JP3294440B2 - 複合蒸着フィルム及びその製造方法 - Google Patents
複合蒸着フィルム及びその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合蒸着フィルムに関
し、さらに詳しくは、酸素、水蒸気、ヘリウムなどに対
するガスバリヤー性に優れた複合蒸着フィルム、及びそ
の製造方法に関する。本発明の複合蒸着フィルムは、ガ
スバリヤー性に優れているとともに、耐屈曲疲労性にも
優れており、各種包装材料として、食品、医薬品、日常
雑貨などの包装分野に使用することができる。
し、さらに詳しくは、酸素、水蒸気、ヘリウムなどに対
するガスバリヤー性に優れた複合蒸着フィルム、及びそ
の製造方法に関する。本発明の複合蒸着フィルムは、ガ
スバリヤー性に優れているとともに、耐屈曲疲労性にも
優れており、各種包装材料として、食品、医薬品、日常
雑貨などの包装分野に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】包装材料には、一般に、内容物の品質劣
化を防ぐ機能が要求されるが、特に内容物が変質、腐敗
しやすい食品包装の分野では、酸素ガスバリヤー性や水
蒸気バリヤー性などのガスバリヤー性に優れていること
が求められている。従来、包装材料において、ガスバリ
ヤー性を付与するために、例えば、ポリビニルアルコー
ル(PVA)フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体
の部分けん化物(EVOH)フィルム、ポリ塩化ビニリ
デン(PVDC)フィルム、アルミニウム蒸着フィル
ム、ケイ素酸化物蒸着フィルムなどが、それぞれ単独
で、あるいは各種フィルムと複合して使用されている。
これらのガスバリヤー性フィルムには、それぞれ長所と
ともに短所もあり、各々改良が進められている。
化を防ぐ機能が要求されるが、特に内容物が変質、腐敗
しやすい食品包装の分野では、酸素ガスバリヤー性や水
蒸気バリヤー性などのガスバリヤー性に優れていること
が求められている。従来、包装材料において、ガスバリ
ヤー性を付与するために、例えば、ポリビニルアルコー
ル(PVA)フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体
の部分けん化物(EVOH)フィルム、ポリ塩化ビニリ
デン(PVDC)フィルム、アルミニウム蒸着フィル
ム、ケイ素酸化物蒸着フィルムなどが、それぞれ単独
で、あるいは各種フィルムと複合して使用されている。
これらのガスバリヤー性フィルムには、それぞれ長所と
ともに短所もあり、各々改良が進められている。
【0003】ところで、食品包装において、内容物の変
質、腐敗などの品質低下を招く要因は、酸素の透過、水
蒸気の吸湿、各種の光線や熱による内容物の分解であ
る。前記各種ガスバリヤー性フィルムの中でも、アルミ
ニウム蒸着フィルムなどの蒸着フィルムは、(1)酸素
ガスバリヤー性及び水蒸気バリヤー性が共に良好である
こと、(2)可視光線及び紫外線の遮断性に優れている
こと、(3)光沢性に優れていること、(4)アルミニ
ウム箔と比べてピンホールがあきにくいこと、(5)蒸
着膜に印刷が可能であること、(6)押出加工やドライ
ラミネーションなどにより、蒸着膜上に各種フィルムを
ラミネートして複合蒸着フィルムにすることができるこ
となど多くの特徴を有している。
質、腐敗などの品質低下を招く要因は、酸素の透過、水
蒸気の吸湿、各種の光線や熱による内容物の分解であ
る。前記各種ガスバリヤー性フィルムの中でも、アルミ
ニウム蒸着フィルムなどの蒸着フィルムは、(1)酸素
ガスバリヤー性及び水蒸気バリヤー性が共に良好である
こと、(2)可視光線及び紫外線の遮断性に優れている
こと、(3)光沢性に優れていること、(4)アルミニ
ウム箔と比べてピンホールがあきにくいこと、(5)蒸
着膜に印刷が可能であること、(6)押出加工やドライ
ラミネーションなどにより、蒸着膜上に各種フィルムを
ラミネートして複合蒸着フィルムにすることができるこ
となど多くの特徴を有している。
【0004】包装材料で使用される蒸着フィルムは、一
般に、アルミニウムなどの金属、金属酸化物、無機物、
無機酸化物などの無機材料を蒸着源とし、ポリエチレン
テレフタレート(PET)フィルムや延伸ポリプロピレ
ン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONY)フィル
ム等の高分子フィルム基材上に、各種蒸着法により、こ
れら無機材料の蒸着膜を形成したものである。蒸着法に
は、化学的蒸着法と物理的蒸着法があるが、包装分野に
おいては、物理的蒸着法である真空蒸着法が主流であ
る。真空蒸着法によれば、高機能の蒸着フィルムを大量
生産することが可能である。また、蒸着膜上に、ヒート
シール可能なポリエチレン(PE)フィルムやポリプロ
ピレン(PP)フィルムなどをラミネートした複合蒸着
フィルムが、包装材料として汎用されている。
般に、アルミニウムなどの金属、金属酸化物、無機物、
無機酸化物などの無機材料を蒸着源とし、ポリエチレン
テレフタレート(PET)フィルムや延伸ポリプロピレ
ン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONY)フィル
ム等の高分子フィルム基材上に、各種蒸着法により、こ
れら無機材料の蒸着膜を形成したものである。蒸着法に
は、化学的蒸着法と物理的蒸着法があるが、包装分野に
おいては、物理的蒸着法である真空蒸着法が主流であ
る。真空蒸着法によれば、高機能の蒸着フィルムを大量
生産することが可能である。また、蒸着膜上に、ヒート
シール可能なポリエチレン(PE)フィルムやポリプロ
ピレン(PP)フィルムなどをラミネートした複合蒸着
フィルムが、包装材料として汎用されている。
【0005】しかし、無機材料蒸着フィルムは、一般
に、耐屈曲疲労性に劣るため、印刷、製袋などの二次加
工を施したり、屈曲を受ける用途に使用した場合など
に、蒸着膜の破壊が生じ易く、本来のガスバリヤー性が
損なわれることがある。また、蒸着フィルムは、蒸着膜
上に、他の熱可塑性樹脂フィルムを溶融押出やドライラ
ミネーションなどによりラミネートすると、蒸着膜にク
ラック(亀裂)が生じ易く、ガスバリヤー性が大きく低
下する場合がある。さらに、蒸着フィルムのガスバリヤ
ー性は、用途によっては、いまだ不充分であるため、ガ
スバリヤー性の一層の向上が達成できるならば、用途の
拡大が可能である。
に、耐屈曲疲労性に劣るため、印刷、製袋などの二次加
工を施したり、屈曲を受ける用途に使用した場合など
に、蒸着膜の破壊が生じ易く、本来のガスバリヤー性が
損なわれることがある。また、蒸着フィルムは、蒸着膜
上に、他の熱可塑性樹脂フィルムを溶融押出やドライラ
ミネーションなどによりラミネートすると、蒸着膜にク
ラック(亀裂)が生じ易く、ガスバリヤー性が大きく低
下する場合がある。さらに、蒸着フィルムのガスバリヤ
ー性は、用途によっては、いまだ不充分であるため、ガ
スバリヤー性の一層の向上が達成できるならば、用途の
拡大が可能である。
【0006】一方、PVDCフィルムは、酸素ガスバリ
ヤー性、水蒸気バリヤー性、耐薬品性、耐熱性などに優
れていることから、ハム・ソーセージ包装用ケーシング
や家庭用ラップなどの食品包装材料として広く使用され
ている。また、PVDCは、塗布製膜によりバリヤー性
薄膜を形成できることから、PET、OPPなどのフィ
ルムへのバリヤー性付与コーティング剤としても使用さ
れている。しかしながら、従来、蒸着フィルムとPVD
C塗膜との複合化については、提案されていなかった。
ヤー性、水蒸気バリヤー性、耐薬品性、耐熱性などに優
れていることから、ハム・ソーセージ包装用ケーシング
や家庭用ラップなどの食品包装材料として広く使用され
ている。また、PVDCは、塗布製膜によりバリヤー性
薄膜を形成できることから、PET、OPPなどのフィ
ルムへのバリヤー性付与コーティング剤としても使用さ
れている。しかしながら、従来、蒸着フィルムとPVD
C塗膜との複合化については、提案されていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高分
