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JP3268502B2 - 非a非b型肝炎ウイルス関連ポリヌクレオチド、ポリペプ タイド - Google Patents

非a非b型肝炎ウイルス関連ポリヌクレオチド、ポリペプ タイド

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Publication number
JP3268502B2
JP3268502B2 JP19617591A JP19617591A JP3268502B2 JP 3268502 B2 JP3268502 B2 JP 3268502B2 JP 19617591 A JP19617591 A JP 19617591A JP 19617591 A JP19617591 A JP 19617591A JP 3268502 B2 JP3268502 B2 JP 3268502B2
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JP
Japan
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hepatitis
seq
amino acid
virus
nanb
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JP19617591A
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宏明 岡本
徹雄 中村
Original Assignee
徹雄 中村
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Publication date
Application filed by 徹雄 中村 filed Critical 徹雄 中村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非A非B型肝炎ウィル
ス(以下「NANB肝炎ウイルス」と略記する)の関連
抗原、抗体およびそれらを用いた検出系、ならびにそれ
らの製造に有用なNANB肝炎ウイルスRNA、DNA
およびポリペプタイドに関する。
【0002】
【従来の技術】ウイルスに由来する肝炎には、既にウイ
ルス本体のDNAやRNAがつきとめられ、その診断法
や予防法が確立したものとしてB型肝炎、A型肝炎、D
型肝炎、E型肝炎がある。しかし、主として血液を介し
て感染する肝炎で上記の分類に属さない、非A非B型肝
炎(以下「NANB肝炎」という)については、世界の
多くの研究者がその原因ウィルスを捜してきたにもかか
わらずウイルス本体の解明はなされていなかった。
【0003】1988年になってカイロン社は、NAN
B型肝炎の原因ウイルスとして、C型肝炎ウイルス(以
下「HCV」と略記する)と命名したRNAウイルスゲ
ノムのクローン化に成功したとして、その塩基配列を発
表した。そしてこれを基にHCV抗体の測定系を開発
し、現在輸血血液のスクリーニングや患者の診断に用い
られ始めている。このHCV抗体の測定系はNANB肝
炎との関連性がたしかに一部認められる。しかし、キャ
リアや慢性肝炎の捕捉率が約70%にすぎないこと、ま
た急性期の抗体検出ができないこと等の重大な問題点が
残されており、カイロン社の前記開発によってもNAN
B肝炎への対処は依然として解決されていない。 他
方、B型肝炎ウイルスの検出法は確立されており、この
ため日本においては輸血後肝炎の95%以上がNANB
肝炎であり、年間約28万例の発症が推定されている。
NANB肝炎の経過は不良であり、大部分の例はキャリ
ア化して慢性肝炎に進展すると予測される。又、かなり
高率に10〜20数年にかけて肝硬変へ、さらに肝癌へ
進むことから、一日も早いウイルス本体の解明及び診断
