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JP3279049B2 - 一方向性補強織物およびその製造方法 - Google Patents

一方向性補強織物およびその製造方法

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JP3279049B2
JP3279049B2 JP05982694A JP5982694A JP3279049B2 JP 3279049 B2 JP3279049 B2 JP 3279049B2 JP 05982694 A JP05982694 A JP 05982694A JP 5982694 A JP5982694 A JP 5982694A JP 3279049 B2 JP3279049 B2 JP 3279049B2
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yarn
reinforcing
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fiber
unidirectional
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清 本間
明 西村
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化複合材料用と
して優れた特性を発揮する一方向性補強織物およびその
製造方法に関し、とくに一般的な構造物の他、高架道路
の橋脚や床版、建物の柱、壁などの補強用として最適な
補強基材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、地震による橋の破壊、コンクリー
トの中性化による補強筋の錆の発生、交通量の急激な増
加に伴う鉄筋の疲労などセメント系構造体の脆弱性や耐
久性が社会問題となっている。もちろん、新たな物に更
新すれば良いわけであるが、莫大な費用を要する問題が
ある。
【0003】その対策として、例えば橋の床版の場合に
は、コンクリートからなる床版の下に補強材として鋼板
を接着剤で接着させる補強方法や、炭素繊維基材を含む
繊維強化樹脂を接着させて補強させる方法が採られてい
る。特に、後者の方法は補強効果が高く、耐久性も優れ
ており、また補強作業が簡単であることから広く採用さ
れるようになっている。補強用炭素繊維基材としては、
ほとんどが長さ方向の引張の場に対する補強であるか
ら、炭素繊維糸は一方向に配向させた一方向性の織物で
ある。そのようなことから、たて糸に通常の炭素繊維糸
を配列し、よこ糸に糸値の安価なガラス糸などを用いた
一方向性の炭素繊維織物が使用されている。
【0004】このような織物は、織り込まれた炭素繊維
糸の断面が楕円形をしているために表面が凸凹し、しか
もよこ糸の締め付けによりたて糸の強化繊維糸が屈曲し
た織物になってしまう。そのような織物でもって補強し
た場合、織物表面が凸凹しているので補強体との接着面
積が小さくて十分な接着力が得られないし、強化繊維糸
が屈曲しているので炭素繊維の有する高い引張強度、弾
性率が十分に発揮されない。さらに、凹凸部の窪みが樹
脂リッチとなるために引張の応力が作用するとその部分
から低い応力で破壊が先行するし、また炭素繊維が楕円
形に集合しているために樹脂の含浸性が悪くて全体とし
て低い引張応力で破壊するおそれがあるという問題点が
ある。
【0005】このような問題点を解決する目的で、先に
本出願人により、一方向性炭素繊維扁平糸織物が提案さ
れている(特願平5−77967号)。この先の提案に
よれば、炭素繊維扁平糸を使用しているので織物表面が
平滑で、かつ炭素繊維が均一に存在しているので高い接
着効果も得られるし、樹脂リッチ部やボイド部などの弱
点がないので高い補強効果が得られる。
【0006】しかしながら、織物を構成する炭素繊維扁
平糸は無撚糸であるものの、サイジング剤による繊維の
接着により樹脂の含浸性が阻害されたり、各炭素繊維同
士が交絡し合うことによる配向乱れによって強度低下が
生じるおそれがあり、炭素繊維の有する高い強度、弾性
率を十分に発揮できないおそれがある。
【0007】また、この先の提案による織物は織密度が
小さく非常にルーズな織物であるために、その製造にお
いてはたて糸を綜絖で一本交互に上下させた際、すでに
打ち込まれたよこ糸に張力が及んでよこ糸を大きく屈曲
させ、織物の状態でよこ糸の配向が乱れると同時にたて
糸の配向を維持することができないという問題が残され
ている。
【0008】また、上記先の提案とは別に、シート状に
引き揃えた二つの強化繊維糸条群を、各シートの糸条が
互いに交差する配置に重ね合わせ、両シートを補助糸を
用いて一体に保持した、いわゆるノンクリンプ織物が知
られている(たとえば、特公昭57−52221号公
報、米国特許第4,906,506号公報)。
【0009】しかし、このような補強織物は強化繊維糸
が屈曲を有しないため表面の凹凸は極めて小さいもの
の、主として二方向性織物であるため、前述した補強用
途等においては、不要な方向にまで強化繊維糸が配向さ
れていることになる。したがって、使用量に対する補強
の効率は必ずしも高くなく、また、補強基材が不必要に
厚くなって取扱い性が悪化するおそれがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、一方
向性補強織物において前述したような問題点を解決し、
一般の構造物の他、とくにセメント系構造体の補強等に
