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JP3303481B2 - 反応性小胞体および形成剤 - Google Patents

反応性小胞体および形成剤

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JP3303481B2
JP3303481B2 JP30561293A JP30561293A JP3303481B2 JP 3303481 B2 JP3303481 B2 JP 3303481B2 JP 30561293 A JP30561293 A JP 30561293A JP 30561293 A JP30561293 A JP 30561293A JP 3303481 B2 JP3303481 B2 JP 3303481B2
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Japan
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剛 宮崎
茂 北野
義仁 門磨
昭典 杉中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反応性小胞体形成剤、
およびこれを小胞体形成成分として含む反応性小胞体に
関する。さらに詳しくは医薬の運搬体、検査薬、診断
薬、センサー、固定化触媒、バイオリアクター、バイオ
エレクトロニクス素子、マイクロカプセル代替品など、
種々の機能性リポソームまたは脂肪乳剤等の小胞体の調
製に用いられる反応性小胞体形成剤、およびこれを小胞
体形成成分として含む反応性小胞体に関する。
【0002】
【従来の技術】リポソームはリン脂質の二分子膜からな
る小胞体であり、多分野での応用が試みられている。特
に、医薬運搬体、診断・検出用のセンサーなどへの応用
が注目されているが、リポソーム表面上または膜中に機
能性物質を固定して各種機能をもたせること、およびリ
ポソームの血中濃度を維持することなどが大きな課題と
なっている。
【0003】従来、リポソーム表面上または膜中への機
能性物質の固定化に関しては、プルラン誘導体で被覆し
たリポソームの表面上の多糖上に置換したアミノエチル
カルバミルメチル基にγ−マレイミドブチルオキシサク
シニミジルを介して抗体フラグメントを結合させる方法
(Biochem. Biophys. Acta., 898, 323(1987))、ある
いはあらかじめリポソーム膜形成成分中に糖脂質を加え
ておき、リポソーム形成後過よう素酸酸化を行い、生じ
たアルデヒド基と抗体とを反応させて固定化する方法
(J. Biol. Chem., 255, 10509(1980))などがある。
【0004】しかし、これらの従来法では、リポソーム
調製後にリポソーム膜表面上での多段階の化学反応を行
う必要があり、このため目的とする機能性物質の導入量
が低く制限され、また反応による副生成物や不純物が混
入し、リポソーム膜へのダメージが大きいなどの問題点
がある。
【0005】一方、リポソームを生体内へ投与したと
き、その多くは肝臓、脾臓などの網内系器官で捕捉され
るため、十分な効果が得られないことが指摘されている
(Cancer Res., 43, 5328(1983))。そこで、この網内
系器官で捕捉されてしまう問題点や、あるいはリポソー
ム自身の崩壊性・凝集性など安定性の低さに関する問題
点を改善する方法として、リポソームの表面にポリエチ
レングリコール鎖を導入することが試みられている(例
えば、特開平1−249717号公報、FEBS letters,
268, 235(1990))。また、ポリエチレングリコールで修
飾されたリポソームは、長期間にわたり血液中濃度を維
持できることが明らかになっている(Biochem. Biophy
s. Acta., 1066, 29-36(1991))。しかし、このような
方法により得られるポリエチレングリコール鎖の導入さ
れたリポソームは機能性物質と反応しないので、リポソ
ーム表面上に機能性物質を固定化することはできない。
【0006】さらに、特開平4−346918号公報に
は、マレイミド基を有するリポソームにまずチオール基
を付与したタンパク質(チオール化タンパク質)を反応
させ、次いで残存マレイミド基にチオール基を付与した
ポリアルキレングリコール(チオール化ポリアルキレン
グリコール)部分を含む化合物を反応させることによ
り、網内系器官での取込の改善された薬剤含有抗体結合
リポソームが得られることが記載されている。しかし、
このリポソームでは、抗体がポリアルキレングリコール