子フィルム基材上に無機材料の蒸着膜を形成した蒸着フ
ィルムからなる層を有し、ガスバリヤー性及び耐屈曲疲
労性が優れた複合蒸着フィルム、及びその製造方法を提
供することにある。本発明者は、前記従来技術の問題点
を克服するために鋭意研究した結果、高分子フィルム基
材の少なくとも片面に、無機材料の蒸着膜を形成し、さ
らに、該蒸着膜の上に、PVDCの溶液または分散液を
塗布し、乾燥してPVDCの塗膜を形成させると、驚く
べきことに、蒸着フィルム及びPVDC塗膜の各層が有
する酸素ガスバリヤー性、水蒸気バリヤー性、及びヘリ
ウムガスバリヤー性から予測される以上に、複合化によ
って、これらの特性が相乗的に改善されることを見いだ
した。この顕著な効果は、蒸着膜とPVDC塗膜との直
接的な複合化により得られるものであって、PETなど
の高分子フィルム基材側の面上にPVDC塗膜を形成さ
せた場合には、得ることができない。
子フィルム基材上に無機材料の蒸着膜を形成した蒸着フ
ィルムからなる層を有し、ガスバリヤー性及び耐屈曲疲
労性が優れた複合蒸着フィルム、及びその製造方法を提
供することにある。本発明者は、前記従来技術の問題点
を克服するために鋭意研究した結果、高分子フィルム基
材の少なくとも片面に、無機材料の蒸着膜を形成し、さ
らに、該蒸着膜の上に、PVDCの溶液または分散液を
塗布し、乾燥してPVDCの塗膜を形成させると、驚く
べきことに、蒸着フィルム及びPVDC塗膜の各層が有
する酸素ガスバリヤー性、水蒸気バリヤー性、及びヘリ
ウムガスバリヤー性から予測される以上に、複合化によ
って、これらの特性が相乗的に改善されることを見いだ
した。この顕著な効果は、蒸着膜とPVDC塗膜との直
接的な複合化により得られるものであって、PETなど
の高分子フィルム基材側の面上にPVDC塗膜を形成さ
せた場合には、得ることができない。
【0008】しかも、本発明の複合蒸着フィルムは、P
VDC塗膜が蒸着膜にクラックが生じるのを防ぐため、
耐屈曲疲労性に優れており、無機材料蒸着膜の破壊やガ
スバリヤー性の低下が抑制されている。しかも、本発明
の複合蒸着フィルムは、ヘリウムガスバリヤー性が優れ
ているため、バルーン材料などの新たな用途に適用が可
能である。本発明の複合蒸着フィルムには、ヒートシー
ル性の付与等の目的で、付加的な層を設けることができ
る。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至っ
たものである。
VDC塗膜が蒸着膜にクラックが生じるのを防ぐため、
耐屈曲疲労性に優れており、無機材料蒸着膜の破壊やガ
スバリヤー性の低下が抑制されている。しかも、本発明
の複合蒸着フィルムは、ヘリウムガスバリヤー性が優れ
ているため、バルーン材料などの新たな用途に適用が可
能である。本発明の複合蒸着フィルムには、ヒートシー
ル性の付与等の目的で、付加的な層を設けることができ
る。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至っ
たものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、高分子フィルム基材(A)の少なくとも片面に、無
機材料の蒸着膜(B)が形成され、さらに、該蒸着膜
(B)の上に隣接してポリ塩化ビニリデンの塗膜(C)
が積層されている複合蒸着フィルムであって、該複合蒸
着フィルムは、ポリ塩化ビニリデンの塗膜(C)が形成
された後、35〜60℃のオーブン中で12〜100時
間の熱処理がなされたものであり、かつ、温度30℃と
相対湿度80%で測定した複合蒸着フィルムの酸素透過
度〔ml(STP)/m2・day・atm{Pa}〕
をZとし、蒸着フィルム〔高分子フィルム基材(A)/
蒸着膜(B)〕の酸素透過度をX、ポリ塩化ビニリデン
の塗膜(C)層の酸素透過度をYとしたとき、以下の関
係式 (1/Z)>(1/X)+(1/Y) が成立し、温度40℃と相対湿度90%で測定した水蒸
気透過度及び温度30℃と相対湿度0%で測定したヘリ
ウム透過度に関しても同様の関係式が成立するものであ
ることを特徴とする複合蒸着フィルムが提供される。ま
た、本発明によれば、高分子フィルム基材(A)の少な
くとも片面に、無機材料の蒸着膜(B)を形成し、さら
に、該蒸着膜(B)の上に、ポリ塩化ビニリデンの溶液
または分散液を塗布し、乾燥してポリ塩化ビニリデンの
塗膜(C)を形成させ、次いで、該ポリ塩化ビニリデン
の塗膜(C)を35〜60℃のオーブン中で12〜10
0時間の熱処理を行うことを特徴とする、温度30℃と
相対湿度80%で測定した複合蒸着フィルムの酸素透過
度〔ml(STP)/m2・day・atm{Pa}〕
をZとし、蒸着フィルム〔高分子フィルム基材(A)/
蒸着膜(B)〕の酸素透過度をX、ポリ塩化ビニリデン
の塗膜(C)層の酸素透過度をYとしたとき、以下の関
係式 (1/Z)>(1/X)+(1/Y) が成立し、温度40℃と相対湿度90%で測定した水蒸
気透過度及び温度30℃と相対湿度0%で測定したヘリ
ウム透過度に関しても同様の関係式が成立する複合蒸着
フィルムの製造方法が提供される。
ば、高分子フィルム基材(A)の少なくとも片面に、無
機材料の蒸着膜(B)が形成され、さらに、該蒸着膜
(B)の上に隣接してポリ塩化ビニリデンの塗膜(C)
が積層されている複合蒸着フィルムであって、該複合蒸
着フィルムは、ポリ塩化ビニリデンの塗膜(C)が形成
された後、35〜60℃のオーブン中で12〜100時
間の熱処理がなされたものであり、かつ、温度30℃と
相対湿度80%で測定した複合蒸着フィルムの酸素透過
度〔ml(STP)/m2・day・atm{Pa}〕
をZとし、蒸着フィルム〔高分子フィルム基材(A)/
蒸着膜(B)〕の酸素透過度をX、ポリ塩化ビニリデン
の塗膜(C)層の酸素透過度をYとしたとき、以下の関
係式 (1/Z)>(1/X)+(1/Y) が成立し、温度40℃と相対湿度90%で測定した水蒸
気透過度及び温度30℃と相対湿度0%で測定したヘリ
ウム透過度に関しても同様の関係式が成立するものであ
ることを特徴とする複合蒸着フィルムが提供される。ま
た、本発明によれば、高分子フィルム基材(A)の少な
くとも片面に、無機材料の蒸着膜(B)を形成し、さら
に、該蒸着膜(B)の上に、ポリ塩化ビニリデンの溶液
または分散液を塗布し、乾燥してポリ塩化ビニリデンの
塗膜(C)を形成させ、次いで、該ポリ塩化ビニリデン
の塗膜(C)を35〜60℃のオーブン中で12〜10
0時間の熱処理を行うことを特徴とする、温度30℃と
相対湿度80%で測定した複合蒸着フィルムの酸素透過
度〔ml(STP)/m2・day・atm{Pa}〕
をZとし、蒸着フィルム〔高分子フィルム基材(A)/
蒸着膜(B)〕の酸素透過度をX、ポリ塩化ビニリデン
の塗膜(C)層の酸素透過度をYとしたとき、以下の関
係式 (1/Z)>(1/X)+(1/Y) が成立し、温度40℃と相対湿度90%で測定した水蒸
気透過度及び温度30℃と相対湿度0%で測定したヘリ
ウム透過度に関しても同様の関係式が成立する複合蒸着
フィルムの製造方法が提供される。
【0010】以下、本発明について詳述する。蒸着フィルム 高分子フィルム基材(A)としては、例えば、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6・66共
重合体、ナイロン6・12共重合体などのポリアミド、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン
ナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ4
−メチルペンテン−1、ポリフェニレンサルファイド、
ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンなどの高分子材
料から形成されたフィルムを挙げることができる。これ
らのフィルムは、未延伸フィルム、あるいは延伸フィル
ムであり、シート状物をも包含する。
6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6・66共
