JP3359771B6 - 低圧微粒化スプレーガン - Google Patents
低圧微粒化スプレーガン Download PDFInfo
- Publication number
- JP3359771B6 JP3359771B6 JP1995025907A JP2590795A JP3359771B6 JP 3359771 B6 JP3359771 B6 JP 3359771B6 JP 1995025907 A JP1995025907 A JP 1995025907A JP 2590795 A JP2590795 A JP 2590795A JP 3359771 B6 JP3359771 B6 JP 3359771B6
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- air
- paint
- spray gun
- paint nozzle
- tip
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、特に吹付空気圧力1kgf/cm2以下の低圧微粒化スプレーガンに用いるのを主目的として、空気キャップの外で圧縮空気と塗料が混合する外部混合式エアスプレーガン霧化頭部の霧化機構を改良する高微粒化エアスプレーガンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
外部混合式エアスプレーガンは、日本工業規格のJISにも定められて、一般工業用塗装に広く使用されている塗装機である。外部混合式エアスプレーガンは、標準吹付空気圧力3、0〜3、5kgf/cm2で、塗料ノズルと空気キャップの間に形成される、塗料ノズル外周のリング状スリットから圧縮空気を噴射し、塗料を噴霧化して、被塗物に塗料を吹付け、皮膜を形成するものである。この塗装方法は、被塗物の形状や塗料の種類等に左右されない応用範囲の最も広い塗装法である。しかしこの塗装法は、霧の飛散が多く、オーバースプレーによる塗料損失が多い欠点があり、作業環境や、大気汚染の関係から、エアスプレーの使用条件等に規制を設ける気運が世界的に広がっている。その対策の一つとして、吹付空気圧力を1kgf/cm2以下として、霧の飛散を押さえ、塗着効率の向上を図った低圧スプレーガンがクローズアップされてきている。
【0003】
この低圧スプレーガンには、原理的に幾つかの種類があるが、その中の一つとして、吹付圧力を1気圧以下に押さえることによる塗料の微粒化不足を補うために、前記塗料ノズルと空気キャップの間に形成される空気噴射用のスリット幅を広くして、大量の空気で、塗料を微粒化するスプレーガンが作られている。この低圧スプレーガンの機構は、一般の高圧スプレーガンの機構と基本的に同じ機構で構成され、前記塗料ノズル外周のスリットを広くすることによって、低圧大風量の空気を噴射している。そして、塗料ノズルや空気キャップに特別な加工を施したものは少なく、塗料ノズルは、単なる円筒切断形状で空気キャップと塗料ノズルとの間のリング状スリット幅は高圧スプレーガンの数倍のスリット幅となっている。しかし、吹付空気圧力を低圧にすることによる塗料の微粒化不足は、風量の増加だけでは解決し得ない幾つかの問題をもっている。その一つは、塗料噴出量を増加させた場合に、スプレーパターンの中心部に塗料の噴霧粗粒子が残り、塗装面にゆず肌と呼ばれる凹凸面が発生すること、また、塗料粘度が少し高くなると同じ現象が生じ易くなること、さらに、楕円形のスプレーパターンの幅を調整すると、パターン外周に粗い塗料粒子が飛びやすくなるなど、微粒化の均一性に欠ける難点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、本発明は、外部混合式エアスプレーガンの低圧微粒化機構において、塗料噴霧化時低圧空気流による、部分的な粗粒子の発生や、微粒化の不均一性を解決するために、塗料ノズル先端と空気キャップ中心口との間に形成される塗料ノズル外周のリング状スリットから噴射される低圧空気を、塗料ノズルから噴出する塗料流に効果的に混合することによって、中心部の塗料流を均一に微粒化し、平吹きパターンにするための、空気キャップの角部からの側面空気流に影響されない、微粒化の均一な楕円パターンを得る外部混合式エアスプレーガンの微粒化機構を得ることを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エアスプレーガン本体に塗料ノズルを螺着し、該塗料ノズルを覆うようにテーパーで接合して、空気キャップカバーでスプレーガン本体に装着する空気キャップによって、塗料噴出直後の大気中で圧縮空気と塗料を混合して、塗料等を微粒化する外部混合式エアスプレーガンにおいて、塗