層の下部に隠蔽され、標的部位の抗原との反応が妨げら
れるため、期待される効果が十分には得られないという
問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決するため、リポソームその他の小胞体にポ
リアルキレンオキシド鎖を導入できるとともに、このポ
リアルキレンオキシド鎖の先端に、簡単にかつ効率よく
種々の機能性物質を共有結合により固定化することがで
き、しかも機能性物質の導入量を多くすることが可能な
反応性小胞体形成剤、およびこの小胞体形成剤を小胞体
形成成分として含む反応性小胞体を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は次の反応性小胞
体形成剤および反応性小胞体である。 (1)下記一般式〔1〕で表わされる反応性リン脂質誘
導体からなることを特徴とする反応性小胞体形成剤。
【化3】 〔式中、R1C(=0)およびR2C(=0)は炭素数3
〜30の脂肪酸のアシル残基を表わし、同一でも異なっ
ていてもよい。R3は水素原子またはメチル基、AOは
炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nはオキシアルキ
レン基の平均付加モル数で、1〜1000の正数を表わ
す。nが2以上の場合、オキシアルキレン基は同一でも
異なっていてもよく、またランダム状に付加していて
も、ブロック状に付加していてもよい。Yは次の有機基
を表わす。
【化4】 (ここで、pは2または3、qは0〜3の整数を表わ
す。)Mは水素原子またはアルカリ金属原子を表わ
す。〕 (2)上記(1)記載の反応性小胞体形成剤の一種以上
を小胞体形成成分として含むことを特徴とする反応性小
胞体。
【0009】本発明において、一般式〔1〕のR1
(=0)、R2C(=0)で表わされる脂肪酸のアシル
残基は、炭素数(カルボニル基の炭素も含む)3〜3
0、好ましくは8〜20のアシル残基である。このよう
なアシル残基の具体的なものとしては、プロピオン酸、
酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリ
ン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグ
ノセリン酸、ソロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、2
−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪酸のアシル残基;オレ
イン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、2,4−
オクタデカジエン酸等の不飽和脂肪酸のアシル残基;イ
ソステアリン酸等の分岐脂肪酸のアシル残基;リシノ
ル酸、12−ヒドロキシステアリン酸等アルキル基中
に水酸基を有する脂肪酸のアシル残基などがあげられ
る。
【0010】これらの中では、安定なリポソームまたは
脂肪乳剤が形成できるという理由から、ミリスチン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、2,4−オ
クタデカジエン酸のアシル残基が好ましく、特にパルミ
チン酸、ステアリン酸、オレイン酸のアシル残基が好ま
しい。R1C(=0)とR2C(=0)とは同一であって
もよいし、異なっていてもよい。
【0011】一般式〔1〕のAOで表わされるオキシア
ルキレン基は、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であ
り、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシト
リメチレン基、オキシ−1−エチルエチレン基、オキシ
−1,2−ジメチルエチレン基、オキシテトラメチレン
基などがあげられる。これらのオキシアルキレン基は、
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、
1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、テトラヒド
ロフランなどのアルキレンオキシドを付加重合させた基
である。一般式〔1〕のnは1〜1000、好ましくは
10〜300、さらに好ましくは20〜120の正数で
ある。
【0012】nが2以上の場合、オキシアルキレン基の
種類は同一のものでも、異なるものでもよい。後者の場
合、ランダム状に付加していても、ブロック状に付加し
ていてもよい。親水性を付与する場合、AOとしてはエ
