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JP3364416B2 - 酸性基を有する可溶性導電ポリマーの製造方法 - Google Patents

酸性基を有する可溶性導電ポリマーの製造方法

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Publication number
JP3364416B2
JP3364416B2 JP27032697A JP27032697A JP3364416B2 JP 3364416 B2 JP3364416 B2 JP 3364416B2 JP 27032697 A JP27032697 A JP 27032697A JP 27032697 A JP27032697 A JP 27032697A JP 3364416 B2 JP3364416 B2 JP 3364416B2
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JP
Japan
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group
substituted
acidic group
derivative
acidic
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Application number
JP27032697A
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Inventor
茂 清水
正志 鵜沢
隆司 斉藤
晋一 前田
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH10158395A publication Critical patent/JPH10158395A/ja
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Landscapes

  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶媒に可溶な可溶
性導電ポリマーの製造方法に関する。該可溶性導電ポリ
マーを主成分とする溶液は、各種基材上に、スプレーコ
ート法、ディップコート法、ロールコート法、グラビア
コート法、リバースコート法、ロールコート法、エアナ
イフコート法、カーテンコート法等の簡便な手法で導電
体を形成することができる。また、導電膜の接着性、塗
膜強度を上げるために、適当なバインダーポリマーを混
合して用いることもできる。
【0002】塗布基材としては、PET、ポリエチレン
ナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ナイロン、ポ
リスチレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フッ素
樹脂、ポリスルホン、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポ
リウレタン、フェノール樹脂、合成紙などの各種プラス
チックおよびフィルム、紙、鉄、アルミニウム、銅、亜
鉛、ニッケル、ステンレス鋼などが挙げられる。塗布工
程は、これら基材の製造工程、例えば一軸延伸法、二軸
延伸法、成形加工、エンボス加工などの工程前又は工程
中に行ってもよく、これら処理工程が完了した基材に対
して行うこともできる。
【0003】また、該ポリマーを主成分とする組成物
は、各種帯電防止、制電、コンデンサー、電池、EMI
シールド、化学センサー、表示素子、非線形材料、防食
剤、接着剤、繊維、帯電防止塗料、電着塗料、メッキプ
ライマー、静電塗装の下地、電気防食、電池の蓄電能力
の向上等に適用可能である。また、該ポリマーは、導電
性の湿度依存性がなく、透明性が高く、しかも延伸加工
や成形加工、エンボス加工等が可能なため各種帯電防止
用途への適合性が優れている。
【0004】帯電防止用途としては、包装材料、磁気カ
ード、磁気テープ、磁気ディスク、写真フィルム、印刷
基材、離型フィルム、ヒートシールテープ・フィルム、
ICトレイ、ICキャリアテープ、カバーテープなどが
ある。
【0005】
【従来の技術と課題】ドープされたポリアニリン(可溶
性導電ポリマー)は良く知られているが、一部の非プロ
トン系極性溶媒を除くほとんど全ての一般溶剤に不溶で
あり、成形、加工に難点がある。また、アニリンを電解
酸化重合する方法〔特開昭60−235831号公報、
J.Polymer Sci. Polymer Ch
em.Ed.,26,1531(1988)〕は電極上
にポリアニリンのフィルムを形成することが可能である
が、単離操作が煩雑になることや大量合成が困難である
という問題がある。
【0006】また、近年ドープ剤を添加することなく導
電性を発現するアルカリ可溶性のスルホン化ポリアニリ
ンとその合成法やカルボキシル化ポリアニリンとその合
成法が提案されている。
【0007】スルホン化ポリアニリンの合成法として
は、例えば、アニリンとm−アミノベンゼンスルホン酸
を電気化学的に重合してスルホン化ポリアニリンを合成
する方法(日本化学会誌,1985,1124、特開平
02−166165号公報)、o−、m−、p−アミノ
ベンゼンスルホン酸をそれぞれ単独で電気化学的に重合
してスルホン化ポリアニリンを合成する方法〔日本化学
会第64秋季年会、講演予稿集II、706(199
2)〕、アニリンとo−、m−アミノベンゼンスルホン
酸を化学的に重合してスルホン化ポリアニリンを合成す
る方法(特開平01−301714号公報)、アミノベ
ンゼンスルホン酸系化合物またはアミノベンゼンスルホ
ン酸系化合物とアニリン系化合物を含む単量体を化学酸
化重合する方法(特開平6−56987号公報)、化学
的あるいは電気化学的に重合して得られたエメラルディ
ンタイプの重合体(ポリアニリン)を濃硫酸でスルホン
化する方法(特開昭58−210902号公報)、無水
硫酸/リン酸トリエチル錯体を用いてスルホン化する方
法(特開昭61−197633号公報)、発煙硫酸でス
ルホン化する方法〔J.Am.Chem.Soc.,
(1991)113,2665〜2671、J.Am.
Chem.Soc.,(1990)112,2800、
WO91−06887〕、ジフェニルアミン−4−スル
ホン酸(ナトリウム塩)を化学的に重合し、N−置換型
のスルホン化ポリアニリン合成する方法〔Polyme
r,(1993)34,158〜162〕などが知られ
ている。
【0008】J.Am.Chem.Soc.,(199
1)113,2665〜2671によるとo−,m−ア
ミノベンゼンスルホン酸を化学的および電気化学的に重
合を試みたが成功しなかったと記されている。
【0009】また、特開平6−56987号公報には、
アミノベンゼンスルホン酸系化合物またはアミノベンゼ
ンスルホン酸系化合物とアニリン系化合物は、酸性、中
性およびアルカリの何れの溶液でも、化学酸化重合する
ことにより水に可溶性の可溶性導電ポリマーが得られる
との記載があり、硫酸酸性溶液中での重合例に示されて
いるが、ポリマーの分子量、その他の物性に関する記載
はなく、どのような物性のポリマーが得られたのか明ら
かでない。本発明者らの追試によれば、フィルム形成す
るのに充分な分子量を有するポリマーを得ることができ
なかった。
【0010】更に本発明者らが酸化剤にペルオキソ二硫
酸アンモニウムを用いて、プロトン酸を含む水溶液中で
の重合を試みたところ、水に可溶なポリマーは得られる
が、低分子量のためフィルムを形成するような実用的な
ポリマーを得ることができなかった。
【0011】また、本発明者らは、特開平01−301
714号公報で記載されているアニリンとm−アミノベ
ンゼンスルホン酸をペルオキソ二硫酸アンモニウムで化
学的に重合する方法および特開平6−56987号公報
で記載されているアニリンとm−アミノベンゼンスルホ
ン酸を過マンガン酸カリウムで化学的に重合する方法に
ついて追試したところ、芳香環5個に約1個のスルホン
酸基が導入されるのみであり、高い導電性を示すが中性
および酸性の水には完全に不溶であり、アンモニアなど
のアルカリ性水溶液にもほとんど不溶であった。また、
特開昭61−197633号公報の方法でスルホン化し
た場合も同公報7頁に記載されているとおり、スルホン
化溶媒に対するポリアニリンの溶解性が充分でなく、同
ポリマーの分散状態でスルホン化反応が行われているた
め、芳香環5個に約1個のスルホン酸基しか導入されな
い。かくして得られるスルホン酸基導入割合の小さいス
ルホン化ポリアニリンは、導電性および溶解性が充分で
ないという問題がある。
【0012】また、J.Am.Chem.Soc.,
(1991)113,2665〜2671、J.Am.
