JP3375762B2 - 4ロール圧延機の駆動側のロール圧下量設定方法 - Google Patents
4ロール圧延機の駆動側のロール圧下量設定方法Info
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- Metal Rolling (AREA)
- Control Of Metal Rolling (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、4ロール圧延機により
断面丸型の棒鋼や線材等の条鋼をサイジング圧延するに
際して、良好なサイジング精度が得られる駆動側ロール
のロール圧下量の設定方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の条鋼のサイジング圧延方法には、
1スタンドにおいて使用するロール対の数により、2ロ
ール法、3ロール法、および4ロール法がある。各方法
においては、例えば図8〜10に示すように、素材13
を、周面に所定断面形状の溝12a〜14cを備えた対
をなすロール12A〜14Cにより、圧下方向を変えな
がら複数パスで圧延している。得られる丸棒鋼の断面形
状は、図11に示すように、2ロール法ではやや四角形
に近い円に、3ロール法ではやや六角形に近い円に、お
よび4ロール法ではやや八角形に近い円になり、各断面
の最大径d1 と最小径d2 との間に差(偏径差=d1 −
d2 )を有している。いずれの方法も、ロール圧下量が
限界を越えて大きくなると、被圧延材がロール間隙から
噛み出して製品不良がでるが、噛み出し限界となるまで
の圧下量が大きい方がサイジング可能範囲は広くなる。 【0003】ところで、前記各サイジング圧延方法のう
ち、4ロール法は二対四個のロールで直交する二方向か
ら素材を圧下する4ロール圧延機を二台直列に配置し、
両圧延機の間で圧下方向を45°ずらして条鋼をサイジ
ング圧延するため、幅寸法変化(幅広がり変形量)が2
ロール法圧延に比べて小さく、同一ロールで高精度の製
品が製造可能であることから、最近特に注目されてい
る。しかし、他方で、4ロール法は2ロール法に比べて
孔型幅が狭くなると共にロール間隙が狭いため、2ロー
ル法より噛み出しが発生し易く噛み出し限界となるまで
の圧下量すなわちサイジング可能な範囲が小さくなって
しまう。 【0004】そこで、本出願人は、4ロール圧延機にお
けるサイジング可能範囲を大きくするサイジング圧延方
法を特開平5−38502号及び特開平6−63601
号公報で提案した。前者は、サイジング可能範囲が大き
い2ロール法と寸法精度の高い4ロール法を併用したも
ので、第1パスと第2パスは二台の2ロール圧延機を使
用して圧下方向が相互に直交する方向に圧延し、第3パ
スはロール軸が第1パスと第2パスの2ロール圧延機に
対し45度傾いた4ロール圧延機で圧延するものであ
る。また、後者は、直列に配列した二台の4ロール圧延
機のうち、上流側に配置された第1スタンドの圧延機の
直交しているロール軸の軸線を圧延方向に間隔L(軸ず
らし量)だけずらしたもので、その軸ずらし量Lの大き
さを、駆動ロールにおける投影接触長の5倍以下に設定
して圧延を行うものである。なお、実際の4ロール圧延
機では、四個のロールを同時に駆動することは困難であ
るから、一方の対向する一対を駆動ロールとし、他方の
対向する一対は非駆動ロールとすることが多い。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記のように、4ロー
ル圧延機の直交しているロール軸の軸線を圧延方向に所
定間隔L(駆動ロールにおける投影接触長の5倍以下)
だけずらすことによりサイジング可能な範囲が拡大さ
れ、例えば直径19mmから85mmに及ぶ広範囲の丸
棒鋼製品を製造することが可能になる。 【0006】しかしながら、その場合の軸ずらし量Lの
設定はミル構造に制約されてロール替え時に行うしかな
く、しかもその設定も手動で行うのが殆どであるから設