好適な一方向性補強織物およびその製造方法を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の一方向性補強織物は、応力が集中するよう
な屈曲を有しない扁平な強化繊維マルチフィラメント糸
を一方向に互いに並行かつシート状に引き揃えてなる糸
条群のシート面の両側に強化繊維マルチフィラメント糸
と交差するよこ方向補助糸群が位置し、それらよこ方向
補助糸群と、強化繊維マルチフィラメント糸と並行する
たて方向補助糸群とが織組織をなして糸条群を一体に保
持しており、かつ、前記強化繊維マルチフィラメント糸
、繊度が7,200〜20,000デニール、集束性
がフックドロップ値で100〜1,000mmの範囲に
あり、糸幅/糸厚み比が30以上であることを特徴とす
るものからなる。
【0012】本発明の一方向性補強織物においては、強
化繊維マルチフィラメント糸は、その糸幅/糸厚み比が
30以上であり、極めて扁平な状態に保たれている。こ
の扁平な強化繊維マルチフィラメント糸が一方向に互い
に並行かつシート状にかつ応力が集中するような屈曲を
有しない状態に引き揃えられ、その強化繊維マルチフィ
ラメント糸条群のシート面の両側によこ方向補助糸群が
配置され、よこ方向補助糸群と、強化繊維マルチフィラ
メント糸と並行するたて方向補助糸群とが織組織され
て、強化繊維マルチフィラメント糸条群が一体に保持さ
れている。強化繊維マルチフィラメント糸条群は、交差
した二つのよこ方向補助糸群に挟まれて一体化されてい
るので、強化繊維マルチフィラメント糸の幅を挟めるよ
うな力はほとんど働かず、強化繊維マルチフィラメント
糸の広い糸幅、扁平状態が安定して維持され、表面凹凸
の極めて少ない、表面が平坦で均一な織物基材となる。
【0013】セメント系構造体などを織物基材でもって
補強させる場合、織物基材の接着面が凸凹していると接
着剤構造体と織物基材の凹部に接着剤が多く存在するこ
とになり、接着剤が多くいる問題もあり、また応力が作
用した場合、接着剤が多く存在する部分に応力が集中し
その部分からクラックが発生する。特に、高速道路のよ
うに繰り返しの応力が作用する場合には、前記クラック
が進行し接着面が剥離してしまう問題があり、織物基材
の表面は均一であることが必要である。本発明の一方向
性補強織物は、上記のように極めて表面が均一な基材と
なるので、正にこのような要求を満たすことができる。
【0014】また、強化繊維マルチフィラメント糸は応
力が集中するような屈曲を有しないので、FRPに成形
された際強化繊維のほとんど全てが所定の補強方向に向
いており、極めて効率よく目標とする強度特性を発揮で
きる。しかも、強化繊維マルチフィラメント糸は糸幅/
糸厚み比が30以上と扁平度の大きいものであるから、
薄くて平滑な織物基材とすることができ、樹脂の含浸性
や強化繊維の分布の均一性も極めて良好に保つことがで
きる。したがって、ボイドや樹脂リッチな部分の発生を
抑え、FRP成形品やFRP構造物の一層均一かつ高強
度な特性を実現できる。
【0015】本発明に係る一方向性補強織物の具体的な
態様を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実
施態様に係る一方向性補強織物を示しており、図におい
て、1は応力が集中するような屈曲を有しない扁平な強
化繊維マルチフィラメント糸である。強化繊維マルチフ
ィラメント糸1は、一方向に互いに並行かつシート状に
引き揃えられて一つの糸条群となっている。そして、そ
のシートの上下両面で、かつ強化繊維マルチフィラメン
ト糸1と交差した二つのよこ方向補助糸群2、3と、強
化繊維マルチフィラメント糸1と並行した一つのたて方
向補助糸群4が織組織されて一体に保持されている。
【0016】図2は、本発明の別の実施態様に係る一方
向性補強織物の断面を示しており、強化繊維マルチフィ
ラメント糸1が複数(本実施態様では2層に)積層され
ている。この積層された強化繊維マルチフィラメント糸
1が、図1に示したと同様に一方向に互いに並行かつシ
ート状に引き揃えられ、一つの糸条群となっている。そ
して、シートの両面でかつ強化繊維マルチフィラメント
糸1と交差した二つのよこ方向補助糸群2、3と、強化
繊維マルチフィラメント糸1と並行した一つのたて方向
補助糸群4が織組織されて一体に保持されている。
【0017】図1、図2に示した態様では、たて方向補
助糸4がシート面の両側に位置するよこ方向補助糸2、
3に交互に交錯しているが、数本毎に交錯していてもよ
い。また、たて方向補助糸4は、隣接する強化繊維マル
チフィラメント糸間の各部位にそぞれ配置されている
が、強化繊維マルチフィラメント糸数本置きに配置して
もよい。
【0018】また、よこ方向補助糸2、3は、たて方向
補助糸4よりも高剛性であることが好ましく、それによ
ってよこ方向補助糸2、3が沈まなくて済み、強化繊維
マルチフィラメント糸1間に大きな隙間が生じるのを防
止できる。したがって、強化繊維マルチフィラメント糸
1の高いカバーファクターを実現できる。また、よこ方
向補助糸2、3は、実質的に真直に延びていることが好
ましい。これによって同様に、強化繊維マルチフィラメ
ント糸1間に大きな隙間が生じるのを防止でき、強化繊
維マルチフィラメント糸1の高いカバーファクターを実
現できる。
【0019】織物のカバーファクターとしては90%以
上が好ましく、95%以上であることがより好ましい。
【0020】ここで、カバーファクター(Cf)とは、
織物基材において面積S1の領域を設定したときに、そ
の面積S1と当該領域内に存在する繊維材以外の部分が
占める面積S2とから、次式、 Cf(%)=[(S1−S2)/S1]×100 に基づいて算出される値のことをいう。
