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JP3449961B2 - マルチプライマーpcr法による病原生物検出法 - Google Patents

マルチプライマーpcr法による病原生物検出法

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Publication number
JP3449961B2
JP3449961B2 JP2000049760A JP2000049760A JP3449961B2 JP 3449961 B2 JP3449961 B2 JP 3449961B2 JP 2000049760 A JP2000049760 A JP 2000049760A JP 2000049760 A JP2000049760 A JP 2000049760A JP 3449961 B2 JP3449961 B2 JP 3449961B2
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JP
Japan
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seq
primer
sequence represented
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microsporidia
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JP2000049760A
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吉則 畠山
昭二 早坂
真之 米村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Agrobiological Sciences
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
National Institute of Agrobiological Sciences
Japan Science and Technology Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
Application filed by National Institute of Agrobiological Sciences, Japan Science and Technology Corp filed Critical National Institute of Agrobiological Sciences
Priority to JP2000049760A priority Critical patent/JP3449961B2/ja
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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動物に感染した病
原生物の検出方法に関し、より詳細には、動物に感染し
た微胞子虫、又は昆虫に感染した昆虫病原生物のPCR
による検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、動物に対する病原生物としては、
ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、原生動物など、様々な
ものが知られている。上記病原生物の一種である微胞子
虫類(Microsporida)は、Microspora(微胞子虫門)に
属する原虫であり、原生生物から哺乳動物まで広範な動
物細胞に寄生することが知られている。また、寄生した
微胞子虫は、その宿主において様々な病害を惹き起こす
ことが知られている。例えば、微胞子虫の一種であるノ
セマ・ボンビシス(Nosema bombycis)は主として蚕に
寄生し、微粒子病を惹き起こす。従って、蚕等の有用動
物に微胞子虫が感染しているかどうかをできるだけ迅速
に検定する必要がある。
【0003】従来、一般に、病原が判定できない感染症
の場合に病原生物を検出するためには、その症状から病
原生物を予想し、それぞれを検出するための検査を個別
に行っていた。従って、一個体につき複数の検査を行う
必要があったが、このような検査の方法としては、検出
対象である病原に対する抗体を用いる方法、病原菌の菌
体を培養する方法等が主に用いられるため、大量の個体
を検査するためには多くの時間を必要とした。
【0004】特に、蚕に感染する微胞子虫の検定は、各
微胞子虫の胞子に反応する特異的な抗体を用いる方法に
よって行われるため、熟練の技師が検定を行う必要があ
った。また、胞子が未形成の場合には検出することがで
きず、さらに感染量の少ない卵の検定は非常に困難であ
った。そこで、熟練者でなくても簡便に微胞子虫を検出
できる方法が開発されれば便利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、操作
が簡単で、視覚的に検出でき、さらに一回の操作で行う
ことができる微胞子虫の検出方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を行った結果、マルチプラ
イマーPCR法において検出対象となる複数の病原生物
それぞれに特異的な複数のプライマーペアを用いること
により、これらの病原生物を同時に検出することができ
ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】すなわち、本発明は、被検動物体内に存在
する核酸を鋳型とし、検出しようとする複数種の微胞子
虫それぞれのゲノムDNAの部分領域を増幅し得る少な
くとも2種のプライマーペアを含む混合プライマーを用
いて増幅処理を行うことを含む、該被検動物体内の該複