チレンオキシドが単独で付加したものが好ましく、この
場合、nが10以上のものが好ましい。また種類の異な
るアルキレンオキシドが付加している場合、エチレンオ
キシドが20モル%以上、好ましくは50モル%以上付
加しているのが望ましい。ポリアルキレンオキシド鎖に
親油性を付与する場合はエチレンオキシド以外の付加モ
ル数を多くする。
【0013】一般式〔1〕のYは前記構造式〔2〕で表
わされる有機基である。一般式〔1〕のR3は水素原子
またはメチル基である。一般式〔1〕のMは水素原子ま
たはナトリウムもしくはカリウム等のアルカリ金属原子
である。
【0014】一般式〔1〕で表わされる反応性リン脂質
誘導体を製造するには、例えば一方の末端にカルボキシ
ル基、他方の末端に水酸基を有するポリアルキレングリ
コール誘導体と、ジシクロヘキシルカルボジイミド(D
CC)とを反応させて活性型とした後、ホスファチジル
エタノールアミン類を反応させ、次に得られた化合物に
N,N′−カルボニルジイミダゾール(CDI)を反応
させる方法などにより、容易に製造することができる。
ポリアルキレングリコール誘導体としてα−ヒドロ−ω
−カルボキシル−ポリオキシエチレン、ホスファチジル
エタノールアミン類としてジパルミトイルホスファチジ
ルエタノールアミン(DPPEA)またはその塩を用い
た場合の反応式を次に示す。なお、式中Mおよびnは前
記と同じものを示す。
【0015】
【化5】
【0016】また上記の製造方法の他にも、上記ポリア
ルキレングリコール誘導体のカルボキシル基を、塩化チ
オニル、クロロギ酸イソブチルなどを用いて酸クロリド
化した化合物、あるいはコハク酸イミド、カルボニルジ
イミダゾールなどにより活性エステル化した化合物と、
ホスファチジルエタノールアミン類とを反応させ、得ら
れた化合物にCDIを作用させる方法などによっても容
易に製造することができる。
【0017】さらに、一般式〔1〕においてYがq=0
の有機基である反応性リン脂質誘導体の製造は、両末端
に水酸基を有するポリアルキレンオキシド1モルに対し
て2モル以上の割合でCDIを反応させ、得られた化合
物とホスファチジルエタノールアミン類とを反応させる
ことにより、容易に行うことができる。
【0018】これらの反応は無溶媒で、あるいは水、ト
ルエン、ベンゼン、アセトニトリル、メタノール、1,
4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルムな
どの溶媒中で、大気中または窒素、アルゴン、ヘリウム
もしくは二酸化炭素などの不活性ガス雰囲気下に、−4
0〜120℃、好ましくは0〜60℃で、10分間〜2
40時間、好ましくは1時間〜48時間、攪拌すること
により行うのが望ましい。反応終了後は、得られた反応
混合物はそのまま、あるいは蒸留、再結晶、再沈澱、吸
着剤処理、カラム処理、ゲル濾過、限外濾過、透析など
により精製・単離した後、反応性小胞体形成剤として使
用することができる。
【0019】本発明の反応性小胞体形成剤は、アミノ
基、水酸基またはチオール基などの官能基、特に第1級
アミノ基に対して高い反応性のあるオキシカルボニルイ
ミダゾール基を有しているので、このような官能基を有
する機能性物質と容易に反応し、共有結合が形成され
る。このため、本発明の反応性小胞体形成剤を小胞体形
成成分として用いることにより、小胞体にポリルキレ
ンオキシド鎖を導入できるとともに、前記官能基を有す
る機能性物質に対する反応性を付与することができる。
【0020】本発明の反応性小胞体は、上記反応性小胞
体形成剤を小胞体形成成分として含有し、前記官能基を
有する機能性物質に対する反応性を有するものである。
反応性小胞体形成剤は一種単独で含有されていても、二
種以上が組合されて含有されていてもよい。また小胞体
形成成分としては本発明の反応性小胞体形成剤の他に小
胞体を形成し得る他の小胞体形成成分が含まれていても
よい。
【0021】本発明において小胞体とは、反応性小胞体
形成剤または反応性小胞体形成剤と他の小胞体形成成分
の親水基が界面の水相に向って配向した構造を有する粒
子を意味する。具体的なものとしては、二分子膜からな
る閉鎖小胞であるリポソーム、植物油およびリン脂質な
どの混合物が乳化された脂肪乳剤、またはミセルなどが
あげられる。
【0022】本発明の反応性小胞体形成剤は、一般式
〔1〕で表わされる反応性リン脂質誘導体を一種単独
で、または二種以上組合せて、あるいは小胞体を形成し
うる他の小胞体形成成分、例えば大豆レシチン、卵黄レ
シチン、その他のリン脂質類、コレステロールやイント