【0021】上記の如く、織物の表面は、扁平な強化繊
維マルチフィラメント糸が1層または2層以上積層され
た状態で一方向に互いに並行かつシート状に引き揃えら
れているので、平滑である。しかしながら並列した各糸
条間に隙間があるとその部分は樹脂リッチ部となり特性
面でも不利であるし、また余分に樹脂が必要となるから
経済的に好ましくない。したがって、できる限り隙間が
小さいことが好ましく、織物のカバーファクターとし
て、前述の如く、90%以上、さらには95%以上が好
ましい。
【0022】このような高いカバーファクターを達成す
るために、強化繊維マルチフィラメント糸が前述の如き
扁平なものであると同時に、強化繊維マルチフィラメン
ト糸の集束性がフックドロップ値で100〜1,000
mmの範囲の開繊、拡幅されやすい、かつ実質的に撚り
がないマルチフィラメント糸条群であることが好まし
い。
【0023】ここでフックドロップ値とは、強化繊維マ
ルチフィラメント糸の集束性に関係する要素で、図3に
示す測定法によって測定されたフックの自由落下距離の
値をいう。まず、強化繊維マルチフィラメント糸101
を織物か加撚および解撚されることがないようにして分
析し、長さ120cmの扁平な強化繊維マルチフィラメ
ント糸101を、50mg/デニールの初荷重をかけた
状態で、糸の両端を撚りが入らないように、また扁平状
態が潰れないように鉛直方向に固定する。つぎに、固定
されている強化繊維マルチフィラメント糸の上部固定部
から10cmの位置で、強化繊維マルチフィラメント糸
の幅のほぼ中央部に、金属製ワイヤー直径が1mm、半
径が5mmのフック102に3cmの綿糸で重り103
を取り付け、フック102の自由落下距離を測定し、糸
の場合は、使用するボビンから10個のボビンをランダ
ム抽出し、1個のボビンにつき10回の測定を行い、1
0回の測定値から値の大きい3つを削除した値のn=7
0の平均値をフックドロップ値とする。また、織物の場
合は、長さ方向に1.3m長さの織物を3枚抽出し、各
織物からたて糸またはよこ糸を、毛羽が発生しないよう
に、また撚りが入らないようにほぐし、1枚の織物につ
きたて糸またはよこ糸について10回の測定を行い、1
0回の測定値から値の大きい3つを削除した値のn=2
1の平均値を、たて糸またはよこ糸フックドロップ値と
する。なお、ワイヤーおよび綿糸の重量は極力小さく
し、ワイヤー、綿糸および重りの合計重量を30gとす
る。
【0024】このフックドロップ値が大きいほど強化繊
維マルチフィラメント糸は開繊、拡幅されやすい。但し
大きすぎると、マルチフィラメント糸としての形態保持
性がなくなり、織物の製織が困難になるため、大きい方
にも限界がある。集束性をフックドロップ値で上記のよ
うな範囲にすることにより、織物の形態で織糸の最適な
扁平状態が得られ、かつその扁平状態が維持される。
【0025】たとえば炭素繊維糸を用いた補強織物とす
る場合、一般的に炭素繊維はその製造工程において、切
れたフィラメントのローラへの巻き付きによる工程トラ
ブルを防ぐため、エアーをプリカーサの繊維束に吹き付
け、フィラメント同士を交絡させて、炭素繊維糸に集束
性を付与している。また、サイジング剤の付着量や炭素
繊維のフィラメント同士の接着により炭素繊維糸に集束
性を付与している。フィラメント同士の交絡度合い、サ
イジング剤の付着量やサイジング剤による接着の度合い
によってこれら集束性の程度が決まるが、フックドロッ
プ値で100mm以下となり、集束性の程度が大きすぎ
ると、炭素繊維の集束性が強すぎてハンドレイアップ成
形やプリプレグ加工の際、織物のたて糸およびよこ糸の
幅が拡がることがなく、炭素繊維糸間に形成される空隙
に樹脂のボイドが集中的に発生する。また、プリプレグ
に加工する際に樹脂の含浸性が悪くなってしまい、高性
能なFRPが得られない。また、フックドロップ値が
1,000mm以上であると、炭素繊維糸の集束性が悪
くなり製織中に毛羽が発生し、作業環境が悪くなるばか
りかFRPの強度も低下する。
【0026】このフックドロップ値は、サイジング剤の
硬さ、付着量、撚り数、強化繊維の交絡状態など種々の
要因で決まるものであるが、この値が織物の性能や樹脂
の含浸性などに大きく関係していることを見出した。す
なわち、フックトロップ値が高い物は、強化繊維の配向
が均一であり、しかもサイジング剤による繊維同士の接
着が小さいということであるから、ハンドレイアップで
容易に樹脂含浸するし、繊維配向が均一であり高性能な
補強用織物といえることである。特に、高架道路の橋脚
補強においては、現場でハンドレイアップによって樹脂
を含浸させるものであるから、作業効率などから樹脂の
含浸性が高いことが必須である。また、強化繊維糸条群
のフックドロップ値が高い織物は、ハンドレイアップに
より織糸幅が容易に拡がる利点があり、繊維充填密度が
均一な高性能な繊維強化樹脂が得られる。
【0027】また、上記強化繊維マルチフィラメント糸
からなる織糸には、実質的に撚りがないことが必要であ
る。ここで「実質的に撚りがない」とは、糸長1m当た
りに1ターン以上の撚りがない状態をいう。つまり、現
実的に無撚の状態をいう。
【0028】織糸に撚りがあると、その撚りがある部分
で糸幅が狭く収束して分厚くなり、製織された織物の表
面に凹凸が発生する。このため、製織された織物は、外
力が作用した際にその撚り部分に応力が集中し、FRP
等に成形した場合に強度特性が不均一となってしまう。
【0029】このような最適な扁平状態の、実質的に撚
りがない織糸からなる補強織物は、織糸の繊度を大きく