Chem.Soc.,(1990)112,2800に
よると、ポリアニリンを発煙硫酸でスルホン化した場
合、芳香環2個に約1個のスルホン酸基が導入されると
記されている。しかし、本方法でポリアニリンを充分に
スルホン化しようとした場合、発煙硫酸に対するポリア
ニリンの溶解性が充分でないため、発煙硫酸が大過剰必
要とされる。また、発煙硫酸にポリアニリンを添加する
際もポリマーが固化し易いという問題がある。更に以上
の方法で合成された重合物およびそのスルホン化物は、
アンモニアおよびアルキルアミン等の塩基を含む水溶液
には溶解するが水単独には溶解しないという問題もあ
る。
【0013】また、Polymer(1993)34,
158〜162によると、ジフェニルアミン−4−スル
ホン酸(ナトリウム塩)を重合した場合、ベンゼンスル
ホン酸基がアニリン骨格に対して1個導入されたN位置
換型のスルホン化ポリアニリンが得られ水単独にも溶解
するが、重合物の単離に超遠心分離操作が必要であると
記されている。本発明者らが追試したところ、高溶解性
のため重合溶媒中からの重合物の取得収率は低いもので
あり、高速遠心分離操作を行わない場合、重合物を単離
することはできなかった。また、N位置換型のため、上
記に示したJ.Am.Chem.Soc.,(199
1)113,2665〜2671の方法で合成した重合
体に比べ導電性は低いものであった。
【0014】カルボキシル化ポリアニリンの合成法とし
ては、例えば、2−または3−カルボン酸基置換アニリ
ンまたはその塩を酸化重合し、ついで塩基性物質で処理
し、カルボン酸基が塩形で得られる製造法(特開平4−
268331号公報)が提案されているが、酸化剤の使
用量が原料に対して2倍等量以上必要であり、導電性は
低い値である。このことよりモノマーの反応性が低く低
分子量のポリマーが生成していると考えられる。
【0015】また、メチルアントラニレート(アントラ
ニル酸メチルエステル)をペルオキソ二硫酸アンモニウ
ムの存在下で水性の酸性媒体中で重合後、ついでアルコ
ール性水酸化カリウムによってメチルエステルをケン化
する合成法(特開平5−226238号公報)が提案さ
れているが、反応が2段階となるため、操作が非常に煩
雑である。
【0016】更に本発明者らが、2−カルボン酸基置換
アニリンを酸化剤としてのペルオキソ二硫酸アンモニウ
ムを用いて、プロトン酸を含む水溶液中での重合を試み
たところ、生成物を得ることができなかった。また、ア
ニリンと2−カルボン酸基置換アニリンを酸化剤にペル
オキソ二硫酸アンモニウムを用いて、プロトン酸を含む
水溶液中での重合を試みたところ、共重合体が得られた
が溶解性、導電性も共に低いものであった。このことよ
り得られた共重合体は2−カルボン酸基置換アニリンの
共重合比率が低いものと考えられる。
【0017】また、塗布による成膜等の成形性を考えた
場合、特に親水性、疎水性いずれの基材にも塗布可能と
するためには、水および有機溶剤の両方に溶解性のある
ことが望まれる。ところが、ポリアニリンのスルホン化
物は、アルカリ水に対する溶解性はあるが、中性から酸
性を示す水溶液には不溶であり、また有機溶剤に対する
溶解性が十分であるとはいえない。
【0018】これら諸々の問題を解決する方法として、
本発明者らは、ポリマーにドープ剤を添加することなく
導電性を発現させ、溶解性を向上させるためにはより多
くのスルホン酸基またはカルボン酸基などの酸性基を主
鎖の芳香環に導入する必要があるものと考え、アニリ
ン、N−アルキルアニリンおよびフェニレンジアミン類
よりなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物と、ア
ミノベンゼンスルホン酸とを酸性溶媒中酸化剤を用いて
共重合させ、更にスルホン化剤によりスルホン化するア
ニリン系共重合体スルホン化物の製造方法を提案した
(特開平5−178989号公報)。しかし、該方法に
おいては濃硫酸中でスルホン化する操作を行うので、廃
酸処理の問題がある。なお、以上の方法で合成された共
重合体は何れも下式(7)の構造を持つと推定される。
【0019】
【化7】 (式中、R11〜R14は、それぞれ水素およびスルホン酸
基よりなる群から選ばれた基であり、R′は水素または
炭素数1〜4のアルキル基よりなる群から選ばれた基で
あり、スルホン酸基の割合は芳香環に対して40〜80
%の含有量であり、xは0〜1の任意の数を表わし、n
は重合度を示す2〜1500の数である)
【0020】また、更に本発明者らは、アニリン、N−
アルキルアニリンおよびフェニレンジアミン類よりなる
群から選ばれた少なくとも一種の化合物とアルコキシ基
置換アミノベンゼンスルホン酸とを共重合させることに
より、廃棄物を大量に発生させるスルホン化操作を省略
することを特徴とするアニリン系共重合体の製造方法
(特開平6−293828号公報)を提案した。なお、
以上の方法で合成された共重合体は何れも下式(8)の
構造を持つと推定される。
【0021】
【化8】 (式中、R15〜R22は、それぞれ水素、アルコキシ基お
よびスルホン酸基よりなる群から選ばれた基であり、ス
ルホン酸基の割合はスルホン酸基が芳香環に対して25
〜50%の含有量であり、同一芳香環にアルコキシ基お
よびスルホン酸基を含有しており、R′は水素または炭
素数1〜4のアルキル基よりなる群から選ばれた基であ
り、xは、0〜1の任意の数を表し、nは重合度を示す
2〜1500の数である)
【0022】また、本発明者らは、スルホン酸基置換ア
ニリンまたはカルボン酸基置換アニリンなどの酸性基置
換アニリンを、塩基性化合物含む溶液中で重合する可溶
性アニリン系可溶性導電ポリマーとその製造方法(特開
平7−196791号公報、特開平7−324132号
公報)を提案した。本方法は、従来スルホン酸基または
カルボン酸基を有するアニリン類はそれ単独では重合し
にくいと云う定説に反し、高分子量の重合体の製造が可
能である。しかも、得られた可溶性導電ポリマーは、高
い導電性を示すと共に酸性からアルカリ性の何れの水溶
液にも優れた溶解を示す。しかし、可溶性導電ポリマー
と酸化重合に使用した酸化剤の副生塩とを単離する際、
可溶性導電ポリマー自体の溶解性が非常に優れているた
め、その操作が工業的実施では容易でないという課題点
がある。なお、以上の方法で合成された共重合体は何れ
も下式(9)の構造を持つと推定される。
【0023】
【化9】 (式中、A1 〜A4 は、スルホン酸基、カルボン酸基、
そのアルカリ金属塩、ンモニウム塩、置換アンモニウム
塩から選ばれた一つの基であり、B1 〜B4 は、水素、
炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1
〜4の直鎖または分岐のアルコキシ基、酸性基、水酸
基、ニトロ基およびハロゲン基よりなる群から選ばれた
一つの基を示す。xは、0〜1の任意の数を表し、nは
重合度を示す2〜5,000の数である)
【0024】一方、アニリンとm−アミノベンゼンスル
ホン酸を電気化学的に重合してスルホン化ポリアニリン
を合成する方法(日本化学会誌,1985,1124、
特開平02−166165号公報)、アミノベンゼンス
ルホン酸を電気化学的に重合する方法(日本化学会第6
4秋期年会予稿集II 706(1992)が報告され
ている。しかし、これら方法は電解質として無機塩を添
加するため、重合後可溶性導電ポリマーと電解質を単離
操作が煩雑になり、工業的な大量合成に適用が非常に難
しいと云う問題点がある。
【0025】
【発明が解決しようとしている課題】本発明の目的は、
高い導電性および溶解性を有し、且つ高分子量の可溶性
導電ポリマーおよびその工業的製法として有用な方法を
提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高い導電
性と溶解性を有するポリアニリンとして、芳香環に対す
るスルホン酸基導入割合の大きいスルホン化ポリアニリ