ラリピッド(大塚製薬(株)、商標)、大豆油、サフラ
ワー油などと混合して使用することにより、反応性リポ
ソームをはじめ反応性脂肪乳剤、反応性ミセルなどの反
応性小胞体を形成することができる。この場合、小胞体
は公知の方法により製造することができる。本発明の反
応性小胞体形成剤を用いて得られた反応性小胞体は、一
般式〔1〕で表わされる化合物中のオキシカルボニルイ
ミダゾール基を官能基として利用して、種々の機能性物
質を共有結合により導入することができる。
【0023】次にそれぞれの反応性小胞体について詳し
く説明する。代表的な反応性小胞体である反応性リポソ
ームは、反応性小胞体形成剤を膜形成成分(小胞体形成
成分)として含有するものである。反応性小胞体形成剤
の含有量は、反応性小胞体形成剤および他の膜形成成分
の合計量に対して0.01〜50モル%、好ましくは
0.5〜30モル%であるのが望ましい。0.01モル
%未満では期待される効果が小さく、また50モル%を
超えるとリポソームの安定性が低下するため、一般的に
は使用されない。一般式〔1〕で表わされる反応性リン
脂質誘導体は、一種類のものが含有されていても、二種
以上のものが組合されて含有されていてもよい。
【0024】反応性小胞体形成剤と混合して用いられる
他の膜形成成分としては、従来からリポソームの膜形成
成分として用いられているものが制限なく使用できる。
具体的には、ジホスファチジルグリセロール、カルジオ
リピン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジル
セリン、ホスファチジルエタノールアミン、大豆レシチ
ン、卵黄レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチ
ジルグリセロール等のリン脂質および脂肪酸部に不飽和
基を有する重合性リン脂質;スルホキシリボシルジグリ
セリド、ジガラクトシルジグリセリド、ラクトシルジグ
リセリド等の糖脂質類;コレステロール等の非極性脂
質;その他には、非イオン性界面活性剤、ホスファチジ
ルポリエチレングリコール、「Biochem. Biophys. Act
a., 1066, 29-36(1991)」に記載されているホスファチ
ジルエタノールアミンとポリエチレングリコールとの反
応物、およびこれらの混合物などがあげられる。
【0025】反応性リポソームは、反応性小胞体形成剤
およびレシチン、その他のリン脂質、コレステロール等
の他の膜形成成分を、有機溶媒等の適当な溶媒に溶解
し、エクスツルージョン法、ボルテックスミキサー法、
超音波法、界面活性剤除去法、逆層蒸発法、エタノール
注入法、プレベシクル法、フレンチプレス法、W/O/
Wエマルジョン法、アニーリング法、凍結融解法など、
種々の公知の方法によりリポソーム化することにより製
造することができる。また、これらの製造法を選択する
ことにより、多重層リポソーム、小さな一枚膜リポソー
ム、大きな一枚膜リポソームなど、種々の大きさや形態
を有する反応性リポソームを製造することができる。
【0026】このようにして得られた反応性リポソーム
は、リポソーム膜の内外表面にポリアルキレンオキシド
からなるスペーサーを介してオキシカルボニルイミダゾ
ール基が結合しているので、アミノ基、水酸基、チオー
ル基などの官能基、特に第1級アミノ基を有する機能性
物質を効率よくかつ簡単にリポソームの二分子膜上にポ
リアルキレンオキシドからなるスペーサーを介して、ウ
レタン結合、カーボネート結合またはチオカーボネート
結合により化学的に固定化することができる。
【0027】反応性リポソームに固定化できる機能性物
質としては、例えば色素、染料、放射線ラベル化合物、
蛍光化合物、学発光化合物、電極感応性化合物等の標
識物質;光応答性化合物、pH応答性化合物、熱応答性
化合物等の外部刺激応答性化合物;酵素、抗体、その他
のタンパク質、糖、脂質、糖タンパク質、糖脂質、ホル
モン等の生理活性物質;医薬などがあげられる。
【0028】反応性リポソーム上への機能性物質の固定
化反応は、種々の緩衝液等の水系溶媒、またはこれらの
水系溶媒とアセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフ
ラン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセタミド、ジメチルスルホキシド、ピロリドン
等の有機溶媒との混合溶媒中で、反応性リポソームと機
能性物質とを−10〜120℃、アミノ基との反応の場
合は好ましくは0〜60℃、さらに好ましくは0〜40
℃、水酸基またはチオール基との反応の場合は好ましく
