JP3377160B2 - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
半導体装置およびその製造方法Info
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Description
活性領域とする薄膜トランジスタ(以下、TFTとい
う)等の薄膜半導体素子よりなる半導体装置およびその
製造方法に関する。特に、液晶表示装置用のアクティブ
マトリクス基板や薄膜集積回路一般、イメージセンサー
や三次元ICなどに利用できる。
や、低コスト化のためドライバー回路を同一基板上に形
成したモノリシック型の液晶表示装置、薄膜集積回路、
高速で高解像度の密着型イメージセンサー、ドライバー
内蔵型サーマルヘッド、三次元ICなどへの実現に向け
て、ガラス等の絶縁基板上や、絶縁膜上に高性能な半導
体素子を形成する試みがなされている。これらの装置に
用いられる半導体素子には、薄膜状のケイ素半導体を用
いるのが一般的である。薄膜状のケイ素半導体として
は、非晶質ケイ素半導体(a−Si)からなるものと結
晶性を有するケイ素半導体からなるものの2つに大別さ
れる。
相法で比較的容易に作製することが可能で量産性に富む
ため、最も一般的に用いられているが、半導体膜の移動
度、導電性等の物性が結晶性を有するケイ素半導体に比
べて劣るため、今後より高速特性を得るためには、結晶
性を有するケイ素半導体からなる半導体装置の作製方法
の確立が強く求められていた。尚、結晶性を有するケイ
素半導体としては、多結晶ケイ素、微結晶ケイ素、結晶
成分を含む非晶質ケイ素等が知られている。
体を得る方法としては、 (1)成膜時に結晶性を有する膜を直接成膜する。
熱エネルギーを加えることにより結晶性を有せしめる。
エネルギービームを照射することにより結晶性を有せし
める。
膜工程と同時に結晶化が進行するので、大粒径の結晶性
ケイ素を得ることが難しく、それにはケイ素膜の厚膜化
が不可欠となる。だが、厚膜化したからといっても基本
的には膜厚と同程度の結晶粒径しか得られず、この方法
により良好な結晶性を有するケイ素膜を作製することは
原理的にまず不可能である。また、成膜温度が600℃
以上と高いので、安価なガラス基板が使用できないとい
うコストの問題もある。
℃以上の高温にて数十時間にわたる加熱処理が必要であ
るため、生産性に非常に乏しい。また、固相結晶化現象
を利用するため、結晶粒は基板面に平行に拡がり数μm
の粒径を持つものさえ現れるが、成長した結晶粒同士が
ぶつかり合って粒界が形成されるため、その粒界はキャ
リアに対するトラップ準位として働き、半導体膜の移動
度を低下させる大きな原因となっている。さらに、それ
ぞれの結晶粒は双晶構造を示し、一つの結晶粒内におい
ても所謂双晶欠陥と呼ばれる結晶欠陥が多量に存在して
いる。
となっている。上記(3)の方法では溶融固化過程を利
用し結晶化するので個々の結晶粒内の結晶性は非常に良
好である。また、照射光の波長を選ぶことで、アニール
の対象であるケイ素膜のみを効率的に加熱し、下層のガ
ラス基板への熱的損傷を防ぐことができると共に、上記
(2)の方法のような長時間にわたる処理が必要でな
い。装置面でも高出力のエキシマレーザーアニール装置
などが開発され、大面積基板に対しても対応可能になり
つつある。上記(3)の方法を利用して半導体素子を作
製する方法が、特開平4−11722号公報で提案され
ている。この公報では、下地膜\ケイ素膜\保護膜を積
層形成し、ケイ素膜の上層部分は溶融するが下層部分は
溶融しないような強度のレーザー光を照射して、ケイ素
膜を結晶化している。
要求されている特性レベルを考えると、ケイ素膜の結晶
化方法としては、上記(3)の方法が最良である。しか
しながら、ケイ素膜自体を瞬時たりとも溶融させるとい
うことは、不純物汚染に対しては大きなウイークポイン
トとなる。特にガラス基板を用いた場合には、ガラス基
板中に含まれるアルカリ金属類や、アルミ、ホウ素、ヒ
素などの不純物汚染が問題となる。このため、特開平4
−11722号公報でも述べられているように、ガラス
基板を用いた際には、特に下地膜としてまず酸化ケイ素
膜を形成し、その上にケイ素膜を形成してレーザー照射
により結晶化している。高純度な石英基板の場合には、
成分がSiO2であるので従来は下地膜を必要としな
い。
程度防止できるものの、ケイ素膜がレーザー照射により
溶融した際に、ケイ素膜と接している下地SiO2膜の
上層部分あるいは石英基板表面部分が、同時に溶融して
しまう。この結果、特にケイ素膜下層領域においては、
下地SiO2、石英基板との成分が入り混じり、膜中に
多数の酸素原子が取り込まれる。
素膜を活性領域に用い、半導体素子を作製すると、過飽
和の酸素原子が数個集合してクラスターとなり、これが
ドナーを形成する。イオン化したドナーは、キャリアの
散乱中心ともなるため、ケイ素膜そのものの移動度を低
下させ、素子特性を悪化させる。このように、ケイ素膜
中の酸素ドナーは半導体素子に悪影響を及ぼすため、で
きる限り低減するべきものである。単結晶シリコン基板
を用いたIC製造プロセスでは、酸化膜の形成工程や不
純物の拡散工程など1000℃以上の高温処理工程があ
るため、サーマルドナーは分解してしまう。しかし、特
にガラス基板上に半導体装置を形成する場合は、100
0℃程度の高温プロセスが無く、最後までサーマルドナ
ーが残ってしまう。
問題点に対して、ケイ素膜結晶化の際のレーザー照射
を、ケイ素膜の下層部分は溶融しないような強度(エネ
ルギー)にて行うことで、下層の下地SiO2膜よりの
酸素原子の混入を防いでいる。しかしながら、結晶化の
際の照射エネルギーに対してケイ素膜の結晶性も向上す
るため、要求される素子特性が低い場合には有効である
が、より高性能な半導体装置に対する要求に対してはフ
ォローできない。その点で根本的な解決策とはなってお
らず、当面の妥協策としての意味合いが強い。
22号公報により提示されている範囲の結晶化エネルギ