定誤差が生じ易く、最悪の場合は製品寸法精度の悪化を
招くという問題点がある。また、軸ずらし量Lを駆動ロ
ールにおける投影接触長の5倍より大きく設定すること
により、同一ロールによるサイジング可能範囲を拡大す
ることが可能であるが、その場合は、幅広がり量が大き
くなって同じく製品寸法精度の悪化を招くという問題を
生じる。 【0007】そこで本発明は、このような従来の問題点
に着目してなされたものであり、4ロール圧延機におけ
る軸ずらし量の影響を考慮した駆動側ロールの圧下量を
設定することにより高い寸法精度の製品を製造すること
を可能にするロール圧下量設定方法を提供することを目
的としている。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、丸棒鋼素材に対して、一対の駆動ロール
と、その下流方向に所定の軸ずらし量を隔てて直交配置
された一対の非駆動ロールとで二方向から素材を圧下す
る4ロール圧延機によりサイジング圧延を行うにあた
り、前記駆動ロールの圧下量を、幅広がりモデル式から
得られる幅広がり影響係数及び幅広がり量から求めた圧
下量増分だけ前記非駆動ロールの圧下量より大きく設定
するものである。 【0009】 【作用】図1に示すように、第1スタンドの4ロール圧
延機と、これに対し圧下方向を45°ずらした第2スタ
ンドの4ロール圧延機とを直列に配して丸棒鋼素材Wの
サイジング圧延を行う場合について述べる。第1スタン
ドの4ロール圧延機では、一対の駆動ロール1A,1B
(図で上下方向から素材Wを圧下する)に対し、一対の
非駆動ロール1C,1Dが直交方向(図で紙面の垂直方
向から素材Wを圧下する方向)に配設されている。そし
て、駆動ロール1A,1Bの中心同士を結ぶ線O1 に対
して非駆動ロール1C,1Dの中心線をこの紙面上に投
影した線O 2 を下流側へ間隔Lだけずらしてある。 【0010】いま、この軸ずらし量Lを有する第1スタ
ンドの4ロール圧延機で直径D0 の素材Wをサイジング
圧延すると、図2に示すように、駆動ロール1Aの直下
寸法D1 は予め定めたロール1A設定寸法(対ロール1
A,1Bのカリバ間距離)D 1AよりもΔD=D1 −D1A
だけ拡大(幅広がり)される。これは、ロール1A(1
B)で設定寸法D1Aに圧延された後、軸ずらし量Lだけ
下流の位置で今度は直交方向にロール1C(1D)で圧
延されて素材Wが幅広がり変形したためである。こうし
て幅広がり変形した素材Wは、続いて第2スタンドの4
ロール圧延機で圧下されるが、第2スタンドのロール2
A,2Cの圧下位置が第1スタンドのロール1A,1C
に対し45°回転されているために、寸法D1 に幅広が
り変形した部分は第2スタンドでは圧下されず未圧下部
になって、そのまま製品径に反映されることとなる。 【0011】したがって、偏径差の小さい高寸法精度の
サイジング圧延を行うためには、軸ずらし量Lと上記変
形量ΔD=D1 −D1A(以下、幅広がり量bという)と
の関係を予め正確に把握しておく必要がある。そこで本
発明者らは、多くの素材径D0 につき軸ずらし量Lを変
えて多数の圧延実験を行い、素材の幅広がり量bを測定
した。その結果をプロットしたものを図3に示す。な
お、この実験で用いた4ロール圧延機1の各ロール対1
A,1B及び1C,1Dのロール孔型形状は、図4に示
すものとした。ロール孔型溝底の最小ロール直径Drは
400mm、ロール溝半径Raは24.45mm、ロー
ル溝の中心角θは140°である。 【0012】この結果から、一般に幅広がり量bは次に
示す幅広がりのモデル式(1)のように表すことができ
る。 b=f(q1,q2,L,D0 ) …… (1) ここで、 q1 :駆動ロール1A(1B)の圧下量 q2 :非駆動ロール1C(1D)の圧下量 L :第1スタンドの軸ずらし量 D0 :素材の入側径 以下に、上記幅広がりのモデル式(1)を用いて演算さ
れる本発明の4ロール圧延機における駆動側のロール圧
下量q1 の設定原理を述べる。 【0013】いま、従来の4ロール圧延機におけると同
