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JP3275978B2 - 気液分離装置 - Google Patents

気液分離装置

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Publication number
JP3275978B2
JP3275978B2 JP28204693A JP28204693A JP3275978B2 JP 3275978 B2 JP3275978 B2 JP 3275978B2 JP 28204693 A JP28204693 A JP 28204693A JP 28204693 A JP28204693 A JP 28204693A JP 3275978 B2 JP3275978 B2 JP 3275978B2
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JP
Japan
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gas
liquid
treated
liquid separation
porous
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JP28204693A
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JPH07112101A (ja
Inventor
汀 安藤
雅彦 奥山
光史 岡田
Original Assignee
日本特殊陶業株式会社
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Publication date
Application filed by 日本特殊陶業株式会社 filed Critical 日本特殊陶業株式会社
Priority to JP28204693A priority Critical patent/JP3275978B2/ja
Publication of JPH07112101A publication Critical patent/JPH07112101A/ja
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  • Degasification And Air Bubble Elimination (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被処理液又はその溶質
から物理的手段により気体を脱気させ、気体とその気体
の脱気された後の液体とを分離回収する気液分離装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、被処理液に含まれる溶存物質
を物理的あるいは化学的に分離除去する装置が数多く提
案されている。例えば、水道水中に含有される塩素ガス
やその他の不純物を取り除くために活性炭、中空糸等を
用いた濾過、分離装置は良く知られているものである。
これらの濾過、分離装置は、塩素ガスが水溶媒中に溶解
した状態で濾過、分離するところに特徴があり、被処理
溶液を濾過、分離装置に送り込めば、処理液としての水
が得られるものである。
【0003】しかし、この種の濾過、分離装置において
は定期的に活性炭、中空綿糸を取り替える必要があり、
長期的にはコストがかさむ問題点があった。また被濾
過、被分離成分を取り出して利用することができないと
いう問題点があった。そこで、濾材を用いることなく、
被処理液から気体成分を発生させることによって被処理
液を特定気体成分と残存溶液成分とに分離する気液分離
装置が数多く提案されている。
【0004】例えば、被処理液から気体成分を発生させ
る第1の手段として、被処理液の入った容器を真空ポン
プにより減圧し気体成分の有する飽和蒸気圧よりも低い
圧力条件下に置くことにより、被処理液中の気体成分が
蒸発され易い状態を実現して気体成分と液体成分を分離
する気液分離装置が知られている。また第2の手段とし
て、被処理液を半透膜を介して溶媒と接触させることに
より、被処理液中の溶質(気体成分)を溶媒中に拡散溶
解させて被処理液中の溶質(気体成分)を取り除いて溶
媒のみを残存させるようにした気液分離装置が知られて
いる。
【0005】更に第3の手段として、被処理液を加熱す
ることにより被処理液中に含まれる溶質(気体成分)の
溶解度を低下させて、気体成分を気化分離させてる気液
分離装置が知られている。また第4の手段として、被処
理液中の溶質(気体成分)の沸点と溶媒(液体成分)の
沸点の相違を利用して、被処理液を蒸留することにより
揮発分離して溶媒と溶質とに気化分離する気液分離装置
が知られている。また第5の手段として、被処理液を大
気開放下にある触媒槽に満たし撹拌して気液分離を促進
させた後、静置して下方から溶媒のみを取り出すような
気液分離装置が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
気液分離装置においては、以下の問題が存在した。すな
わち、被処理液を減圧下に置くことにより気液を分離す