ーにて、TFTを作製して評価したところ、液晶表示装
置のドライバー回路などの薄膜集積回路を構成する半導
体素子としては、十分な性能のものが全く得られないこ
とがわかった。したがって、本発明者らは、より高性能
な半導体装置を得るため、前記公報で述べられている範
囲外のエネルギー、すなわち、より大きなエネルギーで
のレーザー照射を行い、TFTの特性向上を試みた。こ
のとき、前記公報で述べられているような酸素ドナーが
原因と思われる移動度の低下は見られず、ケイ素膜結晶
化時のレーザー照射エネルギーを大きくしていくにした
がい、逆に移動度が向上した。
エネルギーを大きくし、半導体膜の移動度が向上するに
したがい、トランジスタ特性がマイナス側にシフトする
現象が現れた。この現象は、特開平4−11722号公
報で提示されているような低エネルギー照射で結晶化を
行った場合には、全く見られなかった現象であり、ケイ
素膜結晶化のためのエネルギーをある一定値以上にした
ときに初めて顕在化する。このときのケイ素膜を調べた
ところ、結晶化のための照射エネルギーを大きくするに
したがい、その結晶性は向上するのであるが、ケイ素膜
自身がN型化していることがわかった。TFTの活性領
域がN型化すると、閾値電圧VTHがマイナス方向にず
れ、オフ動作領域でのリーク電流が増大する。しかし、
トレードオフの関係で活性領域の結晶性が向上するので
オン特性は向上し、電流駆動能力は増すといった上記の
矛盾した現象が見られた訳である。このため、より結晶
性を向上させるために、さらなる照射エネルギービーム
の出力アップを行うことはできず、ケイ素膜のN型化防
止のため、比較的低エネルギーでビーム照射を行わざる
を得ない。よって、要求される素子特性を満足するだけ
の十分な高品質結晶性ケイ素膜、そして高性能半導体装
置を実現することができなかった。
化工程の残る課題として、得られる結晶性ケイ素膜の膜
質(結晶性)不均一性がある。すなわち、光源として、
基板上のケイ素膜を一括照射できるだけの高出力のもの
が無く、小面積のビームを順次走査することで対応して
いるのが一般的である。したがって、当然のことなが
ら、順次走査に伴う結晶性の不均一性が存在し、それが
素子特性にそのまま反映され、素子間の特性ばらつきを
生じさせる原因となる。このとき、本来の活性領域結晶
性に起因する素子間特性ばらつきにプラスして、活性領
域のN型化によるばらつきが加算される訳である。その
結果、TFTにおいては、特に閾値電圧VTHが安定せず
に素子間で大きくばらつくことになる。このTFTを画
素スイッチング素子としたアクティブマトリクス型液晶
表示装置においては、結晶化のためのエネルギービーム
順次走査に起因するばらつきが、活性領域のN型化によ
り強調されるため、表示(コントラスト)むらが不良と
して現れていた。
出されたものであり、絶縁表面を有する基板上に、高性
能で高安定性、且つ高信頼性を有する半導体装置を提供
することを目的としたものである。また、複数の結晶性
ケイ素TFTを有するアクティブマトリクス基板などの
半導体装置においては、上述の順次走査により結晶化さ
れる際の素子特性ばらつきを低減し、低コスト化が図れ
る簡便なプロセスにて、均一性が良好な半導体装置を実
現するものである。
り高解像度のアクティブマトリクス液晶表示装置や、同
一基板上に駆動用のドライバを作り込むドライバモノリ
シック型アクティブマトリクス液晶表示装置、高速で高
解像度の密着イメージセンサ、ドライバー内蔵型サーマ
ルヘッド、三次元ICなどを実現するために、エネルギ
ービーム順次走査により結晶化された結晶性ケイ素を活
性領域に用いた際に生じる、素子特性の不安定性および
不均一性の問題点を解決するものである。具体的には、
本発明は以下の特徴を有する。
下地膜と接して成る、結晶性を有するケイ素膜を活性領
域として構成された薄膜半導体装置において、該活性領
域は、エネルギービーム照射による溶融固化過程にて結
晶化された結晶性ケイ素膜であり、前記下地膜は、組成
的に酸素を含まない絶縁膜であることを特徴とする。
酸素濃度が15%以下となる絶縁膜であることを特徴と
する。
下地膜と接して成る、結晶性を有するケイ素膜に構成さ
れた複数の薄膜トランジスタよりなる半導体装置におい
て、該複数の薄膜トランジスタのチャネル領域は、パル
スレーザー光の順次走査照射により結晶化された結晶性
ケイ素膜よりなり、該チャネル領域と接して下層に形成
された下地膜は、組成的に酸素を含まない絶縁膜である
ことを特徴とする。
酸素濃度が15%以下となる絶縁膜であることを特徴と
する。
素電極を有するアクティブマトリクス基板にて、各画素
電極に接続されてなる画素スイッチング用の薄膜トラン
ジスタであることを特徴とする。
あることを特徴とする。
中濃度が、6×1021個/cm3以下であることを特徴
とする。
絶縁膜よりなる下地膜を形成する工程と、該絶縁膜上に
ケイ素膜を形成する工程と、該ケイ素膜にエネルギービ
ームを照射し、溶融固化過程において結晶化させる工程
と、該ケイ素膜を活性領域に用いて、薄膜半導体装置を
完成させる工程と、を少なくとも有することを特徴とす
る。
度が15%以下となるようにして行うことを特徴とす
る。
により形成されたSiNX膜であることを特徴とする。
成され、その後の加熱処理により緻密化されたSiNX
であることを特徴とする。
は、500℃以上であることが好ましい。
形成し、加熱することにより固相状態において結晶化さ
せる工程と、該結晶化されたケイ素膜に対し、エネルギ
ービームを照射して溶融固化させることで、該ケイ素膜
を再結晶化する工程と、を少なくとも有することを特徴
とする。
とにより固相状態において結晶化させる工程は、該非晶
質ケイ素膜に、その結晶化を助長する触媒元素を導入し
た後、行われることを特徴とする。
00nm以下のエキシマレーザー光であって、ケイ素膜
に照射されるエネルギー密度が250〜400mJ/c
m2のパルスレーザーであることを特徴とする。
とにより固相状態において結晶化させる工程は、該非晶