しても、また繊維密度を大きくしても、各強化繊維マル
チフィラメント糸は扁平な状態に維持されつつ真直に一
方向に引き揃えられた状態に維持されるから、FRPや
CFRPにした際に高い強度特性が得られる。また、織
糸の繊度を上げられることから、織糸、ひいては補強織
物が、より安価に製造される。
【0030】また、織物目付を容易に高く設定でき、か
つ、織糸の扁平状態を確保した状態にてカバーファクタ
ーを100%近くに設定することが可能となる。したが
って、FRP等において、繊維含有率を高く設定できる
とともに、織糸間の樹脂リッチな部分を極めて小さく抑
えることができ、高強度でかつ均一な強度特性を有する
複合材料が得られる。
【0031】さらに、織物の形態で各強化繊維マルチフ
ィラメント糸が扁平な状態に維持されているから、樹脂
の含浸性が極めてよい。したがって、一層均一な特性の
複合材料が得られ、目標とする強度特性が容易に得られ
る。
【0032】また、強化繊維マルチフィラメント糸の積
層数は、必要な織物目付から決まるものであるが、高い
目付の織物を必要とする場合、低目付織物を何層も重ね
ながら使用することもできるが、現場での作業が繁雑と
なったり、積層枚数を間違えたりするので、強化繊維マ
ルチフィラメント糸を複数本積層した織物、つまり図2
に示したような織物にしておくほうが好ましい。
【0033】このような本発明に係る一方向性補強織物
においては、上記強化繊維マルチフィラメント糸の糸厚
みが0.07〜0.2mmであることが好ましい。糸厚
みが上記範囲未満であると、薄すぎて扁平糸の形態を保
持するのが困難となり、上記範囲を越えると、樹脂含浸
性等が低下するおそれがある。また、糸幅/糸厚み比が
30未満であると、前述のようなフックドロップ値の達
成が難しくなる。糸幅/糸厚み比の上限は特に限定しな
いが、上記フックドロップ値を考慮しつつ、現実の製織
工程の行い易さを考慮すると、上限値は150程度であ
る。また、糸幅としては、4〜16mmの範囲程度が製
織しやすい。
【0034】本発明に係る一方向性補強織物は、図1に
示したような態様の織物とする場合には、織物厚みが
0.1〜0.3mm、織物目付が100〜320g/m
2 であることが好ましい。このような本発明に係る一方
向性織物において、強化繊維マルチフィラメント糸
は7,200〜20,000デニールの範囲とされ
る。とくにこの範囲の下限値7,200デニールの値は
後述の実施例における値である。
【0035】また、上記強化繊維マルチフィラメント糸
が炭素繊維糸とする場合、炭素繊維糸でみた織物目付と
前記炭素繊維糸の繊度とが次式の関係を満たし、かつ、
カバーファクターが95%以上であることが好ましい。 W=k・D1/2 但し、W:織物目付(g/m2 ) k:比例定数(0.9〜2.0) D:炭素繊維糸の繊度(デニール)
【0036】また、図2に示したような複数積層された
強化繊維マルチフィラメント糸の織物とする場合には、
織物厚みが0.2〜0.6mm、織物目付が200〜5
00g/m2 であることが好ましい。糸幅/糸厚み比の
大きい強化繊維マルチフィラメント糸であるため、この
ように複数積層した状態で織成しても、織糸としては依
然として扁平状態を保つことができ、表面の平坦性、良
好な樹脂含浸性等を保つことができる。積層により、織
物の繊維密度を高めることができる。
【0037】ここで、織物の繊維密度とは、次式で定義
される値をいう。 織物の繊維密度(g/m3 )=[織物目付(g/
2 )]/[織物厚さ(mm)] なお、織物目付(g/m2 )および織物厚さ(mm)
は、それぞれJIS R7602に準拠して測定した値
である。
【0038】
【0039】また、上記強化繊維マルチフィラメント糸
が炭素繊維糸からなる場合、炭素繊維糸でみた織物目付
と前記炭素繊維糸の繊度とが次式の関係を満たし、か
つ、カバーファクターが95%以上であることが好まし
い。 W=k・D1/2 但し、W:織物目付(g/m2 ) k:比例定数(2.0〜4.2) D:炭素繊維糸の繊度(デニール)
【0040】なお、強化繊維糸が炭素繊維糸の場合、使
用する炭素繊維扁平糸の特性として、引張破断伸度が大
きく、引張破断強度が高い必要があり、引張破断伸度は
1.5%以上、引張破断強度は200kg・f/mm2
以上、引張弾性率は20,000kg・f/mm2 以上
であることが望ましい。
【0041】また、上記のような扁平糸自身の作成方法
としては、たとえば、強化繊維糸の製造工程において、
複数の強化繊維からなる繊維束をロール等で所定の幅に
拡げ、扁平な形状にしてそのまま保持するか、あるいは
元に戻らないようにサイジング剤等で形態を保持させれ
ばよい。とくに、扁平形状を良好に保持するためには、
扁平糸に0.5〜2.0重量%程度の小量のサイジング
剤を付着させておくことが好ましい。
【0042】本発明の一方向性補強織物における補助糸
としては、繊度が2,000デニール以下の細い繊維か
らなる織糸を使用することが好ましく、さらに好ましく
は50〜600デニールである。補助糸は、繊度が大き
いとクリンプが大きくなり、また、繊度が小さいと製織
や取扱いに際して切断し易い。この補助糸は、並行する
扁平な強化繊維マルチフィラメント糸を一体に保持する
ことを目的に使用され、炭素繊維やガラス繊維などの無
機繊維、ポリアラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステ
ル繊維などの有機繊維が使用でき、種類に関しては特に
限定はない。
【0043】前記たて方向および/またはよこ方向の補
助糸としては、その引張破断伸度が強化繊維マルチフィ