重合体、ナイロン6・12共重合体などのポリアミド、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン
ナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ4
−メチルペンテン−1、ポリフェニレンサルファイド、
ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンなどの高分子材
料から形成されたフィルムを挙げることができる。これ
らのフィルムは、未延伸フィルム、あるいは延伸フィル
ムであり、シート状物をも包含する。
【0011】高分子フィルム基材は、表面平滑性、安定
性付与などのために各種添加剤を含んでいてもよいが、
真空蒸着時にそれらが表面にブリードすると、基材と蒸
着膜との密着性が低下するので、できるだけ添加剤の含
有量の少ない方が好ましい。また、高分子フィルム基材
は、PVDCの溶液や乳濁液を塗布製膜する際の乾燥条
件及び必要により、その後の熱処理条件に耐える程度の
耐熱性を有するものが好ましい。加熱乾燥時や熱処理時
に軟化したり、寸法安定性が損なわれるような耐熱性に
乏しい高分子フィルムは、基材として好ましくない。こ
のような高分子フィルム基材としては、ビカット軟化点
温度が100〜380℃のものが好ましい。なお、ビカ
ット軟化点温度は、JIS K7206により測定する
ことができる。前記高分子フィルムの中でも、特に、ポ
リプロピレン、ポリアミド、PET、PENなどのフィ
ルムが好ましい。
性付与などのために各種添加剤を含んでいてもよいが、
真空蒸着時にそれらが表面にブリードすると、基材と蒸
着膜との密着性が低下するので、できるだけ添加剤の含
有量の少ない方が好ましい。また、高分子フィルム基材
は、PVDCの溶液や乳濁液を塗布製膜する際の乾燥条
件及び必要により、その後の熱処理条件に耐える程度の
耐熱性を有するものが好ましい。加熱乾燥時や熱処理時
に軟化したり、寸法安定性が損なわれるような耐熱性に
乏しい高分子フィルムは、基材として好ましくない。こ
のような高分子フィルム基材としては、ビカット軟化点
温度が100〜380℃のものが好ましい。なお、ビカ
ット軟化点温度は、JIS K7206により測定する
ことができる。前記高分子フィルムの中でも、特に、ポ
リプロピレン、ポリアミド、PET、PENなどのフィ
ルムが好ましい。
【0012】高分子フィルム基材の厚みは、特に限定さ
れないが、柔軟性や経済性などの観点から、通常、5〜
1000μm、好ましくは10〜100μmである。蒸
着源として用いられる無機材料としては、蒸着フィルム
の製造に通常用いられている金属、金属酸化物、無機
物、及び無機酸化物を使用することができる。具体的に
は、アルミニウム(Al)、アルミニウム酸化物(Al
2O3)、ケイ素酸化物(SiOx,x=1〜2)、酸窒
化ケイ素(SiOxNy,x=0.6〜0.8、y=0.
7〜0.9)などが例示される。
れないが、柔軟性や経済性などの観点から、通常、5〜
1000μm、好ましくは10〜100μmである。蒸
着源として用いられる無機材料としては、蒸着フィルム
の製造に通常用いられている金属、金属酸化物、無機
物、及び無機酸化物を使用することができる。具体的に
は、アルミニウム(Al)、アルミニウム酸化物(Al
2O3)、ケイ素酸化物(SiOx,x=1〜2)、酸窒
化ケイ素(SiOxNy,x=0.6〜0.8、y=0.
7〜0.9)などが例示される。
【0013】無機材料の蒸着膜(B)の厚みは、所望の
透明性または不透明性、色調、光沢、可撓性などにより
任意に定めることができるが、通常、10〜500n
m、好ましくは10〜300nm、より好ましくは10
〜150nmである。蒸着膜の厚みが薄すぎると、ガス
バリヤー性が低下し、また、高分子フィルム基材から剥
れ易くなり、厚すぎると、取り扱い性が悪くなる。蒸着
法には、化学的蒸着法と物理的蒸着法があるが、通常、
物理的蒸着法である真空蒸着法を用いて蒸着を行うこと
が好ましい。真空蒸着法では一般に、基材となる高分子
フィルムを真空蒸着装置内に設置し、蒸着装置内を10
-4Pa程度の真空にし、アルミニウムなどの蒸着源を加
熱蒸発させて、高分子フィルム上に連続的に同一蒸着膜
を形成させる方法が好んで用いられる。。
透明性または不透明性、色調、光沢、可撓性などにより
任意に定めることができるが、通常、10〜500n
m、好ましくは10〜300nm、より好ましくは10
〜150nmである。蒸着膜の厚みが薄すぎると、ガス
バリヤー性が低下し、また、高分子フィルム基材から剥
れ易くなり、厚すぎると、取り扱い性が悪くなる。蒸着
法には、化学的蒸着法と物理的蒸着法があるが、通常、
物理的蒸着法である真空蒸着法を用いて蒸着を行うこと
が好ましい。真空蒸着法では一般に、基材となる高分子
フィルムを真空蒸着装置内に設置し、蒸着装置内を10
-4Pa程度の真空にし、アルミニウムなどの蒸着源を加
熱蒸発させて、高分子フィルム上に連続的に同一蒸着膜
を形成させる方法が好んで用いられる。。
【0014】PVDC塗膜 本発明では、高分子フィルム基材(A)の少なくとも片
面に、無機材料の蒸着膜(B)を形成し、さらに、該蒸
着膜(B)の上に、PVDCの塗膜(C)を形成させ
る。本発明で使用するPVDCとは、塩化ビニリデン6
0〜98重量%と、これと共重合可能な他の単量体の少
なくとも一種2〜40重量%との共重合体をいう。共重
合可能な単量体としては、例えば、塩化ビニル(V
C)、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸アル
キルエステル(アルキル基の炭素数1〜18)、メタク
リル酸、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の
炭素数1〜18)、無水マレイン酸、イタコン酸、イタ
コン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、エチレン、プロ
ピレン、イソブチレン、ブタジエンなどを挙げることが
できる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて使用することができる。
面に、無機材料の蒸着膜(B)を形成し、さらに、該蒸
着膜(B)の上に、PVDCの塗膜(C)を形成させ
る。本発明で使用するPVDCとは、塩化ビニリデン6
0〜98重量%と、これと共重合可能な他の単量体の少
なくとも一種2〜40重量%との共重合体をいう。共重
合可能な単量体としては、例えば、塩化ビニル(V
C)、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸アル
キルエステル(アルキル基の炭素数1〜18)、メタク
リル酸、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の
炭素数1〜18)、無水マレイン酸、イタコン酸、イタ
コン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、エチレン、プロ
ピレン、イソブチレン、ブタジエンなどを挙げることが
できる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】PVDCの中でも、塩化ビニリデン(V
D)含量が65〜98重量%の塩化ビニリデン−塩化ビ
ニル共重合体(VD/VC)、VD含量が85〜98重
量%の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体(V
D/MA)、VD含量が85〜98重量%の塩化ビニリ
デン−メタクリル酸メチル共重合体(VD/MMA)な
どが好ましい。PVDCは、有機溶媒に溶解させた溶
液、あるいは乳濁液などの分散液として使用するが、ガ
スバリヤー性の点からは、有機溶媒に溶解させた溶液を
用いるものの方が好都合である。有機溶媒としては、テ
トラヒドロフラン(THF)とシクロへキサノンとの混
合溶媒が好ましい。また、分散液の場合には、水系媒体
が好ましい。しかし、塗布製膜法が適用される限り、こ
れらの溶媒または分散媒に限定されるものではない。
D)含量が65〜98重量%の塩化ビニリデン−塩化ビ
ニル共重合体(VD/VC)、VD含量が85〜98重
