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JP3449649B2 - 酢酸ナトリウムの定量方法及び定量試薬 - Google Patents

酢酸ナトリウムの定量方法及び定量試薬

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JP3449649B2
JP3449649B2 JP23568894A JP23568894A JP3449649B2 JP 3449649 B2 JP3449649 B2 JP 3449649B2 JP 23568894 A JP23568894 A JP 23568894A JP 23568894 A JP23568894 A JP 23568894A JP 3449649 B2 JP3449649 B2 JP 3449649B2
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monoamine oxidase
reaction
reagent
amine compound
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文緒 宇梶
昌人 岡田
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Tokuyama Corp
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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酢酸ナトリウムを定量す
る新規な方法に関するものであり、例えば、食品中の酢
ナトリウムの定量など、食品工業の分野で広く利用で
きる。
【0002】
【従来の技術】食品中の酢酸ナトリウムの定量は、食品
工業において工程管理や品質管理のための検査として重
要である。従来、食品に含まれる上記酢酸ナトリウム等
酢酸又は酢酸塩の定量は、ガスクロマトグラフィー法
(以下GC法と略す)、高速液体クロマトグラフィー法
(以下HPLC法と略す)、酵素法、微生物センサー法
などにより行われている。
【0003】GC法、HPLC法は前処理と操作が煩雑
で、また、他の類似有機酸が存在する場合、酢酸だけを
定量することが困難であるという欠点を有する。
【0004】酵素法は酢酸を基質とする酵素を用いて、
酢酸又は酢酸塩を定量するもので、大別して二つの方法
がある。
【0005】一つの方法は、メソッズ・オブ・エンザイ
マティック・アナリシス,第2版(Methods of enzymati
c Analysis, 2nd ed)Bergmeyer, H. U.編、3巻、1520
頁、Verlag Chemie、Weinheim(1974年)に記載されて
いる方法であり、この方法では、酢酸キナーゼを使用し
て酢酸とアデノシン三リン酸(以下ATPと略す)から
アセチルリン酸とアデノシン二リン酸(以下ADPと略
す)を生成させ、次にホスホトランスアセチラーゼによ
りアセチルリン酸とコエンザイムA(以下CoAと略
す)からアセチルコエンザイムA(以下アセチル−Co
Aと略す)とリン酸を生成させる。次いでクエン酸合成
酵素によりオキサロ酢酸とアセチル−CoAからクエン
酸とCoAを生成させ、この際のオキサロ酢酸の減少量
をリンゴ酸脱水素酵素による反応を用いて、リンゴ酸脱
水素酵素の補酵素である還元型ニコチンアデニンジヌク
レオチド(以下NADHと略す)の増加速度(量)をN
ADHの吸収極大波長である340nmで吸光度を追跡する
ことで測定し、酢酸又は酢酸塩濃度を定量する。以下に
この方法の反応式を示す。
【0006】 酢酸キナーセ゛ : 酢酸 + ATP → アセチルリン酸 + ADP ホスホトランスアセチラーセ゛ : アセチルリン酸 + CoA → アセチル-CoA + リン酸 クエン酸合成酵素 : アセチル-CoA + オキサロ酢酸 + HO → クエン酸 + CoA リンコ゛酸脱水素酵素 : リンコ゛酸 + NAD → オキサロ酢酸 + NADH + H この他、メソッズ・オブ・エンザイマティック・アナリ
シス,第3版(Methodsof enzymatic Analysis, 3rd e
d.)Bergmeyer, H. U.編、6巻、639頁、VerlagChemie、
Weinheim(1984年)に記載の酢酸キナーゼとホスホトラ
ンスアセチラーゼのかわりにアセチル−CoA合成酵素
を利用して酢酸からアセチル−CoAを生成させる方法
もある。これらの方法は、非常に複雑な反応を用いてお