数種の微胞子虫を同時に検出し得る方法を提供する。こ
の本発明の方法を、以下「第1の本発明の方法」とい
う。
【0008】上記方法において、検出しようとする前記
複数種の微胞子虫は、好ましくは、ノセマ・ボンビシ
ス、バイリモルファsp. M11、バイリモルファsp. M12、
バイリモルファ・ネカトリクス及びプレイストフォラs
p. PSDからなる群より選択される少なくとも2種の微胞
子虫であり、より好ましくは、ノセマ・ボンビシス、バ
イリモルファsp. M11、バイリモルファsp. M12、バイリ
モルファ・ネカトリクス及びプレイストフォラsp. PSD
である。
【0009】前記混合プライマーは、好ましくは、
(i)配列番号1で表わされる塩基配列を含むオリゴヌ
クレオチド及び配列番号2で表わされる塩基配列を含む
オリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、(ii)配
列番号3で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチ
ド及び配列番号4で表わされる塩基配列を含むオリゴヌ
クレオチドからなるプライマーペア、(iii)配列番号
5で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチド及び
配列番号6で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオ
チドからなるプライマーペア、並びに(iv)配列番号7
で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチド及び配
列番号8で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチ
ドからなるプライマーペアからなる群より選択される少
なくとも2種のプライマーペアを含み、より好ましく
は、配列番号1〜8で表わされる塩基配列を含むオリゴ
ヌクレオチドを含む。また、前記被検動物は昆虫である
ことが好ましい。
【0010】さらに、本発明は、被検昆虫体内に存在す
る核酸を鋳型とし、検出しようとする複数種の昆虫病原
生物それぞれのゲノムDNAの部分領域を増幅し得る少
なくとも2種のプライマーペアを含む混合プライマーを
用いて増幅処理を行うことを含む、該被検昆虫体内の該
複数種の昆虫病原生物を同時に検出し得る方法を提供す
る。この本発明の方法を、以下「第2の本発明の方法」
という。
【0011】上記方法において、前記昆虫病原生物が微
胞子虫であることが好ましい。この場合において、検出
しようとする前記複数種の微胞子虫は、好ましくは、ノ
セマ・ボンビシス、バイリモルファsp. M11、バイリモ
ルファsp. M12、バイリモルファ・ネカトリクス及びプ
レイストフォラsp. PSDからなる群より選択される少な
くとも2種の微胞子虫であり、より好ましくは、ノセマ
・ボンビシス、バイリモルファsp. M11、バイリモルフ
ァsp. M12、バイリモルファ・ネカトリクス及びプレイ
ストフォラsp. PSDである。
【0012】前記混合プライマーは、好ましくは、
(i)配列番号1で表わされる塩基配列を含むオリゴヌ
クレオチド及び配列番号2で表わされる塩基配列を含む
オリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、(ii)配
列番号3で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチ
ド及び配列番号4で表わされる塩基配列を含むオリゴヌ
クレオチドからなるプライマーペア、(iii)配列番号
5で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチド及び
配列番号6で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオ
チドからなるプライマーペア、並びに(iv)配列番号7
で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチド及び配
列番号8で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチ
ドからなるプライマーペアからなる群より選択される少
なくとも2種のプライマーペアを含み、より好ましく
は、配列番号1〜8で表わされる塩基配列を含むオリゴ
ヌクレオチドを含む。
【0013】さらに、本発明は、ノセマ・ボンビシス、
バイリモルファsp. M11、バイリモルファsp. M12、バイ
リモルファ・ネカトリクス及びプレイストフォラsp. PS
DのゲノムDNAの部分領域を増幅し得るプライマーペ
アからなる群より選択される少なくとも2種のプライマ
ーペアを含む、微胞子虫検出用プライマーセットを提供
する。
【0014】上記プライマーセットは、好ましくは、
(i)配列番号1で表わされる塩基配列を含むオリゴヌ
クレオチド及び配列番号2で表わされる塩基配列を含む
オリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、(ii)配
列番号3で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチ
ド及び配列番号4で表わされる塩基配列を含むオリゴヌ
クレオチドからなるプライマーペア、(iii)配列番号
5で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチド及び
配列番号6で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオ
チドからなるプライマーペア、並びに(iv)配列番号7
で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチド及び配
列番号8で表わされる塩基配列を含むオリゴヌクレオチ
