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JP3460595B2 - 極低硫鋼の溶製方法 - Google Patents

極低硫鋼の溶製方法

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JP3460595B2
JP3460595B2 JP28402798A JP28402798A JP3460595B2 JP 3460595 B2 JP3460595 B2 JP 3460595B2 JP 28402798 A JP28402798 A JP 28402798A JP 28402798 A JP28402798 A JP 28402798A JP 3460595 B2 JP3460595 B2 JP 3460595B2
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desulfurization
steel
low
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tapping
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伸秀 青木
正俊 大塚
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、用途によって靱性
の改善が強く求められること等からニーズが増大してい
る極低硫鋼を、経済的かつ高能率で溶製する極低硫鋼、
特に低燐・極低硫鋼の溶製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、高強度耐サワーラインパイプに代
表されるような極低硫鋼の需要が増大し、要求条件も益
々厳しくなっている。
【0003】従来にあっても、極低硫鋼の溶製法とし
て、例えば、特開平6−207212号公報や「鉄と鋼'83-S1
83」で公開されている方法が提案されている。例えば、
特開平6−207212号公報は、溶銑に対して脱硫・脱燐処
理を行い、S:0.003 %以下、P:0.030 %以下の溶銑
としてから、転炉における脱炭処理を行い、次いで取鍋
への出鋼中および/または出鋼後にスラグ改質剤を添加
してスラグ成分が(T.Fe)+(MnO) ≦7%を満足するよう
に調整し、次いで、RH真空処理装置において、Al脱酸処
理を行うとともに、CaO を主成分とするフラックスを、
CaO 換算で4kg/t以上、RH真空槽内の溶鋼に添加する脱
硫処理を施し、S:0.0020%以下に調整する方法につい
て開示している。一方、「鉄と鋼'83-S183」は、取鍋内
にホタル石混合生石灰粉を吹込むことで、[S] ≦10ppm
が達成可能と述べている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
極低硫鋼溶製方法では二次精錬負荷が大きく、連続鋳造
とのマッチングの問題、溶鋼脱硫の高コスト (熱的コス
ト・フラックスコスト・耐火物コスト) 等がまだ十分に
検討されていない課題であった。
【0005】ここに、本発明の目的は、二次精錬負荷を
軽減しつつ、経済的、効率的に極低硫鋼を溶製する方法
を提供することである。より具体的には、本発明の目的
は、二次精錬の負荷を軽減することにより、取鍋・RH真
空処理装置等の耐火物の溶損を抑制しつつ省資源・省エ
ネルギーも図ることのできる極低硫鋼の溶製方法を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】従来技術の項でも述べた
ように、上述の両報告で提案されている方法はいずれも
[S] ≦0.002 %への脱硫が可能である。しかし、これら
の従来技術においては出鋼脱硫を活用する思想はない。
効率よく出鋼脱硫できれば、出鋼というプロセスに脱硫
という機能を加え、二次精錬の役割を軽減できるという
技術思想について何らの示唆も見られない。
【0007】従って、従来にあっては、出鋼後の二次精
錬の負荷が大きく、極端に出鋼温度を高めたり出鋼後の
熱補償 (電力投入、Al等の酸化昇熱) が必須であり、能
率阻害が生じたり、耐火物延命の観点からも改善が要望
されていた。
【0008】本発明ではその改良として、具体的には出
鋼中に脱硫能力の高いスラグを形成することで、さらに
経済的かつ高効率な極低硫鋼の溶製を可能とするもので
ある。
【0009】ここに、本発明者らは、かかる目的を達成
すべく、次のような検討を行った。つまり、先ず、出鋼
時に脱硫能力の高いスラグを速やかに形成すべく、添加
フラックス条件を状態図等で検討し、その効果を試験で
確認した結果、出鋼時に融点が1500℃以下の組成をもつ