り、操作が煩雑なうえ測定に時間がかかる(15分〜1時
間)という欠点を有している。
【0007】もう一つの方法では、酢酸キナーゼにより
酢酸とATPからアセチルリン酸とADPを生成させ、
次にADPとホスホエノールピルビン酸からピルビン酸
キナーゼによりATPとピルビン酸を生成させる。この
ピルビン酸の生成速度を乳酸脱水素酵素による反応を用
いて、乳酸脱水素酵素の補酵素であるNADHの減少速
度をNADHの吸収極大波長である340nmで吸光度を追
跡することで測定し、酢酸又は酢酸塩濃度を定量する
(特開昭59−11199公報,月刊フードケミカル、
4巻、103頁、1988年)。以下にこの方法の反応式を示
す。
【0008】 酢酸キナーセ゛ : 酢酸 + ATP → アセチルリン酸 + ADP ヒ゜ルヒ゛ン酸キナーセ゛ : ADP + ホスホエノールヒ゜ルヒ゛ン酸 → ATP + ヒ゜ルヒ゛ン酸 乳酸脱水素酵素 : ヒ゜ルヒ゛ン酸 + NADH + H → 乳酸 + NAD この方法も複雑な反応を利用しており、測定時間が長い
(10分〜1時間)という欠点を持っている。
【0009】微生物センサー法は、酢酸を資化する微生
物(酵母菌・Trichoporon brassicae)を固定化した膜
を酸素電極に装着し、ガス透過性膜で被覆した呼吸活性
測定型センサーを用いて定量する方法である。酸素消費
量と酢酸濃度には比例関係があるので、酸素量を測定す
ることで酢酸又は酢酸塩濃度が定量できる。この菌は酢
酸以外にエチルアルコールも資化するので、まず、被検
体を含む溶液のpHを3以下にして測定する。この場合、
酢酸はほぼすべてガス化するためガス透過膜を通過し、
センサーに応答する。次に、pH7以上で測定する。この
場合は、酢酸はほぼすべて解離しているためガス透過膜
を通過できず、センサーに応答しない。一方、エチルア
ルコールは常にガス状態であるためpHに関係なくガス透
過膜を通過する。よって、pH3以下で測定するとエチル
アルコールと酢酸の合計濃度が定量され、pH7以上で測
定するとエチルアルコールのみの濃度が定量されるの
で、pH3以下の時の測定値からpH7以上の時の測定値を差
引くことにより酢酸又は酢酸塩の定量値を得る(特開昭
63−255653公報)。しかし、この方法では、酢
酸又は酢酸塩を定量するために、pHを変えて2回測定し
なければならず、また、微生物は、多数の物質を資化す
るので、酵素を用いた場合のような高い選択性はないと
いう欠点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来技術に鑑
み、分析処理効率、定量性に優れしかも簡便な酢酸ナト
リウムの定量方法の開発を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意検討したところ、アスペルギルス・ニ
ガー(Aspergillus niger)由来のモノアミン酸化酵素
が酢酸ナトリウムによって阻害を受け、また、その阻害
の程度が酢酸ナトリウム量(濃度)に比例するという事
実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明は、酢酸ナトリウムを含有す
る被検体に、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus ni
ger)由来のモノアミン酸化酵素及びアミン化合物を作
用させ、生じた酵素反応性生物の生成量又は生成速度を
測定することにより酢酸ナトリウムの量を決定すること
を特徴とする酢酸ナトリウムの定量方法である。
【0013】他の発明は、アスペルギルス・ニガー(As
pergillus niger)由来のモノアミン酸化酵素、アミン
化合物、ペルオキシダーゼ、及び還元型色原体からな
り、これら試薬成分中、モノアミン酸化酵素とアミン化
合物とは分離して保管されることを特徴とする酢酸ナト
リウム定量試薬に関する。
【0014】本発明における被検体は、酢酸ナトリウム
を含有するものであれば特に限定されない。例えば、食
品、培養物、培養液、細胞内液、もしくはそれらの抽出
液等が挙げられる。
【0015】本発明におけるモノアミン酸化酵素とは、
酢酸ナトリウムにより阻害を受けるという性質を有し、
次式に示すようにアミン類を基質とした酸化的脱アミノ
化によるアルデヒド化合物、アンモニア、過酸化水素の
生成反応を触媒する酵素を指す。
【0016】 アミン化合物+酸素+H2O → アルデヒド化合物+アンモニア+過酸化水素本発明では、上記モノアミン酸化酵素として、特に、ア
スペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のも
のを使用する。該アスペルギルス・ニガー(Aspergillu
s niger)由来のモノアミン酸化酵素は、酢酸ナトリウ
ムに対する感受性と安定性に優れている。
【0017】目的とするモノアミン酸化酵素は上述の
スペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)から公知
の方法により得ることができる。
【0018】本発明に用いるアミン化合物は、モノアミ
ン酸化酵素による酸化的脱アミノ化反応の基質となりう
るものであれば特に限定されない。該アミン化合物を具
体的に例示すれば、ベンジルアミン、p−フルオロベン
ジルアミン、フェネチルアミン、1−アミノブタン、1
−アミノペンタン、1−アミノヘキサン等が挙げられ、
特にベンジルアミンが酵素との親和性の点で好ましい。
【0019】反応生成物とは、アミン化合物を基質とし
てモノアミン酸化酵素によって生成される物質で、過酸
化水素及びアンモニアまたは上記アミン化合物由来のア
ルデヒド化合物を指す。容易に定量することができる点
で、過酸化水素またはアンモニアを反応生成物として定
量することが好ましい。
【0020】上記の酢酸ナトリウムの定量反応における
反応液量は、通常0.1〜5mlの範囲で行われる。モノアミ
ン酸化酵素は、反応液1ml当たり0.001〜10ユニットの
範囲で使用されるが、特に0.01〜0.5ユニットの範囲で
好適に使用される。アミン化合物は、0.01〜100mMの範
囲の濃度で使用されるが、特に0.5〜10mMの範囲の濃度
で好適に使用される。
【0021】本発明における被検体とモノアミン酸化酵
素及びアミン化合物を反応させる際の反応系のpHは、モ
ノアミン酸化酵素の活性が高く維持されるpHであれば特
に限定されないが、具体的には、pH5〜9の範囲、特にpH
6〜8が好適である。pHを維持するための緩衝液は、酢酸
ナトリウムを含有していなければ特に限定されず、例え
ば、リン酸緩衝液、GOOD緩衝液等が好適に使用でき
る。反応温度は、10〜45℃の範囲、特に25℃〜37℃が好
適である。反応時間は、1〜30分の範囲、特に3〜10分が
好適である。
【0022】反応生成物であるアンモニア、または過酸
化水素は、いずれも従来から知られている方法により定
量することができる。
【0023】アンモニアは、例えば、次式に示したL−
グルタミン酸デヒドロゲナーゼによって触媒される酵素
反応を利用して、アンモニアと酵素との反応の進行にと
もない減少する補酵素であるNADHまたは還元型ニコ
チンアデニンジヌクレオチドリン酸(以下NADPHと
略す)をこれら補酵素の吸光度(340nm)で追跡す
ることにより、その減少速度(量)からアンモニアの生
成速度(量)を定量できる。
【0024】 アンモニア+α-ケトグルタル酸+NAD(P)H+H+ → グルタミン酸+NAD(P)+ L−グルタミン酸デヒドロゲナーゼの起源は特に限定さ
れるものではなく、例えば、細菌、酵母、牛肝臓由来の
市販の酵素が使用できる。
【0025】一方、過酸化水素は、例えば、次式に示し
たペルオキシダーゼによって触媒される酵素反応によ
り、生成する色素の吸光度を色素の極大吸収波長近辺で
測定する方法でその生成速度(量)を定量できる。
【0026】 過酸化水素+還元型色原体 → 色素+HO ペルオキシダーゼの起源は特に限定されるものではな
く、西洋わさび、微生物由来の酵素が用いられるが、西
洋わさび由来の酵素が好適に用いられる。
【0027】還元型色原体とは、過酸化水素とペルオキ
シダーゼとの共存下で、酸化縮合により色素を形成し発
色する化合物を指し、その発色強度は過酸化水素量に比
例する。該還元型色原体は特に限定されるものではなく
種々のものが利用できる。例えば、4−アミノアンチピ
リン(以下4−AAと略す)、3−メチル−2−ベンゾ
チアゾリノンヒドラジン等のカップラーと、N−エチル
−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−
トルイジン(以下TOOSと略す)、N−エチル−N−
スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロ
ピル−3,5−ジメトキシアニリン、N−スルホプロピ
ル−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−ス
ルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル
−N−スルホプロピル−m−トルイジン、N−エチル−