様に、圧下量q1 の駆動ロール1A(1B)で素材を第
1パス圧延し、つづいてこれに軸ずらし量Lを隔てて直
交配置された非駆動ロール1C(1D)の圧下量q2 を
前記圧下量q1 と等しくし、すなわちq1 =q2 =q0
の圧下量で第2パス圧延して得られた製品の径がcであ
ったとする。その製品径cは、図5(a)に示すよう
に、対の駆動ロール1A,1Bのカリバ間寸法aと幅広
がり量bの和でありc=a+bで表される。 【0014】次に、製品径cだったものを、更に駆動ロ
ール1A(1B)の圧下量だけを上記より更にh1 だけ
増やした圧下量q1 ’=q1 +h1 に設定して(非駆動
ロール側の圧下量はq2 =q0 のまま)前記製品径cの
被圧延材を再圧延して得られた製品径c’が図5(b)
に示すようにc’=a’+b’になったとする。この場
合、初めの圧延におけるロールカリバ間寸法a=目標製
品径Ddとすると、次の圧延におけるロールカリバ間寸
法a’はa’=a−h1 =Dd−h1 と表される。 【0015】一方、初めの圧延における幅広がり量bに
対する次の圧延の幅広がり量b’の増分Δb=b’−b
は、次式(2)のようになる。 【0016】 【数1】 【0017】ここに、式中のg1 は駆動ロール1A(1
B)の圧下量に対する幅広がりの影響係数であり、図6
に示すように、圧下量q1 と幅広がり量bとの関係曲線
の接線の傾きとして求められる。ところで、図5(b)
に示すように、駆動ロールの圧下量をq1 よりh1 だけ
更に増やしてq1 +h1 で圧下した後の製品寸法c’が
目標製品径Ddに等しいための条件は a’+b’=Dd−h1 +b+Δb=Dd であり、式(2)から (1−g1 )h1 =b でなければならない。 【0018】したがって、駆動ロール1A(1B)の圧
下量q1 を非駆動ロール1C(1D)の圧下量q2 と等
しくしたq1 =q2 =q0 より更にh1 だけ増やした場
合の駆動ロール1A(1B)の圧下量q1 は、上記幅広
がりの影響係数g1 を用いて次式(3)のように表すこ
とができる。 q1 =q0 +h1 =q0 +b/(1−g1 ) …… (3) このように、駆動ロール1A(1B)の圧下量q1 を、
幅広がり量bと幅広がりの影響係数g1 の値から計算さ
れる圧下量増分h1 だけ大きく設定することで、製品寸
法が目標製品径に等しい高精度のサイジングが可能にな
る。 【0019】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1に示すような4ロール圧延機1を用いて圧延
実験を行い本発明の効果を検証した。4ロール圧延機1
は二対四個のロール1A,1B,1C,1Dを備え、被
圧延材Wは、一方の対をなす駆動ロール1A,1Bによ
り図1における紙面垂直方向から圧下され、他方の対を
なす非駆動ロール1C,1Dにより図1における上下方
向から圧延される。 【0020】各ロール対は、ロール1A(1B)の中心
C1 ,C2 同士をロール端面に平行な面(例えばこの紙
面上)において結んだ第一基準線O1 と、ロール1C
(1D)の中心線を前記面に投影した第二基準線O2 と
の間に軸ずらし量Lを保持して配置してある。そして、
第一パスにおいて前記第一基準線O1 で示される圧下方
向に圧延された被圧延材Wが、第二パスにおいて前記第
一基準線O1 と直交する圧下方向に圧延される。 【0021】この4ロール圧延機1の軸ずらし量Lを被
圧延材Wの入側径の1.0 倍と大きく設定し、駆動ロール
1A(1B)の圧下量q1 を式(3)により演算して求
めた値に設定して、入側素材径D0 =48mmの丸棒鋼
を目標製品径Dd=47〜45mmに圧延した。その結
果を図7に示した。横軸の目盛りは非駆動ロール1C
(1D)の圧下量(サイジング量)q2 =q0 、縦軸の
目盛りは目標製品径Ddと得られた製品径との差(偏径
差)である。 【0022】なお、図7中に○印で示される「圧下量設
定なし」とは、4ロール圧延機における駆動ロール1A
(1B)の圧下量q1 と非駆動ロール1C(1D)の圧