質ケイ素膜に、その結晶化を助長する触媒元素を選択的
に導入し、加熱処理により、該触媒元素が選択的に導入
された領域から、その周辺部へと横方向に結晶成長させ
ることにより行われることを特徴とする。
とが好ましい。
ネルギービームとして、波長400nm以下のエキシマ
レーザー光を用いることが好ましい。
レーザー光であって、そのビーム形状が照射面(ケイ素
膜表面)において長尺形状となるように設計されてお
り、該ビーム形状の長尺方向に対して垂直方向に順次走
査することで、複数の半導体素子の活性領域を同時に結
晶化することを特徴とする。
晶化された結晶性ケイ素膜の抵抗値、キャリア濃度を調
べたところ、下地膜による依存性が大きいことがわかっ
た。より深く調べると、図4に示すように、下地膜の酸
素濃度により結晶性ケイ素膜の抵抗値(キャリア濃度)
が変化するのがわかった。このときのキャリアタイプを
ホール効果測定にて調べると明らかにNタイプであり、
Nタイプキャリアの発生原因は、ケイ素膜へのレーザー
光照射のため下地膜より溶出しケイ素膜中に拡散した酸
素クラスターによるサーマルドナーであることが判明し
た。すなわち、下地膜から来る酸素ドナーは、特開平4
−11722号公報で述べられているケイ素膜そのもの
の移動度の低下現象よりもむしろ、薄膜トランジスタに
おいて閾値電圧VTHをマイナス方向にシフトさせ、オフ
動作領域でのリーク電流を増大させるといった非常に大
きな悪影響を及ぼしていることがわかった。
表示用アクティブマトリクス基板のような半導体装置で
は、上記の酸素ドナーはTFT特性をばらつかせる大き
な原因ともなる。すなわち、酸素ドナーを発生させる一
次原因は、ケイ素膜の溶融固化による結晶化工程であ
り、上述のように課題として、得られる結晶性ケイ素膜
の膜質(結晶性)不均一性がある。特に、ケイ素膜中に
取り込まれる上記酸素ドナーの数は、結晶化工程に大き
く依存し、より高エネルギーが与えられ結晶化された局
所領域では、酸素ドナー濃度が相対的に高くなるため、
本来の素子間の特性ばらつきにプラスして、酸素ドナー
によるばらつきが加算される。その結果、特に閾値電圧
VTHが大きくばらつき、TFTを画素スイッチング素子
としたアクティブマトリクス型液晶表示装置において
は、結晶化のためのエネルギービーム順次走査に起因す
る素子間特性ばらつきが強調されるため、表示(コント
ラスト)むらが不良として現れることがわかった。
ム照射による溶融固化過程にて結晶化された結晶性ケイ
素膜を活性領域とする薄膜半導体装置で、該活性領域と
接して下層に形成された下地膜を、組成的に酸素を含ま
ない絶縁膜で構成することである。このような構成でT
FTなどの半導体装置を作成すると、素子特性を向上す
るためにエネルギー密度が250〜400mJ/cm2
にエネルギービームの出力アップを図っても、活性領域
のケイ素膜はN型化せず、素子特性も非常に安定する。
したがって、ケイ素膜に十分なエネルギーを与え結晶化
することができるため、活性領域の結晶性が大きく向上
し、電流駆動能力を電界移動度で80〜200cm2/
Vsに飛躍的に向上できる。TFTにおいては閾値電圧
VTHのマイナスシフト、オフ動作時のリーク電流の増大
などの弊害を生じず、従来両立できなかった高性能で且
つ高信頼性、高安定性の半導体装置を実現することがで
きる。
的に全く酸素を含まない絶縁膜で構成することが一番い
いのであるが、実際には酸素の混入が少なからず見られ
る。下地膜中に混入している酸素濃度としては、原子濃
度で15%以下であることが望ましい。図4に、下地膜
の膜中酸素濃度に対するケイ素膜の抵抗値の関係を示
す。横軸が酸素濃度で、縦軸がケイ素膜抵抗値である。
ケイ素膜の結晶化には、波長308nmのXeClエキ
シマレーザーを用い、ケイ素膜の結晶性がほぼ飽和する
ような程度の高パワー(〜400mJ/cm2)で結晶
化を行った。図4から、下地膜の酸素濃度が上がるにつ
れ、ケイ素膜の抵抗値は減少することがわかる。酸素濃
度が低い領域においては、ケイ素膜の抵抗値はほぼ飽和
しており、その境界としては酸素濃度が約15%の点で
あることがわかる。よって、下地膜の酸素濃度が15%
以下0までであれば、ケイ素膜の抵抗値はほぼ飽和し、
一定である。これは、イントリンシックに近い状態とな
り、膜中のキャリア濃度が極めて少なくなっていること
を意味している。
導体装置において有効である。すなわち、パルスレーザ
ー光の順次走査照射により結晶化された結晶性ケイ素膜
によりチャネル領域が形成された複数個のTFTにおい
ては、上述のように、パルスレーザー光の順次走査照射
に起因する結晶性ばらつきが存在するが、これにプラス
して、下地膜よりケイ素膜中に混入した酸素ドナーによ
るばらつきが加算されるからである。したがって、本発
明を複数個のTFTを有する半導体装置に適用し、チャ
ネル領域下層の下地膜を組成的に酸素を含まない絶縁膜
で構成することにより、高性能で且つ信頼性の高いTF
Tが得られるだけでなく、TFTの素子間での特性ばら
つきが大きく低減できる。このときも、下地膜中に混入
している酸素濃度としては、原子濃度で15%以下であ
ることが望ましい。
万個以上の非常に多数のTFTをマトリクスに配置する
半導体装置、特に液晶表示用のアクティブマトリクス基
板に対して有効である。液晶表示用のアクティブマトリ
クス基板は、各画素電極に接続されてなる画素スイッチ
ング用TFTにて構成されているが、その特性がばらつ
くと表示むら(コントラストむら)を引き起こす。人間
の目は非常にシビアであり、微妙なTFT特性の違いが
あったとしても、表示むらとして識別される。したがっ
て、素子間のTFT特性の均一性は、非常に高いレベル
が要求される。本発明は、このような高い均一性が求め
られる複数のTFT素子に対して非常に有効であり、液
晶表示装置で従来見られていたパルスレーザー光の順次
走査照射に起因する縞状のコントラストむらを大きく低
減することができた。
X(窒化ケイ素)膜であることが最も望ましい。なぜな