ドからなるプライマーペアからなる群より選択される少
なくとも2種のプライマーペアを含み、より好ましく
は、配列番号1〜8で表わされる塩基配列を含むオリゴ
ヌクレオチドを含む。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 〔第1の本発明の方法〕本発明は、被検動物体内に存在
する複数種の微胞子虫を同時に検出し得る方法に関し、
この検出は、該被検動物体内に存在する核酸を鋳型と
し、検出しようとする複数種の微胞子虫それぞれのゲノ
ムDNAの部分領域を増幅し得るプライマーペアを含む
混合プライマーを用いて増幅処理を行うことにより実施
することができる。ここで、該混合プライマーは少なく
とも2種のプライマーペアを含む。
【0016】第1の本発明の方法において、検出しよう
とする前記複数種の微胞子虫は、微胞子虫門(Microspo
ra)に属する原生生物であればよく、特に限定されない
が、好ましくは微胞子虫類(Microsporida)に属する原
生生物、より好ましくは、ノセマ・ボンビシス(Nosema
bombycis)、バイリモルファsp. M11(Vairimorphasp.
M11)、バイリモルファsp. M12(Vairimorpha sp. M1
2)、バイリモルファ・ネカトリクス(Vairimorpha nec
atrix)及びプレイストフォラsp. PSD(Pleistophora s
p. PSD)からなる群より選択される少なくとも2種の微
胞子虫、最も好ましくは、ノセマ・ボンビシス、バイリ
モルファsp. M11、バイリモルファsp.M12、バイリモル
ファ・ネカトリクス及びプレイストフォラsp. PSDであ
る。前記ノセマ・ボンビシスには、強毒系統及び弱毒系
統の両方が含まれる。
【0017】第1の本発明の方法において使用する混合
プライマーに含まれるプライマーは、検出対象とする複
数の微胞子虫由来のDNAを、相互に配列比較すること
によって設計することができる。配列比較に用いるDN
Aの領域は、いずれの遺伝子であってもよく、特に限定
されないが、例えば、ミトコンドリア熱ショックタンパ
ク質70(HSP70)遺伝子、ペプチド延長因子1α
遺伝子、小サブユニットrRNA遺伝子等が挙げられ
る。配列比較に用いるDNAの塩基配列は公知のもので
あってもよく、例えば、GenBank等のデータベースから
取得することができる。当業者であれば、データベース
に登録された配列の中から、検出対象とする微胞子虫の
種類に応じて適切な配列を検索し、容易に取得すること
ができる。このようにして取得される塩基配列として
は、例えば、下記表1に示されるものを挙げることがで
きる。
【0018】
【表1】
【0019】上記のような配列比較に基いて、検出対象
とする各微胞子虫に対するプライマーを設計するには、
まず、取得した複数の塩基配列のアライメントをとる。
アライメントは、解析ソフトウェア、例えば、クラスタ
ルX(ClustalX、フリーウエア)を用いてとることがで
きる。その際のソフトウェアのパラメータは、全て初期
値のままであってもよく、また、必要に応じて変更して
もよい。このようなパラメータの変更は、当業者であれ
ば容易に行うことができる。次に、このようなアライメ
ント(配列比較の結果)に基き、以下の基準:(1)原
則として1種の微胞子虫につき1種類の増幅産物が形成
されるようにする;(2)プライマーを混合したとき
に、混在しているプライマーどうしが目的外の部位を増
幅しないように設計する(目的外の部位を増幅してしま
う場合にはプライマー配列を変更する);(3)増幅す
る目的配列は必ずしも同じ遺伝子である必要はなく、生
物ごとに異なってもよい;(4)増幅される産物が電気
泳動で分離できるようにプライマーを設計する;に従っ
て、プライマーとして適切な配列を選択することができ
る。この際に、各プライマーの塩基数は特に限定されな
いが、好ましくは15塩基以上、より好ましくは20塩
基以上とする。
【0020】また、各プライマーペアにより増幅される
DNA断片のサイズは、通常の電気泳動により検出され
得る範囲であればよく、特に限定されないが、好ましく
は100塩基〜3000塩基、より好ましくは100塩
基〜2000塩基とする。ここで、各プライマーペアに
より増幅されるDNA断片のサイズを、電気泳動により
各DNA断片のバンドが相互に明確に分離される程度に
分散させておくと、上記方法により各微胞子虫の同時検
出だけでなく、同定をも行うことができる。ただし、こ
のような同定は、必ずしも検出対象とする微胞子虫の全
てを区別するものでなくてもよい。すなわち、区別する
必要のない微胞子虫の間では、それぞれに由来する増幅
断片のサイズが、電気泳動により明確に分離される程度
に異なっていなくてもよい。上述のようにして設計され
るプライマーの塩基配列は特定の配列に限定されるもの
ではないが、例えば、下記の表2に示される塩基配列を
含むものが挙げられる。
【0021】
【表2】
【0022】上記表2において、NBEF35F及びNBEF957R
は、ノセマ・ボンビシス延長因子1α遺伝子配列に基い
て設計したプライマーであり、ノセマ・ボンビシスの弱
毒系統及び強毒系統の両方を検出することができる。M1
1-96F及びM11-822Rは、バイリモルファsp. M11の小サブ
ユニットrRNA遺伝子配列に基いて設計したプライマ
ーであり、バイリモルファsp. M11のみを検出すること
ができる。V70-176F及びV70-1898Rは、バイリモルファs
p. M12のHSP70遺伝子配列に基いて設計したプライ
マーであり、バイリモルファsp. M12及びバイリモルフ
ァ・ネカトリクス(外国種)を検出することができる。
PSDF1は、微胞子虫小サブユニットrRNA遺伝子の共
通配列に基いて設計したプライマーであり、PSDR450
は、プレイストフォラsp. PSDの小サブユニットrRN
A遺伝子配列に基いて設計したプライマーである。PSDF