ンおよびカルボン酸基導入割合の大きいカルボキシル化
ポリアニリン等の、酸性基導入割合の大きい酸性基置換
ポリアニリンの製法について鋭意検討した結果、モノマ
ーとしてスルホン酸基置換アニリンまたはカルボン酸基
置換アニリンなどの酸性基置換アニリン、または該酸性
基置換アニリンとアニリン誘導体とを、塩基性化合物を
含む溶液中で電解酸化重合すると化学酸化重合では得ら
れない高導電性、高溶解性、且つ高分子量の可溶性導電
ポリマーが得られることを見出した。しかも、モノマー
およびポリマーは、電解質として働くため、通常電解酸
化重合で必要な電解質が不必要であり、電解質と可溶性
導電ポリマーを分離する操作を省略することができた。
従って、重合液をそのままコーティング剤等の製品とし
て使用できるため、工業的に好都合である。更に、重合
したポリマーが反応液に可溶であるため、フローシステ
ムなどの連続電解システムへ適用できる。フロースルー
システムとは、作用極と陰極との間のセルに反応溶液を
送液ポンプで循環させて重合を行う方法であり、このセ
ルを直列あるいは並列に接続することで最適条件下での
重合反応を行うことが可能となる。また、これらの酸性
基置換アニリン類での電解重合の知見は全く同様に、酸
性基置換のピロール、チオフェン、フラン、セレノフェ
ン、テルロフェン、イソチアナフテン、イソベンゾフラ
ン、イソインドリン、イソベンゾセレノフェンおよびイ
ソベンゾテルロフェンにも適用できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいて達成されたもので
ある。
【0027】すなわち、本発明は、酸性基置換アニリ
ン、酸性基置換ピロール、酸性基置換チオフェン、酸性
基置換フラン、酸性基置換セレノフェン、酸性基置換テ
ルロフェン、酸性基置換イソチアナフテン、酸性基置換
イソベンゾフラン、酸性基置換イソインドリン、酸性基
置換イソベンゾセレノフェン、酸性基置換イソベンゾテ
ルロフェン、これらの金属塩、アンモニウム塩および置
換アンモニウム塩よりなる群から選ばれた少なくとも一
種の化合物(イ)を、塩基性化合物(ロ)を含む溶液中
で電解重合させることを特徴とする酸性基を有する可溶
性導電ポリマーの製造方法に関する。
【0028】本発明の他の一つは、酸性基置換アニリ
ン、酸性基置換ピロール、酸性基置換チオフェン、酸性
基置換フラン、酸性基置換セレノフェン、酸性基置換テ
ルロフェン、酸性基置換イソチアナフテン、酸性基置換
イソベンゾフラン、酸性基置換イソインドリン、酸性基
置換イソベンゾセレノフェン、酸性基置換イソベンゾテ
ルロフェン、これらの金属塩、アンモニウム塩および置
換アンモニウム塩よりなる群から選ばれた少なくとも一
種の化合物(イ)と、アニリン誘導体、ピロール誘導
体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、セレノフェン誘
導体、テルロフェン誘導体、イソチアナフテン誘導体、
イソベンゾフラン誘導体、イソインドリン誘導体、イソ
ベンゾセレノフェン誘導体およびイソベンゾテルロフェ
ン誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも一種の化合
物(ハ)を、塩基性化合物(ロ)を含む溶液中で電解重
合させることを特徴とする酸性基を有する可溶性導電ポ
リマーの製造方法に関する。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明について最も好まし
い例である酸性基置換アニリン系を例にして詳しく説明
するが、酸性基置換のピロール、チオフェン、フラン、
セレノフェン、テルロフェン、イソチアナフテン、イソ
ベンゾフラン、イソインドリン、イソベンゾセレノフェ
ンおよびイソベンゾテルロフェンの場合も全く同様であ
る。前記酸性基置換アニリンは、一般式(1)
【化10】 (式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 およびR5 は、水素、
炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数
1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、酸性基、水
酸基、ニトロ基およびハロゲン基よりなる群から選ばれ
た置換基であり、その少なくとも一つは酸性基を示す。
また、ここで酸性基とはスルホン酸基またはカルボン酸
基を示す)で示される酸性基置換アニリン、その金属
塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩よりなる
群から選ばれた少なくとも一種の化合物を表す。前記一
般式(1)の化合物はアミノ基に対して酸性基がo位ま
たはm位に結合しているものの方が得られるポリマーの
導電性、溶解性などの性能が優れている。
【0030】前記酸性基置換アニリンとして最も代表的
なものは、スルホン酸基置換アニリンまたはカルボン酸
基置換アニリンである。好ましくはスルホン酸基置換ア
ニリンであり、カルボン酸基置換アニリンに比べ導電性
が高い傾向を示す。
【0031】スルホン酸基置換アニリンとして最も代表
的なものは、アミノベンゼンスルホン酸類であり、具体
的にはo−,m−,p−アミノベンゼンスルホン酸、ア
ニリン−2,6−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジ
スルホン酸、アニリン−3,5−ジスルホン酸、アニリ
ン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−3,4−ジスル
ホン酸が好ましく用いられる。
【0032】その他のスルホン酸基置換アニリンとして
は、メチルアミノベンゼンスルホン酸、エチルアミノベ
ンゼンスルホン酸,n−プロピルアミノベンゼンスルホ
ン酸、iso−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、n
−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、sec−ブチルア
ミノベンゼンスルホン酸、t−ブチルアミノベンゼンス
ルホン酸などのアルキル基置換アミノベンゼンスルホン
酸類、メトキシアミノベンゼンスルホン酸、エトキシア
ミノベンゼンスルホン酸,n−プロポキシアミノベンゼ
ンスルホン酸、iso−プロポキシアミノベンゼンスル
ホン酸、n−ブトキシアミノベンゼンスルホン酸、se
c−ブトキシアミノベンゼンスルホン酸、t−ブトキシ
アミノベンゼンスルホン酸などのアルコキシ基置換アミ
ノベンゼンスルホン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベン
ゼンスルホン酸類、ニトロ基置換アミノベンゼンスルホ
ン酸類、フルオロアミノベンゼンスルホン酸、クロロア
ミノベンゼンスルホン酸、ブロムアミノベンゼンスルホ
ン酸などのハロゲン基置換アミノベンゼンスルホン酸類
などを挙げることができる。このなかではアルキル基置
換アミノベンゼンスルホン酸類、アルコキシ基置換アミ
ノベンゼンスルホン酸類またはヒドロキシ基置換アミノ
ベンゼンスルホン酸類が実用上もっとも好ましい。な
お、これらのスルホン酸基置換アニリンはそれぞれ単独
で用いても、また異性体を任意の割合で混合しても良
い。
【0033】カルボン酸基置換アニリンとして最も代表
的なものは、アミノベンゼンカルボン酸類であり、具体
的にはo−,m−,p−アミノベンゼンカルボン酸、ア
ニリン−2,6−ジカルボン酸、アニリン−2,5−ジ
カルボン酸、アニリン−3,5−ジカルボン酸、アニリ
ン−2,4−ジカルボン酸、アニリン−3,4−ジカル
ボン酸が好ましく用いられる。
【0034】その他のカルボン酸基置換アニリンとして
は、メチルアミノベンゼンカルボン酸、エチルアミノベ
ンゼンカルボン酸,n−プロピルアミノベンゼンカルボ