る気液分離装置は、沸点が高い溶質を含有する被処理液
に対して用いても常温下においては、溶質(気体成分)
の蒸発を促進することができず、沸点の低い溶質を含有
する被処理液に対する使用に限定されるという問題があ
った。また、真空ポンプ等を装置の一部として具設する
必要があることから装置が大型化すると共に、被処理液
中の溶質が腐食性気体の場合には、真空ポンプ等が腐食
され気液分離装置の製品寿命を著しく縮める虞があり、
更に真空ポンプ等の稼動に伴い騒音、振動が発生すると
いう問題があった。
【0007】また、半透膜等の膜を用いて被処理液中の
溶質を取り除く気液分離装置においては、気液分離処理
時間は溶媒中における溶質の拡散時間(拡散速度)に依
存するので、気液分離を完了するまでには長い時間が必
要であるという問題があった。この問題は、通常溶質の
溶媒中への拡散速度が遅いことに起因するものである
が、拡散速度は溶媒と溶質の相互関係から生じる物性値
であることからこれを飛躍的に促進させることは困難で
あり、溶媒と溶質の接触面積を大きくする等して絶対的
な拡散量を増大させることが必要となり装置が大型化し
てしまうという問題があった。
【0008】更に、加熱手段により被処理液を単に加熱
して気体成分と液体成分とを分離させる気液分離装置に
おいては、加熱により被処理液中に現れる微細な気泡は
液体成分との分離回収が極めて困難であり、別に何らか
の分離回収手段を設けなければ分離精度が極めて悪いと
いう問題がある。また、被処理液を蒸留によって溶質と
溶液に分離する気液分離装置にあっては、被処理液中の
所望の気体成分を蒸発させるために加熱装置が必要とな
り、エネルギーコストが極めて高くなると共に、蒸留塔
等の蒸留装置を配設しなければならず装置全体が著しく
大型化され、また設備費用がかさむという問題があっ
た。
【0009】また、触媒槽を用いた気液分離装置にあっ
ては、気液分離操作は被処理液中の気体成分が大気中に
放出されるのを待機するバッチ処理に留まることから連
続操作を行うことは困難であり、処理能力に劣るという
問題点がある。また、分解生成した微細な気泡は、溶液
からなかなか脱気せず触媒槽の下層から溶媒を取り出す
ようにしても、溶媒との分離が困難であり、気液分離精
度が悪いという問題があった。
【0010】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、気体成分と液体成分とを高い気液分離
性能をもって分離回収する気液分離装置を提供すること
を目的とする。また、被処理液の特性を変えることなく
気体成分と液体成分とを分離回収すると共に、更に高い
エネルギーコストが不用で、騒音、振動が発生せず、省
スペース性に優れる気液分離装置を提供することをも目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明に係る気液分離装置は、液体が透過可能な多
孔質壁により仕切られた空間へ給送される被処理液の給
送路に、被処理液から溶存ガスを物理的に分離(脱気)
させる溶存ガス分離(脱気)手段を備え、該溶存ガス分
離(脱気)手段により溶存ガスが分離(脱気)除去され
た分離液が前記多孔質壁より系外へ抽出されるように構
成されていることを発明の要旨とする。
【0012】このとき用いられる、前記物理的な溶存ガ
ス分離(脱気)手段の例として、加熱手段、振動手段等
が挙げられる。そして、前記空間には、前記被処理液の
圧力を、前記多孔質壁のバブルポイント圧力よりも低く
するための調圧バルブが設けられていることが望まし
い。
【0013】
【作用】上記構成を備える本発明に係る気液分離装置に
よれば、被処理液に溶存する溶存ガスは、給送路に備え
られた加熱手段、振動発生手段といった物理的な溶存ガ
ス分離(脱気)手段によって脱気され、これによって被
処理液は、ガスと溶存ガスの脱気された分離液とに分離
される。
【0014】こうして脱気されたガスと溶存ガスの脱気
された被処理液は、分離された状態のままバブルポイン
ト圧力P以下においては液体のみが透過可能な多孔質壁
により仕切られた空間に給送される。そして、この多孔
質壁に形成された空隙(気孔)から溶存ガスの脱気され
た分離液のみが系外へ抽出され、脱気された溶存ガスは
系内に残されて除去されることとなる。
【0015】多孔質壁のバブルポイント圧力は、多孔質
壁を液体(例えば水)の中に浸漬し、多孔質壁の一方側
からガス圧をかけて気孔中の液体を押しだし、他方側か
ら気泡が出始めるときのガス圧から求めることができる
(バブルポイント法)。また、このバブルポイント圧力
Pは、多孔質壁の最大気孔径r、液体の表面張力γ、液
体と多孔質壁面との接触角θ、気孔の形状係数Kを用い
て、 P=K・4πγ・cosθ・1/r なる関係式を近似的に満たすことが知られており、この
式から処理圧力に応じた気孔径の範囲を推測することも
可能である。
【0016】たとえば、使用圧力を2kg/cm2 と設
定すると用いる多孔質壁のバブルポイント圧力Pは、少
なくとも2kg/cm2 より高い値のものでなければな
らない。ここで、多孔質壁がアルミナセラミック多孔
体、被処理液が水である場合、水の表面張力を73dy
ne/cm、水とアルミナセラミックとの接触角を1
0、アルミナセラミック多孔体の気孔の形状係数を0.