1及びPSDR450は、プレイストフォラsp. PSDのみを検出
することができる。なお、各プライマーの名称の最後の
数字は、そのプライマーの設計の基礎とした配列におけ
る、各プライマーの3’末端塩基の塩基番号を示してい
る。これらのプライマーは特異性が非常に高いため、そ
の検出対象として示したもの以外の微胞子虫及び他の病
原生物には反応しない。また、上記のようにして設計し
たオリゴヌクレオチド(プライマー)は、当業者に公知
の方法、例えば化学合成等により容易に作製することが
できる。
【0023】第1の本発明の方法において使用する混合
プライマーは、検出対象とする微胞子虫の種類に応じ
て、以上のようにして設計される2種以上のプライマー
ペアを含む。例えば、上記表2に記載したプライマーを
用いる場合には、検出対象とする微胞子虫の種類に応じ
て、全プライマーペアのうちの2種以上を混合して混合
プライマーとすることができるが、好ましくは、これら
のプライマーの全てを混合して混合プライマーとする。
【0024】第1の本発明の方法において用いる増幅処
理は特に限定されないが、好ましくはポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)である。ここで、該増幅処理に用いる鋳
型は被検動物体内に存在する核酸であり、好ましくはD
NAである。このような核酸は、当業者に公知の方法に
より被検動物から抽出することができる。プライマーと
しては、上述の混合プライマーを用いる。鋳型及びプラ
イマーの他、増幅処理に必要な試薬、処理条件等は、当
業者であれば適切に設定することができる。例えば、P
CRを行う場合には、鋳型及びプライマーの他に、Tris
-HCl、KCl、MgCl2、各dNTP、Taq DNAポリメラーゼ
等の試薬類を混合してPCR反応液とすることができ、
このような試薬類はPCR用キットとしても市販されて
いる。次いで、このようにして調製したPCR反応液
を、サーマルサイクラー等の装置に投入し、温度サイク
ル反応を行うことによって増幅処理を行うことができ
る。
【0025】増幅処理により得られる増幅産物の検出
は、該産物のサイズ(塩基長)によって分離することの
できる公知の方法、好ましくはアガロースゲル電気泳動
等の電気泳動法により行うことができる。このような方
法により、増幅処理に使用した各プライマーペアから予
測されるサイズの増幅断片が検出されるか否かを調べる
ことができ、これにより、被検動物体内に存在する核酸
が上記混合プライマーによって増幅されるか否かを調べ
ることができる。ここで、プライマーペアからの増幅断
片のサイズの予測は、当業者であれば容易に行うことが
できる。上述のように、上記混合プライマーに含まれる
各プライマーペアが、相互に異なるサイズのDNA断片
を与えるものであれば、微胞子虫の検出のみならず、そ
の同定(各種微胞子虫の特異的検出)をも行うことがで
きる。例えば、表2に記載の各プライマーペアから予測
される増幅断片の塩基長は、NBEF35F及びNBEF957Rにつ
いては943塩基、M11-96F及びM11-822Rについては7
52塩基、V70-176F及びV70-1898Rについては1750
塩基、PSDF1及びPSDR450については450塩基である。
【0026】第1の本発明の方法を適用することのでき
る動物、すなわち前記被験動物は、微胞子虫が感染しう
る動物であればよく、特に限定されないが、好ましくは
哺乳類、魚類又は昆虫類に属する動物、より好ましくは
カイコガ(Bombix mori)である。また、被検動物はい
かなる成長段階にあるものでもよく、卵であってもよい
が、好ましくは成虫又は卵、より好ましくは成虫の段階
である。本発明の方法においては、被検動物から核酸を
取得する必要があるが、上記のような被検動物からの核
酸抽出は、液体窒素を用いる摩砕及びフェノール法等の
当業者に公知の方法により行うことができ、また、市販
のキットを用いて行うこともできる。前記被検動物がヒ
トである場合には、被験者からの組織、細胞等から当業
者に公知の方法により核酸試料を得ることができる。
【0027】〔第2の本発明の方法〕本発明はまた、被
検昆虫体内に存在する複数種の昆虫病原生物を同時に検
出する方法に関し、この検出は、該被検昆虫体内に存在
する核酸を鋳型とし、検出しようとする複数種の昆虫病
原生物それぞれのゲノムの部分領域を増幅し得るプライ
マーペアを含む混合プライマーを用いて増幅処理を行う
ことによって実施することができる。ここで、該混合プ
ライマーは少なくとも2種のプライマーペアを含む。
【0028】第2の本発明の方法において、検出しよう
とする前記複数種の昆虫病原生物は、昆虫体内に入り込
んで何らかの疾患、障害等の病的状態を引き起こすもの
であればよく、特に限定されない。このような昆虫病原
生物としては、例えば、ウイルス、クラミジア、マイコ
プラスマ、細菌、真菌、リケッチア、原生動物(原
虫)、寄生虫等が挙げられるが、好ましくはカイコガ体
内に入り込む病原生物、より好ましくは微胞子虫であ
る。微胞子虫としては、微胞子虫門(Microspora)に属
する原生生物であればよく、特に限定されないが、好ま
しくは微胞子虫類(Microsporida)に属する原生生物、
より好ましくは、ノセマ・ボンビシス(Nosemabombyci
s)、バイリモルファsp. M11(Vairimorpha sp. M1
1)、バイリモルファsp. M12(Vairimorpha sp. M1
2)、バイリモルファ・ネカトリクス(Vairimorpha nec
atrix)、プレイストフォラsp. PSD(Pleistophora sp.
PSD)等が挙げられる。前記ノセマ・ボンビシスには、
強毒系統及び弱毒系統の両方が含まれる。
【0029】第2の本発明の方法において使用する混合
プライマーに含まれるプライマーは、検出対象とする複
数の昆虫病原生物由来のDNA又はRNAを、相互に配
列比較することによって設計することができる。配列比