ン酸、iso−プロピルアミノベンゼンカルボン酸、n
−ブチルアミノベンゼンカルボン酸、sec−ブチルア
ミノベンゼンカルボン酸、t−ブチルアミノベンゼンカ
ルボン酸などのアルキル基置換アミノベンゼンカルボン
酸類、メトキシアミノベンゼンカルボン酸、エトキシア
ミノベンゼンカルボン酸,n−プロポキシアミノベンゼ
ンカルボン酸、iso−プロポキシアミノベンゼンカル
ボン酸、n−ブトキシアミノベンゼンカルボン酸、se
c−ブトキシアミノベンゼンカルボン酸、t−ブトキシ
アミノベンゼンカルボン酸などのアルコキシ基置換アミ
ノベンゼンカルボン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベン
ゼンカルボン酸類、ニトロ基置換アミノベンゼンカルボ
ン酸類、フルオロアミノベンゼンカルボン酸、クロロア
ミノベンゼンカルボン酸、ブロムアミノベンゼンカルボ
ン酸などのハロゲン基置換アミノベンゼンカルボン酸類
などを挙げることができる。このなかではアルキル基置
換アミノベンゼンカルボン酸類、アルコキシ基置換アミ
ノベンゼンカルボン酸類またはヒドロキシ基置換アミノ
ベンゼンカルボン酸類が実用上もっとも好ましい。これ
らのカルボン酸基置換アニリンはそれぞれ単独で用いて
も、また異性体を任意の割合で混合しても良い。
【0035】更に詳しく前記一般式(1)の酸性基置換
アニリンの具体例としては、 スルホン酸基置換アルキルアニリン カルボン酸基置換アルキルアニリン スルホン酸基置換アルコキシアニリン カルボン酸基置換アルコキシアニリン スルホン酸基置換ヒドロキシアニリン カルボン酸基置換ヒドロキシアニリン スルホン酸基置換ニトロアニリン カルボン酸基置換ニトロアニリン スルホン酸基置換フルオロアニリン カルボン酸基置換フルオロアニリン スルホン酸基置換クロロアニリン カルボン酸基置換クロロアニリン スルホン酸基置換ブロムアニリン および、カルボン酸基置換ブロムアニリン などを挙げることができ、これらの置換基の位置と組合
わせの具体例を表1に示す。
【0036】
【表1】 ここで、 A:スルホン酸基またはカルボン酸基、そのアルカリ金
属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩から選ばれ
た一つの基を示し、 B:メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プ
ロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチ
ル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−
プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ
基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコ
キシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、フルオロ基、クロロ
基、ブロム基などのハロゲン基から選ばれた一つの基を
示し、 H:水素を示す。
【0037】これらモノマーにおける塩を形成する金属
としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが例示
できる。
【0038】また、置換アンモニウムとしては、脂式ア
ンモニウム類、環式飽和アンモニウム類、環式不飽和ア
ンモニウム類などが挙げられる。
【0039】前記脂式アンモニウム類としては、下記一
般式(10)
【化11】 (式中R23〜R26は、水素、炭素数1〜4のアルキル基
よりなる群から独立して選ばれた基である。)で示され
る化合物が挙げられる。たとえば、メチルアンモニウ
ム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、
エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチ
ルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチル
メチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プ
ロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプ
ロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブ
チルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロ
ピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチ
ルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアン
モニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルア
ンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロ
ールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ
n−ブチルアンモニウム、テトラsec−ブチルアンモ
ニウム、テトラt−ブチルアンモニウムなどを例示する
ことができる。なかでも、R23〜R26のうち1つが水
素、他の3つが炭素数1〜4のアルキル基の場合が最も
好ましく、ついでR23〜R26のうち2つが水素、他の2
つが炭素数1〜4のアルキル基の場合が好ましい。
【0040】環式飽和アンモニウム類としては、ピペリ
ジニウム、ピロリジニウム、モルホリニウム、ピペラジ
ニウムおよびこれらの骨格を有する誘導体などが例示さ
れる。
【0041】環式不飽和アンモニウム類としては、ピリ
ジニウム、α−ピコリニウム、β−ピコリニウム、γ−
ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロ
リニウムおよびこれらの骨格を有する誘導体などが例示
される。
【0042】次に、本発明で用いられる塩基性化合物
(ロ)としては、前記酸性基置換アニリン類と塩を形成
する化合物であればどのような化合物でも良いが、アン
モニア、脂式アミン類、環式飽和アミン類、環式不飽和
アミン類、無機塩基などが好ましく用いられる。とりわ
け脂式アミン類、環式飽和アミン類、環式不飽和アミン
類などが好ましい。
【0043】脂式アミン類としては、下記一般式(1
1)
【化12】 (式中、R27〜R29は、炭素数1〜4のアルキル基より
なる群から独立して選ばれた基である。)で示される化
合物、
【0044】または下記一般式(12)
【化13】 (式中、R30〜R33はそれぞれ水素、炭素数1〜4のア
ルキル基よりなる群から独立して選ばれた基である。)
で示されるハイドロキサイド化合物を挙げることができ
る。
【0045】環式飽和アミン類としては、ピペリジン、
ピロリジン、モルホリン、ピペラジンおよびこれらの骨
格を有する誘導体ならびにこれらのアンモニウムヒドロ
キシド化合物などが好ましく用いられる。
【0046】環式不飽和アミン類としては、ピリジン、
α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリ
ン、イソキノリン、ピロリンおよびこれらの骨格を有す
る誘導体ならびにこれらのアンモニウムヒドロキシド化
合物などが好ましく用いられる。
【0047】無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化物の塩など
が好ましく用いられるが、前記の脂式アミン類、環式飽
和アミン類、環式不飽和アミン類に比べると得られるポ
リマーの導電性は劣る傾向にある。
【0048】これら塩基性化合物(ロ)の濃度は、0.