薬の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記カイロン社のHC
V抗体検出キットでは診断できないNANB肝炎が多数
存在することから、特異性のさらに秀れたNANB肝炎
診断薬の開発が求められる。この開発を進めるためには
NANB肝炎ウイルスの遺伝子レベル、アミノ酸レベル
での解析が不可欠の課題となる。本発明の目的は、NA
NB肝炎ウイルスの構造蛋白質をコードする塩基配列を
解明し、これに基づいてアミノ酸レベルでの解析を行う
ことにより、抗原として有効なポリペプタイドを見出
し、NANB肝炎ウイルス、関連抗原、抗体の検出系の
確立を図ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、抗原とし
て有効なポリペプタイドを見出すために、ヒトおよびチ
ンパンジーキャリアの血清よりNANB肝炎ウイルスの
RNAを単離し、ウイルスの非コード領域を含む遺伝子
領域全体をカバーするcDNAをクローン化してその塩
基配列を決定し、さらにアミノ酸配列について検討し
た。その結果、本発明者らは、ウイルスの構造遺伝子中
のコア蛋白質、外殼蛋白質、および非構造遺伝子中のR
NA依存ポリメラーゼをコードしている特定の領域を見
出し、遺伝子およびアミノ酸レベルでの研究によって本
発明を完成した。
【0006】本発明の要旨は次の通りである。本発明の
NANB肝炎ウイルスRNAは次のようにして得て、そ
の塩基配列を決定した。ヒト及びチンパンジー血漿より
5種の検体を得た。HC−J1、HC−J5、HC−J
6は日本人供血者より、HC−J7は日本人腎透析患者
より得て、いずれもHCV抗体陽性と判定された検体よ
り得られた。HC−J4はNANB肝炎の感染性を確認
したチンパンジーから得た検体に由来するが、しかしこ
れはカイロン社の前記HCV抗体では(−)であった。
この5種の検体血漿よりRNAを抽出した。さらに各R
NA間の塩基配列の相同性を調べ、実施例に示すように
抽出RNAの5′末側の約1900ないし2500の塩
基配列、および3′末側の約1100の塩基配列を決定
した。このうちHC−J1、J4、J5の3株の5′末
側については既に特願平2−153401号および特願
平2−304405号にその一部を開示したが、今回新
たにHC−J6、J7の2株を含め、全株遺伝子の非コ
ード領域、構造蛋白質をコードする領域、および非構造
蛋白質をコードする領域の一部について研究を成就し、
本発明を完成するに至った。
【0007】実施例1に示すように、HC−J1、HC
−J4、HC−J5、HC−J6、HC−J7各株由来
のRNAはいずれも5’末端より340個ないし341
個のヌクレオチドよりなる5’非翻訳領域を有し、これ
に続いて構造蛋白質をコードする領域(1149塩基)
が続き、さらに非構造蛋白質をコードする領域を含め、
1885個ないし2551個のヌクレオチドを有する。
この知見にもどづき、配列番号1ないし5記載のポリヌ
クレオチドを得た。
【0008】また、実施例3に示すように、HC−J
1、J4、J5、J6、J7においてRNAの3’末端
側は、非構造蛋白質をコードする1096塩基に続いて
T−ストレッチを含む77塩基以上の非コード領域遺伝
子を有するとの知見を得、これにもとづき配列番号6な
いし10記載のポリヌクレオチドを得た。
【0009】なお、ヨーロッパ公開特許第388232
号(カイロン社)に示されたHCVの配列と比較する
と、本発明のヌクレオチド配列は、非コード領域を含む
5′末端側2477塩基に関してHC−J1、J4、J
6、J7の各株ではそれぞれ95.2%、80.5%、
72.5%、71.6%の相同性を有し、HC−J5株
では1468塩基に関して76.8%の相同性を示すに
すぎない。このことは、HC−J1株はカイロン社が同
定したウイルス株に比較的近縁でアメリカ型ウイルスで
あるのに対して、HC−J4、J5、J6、J7株はこ
れとはやや異なり、日本型ウイルスであることが示唆さ
れた。