量%の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体(V
D/MA)、VD含量が85〜98重量%の塩化ビニリ
デン−メタクリル酸メチル共重合体(VD/MMA)な
どが好ましい。PVDCは、有機溶媒に溶解させた溶
液、あるいは乳濁液などの分散液として使用するが、ガ
スバリヤー性の点からは、有機溶媒に溶解させた溶液を
用いるものの方が好都合である。有機溶媒としては、テ
トラヒドロフラン(THF)とシクロへキサノンとの混
合溶媒が好ましい。また、分散液の場合には、水系媒体
が好ましい。しかし、塗布製膜法が適用される限り、こ
れらの溶媒または分散媒に限定されるものではない。
【0016】本発明の複合蒸着フィルムを製造するに
は、先ず、無機材料を蒸着源として、高分子フィルム基
材の少なくとも片面に、無機材料の蒸着膜を形成する。
次に、得られた蒸着フィルムの蒸着膜の上に、PVDC
の溶液または分散液を塗布し、乾燥させてPVDCの塗
膜を形成させる。蒸着フィルムの蒸着膜上にPVDC塗
膜を形成させるには、例えば、エアーナイフコーター、
キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビ
アロールコーター、リバースロールコーター、ディップ
コーター、ダイコーターなどの装置、あるいはそれらを
組み合わせた装置を用いて、蒸着フィルムの蒸着膜上に
PVDCの溶液または分散液を所望の厚さに塗布し、次
いで、アーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、
タワードライヤー、ドラムドライヤーなどの装置、ある
いは、それらを組み合わせた装置を用いて、熱風の吹付
けや赤外線照射などにより溶媒や水分を蒸発させて乾燥
させる。乾燥は、通常、乾熱雰囲気下で50〜200
℃、好ましくは80〜150℃、より好ましくは100
〜130℃の範囲の温度、および0.5〜90分間、好
ましくは0.5〜60分間、より好ましくは0.5〜3
0分間の範囲の時間の中から、PVDC塗膜がべとつか
なくなるような条件を適宜選択すればよい。
は、先ず、無機材料を蒸着源として、高分子フィルム基
材の少なくとも片面に、無機材料の蒸着膜を形成する。
次に、得られた蒸着フィルムの蒸着膜の上に、PVDC
の溶液または分散液を塗布し、乾燥させてPVDCの塗
膜を形成させる。蒸着フィルムの蒸着膜上にPVDC塗
膜を形成させるには、例えば、エアーナイフコーター、
キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビ
アロールコーター、リバースロールコーター、ディップ
コーター、ダイコーターなどの装置、あるいはそれらを
組み合わせた装置を用いて、蒸着フィルムの蒸着膜上に
PVDCの溶液または分散液を所望の厚さに塗布し、次
いで、アーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、
タワードライヤー、ドラムドライヤーなどの装置、ある
いは、それらを組み合わせた装置を用いて、熱風の吹付
けや赤外線照射などにより溶媒や水分を蒸発させて乾燥
させる。乾燥は、通常、乾熱雰囲気下で50〜200
℃、好ましくは80〜150℃、より好ましくは100
〜130℃の範囲の温度、および0.5〜90分間、好
ましくは0.5〜60分間、より好ましくは0.5〜3
0分間の範囲の時間の中から、PVDC塗膜がべとつか
なくなるような条件を適宜選択すればよい。
【0017】乾燥後、オーブンにより塗膜の熱処理を行
う。例えば、乾燥後、PVDC塗膜を形成した複合蒸着
フィルムを、35〜60℃、好ましくは40〜50℃の
オーブン中で、12〜100時間、好ましくは25〜5
0時間程度熱処理する。このような熱処理により、PV
DCの結晶化が促進され、PVDC塗膜のガスバリヤー
性が更に向上する。塗布製膜法により、蒸着膜上に、P
VDC塗膜を形成させることにより、通常の熱可塑性樹
脂フィルムの溶融押出ラミネートやドライラミネートに
よる積層の場合のように、蒸着膜にクラックを生じさせ
ることがなく、得られる複合蒸着フィルムの耐屈曲疲労
性が向上する。PVDC塗膜の厚みは、使用目的に応じ
て適宜定めることができ、特に限定されないが、乾燥後
の厚みとして、通常、0.5〜100μm、好ましくは
0.5〜50μm、より好ましくは0.5〜25μm程
度である。本発明の複合蒸着フィルムでは、PVDC塗
膜の厚みは、0.5〜15μm、さらには0.5〜5μ
m程度でも優れた効果を奏することができる。
う。例えば、乾燥後、PVDC塗膜を形成した複合蒸着
フィルムを、35〜60℃、好ましくは40〜50℃の
オーブン中で、12〜100時間、好ましくは25〜5
0時間程度熱処理する。このような熱処理により、PV
DCの結晶化が促進され、PVDC塗膜のガスバリヤー
性が更に向上する。塗布製膜法により、蒸着膜上に、P
VDC塗膜を形成させることにより、通常の熱可塑性樹
脂フィルムの溶融押出ラミネートやドライラミネートに
よる積層の場合のように、蒸着膜にクラックを生じさせ
ることがなく、得られる複合蒸着フィルムの耐屈曲疲労
性が向上する。PVDC塗膜の厚みは、使用目的に応じ
て適宜定めることができ、特に限定されないが、乾燥後
の厚みとして、通常、0.5〜100μm、好ましくは
0.5〜50μm、より好ましくは0.5〜25μm程
度である。本発明の複合蒸着フィルムでは、PVDC塗
膜の厚みは、0.5〜15μm、さらには0.5〜5μ
m程度でも優れた効果を奏することができる。
【0018】複合蒸着フィルム 本発明の複合蒸着フィルムは、高分子フィルム基材
(A)/蒸着膜(B)/PVDC塗膜(C)の積層構成
を必須の層構成として有するものである。無機材料の蒸
着膜とPVDC塗膜層が隣接していることが必要であ
る。蒸着膜とPVDC塗膜層とが隣接して設けられてい
ない場合には、ガスバリヤー性の相乗的な改善効果を得
ることができず、また、耐屈曲疲労性の改善効果が得ら
れない。
(A)/蒸着膜(B)/PVDC塗膜(C)の積層構成
を必須の層構成として有するものである。無機材料の蒸
着膜とPVDC塗膜層が隣接していることが必要であ
る。蒸着膜とPVDC塗膜層とが隣接して設けられてい
ない場合には、ガスバリヤー性の相乗的な改善効果を得
ることができず、また、耐屈曲疲労性の改善効果が得ら
れない。
【0019】本発明の複合蒸着フィルムは、酸素ガスバ
リヤー性に優れている。例えば、高分子フィルム基材の
厚みが12μm、蒸着膜の厚みが50〜80nm、蒸着
膜に接するPVDC塗膜層の厚みが1〜3μmの場合、
複合蒸着フィルムの酸素透過度(温度30℃、80%R
Hで測定)は、通常、5ml(STP)/m2・day
・atm{Pa}以下、好ましくは3ml(STP)/
m2・day・atm{Pa}以下、より好ましくは2
ml(STP)/m2・day・atm{Pa}以下と
なる。
リヤー性に優れている。例えば、高分子フィルム基材の
厚みが12μm、蒸着膜の厚みが50〜80nm、蒸着
膜に接するPVDC塗膜層の厚みが1〜3μmの場合、
複合蒸着フィルムの酸素透過度(温度30℃、80%R
Hで測定)は、通常、5ml(STP)/m2・day
・atm{Pa}以下、好ましくは3ml(STP)/
m2・day・atm{Pa}以下、より好ましくは2
ml(STP)/m2・day・atm{Pa}以下と
なる。
【0020】本発明の複合蒸着フィルムは、水蒸気バリ
ヤー性に優れている。例えば、高分子フィルム基材の厚
みが12μm、蒸着膜の厚みが50〜80nm、蒸着膜
に接するPVDC塗膜層の厚みが1〜3μmの場合、複
合蒸着フィルムの水蒸気透過度(温度40℃、相対湿度
90%で測定)は、通常、5g/m2・day以下、好
ましくは3g/m2・day以下、より好ましくは2g
/m2・day以下となる。
ヤー性に優れている。例えば、高分子フィルム基材の厚
みが12μm、蒸着膜の厚みが50〜80nm、蒸着膜
に接するPVDC塗膜層の厚みが1〜3μmの場合、複
合蒸着フィルムの水蒸気透過度(温度40℃、相対湿度
90%で測定)は、通常、5g/m2・day以下、好
ましくは3g/m2・day以下、より好ましくは2g