1mol/リットル以上、好ましくは0.1〜10.0
mol/リットル、更に好ましくは0.2〜8.0mo
l/リットルの範囲で用いられる。この際、0.1mo
l/リットル以下の場合、得られるポリマーの収率が低
下し、10.0mol/リットル以上の場合、導電性が
低下する傾向を示す。前記塩基性化合物(ロ)は、それ
ぞれ任意の割合で混合して用いることもできる。
【0049】アニリン誘導体(ハ)としては、下記一般
式(4)
【化14】 (式中、R6 〜R10は、水素、炭素数1〜24の直鎖ま
たは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分
岐のアルコシキ基、水酸基、ニトロ基およびハロゲン基
よりなる群からなる置換基を示す。)で示される化合物
を挙げることができる。
【0050】前記アニリン誘導体(ハ)として最も代表
的なものは、アニリンであり、その他にメチルアニリ
ン、エチルアニリン、n−プロピルアニリン、iso−
プロピルアニリン、n−ブチルアニリン、sec−ブチ
ルアニリン、t−ブチルアニリンなどのアルキルアニリ
ン、メトキシアニリン、エトキシアニリン,n−プロポ
キシアニリン、iso−プロポキシアニリン、n−ブト
キシアニリン、sec−ブトキシアニリン、t−ブトキ
シアアニリンなどのアルコキシアニリン、ヒドロキシア
ニリン、ニトロアニリン、フルオロアニリン、クロロア
ニリン、ブロムアニリンなどのハロゲン基アニリンなど
を挙げることができる。アニリン誘導体(ハ)の共存
は、得られる導電ポリマーの導電性、塗膜性などの改善
に有効な作用を示す。
【0051】前記酸性基置換アニリンなどの化合物
(イ)と塩基性化合物(ロ)との重量比は、(イ):
(ロ)=1:100〜100:1、好ましくは10:9
0〜90:10が用いられる。ここで、塩基性化合物の
割合が低いと反応性が低下し導電性も低下する。逆に割
合が高い場合は得られるポリマー中の酸性基と塩基性化
合物が塩を形成する割合が高くなり導電性が低下する傾
向にある。
【0052】前記酸性基置換アニリンなどの化合物
(イ)およびアニリン誘導体(ハ)と塩基性化合物
(ロ)との重量比は、(イ)+(ハ):(ロ)=1:1
00〜100:1、好ましくは10:90〜90:10
が用いられる。ここで、塩基性化合物の割合が低いと反
応性が低下し導電性も低下する。逆に割合が高い場合は
得られるポリマー中の酸性基と塩基性化合物が塩を形成
する割合が高くなり導電性が低下する傾向にある。
【0053】また、前記酸性基置換アニリンなどの化合
物(イ)とアニリン誘導体(ハ)との割合(モル)は、
(イ):(ハ)=100:0〜30:70、好ましくは
99.999:0.001〜50:50、更に好ましく
は99.999:0.001〜70:30の範囲であ
る。ここで、アニリン誘導体の割合が高い(70を越え
る)と得られるポリマー中のスルホン基含有率が充分で
なく、溶解性が低下する傾向にある。
【0054】また、前記酸性基置換アニリンなどの化合
物(イ)中の酸性基(ニ)と塩基性化合物(ロ)とのモ
ル比は、(ニ):(ロ)=1:100〜100:1、好
ましくは1:0.25〜1:20、さらに好ましくは
1:0.5〜1:15で用いることができる。ここで、
塩基性化合物の割合が低いと反応性が低下し導電性も低
下する。逆に割合が高い場合は得られるポリマー中の酸
性基と塩基性化合物が塩を形成する割合が高くなり導電
性が低下する傾向にある。
【0055】電解重合時の酸性基置換アニリンなどの化
合物(イ)およびアニリン誘導体(ハ)の濃度は、溶媒
に対して0.1%以上、好ましくは0.5〜50%、よ
り好ましくは1〜30%の範囲である。
【0056】重合または共重合は、これら塩基性化合物
を含む溶液中、電解酸化重合することにより行う。溶媒
は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
アセトニトリル、メチルイソブチルケトン、メチルエチ
ルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド等が好ましく用いられる。
【0057】電解酸化重合時の電極材料としては、金、
銀、白金、ニッケル、水銀、ステンレス鋼や、銅、亜
鉛、スズ、鉛、鉄、アルミニウム、チタン、ルテニウ
ム、イリジウム、またはこれらの酸化物等の金属板や網
電極、グラッシーカーボン等の炭素電極、ITO、スズ
−インジウム酸化物、酸化錫等の金属酸化物を付与した
ガラス電極等を用いることができ、この中でも銀、白
金、チタン、グラッシーカーボン、ITOガラスが好ま
しい。
【0058】電解法としては、定電流電解法、定電位電
解法、定電圧電解法のいずれの方法を用いることができ
る。定電流電解重合時の電流密度は、5〜200mA/
cm2 、好ましくは10〜200mA/cm2 、より好
ましくは15〜150mA/cm2 の範囲である。定電
位電解重合時の電位は、標準電極に対して−0.5V以
下、好ましくは−1V〜−10V、より好ましくは−1
V〜−7Vの電位を作用極に対してかけることが好都合
である。
【0059】また、電解質としては必要に応じて、Li
BF4 、HBF4 、HClO4 、HCl、H2 SO4
の塩などを添加することができる。しかし、本方法にお
いては、酸性基置換アニリンなどの化合物(イ)自身お
よびポリマー自身が電解質として働くため、これら電解
質なしでも重合することができる。
【0060】反応温度は、マイナス15〜70℃の温度
範囲で行うのが好ましく、より好ましくはマイナス5〜
60℃の範囲が適用される。ここで、マイナス15℃以
下、または70℃以上では導電性が低下する傾向があ
る。
【0061】本発明によって製造されるポリマー中のス
ルホン酸基またはカルボン酸基における水素は、水素、
アルカリ金属、アンモニウムおよび置換アンモニウムよ
りなる群から独立して選ばれた基であること、即ちこれ
らの基が単独ではなく混合した状態でも得ることができ
る。
【0062】具体的には、水酸化ナトリウム存在下で重
合された場合、単離されたポリマー中のスルホン酸基ま
たはカルボン酸基における水素は、ほとんどがナトリウ
ムに置換された状態になっている。
【0063】同様に、ポリマー中のスルホン酸基または
カルボン酸基における水素は、アンモニア存在下重合し
た場合、大部分はアンモニウムであり、トリメチルアミ
ン存在下重合した場合、大部分はトリメチルアンモニウ
ムであり、キノリン存在下重合した場合、大部分はキノ
リニウムで得られる。
【0064】また、塩基性化合物を混合して用いた場合
は、これらの混合した状態で得られる。具体的には、水
酸化ナトリウムとアンモニア存在下重合された場合、単
離されたポリマー中のスルホン酸基またはカルボン酸基
における水素は、ナトリウムとアンモニウムの両方が存
在した状態で得られる。また、得られたポリマーを水酸
化ナトリウムとアンモニアの両方が存在する溶液で処理
した場合も同様にポリマー中のスルホン酸基またはカル
ボン酸基における水素は、ナトリウムとアンモニウムの
両方が存在した状態で得られる。
【0065】以上に記した酸性基の一部が塩を形成して
いるポリマーは、酸性溶液中で処理し単離することによ
り、塩を形成していない酸性基を有するポリマーにする
ことができる。
【0066】酸性溶液としては塩酸、硫酸、p−トルエ
ンスルホン酸、硝酸などを挙げることができる。ただ
し、十分に酸置換を行っても、酸性基が全く塩を形成し
ないようにすることは難しい。
【0067】かくして得られた芳香環にスルホン酸基ま
たはカルボン酸基を含有する酸性基を有する可溶性導電
ポリマーの重量平均分子量は3,000以上、好ましく
は3,000〜1,000,000、さらに好ましくは