フラックスを2〜10kg/t投入することが効果的であるこ
とが判明した。
【0010】溶鋼中[Al]レベルは、3CaO+2[Al]+3[S]=3
(CaS)+Al2O3の反応を考慮すると、脱硫は[Al]が高い程
促進されるので、[Al]規格とAlの酸化による発熱に起因
する出鋼後の昇熱量を勘案して[Al]レベルを設定し、出
鋼後の取鍋内の溶鋼中[Al]≧0.060 %とした。
【0011】ここに、本発明は次の通りである。 (1) 溶銑に予備脱硫を行って[S] ≦0.003 %とするとと
もに、予備脱燐を行って[P] ≦0.040 %とすること、得
られた脱硫・脱燐溶銑の転炉吹錬を行うこと、転炉出鋼
時に、融点が1500℃以下の組成を持つプリメルト品では
粒径30mm以下、混合品では粒径3mm以下の脱硫フラック
スを溶鋼トン当たり2〜10kgとAlとを溶鋼に投入し、取
鍋中の溶鋼中[Al]≧0.060 %とすることで、出鋼脱硫を
促進すること、次いで二次精錬のRH処理もしくは取鍋処
理で仕上げ脱硫を行って[S] ≦0.002 %とすることを含
む、極低硫鋼の経済的かつ高能率な溶製方法。
【0012】(2) 上記(1) に記載の極低硫鋼の溶製方法
において、溶銑の前記予備脱硫をKR法で行い、好まし
くは前記脱硫・脱燐溶銑の転炉吹錬は上底吹き型の複合
転炉を用いる2段の向流精錬方式で行い、さらに前記仕
上げ脱硫をRH処理で粉体上吹き方式で行い、仕上げ脱硫
後のスラグ中のCaO およびAl2O3 の組成比を 1.0≦CaO/
Al2O3 ≦1.8 とすることを特徴とする、[P] ≦0.012 %
かつ[S] ≦0.001 %である低燐・極低硫鋼の溶製方法。
【0013】(3) 上記(1) に記載の極低硫鋼の溶製方法
において、溶銑の前記予備脱硫をKR法で行い、前記脱
硫・脱燐溶銑の転炉吹錬は上底吹き型の複合転炉を用い
る2段の向流精錬方式で行い、さらに前記仕上げ脱硫を
取鍋溶鋼内への粉体インジェクションまたはバブリング
方式で行い、仕上げ脱硫後のスラグ中のCaO およびAl2O
3 の組成比を 1.0≦CaO/Al2O3 ≦1.8 とすることを特徴
とする、[P] ≦0.012 %かつ[S] ≦0.001 %である低燐
・極低硫鋼の溶製方法。
【0014】(4) 目的とする脱硫率に対して下記の( 出
鋼+仕上げ) 脱硫フラックス原単位と(出鋼+仕上げ)
脱硫率との関係式で規定される量の脱硫フラックスを添
加する、請求項2または請求項3に記載の低燐・極低硫
鋼の溶製方法。
【0015】20 −{5[70−脱硫率(%)]}0.5 ≦フラッ
クス原単位(kg/t)≦20−{5[90−脱硫率(%)]}0.5 ここで (出鋼+仕上げ) 脱硫率は次式で定義する: { (出鋼前[S] −仕上げ脱硫後[S])/出鋼前[S] }×10
0(%)
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において処理条件を上述の
ように限定した理由とその作用についてそれぞれ説明す
る。
【0017】先ず、溶銑予備処理で [S]≦0.003 %とす
るのは、転炉での[S] 上昇が0.001%の場合でも出鋼時
の[S] を0.004 %以下にしたいからである。通常、溶鋼
脱硫率は極低硫鋼を対象にした場合、50〜90%であり、
[S] ≦0.002 %を目的にしているので転炉出鋼時[S] は
0.004 %以下が必要となる。また、溶銑脱硫コストと溶
鋼脱硫コストを比較すると、一般的に溶鋼脱硫の方が数
倍から10倍費用がかかる。これは、熱力学的に[C] が高
いほど脱硫しやすいこと、溶銑処理の方が溶鋼処理に比
べ300 ℃程度処理温度が低く耐火物の損傷防止という面
でも有利である等による。
【0018】従って、本発明においては溶銑予備処理で
[S] を極力低くする、すなわち[S]≦0.002 %にするの
が望ましく、転炉での[S] のピックアップも極力抑制す
べく、転炉付着地金・スラグの影響 (汚染) にも留意す
る。このためには、例えば、鋳込計画で高[S] 鋼のすぐ
後の極低硫鋼の溶製は避ける。[S] ≦0.003 %は経済的
な生石灰系脱硫剤を用いてKR法、インジェクション法等
で可能である。
【0019】次に、溶銑予備処理で[P] ≦0.040 %とす
ることは、極低硫・低燐鋼の溶製、ならびに極低硫化に
伴うスラグ・安価合金鉄からの復P (成品[Mn]=1.00%
レベルで通常0.004 %程度の復P) を勘案した結果であ
る。Mn合金を節減すべく、高出鋼[Mn]を意識した低燐鋼
吹錬での脱燐率は普通40%〜80%である。
【0020】経済的に出鋼[Mn]を極力高くすべく、塩基
度3〜5で吹錬し、脱燐率80%を想定して成品[P] ≦0.