ラメント糸の引張破断伸度よりも大きいことが好まし
い。これによって、より確実に、強化繊維マルチフィラ
メント糸条群を一体に保持する補助糸の役目が達成され
る。
【0044】強化繊維マルチフィラメント糸が炭素繊維
糸である場合には、該炭素繊維糸を一体に保持させる補
助糸は、高強度、高弾性糸であってしかも破断伸度の大
きいガラス繊維糸またはアラミド繊維糸であることが好
ましい。さらに補助糸の繊度は炭素繊維扁平糸の繊度の
1/5〜1/20程度の細繊度が好ましい。そうするこ
とにより一体化させている補助糸が必要に応じて屈曲
し、炭素繊維扁平糸を真っ直ぐ維持させることができ
る。
【0045】本発明の一方向性補強織物においては、接
着剤として線状または点状に延びる低融点ポリマーを強
化繊維マルチフィラメント糸や補助糸に含ませることに
より、強化繊維マルチフィラメント糸と補助糸、あるい
は補助糸間を接着して目止めできる。これによって、所
定の織組織が一層確実に維持され、一方向に引き揃えら
れた強化繊維マルチフィラメント糸条群が所定形態によ
り確実に維持される。
【0046】使用する低融点ポリマーとしては、ナイロ
ン、共重合ナイロン、ポリエステル、塩化ビニリデン、
塩化ビニル、ポリウレタンなどである。中でも、共重合
ナイロン、例えば、ナイロン6、66および610の共
重合ナイロン、ナイロン6、12、66および610の
共重合ナイロンは熱硬化性樹脂との接着が良好であるの
で好ましい。
【0047】たとえば図4に示すように、強化繊維マル
チフィラメント糸1の中央部に強化繊維マルチフィラメ
ント糸1の長さ方向に低融点ポリマーの接着剤5が線状
または点状(図示例では点状)に配置され、強化繊維マ
ルチフィラメント糸1と交差するよこ方向補助糸2およ
び/または3とが接着される。接着剤5の好ましい量は
織物重量の0.1〜5重量%である。ただし、この接着
剤5はマトリクス樹脂とは異質のものであるから、接着
さえ可能ならば極力少ない方がよい。
【0048】このように、接着剤5が強化繊維マルチフ
ィラメント糸1の中央部に線状に配置しているので、確
実に強化繊維マルチフィラメント糸1と補助糸2および
/または3とを接着させることができ、実際の使用にお
いて繊維配向が乱れたりすることがなく取扱い性の優れ
た織物となる。また、本発明の織物を数枚積層させて使
用する場合、積層しながらアイロンなどで熱を加えるこ
とにより織物同士を接着させることができ、作業しやす
い利点がある。このとき、接着剤を織物の片面のみに配
置させておけば、アイロンに接着剤が付着することがな
く織物を接着させることができる。
【0049】上記低融点ポリマーからなる接着剤は、図
5に示すように配置してもよい。図5においては、たて
方向および/またはよこ方向の補助糸(図示例ではたて
方向補助糸4)が接着剤5を含んでおり、その接着剤5
によりたて方向補助糸4およびよこ方向補助糸2、3が
その交点において互いに接着されている。接着剤5は線
状又は点状(本態様では線状)に延びている。この接着
剤5は、補助糸に対してらせん状に延びていてもよい。
【0050】さらに、図示は省略するが、強化繊維マル
チフィラメント糸シートの少なくとも片面に位置するよ
こ方向補助糸が低融点ポリマーを含んでおり、そのポリ
マーが、たて方向補助糸との交点において該たて方向補
助糸に接着しているとともに、強化繊維マルチフィラメ
ント糸に接着している態様としてもよい。
【0051】たて方向とよこ方向の補助糸両方に低融点
ポリマーを配置すれば、強化繊維マルチフィラメント糸
と補助糸、および補助糸同士の交差部をより確実に接着
でき、一層強固な目止めを行うことができる。
【0052】上述のような本発明の一方向性補強織物を
用いてプリプレグ、本発明に係るFRP、さらには該
FRPを用いて補強された構造物が得られる。
【0053】本発明においてプリプレグを作成する場合
には、前述の本発明の一方向性補強織物に30〜70重
量%のマトリクス樹脂を含浸したものとする。より好ま
しい樹脂量は35〜45重量%である。
【0054】使用するマトリクス樹脂としては、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フ
ェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの
熱硬化性樹脂は、織物に含浸された状態ではBステージ
である。また、マトリクス樹脂として、ナイロン樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ビスマ
レイミド樹脂等の熱可塑性樹脂も使用することができ
る。
【0055】このようなプリプレグを用いた繊維強化複
合材料におけるマイクロクラックの発生を防ぐために
は、マトリクス樹脂の硬化状態または固化状態における
引張破断伸度を補強織物の強化繊維マルチフィラメント
糸の引張破断伸度よりも大きくすることが効果的であ
る。たとえば、マトリクス樹脂が、硬化状態における引
張破断伸度が3.5〜10%の熱硬化性樹脂または固化
状態における引張破断伸度が8〜200%の熱可塑性樹
脂であることが好ましい。
【0056】また、本発明に係るFRPは、前述の本発
明の一方向性補強織物を含み、かつ、30〜70重量%
のマトリクス樹脂を含むものからなる。マトリクス樹脂
としては、前記と同様の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹
脂が使用できる。また、マトリクス樹脂の引張破断伸度
が補強織物の強化繊維マルチフィラメント糸の引張破断
伸度よりも大きいことが好ましく、引張破断伸度が3.