N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−ア
ニシジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−ス
ルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒド
ロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシア
ニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)
−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(2
−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチ
ルアニリン、N−スルホプロピルアニリン、N−エチル
−N−スルホプロピル−m−アニシジン等のアニリン誘
導体の組み合わせ等が使用できる。
【0028】反応生成物のうちアンモニアを測定する場
合は、L−グルタミン酸デヒドロゲナーゼは、反応液1
ml当たり0.01〜500ユニットの範囲で使用されるが、特
に1〜100ユニットの範囲で好適に使用される。NADH
またはNADPHは、0.001〜10mMの範囲の濃度で使用
されるが、特に0.05〜0.5mMの範囲の濃度で好適に使用
される。上記酵素法によるアンモニアの定量は、通常、
前記の被検体、モノアミン酸化酵素及びアミン化合物を
反応させる際の反応液中において、モノアミン酸化酵素
によるアンモニアの生成反応と同時並行して行われるた
め、pH、緩衝液、反応温度、反応時間等の測定条件は、
モノアミン酸化酵素の反応条件が適用される。
【0029】反応生成物のうち過酸化水素を測定する場
合は、ペルオキシダーゼは、反応液1ml当たり0.5〜500
ユニットの範囲で使用されるが、特に1〜100ユニットの
範囲で好適に使用される。還元型色原体は、0.05〜100m
Mの範囲の濃度で使用されるが、特に0.1〜10mMの範囲の
濃度で好適に使用される。上記酵素法による過酸化水素
の定量も、通常は前記の被検体、モノアミン酸化酵素及
びアミン化合物を反応させる際の反応液中において、モ
ノアミン酸化酵素による過酸化水素の生成反応と同時並
行して行われるため、pH、緩衝液、反応温度、反応時間
等の測定条件は、モノアミン酸化酵素の反応条件が適用
される。
【0030】本発明のアスペルギルス・ニガー(Asperg
illus niger)由来のモノアミン酸化酵素、アミン化合
物、ペルオキシダーゼ、及び還元型色原体からなり、こ
れら試薬成分中、モノアミン酸化酵素とアミン化合物と
は分離して保管されてなる酢酸ナトリウム定量試薬は、
酵素反応生成物の一つである過酸化水素を定量すること
により酢酸ナトリウムを定量する試薬である。該試薬の
組成について以下説明する。
【0031】アスペルギルス・ニガー(Aspergillus ni
ger)由来のモノアミン酸化酵素は、反応液1ml当たり
0.001〜10ユニットの範囲で使用されるが、特に0.01〜
0.5ユニットの範囲で好適に使用される。アミン化合物
は、0.01〜100mMの範囲の濃度で使用されるが、特に0.5
〜10mMの範囲の濃度で好適に使用される。ペルオキシダ
ーゼは、反応液1ml当たり0.5〜500ユニットの範囲で使
用されるが、特に1〜100ユニットの範囲で好適に使用さ
れる。還元型色原体は、0.05〜100mMの範囲の濃度で使
用されるが、特に0.1〜10mMの範囲の濃度で好適に使用
される。
【0032】本試薬はモノアミン酸化酵素の活性が高く
維持されるpH、即ち一般的には、pH5〜9の範囲、特にpH
6〜8で定量に供されるので、少なくとも測定時にpHを維
持するための緩衝液を使用するのが望ましい。該緩衝液
は測定時に反応液に混合してpH調節を行ってもよいが、
試薬の活性維持、簡便性の観点から本試薬中に予め含有
させておくことが望ましい。該緩衝液としては、酢酸
トリウムを含有していなければ特に限定されず、例え
ば、リン酸緩衝液、GOOD緩衝液等が好適に使用でき
る。
【0033】上記の本試薬に含まれる上記必須成分の中
で、モノアミン酸化酵素とアミン化合物は酵素反応が進
行しないように分離させておく必要があるが、その他の
酵素、化合物の混合形態には何ら制限はない。例えば、
モノアミン酸化酵素、ペルオキシダーゼ、還元型色原体
(アニリン誘導体)を含む酵素溶液、アミン化合物の水
溶液と還元型色原体(カップラー)からなる基質溶液を