は40〜120℃で、5分間〜1000時間、好ましく
は30分間〜72時間攪拌下に反応させる方法などによ
り、一段階で容易に行うことができる。これらの条件外
では、リポソームの安定性が悪くなるため好ましくな
い。
【0029】リポソーム表面上でのアミノ基を有する機
能性物質の固定化反応を模式的に示すと次のようにな
る。式中、R3、AO、nは前記と同じものを示す。
【化6】
【0030】また、反応性リポソームの内部には、一般
のリポソームと同様に種々の物質を公知の方法により封
入することが可能である。被封入物質としては、例えば
色素、染料、放射線ラベル化合物、蛍光化合物、化学発
光化合物等の標識物質;光応答性化合物、pH応答性化
合物、熱応答性化合物、電極感応性化合物等の外部刺激
応答性化合物;酵素、抗体、その他のタンパク質、糖、
脂質、糖タンパク質、糖脂質、ホルモン等の生理活性物
質;医薬;ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ル、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸等の水溶性
高分子類などがあげられる。固定化反応または封入操作
の終了後は、必要によりゲル濾過、限外濾過、透析、遠
心分離、静置沈降分離等の方法により精製を行うことが
できる。
【0031】機能性物質を固定化したリポソームは、ポ
リアルキレンオキシド鎖の先端に機能性物質が固定化さ
ているので、ポリアルキレンオキシド鎖に邪魔される
ことなく機能性物質の作用が十分に発揮される。また、
ポリアルキレンオキシド鎖が導入されているので、従来
からのポリアルキレンオキシド鎖導入の効果、例えば長
期間にわたる血液中濃度の維持、非免疫原性、リポソー
ム内部に封入した物質の漏れ防止などの効果も期待でき
る。このため反応性リポソームは、医薬の運搬体、検査
薬、診断薬、センサー、固定化触媒、バイオリアクタ
ー、バイオエレクトロニクス素子、マイクロカプセル代
替品など、種々の機能性リポソームとして利用できる。
【0032】なお、反応性リポソームを製造する際、他
の膜形成成分として重合性リン脂質を配合することによ
り、重合性の反応性リポソームとすることができる。重
合性のリン脂質としては、公知の重合性リン脂質を使用
することができるが、例えば1,2−ジ(2,4−オク
タデカジエノイル)−3−ホスファチジルコリンの他、
野島庄七、砂本順三、井上圭三編集、1988年南江堂
発行の「リポソーム」p313〜315に記載のものな
どがあげられる。これらの中では、1,2−ジ(2,4
−オクタデカジエノイル)−3−ホスファチジルコリン
が好ましい。
【0033】重合性リポソームは、リポソーム調製後
に、光重合開始剤の存在下または非存在下でUV、γ
線、電子線などの光照射を行うことにより、あるいはレ
ドックス開始剤系により、あるいはアゾ系開始剤または
有機過酸化物などの存在下で加熱を行うことにより、容
易に重合を行うことができる。このようにして得られた
重合後のリポソームは、優れた安定性を有しているの
で、水溶液に分散させたままで、あるいは凍結乾燥等に
より粉末状に調製し、安定して使用することができる。
【0034】他の反応性小胞体としての反応性脂肪乳剤
は、本発明の反応性小胞体形成剤と、大豆油、サフラワ
ー油等の植物油と、大豆レシチン、卵黄レシチン等のリ
ン脂質と、必要により添加される他の添加剤、例えばイ
ントラリピッド(大塚製薬(株)製、商標)、乳化補助
剤、安定化剤、等張化剤、脂溶性医薬、脂溶性生理活性
物質などを含む油脂混合物が乳化されたものである。油
脂混合物中に占める反応性小胞体形成剤の含有量は、
0.01〜50モル%、好ましくは0.5〜30モル%
であるのが望ましい。
【0035】反応性脂肪乳剤は、公知の方法により製造
することができる。例えば、反応性小胞体形成剤、植物
油、リン脂質および必要により配合する添加剤を混合、
加熱し、水を加えてホモミキサー等で粗乳化し、次にマ
ントン−ガウリン型の加圧噴射式ホモジナイザー等で均
質化する方法などにより製造することができる。
【0036】このようにして得られた反応性脂肪乳剤に
は、反応性リポソームの場合と同様にして、同様の機能
性物質を容易に固定化することができる。このため反応
性脂肪乳剤は、医薬の運般体、検査薬、診断薬、センサ
ー、固定化触媒などとして利用できる。
【0037】上記以外の反応性小胞体である反応性ミセ
ルは、本発明の反応性小胞体形成剤だけからなるもので
あっても、レシチン、その他のリン脂質、コレステロー
ル等の他の成分が含有されているものであってもよい。