012 %の低燐鋼を溶製するには、転炉出鋼 [P]≦0.008%
[0.008%←0.012% (成品) −0.004% (復P)]が必要であ
り、溶銑予備処理で [P]≦0.040 % [0.040%←0.008%/
(1−0.8)] が要求条件になる。
【0021】Mn歩留り向上のためには、図1に示すMn分
配比 (=(MnO)/[Mn]) が低い方がよく、3以上の塩基度
とする。塩基度が5を越えると脱燐効果は飽和してくる
(滓化の観点からも、塩基度が高くなる程困難にな
る)。経済性も考慮し、脱硫・脱燐溶銑、転炉吹錬時の
塩基度3〜5がよい。スラグ中(T.Fe)が低いほどMn歩留
は高くなるが、脱燐との兼ね合いで(T.Fe)は大部分のヒ
ートが12〜20%である。
【0022】出鋼脱硫に関し、ポイントは早期に脱硫能
のあるスラグを形成することであり、脱硫フラックスの
添加条件を状態図等で検討し、そのときの効果を種々の
試験で確認した。
【0023】その結果、融点が1500℃以下の組成を持つ
粒径30mm以下の脱硫フラックスを溶鋼トン当たり、2〜
10kg( 以下、Kg/tと記載する) 用いることが重要である
ことが分かった。このときの脱硫フラックスは1種また
は2種以上の組成の異なるフラックスを配合したもので
あってもよい。
【0024】融点が1500℃を越えるフラックス組成で
は、出鋼中の滓化が不十分で所望の成果が得られなかっ
た。つまり、脱硫率は20%未満であった。具体的な組成
としては例えば、図2のCaO-Al2O3 系状態図で最も融点
が低くなる CaO:Al2O3 のモル比が12:7(重量比で約4
8:52) の融点が1413℃の組成があり、また、重量比で
CaO:CaF2:SiO2=60%:30%:10%の融点1350℃のフ
ラックス等が挙げられる。
【0025】脱硫フラックスの粒度は溶融処理したフラ
ックス (以下プリメルト品と称する) で30mm以下、混合
品では3mm以下でないと十分な効果が得られないことも
分かった。望ましくはプリメルト品で直径5mm以下のフ
ラックスが脱硫面からは望ましい。プリメルト品を5kg
/tの量だけ添加したテスト例では、直径ほぼ30mm、10m
m、3mmの各サイズ同一組成のフラックスを用いて脱硫
を実施したところ、出鋼脱硫率はそれぞれ38%、43%、
49%であった。混合品であって直径ほぼ3mmサイズ品の
場合、出鋼脱硫率は28%であった。
【0026】一旦脱硫能のあるスラグが2kg/t以上早期
に形成されると、その後は出鋼前[S] 値、鋼種・要求
[S] の各条件に対応して、1500℃を越える脱硫フラック
ス、例えば生石灰を使うことも可能である。すなわち、
脱硫能のあるスラグが形成され、同時に添加するAlがAl
2O3 を形成してスラグ中に含有されると、添加される生
石灰は図2のように融点を下げる方向に働くからであ
る。脱硫フラックスのみのコストを考えると一般的に生
石灰が安く、滓化し易いように融点降下剤を入れた混合
品、プリメルト品の順に高くなる。
【0027】従って、例えば、出鋼中に計10kg/tのフラ
ックスを使う場合、先ず融点1500℃以下のプリメルト品
フラックスを3kg/t添加し、それから2分以内にCaO-Ca
F2 (例、重量比70%:30%) 系フラックスを7kg/t投入
するとか、あるいは融点1500℃以下のプリメルト品フラ
ックスを10kg/t添加するとか等、ケースバイケースで使
い分けて良い。
【0028】融点1500℃以下のフラックスの添加量を2