較に用いるDNA又はRNAの塩基配列は公知のもので
あってもよく、例えば、GenBank等のデータベースから
取得することができる。当業者であれば、データベース
に登録された配列の中から、検出対象とする昆虫病原生
物の種類に応じて適切な配列を検索し、容易に取得する
ことができる。検出対象が微胞子虫である場合には、こ
のようにして取得される塩基配列としては、例えば、上
記表1に示されるものを挙げることができる。
【0030】上記のような配列比較に基くプライマーの
設計は、第1の本発明の方法について述べた手法に従っ
て、同様に行うことができる。検出対象が微胞子虫であ
る場合には、このようにして設計されるプライマーとし
ては、例えば、上記表2に示されるものを挙げることが
できる。
【0031】第2の本発明の方法において使用する混合
プライマーは、検出対象とする昆虫病原生物の種類に応
じて、以上のようにして設計される2種以上のプライマ
ーペアを含む。例えば、検出対象が微胞子虫である場合
において、上記表2に記載したプライマーを用いる場合
には、検出対象とする微胞子虫の種類に応じて、全プラ
イマーペアのうちの2種以上を混合して混合プライマー
とすることができるが、好ましくは、これらのプライマ
ーの全てを混合して混合プライマーとする。
【0032】第2の本発明の方法において用いる増幅処
理及び該増幅処理により得られる増幅産物の検出は、第
1の本発明の方法について述べた手法に従って、同様に
行うことができる。また、ゲノムRNAを有する昆虫病
原生物を検出対象とする場合には、通常のPCRに代え
てRT−PCRを行うことができる。このRT−PCR
は、鋳型であるRNAからリバースプライマー及び逆転
写酵素を用いて一本鎖cDNAを取得し、RNアーゼを
用いてRNAを分解した後に、該一本鎖cDNAを鋳型
として通常のPCRを行うことにより二本鎖cDNAを
取得する手法である。ここで、逆転写酵素としては、モ
ロニーマウス白血病ウイルス由来の逆転写酵素などの公
知のものを用いることができる。その他、RT−PCR
において用いる試薬、反応条件等は、当業者であれば容
易に選択及び設定できる。
【0033】第2の本発明の方法を適用することのでき
る動物、すなわち前記被験昆虫は、特に限定されない
が、好ましくはカイコガ(Bombix mori)である。ま
た、前記被検昆虫はいかなる成長段階にあるものでもよ
く、卵であってもよいが、好ましくは成虫又は卵、より
好ましくは成虫の段階である。第2の本発明の方法にお
いては、被検昆虫から核酸を取得する必要があるが、上
記のような被検昆虫からの核酸抽出は、液体窒素を用い
る摩砕及びフェノール法等の当業者に公知の方法により
行うことができ、また、市販のキットを用いて行うこと
もできる。
【0034】〔本発明のプライマーセット〕本発明はま
た、本発明の方法を使用するためのプライマーセット、
すなわち、ノセマ・ボンビシス、バイリモルファsp. M1
1、バイリモルファsp. M12、バイリモルファ・ネカトリ
クス及びプレイストフォラsp. PSDのゲノムDNAの部
分領域を増幅し得るプライマーペアからなる群より選択
される少なくとも2種のプライマーペアを含む、微胞子
虫検出用プライマーセットに関し、好ましくは、該プラ
イマーペアの全てを含む。
【0035】本発明のプライマーセットに含まれる上記
プライマーペアは、上述のように設計し、調製すること
ができる。また、こうして調製されるプライマーペアの
具体例は、上記表2に示したとおりである。従って、本
発明のプライマーセットは、好ましくは、上記表2に記
載のプライマーセットのうちの少なくとも2種類を含
み、より好ましくは、その全て(配列番号1〜8で表わ
される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド)を含む。
【0036】さらに、本発明の方法に使用するプライマ
ー以外の試薬類を本発明のプライマーセットに加えて、
微胞子虫検出用キットとすることもできる。このような
試薬類としては、Tris-HCl、EDTA、SDS、プロテ
イナーゼK、RNaseA、フェノール、酢酸ナトリウム、エ
タノール等のDNA抽出用試薬、Tris-HCl、KCl、MgCl
2、各種dNTP、Taq DNAポリメラーゼ等のPCR用試
薬、TEバッファー、40%スクロースDye、アガロー
スゲル等の電気泳動用試薬などが挙げられるが、これら
に限定されない。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明する。ただし、これらの実施例は説明のためのも
のであり、本発明の技術的範囲を制限するものではな
い。 〔実施例1〕検出用プライマーの設計及び調製 データベースに登録されている、種々の微胞子虫由来の
ヌクレオチド配列を比較し、検出対象となる各微胞子虫
にのみ特異的な領域を数カ所ずつ選択した。ここで、配
列比較に使用したヌクレオチド配列は、下記の表3に記
載したとおりであり、これらの配列の比較は、解析ソフ
トウェアであるクラスタルX(ClustalX、フリーウエ
ア)を用いて行った。該ソフトウェアのパラメータは、
全て初期値のままとした。また、配列比較した比較図の
一部を図1に示した。
【0038】
【表3】
【0039】次に、選択した各領域をプライマーにした
場合にPCRによって増幅される産物の大きさを推定
し、これらの増幅産物が混在していても電気泳動によっ
て分離・識別が可能となるような大きさの産物を増幅す
る配列の組み合わせを選定し、下記表4に示すプライマ
ーを設計した。これらのプライマーは、常法に従って合
成した。
【0040】
【表4】
【0041】〔調製例1〕PCR用の鋳型として使用す
るためのDNA試料の調製 (1)各微胞子虫の感染したカイコガ及び未感染カイコ
ガからのDNA抽出 微胞子虫の感染したカイコガ又は未感染カイコガ一個体
を乳鉢に取り、液体窒素を加えて摩砕した。得られた粉
末を50ml容遠心チューブに取り、32mM Tris-HCl(pH8.