料ノズル先端部に塗料ノズル噴出口の中心に向けた多数本の空気溝を、噴射方向に適当な角度を付して、穿設し、該空気溝で塗料が拡散するのを抑制するために、前記多数本の空気溝の先に案内壁を設けた塗料ノズルを配設した低圧微粒化スプレーガンであって、塗料ノズル先端部に塗料ノズル噴出口の中心に向けた多数本の空気溝を、噴射方向に適当な角度を付して穿設するとき、適当な角度が、60°以上の角度で、該空気溝の本数が、塗料ノズル噴出口外周上に、3本、4本または、6本としたもので、かつ、多数本の空気溝で分散した塗料が拡散するのを抑制するために、前記多数本の空気溝の先に案内壁を設け、該案内壁は、円錐状に広がる凹状で形成される開口面である低圧微粒化スプレーガンである。
【0006】
【作用】
一般に外部混合式エアスプレーガンにおける塗料の微粒化は、塗料ノズル先端部外周のリング状スリットからの圧縮空気の噴射力によって塗料を微粒化するもので、標準吹付空気圧力3、0〜3、5kgf/cm2の高圧エアスプレーガンでは、音速に近い速さで噴射される、したがって噴射される流れは、完全な乱流となっており、塗料と空気との混合は、この乱流で完全混合され微粒化される。吹付空気圧力1kgf/cm2以下の低圧スプレーガンでは、レイノルズ数が低く、完全な乱流とならないで、層流に近い流れとなる。そのため微粒化が非常に悪くなるので、これを補うために、塗料ノズル外周からのリング状スリットの幅を広くし、噴射空気量を増加させている。しかし、塗料ノズルからの塗料噴出量が多くなると、塗料噴流の中心部が、空気流との混合が悪くなり、完全な混合が得られなくなる。そのために、塗料の微粒化が不十分になり、霧化の不均一性が発生する。
【0007】
そこで、塗料ノズル先端部に、塗料噴出流の中心部に向かう、多数本の空気溝を設けて、該多数本の溝からの空気噴流によって、塗料噴出流の中心部まで空気流を混合させることによって、霧化の均一性を図るものである。そして、多数本の空気溝で分散し、拡散される塗料流を、該多数本の空気溝の直後に設ける案内壁によって、噴射方向にコントロールし、必要以上に拡散しないようにしたものである。
【0008】
前記案内壁の形状は、塗料ノズル噴出口からそのまま円筒状に延びる形状でもその効果は得られるものであるが、種々の実験結果により、円錐状に広がる凹状にすることにより、微粒化効果をより一層高めることが発見されたものである。また、塗料噴出流に向かう空気溝は、噴射方向に向けて60°以上の角度をもった溝で、塗料噴出流の中心に向けるための案内路となる案内長さをもったものである。このことによって、塗料噴出量が比較的多い場合にも、塗料中心部まで空気噴流が混合される。また、案内壁によって、必要以上に拡散されなくなると共に、塗料ノズル外周からのリング状スリットの比較的厚い空気流によって、完全に均一に微粒化され、高圧エアスプレーと同等の微粒化効果が得られると共に、中心空気流の増加のみに依存していた低圧エアスプレーの微粒化機構が、この機構を付加することによって、微粒化効率の向上と共に、空気使用量の減少にもつながる効果を有するものである。
【0009】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基ずいて詳細に説明する。図1は、低圧微粒化スプレーガンの全体構成を示す断面図である。スプレーガン本体10は、銃身20と握り30を持ち、握り30の下部に、空気ニップル31を付し、空気通路32の上部の空気弁室16を通して、圧縮空気をスプレーガン先端部に送り込む構造である。空気弁部は、空気弁室16に、空気弁シートと空気弁15とパッキンセット19があり、コイルばね17により、空気弁15が空気弁室16の弁シートに押圧されシートされている。18はこれらをセットするための盲ねじである。そして、空気弁15の弁棒が引金13まで伸びていて、ニードル弁ガイド5aでニードル弁5が引かれるより数mm早く空気弁15が開かれるようになっていて、塗料噴出より、僅か先に圧縮空気が送られるようになっている。銃身20の先端部に螺着した塗料ノズル1中心の後部延長上に、ニードル弁5を鉛直に引くための、ニードル弁ガイド5aと、該ニードル弁ガイド5aを案内するための、ガイド室23が配設されている。圧縮空気はガイド室23の外周を通って送られる。ニードル弁5は、ニードル弁ガイド5aの背後のコイルばね22によって、塗料ノズル噴出口のシート内面に押圧されて塗料がシールされている。コイルばね22は、塗料噴出量調節つまみ21によって押さえられている。塗料噴出量調節つまみ21は、ねじの回転によってニードル弁ガイド5aの背後のガイド棒が、塗料調節つまみ21に当接することによって、ニードル弁5の引代、すなわち、塗料ノズル噴出口シート部とニードル弁5の隙間の開度によって、塗料噴出量が調節されるようになっている。