下量q2 とを等しくした従来方法の場合である。また、
図中に□印で示される「圧下量設定あり」は本発明の場
合である。例えば、非駆動ロール1C(1D)の圧下量
(サイジング量)q2 =q0 を1.0 mm、幅広がり量b
を0.25mm、幅広がりの影響係数g1 を0.12とした場
合、駆動ロール1A(1B)の圧下量q1 は式(3)か
ら次のように演算される。 【0023】q1 =q0 +b/(1−g1 ) =1.0 +0.25/(1−0.12) =1.284 この演算値1.284 mmを駆動ロール1A(1B)の圧下
量の設定値として圧延した結果、図7のように偏径差は
0.1 mmを下回り、極めて精度の高い製品が得られた。 【0024】この結果から、本発明によれば、軸ずらし
量Lが大きくても高精度のサイジング圧延が可能なこと
が確認できた。 【0025】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
4ロール圧延機の第一スタンドの駆動側のロール圧下量
を、幅広がりモデル式から得られる幅広がり影響係数及
び幅広がり量から求めた圧下量増分だけ非駆動ロールの
圧下量より大きく、式(3)に示される圧下量に予め設
定することにより、被圧延素材の径の大小にかかわらず
偏径差の極めて小さい高精度のサイジング圧延ができる
という効果を奏する。
断面丸型の棒鋼や線材等の条鋼をサイジング圧延するに
際して、良好なサイジング精度が得られる駆動側ロール
のロール圧下量の設定方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の条鋼のサイジング圧延方法には、
1スタンドにおいて使用するロール対の数により、2ロ
ール法、3ロール法、および4ロール法がある。各方法
においては、例えば図8〜10に示すように、素材13
を、周面に所定断面形状の溝12a〜14cを備えた対
をなすロール12A〜14Cにより、圧下方向を変えな
がら複数パスで圧延している。得られる丸棒鋼の断面形
状は、図11に示すように、2ロール法ではやや四角形
に近い円に、3ロール法ではやや六角形に近い円に、お
よび4ロール法ではやや八角形に近い円になり、各断面
の最大径d1 と最小径d2 との間に差(偏径差=d1 −
d2 )を有している。いずれの方法も、ロール圧下量が
限界を越えて大きくなると、被圧延材がロール間隙から
噛み出して製品不良がでるが、噛み出し限界となるまで
の圧下量が大きい方がサイジング可能範囲は広くなる。 【0003】ところで、前記各サイジング圧延方法のう
ち、4ロール法は二対四個のロールで直交する二方向か
ら素材を圧下する4ロール圧延機を二台直列に配置し、
両圧延機の間で圧下方向を45°ずらして条鋼をサイジ
ング圧延するため、幅寸法変化(幅広がり変形量)が2
ロール法圧延に比べて小さく、同一ロールで高精度の製
品が製造可能であることから、最近特に注目されてい
る。しかし、他方で、4ロール法は2ロール法に比べて
孔型幅が狭くなると共にロール間隙が狭いため、2ロー
ル法より噛み出しが発生し易く噛み出し限界となるまで
の圧下量すなわちサイジング可能な範囲が小さくなって
しまう。 【0004】そこで、本出願人は、4ロール圧延機にお
けるサイジング可能範囲を大きくするサイジング圧延方
法を特開平5−38502号及び特開平6−63601
号公報で提案した。前者は、サイジング可能範囲が大き
い2ロール法と寸法精度の高い4ロール法を併用したも
ので、第1パスと第2パスは二台の2ロール圧延機を使
用して圧下方向が相互に直交する方向に圧延し、第3パ
スはロール軸が第1パスと第2パスの2ロール圧延機に
対し45度傾いた4ロール圧延機で圧延するものであ
る。また、後者は、直列に配列した二台の4ロール圧延
機のうち、上流側に配置された第1スタンドの圧延機の
直交しているロール軸の軸線を圧延方向に間隔L(軸ず
らし量)だけずらしたもので、その軸ずらし量Lの大き
さを、駆動ロールにおける投影接触長の5倍以下に設定