2とすると、前記関係式より最大気孔径rは、0.9μ
m以下と算出される。一般に気孔径の分布には幅がある
のでそれを考慮した気孔径を持つ多孔体を選択して用い
るようにすると良い。
【0017】
【実施例】以下に本発明を具体化した気液分離装置Dの
実施例を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発
明に係る気液分離装置Dの全体概略構成を示す説明図で
あり、第2図は、図1に示した気液分離装置Dの脱気部
V、気液分離回収部Sを詳細に示す断面図であり、図3
は、気液分離回収部を構成する多孔質管体の断面を模式
的に示す図である。
【0018】図1に示すように、本発明に係る気液分離
装置Dは、被処理液を供給する被処理液供給管10と、
被処理液供給管10と接合され、被処理液から気体成分
を脱気させる脱気部Vと、その脱気部Vと接合され脱気
された気体成分と液体成分を分離回収する気液分離回収
部Sと、気液分離回収部Sに接合された処理ガス配管2
0とから構成されている。
【0019】なお、本実施例においては、被処理液とし
て水道水を用い、水道水から塩素ガス(Cl2)を気体
成分として脱気させ、液体成分として水(H2O)を得
るものである。
【0020】続いて図2を参照して各構成部材を詳細に
説明する。被処理液供給管10の接合部11近傍には、
水道水量を調節する流量調節バルブ12が形設されてお
り、また接合部11には脱気部Vを構成するステンレス
管13が内包されるように嵌合され、被処理液供給管1
0の接合端面11aとステンレス管13の外周13aと
は溶接等により密封接続されている。
【0021】脱気部Vは、水道水が流動するための外径
7.0mm、内径5.0mm、長さ300mmの中空状
のステンレス管13と、そのステンレス管13を介して
水道水を加熱して、溶存する塩素ガスを脱気させるため
の加熱手段であるPTC(Positive Temperature Coeff
icient)発熱体14とから構成されている。そして、ス
テンレス管13を軸にしてその外周13aにPTC発熱
体14が取り付けられており、ステンレス管13は他の
部材と接合されることからPTC発熱体14よりも長く
なるように構成されている。ステンレス管13における
被処理液供給管10との接合端部13bの反対端部13
cには、気液分離回収部Sを構成する多孔質管体15が
接続されている。
【0022】気液分離回収部Sは、外径7.0mm、内
径5.0mm、長さ300mmのアルミナ製多孔質管体
15とこれを覆う袋管16から構成されており、これら
の各端部15a、16aは、脱気部Vを構成するステン
レス管13の端部13cと溶接等により接合されてい
る。
【0023】袋管16は、ガラス材料により成形されて
おり、その両端部16a、16bには多孔質管体15を
貫通させるための貫通穴17が形成されている。また、
袋管16の底部には多孔質管体15の外部壁面15bか
ら漏出される水を受けるための受皿部16bが形設され
ており、更に多孔質管体15から落下した水を処理液と
して排出するための排出口16cが配設され、その排出
口16cには、処理液を給水栓Nへ供給するための排出
配管18が接続されている。
【0024】多孔質管体15には、図3に示すように、
管体全域に亘って複数の気孔19が形成されており、こ
の多孔質管体15は、次のように製造されている。尚、
図3は、気孔19が形成された多孔質管体15をモデル
的に示した図であって、気孔19の現実の状態を例示す
るものではない。
【0025】すなわち、平均粒径5μmのアルミナ粉末
1kgに対して硅灰石20g、滑石30g、メチルセル
ロース20g、水100gの配合量となるようにそれぞ
れの原料をミキサーに投入して良く混練し、混練された
ものを押出成形機によって外径7.7mm、内径5.5
mmの中空状の生管体を製作する。
【0026】そして、この生管体を自然乾燥した後、1
600℃の下で約3時間焼成することにより生管体中に
含有されているメチルセルロースが分解焼失し、硅灰
石、滑石が焼結助剤として作用してアルミナ粒子同士が