/m2・day以下となる。
【0021】本発明の複合蒸着フィルムは、ヘリウムガ
スバリヤー性に優れている。例えば、高分子フィルム基
材の厚みが12μm、蒸着膜の厚みが50〜80nm、
蒸着膜に接するPVDC塗膜層の厚みが1〜3μmの場
合、複合蒸着フィルムのヘリウム透過度(温度30℃、
相対湿度0%で測定)は、通常、200ml(STP)
/m2・day・atm{Pa}以下、好ましくは18
0ml(STP)/m2・day・atm{Pa}以
下、より好ましくは170ml(STP)/m2・da
y・atm{Pa}以下となる。特に、アルミニウム蒸
着膜を有する蒸着フィルムを用いると、ヘリウム透過度
を著しく小さくすることができる。本発明の複合蒸着フ
ィルムは、蒸着フィルム(高分子フィルム基材/蒸着
膜)及びPVDC塗膜の各層が有するガスバリヤー性か
ら予想される以上に、ガスバリヤー性が相乗的に向上し
ている。
スバリヤー性に優れている。例えば、高分子フィルム基
材の厚みが12μm、蒸着膜の厚みが50〜80nm、
蒸着膜に接するPVDC塗膜層の厚みが1〜3μmの場
合、複合蒸着フィルムのヘリウム透過度(温度30℃、
相対湿度0%で測定)は、通常、200ml(STP)
/m2・day・atm{Pa}以下、好ましくは18
0ml(STP)/m2・day・atm{Pa}以
下、より好ましくは170ml(STP)/m2・da
y・atm{Pa}以下となる。特に、アルミニウム蒸
着膜を有する蒸着フィルムを用いると、ヘリウム透過度
を著しく小さくすることができる。本発明の複合蒸着フ
ィルムは、蒸着フィルム(高分子フィルム基材/蒸着
膜)及びPVDC塗膜の各層が有するガスバリヤー性か
ら予想される以上に、ガスバリヤー性が相乗的に向上し
ている。
【0022】具体的に、ある一定の温度(例えば、30
℃)と相対湿度(例えば、80%)における複合蒸着フ
ィルムの酸素透過度〔ml(STP)/m2・day・
atm{Pa}〕をZとし、蒸着フィルム(高分子フィ
ルム基材/蒸着膜)の酸素透過度をX、PVDC塗膜層
の酸素透過度をYとしたとき、以下の関係式が成立す
る。 (1/Z)>(1/X)+(1/Y) 水蒸気透過度及びヘリウム透過度に関しても同様の関係
式が成立する。したがって、本発明の複合蒸着フィルム
は、ガスバリヤー性に関し、相乗的な効果を奏するもの
である。本発明の複合蒸着フィルムは、耐屈曲疲労性に
優れており、ゲルボフレックステスターを用いた屈曲疲
労試験後においても、高度のガスバリヤー性を保持して
いる。
℃)と相対湿度(例えば、80%)における複合蒸着フ
ィルムの酸素透過度〔ml(STP)/m2・day・
atm{Pa}〕をZとし、蒸着フィルム(高分子フィ
ルム基材/蒸着膜)の酸素透過度をX、PVDC塗膜層
の酸素透過度をYとしたとき、以下の関係式が成立す
る。 (1/Z)>(1/X)+(1/Y) 水蒸気透過度及びヘリウム透過度に関しても同様の関係
式が成立する。したがって、本発明の複合蒸着フィルム
は、ガスバリヤー性に関し、相乗的な効果を奏するもの
である。本発明の複合蒸着フィルムは、耐屈曲疲労性に
優れており、ゲルボフレックステスターを用いた屈曲疲
労試験後においても、高度のガスバリヤー性を保持して
いる。
【0023】本発明の複合蒸着フィルムは、高分子フィ
ルム基材(A)/蒸着膜(B)/PVDC塗膜(C)の
積層構成のものに限定されず、所望により付加的に他の
層が積層されていてもよい。例えば、複合蒸着フィルム
のヒートシール性が不充分な場合には、ヒートシール可
能な層を少なくともいずれか一方の面に積層することが
できる。ヒートシール層としては、例えば、低密度ポリ
エチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチ
レン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレ
ン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリ
ル酸塩共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合
体等のポリオレフィン、ナイロン6・66共重合体、ナ
イロン6・12共重合体などのナイロン共重合体等から
形成された層を挙げることができる。
ルム基材(A)/蒸着膜(B)/PVDC塗膜(C)の
積層構成のものに限定されず、所望により付加的に他の
層が積層されていてもよい。例えば、複合蒸着フィルム
のヒートシール性が不充分な場合には、ヒートシール可
能な層を少なくともいずれか一方の面に積層することが
できる。ヒートシール層としては、例えば、低密度ポリ
エチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチ
レン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレ
ン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリ
ル酸塩共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合
体等のポリオレフィン、ナイロン6・66共重合体、ナ
イロン6・12共重合体などのナイロン共重合体等から
形成された層を挙げることができる。
【0024】また、PVDC塗膜層の上に、熱可塑性樹
脂の層を積層することにより、機械的強度などを改良す
ることができる。光沢、防曇性、紫外線遮断性などの機
能を付与するために、各種フィルムやコーティング層な
どを設けてもよい。付加的に各種の層を設ける場合、各
層間の接着性が不十分な場合には、接着剤層を配置して
もよい。そのための接着剤としては、一般に各種フィル
ムのドライラミネート等に使用されているウレタン系、
アクリル系、ポリエステル系などの各種接着剤を挙げる
ことができる。本発明の複合蒸着フィルムの各層には、
所望により、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、顔料、
充填剤、帯電防止剤などの各種添加剤を添加することが
できる。
脂の層を積層することにより、機械的強度などを改良す
ることができる。光沢、防曇性、紫外線遮断性などの機
能を付与するために、各種フィルムやコーティング層な
どを設けてもよい。付加的に各種の層を設ける場合、各
層間の接着性が不十分な場合には、接着剤層を配置して
もよい。そのための接着剤としては、一般に各種フィル
ムのドライラミネート等に使用されているウレタン系、
アクリル系、ポリエステル系などの各種接着剤を挙げる
ことができる。本発明の複合蒸着フィルムの各層には、
所望により、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、顔料、
充填剤、帯電防止剤などの各種添加剤を添加することが
できる。
【0025】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実
施例のみに限定されるものではない。なお、物性の測定
法は、次のとおりである。 (1)酸素透過度 ASTM D−3985に従い、Modern Con
trol社製の酸素透過試験器OX−TRAN 2/2
0型を用い、30℃、80%RHの条件で測定した。 (2)水蒸気透過度 JIS Z−0208に従い、40℃、90%RHの条
件で測定した。 (3)ヘリウム透過度 Yanaco社製の柳本ガス透過率測定装置GTR−1
0A、及びGAS CHROMATOGRAPH G3
800を用い、30℃、0%RHの条件で測定した。 (4)耐屈曲疲労性(ゲルボテスト後の酸素透過度) 理学工業(株)製ゲルボフレックステスターを用いて、
耐屈曲疲労性を評価した。MIL−B131Cに従い、
30cm×20cm(12インチ×8インチ)の試料片
を直径9cm(3.5インチ)の円筒状とし、両端を保
持し、初期把持間隔18cm(7インチ)とし、ストロ
ークの9cm(3.5インチ)で440度のネジリを加
えた後、6cm(2.5インチ)でそのまま直線圧縮す
る工程(試験動作A)からなる全15cm(6インチ)
の動作の繰り返し往復運動を毎分40回(サイクル)の