5,000〜500,000である。また、芳香環に対
する酸性基の導入割合は、50%以上、好ましくは70
%以上、更に好ましくは80%以上である。ここで、酸
性基の導入割合が50%未満であると、水に対する溶解
性が小さくなる傾向にあり、工業的に適用することが難
しくなる。
【0068】この導電性ポリマーは、更にスルホン化操
作を施すことなく、単なる水、アンモニアおよびアルキ
ルアミン等の塩基または酢酸アンモニウム、シュウ酸ア
ンモニウム等の塩基および塩基性塩を含む水、塩酸およ
び硫酸等の酸を含む水またはメチルアルコール、エチル
アルコール、イソプロピルアルコール等の溶媒またはそ
れらの混合物に溶解することができる。
【0069】溶解性を詳しく説明すると、本発明におけ
る酸性基を有する可溶性導電ポリマーは、0.1モル/
リットルのアンモニア水などのアルカリ水溶液に1重量
%以上溶解し、0.1モル/リットルの硫酸水溶液など
の酸性水溶液に1重量%以上溶解し、単独の水などの中
性水溶液に1重量%以上溶解し、さらに0.1モル/リ
ットルのアンモニアアルコール溶液などの有機溶剤に1
重量%以上溶解するという性質を有している。
【0070】なお、以上の方法で合成された重合体また
は共重合体は何れも下式(13)の構造を持つと推定さ
れる。
【化15】 (式中、R34〜R49は、水素、炭素数1〜24の直鎖ま
たは分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分
岐のアルコキシ基、酸性基、水酸基、ニトロ基およびハ
ロゲン基よりなる群から選ばれ基を示す。酸性基の導入
割合は、芳香環に対して50%以上含有している。ま
た、ここで酸性基とはスルホン酸基またはカルボン酸基
を示す。xは、0〜1の任意の数を表し、nは重合度を
示す2〜1500の数である)
【0071】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的
に説明するが、本発明はこの実施例にのみ限定されるも
のではない。
【0072】〔測定法〕IRスペクトルはパーキンエル
マー製(モデル1600)の装置を用いて測定した。分
子量分布および分子量の測定には、水溶液用のGPCカ
ラムを用いて、GPC測定(ポリエチレンキシド換算)
を行った。カラムは水溶液用のもの;東ソー製のTSK
−GEL G−5000PWKLとTSK−GEL G
−3000PWXLの2種類を直列に連結して用いた。
また、溶離液には0.2mol/lリン酸バッファー溶
液を用いた。導電性は、導電率の測定には4端子法、表
面抵抗の測定には2端子法を用いた。
【0073】実施例1 0.05mol/l濃度のピリジン溶液150mlに2
−アミノアニソール−4−スルホン酸 4.06gを溶
解し、この溶液に作用極としてグラッシーカーボン、陰
極として白金を浸漬し、撹拌しながら室温にて1.5V
の定電圧を印加して1時間電解重合を行った。電解重合
開始直後より重合極表面で重合反応が生じ、5分後には
無色透明の反応溶液は茶褐色へと変化した。重合反応終
了後に重合極上へのポリマーの析出等はなく重合液は均
一であった。また、重合極からの金属成分の溶出や、オ
リゴマー等はほとんど検出されなかった。得られた重合
液をスピンコート法によりガラス基板上に塗布し100
℃で乾燥させた。膜厚0.1μmの表面の平滑な表面抵
抗値2×105 Ω/□のフィルムが得られた。
【0074】分子量測定の結果、数平均分子量(Mn)
20,000、重量平均分子量(Mw)22,000、
Z平均分子量24,000、分散度Mw/Mn=1.
1、Mz/Mw=1.1であった。
【0075】得られた重合液を減圧濃縮しポリマーを単
離し、ポリマー溶解量を測定した。方法は、水、0.1
mol/Lの硫酸水溶液、または、0.1mol/Lの
アンモニア水10mlにポリマーを少量づつくわえ溶解
しなくなったところで濾過し求めた。実施例1にて合成
した可溶性導電ポリマーの溶解量は、 水 250mg/ml 硫酸 245mg/ml アンモニア水 260mg/ml であった。
【0076】また、前記可溶性導電ポリマーのIRチャ
ートを図1、該ポリマーのGPC測定チャートを図2に
それぞれ示す。IRスペクトルの帰属は、つぎのとうり
である。 スルホン基;1120、1020cm-1付近 ポリマーの骨格;1500cm-1付近の吸収
【0077】実施例2 0.05mol/l濃度のα−ピコリン溶液150ml
に2−アミノベンゼンスルホン酸 3.7gを溶解し、
この溶液に作用極としてグラッシーカーボン、陰極とし
て白金を浸漬し、撹拌しながら室温にて2.0Vの定電
圧を印加して0.5時間電解重合を行った。重合反応終
了後に重合極上へのポリマーの析出等はなく重合液は均
一であった。また、重合極からの金属成分の溶出や、オ
リゴマー等はほとんど検出されなかった。得られた重合
液をスピンコート法によりガラス基板上に塗布し80℃
で乾燥させた。膜厚0.1μmの表面の平滑な表面抵抗
値5×106 Ω/□のフィルムが得られた。
【0078】実施例3 0.05mol/l濃度のトリエチルアミン溶液(水/
イソプロパノール=1/1)150mlに2−アミノベ
ンゼンスルホン酸 3.6gとアニリン0.1gを溶解
し、この溶液に作用極としてITO電極、陰極として白
金を浸漬し、撹拌しながら室温にて2.0Vの定電圧を
印加して0.5時間電解重合を行った。重合反応終了後
に重合極上へのポリマーの析出等はなく重合液は均一で
あった。また、重合極からの金属成分の溶出や、オリゴ
マー等はほとんど検出されなかった。得られた重合液を
スピンコート法によりガラス基板上に塗布し100℃で
乾燥させた。膜厚0.1μmの表面の平滑な表面抵抗値
1×107 Ω/□のフィルムが得られた。
【0079】実施例4 実施例1にて得られた重合体溶液50重量部と水系アク
リルエマルジョン樹脂〔ニカゾールRX−301C,日
本カーバイド(株)製〕100重量部を水100重量部
に室温で、撹拌し導電性粗製物を調製した。この様にし
て得られた溶液を深度40μmのグラビアコーターによ
りPETフィルム上に塗布し、120℃で乾燥させた。
膜厚0.2μm表面の平滑な表面抵抗値1×107 Ω/
□のフィルムが得られた。
【0080】実施例5 実施例1にて得られた重合体溶液100重量部と架橋剤
としてポリビニールアルコール5重量部を室温で、撹拌
溶解し架橋性導電性組成物を調製した。この様にして得
られた溶液を深度40μmのグラビアコーターによりP
ETフィルム上に塗布し、150℃で乾燥させた。膜厚
0.8μm表面の平滑な表面抵抗値5×106 Ω/□の
フィルムが得られた。この導電膜を水、アセトンに浸漬
させたが、膜は架橋しており溶解、剥離等は観察されな
かった。
【0081】実施例6 実施例1にて得られた重合体溶液100重量部と架橋剤
としてポリビニールアルコール5重量部と水系アクリル
エマルジョン樹脂〔ニカゾールRX−301C,日本カ
ーバイド(株)製〕100重量部を水100重量部に室
温で、撹拌溶解し架橋性導電性組成物を調製した。この
様にして得られた溶液を亜鉛メッキ板(20mm×50
mm×1mm)にディップコート法により塗布し、15
0℃で乾燥させ、0.5μmの導電層を形成した。この
導電層付きの亜鉛板---NO.1 --と、比較としてクロム化
合物を塗布した亜鉛板(塗布厚5〜6μm)---NO.2--
および亜鉛板---NO.3 --を40℃で塩水噴霧(JIS−
K−5400法に準じる)を行い、それぞれ防食試験を
行った。これらの結果を表2に示す。
【表2】
【0082】実施例7 0.5mol/l濃度のアンモニア水溶液30mlに2
−アミノアニソール−4−スルホン酸 3.0gを溶解