0)、8mM EDTA (pH8.0)、3.2% SDS、32μg/ml Proteinas
e K、160μg/ml RNase Aの反応系において、37℃で1
時間反応させた。反応後、フェノール抽出を行い、1/10
量の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)を加え、2倍量のエ
タノールを加えてDNAを回収した。
【0042】(2)各微胞子虫の胞子からのDNA抽出 1.5ml容チューブに胞子10mgを取り、STEバッファー(10
mM Tris-HCl pH8.0, 1mM EDTA pH8.0,10mM NaCl)で洗
浄した。その後、胞子に50mgのグラスビーズ(SIGMA
社、G-8772)及び200μlのSTEバッファーを加え、ボル
テックスを用いて30秒間破砕処理した。処理後、95℃で
5分間の熱処理を行い、150μlの上清を回収した。回収
した上清に1/10量の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)及び
2.5倍量の99.5%エタノールを加え、エタノール沈澱を
行った。遠心(10000×g、4℃、10分間)した後、7
0%エタノールを用いてリンスし、回収した沈澱を20μl
のTEバッファー中に懸濁した。
【0043】〔実施例2〕各微胞子虫検出用プライマー
の特異性実験 実施例1で調製した各プライマ−を用い、各プライマー
が増幅対象とする微胞子虫胞子からのDNA試料を鋳型
としてPCRを行い、目的産物の増幅を確認した。ま
た、これらのプライマーが目的とする微胞子虫以外の微
胞子虫のゲノムを鋳型にした場合に増幅産物を形成する
か否かを確かめるために、それぞれのプライマーをその
検出対象以外の微胞子虫からのDNA試料と混合し、P
CRを行った。さらに、これらのプライマーが、カイコ
ガゲノム由来のDNA断片を増幅するか否かを調べた。
【0044】すなわち、ノセマ・ボンビシス強毒系統
(微粒子病病原)及び弱毒系統、バイリモルファsp. M1
1、バイリモルファsp. M12、バイリモルファ・ネカトリ
クス(外国種)、プレイストフォラsp. PSD、並びにノ
セマ・フルナカリス(外国種)からの各DNA試料並び
にカイコガからのDNA試料と、上記表4に記載の4種
の各プライマーペアとの全ての組み合わせにおいてPC
Rを行った。
【0045】PCR反応液は、終濃度で10mM Tris-HCl
(pH8.9)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、0.2mM 各dNTP、2.5U
nit Taq DNAポリメラーゼ (Sawady テクノロジー社
製)、各0.5μMの相同プライマー及び相補プライマーを
含み、さらに10ngの鋳型DNAを含む計100μlの溶液と
した。PCRは、アステックPC800サーマルサイクラー
を用い、94℃で2分の熱処理後、94℃で30秒−55℃で30
秒−72℃で30秒の反応を35サイクルという条件で行っ
た。
【0046】PCR後の反応液2.5μlを採取し、等量の
TEバッファー及び1μlの40%スクロースDye(0.03%BP
B、50mM EDTA、pH8.0、40%スクロース)を加えて
電気泳動用試料とした。電気泳動は2%アガロースゲル
(Sigma社、Type-II medium EEO A-6877)及び電気泳動
装置Mupid 21(コスモバイオ社)を用い、100Vで30分間
行った。
【0047】電気泳動の結果を図2に示す。図2におい
て、パネルAは、ノセマ・ボンビシス強毒系統及び弱毒
系統を検出対象とするプライマーNBEF35F及びNBEF957R
を用いたPCRの結果を示し、パネルBは、バイリモル
ファsp. M11を検出対象とするプライマーM11-96F及びM1
1-822Rを用いたPCRの結果を示し、パネルCは、バイ
リモルファsp. M12及びバイリモルファ・ネカトリクス
を検出対象とするプライマーV70-176F及びV70-1898Rを
用いたPCRの結果を示し、パネルDは、プレイストフ
ォラsp. PSDを検出対象とするプライマーPSDF1及びPSDR
450を用いたPCRの結果を示す。
【0048】これらの結果によれば、各プライマーは目
的とする微胞子虫からのDNA試料を鋳型にした場合に
のみ特異的な産物を増幅し、他の微胞子虫からのDNA
試料を鋳型にした場合には産物の増幅が認められなかっ
た。さらに、いずれのプライマーを用いた場合にも、カ
イコガゲノム由来の増幅産物は検出されなかった。
【0049】〔実施例3〕混合プライマーによる微胞子
虫の検出 各微胞子虫に特異的なプライマーを複数種混合させ、目
的の遺伝子以外の部位を増幅するか否かを調べた。ま
た、このような混合プライマーが、宿主であるカイコガ
ゲノム由来のDNA断片を増幅するか否かを調べた。す
なわち、ノセマ・ボンビシス強毒系統(微粒子病病原)
及び弱毒系統、バイリモルファsp. M11、バイリモルフ
ァsp. M12、バイリモルファ・ネカトリクス(外国
種)、並びにプレイストフォラsp. PSDからの各DNA
試料並びにカイコガからのDNA試料を鋳型とし、上記
表4に記載の4種のプライマーペアを混合した混合プラ
イマーを用いてPCRを行った。
【0050】PCR反応液は、終濃度で10mM Tris-HCl
(pH8.9)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、0.2mM 各dNTP、2.5U
nit Taq DNAポリメラーゼ (Sawady テクノロジー社
製)、各0.5μMのプライマーを含み、さらに10ngの鋳型
DNAを含む計100μlの溶液とした。PCRは、アステ
ックPC800サーマルサイクラーを用い、94℃で2分の熱
処理後、94℃で30秒−55℃で30秒−72℃で30秒の反応を
35サイクルという条件で行った。
【0051】PCR後の反応液2.5μlを採取し、等量の
TEバッファー及び1μlの40%スクロースDye(0.03%BP
B、50mM EDTA、pH8.0、40%スクロース)を加えて
電気泳動用試料とした。電気泳動は2%アガロースゲル
(Sigma社、Type-II medium EEO A-6877)及び電気泳動
装置Mupid 21(コスモバイオ社)を用い、100Vで30分間
行った。
【0052】電気泳動の結果を図3に示す。図3におい
て、左側の4つの矢印は、そこに示されているとおり、
それぞれNB(Nosema bombycis)を検出するプライマー
(NBEF35F及びNBEF957R)、M11(Vairimorpha sp. M1
1)を検出するプライマー(M11-96F及びM11-822R)、M1