反応性ミセルも反応性脂肪乳剤と同様にして機能性物質
を固定化することができ、同様の用途に利用できる。
【0038】
【発明の効果】本発明の反応性小胞体形成剤は、一般式
〔1〕で表わされる構造を有しているので、小胞体にポ
リアルキレンオキシド鎖を導入できるとともに、このポ
リアルキレンオキシド鎖の先端に、簡単にかつ効率よく
種々の機能性物質を共有結合により固定化することがで
き、しかも機能性物質の導入量を多くすることができ
る。
【0039】本発明の反応性小胞体は、上記小胞体形成
剤を小胞体形成成分として含有しているので、ポリアル
キレンオキシド鎖が導入されるとともに、小胞体にポリ
アルキレンオキシドからなるスペーサーを介して、簡単
にかつ効率よく種々の機能性物質を共有結合により固定
化することができ、しかも機能性物質の導入量を多くす
ることができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例により、さらに詳細な説明を行
うが、本発明はこれらに限定されるものではない。 合成例1 α−ヒドロ−ω−カルボキシル−ポリオキシエチレン
Mw:約3000、重合度:約65)1.0g(0.
3mmol)、およびジシクロヘキシルカルボジイミド
68mg(0.3mmol)を酢酸エチル10mlに溶
解させ、5℃で1時間攪拌した。次にジパルミトイルホ
スファチジルエタノールアミン217mg(0.3mm
ol)を溶解させた酢酸エチル溶液10mlを加え、さ
らに6時間攪拌し、0℃で一晩静置した後、析出物をろ
過除去した。次に、ろ液にカルボニルジイミダゾール4
9mg(0.3mmol)を加え、室温で1時間攪拌
し、得られた反応混合物をヘキサン100ml中に注ぎ
込み、沈澱物をろ過回収し、目的の下記反応性リン脂質
誘導体を白色粉末状で得た(収率88%)。反応の進行
は、IRスペクトル(KBr法)により、中間体はホス
ファチジルエタノールアミン中のアミノ基(N+ 2
縮、3000cm-1)の消失およびアミド結合(C=O
伸縮、1647cm-1)の生成により、また目的物はポ
リエチレングリコール誘導体の末端の水酸基(OH伸
縮、3428cm-1)の消失およびオキシカルボニルイ
ミダゾール結合(カルボニル結合)の生成(1760c
-1;C=O伸縮)により確認した。
【化7】
【0041】実施例1−1 卵黄ホスファチジルコリン20mg(26μmol)、
およびコレステロール3.9mg(10μmol)に、
合成例1で得られた反応性リン脂質誘導体を前記二者に
対して10wt%(2.4mg、0.7μmol)茄子
型フラスコに入れ、2mlのベンゼンで溶解させた後、
凍結乾燥を行った。これに生理的食塩水1mlを加え、
バス型超音波照射およびボルテックスミキサーにより多
重層リポソームを得た。また、さらにエクスツルーダー
により3.0→1.0→0.2μmのポリカーボネート
製メンブランを順次通過させ、大きな単層の反応性リポ
ソームを得た。得られた反応性リポソームの粒径をレー
ザー散乱粒度分布計(NICOMP社製、NICOMP
370HPL、商標)を用いて測定したところ、平均粒
径は255nm(CV値18%)であった。
【0042】実施例1−2 実施例1−1と同様にして、ただし反応性リン脂質誘導
体として下記の化合物を5wt%(1.0μmol)用
いて、反応性リポソームを得た(平均粒径278nm、
CV値23%)。
【化8】
【0043】実施例1−3 実施例1−1と同様にして、ただし反応性リン脂質誘導
体として下記の化合物を30wt%(3.6μmol)
用いて、反応性リポソームを得た(平均粒径248n
m、CV値25%)。
【化9】
【0044】実施例1−4 実施例1−1と同様にして、ただし反応性リン脂質誘導
体として下記の化合物を1wt%(0.1μmol)用
いて、反応性リポソームを得た(平均粒径250nm、
CV値21%)。
【化10】
【0045】実施例1−5 実施例1−1と同様にして、ただし反応性リン脂質誘導
体として下記の化合物を5wt%(0.6μmol)用
いて、反応性リポソームを得た(平均粒径250nm、
CV値21%)。
【化11】
【0046】実施例1−6 実施例1−1と同様にして、ただし反応性リン脂質誘導
体として下記の化合物を5wt%(0.1μmol)用
いて、反応性リポソームを得た(平均粒径291nm、
CV値24%)。
【化12】
【0047】実施例1−7 実施例1−1と同様にして、ただし反応性リン脂質誘導
体として下記の化合物を20wt%(4.0μmol)
用いて、反応性リポソームを得た(平均粒径221n
m、CV値18%)。
【化13】
【0048】実施例1−8 実施例1−1と同様にして、ただし卵黄ホスファチジル