し、この溶液に作用極として白金、陰極としてグラッシ
ーカーボンを浸漬し、撹拌しながら室温にて2.5Vの
定電圧を印加して12時間電解重合を行った。印加開始
直後より作用極表面で重合反応が生じ、当初は無色透明
であった反応液は5分後には黒緑色へと変化した。重合
反応終了後に作用極上へのポリマーの析出等はなく重合
液は均一であった。また、作用極からの金属成分の溶出
や、オリゴマー等はほとんど検出されなかった。得られ
た重合液をスピンコート法によりガラス基板上に塗布し
100℃で乾燥させた。膜厚0.1μmの表面の平滑な
表面抵抗値2×105 Ω/□のフィルムが得られた。
【0083】実施例8 0.5mol/l濃度のアンモニア水溶液30mlに2
−アミノアニソール−4−スルホン酸 3.0gを溶解
した。この溶液に作用極として白金、陰極としてグラッ
シーカーボンとした直列フロースルーセルに溶液をポン
プで循環させながら、室温にて2.0Vの定電圧を印加
して電解重合を行った。印加開始直後より作用極表面で
重合反応が生じ、無色透明であった反応液は5分後には
黒緑色へと変化した。重合反応終了後に作用極上へのポ
リマーの析出等はなく重合液は均一であった。また、作
用極からの金属成分の溶出や、オリゴマー等はほとんど
検出されなかった。得られた重合液をスピンコート法に
よりガラス基板上に塗布し80℃で乾燥させた。膜厚
0.1μmの表面の平滑な表面抵抗値5×106 Ω/□
のフィルムが得られた。
【0084】実施例9 0.5mol/l濃度のジエチルアミン水溶液20ml
に2−アミノアニソール−4−スルホン酸3.0gを溶
解し、この溶液に作用極として白金、陰極としてグラッ
シーカーボンを浸漬し、撹拌することなく室温にて2.
5Vの定電圧を印加して5時間電解重合を行った。印加
開始直後より作用極表面で重合反応が生じ、3時間後に
は黒緑色の膜状ポリマーが作用極に付着した。重合反応
終了後、作用極上のポリマーの剥離、脱落などは起こら
なかった。得られた重合液をスピンコート法によりガラ
ス基板上に塗布し100℃で乾燥させた。膜厚0.1μ
mの表面の平滑な表面抵抗値1×107 Ω/□のフィル
ムが得られた。
【0085】実施例10 0.5mol/l濃度のアンモニア水溶液30mlにo
−アミノ安息香酸2.5gを溶解し、この溶液に作用極
として白金、陰極としてグラッシーカーボンを浸漬し、
撹拌することなく室温にて3.0Vの定電圧を印加して
5時間電解重合を行った。印加開始直後より作用極表面
で重合反応が生じ、3時間後には黒緑色の膜状ポリマー
が作用極に付着した。重合反応終了後、作用極上のポリ
マーの剥離、脱落などは起こらなかった。得られた重合
液をスピンコート法によりガラス基板上に塗布し100
℃で乾燥させた。膜厚0.1μmの表面の平滑な表面抵
抗値5×107 Ω/□のフィルムが得られた。
【0086】実施例11 0.5mol/l濃度のアンモニア水溶液30mlにo
−アミノ安息香酸2.5gを溶解した。この溶液に作用
極として白金、陰極としてグラッシーカーボンとした直
列フロースルーセルに溶液をポンプで循環させながら、
室温にて3.0Vの定電圧を印加して電解重合を行っ
た。印加開始直後より作用極表面で重合反応が生じ、無
色透明であった反応液は5分後には黒緑色へと変化し
た。重合反応終了後に作用極上へのポリマーの析出等は
なく重合液は均一であった。また、作用極からの金属成
分の溶出や、オリゴマー等はほとんど検出されなかっ
た。得られた重合液をスピンコート法によりガラス基板
上に塗布し100℃で乾燥させた。膜厚0.1μmの表
面の平滑な表面抵抗値7×106 Ω/□のフィルムが得
られた。
【0087】実施例12 0.5mol/l濃度のアンモニア水溶液30mlにo
−アミノベンゼンスルホン酸3.0gを溶解した。この
溶液に作用極として白金、陰極としてグラッシーカーボ
ンとした直列フロースルーセルに溶液をポンプで循環さ
せながら、室温にて2.0Vの定電圧を印加して電解重
合を行った。印加開始直後より作用極表面で重合反応が
生じ、無色透明であった反応液は5分後には黒緑色へと
変化した。重合反応終了後に作用極上へのポリマーの析
出等はなく重合液は均一であった。また、作用極からの
金属成分の溶出や、オリゴマー等はほとんど検出されな
かった。得られた重合液をスピンコート法によりガラス
基板上に塗布し80℃で乾燥させた。膜厚0.1μmの
表面の平滑な表面抵抗値7×106 Ω/□のフィルムが
得られた。
【0088】実施例13 0.5mol/l濃度のピリジン水溶液20mlにチオ
フェン−3−スルホン酸1.0gを溶解し、この溶液に
作用極として白金、陰極としてグラッシーカーボンを浸
漬し、撹拌することなく室温にて2.0Vの定電圧を印
加して5時間電解重合を行った。印加開始直後より作用
極表面で重合反応が生じ、3時間後には黒緑色の膜状ポ
リマーが作用極に付着した。重合反応終了後、作用極上
のポリマーの剥離、脱落などは起こらなかった。得られ
た重合液をスピンコート法によりガラス基板上に塗布し
100℃で乾燥させた。膜厚0.1μmの表面の平滑な
表面抵抗値1×105 Ω/□のフィルムが得られた。
【0089】実施例14 0.5mol/l濃度のピリジン水溶液20mlにチオ
フェン−3−スルホン酸1.0gを溶解した。この溶液
に作用極として白金、陰極としてグラッシーカーボンと
した直列フロースルーセルに溶液をポンプで循環させな
がら、室温にて2.0Vの定電圧を印加して電解重合を
行った。印加開始直後より作用極表面で重合反応が生
じ、無色透明であった反応液は5分後には黒緑色へと変
化した。重合反応終了後に作用極上へのポリマーの析出
等はなく重合液は均一であった。また、作用極からの金
属成分の溶出や、オリゴマー等はほとんど検出されなか
った。得られた重合液をスピンコート法によりガラス基
板上に塗布し100℃で乾燥させた。膜厚0.1μmの
表面の平滑な表面抵抗値7×105 Ω/□のフィルムが
得られた。
【0090】比較例1 日本化学会第64秋季年会講演予稿集II、706(19
92)記載の方法により2−アミノベンゼンスルホン酸
を電解重合にて合成した。得られた重合液をスピンコー
ト法によりガラス基板上に塗布し80℃で乾燥させた。
しかし、重合溶液中に硫酸を含んでいるため、塗布性が
悪く、膜は得られなかった。
【0091】比較例2 可溶性アニリン系可溶性導電ポリマーとして、特開平7
−324132号公報の実施例1記載の方法にて2−ア
ミノベンゼンスルホン酸を化学重合にて合成した。得ら
れた重合液をスピンコート法によりガラス基板上に塗布
し80℃で乾燥させた。このものの表面抵抗値は1×1
7 Ω/□であった。しかし、重合液中には多量の硫酸
塩を含んでいたため、平滑な膜は得られなかった。ま
た、記載の方法により分離を行ったが、濾過性が悪く操
作は非常に煩雑であった。
【0092】
【効果】本発明によれば、従来の化学酸化重合では得ら
れない高い導電性および溶解性を有し、且つ高分子量の
可溶性導電ポリマーを製造することができた。また、モ
ノマーおよびポリマーは電解質として働くため、通常の
電解酸化重合で必須な電解質が不必要であり、電解質と
可溶性導電ポリマーを分離する操作を省略することがで
きる。従って、重合液をそのままコーティング剤等の製
品として使用できるため、工業的に好都合である。更
に、重合したポリマーが反応液に可溶であるため、連続
電解重合システムが適用でき、工業的大量生産を可能に
した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけポリマーのIRチャートであ
る。