焼結する。そのときに、このアルミナ粒子間に通気空隙
(連通気孔)19が三次元的に形成された多くの連通気
孔19を有する多孔質管体15が得られる。
【0027】この多孔質管体15に形成された気孔19
の平均気孔径は、0.8μmであり、単位面積当りの気
孔19の量を示す気孔率は、41%であり、そして、被
処理液(液体)のみが透過され、塩素ガス(気体)は透
過されない境界圧力を示すバブルポイント圧力は、前述
のバブルポイント法により測定したところ、本実施例に
用いた多孔質管体においては、1.7Kg/cmの特
性を備えるものである。
【0028】そして、これにより求められたバブルポイ
ント圧力以下の操作圧力で気液分離操作が行われる限
り、塩素ガス(気体成分)が多孔質管体の外部に抽出さ
れることはない。このような、多孔質管体15における
脱気部Vとの接合端部15aの反対端部15cには、処
理ガス配管20が溶接等により接合されており、その処
理ガス配管20の接続部20aの近傍には、多孔質管体
15等の管内圧力を調整する調圧バルブ21が形成され
ている。そして、処理ガス配管20は、処理ガス容器T
に接続されている。
【0029】次に、このような気液分離装置Dの動作に
ついて図2及び図3を参照して説明する。流量調節バル
ブ12が開放されると、水道水が被処理液供給管10内
を流れ始め、脱気部Vを構成するステンレス管13の内
部に流れ込む。ステンレス管13は、ステンレス管13
に巻設されているPTC発熱体14によって約120℃
に加熱されており、ここに流入させられた水道水は、直
ちに加熱される。水道水が加熱されると、水道水中に溶
解している塩素ガスが水道水から脱気され始める。これ
は、溶液中に溶解している気体の溶解度が温度の上昇と
共に低下していく性質を利用したものである。
【0030】このようにして、脱気部Vにおいて水道水
から脱気された塩素ガスと残存した水は、気液分離回収
部Sを構成する多孔質管体15の内部を流動していき塩
素ガスまたは水として別個に回収される。ここで用いら
れる多孔質管体15は、図3に示すように、使用圧力が
バブルポイント圧力以下の状態にある場合に液体成分
(水)のみを透過し、気体成分(塩素ガス)は透過しな
い気孔19を有する。
【0031】従って、気体成分である塩素ガスは多孔質
管体15の外部壁面15bに漏出されることなく多孔質
管体15の内部に残留し、多孔質管体15の端部15c
と接合される処理ガス配管20に形成される調圧バルブ
21まで流動する。調圧バルブ21まで流動した塩素ガ
スは、処理ガス配管20を介して処理ガス容器Tに貯蔵
される。
【0032】ここで、調圧バルブ21は、図2に示すよ
うに上部に通気弁21aが形成されているので気液混在
状態においても、水は下層に位置するため管体内圧力を
維持しつつ塩素ガスだけを通気させることができる。従
って、液体成分である水が多孔質管体15を透過して多
孔質管体15の外部壁面15bに漏出することにより、
また気体成分である塩素ガスが放出されることにより多
孔質管体15内部の圧力が変動した場合においても、多
孔質管体15内部の圧力を一定に維持して気液分離作業
が滞ることを防止すると同時にバブルポイント圧力Pを
調節するために用いられるものである。
【0033】このようにして多孔質管体15内の圧力を
保つのは、塩素ガスが脱気された水道水の溶媒成分であ
る水を外部壁面15bに漏出するためには、多孔質管体
15内部の圧力を多孔質管体15外部の圧力よりも高く
維持しておかなければならず、また多孔質管体15内の
圧力がバブルポイント圧力を超えることがないように調
整する必要があるからである。
【0034】一方、気体成分の消失した液体成分(水)
は、多孔質管体15内部と多孔質管体15外部との間に
差圧が生じていれば、気孔19から多孔質管体15の外
部壁面15bへ自由に漏出可能であり、多孔質管体15
外部と内部の間に生じる圧力差によって、多孔質管体1
5に形成された気孔19から外部へ漏出していく。この
とき気孔径が約0.8μmと微小であり、気孔経路が複
雑に形成されていることから、溶媒成分に含有される不
純物も透過に際して除去されるため、透過された液体成