〜10kg/tに限定した理由は、図3に融点1500℃以下のフ
ラックス原単位と出鋼脱硫率の関係で例示するように、
2kg/t未満では出鋼脱硫の効果が得られない (出鋼脱硫
率は20%未満) からであり、10kg/tで出鋼脱硫効果が飽
和してくるからである。
【0029】ところで、脱硫反応は、3CaO+2[Al]+3[S]=
3(CaS)+Al2O3の反応式で示され、溶鋼の条件としては[A
l]が高いこと、スラグ組成の観点からは低級酸化物の
和、すなわち(FeO)+(MnO) が低い程 (取鍋内脱硫の場
合、例えば3%以下、さらに望ましくは1%以下で) 進
行することは良く知られている。
【0030】従って、出鋼はAl完全脱酸出鋼とし、その
適正[Al]レベルを検討・試験したところ、(FeO)+(MnO)
≦3%を満たすには[Al]≧0.060 %であることが分かっ
た。[Al]は高い程、脱硫に好都合であるが、[Al]規格な
らびにその後のAl酸化による昇温を考慮し、[Al]≧0.06
0 %と定めた。なお、必要に応じ、出鋼末期および/ま
たは出鋼直後にスラグ改質剤を用いて(FeO)+(MnO) の低
下を図っても、もちろん良い。
【0031】仕上げ脱硫としては、出鋼後の鍋中[S] 値
と目標[S] 値に応じ、RH処理もしくは取鍋処理で実施す
る。上記方法で、8割以上の確率で出鋼脱硫後[S] ≦0.
002%が得られるので、二次精錬での脱硫負荷は大幅に
軽減され、[S] ≦0.002 %の鋼をより経済的に安定して
量産できるようになる。
【0032】仕上げ脱硫方法としては、RH真空処理槽内
での塊状フラックス添加または/および脱硫剤粉体吹き
付けとか、取鍋溶鋼内への粉体インジェクションまたは
バブリング方法等各種の手段が適用可能である。
【0033】本発明の1実施態様にあっては、KR→脱P
炉→脱C炉→出鋼脱硫→RH (好ましくは RH-PB脱硫) の
各工程を経て低燐・極低硫鋼が溶製される。現在の溶銑
脱硫プロセスとして粉体インジェクション法等と比べて
ランニングコストが安く、極低硫化も有利なKR法で[S]
≦0.003 %まで脱硫する。
【0034】上述の脱P炉→脱C炉プロセスは、例えば
本件出願人の提案にかかる特公平3−77246 号公報に開
示された方法であって、これはSRP(Simple Refining Pr
ocess)と呼ばれている、複合吹錬転炉を用いる2段の向
流精錬方式であってもよく、これは、低燐鋼溶製にも優
れた方法であり採用するのが好ましい。出鋼に際しての
脱硫はすでに説明したと同様にして行えばよい。
【0035】出鋼脱硫後の仕上げ脱硫は、例えば本件出
願人の提案にかかる特公昭61−59376 号公報に開示され
た方法であって、RH-PB(RH-Powder Blowing)と呼ばれて
いる減圧下粉体上吹き法を用いてもよい。二次精錬はRH
処理のみでもよい。
【0036】このようなRH処理に際しての粉体上吹きに
よる仕上げ脱硫後、スラグ主成分(CaO、Al2O3)重量組成
比を 1.0≦CaO/Al2O3 ≦1.8 とする。数値限定の理由は
図2に示すように比較的低融点組成領域 (実際のスラグ
は二元系でなくSiO2やMgO 、少量のFeO やMnO やS等を
含むが組成比CaO/Al2O3 が重要である) かつ脱硫能 (滓
化が確保できる条件ではCaO/Al2O3 が大きいほど良い)
を考慮して定めた。
【0037】すなわち、CaO/Al2O3 が1.0 未満では脱硫
能が大幅に低下するからであり (重量組成比1.0 は滓化