速さで、25℃、50%RHで5回屈曲させた後の各フ
ィルムの酸素透過度(30℃、80%RH)を測定し
た。
ついてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実
施例のみに限定されるものではない。なお、物性の測定
法は、次のとおりである。 (1)酸素透過度 ASTM D−3985に従い、Modern Con
trol社製の酸素透過試験器OX−TRAN 2/2
0型を用い、30℃、80%RHの条件で測定した。 (2)水蒸気透過度 JIS Z−0208に従い、40℃、90%RHの条
件で測定した。 (3)ヘリウム透過度 Yanaco社製の柳本ガス透過率測定装置GTR−1
0A、及びGAS CHROMATOGRAPH G3
800を用い、30℃、0%RHの条件で測定した。 (4)耐屈曲疲労性(ゲルボテスト後の酸素透過度) 理学工業(株)製ゲルボフレックステスターを用いて、
耐屈曲疲労性を評価した。MIL−B131Cに従い、
30cm×20cm(12インチ×8インチ)の試料片
を直径9cm(3.5インチ)の円筒状とし、両端を保
持し、初期把持間隔18cm(7インチ)とし、ストロ
ークの9cm(3.5インチ)で440度のネジリを加
えた後、6cm(2.5インチ)でそのまま直線圧縮す
る工程(試験動作A)からなる全15cm(6インチ)
の動作の繰り返し往復運動を毎分40回(サイクル)の
速さで、25℃、50%RHで5回屈曲させた後の各フ
ィルムの酸素透過度(30℃、80%RH)を測定し
た。
【0026】[実施例1]VD/VCの組成比(重量
%)が79/21である塩化ビニリデン−塩化ビニル共
重合体(以下、PVDC−1という)をTHFとシクロ
ヘキサノンとの混合溶媒(混合重量比80:20)に溶
解し、濃度10重量%の溶液を調製した。厚み12μm
のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に
厚み50nmのアルミニウム(Al)の蒸着膜を形成し
た蒸着フィルムの蒸着膜上に、上記溶液を卓上コーター
(RK Print−Coat Instrument
s社製K303 PROOFER)を用い、メイヤバー
でコーティングし、次いで、ドライヤーを用いて110
℃で1分間乾燥させ、厚み1μmの乾燥塗膜を得た。こ
の乾燥塗膜が形成された蒸着フィルムを40℃のオーブ
ン中で、48時間熱処理を行った。
%)が79/21である塩化ビニリデン−塩化ビニル共
重合体(以下、PVDC−1という)をTHFとシクロ
ヘキサノンとの混合溶媒(混合重量比80:20)に溶
解し、濃度10重量%の溶液を調製した。厚み12μm
のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に
厚み50nmのアルミニウム(Al)の蒸着膜を形成し
た蒸着フィルムの蒸着膜上に、上記溶液を卓上コーター
(RK Print−Coat Instrument
s社製K303 PROOFER)を用い、メイヤバー
でコーティングし、次いで、ドライヤーを用いて110
℃で1分間乾燥させ、厚み1μmの乾燥塗膜を得た。こ
の乾燥塗膜が形成された蒸着フィルムを40℃のオーブ
ン中で、48時間熱処理を行った。
【0027】[実施例2]実施例1において、Al蒸着
フィルムに代えて、厚み80nmのSiOx蒸着PET
フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様に処理し
て、複合蒸着フィルムを得た。
フィルムに代えて、厚み80nmのSiOx蒸着PET
フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様に処理し
て、複合蒸着フィルムを得た。
【0028】[実施例3]VD/MAの組成比(重量
%)が90/10である塩化ビニリデン−アクリル酸メ
チル共重合体(以下、PVDC−2という)の乳濁液
〔呉羽化学工業(株)製クレハロンラテックスDO−8
33S:固形分50重量%〕を、厚み12μmのPET
フィルム上に厚み50nmのAlの蒸着膜を形成した蒸
着フィルムの蒸着膜上に塗布し、110℃で1分間乾燥
させ、厚み1μmの乾燥塗膜を得た。この乾燥塗膜が形
成された蒸着フィルムを40℃のオーブン中で、48時
間熱処理を行った。
%)が90/10である塩化ビニリデン−アクリル酸メ
チル共重合体(以下、PVDC−2という)の乳濁液
〔呉羽化学工業(株)製クレハロンラテックスDO−8
33S:固形分50重量%〕を、厚み12μmのPET
フィルム上に厚み50nmのAlの蒸着膜を形成した蒸
着フィルムの蒸着膜上に塗布し、110℃で1分間乾燥
させ、厚み1μmの乾燥塗膜を得た。この乾燥塗膜が形
成された蒸着フィルムを40℃のオーブン中で、48時
間熱処理を行った。
【0029】[実施例4]実施例3において、Al蒸着
フィルムに代えて、厚み80nmのSiOx蒸着PET
フィルムを用いたこと以外は、実施例3と同様に処理し
て、複合蒸着フィルムを得た。
フィルムに代えて、厚み80nmのSiOx蒸着PET
フィルムを用いたこと以外は、実施例3と同様に処理し
て、複合蒸着フィルムを得た。
【0030】[実施例5]VD/MAの組成比(重量
%)が96/4である塩化ビニリデン−アクリル酸メチ
ル共重合体(以下、PVDC−3という)をTHFとシ
クロヘキサノンとの混合溶媒(混合重量比80:20)
に溶解し、濃度10重量%の溶液を調製した。この溶液
を、厚み12μmのPETフィルム上に厚み50nmの
Alの蒸着膜を形成した蒸着フィルムの蒸着膜上に塗布
し、110℃で1分間乾燥させて、厚み1μmの乾燥塗
膜を得た。乾燥塗膜が形成された蒸着フィルムを40℃
のオーブン中で、48時間熱処理を行った。
%)が96/4である塩化ビニリデン−アクリル酸メチ
ル共重合体(以下、PVDC−3という)をTHFとシ
クロヘキサノンとの混合溶媒(混合重量比80:20)
に溶解し、濃度10重量%の溶液を調製した。この溶液
を、厚み12μmのPETフィルム上に厚み50nmの
Alの蒸着膜を形成した蒸着フィルムの蒸着膜上に塗布
し、110℃で1分間乾燥させて、厚み1μmの乾燥塗
膜を得た。乾燥塗膜が形成された蒸着フィルムを40℃
のオーブン中で、48時間熱処理を行った。
【0031】[実施例6]実施例5において、Al蒸着
フィルムに代えて、厚み80nmのSiOx蒸着PET
フィルムを用いたこと以外は、実施例5と同様に処理し
て、複合蒸着フィルムを得た。
フィルムに代えて、厚み80nmのSiOx蒸着PET
フィルムを用いたこと以外は、実施例5と同様に処理し
て、複合蒸着フィルムを得た。
【0032】[実施例7]VD/MMAの組成比(重量
%)が98/2である塩化ビニリデン−メタクリル酸メ
チル共重合体(以下、PVDC−4という)をTHFと
シクロヘキサノンとの混合溶媒(混合重量比80:2
0)に溶解し、濃度10重量%の溶液を調製した。この
溶液を、厚み12μmのPETフィルム上に厚み50n
mのAlの蒸着膜を形成した蒸着フィルムの蒸着膜上に
塗布し、110℃で1分間乾燥させて、厚み1μmの乾
燥塗膜を得た。乾燥塗膜が形成された蒸着フィルムを4
0℃のオーブン中で、48時間熱処理を行った。
%)が98/2である塩化ビニリデン−メタクリル酸メ
チル共重合体(以下、PVDC−4という)をTHFと
シクロヘキサノンとの混合溶媒(混合重量比80:2
0)に溶解し、濃度10重量%の溶液を調製した。この
溶液を、厚み12μmのPETフィルム上に厚み50n
mのAlの蒸着膜を形成した蒸着フィルムの蒸着膜上に
塗布し、110℃で1分間乾燥させて、厚み1μmの乾
燥塗膜を得た。乾燥塗膜が形成された蒸着フィルムを4
0℃のオーブン中で、48時間熱処理を行った。
【0033】[実施例8]実施例7において、Al蒸着
フィルムに代えて、厚み80nmのSiOx蒸着PET
フィルムを用いたこと以外は、実施例7と同様に処理し
て、複合蒸着フィルムを得た。
フィルムに代えて、厚み80nmのSiOx蒸着PET
フィルムを用いたこと以外は、実施例7と同様に処理し
て、複合蒸着フィルムを得た。
【0034】[実施例9]実施例7において、PVDC
塗膜の乾燥後の厚みを3μmとしたこと以外は、実施例