分(水)は除菌水として用いることができる。
【0035】以上のように本発明に係る気液分離装置D
の気液分離回収部Sは、一切の動力装置を使用しないの
で、騒音、振動が発生することは皆無である。本実施例
において、脱気部Vは、気液分離回収部Sと独立して配
設されており、水道水から塩素ガスが十分脱気された状
態で気液分離回収部Sを通過することから、分離精度が
向上し、極めて高い分離率をもって塩素ガスと水とを分
離することができる。
【0036】次に、本発明に係る気液分離装置Dを用い
た気液分離性能について実験結果を参考にして説明す
る。本実験は、図1に示す気液分離装置Dを用いて行っ
たものであり、被処理液として塩素濃度O.27ppm
の水道水を用い、これを圧力1kg/cm2 の条件下、
流量調節バルブ12を操作して18ml/min.の流
量で実験を行った。また、脱気部Vのステンレス管は、
PTC発熱体により約120℃に加熱された状態にあ
る。
【0037】この実験の結果、多孔質管体15の外部壁
面15bに漏出し、袋管16内の底部に形成された受皿
部16bに集められ得られた処理水の塩素濃度は、0.
01ppmにまで低下しており、またこのとき得られる
処理水の量は、17ml/min.であった。
【0038】この結果は、本発明に係る気液分離装置D
を用いれば、水道水中の塩素濃度を約96%低下させる
ことができることを意味するものであり、また処理水の
流量も被処理水の流量に比較して5%程度の低下に留ま
っていることから、流量損失も少なく実際の使用に十分
に対処できるものである。なお、本実施例では水道水か
ら塩素ガスを脱気する手段として、PTC発熱体14を
用いているが、これに代えて超音波発生装置を脱気手段
として備えても良い。
【0039】一般に、超音波を溶液に照射すれば、被処
理液中に溶存している気体成分が微細な気泡となって脱
気することが知られており、この脱気手段を用いれば、
熱変異性の溶液であっても化学的、物理的特性を変える
ことなく気体成分と液体成分を分離回収することができ
る。また、本発明に係る気液分離装置Dは、気液分離回
収部Sとして多孔質管体15を有していることから超音
波の照射により被処理液中に混在する微細な気泡も確実
に分離できるものである。
【0040】この場合、本発明に係る気液分離装置Dに
は、超音波振動体がステンレス管13の内部に配設され
ており、ステンレス管13の内部を流動する被処理液
は、この超音波振動体と接触する。超音波振動体に電圧
が印加されると、被処理液に超音波振動が加わり被処理
液から気体成分が脱気される。また、超音波振動体は、
ステンレス管13の外部に接触させて配設してもよい。
【0041】以上、実施例に基づいて本発明を説明した
が、本発明は上記実施例に何ら限定されるものでなく、
本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形改良が可能
であることは容易に推察できるものである。すなわち、
本実施例においては、水道水から塩素ガスを脱気する加
熱手段としてPTC発熱体を用いているが、ステンレス
管内部に存在する水道水を加熱して塩素ガスを脱気でき
れば良く、例えばヒートパイプ等の発熱体でも良い。ま
た、本実施例ではステンレス管に巻設された発熱体によ
り外部から水道水を加熱しているが、ヒートパイプ等を
ステンレス管内に配設し直接水道水を加熱しても良い。
【0042】また、本実施例においては、気液分離回収
に際して多孔質管体を用いているが、多孔質壁を有する
空間構造を備えていればこれに限られず、例えば一壁面
に多孔質壁を備える矩形管であってもよい。更に、本実
施例では、被処理液として水道水を用いて塩素ガスを脱
気する場合について説明しているが、この他にも加熱、
超音波の照射により被処理液から気体成分を脱気できる
ものであればこれに限られない。
【0043】また、多孔質管体の原材料は、所望の気孔
径を得られるように調整されればアルミナの他に多孔質
シリカ、ゼオライトを用いても良く、本実施例において
用いている原材料に限られることはない。また、その成
形方法も、原材料に応じた成形方法が採択されれば良