して圧延を行うものである。なお、実際の4ロール圧延
機では、四個のロールを同時に駆動することは困難であ
るから、一方の対向する一対を駆動ロールとし、他方の
対向する一対は非駆動ロールとすることが多い。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記のように、4ロー
ル圧延機の直交しているロール軸の軸線を圧延方向に所
定間隔L(駆動ロールにおける投影接触長の5倍以下)
だけずらすことによりサイジング可能な範囲が拡大さ
れ、例えば直径19mmから85mmに及ぶ広範囲の丸
棒鋼製品を製造することが可能になる。 【0006】しかしながら、その場合の軸ずらし量Lの
設定はミル構造に制約されてロール替え時に行うしかな
く、しかもその設定も手動で行うのが殆どであるから設
定誤差が生じ易く、最悪の場合は製品寸法精度の悪化を
招くという問題点がある。また、軸ずらし量Lを駆動ロ
ールにおける投影接触長の5倍より大きく設定すること
により、同一ロールによるサイジング可能範囲を拡大す
ることが可能であるが、その場合は、幅広がり量が大き
くなって同じく製品寸法精度の悪化を招くという問題を
生じる。 【0007】そこで本発明は、このような従来の問題点
に着目してなされたものであり、4ロール圧延機におけ
る軸ずらし量の影響を考慮した駆動側ロールの圧下量を
設定することにより高い寸法精度の製品を製造すること
を可能にするロール圧下量設定方法を提供することを目
的としている。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、丸棒鋼素材に対して、一対の駆動ロール
と、その下流方向に所定の軸ずらし量を隔てて直交配置
された一対の非駆動ロールとで二方向から素材を圧下す
る4ロール圧延機によりサイジング圧延を行うにあた
り、前記駆動ロールの圧下量を、幅広がりモデル式から
得られる幅広がり影響係数及び幅広がり量から求めた圧
下量増分だけ前記非駆動ロールの圧下量より大きく設定
するものである。 【0009】 【作用】図1に示すように、第1スタンドの4ロール圧
延機と、これに対し圧下方向を45°ずらした第2スタ
ンドの4ロール圧延機とを直列に配して丸棒鋼素材Wの
サイジング圧延を行う場合について述べる。第1スタン
ドの4ロール圧延機では、一対の駆動ロール1A,1B
(図で上下方向から素材Wを圧下する)に対し、一対の
非駆動ロール1C,1Dが直交方向(図で紙面の垂直方
向から素材Wを圧下する方向)に配設されている。そし
て、駆動ロール1A,1Bの中心同士を結ぶ線O1 に対
して非駆動ロール1C,1Dの中心線をこの紙面上に投
影した線O 2 を下流側へ間隔Lだけずらしてある。 【0010】いま、この軸ずらし量Lを有する第1スタ
ンドの4ロール圧延機で直径D0 の素材Wをサイジング
圧延すると、図2に示すように、駆動ロール1Aの直下
寸法D1 は予め定めたロール1A設定寸法(対ロール1
A,1Bのカリバ間距離)D 1AよりもΔD=D1 −D1A
だけ拡大(幅広がり)される。これは、ロール1A(1
B)で設定寸法D1Aに圧延された後、軸ずらし量Lだけ
下流の位置で今度は直交方向にロール1C(1D)で圧
延されて素材Wが幅広がり変形したためである。こうし
て幅広がり変形した素材Wは、続いて第2スタンドの4
ロール圧延機で圧下されるが、第2スタンドのロール2
A,2Cの圧下位置が第1スタンドのロール1A,1C
に対し45°回転されているために、寸法D1 に幅広が
り変形した部分は第2スタンドでは圧下されず未圧下部
になって、そのまま製品径に反映されることとなる。 【0011】したがって、偏径差の小さい高寸法精度の
サイジング圧延を行うためには、軸ずらし量Lと上記変
形量ΔD=D1 −D1A(以下、幅広がり量bという)と
の関係を予め正確に把握しておく必要がある。そこで本
発明者らは、多くの素材径D0 につき軸ずらし量Lを変
えて多数の圧延実験を行い、素材の幅広がり量bを測定
した。その結果をプロットしたものを図3に示す。な