【0010】
銃身20の塗料噴出量調節部の上に、圧縮空気を空気キャップ2の中心部と角部とに分岐し、かつ、角部への空気量を調節するためのパターン開き調節装置が設けられている。パターン開き調節装置は、パターン開き調節ガイド26に、パターン開き調節弁27とパターン開き調節つまみ25と共に螺設されている。該パターン開き調節つまみ25を回転することによって、パターン開き調節弁27と、空気通路に設けられる、弁シート部28との隙間の開度によって、空気キャップカバー3で、銃身20に螺設される空気キャップ2の角部の側面空気孔への空気量が調節され、扇状に広がるスプレーパターンの開きが調節される。空気通路32からの圧縮空気は、パターン開き調節弁27のシート部28の空気通路の脇に平行して明けられている(図示せず)。したがって、空気通路はシート部28の部分で空気キャップ2の中心部への空気と角部への空気に分岐されている。空気キャップ2の中心部への空気は調節部はなく、空気通路32からの空気圧力がそのまま空気キャップ2の中心部に送られるようになっている。
【0011】
以上の構成において、引金13は、引金支点14を中心として振子状に引かれることによって、空気弁15が引かれ、続いてニードル弁5が引かれる。一方塗料は、塗料ジョイント8に付設される塗料容器または、塗料ホース(図示せず)から塗料ノズル1に供給される。塗料は塗料ノズル噴出口のシート部と塗料ノズル背後のニードル弁5部からの塗料漏れをシールするためのニードルパッキン11が、パッキン調節ねじ12によって押さえられている。パッキン調節ねじ12は、塗料漏れを防ぎ、かつニードル弁5がスムースに作動するために、適当な強さに調節されてねじ込まれている。
【0012】
図2は本発明の低圧スプレーガンの先端部拡大断面図である。図1で説明した構成部品については同一符号を付して説明する。図において、スプレーガン本体10の銃身20に塗料ノズル1が、塗料ノズルねじ1fによって螺着され、下部テーパー1eの接合によって、塗料ジョイント8からの塗料遮断、およびリング状スリット4、角部2aへの空気との分断がなされている。塗料ノズル1を覆うように空気キャップ2が、カバーリング7を介した空気キャップカバー3によって銃身20に装着されている。上面テーパー1dによって、下部テーパーと同じく、中心部空気と角部への空気がテーパーで分断されている。塗料ノズル1内部は、ニードル弁5の先端テーパーにより塗料ノズル内面テーパーに押圧されてシートされている。
【0013】
銃身20内で分岐され空気通路9を通って送られる低圧の圧縮空気は、カラー6を介して、空気キャップ2の角部2aの側面空気通路2bを経て、対称に開けられた、側面空気孔2cから噴射して、楕円形のスプレーパターンを形成するために明けられている。対称に明けられる側面空気孔2Cは、1個または、複数個明けられている。そして側面空気孔2cから噴射する空気量を前記パターン開き調節装置で調節することによって、スプレーパターンの扇状の開きが調節される。銃身20内で分岐されるもう一方の空気は、空気通路32aより塗料ノズル1に設けられた中心空気孔1cを通って空気キャップ2の中心部に送られる。空気キャップ2の中心部には、塗料ノズル1の先端外周と空気キャップ2の中心口との間に形成されるリング状スリット4と、側面空気孔2Cの噴射延長線上に交差すべく、補助空気孔2dが明けられている。補助空気孔2dは、スプレーパターン形成上、側面空気孔2cからの噴射力に対応して、バランスを採るために明けられるもので、一個または複数個明けられている。
【0014】
塗料微粒化の主体は、前記塗料ノズル1の先端外周と空気キャップ2の中心口との間に形成されるリング状スリット4から噴射される圧縮空気によって、塗料ノズル噴出口から噴出される塗料と、大気で混合して微粒化される、いわゆる、外部混合式の微粒化である。このリング状スリット4は、3、0〜3、5kgf/cm2の高圧スプレーの場合は低圧スプレーの場合の数分の一の隙間から完全な乱流で噴射される。しかし吹付圧力1kgf/cm2以下の低圧スプレーの場合は隙間が広く、空気流の層は厚いが、比較的遅い速度で噴射される。そのため通常円筒状の塗料ノズル形状の場合、塗料ノズルから噴出される塗料流の中心部に、空気が完全に混合せず、微粒化の不均一が生じる。本発明は、塗料ノズル1の先端部に多数本の溝1aを、空気キャップ2のリング状スリット4の下部面より、噴射方向に60°以上の角度を付して穿設し、塗料噴出流の中心部に向けて噴射することによって、空気を塗料噴出流の中心部まで混合させて塗料を分散し、微粒化の向上を図るものである。この空気溝1aによって分散する塗料が必要以上に拡散するのを防ぐために、該多数本の溝1aの先に円錐状の案内壁1bを設けている。