く、実施例において用いられている成形方法に限られな
い。
【0044】また、本実施例においては、多孔質管体の
内部を被処理液が流動する場合について説明している
が、多孔質管体の周面を被処理液が貫流するようにし
て、気体脱気後の抽出液を多孔質管体内部に回収するよ
うにしても同様の結果が得られるものである。
【0045】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明に係る気液分離装置によれば、液体が透過可能な多
孔質壁で仕切られた空間に給送される被処理液は、物理
的な溶存ガス分離(脱気)手段によって気体が脱気さ
れ、脱気された気体を除いた液体部分のみが、その多孔
質壁を介して分離回収されるようにしたので、被処理溶
液あるいはその溶質に左右されることなく気液分離を行
うことができる。
【0046】特に加熱装置、振動発生装置といった溶存
ガス分離手段により被処理液中に存在することとなった
微細な気泡に影響されることなく気体成分と液体成分と
を高い分離精度をもって分離回収することができ、また
振動発生装置を溶存ガス分離手段として備えた場合に
は、熱変異性のある被処理液であっても被処理液の特性
に影響を与えることなく気体成分と液体成分とを分離回
収することができる。
【0047】更に、溶存ガスを脱気させるための動力装
置を用いる必要がないので、そのような動力装置を稼動
させるためのエネルギーが不要であり、動力装置による
騒音、振動の発生が皆無であり、また省スペースにより
連続した気液分離操作が可能である等多くの利点を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る気液分離装置の概略構成を示す全
体図である。
【図2】図1に示した気液分離装置の脱気部、気液分離
回収部を詳細に示す断面図である。
【図3】図1及び図2に示した気液分離回収部を構成す
る多孔質管体の断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
13 ステンレス管 14 PTC発熱体 15 多孔質管体 19 気孔 D 気液分離装置 V 脱気部 S 気液分離回収部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−57108(JP,A) 特開 平5−96103(JP,A) 実開 平4−9602(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 19/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体が透過可能な多孔質壁により仕切ら
    れた空間へ給送される被処理液の給送路に、被処理液に
    含まれる溶存ガスを物理的に分離(脱気)させる溶存ガ
    ス分離(脱気)手段を備え、該溶存ガス分離(脱気)手
    段により溶存ガスが分離(脱気)除去された分離液が前
    記多孔質壁より系外へ抽出されるように構成され、前記
    空間には、前記被処理液の圧力を、前記多孔質壁のバブ
    ルポイント圧力よりも低くするための調圧バルブが設け
    られていることを特徴とする気液分離装置。
  2. 【請求項2】 前記調圧バルブは、前記空間に給送され
    る前記被処理液の水面より上部に通気弁が形成されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の気液分離装置。
  3. 【請求項3】 前記溶存ガス分離(脱気)手段として加
    熱手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載
    された気液分離装置。
  4. 【請求項4】 前記溶存ガス分離(脱気)手段として振
    動発生手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2
    記載された気液分離装置。
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