2(Vairimorpha sp. M12)を検出するプライマー(V70-
176F及びV70-1898R)、及びPSD(Pleistophora sp. PS
D)を検出するプライマー(PSDF1及びPSDR450)により
増幅されるPCR産物の推定泳動度を示す。図3によれ
ば、各プライマーは予想される大きさの産物を増幅し、
それ以外の産物の増幅は確認されなかった。また、上記
混合プライマーは、カイコガゲノム由来のDNA断片を
増幅しなかった。
【0053】〔実施例4〕宿主に感染した状態での各微
胞子虫の検出・判別実験 宿主に感染した状態でも微胞子虫が検出できるか否かを
調べるために、微胞子虫に感染したカイコガ成虫からの
DNA試料を鋳型として、PCRを行った。すなわち、
ノセマ・ボンビシス強毒系統(微粒子病病原)及び弱毒
系統、バイリモルファsp. M11、バイリモルファsp. M1
2、バイリモルファ・ネカトリクス(外国種)、並びに
プレイストフォラsp. PSDをそれぞれ感染させた各カイ
コガ成虫からの各DNA試料を鋳型とする以外は、実施
例3と同様にPCRを行った。
【0054】電気泳動の結果を図4に示す。図4によれ
ば、上記のPCRの結果は、各微胞子虫の胞子からのD
NA試料を鋳型として用いた場合との差を示さなかっ
た。従って、上記のような混合プライマーを用いるマル
チプライマーPCRにより、微胞子虫に感染したカイコ
ガからのDNA試料から、各微胞子虫を判別可能な形で
検出することができることが分かった。
【0055】〔実施例5〕微胞子虫感染時期による影響 カイコガの成長段階によって検出精度に影響がでるか否
かを検討した。すなわち、ノセマ・ボンビシス強毒系統
(微粒子病病原)及び弱毒系統、バイリモルファsp. M1
1、バイリモルファsp. M12、並びにプレイストフォラs
p. PSDをそれぞれ感染させたカイコガ(1齢、2齢、3
齢、4齢及び5齢サナギ、並びに成虫)からの各DNA
試料を鋳型とする以外は、実施例3と同様にPCRを行
った。その結果、カイコガの成長は検出結果には直接影
響しないことが明らかとなった。
【0056】〔実施例6〕混合プライマーの目的外生物
に対する反応 表4に記載の全プライマーを含む混合プライマーが微胞
子虫以外の生物であって、微胞子虫と同じ環境で生育し
うるもののゲノム由来のDNA断片を増幅するか否かを
調べるため、カイコ核多角体病ウイルス(BmNP
V)、白きょう病菌ボーベリア・バシアナ(B. bassian
a)、バチルス・チューリンゲンシス(B. thuringiensi
s)、及び大腸菌(E. coli)から調製したDNA試料を
鋳型とする以外は実施例3と同様にPCRを行った。
【0057】これらの結果のうち、ボーベリア・バシア
ナ及びバチルス・チューリンゲンシスについての結果を
図5に示す。図5からわかるように、上記混合プライマ
ーはこれら2種の生物由来のDNA断片を増幅しなかっ
た。また、BmNPV及び大腸菌に由来するDNA断片
も増幅されなかった。
【0058】〔実施例7〕微胞子虫が共感染していた場
合の微胞子虫の検出及び識別 検出対象となっている微胞子虫が2種類感染していた場
合でも、カイコガ成虫からこれらの微胞子虫を識別でき
る形で検出できるか否かを調べた。すなわち、ノセマ・
ボンビシスからのDNA試料及びプレイストフォラsp.
PSDからのDNA試料を混合して鋳型とする以外は実施
例3と同様にPCRを行った。この際に、これらのDN
A試料のそれぞれを鋳型とする別々のPCRを行った後
にPCR産物を混合して電気泳動を行う実験と、これら
のDNA試料の混合物にさらにカイコガからのDNA試
料を添加したものを鋳型とする実験を同時に行った。そ
の結果を図6に示す。図6からわかるように、感染して
いる二種類の微胞子虫に特異的な産物がそれぞれ増幅さ
れ、電気泳動によって二種類の微胞子虫の感染が確認さ
れた。
【0059】
【発明の効果】本発明により、一個体につき一本のチュ
ーブを使用した一回の検査のみで複数の病原を検出する
ことができる。また、各病原生物ごとに異なる大きさの
DNA断片が増幅されるように設定することにより、病
原の同定も容易に行うことができる。さらに、本発明
は、農業分野以外に、医療現場で緊急診断に用いること
も可能である。さらに、この検出方法では、病原体の種
類を一種類に限定する必要がないため、ウイルスとバク
テリアなど異生物集団の比較も可能である。
【0060】蚕微粒子病の検定の場合には、増殖状態や
感染量に依存せずに微胞子虫を検出できるため、従来困
難であった胞子を形成していない状態での検出も行うこ
とができ、さらに卵の検定も容易に行える。また、検定
が形質に依存しないため、微胞子虫と他の病原菌を見誤
ることがない。
【0061】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Director-General of National Institute of Sericultural and Entomological Science Japan Science and Technology Corporation <120> Method for Identifying Pathogenic organisms using multi-primer PCR <130> P99-0623 <160> 8 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Primer <400> 1 tggcgctgtt gataagagat t 21 <210> 2 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Primer <400> 2 aatttagcaa cacaagcctt at 22 <210> 3 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Primer <400> 3 tactttattt aatgtacatt tgaaaa 26 <210> 4 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Primer <400> 4 ctcgaattag aaaattctct caa 23 <210> 5 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Primer <400> 5 caaatgacag ggaaagaaat aagttcca 28 <210> 6 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Primer <400> 6 ttaaatattt tgtgctatag cttactc 27 <210> 7 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Primer <400> 7 caccaggttg attctgcctg acg 23 <210> 8 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Primer <400> 8 gctccgcctc tctttccgtc tcc 23