【0015】
図3および、図4は、塗料ノズル先端部の拡大図を示し、図3は塗料ノズル先端部断面、図4は図3の噴出出口側からの投影図である。塗料ノズル1の先端部に、空気溝1aが、角度αのV溝で、塗料ノズル1中心に向けて穿設されている。角度αは、60°以上の角度で製作されている。本発明を限定するものではないが、空気溝1aの形状は、V溝角度θが90°の角度で穿設されている。V溝とするのは、塗料流の中心部に向けられる空気流を四方から平均的に交差させるためであって、例えば、半円状の形状であっても同様な効果得られることは理解されるところである。また、多数本穿設される空気溝1aの数は図においては、四本であるが、3本または、6本でも同様の効果が得られることは、実験的に確認されている。空気溝1aの先に円錐状の案内壁1bが角度βで設けられる。案内壁1bの角度βは、塗料ノズル噴出口から円筒状に延びる形状から、図のように角度βが90°に広がる形状の範囲で形成されることによって(円錐状に広げることによって)、微粒化効果が高まることに起因している。以上の構成によって、塗料流の中心部まで空気が混合し、塗料が分散される。分散して拡散する塗料粒子を、案内壁1bで、塗料流の進行方向にコントロールし、塗料ノズル1の外周の比較的厚い空気流層の流れで、塗料流の中心まで均一に微粒化され、粒子分布が均一で、微粒化効率の高いスプレーパターンが得られる。
【0016】
【発明の効果】
外部混合式低圧スプレーガンの塗料ノズル先端に多数本の空気溝を、噴射方向に60°以上の角度で穿設し、その先に円錐状に広がる案内壁を設けて、塗料噴霧流を噴射方向にコントロールすることによって、低圧微粒化スプレーガンの塗料流の中心部まで効果的に微粒化し、微粒化効率が高く、均一な粒子分布のスプレーパターンが得られる効果を奏する。
【0017】
また、微粒化効率が高くなることから、空気使用量の増加のみに依存せずに、霧の細かな適正なスプレーパターンを得る低圧微粒化スプレーガンが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】低圧微粒化スプレーガンの一実施例としての全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の低圧微粒化スプレーガンの先端部拡大断面図である。
【図3】本発明の塗料ノズル先端部を説明する要部拡大断面図である。
【図4】図3の噴出出口側からの投影図である。
【符号の説明】
1 塗料ノズル
1a 空気溝
1b 案内壁
2 空気キャップ
2a 角部
2c 側面空気孔
2d 補助空気孔
4 リング状スリット
5 ニードル弁
10 スプレーガン本体
20 銃身
30 握り
【産業上の利用分野】
本発明は、特に吹付空気圧力1kgf/cm2以下の低圧微粒化スプレーガンに用いるのを主目的として、空気キャップの外で圧縮空気と塗料が混合する外部混合式エアスプレーガン霧化頭部の霧化機構を改良する高微粒化エアスプレーガンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
外部混合式エアスプレーガンは、日本工業規格のJISにも定められて、一般工業用塗装に広く使用されている塗装機である。外部混合式エアスプレーガンは、標準吹付空気圧力3、0〜3、5kgf/cm2で、塗料ノズルと空気キャップの間に形成される、塗料ノズル外周のリング状スリットから圧縮空気を噴射し、塗料を噴霧化して、被塗物に塗料を吹付け、皮膜を形成するものである。この塗装方法は、被塗物の形状や塗料の種類等に左右されない応用範囲の最も広い塗装法である。しかしこの塗装法は、霧の飛散が多く、オーバースプレーによる塗料損失が多い欠点があり、作業環境や、大気汚染の関係から、エアスプレーの使用条件等に規制を設ける気運が世界的に広がっている。その対策の一つとして、吹付空気圧力を1kgf/cm2以下として、霧の飛散を押さえ、塗着効率の向上を図った低圧スプレーガンがクローズアップされてきている。
【0003】