5〜10%の熱硬化性樹脂または引張破断伸度が8〜2
00%の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0057】上記プリプレグを用いたFRP成形品は公
知の方法で成形することができる。プリプレグを所定の
枚数を所定の方向に積層し、マトリクス樹脂が熱硬化性
樹脂の場合は100〜200℃で加熱しながら4〜10
kg/cm2 の加圧下で樹脂を硬化することによって、
熱可塑性樹脂の場合は7〜30kg/cm2 の加圧下で
樹脂の融点以上に加熱して、樹脂を溶融し冷却すること
によって成形することができる。
【0058】また、本発明に係るFRPを用いて補強さ
れた構造物は、たとえば前述の如きプリプレグを補強対
象物に所定枚数巻きつけ、たとえば加熱硬化させること
により得られる。また、可能であれば、織物やプリフォ
ームの形態で補強対象物に所定枚数巻きつけ、樹脂を加
圧含浸させて硬化させてもよい。
【0059】本発明に係る一方向性補強織物は、凹凸が
極めて少なく平坦であり、かつ取扱い性や樹脂含浸性に
も優れているので、補強対象物との接着面積を大きくと
ることができるとともに、施工が容易であり、かつ成形
されたFRPも樹脂リッチな部分やボイド等のない、均
一でかつ高物性のものとできる。したがって、セメント
系構造物の補強に用いて最適なものとなる。
【0060】本発明の一方向性補強織物は、たとえば次
のように製造される。すなわち、本発明に係る一方向性
補強織物の製造方法は、繊度が7,200〜20,00
0デニール、集束性がフックドロップ値で100〜1,
000mmの範囲にある、実質的に撚りがない扁平な強
化繊維マルチフィラメント糸を一方向に互いに並行かつ
シート状に引き揃えるとともに、強化繊維マルチフィラ
メント糸間に強化繊維マルチフィラメント糸と並行にた
て方向補助糸を供給してシート状に引き揃え、強化繊維
マルチフィラメント糸のシートとたて方向補助糸のシー
トとを開閉させて両シート間によこ方向補助糸を供給す
ることを特徴とする方法からなる。
【0061】図面を用いてより具体的に説明すると、図
6、図7に示すように、扁平な強化繊維マルチフィラメ
ント糸11を織機の綜絖12のメール12a、12a・
・・・に通し、たて方向補助糸13をメール12a、1
2a・・・・間のメール12b、12b・・・・に通
し、これらを筬14を通しつつ開閉運動させる。開閉さ
せる強化繊維マルチフィラメント糸11の糸条群からな
るシートとたて方向補助糸群13との間に、図6、図7
に示すように順次よこ方向補助糸15を供給して、本発
明に係る一方向性補強織物を製織する。よこ方向補助糸
15は、強化繊維マルチフィラメント糸シートに対して
両面に交互に配置され、このよこ方向補助糸15とたて
方向補助糸13とが織組織されて、強化繊維マルチフィ
ラメント糸条群が一体に保持される。織機としては、公
知のレピア織機等を使用できる。
【0062】
【実施例】
実施例1 引張破断強度が500kgf/mm2 、引張弾性率が2
3,500kgf/mm2 、破断伸度が2.1%の炭素
繊維(東レ(株)社製 トレカT700SC−12K
(繊度7,200デニール)からなり、その炭素繊維を
糸幅6.5mmの扁平状に拡げてサイジング剤で形態保
持させ、以後の工程においても扁平状を保持させた糸条
を同一綜絖枠内の各綜絖に2本積層させて供給し、別の
綜絖枠の各綜絖にはガラス繊維糸(日東紡(株)社製
ECE225−1/2)を供給し、前記炭素繊維糸とガ
ラス繊維糸が一本交互に配列するようにする。
【0063】そして、炭素繊維糸とガラス繊維糸が通さ
れている綜絖枠を図6、図7に示したように交互に上下
させ、得られたたて糸開口部に、よこ糸としてガラス繊
維糸(日東紡(株)社製 ECG75−1/2)を挿入
して、製織した。また、前記織物を構成する炭素繊維糸
のフックドロップ値は、220mmで、織物のカバーフ
ァクターは95%であった。炭素繊維糸からなるたて糸
の密度は、積層された状態を単位として1.25本/c
m、よこ糸密度を0.5本/cmで製織し、炭素繊維の
目付は200g/m2 であった。
【0064】得られた織物の表面は非常に平坦かつ均一
で、炭素繊維糸は扁平状態を維持して真っ直ぐに延びて
いるものであった。この織物に不飽和ポリエステル樹脂
をハンドレイアップで含浸させ、4枚同方向に積層させ
て常温で硬化し、硬化板を作成した。硬化板を作成する
際、容易に樹脂含浸することができ、得られた硬化板に
おいてもボイドがなく、表面も均一なものであった。そ
の硬化板をJIS−K7073のCFRPの引張試験法
に準拠して引張強度を測定した。その結果を炭素繊維体
積含有率と引張弾性率と共に表1に示す。
【0065】比較例1 実施例1で使用した炭素繊維糸と同じ糸をたて糸とし、
よこ糸にガラス繊維糸(日東紡(株)社製 ECE22
5−1/2)を用い、平織組織で従来の製織法により製
織した。そして、たて糸の炭素繊維糸の織密度は2.5
本/cm、よこ糸のガラス繊維糸の織密度は0.5本/
cmで、炭素繊維の目付は実施例1と同じ200g/m
2 とした。
【0066】得られた織物は、扁平な炭素繊維糸が幅方
向に折り畳まれて集束してよこ糸と交錯し合っているた
め織物表面が凸凹している。また、よこ糸の太さがたて
糸太さに比べ余りにも細いため、たて糸の開口時に既に
打ち込まれたよこ糸にたて糸の高い張力が及ぶため、特