【0062】
【配列表フリーテキスト】配列番号1〜8:プライマー
【図面の簡単な説明】
【図1】6種類の微胞子虫及び大腸菌(E. coli)由来
のDNA部分配列のアライメントを示す図である。
【図2】4種のプライマーペアをそれぞれ単独で用いた
場合における、各種微胞子虫の検出結果を示す電気泳動
写真である。
【図3】4種のプライマーペアからなる混合プライマー
を用いた場合における、各種微胞子虫の検出結果を示す
電気泳動写真である。
【図4】各種微胞子虫を感染させたカイコガから取得し
たDNA試料からの微胞子虫の検出結果を示す電気泳動
写真である。
【図5】微胞子虫以外の生物(ボーベリア・バシアナ及
びバチルス・チューリンゲンシス)から取得したDNA
試料を鋳型とし、微胞子虫検出用混合プライマーを用い
るPCRの結果を示す電気泳動写真である。
【図6】2種類の微胞子虫を同時感染させたカイコガか
ら取得したDNA試料からの、微胞子虫の検出結果を示
す電気泳動写真である。
フロントページの続き (72)発明者 米村 真之 茨城県つくば市吾妻2−3−2−708− 607 (56)参考文献 特開 平8−252099(JP,A) 日本蚕糸学雑誌,Vol.66,No. 4(1997),p.242−252 Adstracts of the General Meeting of the American Soci ety for Microbiolo gy,Vol.94th(1994),p. 529 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12Q 1/00 - 1/70 CA/REGISTRY(STN) JICSTファイル(JOIS) BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検動物体内に存在する核酸を鋳型と
    し、検出しようとする複数種の微胞子虫それぞれのゲノ
    ムDNAの部分領域を増幅し得る少なくとも2種のプラ
    イマーペアを含む混合プライマーを用いて増幅処理を行
    うことを含む、該被検動物体内の該複数種の微胞子虫を
    同時に検出し得る方法であって、該混合プライマーが、
    下記(i)〜(iv): (i)配列番号1で表わされる塩基配列を含むオリゴヌ
    クレオチド及び配列番号2で表わされる塩基配列を含む
    オリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、 (ii)配列番号3で表わされる塩基配列を含むオリゴヌ
    クレオチド及び配列番号4で表わされる塩基配列を含む
    オリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、 (iii)配列番号5で表わされる塩基配列を含むオリゴ
    ヌクレオチド及び配列番号6で表わされる塩基配列を含
    むオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、並びに (iv)配列番号7で表わされる塩基配列を含むオリゴヌ
    クレオチド及び配列番号8で表わされる塩基配列を含む
    オリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、からなる
    群より選択される少なくとも2種のプライマーペアを含
    む、前記方法。
  2. 【請求項2】 検出しようとする前記複数種の微胞子虫
    が、ノセマ・ボンビシス、バイリモルファsp. M11、バ
    イリモルファsp. M12、バイリモルファ・ネカトリクス
    及びプレイストフォラsp. PSDからなる群より選択され
    る少なくとも2種の微胞子虫である請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 検出しようとする前記複数種の微胞子虫
    が、ノセマ・ボンビシス、バイリモルファsp. M11、バ
    イリモルファsp. M12、バイリモルファ・ネカトリクス
    及びプレイストフォラsp. PSDである請求項2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 被検動物体内に存在する核酸を鋳型と
    し、配列番号1〜8で表わされる塩基配列からなるオリ
    ゴヌクレオチドを含む混合プライマーを用いて増幅処理
    を行うことを含む、該被検動物体内の該複数種の微胞子
    虫を同時に検出し得る方法。
  5. 【請求項5】 前記被検動物が昆虫である請求項1記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 昆虫がカイコガ(Bombix mori)である
    請求項5記載の方法
  7. 【請求項7】 (i)配列番号1で表わされる塩基配列
    を含むオリゴヌクレオチド及び配列番号2で表わされる
    塩基配列を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマー
    ペア、(ii)配列番号3で表わされる塩基配列を含むオ
    リゴヌクレオチド及び配列番号4で表わされる塩基配列
    を含むオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、
    (iii)配列番号5で表わされる塩基配列を含むオリゴ
    ヌクレオチド及び配列番号6で表わされる塩基配列を含
    むオリゴヌクレオチドからなるプライマーペア、並びに
    (iv)配列番号7で表わされる塩基配列を含むオリゴヌ
    クレオチド及び配列番号8で表わされる塩基配列を含む
    オリゴヌクレオチドからなるプライマーペアからなる群
    より選択される少なくとも2種のプライマーペアを含
    む、微胞子虫検出用プライマーセット
  8. 【請求項8】 配列番号1〜8で表わされる塩基配列を
    含むオリゴヌクレオチドを含む請求項記載の微胞子虫
    検出用プライマーセット。
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