この低圧スプレーガンには、原理的に幾つかの種類があるが、その中の一つとして、吹付圧力を1気圧以下に押さえることによる塗料の微粒化不足を補うために、前記塗料ノズルと空気キャップの間に形成される空気噴射用のスリット幅を広くして、大量の空気で、塗料を微粒化するスプレーガンが作られている。この低圧スプレーガンの機構は、一般の高圧スプレーガンの機構と基本的に同じ機構で構成され、前記塗料ノズル外周のスリットを広くすることによって、低圧大風量の空気を噴射している。そして、塗料ノズルや空気キャップに特別な加工を施したものは少なく、塗料ノズルは、単なる円筒切断形状で空気キャップと塗料ノズルとの間のリング状スリット幅は高圧スプレーガンの数倍のスリット幅となっている。しかし、吹付空気圧力を低圧にすることによる塗料の微粒化不足は、風量の増加だけでは解決し得ない幾つかの問題をもっている。その一つは、塗料噴出量を増加させた場合に、スプレーパターンの中心部に塗料の噴霧粗粒子が残り、塗装面にゆず肌と呼ばれる凹凸面が発生すること、また、塗料粘度が少し高くなると同じ現象が生じ易くなること、さらに、楕円形のスプレーパターンの幅を調整すると、パターン外周に粗い塗料粒子が飛びやすくなるなど、微粒化の均一性に欠ける難点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、本発明は、外部混合式エアスプレーガンの低圧微粒化機構において、塗料噴霧化時低圧空気流による、部分的な粗粒子の発生や、微粒化の不均一性を解決するために、塗料ノズル先端と空気キャップ中心口との間に形成される塗料ノズル外周のリング状スリットから噴射される低圧空気を、塗料ノズルから噴出する塗料流に効果的に混合することによって、中心部の塗料流を均一に微粒化し、平吹きパターンにするための、空気キャップの角部からの側面空気流に影響されない、微粒化の均一な楕円パターンを得る外部混合式エアスプレーガンの微粒化機構を得ることを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エアスプレーガン本体に塗料ノズルを螺着し、該塗料ノズルを覆うようにテーパーで接合して、空気キャップカバーでスプレーガン本体に装着する空気キャップによって、塗料噴出直後の大気中で圧縮空気と塗料を混合して、塗料等を微粒化する外部混合式エアスプレーガンにおいて、塗料ノズル先端部に塗料ノズル噴出口の中心に向けた多数本の空気溝を、噴射方向に適当な角度を付して、穿設し、該空気溝で塗料が拡散するのを抑制するために、前記多数本の空気溝の先に案内壁を設けた塗料ノズルを配設した低圧微粒化スプレーガンであって、塗料ノズル先端部に塗料ノズル噴出口の中心に向けた多数本の空気溝を、噴射方向に適当な角度を付して穿設するとき、適当な角度が、60°以上の角度で、該空気溝の本数が、塗料ノズル噴出口外周上に、3本、4本または、6本としたもので、かつ、多数本の空気溝で分散した塗料が拡散するのを抑制するために、前記多数本の空気溝の先に案内壁を設け、該案内壁は、円錐状に広がる凹状で形成される開口面である低圧微粒化スプレーガンである。
【0006】
【作用】
一般に外部混合式エアスプレーガンにおける塗料の微粒化は、塗料ノズル先端部外周のリング状スリットからの圧縮空気の噴射力によって塗料を微粒化するもので、標準吹付空気圧力3、0〜3、5kgf/cm2の高圧エアスプレーガンでは、音速に近い速さで噴射される、したがって噴射される流れは、完全な乱流となっており、塗料と空気との混合は、この乱流で完全混合され微粒化される。吹付空気圧力1kgf/cm2以下の低圧スプレーガンでは、レイノルズ数が低く、完全な乱流とならないで、層流に近い流れとなる。そのため微粒化が非常に悪くなるので、これを補うために、塗料ノズル外周からのリング状スリットの幅を広くし、噴射空気量を増加させている。しかし、塗料ノズルからの塗料噴出量が多くなると、塗料噴流の中心部が、空気流との混合が悪くなり、完全な混合が得られなくなる。そのために、塗料の微粒化が不十分になり、霧化の不均一性が発生する。
【0007】
そこで、塗料ノズル先端部に、塗料噴出流の中心部に向かう、多数本の空気溝を設けて、該多数本の溝からの空気噴流によって、塗料噴出流の中心部まで空気流を混合させることによって、霧化の均一性を図るものである。そして、多数本の空気溝で分散し、拡散される塗料流を、該多数本の空気溝の直後に設ける案内壁によって、噴射方向にコントロールし、必要以上に拡散しないようにしたものである。
【0008】
前記案内壁の形状は、塗料ノズル噴出口からそのまま円筒状に延びる形状でもその効果は得られるものであるが、種々の実験結果により、円錐状に広がる凹状にすることにより、微粒化効果をより一層高めることが発見されたものである。また、塗料噴出流に向かう空気溝は、噴射方向に向けて60°以上の角度をもった溝で、塗料噴出流の中心に向けるための案内路となる案内長さをもったものである。このことによって、塗料噴出量が比較的多い場合にも、塗料中心部まで空気噴流が混合される。また、案内壁によって、必要以上に拡散されなくなると共に、塗料ノズル外周からのリング状スリットの比較的厚い空気流によって、完全に均一に微粒化され、高圧エアスプレーと同等の微粒化効果が得られると共に、中心空気流の増加のみに依存していた低圧エアスプレーの微粒化機構が、この機構を付加することによって、微粒化効率の向上と共に、空気使用量の減少にもつながる効果を有するものである。