【0010】HC−J1、J4、J5、J6、J7各株
の塩基配列を基に、NANB肝炎ウイルス5’末端側お
よび3’末端側コード領域遺伝子によってコードされる
アミノ酸配列を決定した。その結果、各株によってコー
ドされるポリペプタイドはHC−J1(5’末端側:7
33個、3’末端側:365個)、以下同じくJ4(7
33個、365個)、J5(515個、365個)、J
6(737個、365個)、J7(719個、365
個)であった。決定されたアミノ酸配列の知見にもとづ
いて、配列番号11ないし20記載のポリペプタイドを
化学合成して得た。
【0011】HC−J1とHC−J4の2つの株で5′
末端側アミノ酸配列を比較すると、下流領域に比べ上流
領域でアミノ酸配列の相同性が高く、また、上流領域に
はアルギニン等の塩基性アミノ酸が多く含まれて親水性
が高い。塩基性アミノ酸はコア蛋白質によくみられ、核
酸との親和性を与えることから、上流領域はウイルスの
コア蛋白質をコードし、下流領域はアミノ酸置換が多
く、また8箇所の糖鎖結合部位が共通に認められたこと
から、外殻(エンベロープ)蛋白質をコードすると推認
された。
【0012】各株間の5′末端側アミノ酸配列の相同性
を上流域と下流域に分けて比較すると、コア部分と推定
されるaa1〜191ではHC−J1とHC−J4の間
で96.9%、HC−J6とHC−J7の間で95.3
%と高い相同性を示すが、HC−J1とHC−J6の間
では90.6%、HC−J4とHC−J7の間でも9
0.6%とやや低くなる。また、エンベロープ部分と推
定されるaa192〜383ではHC−J1とHC−J
4の間では77.6%、、HC−J6とHC−J7の間
では71.4%であるのに対してであり、コア部分に比
してかなり低い。さらに、HC−J1とHC−J6の間
では60.9%、HC−J4とHC−J7の間では5
2.6%と非常に低い相同性を示した。各株間のコア領
域アミノ酸配列の相同性が高いことは、本発明のポリペ
プタイドを用いた抗体検出系はアメリカ型、日本型を問
わず、広汎にNANB肝炎ウイルス感染を検出できるこ
とを意昧する。
【0013】本発明者らは、親水性スコアの検討から配
列番号21〜27記載の各ポリペプタイドを選択し、こ
れらを合成した(請求項第1項〜第3項)。これらポリ
ペプタイドは、HC−J1株、HC−J4、HC−J
5、HC−J6、HC−J7の各株に由来する。また、
これらに部分的なアミノ酸置換があっても、抗原性を失
わない範囲であれば有効であり、いずれも本発明に含ま
れる。本発明者らは、配列番号21〜27のポリペプタ
イドを合成して、これを用いたNANB肝炎ウイルス抗
体測定系が、高い特異性でNANB肝炎ウイルスを検出
できることを確認した。
【0014】他方、エンベロープ領域蛋白質を得ること
は該ウイルスの感染防御を目的としたワクチン開発に必
須であり、アミノ酸配列の相同性がアメリカ型と日本型
に大別でき、さらに日本型の中でも変異がみられること
は、カイロン社が見い出したウイルス株のみならず、本
発明で開示された日本型のウイルス株のアミノ酸配列が
ワクチン製造に非常に重要であることを意昧する。HC
V、すなわちC型肝炎ウイルスはその遺伝子構造からフ
ラビウイルスに近縁であると考えられており、本発明に
おいて明らかにされた5′末端側非構造部分塩基(nt
1491〜)はフラビウイルスでNS1と呼ばれる、糖
蛋白質をコードしている部分に相当すると推定される。
フラビウイルスの一種である黄熱病ウイルスではNS1
にコードされる蛋白質に対する抗体が免疫防御に関係す
るとの報告があり(Schlesinger et a
l.,J.Virol.,60,1153,198
6)、本発明の塩基およびアミノ酸配列を利用してNA
NB肝炎の治療および予防に有用な蛋白質を得ることが
できる。他方、3′末端側配列の各株間での相同性は、
365アミノ酸についてHC−J1とHC−J4の間で
は87.4%、HC−J6とHC−J7の間では89.