お、この実験で用いた4ロール圧延機1の各ロール対1
A,1B及び1C,1Dのロール孔型形状は、図4に示
すものとした。ロール孔型溝底の最小ロール直径Drは
400mm、ロール溝半径Raは24.45mm、ロー
ル溝の中心角θは140°である。 【0012】この結果から、一般に幅広がり量bは次に
示す幅広がりのモデル式(1)のように表すことができ
る。 b=f(q1,q2,L,D0 ) …… (1) ここで、 q1 :駆動ロール1A(1B)の圧下量 q2 :非駆動ロール1C(1D)の圧下量 L :第1スタンドの軸ずらし量 D0 :素材の入側径 以下に、上記幅広がりのモデル式(1)を用いて演算さ
れる本発明の4ロール圧延機における駆動側のロール圧
下量q1 の設定原理を述べる。 【0013】いま、従来の4ロール圧延機におけると同
様に、圧下量q1 の駆動ロール1A(1B)で素材を第
1パス圧延し、つづいてこれに軸ずらし量Lを隔てて直
交配置された非駆動ロール1C(1D)の圧下量q2 を
前記圧下量q1 と等しくし、すなわちq1 =q2 =q0
の圧下量で第2パス圧延して得られた製品の径がcであ
ったとする。その製品径cは、図5(a)に示すよう
に、対の駆動ロール1A,1Bのカリバ間寸法aと幅広
がり量bの和でありc=a+bで表される。 【0014】次に、製品径cだったものを、更に駆動ロ
ール1A(1B)の圧下量だけを上記より更にh1 だけ
増やした圧下量q1 ’=q1 +h1 に設定して(非駆動
ロール側の圧下量はq2 =q0 のまま)前記製品径cの
被圧延材を再圧延して得られた製品径c’が図5(b)
に示すようにc’=a’+b’になったとする。この場
合、初めの圧延におけるロールカリバ間寸法a=目標製
品径Ddとすると、次の圧延におけるロールカリバ間寸
法a’はa’=a−h1 =Dd−h1 と表される。 【0015】一方、初めの圧延における幅広がり量bに
対する次の圧延の幅広がり量b’の増分Δb=b’−b
は、次式(2)のようになる。 【0016】 【数1】 【0017】ここに、式中のg1 は駆動ロール1A(1
B)の圧下量に対する幅広がりの影響係数であり、図6
に示すように、圧下量q1 と幅広がり量bとの関係曲線
の接線の傾きとして求められる。ところで、図5(b)
に示すように、駆動ロールの圧下量をq1 よりh1 だけ
更に増やしてq1 +h1 で圧下した後の製品寸法c’が
目標製品径Ddに等しいための条件は a’+b’=Dd−h1 +b+Δb=Dd であり、式(2)から (1−g1 )h1 =b でなければならない。 【0018】したがって、駆動ロール1A(1B)の圧
下量q1 を非駆動ロール1C(1D)の圧下量q2 と等
しくしたq1 =q2 =q0 より更にh1 だけ増やした場
合の駆動ロール1A(1B)の圧下量q1 は、上記幅広
がりの影響係数g1 を用いて次式(3)のように表すこ
とができる。 q1 =q0 +h1 =q0 +b/(1−g1 ) …… (3) このように、駆動ロール1A(1B)の圧下量q1 を、
幅広がり量bと幅広がりの影響係数g1 の値から計算さ
れる圧下量増分h1 だけ大きく設定することで、製品寸
法が目標製品径に等しい高精度のサイジングが可能にな
る。 【0019】 【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1に示すような4ロール圧延機1を用いて圧延
実験を行い本発明の効果を検証した。4ロール圧延機1
は二対四個のロール1A,1B,1C,1Dを備え、被
圧延材Wは、一方の対をなす駆動ロール1A,1Bによ
り図1における紙面垂直方向から圧下され、他方の対を
なす非駆動ロール1C,1Dにより図1における上下方
向から圧延される。 【0020】各ロール対は、ロール1A(1B)の中心
C1 ,C2 同士をロール端面に平行な面(例えばこの紙
面上)において結んだ第一基準線O1 と、ロール1C
(1D)の中心線を前記面に投影した第二基準線O2 と
の間に軸ずらし量Lを保持して配置してある。そして、