に耳部においてよこ糸が逃げて拘束をルーズにしてお
り、たて糸配列が乱れる問題が生じた。
【0067】この織物を、実施例1と同じ方法により硬
化板を作成した。樹脂の含浸作業において、織物が凸凹
しているために、実施例1と同量の樹脂を準備したが不
足したために追加して含浸した。得られた硬化板は、織
物の凹凸がそのまま現れ、表面が凸凹したものであっ
た。その硬化板の引張強度を実施例1と同じ方法で測定
した。その結果を炭素繊維体積含有率と引張弾性率と共
に表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の一方向性
補強織物およびその製造方法によれば、応力が集中する
ような屈曲を有しない、繊度が7,200〜20,00
0デニール、集束性がフックドロップ値で100〜1,
000mmの範囲にあり、糸幅/糸厚み比が30以上の
扁平な強化繊維マルチフィラメント糸が一方向に並行か
つシート状に引き揃えられ、シート面の両面に配置され
たよこ方向補助糸群と強化繊維マルチフィラメント糸と
並行するたて方向補助糸群とにより織組織されているの
で、繊度の大きい強化繊維マルチフィラメント糸であっ
ても所定方向に真っ直ぐに配向し、しかも強化繊維マル
チフィラメント糸がよこ方向補助糸の締め付けによって
集束することがなく均一に高い繊維密度で分散している
ので、強化繊維の有する高い引張強度、弾性率が十分に
発揮される。
【0070】また、強化繊維マルチフィラメント糸のフ
ックドロップ値を高くしているので、各単繊維をより均
一に配向させることができ、さらにサイジング剤による
単繊維の接着も少なくできるので、一層樹脂を含浸し易
くでき、補強基材として最適な織物とすることができ
る。
【0071】また、織物表面が平滑であるから、例えば
セメント構造体に接着させて補強させる場合、接着面に
接着剤が均一に存在するので高い接着効果が得られる。
とくに、高速道路などのように繰り返しの応力が作用す
るものに対しては高い効果が得られる。
【0072】さらに、低融点ポリマーを配して目止めを
行えば、所望の織物の形態を一層安定して維持すること
ができ、屋外での作業にも十分に耐え得る形態保持性の
高い一方向性補強織物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る一方向性補強織物の
斜視図である。
【図2】本発明の別の実施態様に係る一方向性補強織物
の断面図である。
【図3】フックドロップ値の測定装置の斜視図である。
【図4】本発明のさらに別の実施態様に係る一方向性補
強織物の斜視図である。
【図5】本発明のさらに別の実施態様に係る一方向性補
強織物の斜視図である。
【図6】本発明の一方向性補強織物の製造方法を示す織
機の部分斜視図である。
【図7】図6の織機の別の動作状態を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1、11、101 強化繊維マルチフィラメント糸 2、3、15 よこ方向補助糸 4、11 たて方向補助糸 5 低融点ポリマー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−191244(JP,A) 特開 平1−40632(JP,A) 特開 昭62−276053(JP,A) 特開 平4−281037(JP,A) 特開 昭61−138743(JP,A) 特開 平10−331047(JP,A) 特開 平11−1840(JP,A) 特開 平7−243147(JP,A) 特許2955145(JP,B2) 特許2836457(JP,B2) 特許3089984(JP,B2) 特許3094835(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 1/00 - 27/18 B29B 11/16 C08J 5/24

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 応力が集中するような屈曲を有しない扁
    平な強化繊維マルチフィラメント糸を一方向に互いに並
    行かつシート状に引き揃えてなる糸条群のシート面の両
    側に強化繊維マルチフィラメント糸と交差するよこ方向
    補助糸群が位置し、それらよこ方向補助糸群と、強化繊
    維マルチフィラメント糸と並行するたて方向補助糸群と
    が織組織をなして糸条群を一体に保持しており、かつ、
    前記強化繊維マルチフィラメント糸は、繊度が7,20
    0〜20,000デニール、集束性がフックドロップ値
    で100〜1,000mmの範囲にあり、糸幅/糸厚み
    比が30以上であることを特徴とする一方向性補強織
    物。
  2. 【請求項2】 前記強化繊維マルチフィラメント糸がそ
    の長さ方向に線状または点状に延びる低融点ポリマーを
    含んでおり、該低融点ポリマーがよこ方向の補助糸に接
    着されている、請求項1の一方向性補強織物。
  3. 【請求項3】 たて方向および/またはよこ方向の補助
    糸が低融点ポリマーを含んでおり、そのポリマーにより
    たて方向補助糸およびよこ方向補助糸がその交点におい
    て互いに接着されている、請求項1または2の一方向性
    補強織物。
  4. 【請求項4】 前記シート面の少なくとも片側に位置す
    るよこ方向補助糸が低融点ポリマーを含んでおり、その