【0009】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面に基ずいて詳細に説明する。図1は、低圧微粒化スプレーガンの全体構成を示す断面図である。スプレーガン本体10は、銃身20と握り30を持ち、握り30の下部に、空気ニップル31を付し、空気通路32の上部の空気弁室16を通して、圧縮空気をスプレーガン先端部に送り込む構造である。空気弁部は、空気弁室16に、空気弁シートと空気弁15とパッキンセット19があり、コイルばね17により、空気弁15が空気弁室16の弁シートに押圧されシートされている。18はこれらをセットするための盲ねじである。そして、空気弁15の弁棒が引金13まで伸びていて、ニードル弁ガイド5aでニードル弁5が引かれるより数mm早く空気弁15が開かれるようになっていて、塗料噴出より、僅か先に圧縮空気が送られるようになっている。銃身20の先端部に螺着した塗料ノズル1中心の後部延長上に、ニードル弁5を鉛直に引くための、ニードル弁ガイド5aと、該ニードル弁ガイド5aを案内するための、ガイド室23が配設されている。圧縮空気はガイド室23の外周を通って送られる。ニードル弁5は、ニードル弁ガイド5aの背後のコイルばね22によって、塗料ノズル噴出口のシート内面に押圧されて塗料がシールされている。コイルばね22は、塗料噴出量調節つまみ21によって押さえられている。塗料噴出量調節つまみ21は、ねじの回転によってニードル弁ガイド5aの背後のガイド棒が、塗料調節つまみ21に当接することによって、ニードル弁5の引代、すなわち、塗料ノズル噴出口シート部とニードル弁5の隙間の開度によって、塗料噴出量が調節されるようになっている。
【0010】
銃身20の塗料噴出量調節部の上に、圧縮空気を空気キャップ2の中心部と角部とに分岐し、かつ、角部への空気量を調節するためのパターン開き調節装置が設けられている。パターン開き調節装置は、パターン開き調節ガイド26に、パターン開き調節弁27とパターン開き調節つまみ25と共に螺設されている。該パターン開き調節つまみ25を回転することによって、パターン開き調節弁27と、空気通路に設けられる、弁シート部28との隙間の開度によって、空気キャップカバー3で、銃身20に螺設される空気キャップ2の角部の側面空気孔への空気量が調節され、扇状に広がるスプレーパターンの開きが調節される。空気通路32からの圧縮空気は、パターン開き調節弁27のシート部28の空気通路の脇に平行して明けられている(図示せず)。したがって、空気通路はシート部28の部分で空気キャップ2の中心部への空気と角部への空気に分岐されている。空気キャップ2の中心部への空気は調節部はなく、空気通路32からの空気圧力がそのまま空気キャップ2の中心部に送られるようになっている。
【0011】
以上の構成において、引金13は、引金支点14を中心として振子状に引かれることによって、空気弁15が引かれ、続いてニードル弁5が引かれる。一方塗料は、塗料ジョイント8に付設される塗料容器または、塗料ホース(図示せず)から塗料ノズル1に供給される。塗料は塗料ノズル噴出口のシート部と塗料ノズル背後のニードル弁5部からの塗料漏れをシールするためのニードルパッキン11が、パッキン調節ねじ12によって押さえられている。パッキン調節ねじ12は、塗料漏れを防ぎ、かつニードル弁5がスムースに作動するために、適当な強さに調節されてねじ込まれている。
【0012】
図2は本発明の低圧スプレーガンの先端部拡大断面図である。図1で説明した構成部品については同一符号を付して説明する。図において、スプレーガン本体10の銃身20に塗料ノズル1が、塗料ノズルねじ1fによって螺着され、下部テーパー1eの接合によって、塗料ジョイント8からの塗料遮断、およびリング状スリット4、角部2aへの空気との分断がなされている。塗料ノズル1を覆うように空気キャップ2が、カバーリング7を介した空気キャップカバー3によって銃身20に装着されている。上面テーパー1dによって、下部テーパーと同じく、中心部空気と角部への空気がテーパーで分断されている。塗料ノズル1内部は、ニードル弁5の先端テーパーにより塗料ノズル内面テーパーに押圧されてシートされている。
【0013】