それぞれ調製し、測定時に両者が被検体共々混合され定
量に供されるのが代表的である。
【0034】本発明の酢酸ナトリウムの定量方法による
代表的な酢酸ナトリウムの量(濃度)の定量は、モノア
ミン酸化酵素等を含む酵素溶液に被検体を混合し、次い
でアミン化合物等を含む基質溶液を加えて酵素反応を行
わせ、生じたアンモニアまたは過酸化水素を、前記のL
−グルタミン酸デヒドロゲナーゼまたはペルオキシダー
ゼを用いた方法により比色定量することにより実施され
る。モノアミン酸化酵素とアミン化合物との酵素反応と
アンモニアまたは過酸化水素の定量反応は、同時並行的
に行っても或いは段階的に行ってもよいが、前者のほう
が簡便性且つ迅速性の点で好ましい。
【0035】酢酸ナトリウムの定量は、一般的には検体
の測定に先だち、調製された酢酸ナトリウム濃度既知の
標準溶液を使用して本発明の定量方法に従ってアンモニ
ア又は過酸化水素の生成速度(量)と酢酸ナトリウム
度との検量線を作製し、この検量線を用いて被検体の酢
ナトリウム濃度を算出する。
【0036】本発明の定量方法において、定量性、酵素
の安定性、操作の簡便性という点から、酢酸ナトリウム
を含む被検体に、アスペルギルス・ニガー(Aspergillu
s niger)由来のモノアミン酸化酵素及びベンジルアミ
ンを作用させ、生じた過酸化水素の生成量または生成速
度を測定することにより酢酸ナトリウムの量(濃度)を
決定する方法が特に好ましい。
【0037】また、本発明の酢酸ナトリウム定量試薬に
おいて、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus nige
r)由来のモノアミン酸化酵素、ベンジルアミン、西洋
わさび由来のペルオキシダーゼ、及び還元型色原体から
なり、これら試薬成分中、当該アミン酸化酵素とベンジ
ルアミンとは分離して保管される定量試薬が、保存安定
性、定量性、操作性の観点から特に好ましい。
【0038】
【作用】アスペルギルス・ニガー(Aspergillus nige
r)由来のモノアミン酸化酵素は、アミン化合物を基質
とした酸化的脱アミノ化によるアルデヒド化合物、アン
モニア、過酸化水素の生成反応を触媒するが、反応液中
に酢酸ナトリウムが存在すると、その濃度に比例して活
性が変化する。この性質を利用して、反応生成物である
アンモニア、過酸化水素等を定量することでモノアミン
酸化酵素活性を測定し、ひいては反応系(被検体)中の
酢酸ナトリウムを定量することができる。
【0039】
【発明の効果】本発明の酢酸ナトリウムの定量方法によ
り、簡便な操作で正確かつ迅速に酢酸ナトリウムを定量
する方法と、そのための試薬が提供される。
【0040】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0041】参考例 モノアミン酸化酵素の調製 3.0% グルコース、0.3% 硝酸ナトリウム、0.1% リン酸
水素二カリウム、0.05%硫酸マグネシウム、0.05% 塩化
カリウム、0.001% 硫酸第一鉄、0.1% 酵母エキス、0.02
% 消泡剤から成る前培養培地(pH5.0)100mlの入った坂
口フラスコを10本用意し、アスペルギルス・ニガーの胞
子懸濁液を接種し、30℃、攪拌回転数110rpmで一晩振と
う培養した。この坂口フラスコ10本分の培養液を、20l
の前培養液を仕込んだジャーファーメンターに移し、30
℃、攪拌回転数200rpm、通気25l/minで一晩培養した
後、集菌した。次いで、160lの前培養液を仕込んだジャ
ーファーメンターに植菌し、30℃、攪拌回転数200rpm、
通気180l/minで一晩培養した後、集菌し、3.0% グルコ
ース、0.1% ブチルアミン、0.1% リン酸水素二カリウ
ム、0.05%硫酸マグネシウム、0.05% 塩化カリウム、0.0
01% 硫酸第一鉄、0.02% 消泡剤から成る本培養培地(pH
5.0)を160l仕込んだジャーファーメンターに菌体を植
菌し、30℃、攪拌回転数200rpm、通気180l/minで一晩本
培養を行い集菌した。
【0042】得られた菌体の約5kg(湿菌体重量)を50
lの20mM リン酸緩衝液(pH7.5)に懸濁し、ダイノミル
細胞破砕機を用いて菌体破砕を行った。連続遠心分離機
により、破砕液から不溶物を除き、上清液を得た。
【0043】破砕上清液に、予め20mMリン酸緩衝液(pH
7.0)で平衡化しておいたDEAE-セルロース(ワット
マン社製)を3l加え、静かに攪拌しながら、4℃で一
晩放置した。この溶液を吸引濾過し、タンパク質の吸着
した樹脂を得、よく洗浄した後にカラムに充填した。0.