    ポリマーが、たて方向補助糸との交点において該たて方
    向補助糸に接着しているとともに、前記強化繊維マルチ
    フィラメント糸に接着している、請求項1または2の一
    方向性補強織物。
  5. 【請求項5】 前記低融点ポリマーが、ナイロン、共重
    合ナイロン、ポリエステル、塩化ビニリデン、塩化ビニ
    ル、ポリウレタンから選ばれたものである、請求項2な
    いし4のいずれかに記載の一方向性補強織物。
  6. 【請求項6】 たて方向補助糸が、前記シート面の両側
    に位置するよこ方向補助糸に交互に交錯している、請求
    項1ないし5のいずれかに記載の一方向性補強織物。
  7. 【請求項7】 よこ方向補助糸がたて方向補助糸よりも
    高剛性である、請求項1ないし6のいずれかに記載の一
    方向性補強織物。
  8. 【請求項8】 よこ方向補助糸が実質的に真直に延びて
    いる、請求項1ないし7のいずれかに記載の一方向性補
    強織物。
  9. 【請求項9】 カバーファクターが90%以上である、
    請求項1ないし8のいずれかに記載の一方向性補強織
    物。
  10. 【請求項10】 前記強化繊維マルチフィラメント糸が
    炭素繊維糸である、請求項1ないし9のいずれかに記載
    の一方向性補強織物。
  11. 【請求項11】 前記強化繊維マルチフィラメント糸
    実質的に撚りがないマルチフィラメント糸である、
    請求項1ないし10のいずれかに記載の一方向性補強織
    物。
  12. 【請求項12】 前記強化繊維マルチフィラメント糸の
    糸厚みが0.07〜0.2mmである、請求項1ないし
    11のいずれかに記載の一方向性補強織物。
  13. 【請求項13】 織物厚みが0.1〜0.3mm、織物
    目付が100〜320g/m2 である、請求項1ないし
    12のいずれかに記載の一方向性補強織物。
  14. 【請求項14】 前記強化繊維マルチフィラメント糸が
    炭素繊維糸からなり、前記炭素繊維糸でみた織物目付と
    前記炭素繊維糸の繊度とが次式の関係を満たし、かつ、
    カバーファクターが95%以上である、請求項1ないし
    13のいずれかに記載の一方向性補強織物。W=k・D 1/2 但し、W:織物目付(g/m 2 k:比例定数(0.9〜2.0) D:炭素繊維糸の繊度(デニール)
  15. 【請求項15】 前記強化繊維マルチフィラメント糸が
    複数積層されている、請求項1ないし12のいずれかに
    記載の補強織物。
  16. 【請求項16】 織物厚みが0.2〜0.6mm、織物
    目付が200〜500g/m 2 である、請求項15の補
    強織物。
  17. 【請求項17】 前記強化繊維マルチフィラメント糸が
    炭素繊維糸からなり、前記炭素繊維糸でみた織物目付と
    前記炭素繊維糸の繊度とが次式の関係を満たし、かつ、
    カバーファクターが95%以上である、請求項15また
    は16の補強織物。W=k・D 1/2 但し、W:織物目付(g/m 2 k:比例定数(2.0〜4.2) D:炭素繊維糸の繊度(デニール)
  18. 【請求項18】 前記たて方向および/またはよこ方向
    の補助糸の引張破断伸度が前記強化繊維マルチフィラメ
    ント糸の引張破断伸度よりも大きい、請求項1ないし1
    7のいずれかに記載の一方向性補強織物。
  19. 【請求項19】 前記補助糸が炭素繊維糸、ガラス繊維
    糸、ポリアラミド繊維糸、ビニロン繊維糸、ポリエステ
    ル繊維糸から選ばれたものである、請求項1ないし18
    のいずれかに記載の一方向性補強織物。
  20. 【請求項20】 請求項1ないし19のいずれかに記載
    の一方向性補強織物を含み、かつ、30〜70重量%の
    マトリクス樹脂を含む繊維強化プラスチック。
  21. 【請求項21】 前記マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂ま
    たは熱可塑性樹脂である、請求項20の繊維強化プラス
    チック。
  22. 【請求項22】 前記マトリクス樹脂の引張破断伸度が
    補強織物の強化繊維マルチフィラメント糸の引張破断伸
    度よりも大きい、請求項20または21の繊維強化プラ
    スチック。
  23. 【請求項23】 請求項20ないし22のいずれかに記
    載の繊維強化プラスチックを用いて補強された構造物。
  24. 【請求項24】 繊度が7,200〜20,000デニ
    ール、集束性がフックドロップ値で100〜1,000
    mmの範囲にある、実質的に撚りがない扁平な強化繊維
    マルチフィラメント糸を一方向に互いに並行かつシート
    状に引き揃えるとともに、強化繊維マルチフィラメント
    糸間に強化繊維マルチフィラメント糸と並行にたて方向
    補助糸を供給してシート状に引き揃え、強化繊維マルチ
    フィラメント糸のシートとたて方向補助糸のシートとを
    開閉させて両シート間によこ方向補助糸を供給すること
    を特徴とする、一方向性補強織物の製造方法。
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