銃身20内で分岐され空気通路9を通って送られる低圧の圧縮空気は、カラー6を介して、空気キャップ2の角部2aの側面空気通路2bを経て、対称に開けられた、側面空気孔2cから噴射して、楕円形のスプレーパターンを形成するために明けられている。対称に明けられる側面空気孔2Cは、1個または、複数個明けられている。そして側面空気孔2cから噴射する空気量を前記パターン開き調節装置で調節することによって、スプレーパターンの扇状の開きが調節される。銃身20内で分岐されるもう一方の空気は、空気通路32aより塗料ノズル1に設けられた中心空気孔1cを通って空気キャップ2の中心部に送られる。空気キャップ2の中心部には、塗料ノズル1の先端外周と空気キャップ2の中心口との間に形成されるリング状スリット4と、側面空気孔2Cの噴射延長線上に交差すべく、補助空気孔2dが明けられている。補助空気孔2dは、スプレーパターン形成上、側面空気孔2cからの噴射力に対応して、バランスを採るために明けられるもので、一個または複数個明けられている。
【0014】
塗料微粒化の主体は、前記塗料ノズル1の先端外周と空気キャップ2の中心口との間に形成されるリング状スリット4から噴射される圧縮空気によって、塗料ノズル噴出口から噴出される塗料と、大気で混合して微粒化される、いわゆる、外部混合式の微粒化である。このリング状スリット4は、3、0〜3、5kgf/cm2の高圧スプレーの場合は低圧スプレーの場合の数分の一の隙間から完全な乱流で噴射される。しかし吹付圧力1kgf/cm2以下の低圧スプレーの場合は隙間が広く、空気流の層は厚いが、比較的遅い速度で噴射される。そのため通常円筒状の塗料ノズル形状の場合、塗料ノズルから噴出される塗料流の中心部に、空気が完全に混合せず、微粒化の不均一が生じる。本発明は、塗料ノズル1の先端部に多数本の溝1aを、空気キャップ2のリング状スリット4の下部面より、噴射方向に60°以上の角度を付して穿設し、塗料噴出流の中心部に向けて噴射することによって、空気を塗料噴出流の中心部まで混合させて塗料を分散し、微粒化の向上を図るものである。この空気溝1aによって分散する塗料が必要以上に拡散するのを防ぐために、該多数本の溝1aの先に円錐状の案内壁1bを設けている。
【0015】
図3および、図4は、塗料ノズル先端部の拡大図を示し、図3は塗料ノズル先端部断面、図4は図3の噴出出口側からの投影図である。塗料ノズル1の先端部に、空気溝1aが、角度αのV溝で、塗料ノズル1中心に向けて穿設されている。角度αは、60°以上の角度で製作されている。本発明を限定するものではないが、空気溝1aの形状は、V溝角度θが90°の角度で穿設されている。V溝とするのは、塗料流の中心部に向けられる空気流を四方から平均的に交差させるためであって、例えば、半円状の形状であっても同様な効果得られることは理解されるところである。また、多数本穿設される空気溝1aの数は図においては、四本であるが、3本または、6本でも同様の効果が得られることは、実験的に確認されている。空気溝1aの先に円錐状の案内壁1bが角度βで設けられる。案内壁1bの角度βは、塗料ノズル噴出口から円筒状に延びる形状から、図のように角度βが90°に広がる形状の範囲で形成されることによって(円錐状に広げることによって)、微粒化効果が高まることに起因している。以上の構成によって、塗料流の中心部まで空気が混合し、塗料が分散される。分散して拡散する塗料粒子を、案内壁1bで、塗料流の進行方向にコントロールし、塗料ノズル1の外周の比較的厚い空気流層の流れで、塗料流の中心まで均一に微粒化され、粒子分布が均一で、微粒化効率の高いスプレーパターンが得られる。
【0016】
【発明の効果】
外部混合式低圧スプレーガンの塗料ノズル先端に多数本の空気溝を、噴射方向に60°以上の角度で穿設し、その先に円錐状に広がる案内壁を設けて、塗料噴霧流を噴射方向にコントロールすることによって、低圧微粒化スプレーガンの塗料流の中心部まで効果的に微粒化し、微粒化効率が高く、均一な粒子分布のスプレーパターンが得られる効果を奏する。
【0017】
また、微粒化効率が高くなることから、空気使用量の増加のみに依存せずに、霧の細かな適正なスプレーパターンを得る低圧微粒化スプレーガンが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】低圧微粒化スプレーガンの一実施例としての全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の低圧微粒化スプレーガンの先端部拡大断面図である。
【図3】本発明の塗料ノズル先端部を説明する要部拡大断面図である。
【図4】図3の噴出出口側からの投影図である。
【符号の説明】
1 塗料ノズル
1a 空気溝
1b 案内壁
2 空気キャップ
2a 角部
2c 側面空気孔
2d 補助空気孔
4 リング状スリット
5 ニードル弁
10 スプレーガン本体
20 銃身
30 握り
Claims (3)