ら、活性領域となるケイ素膜と同組成を主成分とし、窒
素は酸素ほど活性ではなく反応性が低い。したがって、
活性領域ケイ素膜に対する悪影響を最小限に抑えること
ができる。また、SiNXは、そのX比にもよるが、一
般に酸化ケイ素膜よりも融点が500℃近く高い。した
がって、エネルギービーム照射により上層のケイ素膜が
溶融した際、酸化ケイ素膜に比べて溶融しにくく、窒素
がケイ素膜中に取り込まれることはほとんど無い。
濃度としては、6×1021個/cm3以下0であること
が望ましい。図5に、NH基のSiNX膜中濃度と、そ
の上に形成されレーザー照射により結晶化されたケイ素
膜の抵抗値との関係を示す。横軸はNH基のSiNX膜
中濃度、縦軸はケイ素膜の抵抗値を表す。図5からわか
るように、NH基の膜中濃度が6×1021個/cm3以
上になれば急激にケイ素膜の抵抗値が低下する。この理
由は不明であるが、本発明者らはNH基が固定電荷を形
成し、ケイ素膜中にキャリアを誘起するのではないかと
考えている。
NX膜の形成方法としては、スパッタリング法を用いる
ことが望ましい。スパッタリング法は、量産性に富み大
型基板も対応可能である。また、緻密で理想比(Si3
N4)に近いSiNX膜が得られる。また、その他の方法
として、CVD法により形成した後、加熱処理を施して
もよい。CVD法では、一般にシラン(SiH4)とア
ンモニア(NH3)ガスを用いるのでNH基の濃度は高
くなるが、これを加熱処理することでNH基を大きく低
減できる。但し、このときの基板加熱温度としては、N
−Hの結合エネルギーに相当する熱処理が必要であり、
具体的には500℃以上である必要がある。CVD法は
不純物の面では、スパッタリング法よりも有利であり、
純度の高いSiNX膜が得られる。
性、安定性、素子間均一性の両立を目的とするが、より
その効果を高めるために、本発明による下地膜上にまず
非晶質ケイ素膜を形成し、加熱することにより固相状態
において結晶化させ、その後、エネルギービーム照射し
溶融固化させることで、ケイ素膜を再結晶化する方法が
より有効である。非晶質ケイ素膜を加熱処理により固相
結晶化した結晶性ケイ素膜は、結晶性が悪く、そのまま
ではTFTのチャネル領域としては不適であるが、均一
性が良好なため、溶融固化結晶化時の種結晶を作ってお
くという意味で有効である。次に、この結晶性ケイ素膜
にエネルギービームを照射した場合には、その結晶情報
をある程度は残した状態で再結晶化され、固相結晶化に
よる良好な均一性が反映される。また、種結晶から再結
晶化されるため、非晶質ケイ素膜を直接エネルギービー
ム照射により結晶化する場合よりも、個々の結晶粒径を
より大きくすることができ、半導体装置の高性能化が行
える。
に、その結晶化を助長する触媒元素を導入した後、行わ
れることが望ましい。この方法により、加熱温度の低温
化および処理時間の短縮、そして結晶性の向上が図れ
る。具体的には、非晶質ケイ素膜の表面にニッケルやパ
ラジウム等の金属元素を微量に導入させ、しかる後に加
熱することで、550℃、4時間程度の処理時間で結晶
化が終了する。これに対し、通常の触媒元素を用いない
固相結晶化には、600℃以上で数十時間にわたる熱処
理が必要である。また、触媒元素により結晶化した結晶
性ケイ素膜は、通常の固相成長法で結晶化した結晶性ケ
イ素膜の一つの粒内が双晶構造であるのに対して、その
粒内は何本もの柱状結晶ネットワークで構成されてお
り、それぞれの柱状結晶内部はほぼ単結晶状態となって
いる。
イ素膜は、エネルギービーム照射による再結晶化工程と
非常に相性が良い。エネルギービーム照射による再結晶
化工程では、最初の結晶性がある程度反映され、通常の
固相結晶化による結晶性ケイ素膜では、双晶構造を反映
して、結晶欠陥の多い結晶性ケイ素膜となる。これに対
して、触媒元素による固相結晶化ケイ素膜の場合は、エ
ネルギービーム照射による再結晶化によって、それぞれ
の柱状結晶が結合し、広範囲にわたって非常に結晶性が
良好な結晶性ケイ素膜が得られる。
触媒元素を導入し加熱することで、まず選択的に触媒元
素が導入された領域のみが結晶化し、その後、その導入
領域から横方向(基板と平行な方向)に結晶成長を行わ
せることができる。この横方向結晶成長領域の内部で
は、成長方向がほぼ一方向に揃った柱状結晶がひしめき
合っており、触媒元素が直接導入されランダムに結晶核
の発生が起こった領域に比べて、結晶性が良好な領域と
なっている。よって、この横方向結晶成長領域の結晶性
ケイ素膜を、TFTのチャネル領域など半導体素子の能
動領域に用いることにより、より半導体装置の高性能化
が行える。
は、Ni、Co、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、I
n、Sn、Al、Sbを利用することができるが、それ
らの中でも、特にNiを用いた場合に最も顕著な効果を
得ることができる。この理由については、未だよくわか
っていないが、一応次のようなモデルを考えている。触
媒元素は単独では作用せず、ケイ素膜と結合しシリサイ
ド化することで結晶成長に作用する。そのときの結晶構
造が、非晶質ケイ素膜結晶化時に一種の鋳型のように作
用し、非晶質ケイ素膜の結晶化を促すといったモデルで
ある。Niは2つのSiとNiSi2のシリサイドを形
成する。NiSi2は螢石型の結晶構造を示し、その結
晶構造は、単結晶ケイ素のダイヤモンド構造と非常に類
似したものである。しかも、NiSi2はその格子定数
が5.406Åであり、結晶シリコンのダイヤモンド構
造での格子定数5.430Åに非常に近い値をもつ。よ
って、NiSi2は、非晶質ケイ素膜を結晶化させるた
めの鋳型としては最高のものであり、本発明における触
媒元素としては、特にNiを用いるのが最も望ましい。
のエネルギービームとしては、波長400nm以下のエ
キシマレーザー光を用いることが望ましい。波長が40
0nm以下であれば、ケイ素膜がその波長域に対して大
きな吸収係数を持つため、そのエネルギーを効率的にケ