第一パスにおいて前記第一基準線O1 で示される圧下方
向に圧延された被圧延材Wが、第二パスにおいて前記第
一基準線O1 と直交する圧下方向に圧延される。 【0021】この4ロール圧延機1の軸ずらし量Lを被
圧延材Wの入側径の1.0 倍と大きく設定し、駆動ロール
1A(1B)の圧下量q1 を式(3)により演算して求
めた値に設定して、入側素材径D0 =48mmの丸棒鋼
を目標製品径Dd=47〜45mmに圧延した。その結
果を図7に示した。横軸の目盛りは非駆動ロール1C
(1D)の圧下量(サイジング量)q2 =q0 、縦軸の
目盛りは目標製品径Ddと得られた製品径との差(偏径
差)である。 【0022】なお、図7中に○印で示される「圧下量設
定なし」とは、4ロール圧延機における駆動ロール1A
(1B)の圧下量q1 と非駆動ロール1C(1D)の圧
下量q2 とを等しくした従来方法の場合である。また、
図中に□印で示される「圧下量設定あり」は本発明の場
合である。例えば、非駆動ロール1C(1D)の圧下量
(サイジング量)q2 =q0 を1.0 mm、幅広がり量b
を0.25mm、幅広がりの影響係数g1 を0.12とした場
合、駆動ロール1A(1B)の圧下量q1 は式(3)か
ら次のように演算される。 【0023】q1 =q0 +b/(1−g1 ) =1.0 +0.25/(1−0.12) =1.284 この演算値1.284 mmを駆動ロール1A(1B)の圧下
量の設定値として圧延した結果、図7のように偏径差は
0.1 mmを下回り、極めて精度の高い製品が得られた。 【0024】この結果から、本発明によれば、軸ずらし
量Lが大きくても高精度のサイジング圧延が可能なこと
が確認できた。 【0025】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
4ロール圧延機の第一スタンドの駆動側のロール圧下量
を、幅広がりモデル式から得られる幅広がり影響係数及
び幅広がり量から求めた圧下量増分だけ非駆動ロールの
圧下量より大きく、式(3)に示される圧下量に予め設
定することにより、被圧延素材の径の大小にかかわらず
偏径差の極めて小さい高精度のサイジング圧延ができる
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の4ロール圧延機のロール構成を説明す
る概要図で、(a)はロール配置の側面図、(b)はロ
ール配置の正面図である。 【図2】図1に示すものの、第1スタンドにおける圧延
前後の素材断面形状の変化を説明する概要図である。 【図3】4ロール圧延機で圧延した場合の、ロール軸ず
らし量と第1スタンドの駆動ロール直下の素材径の変化
量との関係を示すグラフである。 【図4】4ロール圧延機のロール孔型溝形状図である。 【図5】駆動ロールの圧下量の変化とサイジング量との
関係を示すグラフであり、(a)は圧下量q1 の場合、
(b)は圧下量q1 ’=q1 +h1 の場合である。 【図6】4ロール圧延機の駆動ロール圧下量と被圧延材
の幅広がり量との関係に基づく幅広がりの影響係数g1
を表すグラフである。 【図7】本発明の実施例の、サインジング量と製品丸棒
鋼の偏径差との関係を示すグラフである。 【図8】従来の2ロール法の一例を示す概要図である。 【図9】従来の3ロール法の一例を示す概要図である。 【図10】従来の4ロール法の一例を示す概要図であ
る。 【図11】偏径差を説明するための概要図である。 【符号の説明】 1 4ロール圧延機 1A 駆動ロール 1B 駆動ロール 1C 非駆動ロール 1D 非駆動ロール W 被圧延素材 L 軸ずらし量 DO 入側素材径 b 幅広がり量 q1 駆動ロールの圧下量
る概要図で、(a)はロール配置の側面図、(b)はロ
ール配置の正面図である。 【図2】図1に示すものの、第1スタンドにおける圧延
前後の素材断面形状の変化を説明する概要図である。 【図3】4ロール圧延機で圧延した場合の、ロール軸ず
らし量と第1スタンドの駆動ロール直下の素材径の変化