- エアスプレーガン本体に塗料ノズルを螺着し、該塗料ノズルを覆うようにテーパーで接合して、空気キャップカバーでスプレーガン本体に装着する空気キャップによって、塗料噴出直後の大気中で圧縮空気と塗料を混合して、塗料等を微粒化する外部混合式エアスプレーガンにおいて、塗料ノズル先端部に塗料ノズル噴出口の中心に向けた多数本の空気溝を、噴射方向に適当な角度を付して、穿設し、該空気溝で塗料が拡散するのを抑制するために、前記多数本の空気溝の先に案内壁を設けた塗料ノズルを配設した低圧微粒化スプレーガン。
- 塗料ノズル先端部に塗料ノズル噴出口の中心に向けた多数本の空気溝を、噴射方向に適当な角度を付して穿設するとき、適当な角度が60°以上の角度で、該空気溝の本数が、塗料ノズル噴出口外周上に、3本、4本または、6本である請求項1記載の低圧微粒化スプレーガン。
- 塗料ノズル先端部に塗料ノズル噴出口の中心に向けた多数本の空気溝を、噴射方向に適当な角度を付して穿設し、該空気溝で分散した塗料が拡散するのを抑制するために、前記多数本の空気溝の先に案内壁を設けるとき、該案内壁は円錐状に広がる凹状で形成される開口面である請求項1記載の低圧微粒化スプレーガン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1995025907A JP3359771B6 (ja) | 1995-01-20 | 低圧微粒化スプレーガン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1995025907A JP3359771B6 (ja) | 1995-01-20 | 低圧微粒化スプレーガン |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08196950A JPH08196950A (ja) | 1996-08-06 |
JP3359771B2 JP3359771B2 (ja) | 2002-12-24 |
JP3359771B6 true JP3359771B6 (ja) | 2006-04-05 |
Family
ID=
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1108476B1 (en) | Low-pressure atomizing spray gun | |
US5165605A (en) | Low pressure air atomizing spray gun | |
US5170941A (en) | Premixing-type spray gun | |
TWI294790B (en) | Spray coating device and method, and method of making the spray coating device | |
JP2769962B2 (ja) | 塗装に適する空気添加型噴霧装置 | |
KR101250678B1 (ko) | 스프레이 건의 에어 무화 공기 캡 | |
US4232824A (en) | Method and apparatus for the pneumatic spraying of liquid products | |
JPH0724796B2 (ja) | 低圧微粒化エアスプレーガン | |
TW200406259A (en) | Spray gun with improved pre-atomization fluid mixing and breakup | |
KR100314111B1 (ko) | 에어 스프레이 건 도장장치 | |
JP5336763B2 (ja) | 内面塗装用スプレーガン。 | |
EP0411830B1 (en) | Low pressure air atomizing spray gun | |
JP3359771B6 (ja) | 低圧微粒化スプレーガン | |
JP3209676B2 (ja) | 低圧スプレーガンの先端構造 | |
JPS5946159A (ja) | エアレススプレイ塗装方法及びエアレス塗装用スプレイガン | |
JP3359771B2 (ja) | 低圧微粒化スプレーガン | |
JPH08141448A (ja) | 内部と外部混合を含む低圧微粒化スプレーガン | |
JPH08131906A (ja) | 内部混合式スプレーガンの塗料堆積防止用ノズルセット | |
JPS6229088Y2 (ja) | ||
JP2001025689A (ja) | 二液混合噴霧方法とその装置 | |
JPS635148B2 (ja) | ||
JPS635141B2 (ja) | ||
JP3357189B2 (ja) | 低圧微粒化スプレーガン | |
JP2558244Y2 (ja) | 内部混合型高粘度用スプレーガンにおける空気ノズル | |
JPH02258077A (ja) | 低圧空気霧化内部混合エアースプレーガン |