2Mの硫酸アンモニウムを含む20mMリン酸緩衝液を用いて
吸着したタンパク質を溶出し、活性画分を回収し、ゲル
濾過カラムクロマトグラフィーにより脱塩を行った。
【0044】次に、脱塩した活性画分を20mMリン酸緩衝
液で平衡化した1lのDEAE-セルロースカラムに通
し、タンパク質を吸着させ、同様の緩衝液でカラムを洗
浄した後、硫酸アンモニウム濃度を0Mから0.2Mまで直線
的に増加させてタンパク質を溶出し、活性画分を回収し
た。
【0045】活性画分を限外濾過により濃縮し、0.1M硫
酸アンモニウムを含む10mMリン酸緩衝液で平衡化した
3lのセファクリルS-400(ファルマシア社製)カラム
に通し、活性画分を回収し、最終精製標品とした。
【0046】約5kg(湿菌体重量)の菌体から、900ユ
ニット(比活性=1.5ユニット/mgタンハ゜ク質)のモノアミン酸化
酵素を得た。
【0047】実施例1 下記の組成の酵素溶液と基質溶液を調製した。
【0048】・酵素溶液 0.1M MES (pH7.0) 1.322mM TOOS 26.4U/ml ペルオキシダーゼ 105mU/ml モノアミン酸化酵素 ・基質溶液 0.1M MES (pH7.0) 5.264mM 4−AA 26.452mM ベンジルアミン 試料として、0 、2、4、6、8、10、20、30、40、50mMの
酢酸ナトリウム溶液を調製し、測定を行った。320μlの
酵素溶液に20μlの試料を加えてよく混合し、37℃で5
分間保温した。次いで80μlの基質溶液を加え、37℃
で、555nmの波長の吸光度を3分間測定し、1分間当
たりの吸光度変化(ΔA555)を算出した。横軸に酢酸
ナトリウム濃度、縦軸にΔA555の逆数(1/ΔA555)
をとりプロットした。図1にその結果を示す。酢酸ナト
リウム濃度0〜50mMの範囲で良好な直線関係が得られ、
定量性があることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本図は本発明の定量方法による酢酸ナトリウ
ム濃度と1分間当たりの吸光度変化の逆数(1/ΔA5
55)との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12Q 1/00 - 1/70 BIOSIS/MEDLINE/CA/W PIDS(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢酸ナトリウムを含有する被検体に、
    スペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来の
    ノアミン酸化酵素及びアミン化合物を作用させ、生じた
    酵素反応性生物の生成量又は生成速度を測定することに
    より酢酸ナトリウムの量を決定することを特徴とする
    酸ナトリウムの定量方法。
  2. 【請求項2】 反応生成物が過酸化水素である請求項1
    酢酸ナトリウムの定量方法。
  3. 【請求項3】 アスペルギルス・ニガー(Aspergillus
    niger)由来のモノアミン酸化酵素、アミン化合物、ペ
    ルオキシダーゼ、及び還元型色原体からなり、これら試
    薬成分中、モノアミン酸化酵素とアミン化合物とは分離
    して保管されることを特徴とする酢酸ナトリウム定量試
    薬。
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