イ素膜に与えられ、良好な結晶性ケイ素膜が得られると
ともに、下層のガラス基板などへの熱的ダメージも比較
的小さくて済む。また、エキシマレーザー光であれば、
発振出力が高く、安定性が高いため、そのビームサイズ
をある程度拡げることができ、大面積基板のケイ素膜の
アニール手段としては最も適している。
ビーム形状が照射面において長尺形状となるように設計
されたものを用い、ビーム形状の長尺方向に対して垂直
方向に順次走査することで、複数の半導体素子の活性領
域を同時に結晶化することが望ましい。なぜなら、走査
照射においては、走査方向に対して垂直方向の均一性は
比較的良好なため、その方向へとビームサイズを拡げる
ことで、大型基板などに対して、より均一な処理が可能
となり、該工程の処理効率も高くなるからである。
する。本実施例では、本発明を利用し、ガラス基板上に
液晶表示装置用のアクティブマトリクス基板を作製する
際の工程について説明を行う。このアクティブマトリク
ス基板においては、各画素をスイッチングするための素
子としてN型TFTが形成される。
板において、任意のTFTの作製工程を示す断面図であ
り、(A)→(E)の順にしたがって作製工程が順次進
行する。図1(E)に示すのが、本実施例にて作製した
アクティブマトリクス基板での画素TFT121の完成
図である。実際には、画素TFT121と同様の工程に
て、複数個の画素TFTが基板上に同時形成される。
板101上に例えばスパッタリング法によって厚さ30
0nm程度の窒化ケイ素からなる下地膜102を形成す
る。本実施例では、このときのスパッタリング条件とし
て、単結晶シリコンをターゲットとし窒素ガス中にて、
所謂反応性スパッタリング法にてSiNX膜を形成し
た。基板加熱温度は200℃とした。このときのSiN
X膜中の混入酸素による膜中酸素濃度は0.1%以下、
NH基の膜中濃度は2×1020個/cm3程度であっ
た。
どによって、厚さ20〜100nm、例えば30nmの
非晶質ケイ素(a−Si)膜103を成膜する。プラズ
マCVD法により前記a−Si膜103を成膜した場合
には、その膜中に多量の水素を含有し、後のレーザー照
射時の膜剥がれの原因となるため、ここで450℃程度
の温度で数時間熱処理を行い、膜中の水素を放出してお
く必要がある。
ー光107を照射し、a−Si膜103を結晶化する。
このときのレーザー光としては、XeClエキシマレー
ザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を用い
た。レーザー光107の照射条件は、照射時に基板を2
00〜500℃、例えば400℃に加熱し、エネルギー
密度250〜400mJ/cm2、例えば350mJ/
cm2とした。レーザー光107は、基板表面における
ビームサイズが150mm×1mmの長尺矩形状となる
ように、ホモジナイザーによって成型されており、その
長辺方向に対して垂直方向に順次走査した。このときの
順次走査に伴うビームのオーバーラップ量は、90%と
設定したため、a−Si膜103の任意の一点に対し
て、それぞれ10回レーザー照射されることになる。こ
の工程により、a−Si膜103はその融点以上に加熱
され、溶融し固化することで良好な結晶性を有する結晶
性ケイ素膜103aとなる。
な部分を除去することで、図1(C)に示すような素子
間分離を行って、後にTFTの活性領域(ソース領域、
ドレイン領域、チャネル領域)を構成する島状の結晶性
ケイ素膜108を形成する。
性領域となる上記島状の結晶性ケイ素膜108を覆うよ
うに厚さ20〜150nm、ここでは100nmの酸化
ケイ素膜をゲート絶縁膜109として成膜する。酸化ケ
イ素膜の形成には、ここではTEOS(Tetra E
thoxy Ortho Silicate)を原料と
し、酸素とともに基板温度150〜600℃、好ましく
は300〜450℃で、RFプラズマCVD法で分解・
堆積した。あるいはTEOSを原料としてオゾンガスと
ともに減圧CVD法もしくは常圧CVD法によって、基
板温度を350〜600℃、好ましくは400〜550
℃として形成してもよい。
厚さ300〜600nm、例えば400nmのアルミニ
ウムを成膜する。そして、アルミニウム膜をパターニン
グして、ゲート電極110を形成する。さらに、このア
ルミニウムの電極の表面を陽極酸化して、表面に酸化物
層111を形成する。この状態が図1(D)に相当す
る。陽極酸化は、酒石酸が1〜5%含まれたエチレング
リコール溶液中で行い、最初一定電流で220Vまで電
圧を上げ、その状態で1時間保持して終了させる。得ら
れた酸化物層111の厚さは200nmである。なお、
この酸化物層111は、後のイオンドーピング工程にお
いて、オフセットゲート領域を形成する厚さとなるの
で、オフセットゲート領域の長さを上記陽極酸化工程で
決めることができる。
ト電極110とその周囲の酸化物層111をマスクとし
て活性領域に不純物(リン)を注入する。ドーピングガ
スとして、フォスフィン(PH3)を用い、加速電圧を
60〜90kV、例えば80kV、ドーズ量を1×10
15〜8×1015cm-2、例えば2×1015cm-2とす
る。この工程により、不純物が注入された領域は後にT
FTのソース領域114とドレイン領域115となり、
ゲート電極110およびその周囲の酸化物層111にマ
スクされ不純物が注入されない領域は、後にTFTのチ
ャネル領域113となる。
ー光112の照射によってアニールを行い、イオン注入
した不純物の活性化を行うと同時に、上記の不純物導入
工程で結晶性が劣化した部分の結晶性を改善させる。こ
の際、使用するレーザーとしてはXeClエキシマレー
ザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を用
い、エネルギー密度150〜400mJ/cm2、好ま
しくは200〜250mJ/cm2で照射を行った。こ
うして形成されたN型不純物(リン)が注入されたソー
ス領域114、ドレイン領域115のシート抵抗は、2
00〜800Ω/□であった。