性良好) 、CaO/Al2O3 が1.8 を越えると、脱硫能は高く
良好であるが、滓化が困難になり安定性が損なわれるか
らである。
【0038】かくして、本発明によれば、高級、高強度
耐サワーパイプに要求される極低硫・低燐鋼、具体的に
は[S] ≦0.002 %かつ[P] ≦0.012 %鋼の経済的かつ安
定的量産が可能になる。
【0039】さらに本発明の別の実施態様によれば、仕
上げ脱硫を取鍋溶鋼内への粉体インジェクションまたは
バブリング方式で行う。これは、脱ガスが必要な鋼種に
おいては、上述の方式でRH処理のみで脱ガス・脱硫がで
きるが、脱ガスが必要なく仕上げ脱硫が求められる場合
は、取鍋溶鋼内への粉体インジェクションまたはバブリ
ングを行うだけで溶製可能だからである。また、既存設
備の利用 (バブリング装置はその構造が簡単であり20年
以上前から広く普及していた) 、ローカルコンディショ
ン (減圧用蒸気の調達難易差他) 等によりRH真空処理装
置と機能分担してもよい。
【0040】図4に脱硫フラックス原単位と (出鋼+仕
上げ) 脱硫率の関係を示す。ここで (出鋼+仕上げ) 脱
硫率は次式で定義する:{ (出鋼前[S] −仕上げ脱硫後
[S])/出鋼前[S] } ×100(%) 本発明者等は、融点1500℃以下の脱硫用フラックス2〜
5kg/tかつ出鋼前[S]=0.0024%〜0.0044%の条件で多
数のデータを整理し、 (出鋼+仕上げ) 脱硫フラックス
原単位と (出鋼+仕上げ) 脱硫率との関係を調査したと
ころ、近似式であるが精度よく、以下の関係式を得た。
【0041】70−0.2[20−脱硫フラックス原単位(kg/
t)]2≦脱硫率(%) ≦90−0.2[20−脱硫フラックス原単位
(kg/t)]2 すなわち、20−{5[70−脱硫率(%)]}0.5 ≦脱硫フラッ
クス原単位(kg/t)≦20−{5[90−脱硫率(%)]}0.5 したがって、目的とする脱硫率が決定されると、それに
基づいて上記式で規定される脱硫フラックス原単位を用
い、これまで説明してきたいずれかの方法で極低硫・低
燐鋼を溶製することができる。かかる態様によれば、目
的とする脱硫率に対して必要かつ十分な量の脱硫フラッ
クス量を用いることができる。
【0042】
【実施例】本例では、KR→脱P炉→脱C炉→出鋼脱硫→
取鍋脱硫(-PH脱ガス) またはRH(RH-PB脱硫) の各工程か
ら低燐・極低硫鋼を溶製した。
【0043】(実施例1)実施例1は、4kg/tの低融点フ
ラックス(粒径: 5mm以下、組成: CaO:Al2O3 =50:
42、融点:1472℃)と2.3kg/t のAlと、後半に4kg/tの
生石灰を添加して出鋼脱硫し、RH真空処理装置の負荷を
大幅に軽減した45℃昇温後に、塊状生石灰を4kg/t投入
し、次いでCaO(80%)−CaF2(20%) 粉(100メッシュアンダ
ー) 4kg/tを真空度2torrの条件で吹き付けた(RH-PB)
。このような仕上げ脱硫後、[S]=0.0005%が得られ
た。RH真空処理装置の下部槽の溶損も軽減でき処理時間
も短縮できたので、RH処理が律速であるという従来法に
おける欠点を解消でき、その結果、連続鋳造において、
12回の連鋳ができた。
【0044】これに対する従来例1は、出鋼中に生石灰
を6kg/t投入し、RH真空処理装置にて80℃昇温後に、塊
状生石灰を6kg/t投入し、次いでCaO(80%)−CaF2(20%)
粉(100メッシュアンダー) 6kg/tを真空度2torrの条件
で吹き付けた(RH-PB) 。かかる仕上げ脱硫後、[S] =0.
