するブロックスチレンと異なる大き
い分子量を有するブロックスチレンとが、特定の比を有
するとき、低温伸度に極めて優れ、その他の物性とのバ
ランスにも優れたアスファルト性能が発現することが判
る。 【0078】 【発明の効果】本発明のアスファルト改質用熱可塑性エ
ラストマーは特定の構造を有するブロック共重合体(但
し、スズ系カップリング剤でカップリングされたブロッ
ク共重合体を除く)から成るものであって、アスファル
トに配合することにより、感温特性、特に低温での伸度
に優れ、更にタフネス、テナシティー、軟化点、針入度
などのその他の物性と加工性のバランスに優れた改質ア
スファルトを与えることができる。 【0079】本発明の熱可塑性エラストマーを配合した
改質アスファルトは、前記のような特性を有しているの
で、例えば防水シート用、止水材用、サイレンサーシー
ト用、鋼管コーティング用として用いられ、特に道路舗
装用に好適である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (a)全ビニル芳香族化合物含有量が2
0〜50重量%、 (b)ビニル芳香族化合物を主体とするブロック含有量
が5〜30重量%であり、 (c)前者に対する後者の比が0.2〜0.8のビニル
芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体(但
し、スズ系カップリング剤でカップリングされたブロッ
ク共重合体を除く)であって、 更に(d)ビニル芳香族化合物を主体とするブロックが
異なる分子鎖長を有する少くとも2個のビニル芳香族化
合物を主体とするブロックよりなり、 (e)最大鎖長に対する最小鎖長の比が0.1〜0.
9、かつ (f)最小鎖長のビニル芳香族化合物を主体とするブロ
ックの分子量が0.1〜1.0万であることを特徴とす
る、低温伸度に優れたアスファルト改質用熱可塑性エラ
ストマー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35474292A JP3468246B2 (ja) | 1992-12-17 | 1992-12-17 | アスファルト改質用ブロック共重合体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35474292A JP3468246B2 (ja) | 1992-12-17 | 1992-12-17 | アスファルト改質用ブロック共重合体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06184254A JPH06184254A (ja) | 1994-07-05 |
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Family
ID=18439606
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35474292A Expired - Lifetime JP3468246B2 (ja) | 1992-12-17 | 1992-12-17 | アスファルト改質用ブロック共重合体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3468246B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
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JP4114985B2 (ja) * | 1996-12-03 | 2008-07-09 | 日本エラストマー株式会社 | 新規なゴム状重合体を用いた耐衝撃性スチレン系樹脂組成物 |
DE60235315D1 (de) * | 2001-08-13 | 2010-03-25 | Japan Elastomer Co Ltd | Blockcopolymerzusammensetzungen |
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-
1992
- 1992-12-17 JP JP35474292A patent/JP3468246B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
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