00nm程度の酸化ケイ素膜を層間絶縁膜116として
形成する。この酸化ケイ素膜は、TEOSを原料とし
て、これと酸素とのプラズマCVD法、もしくはオゾン
との減圧CVD法あるいは常圧CVD法によって形成す
れば、段差被覆性に優れた良好な層間絶縁膜が得られ
る。
ルを形成して、ソース電極117と画素電極120を形
成する。ソース電極117は、金属材料、例えば、窒化
チタンとアルミニウムの二層膜によって形成する。窒化
チタン膜は、アルミニウムが半導体層に拡散するのを防
止する目的のバリア膜として設けられる。画素電極12
0はITOなど透明導電膜により形成される。
0℃、1時間程度のアニールを行い、図1(E)に示す
N型の画素TFT121を完成させる。前記アニール処
理により、画素TFT121の活性領域/ゲート絶縁膜
の界面へ水素原子を供給し、TFT特性を劣化させる不
対結合手を低減する効果がある。なお、さらに画素TF
T121を保護する目的で、必要な箇所のみSiH4と
NH3を原料ガスとしたプラズマCVD法により形成さ
れた窒化ケイ素膜でカバーしてもよい。
Tは、パネル内において、電界効果移動度で80〜10
0cm2/Vs、閾値電圧2.5〜3Vという良好な特
性を示した。特に、パネル内でのTFT閾値電圧のばら
つきは、上記のように最大最小差で0.5V程度と非常
に良好な均一性を示した。その結果、本実施例にて作製
したアクティブマトリクス基板を用い、液晶表示パネル
を作製し、全面表示を行った結果、TFT特性の不均一
性に起因する表示むらは大きく低減され、高表示品位の
液晶表示装置が実現できた。
について説明する。本実施例では、アクティブマトリク
ス型液晶表示装置の周辺駆動回路や、一般の薄膜集積回
路を形成するNチャネル型TFTとPチャネル型TFT
を相補型に構成したCMOS構造の回路をガラス基板上
に作製する工程について、説明を行う。
工程の概要を示す平面図である。図3は、図2のA−
A'で切った断面図であり、(A)→(F)の順にした
がって工程が順次進行する。図3(F)に示すのが、本
実施例によるCMOS回路の完成図であり、N型TFT
222とP型TFT223により構成される。
板201上にプラズマCVD法によって厚さ300nm
程度の窒化ケイ素からなる下地膜202を形成する。こ
のときの成膜条件としては、材料ガスとして用いるシラ
ン(SiH4)、アンモニア(NH3)、窒素を0.5〜
1.5Torrの減圧雰囲気に設定し、基板温度300
〜350℃にてRFプラズマにより分解堆積させた。そ
の後、不活性ガス雰囲気中にて、基板温度500〜60
0℃、例えば580℃で数時間アニール処理を行った。
このようにして得られた該SiNX膜202中の混入酸
素による膜中酸素濃度は1%程度、NH基の膜中濃度は
2×1021個/cm3程度であった。
D法によって、厚さ20〜100nm、例えば50nm
の真性(I型)の非晶質ケイ素膜(a−Si膜)203
を成膜する。
(フォトレジスト)を塗布し、露光・現像してマスク2
04とする。フォトレジストマスク204のスルーホー
ルにより、領域200においてスリット状にa−Si膜
203が露呈される。即ち、図3(A)の状態を上面か
ら見ると、図2のように領域200でa−Si膜203
が露呈しており、他の部分はフォトレジストによりマス
クされている状態となっている。
1表面にニッケルを触媒元素205として薄膜蒸着す
る。本実施例では、蒸着ソースと基板間の距離を通常よ
り大きくして、蒸着レートを低下させることで、ニッケ
ルよりなる触媒元素205の厚さが1〜2nm程度とな
るように制御した。このときの基板201上における触
媒元素205によるニッケルの面密度を実際に測定する
と、1×1013atoms/cm2程度であった。そし
て、フォトレジストマスク204を除去することで、マ
スク204上のニッケル薄膜205がリフトオフされ、
領域200のa−Si膜203において、選択的にニッ
ケルのような触媒元素205の微量添加が行われたこと
になる。そして、これを不活性雰囲気下、例えば加熱温
度550℃で16時間アニールして結晶化させる。
膜203表面に添加されたニッケルを核として基板20
1に対して垂直方向にケイ素膜203の結晶化が起こ
り、結晶性ケイ素膜203bが形成される。そして、領
域200の周辺領域では、図2及び図3(B)におい
て、矢印206で示すように、領域200から横方向
(基板と平行な方向)に結晶成長が行われ、横方向結晶
成長した結晶性ケイ素膜203cが形成される。また、
それ以外の203の領域は、そのまま非晶質ケイ素膜領
域203dとして残る。この横方向結晶成長した結晶性
ケイ素膜203c中のニッケル濃度は5×1016ato
ms/cm3程度であった。なお、上記結晶成長に際
し、矢印206で示される基板と平行な方向の結晶成長
の距離は、80μm程度であった。
ー光207を照射し、ケイ素膜203の再結晶化を行
う。このときのレーザー光としては、XeClエキシマ
レーザー(波長308nm、パルス幅40nsec)を
用いた。レーザー光207の照射条件は、照射時に基板
を200〜500℃、例えば400℃に加熱し、エネル
ギー密度250〜400mJ/cm2、例えば350m
J/cm2とした。レーザー光207は、基板面に対し
て順次走査され、ケイ素膜203の任意の一点に対し
て、それぞれ10回レーザー照射されるように走査ピッ
チを設定した。この工程により、結晶性ケイ素領域20
3bおよび203cはその融点以上に加熱され、溶融し
固化することで、一部を種結晶として再結合し、さらに
良好な結晶性となる。また、a−Si領域203dは、
結晶化され結晶性ケイ素膜203aとなる。
ケイ素膜203c'領域が、後のTFTの活性領域(ソ
ース領域、ドレイン領域、チャネル領域)を構成する島
状の結晶性ケイ素膜208n、208pとなるように、
それ以外の結晶性ケイ素膜をエッチング除去して素子間
分離を行う。
08pを覆うように厚さ20〜150nm、ここでは1
00nmの酸化ケイ素膜をゲート絶縁膜209として成