0005%が得られた。しかし、RH処理がネックとなって連
続鋳造は3連鋳しかできなかった。結果は表1にまとめ
て示す。
【0045】(実施例2)実施例2、従来例2は取鍋脱硫
の例を示すもので、本例は、RH処理に代えて取鍋脱硫を
行った点を除いて実施例1を繰り返した。従来例の二次
精錬最高使用温度が本発明の場合より35℃も高く、ラン
スと取鍋蓋の溶損 (蓋の密着度が悪くなると[N] ピック
アップも顕著になる) などの支障が生じて連続鋳造は2
連鋳しかできなかった。結果は表1にまとめて示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、出鋼脱硫を効率的に活
用することにより、二次精錬の負荷を大幅に軽減でき、
経済的かつ高能率で極低硫鋼あるいは極低硫・低燐鋼の
溶製が可能になった。本発明による効果は次のようにま
とめることができる。
【0048】(i) 出鋼脱硫により、仕上げ脱硫が容易に
なり二次精錬の昇温量が30℃程度軽減できた。 (ii)そのため、Al酸化による昇熱の場合、Al、酸素の節
減のみならず、耐火物の損耗をほぼ半減できた。耐火物
損耗抑制は、二次精錬最高温度低減と処理時間短縮によ
る。
【0049】(iii) 従来の約2/3 の二次精錬処理時間で
極低硫鋼溶製ができるので、連続鋳造とのマッチングが
改善できて、連々指数を2倍以上に増大できた。すなわ
ち、本発明によれば、RH真空処理装置においてA槽 (6
ヒート処理) からB槽 (6ヒート処理) へと槽交換して
も連々鋳が可能で、合計12連鋳できた。
【0050】(iv)出鋼脱硫、仕上げ脱硫によって極低硫
化を図るので、目標[S] レベルに対して精度良く、安定
して脱硫可能である。 (v) 高強度耐サワーラインパイプ等にニーズの拡大して
いる、[S] ≦0.001 %、[P] ≦0.0012%の低燐・極低硫
鋼の効率的量産を実現し、地球環境の保護面でも省エネ
ルギー・省資源の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩基度とMn分配比の関係を示すグラフである。
【図2】Al2O3 −CaO 系状態図である。
【図3】融点1500℃以下の脱硫フラックス原単位と出鋼
脱硫率の関係を示すグラフである。
【図4】(出鋼+仕上げ) における脱硫フラックス原単
位と (出鋼+仕上げ) における脱硫率との関係を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−73923(JP,A) 特開 平9−217110(JP,A) 特開 平6−207212(JP,A) 特開 平10−219335(JP,A) 特開 平8−246030(JP,A) 特開 平5−171247(JP,A) 特開 平11−209817(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 7/064 C21C 7/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶銑に予備脱硫を行って[S] ≦0.003 %
    とするとともに、予備脱燐を行って[P] ≦0.040 %とす
    ること、得られた脱硫・脱燐溶銑の転炉吹錬を行うこ
    と、転炉出鋼時に、融点が1500℃以下の組成を持つプリ
    メルト品では粒径30mm以下、混合品では粒径3mm以下
    脱硫フラックスを溶鋼トン当たり2〜10kgとAlとを溶鋼
    に投入し、取鍋中の溶鋼中[Al]≧0.060 %とすることで
    出鋼脱硫を促進すること、次いで二次精錬のRH処理もし
    くは取鍋処理で仕上げ脱硫を行って[S] ≦0.002 %とす
    ることを含む極低硫鋼の経済的かつ高能率な溶製方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の極低硫鋼の溶製方法に
    おいて、溶銑の前記予備脱硫をKR法で行い、さらに前
    記仕上げ脱硫をRH処理で粉体上吹き方式で行い、仕上げ
    脱硫後のスラグ中のCaO およびAl2O3 の組成比を 1.0≦
    CaO/Al2O3 ≦1.8 とすることを特徴とする、[P] ≦0.01
    2 %かつ[S] ≦0.001 %である低燐・極低硫鋼の溶製方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の極低硫鋼の溶製方法に
    おいて、溶銑の前記予備脱硫をKR法で行い、さらに前
    記仕上げ脱硫を取鍋溶鋼内への粉体インジェクションま
    たはバブリング方式で行い、仕上げ脱硫後のスラグ中の
    CaO およびAl2O3 の組成比を 1.0≦CaO/Al2O3 ≦1.8 と
    することを特徴とする、[P] ≦0.012%かつ[S] ≦0.001
    %である低燐・極低硫鋼の溶製方法。
  4. 【請求項4】 目的とする脱硫率に対して下記の( 出鋼
    +仕上げ) 脱硫フラックス原単位と (出鋼+仕上げ) 脱
    硫率との関係式で規定される量の脱硫フラックスを添加
    する、請求項2または請求項3に記載の低燐・極低硫鋼
    の溶製方法。 20 −{5[70−脱硫率(%)]}0.5 ≦フラックス原単位(kg
    /t)≦20−{5[90−脱硫率(%)]}0.5 ここで (出鋼+仕上げ) 脱硫率は次式で定義する: { (出鋼前[S] −仕上げ脱硫後[S])/出鋼前[S] }×10
    0(%)
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