コリンの代わりに1,2−ジ(2,4−オクタデカジエ
ノイル)−3−ホスファチジルコリン(DODP)を用
いて平均粒径254nm(CV値23%)の重合性を有
する大きな単層の反応性リポソームを得た。このリポソ
ームに0.75Mradのγ線照射を行い、DODPを
重合させた。得られた重合リポソームは、Sephad
ex G−50を用いてゲル濾過後、凍結乾燥により粉
末状サンプルとした。このリポソーム粉末は、生理的食
塩水で膨潤させることにより再生することができた。
【0049】実施例2 実施例1−1で得られた反応性リポソーム溶液(固形分
量2.5wt%)0.5ml、および1mg/mlの西
洋山葵ペルオキシダーゼ(以下、HRPと略す)/0.
1Mリン酸緩衝液(pH7.5)を、4℃で24時間攪
拌してHRPを反応性リポソームに固定化した。これを
Sephadex G−50を用いてゲル濾過を行い、
含リポソーム分画を分取した。これにHRPの基質であ
る1,2−フェニレンジアミン溶液(10mmol/
l)0.1mlを加え、30℃で10分間インキュベー
トし、さらに0.1N硫酸10μlを加えたところ、褐
色の呈色が見られた。この結果から、実施例1−1の反
応性リポソームは、HRPと攪拌するだけでHRPを固
定化できることが確認できた。
【0050】比較例1 卵黄ホスファチジルコリン20mg(26μmol)、
およびコレステロール3.9mg(10μmol)のみ
により、実施例1−1と同様の操作により、固形分量
2.5wt%の大きな単層のリポソームを得た。このリ
ポソーム溶液に実施例2と同様にしてHRPを作用さ
せ、ゲル濾過により精製後、1,2−フェニレンジアミ
ン溶液(10mmol/l)0.1mlを加え、30℃
で10分間インキュベートし、さらに0.1N硫酸10
μlを加えたが、発色は見られなかった。この結果か
ら、反応性リン脂質誘導体を膜形成成分として含まない
比較例1のリポソームでは、HRPを固定化することが
できなかったことがわかる。
フロントページの続き (56)参考文献 欧州特許557199(EP,B1) G.Blume et al,Bio chimica et Biophys ica Acta,1993年 7月 7 日,1149,180−184 G.Blume et al,Bio chimica et Biophys ica Acta,1993年 5月27日, 157−168 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 47/18 A61K 9/127 C07F 9/10 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式〔1〕で表わされる反応性リ
    ン脂質誘導体からなることを特徴とする反応性小胞体形
    成剤。 【化1】 〔式中、R1C(=0)およびR2C(=0)は炭素数3
    〜30の脂肪酸のアシル残基を表わし、同一でも異なっ
    ていてもよい。R3は水素原子またはメチル基、 AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜10
    00の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキ
    レン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状
    に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。
    Yは次の有機基を表わす。 【化2】 (ここで、pは2または3、qは0〜3の整数を表わ
    す。)Mは水素原子またはアルカリ金属原子を表わ
    す。〕
  2. 【請求項2】 請求項1記載の反応性小胞体形成剤の一
    種以上を小胞体形成成分として含むことを特徴とする反
    応性小胞体。
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Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
G.Blume et al,Biochimica et Biophysica Acta,1993年 5月27日,157−168
G.Blume et al,Biochimica et Biophysica Acta,1993年 7月 7日,1149,180−184

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