【図2】実施例1におけるポリマーのGPCチャートで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−238150(JP,A) 特開 平8−59830(JP,A) 特表 平1−500835(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/00 - 73/26 C08G 61/00 - 61/12

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性基置換アニリン、酸性基置換ピロー
    ル、酸性基置換チオフェン、酸性基置換フラン、酸性基
    置換セレノフェン、酸性基置換テルロフェン、酸性基置
    換イソチアナフテン、酸性基置換イソベンゾフラン、酸
    性基置換イソインドリン、酸性基置換イソベンゾセレノ
    フェン、酸性基置換イソベンゾテルロフェン、これらの
    金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩より
    なる群から選ばれた少なくとも一種の化合物(イ)を、
    塩基性化合物(ロ)を含む溶液中で電解重合させること
    を特徴とする酸性基を有する可溶性導電ポリマーの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 電解重合を直列、並列、あるいはその組
    み合わせで結合した連続セルを用いて、連続的に行うこ
    とを特徴とする請求項1記載の酸性基を有する可溶性導
    電ポリマーの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記酸性基置換アニリンが、一般式
    (1) 【化1】 (式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 およびR5 は、水素、
    炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数
    1〜24の直鎖または分岐のアルコシキ基、酸性基、水
    酸基、ニトロ基およびハロゲン基よりなる群から選ばれ
    た置換基であり、その少なくとも一つは酸性基を示す。
    また、ここで酸性基とはスルホン酸基またはカルボン酸
    基を示す。)で示される酸性基置換アニリン、あるいは
    前記酸性基置換ピロール、酸性基置換チオフェン、酸性
    基置換フラン、酸性基置換セレノフェン、酸性基置換テ
    ルロフェン、酸性基置換イソチアナフテン、酸性基置換
    イソベンゾフラン、酸性基置換イソインドリン、酸性基
    置換イソベンゾセレノフェン、酸性基置換イソベンゾテ
    ルロフェンが、一般式(2)または一般式(3) 【化2】 【化3】 (式中、Zは、NH、S、O、Se、Teのいずれかで
    あり、R'1,R'2,R'3およびR'4は、水素、炭素数1
    〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24
    の直鎖または分岐のアルコキシ基、酸性基、水酸基、ニ
    トロ基およびハロゲン基よりなる群から選ばれた置換基
    であり、その少なくとも一つは酸性基を示す。また、こ
    こで酸性基とはスルホン酸基またはカルボン酸基を示
    す。)で示される酸性基置換ピロール、酸性基置換チオ
    フェン、酸性基置換フラン、酸性基置換セレノフェン、
    酸性基置換テルロフェン、酸性基置換イソチアナフテ
    ン、酸性基置換イソベンゾフラン、酸性基置換イソイン
    ドリン、酸性基置換イソベンゾセレノフェン、酸性基置
    換イソベンゾテルロフェンである請求項1または請求項
    2記載の酸性基を有する可溶性導電ポリマーの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 酸性基置換アニリン、酸性基置換ピロー
    ル、酸性基置換チオフェン、酸性基置換フラン、酸性基
    置換セレノフェン、酸性基置換テルロフェン、酸性基置
    換イソチアナフテン、酸性基置換イソベンゾフラン、酸
    性基置換イソインドリン、酸性基置換イソベンゾセレノ
    フェン、酸性基置換イソベンゾテルロフェン、これらの
    金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩より
    なる群から選ばれた少なくとも一種の化合物(イ)と、
    アニリン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン誘導体、
    フラン誘導体、セレノフェン誘導体、テルロフェン誘導
    体、イソチアナフテン誘導体、イソベンゾフラン誘導
    体、イソインドリン誘導体、イソベンゾセレノフェン誘
    導体およびイソベンゾテルロフェン誘導体よりなる群か
    ら選ばれた少なくとも一種の化合物(ハ)を、塩基性化
    合物(ロ)を含む溶液中で電解重合させることを特徴と
    する酸性基を有する可溶性導電ポリマーの製造方法。
  5. 【請求項5】 電解重合を直列、並列、あるいはその組
    み合わせで結合した連続セルを用いて、連続的に行うこ
    とを特徴とする請求項4記載の酸性基を有する可溶性導
    電ポリマーの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記アニリン誘導体が、一般式(4) 【化4】 (式中、R6 ,R7 ,R8 ,R9 およびR10は、水素、
    炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数
    1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、水酸基、ニ
    トロ基およびハロゲン基よりなる群から選ばれた置換基
    を示す。)で示されるアニリン誘導体、あるいは前記ピ
    ロール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、セレ
    ノフェン誘導体、テルロフェン誘導体、イソチアナフテ
    ン誘導体、イソベンゾフラン誘導体、イソインドリン誘
    導体、イソベンゾセレノフェン誘導体、イソベンゾテル
    ロフェン誘導体が、一般式(5)または一般式(6) 【化5】 【化6】 (式中、Zは、NH、S、O、Se、Teのいずれかで
    あり、R'6,R'7,R'8およびR'9は、水素、炭素数1
    〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24
    の直鎖または分岐のアルコキシ基、水酸基、ニトロ基お
    よびハロゲン基よりなる群から選ばれた置換基を示
    す。)で示されるピロール誘導体、チオフェン誘導体、
    フラン誘導体、セレノフェン誘導体、テルロフェン誘導
    体、イソチアナフテン誘導体、イソベンゾフラン誘導
    体、イソインドリン誘導体、イソベンゾセレノフェン誘
    導体、イソベンゾテルロフェン誘導体である請求項4ま
    たは請求項5記載の酸性基を有する可溶性導電ポリマー
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記化合物(イ)と前記化合物(ハ)と
    の割合(モル)が、(イ):(ハ)=100:0〜3
    0:70の範囲である請求項4または請求項5記載の酸
    性基を有する可溶性導電ポリマーの製造方法。
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