量との関係を示すグラフである。 【図4】4ロール圧延機のロール孔型溝形状図である。 【図5】駆動ロールの圧下量の変化とサイジング量との
関係を示すグラフであり、(a)は圧下量q1 の場合、
(b)は圧下量q1 ’=q1 +h1 の場合である。 【図6】4ロール圧延機の駆動ロール圧下量と被圧延材
の幅広がり量との関係に基づく幅広がりの影響係数g1
を表すグラフである。 【図7】本発明の実施例の、サインジング量と製品丸棒
鋼の偏径差との関係を示すグラフである。 【図8】従来の2ロール法の一例を示す概要図である。 【図9】従来の3ロール法の一例を示す概要図である。 【図10】従来の4ロール法の一例を示す概要図であ
る。 【図11】偏径差を説明するための概要図である。 【符号の説明】 1 4ロール圧延機 1A 駆動ロール 1B 駆動ロール 1C 非駆動ロール 1D 非駆動ロール W 被圧延素材 L 軸ずらし量 DO 入側素材径 b 幅広がり量 q1 駆動ロールの圧下量
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フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平8−150403(JP,A)
特開 平7−178412(JP,A)
特開 平6−63601(JP,A)
実開 平7−3806(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B21B 37/00 - 37/78
B21B 1/00 - 1/46
B21B 13/10
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 一対の駆動ロールと、その下流方向に所
定の軸ずらし量を隔てて直交配置された一対の非駆動ロ
ールとで二方向から素材を圧下する4ロール圧延機にお
いて、前記駆動ロールの圧下量を、幅広がりモデル式か
ら得られる幅広がり影響係数及び幅広がり量から求めた
圧下量増分だけ前記非駆動ロールの圧下量より大きく設
定することを特徴とする4ロール圧延機の駆動側のロー
ル圧下量設定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29729094A JP3375762B2 (ja) | 1994-11-30 | 1994-11-30 | 4ロール圧延機の駆動側のロール圧下量設定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29729094A JP3375762B2 (ja) | 1994-11-30 | 1994-11-30 | 4ロール圧延機の駆動側のロール圧下量設定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08155512A JPH08155512A (ja) | 1996-06-18 |
JP3375762B2 true JP3375762B2 (ja) | 2003-02-10 |
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ID=17844605
Family Applications (1)
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JP29729094A Expired - Fee Related JP3375762B2 (ja) | 1994-11-30 | 1994-11-30 | 4ロール圧延機の駆動側のロール圧下量設定方法 |
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1994
- 1994-11-30 JP JP29729094A patent/JP3375762B2/ja not_active Expired - Fee Related
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