膜する。酸化ケイ素膜の形成には、ここではTEOS
(Tetra EthoxyOrtho Silica
te)を原料とし、酸素とともに基板温度150〜60
0℃、好ましくは300〜400℃で、RFプラズマC
VD法で分解・堆積した。成膜後、ゲート絶縁膜209
自身のバルク特性および島状の結晶性ケイ素膜208
n、208p\ゲート絶縁膜209の界面特性を向上す
るために、不活性ガス雰囲気下で500〜600℃で数
時間のアニールを行った。
リング法によって厚さ400〜800nm、例えば50
0nmのアルミニウム(0.1〜2%のシリコンを含
む)を成膜し、アルミニウム膜をパターニングして、ゲ
ート電極210n、210pを形成する。
領域となる島状の結晶性ケイ素膜208n、208pに
ゲート電極210n、210pをマスクとして不純物
(リン、およびホウ素)を注入する。ドーピングガスと
して、フォスフィン(PH3)およびジボラン(B
2H6)を用い、前者の場合は、加速電圧を60〜90k
V、例えば80kV、後者の場合は、40kV〜80k
V、例えば65kVとし、ドーズ量は1×1015〜8×
1015cm-2、例えばリンを2×1015cm-2、ホウ素
を5×1015cm-2とする。この工程により、ゲート電
極210n、210pにマスクされ不純物が注入されな
い領域は後にTFTのチャネル領域213n、213p
となる。ドーピングに際しては、ドーピングが不要な領
域をフォトレジストで覆うことによって、それぞれの元
素を選択的にドーピングを行う。この結果、N型の不純
物を注入したソース領域214nとドレイン領域215
n、P型の不純物を注入したソース領域214pとドレ
イン領域215pが形成され、図3(E)及び(F)に
示すように、N型TFT222とP型TFT223とを
形成することができる。この状態を基板上方より見ると
図2のようになっており、ここで活性領域を構成する島
状の結晶性ケイ素膜208nおよび208pにおいて、
矢印206で示した結晶成長方向キャリアの移動方向
(ソース→ドレイン方向)は平行となるように配置して
ある。このような配置を採ることで、さらに高移動度を
有するTFTが得られる。
ー光212の照射によってアニールを行い、イオン注入
した不純物の活性化を行う。レーザー光としては、Xe
Clエキシマレーザー(波長308nm、パルス幅40
nsec)を用い、レーザー光の照射条件としては、エ
ネルギー密度250mJ/cm2で一か所につき4ショ
ット照射した。
00nmの酸化ケイ素膜を層間絶縁膜216として、T
EOSを原料としたプラズマCVD法によって形成し、
これにコンタクトホールを形成して、金属材料、例え
ば、窒化チタンとアルミニウムの二層膜によってTFT
のソース電極・配線217、ソースとドレイン電極・配
線218、ドレイン電極・配線219を形成する。そし
て最後に、1気圧の水素雰囲気下で350℃、1時間程
度のアニールを行い、N型TFT222とP型TFT2
23を完成させる。
S構造回路において、それぞれのTFTの電界効果移動
度はN型TFTで150〜200cm2/Vs、P型T
FTで100〜130cm2/Vsと高く、閾値電圧は
N型TFTで1.5〜2V、P型TFTで−2〜−2.
5Vと非常に良好な特性を示す。さらに、繰り返し測定
に伴う特性劣化もほとんどなく、信頼性の高いCMOS
構造回路が得られた。
体的に説明したが、本発明は上述の実施例に限定される
ものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形
が可能である。
膜として主に窒化ケイ素膜を用いたが、その組成として
炭化ケイ素膜のような酸素を含まないものならその他の
膜でも同様の効果が得られるし、たとえ膜中に酸素が混
在していたとしてもその膜中酸素濃度が15%以下な
ら、ほぼ問題はない。また、形成方法としても上記の反
応性スパッタリングやプラズマCVD法以外の方法も利
用できる。例えば高純度Si3N4をターゲットとして用
いたスパッタリング法では、ほぼ理想的な膜組成が得ら
れ特に有効である。
エキシマレ−ザ−を用いたが、それ以外の様々な強光照
射により結晶化された場合にも勿論、同様の効果があ
り、波長248nmのKrFエキシマレーザーや、波長
488nmの連続発振Arレーザーなどにおいても同様
である。
法としては、触媒元素を選択的に導入し、結晶化する方
法を用いたが、触媒元素をa−Si膜全面に導入する方
法もプロセス簡略化の面で有効である。また、触媒元素
を用いず通常の固相結晶成長法を用いても同様の効果が
得られる。上記第2実施例では、触媒元素であるニッケ
ルを微量導入する方法として、a−Si膜表面に蒸着法
によりニッケル薄膜を形成する方法を採用した。しか
し、a−Si膜成膜前に、基板表面にニッケルを導入
し、非晶質ケイ素膜下層よりニッケルを拡散させ結晶成
長を行わせる方法でもよい。即ち、結晶成長は非晶質ケ
イ素膜の上面側から行ってもよいし、下面側から行って
もよい。また、ニッケルの導入方法としても、その他、
様々な手法を用いることができる。例えば、a−Si膜
表面にニッケル塩を溶かせた水溶液を塗布する方法、ニ
ッケル塩を溶かせる溶媒として、SOG(スピンオング
ラス)材料を溶媒としてSiO2膜より拡散させる方法
も有効であるし、スパッタリング法やメッキ法により薄
膜形成する方法や、イオンドーピング法により直接導入
する方法なども利用できる。さらに、結晶化を助長する
不純物金属元素としては、ニッケル以外にコバルト、パ
ラジウム、白金、銅、銀、金、インジウム、スズ、アル
ミニウム、アンチモンを用いても効果が得られる。
用のアクティブマトリクス型基板以外に、例えば、密着
型イメージセンサー、ドライバー内蔵型のサーマルヘッ
ド、有機系EL等を発光素子としたドライバー内蔵型の
光書き込み素子や表示素子、三次元IC等が考えられ
る。本発明を用いることで、これらの素子の高速、高解
像度化等の高性能化が実現される。さらに本発明は、上
述の実施例で説明したMOS型トランジスタに限らず、