7と同様に処理して、複合蒸着フィルムを得た。
塗膜の乾燥後の厚みを3μmとしたこと以外は、実施例
7と同様に処理して、複合蒸着フィルムを得た。
【0035】[実施例10]実施例8において、PVD
C塗膜の乾燥後の厚みを3μmとしたこと以外は、実施
例8と同様に処理して、複合蒸着フィルムを得た。以上
の各実施例で得られた複合蒸着フィルムの積層構成、及
びガスバリヤー性(酸素透過度、水蒸気透過度、ヘリウ
ム透過度)の測定結果を表1に示す。
C塗膜の乾燥後の厚みを3μmとしたこと以外は、実施
例8と同様に処理して、複合蒸着フィルムを得た。以上
の各実施例で得られた複合蒸着フィルムの積層構成、及
びガスバリヤー性(酸素透過度、水蒸気透過度、ヘリウ
ム透過度)の測定結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】[比較例1]実施例1で用いたAl蒸着フ
ィルムを比較例1とした。
ィルムを比較例1とした。
【0038】[比較例2]実施例2で用いたSiOx蒸
着フィルムを比較例2とした。
着フィルムを比較例2とした。
【0039】[比較例3]厚み12μmのPETフィル
ムを比較例3とした。
ムを比較例3とした。
【0040】[比較例4]PETフィルム上に、実施例
1で調製したPVDC−1の溶液を塗布し、厚み1μm
の乾燥塗膜を得た。この乾燥塗膜を実施例1と同様に熱
処理して、積層体を作成した。この積層体を用いて、以
下の方法によりPVDC−1塗膜の酸素透過度を測定し
た。
1で調製したPVDC−1の溶液を塗布し、厚み1μm
の乾燥塗膜を得た。この乾燥塗膜を実施例1と同様に熱
処理して、積層体を作成した。この積層体を用いて、以
下の方法によりPVDC−1塗膜の酸素透過度を測定し
た。
【0041】<PVDC塗膜の酸素透過度の算出法>M
odern Control社製の酸素透過試験器OX
−TRAN 2/20型を用いて、PETフィルム及び
PVDC塗膜が形成された積層体の酸素透過度(30
℃、80%RH)を測定し、以下の計算式によりPVD
C塗膜の酸素透過度Pcoatを算出した。 1/Ptotal=1/Pcoat+1/PPET Ptotal:積層体の酸素透過度 Pcoat:PVDC塗膜の酸素透過度 PPET:PETフィルムの酸素透過度
odern Control社製の酸素透過試験器OX
−TRAN 2/20型を用いて、PETフィルム及び
PVDC塗膜が形成された積層体の酸素透過度(30
℃、80%RH)を測定し、以下の計算式によりPVD
C塗膜の酸素透過度Pcoatを算出した。 1/Ptotal=1/Pcoat+1/PPET Ptotal:積層体の酸素透過度 Pcoat:PVDC塗膜の酸素透過度 PPET:PETフィルムの酸素透過度
【0042】[比較例5]PVDC−1の溶液に代え
て、実施例3で用いたPVDC−2の乳濁液を用いたこ
と以外は、比較例4と同様にして積層体を作成し、PV
DC−2塗膜の酸素透過度を測定した。
て、実施例3で用いたPVDC−2の乳濁液を用いたこ
と以外は、比較例4と同様にして積層体を作成し、PV
DC−2塗膜の酸素透過度を測定した。
【0043】[比較例6]PVDC−1の溶液に代え
て、実施例5で用いたPVDC−3の溶液を用いたこと
以外は、比較例4と同様にして積層体を作成し、PVD
C−3塗膜の酸素透過度を測定した。
て、実施例5で用いたPVDC−3の溶液を用いたこと
以外は、比較例4と同様にして積層体を作成し、PVD
C−3塗膜の酸素透過度を測定した。
【0044】[比較例7]PVDC−1の溶液に代え
て、実施例7で用いたPVDC−4の溶液を用いたこと
以外は、比較例4と同様にして積層体を作成し、PVD
C−4塗膜の酸素透過度を測定した。
て、実施例7で用いたPVDC−4の溶液を用いたこと
以外は、比較例4と同様にして積層体を作成し、PVD
C−4塗膜の酸素透過度を測定した。
【0045】[比較例8]PVDC−4の乾燥後の厚み
を3μmにしたこと以外は、比較例7と同様にして積層
体を作成し、PVDC−4塗膜の酸素透過度を測定し
た。以上の各比較例で得られた複合蒸着フィルムの積層
構成、及びガスバリヤー性(酸素透過度、水蒸気透過
度、ヘリウム透過度)の測定結果を表2に示す。
を3μmにしたこと以外は、比較例7と同様にして積層
体を作成し、PVDC−4塗膜の酸素透過度を測定し
た。以上の各比較例で得られた複合蒸着フィルムの積層
構成、及びガスバリヤー性(酸素透過度、水蒸気透過
度、ヘリウム透過度)の測定結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】表1及び表2の結果から、本発明の複合蒸
着フィルム(実施例1〜10)は、Al蒸着フィルム
(比較例1)、SiOx蒸着フィルム(比較例2)、及
びPVDC塗膜(比較例4〜8)と比較して、酸素透過
度、水蒸気透過度、及びヘリウム透過度がいずれも顕著
に改善されている。これらのガスバリヤー性の改善効果
は、いずれも相乗的なものである。
着フィルム(実施例1〜10)は、Al蒸着フィルム
(比較例1)、SiOx蒸着フィルム(比較例2)、及
びPVDC塗膜(比較例4〜8)と比較して、酸素透過
度、水蒸気透過度、及びヘリウム透過度がいずれも顕著
に改善されている。これらのガスバリヤー性の改善効果
は、いずれも相乗的なものである。
【0048】[実施例11]実施例5で作成した複合蒸
着フィルムについて、耐屈曲疲労試験(ゲルボテスト)
前後の酸素透過度を測定した。
着フィルムについて、耐屈曲疲労試験(ゲルボテスト)
前後の酸素透過度を測定した。
【0049】[実施例12]実施例6で作成した複合蒸
着フィルムについて、耐屈曲疲労試験前後の酸素透過度
を測定した。
着フィルムについて、耐屈曲疲労試験前後の酸素透過度
を測定した。
【0050】[比較例9]実施例1で用いたAl蒸着フ
ィルムについて、耐屈曲疲労試験前後の酸素透過度を測
定した。
ィルムについて、耐屈曲疲労試験前後の酸素透過度を測
定した。
【0051】[比較例10]実施例2で用いたSiOx
蒸着フィルムについて、耐屈曲疲労試験前後の酸素透過
度を測定した。
蒸着フィルムについて、耐屈曲疲労試験前後の酸素透過
度を測定した。
【0052】[比較例11]厚み12μmのPETフィ
ルムについて、耐屈曲疲労試験前後の酸素透過度を測定
した。これら実施例及び比較例の結果を表3に示す
ルムについて、耐屈曲疲労試験前後の酸素透過度を測定
した。これら実施例及び比較例の結果を表3に示す
【0053】
【表3】 表3の結果から、本発明の複合蒸着フィルム(実施例1
1〜12)は、優れた耐屈曲疲労性を有することが分か
る。
1〜12)は、優れた耐屈曲疲労性を有することが分か
る。
【0054】[実施例13]実施例1で得られた複合蒸
着フィルムに厚み30μmの直鎖状低密度ポリエチレン
(LLDPE)フィルムを定法にしたがってドライラミ
ネートした。 接着剤は、東洋モートン社製 主剤:アドコート335A 硬化剤:CAT−10 を用いた。上記積層フィルムのLLDPE層をヒートシ
ールし、直径50cmの球状バルーンを作成しヘリウム
を注入した。バルーン適性は、作成したバルーンを23
℃、50%RHの室内に浮かべ、浮遊高さが1メートル
になったときから、床に落ちるまでの日数(浮遊日数)
を測定することにより評価した。
着フィルムに厚み30μmの直鎖状低密度ポリエチレン
(LLDPE)フィルムを定法にしたがってドライラミ
ネートした。 接着剤は、東洋モートン社製 主剤:アドコート335A 硬化剤:CAT−10 を用いた。上記積層フィルムのLLDPE層をヒートシ
ールし、直径50cmの球状バルーンを作成しヘリウム
を注入した。バルーン適性は、作成したバルーンを23
℃、50%RHの室内に浮かべ、浮遊高さが1メートル
になったときから、床に落ちるまでの日数(浮遊日数)
を測定することにより評価した。
【0055】[比較例12]比較例1のAl蒸着フィル
ムに、実施例13と同様の方法で、厚み30μmのLL
DPEフィルムを定法にしたがってドライラミネート
し、バルーンを作成した。表4から明らかなように、本
発明の複合蒸着フィルムは、バルーンとしての適性が優
れていることが分かる。
ムに、実施例13と同様の方法で、厚み30μmのLL