結晶性半導体を素子材としたバイポーラトランジスタや
静電誘導トランジスタをはじめとして幅広く半導体プロ
セス全般に応用することができる。
ビーム照射による溶融固化過程にて結晶化された結晶性
ケイ素膜を素子材料とする半導体装置全般において、従
来の問題点を解決でき、高性能で且つ信頼性、安定性の
高く、また、複数の素子間の特性均一性が良好な薄膜半
導体装置を実現することができる。特に液晶表示装置に
おいては、パネル内において個々のTFTの特性を均一
化でき、レーザー順次走査に起因する表示不良のない高
表示レベルな液晶表示装置が得られる。さらに、薄膜集
積回路を構成するTFTにおいては、要求される高性能
で且つ高信頼性を満足し、特にN型TFTとP型TFT
を有するCMOS回路では、閾値電圧VTHの絶対値をほ
ぼ同程度にできるため、従来必要であったチャネルドー
プなどの閾値電圧VTHのコントロールプロセスを行う必
要がなくなる。
ス部と周辺駆動回路部を構成するフルドライバモノリシ
ック型のアクティブマトリクス基板を簡便な製造プロセ
スにて実現でき、モジュールのコンパクト化、高性能
化、低コスト化が図れる。
示す。
の関係を示す。
Si)膜 204 マスク 205 触媒元素 206 矢印 107、207 レーザー光 108、208 島状の結晶性ケイ素
膜 109、209 ゲート絶縁膜 110、210 ゲート電極 111 酸化物層 112、212 レーザー光 113、213 チャネル領域 114、214 ソース領域 115、215 ドレイン領域 116、216 層間絶縁膜 117 ソース電極 217 ソース電極・配線 218 ソースとドレイン電
極・配線 219 ドレイン電極・配線 120 画素電極 121 画素TFT 222 N型TFT 223 P型TFT
Claims (11)
- 【請求項1】 基板上に構成され、絶縁性を有する下地
膜と接して成る、結晶性を有するケイ素膜を活性領域と
して構成された薄膜半導体装置において、該活性領域
は、エネルギービーム照射による溶融固化過程にて結晶
化された結晶性ケイ素膜であり、前記下地膜の主成分が
SiNXであり、前記SiNXに含まれるNH基の膜中濃
度が、6×1021個/cm3以下であって、前記下地膜
の膜中の酸素濃度としては原子濃度で15%以下となる
絶縁膜であることを特徴とする半導体装置。 - 【請求項2】 基板上に構成され、絶縁性を有する下地
膜と接して成る、結晶性を有するケイ素膜に構成された
複数の薄膜トランジスタよりなる半導体装置において、
該複数の薄膜トランジスタのチャネル領域は、パルスレ
ーザー光の順次走査照射により結晶化された結晶性ケイ
素膜よりなり、該チャネル領域と接して下層に形成され
た下地膜の主成分がSiNXであり、前記SiNXに含ま
れるNH基の膜中濃度が、6×1021個/cm3以下で
あって、前記下地膜の膜中の酸素濃度としては原子濃度
で15%以下となる絶縁膜であることを特徴とする半導
体装置。 - 【請求項3】 前記複数の薄膜トランジスタは、画素電
極を有するアクティブマトリクス基板にて、各画素電極
に接続されてなる画素スイッチング用の薄膜トランジス
タであることを特徴とする前記請求項2記載の半導体装
置。 - 【請求項4】 基板上に、主成分がSiNXであり、前
記SiNXに含まれるNH基の膜中濃度が、6×1021
個/cm3以下であって、前記膜中の酸素濃度としては
原子濃度で15%以下となる絶縁膜である下地膜を形成
する工程と、 該絶縁膜上にケイ素膜を形成する工程と、 該ケイ素膜にエネルギービームを照射し、溶融固化過程
において結晶化させる工程と、 該ケイ素膜を活性領域に用いて、薄膜半導体装置を完成
させる工程と、 を少なくとも有することを特徴とする半導体装置の製造
方法。 - 【請求項5】 前記下地膜は、スパッタリング法により
形成されたSiNXであることを特徴とする請求項4記
載の半導体装置の製造方法。 - 【請求項6】 前記下地膜は、CVD法により形成さ
れ、その後の加熱処理により緻密化されたSiNXであ
ることを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方
法。 - 【請求項7】 前記下地膜上に非晶質ケイ素膜を形成
し、加熱することにより固相状態において結晶化させる
工程と、該結晶化されたケイ素膜に対し、エネルギービ
ームを照射して溶融固化させることで、該ケイ素膜を再
結晶化する工程と、を少なくとも有することを特徴とす
る請求項4〜6の何れかに記載の半導体装置の製造方
法。 - 【請求項8】 前記非晶質ケイ素膜を加熱することによ
り固相状態において結晶化させる工程は、該非晶質ケイ
素膜に、その結晶化を助長する触媒元素を導入した後、
行われることを特徴とする請求項7記載の半導体装置の
製造方法。 - 【請求項9】 前記非晶質ケイ素膜を加熱することによ
り固相状態において結晶化させる工程は、該非晶質ケイ
素膜に、その結晶化を助長する触媒元素を選択的に導入
し、加熱処理により、該触媒元素が選択的に導入された
領域から、その周辺部へと横方向に結晶成長させること
により行われることを特徴とする請求項8記載の半導体
装置の製造方法。 - 【請求項10】 前記エネルギービームは、波長400
nm以下のエキシマレーザー光であって、ケイ素膜に照
射されるエネルギー密度が250〜400mJ/cm2
のパルスレーザーであることを特徴とする請求項4記載
の半導体装置の製造方法。 - 【請求項11】 前記エネルギービームはエキシマレー
ザー光であって、そのビーム形状がケイ素膜表面の照射
面において長尺形状となるように設計されており、該ビ
ーム形状の長尺方向に対して垂直方向に順次走査するこ
とで、複数の半導体素子の活性領域を同時に結晶化する
ことを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方
法。
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