DPEフィルムを定法にしたがってドライラミネート
し、バルーンを作成した。表4から明らかなように、本
発明の複合蒸着フィルムは、バルーンとしての適性が優
れていることが分かる。
【0056】
【表4】
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、酸素ガスバリヤー性、
水蒸気バリヤー性、及びヘリウムガスバリヤー性が顕著
に優れた複合蒸着フィルムが提供される。本発明では、
アルミニウムやケイ素酸化物などの無機材料の蒸着膜を
有する蒸着フィルムの該蒸着膜上に、PVDCの溶液ま
たは分散液を塗布して、PVDC塗膜を形成しているた
め、蒸着膜面でのクラックの発生が抑制され、かつ、蒸
着フィルムの耐屈曲疲労性が改善された複合蒸着フィル
ムが得られる。本発明の複合蒸着フィルムのガスバリヤ
ー性は、各層のガスバリヤー性から予測される水準をは
るかに越えた相乗的な改善効果を示す。また、本発明の
複合蒸着フィルムは、蒸着膜がPVDC塗膜の層で保護
されているため、印刷、ラミネートなどの二次加工によ
って、ガスバリヤー性が損なわれることがない。したが
って、本発明の複合蒸着フィルムは、食品、医薬品、日
常雑貨などの包装材料として好適である。また、本発明
の複合蒸着フィルムは、ヘリウムガスバリヤー性が優れ
ているため、バルーン材料などとしても有用である。
水蒸気バリヤー性、及びヘリウムガスバリヤー性が顕著
に優れた複合蒸着フィルムが提供される。本発明では、
アルミニウムやケイ素酸化物などの無機材料の蒸着膜を
有する蒸着フィルムの該蒸着膜上に、PVDCの溶液ま
たは分散液を塗布して、PVDC塗膜を形成しているた
め、蒸着膜面でのクラックの発生が抑制され、かつ、蒸
着フィルムの耐屈曲疲労性が改善された複合蒸着フィル
ムが得られる。本発明の複合蒸着フィルムのガスバリヤ
ー性は、各層のガスバリヤー性から予測される水準をは
るかに越えた相乗的な改善効果を示す。また、本発明の
複合蒸着フィルムは、蒸着膜がPVDC塗膜の層で保護
されているため、印刷、ラミネートなどの二次加工によ
って、ガスバリヤー性が損なわれることがない。したが
って、本発明の複合蒸着フィルムは、食品、医薬品、日
常雑貨などの包装材料として好適である。また、本発明
の複合蒸着フィルムは、ヘリウムガスバリヤー性が優れ
ているため、バルーン材料などとしても有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−139446(JP,A) 特開 昭60−250041(JP,A) 特開 平4−77531(JP,A) 特開 平7−285191(JP,A) 実開 平1−141024(JP,U) 実開 昭63−6837(JP,U) 実開 昭62−123920(JP,U) 実開 昭55−8113(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00
Claims (2)
- 【請求項1】 高分子フィルム基材(A)の少なくとも
片面に、無機材料の蒸着膜(B)が形成され、さらに、
該蒸着膜(B)の上に隣接してポリ塩化ビニリデンの塗
膜(C)が積層されている複合蒸着フィルムであって、
該複合蒸着フィルムは、ポリ塩化ビニリデンの塗膜
(C)が形成された後、35〜60℃のオーブン中で1
2〜100時間の熱処理がなされたものであり、かつ、
温度30℃と相対湿度80%で測定した複合蒸着フィル
ムの酸素透過度〔ml(STP)/m2・day・at
m{Pa}〕をZとし、蒸着フィルム〔高分子フィルム
基材(A)/蒸着膜(B)〕の酸素透過度をX、ポリ塩
化ビニリデンの塗膜(C)層の酸素透過度をYとしたと
き、以下の関係式 (1/Z)>(1/X)+(1/Y) が成立し、温度40℃と相対湿度90%で測定した水蒸
気透過度及び温度30℃と相対湿度0%で測定したヘリ
ウム透過度に関しても同様の関係式が成立するものであ
ることを特徴とする複合蒸着フィルム。 - 【請求項2】 高分子フィルム基材(A)の少なくとも
片面に、無機材料の蒸着膜(B)を形成し、さらに、該
蒸着膜(B)の上に、ポリ塩化ビニリデンの溶液または
分散液を塗布し、乾燥してポリ塩化ビニリデンの塗膜
(C)を形成させ、次いで、該ポリ塩化ビニリデンの塗
膜(C)を35〜60℃のオーブン中で12〜100時
間の熱処理を行うことを特徴とする、温度30℃と相対
湿度80%で測定した複合蒸着フィルムの酸素透過度
〔ml(STP)/m2・day・atm{Pa}〕を
Zとし、蒸着フィルム〔高分子フィルム基材(A)/蒸
着膜(B)〕の酸素透過度をX、ポリ塩化ビニリデンの
塗膜(C)層の酸素透過度をYとしたとき、以下の関係
式 (1/Z)>(1/X)+(1/Y) が成立し、温度40℃と相対湿度90%で測定した水蒸
気透過度及び温度30℃と相対湿度0%で測定したヘリ
ウム透過度に関しても同様の関係式が成立する複合蒸着
フィルムの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19494394A JP3294440B2 (ja) | 1994-07-27 | 1994-07-27 | 複合蒸着フィルム及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19494394A JP3294440B2 (ja) | 1994-07-27 | 1994-07-27 | 複合蒸着フィルム及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0839718A JPH0839718A (ja) | 1996-02-13 |
JP3294440B2 true JP3294440B2 (ja) | 2002-06-24 |
Family
ID=16332916
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19494394A Expired - Fee Related JP3294440B2 (ja) | 1994-07-27 | 1994-07-27 | 複合蒸着フィルム及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3294440B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
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JP2008006738A (ja) * | 2006-06-30 | 2008-01-17 | Sumitomo Forestry Crest Co Ltd | 化粧紙、化粧板及び化粧板の製造方法 |
JP2012081761A (ja) * | 2011-11-28 | 2012-04-26 | Sumitomo Forestry Crest Co Ltd | 化粧紙、化粧板及び化粧板の製造方法 |
JP6454130B2 (ja) * | 2014-10-30 | 2019-01-16 | 三井化学東セロ株式会社 | 積層フィルムおよび積層フィルムの製造方法 |
JP6433758B2 (ja) * | 2014-10-30 | 2018-12-05 | 三井化学東セロ株式会社 | ガスバリア性積層体 |
JP2017114079A (ja) * | 2015-12-25 | 2017-06-29 | 三井化学東セロ株式会社 | バリア性フィルムおよびバリア性包装体 |
JP2017209802A (ja) * | 2016-05-23 | 2017-11-30 | 凸版印刷株式会社 | ガスバリア性積層体およびその製造方法 |
JP7663311B2 (ja) * | 2018-12-28 | 2025-04-16 | アールエム東セロ株式会社 | バリア性フィルムおよびバリア性包装体 |
-
1994
- 1994-07-27 JP JP19494394A patent/JP3294440B2/ja not_active Expired - Fee Related
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