6%であるのに対して、HC−J1とHC−J6の間で
は73.7%とやや低くなる。また、非コード領域39
塩基についてもやはりHC−J1とHC−J4の間では
64.1%、HC−J6とHC−J7の間では82.1
%であるのに対して、HC−J1とHC−J6の間では
30.8%とかなり低くなり、アメリカ型、日本型の相
違、および日本型の中でも変異が多いことを反映してい
ると想定された。
【0015】HCV、すなわちC型肝炎ウイルスはその
遺伝子構造からフラビウイルスに近縁であると考えられ
ており、本発明において明らかにされた3′末端側非構
造部分塩基はHCVではNS5と呼ばれるが、RNA依
存ポリメラーゼをコードしている部分であると推定され
る。従って、NS5にコードされるポリペプタイドを用
いて抗体検出系を組むことは、NANB肝炎診断に大き
な意義を持つ。さらに、本発明において日本型とアメリ
カ型のNS5領域の塩基配列を解明し、ポリメラーゼの
アミノ酸配列を得たことは、NANB肝炎ウイルスの治
療、予防、およびそれらの研究手段として非常に有用で
ある。このように、本発明においては、NANB型肝炎
ウイルスの抗原性に重要な役割を果たす構造蛋白質およ
び非構造蛋白質をコードする遺伝子領域を確認し、その
塩基配列を明らかにした。また、それによって、構造蛋
白質および非構造蛋白質を構成するアミノ酸配列を明ら
かにし、抗原性を有するポリペプタイドの検索と合成に
決定的に有用な材料を提供した。
【0016】本発明の各ポリペプタイドは、化学合成に
よってのみならず、公知の遺伝子組換えによる発現ペプ
タイドとして得ることもできる。また、本発明者らは上
記各ポリペプタイドに対する抗体を製造し、これをNA
NB肝炎ウイルス抗原の検出に利用できることを確認し
た。したがって、本発明の各ポリペプタイドもしくはこ
れらの部分的置換物(請求項第1項〜第3項)、あるい
はそれらに対する抗体を用いた検出系は、NANB肝炎
の特異的診断薬として有効であり、その実用上の価値は
大きい。これらはいずれも本発明の範囲に含まれる。
【0017】また、上記ポリペプタイドやそれに対する
抗体はワクチンの原料として使用することもできる。
【0018】
【作用】本発明のポリペプタイド(請求書第1項ないし
第3項)、またはこれに対する抗体は、NANB肝炎の
検出系、特異的診断薬として有効であり、本発明のポリ
ヌクレオチド(請求項第4項ないし第6項)はこれを宿
主細胞に組み込んで本発明のペプタイドを製造すること
ができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について述べるが、も
とより本発明がこれらの実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 NANB型肝炎ウイルスの5′末端塩基配列及びアミノ
酸配列を次のようにして決定した。
【0020】(1)RNA抽出 日本人供血者の血漿から得た、HCV抗体陽性(オーソ
・ダイアグノスティック・システムズ株式会社のオーソ
HCVAbELISAテストによる)と判定された検体
(HC−J1、J5、J6)、日本人腎透析患者より得
て、同じくHCV抗体陽性と判定された検体(HC−J
7)、NANB型肝炎の感染性を確認したチンパンジー
から得た、HCV抗体(−)の検体(HC−J4)よ
り、いずれも次のようにしてRNAを抽出した。1.8
mlの血漿に1mlのトリス塩酸緩衝液(10mM、p
H8.0)を加え、68×10rpmで1時間遠心し
た。得られたペレットに200mM NaCl、10m
M EDTA、2%(w/v)ドデシル硫酸ナトリウム
(SDS)と1mg/mlのプロテナーゼKを含むトリ
ス塩酸緩衝液(50mM、pH8.0)を加え、60℃
1時間加温し、フェノール/クロロホルムで抽出した
後、エタノール沈殿を行い、RNAを得た。
【0021】(2)cDNA合成 HC−J1血漿より抽出したRNAを70℃で1分間加
温し、これを鋳型として10ユニットの逆転写酵素(c
DNA Synthesis SystemPlus,
Amersham Japan)及びオリゴヌクレオチ
ドプライマー(20マー)20pmolを加えて42
℃、1.5時間反応させcDNAを得た。プライマーと
してはヨーロッパ特許出願第8831022.5号に示
されたHCVの塩基配列を参照して合成した#8(5′
−GATGCTTGCGGAAGCAATCA−3′)
を用いた。
【0022】(3)ポリメラーゼチェインリアクション
(PCR)によるcDNAの増幅は次のように行った。
DNAサーマルサイクラー(Perkin−Elmer
・Cetus)に、Gene Amp DNA増幅試薬
キット(Perkin−Elmer・Cetus)を用
い、Saikiらの方法(Science239、48
7−491.1988)によって35サイクルのcDN
A増幅を行った。
【0023】(4)cDNAライブラリーの構築による
J1、J4、5′末端側塩基配列の決定 cDNAライブラリーを用いたHC−J1、HC−J4
ゲノムの5′末端側の塩基配列解析は図1−(a)、
(b)に示すように、cDNAをバクテリオファージλ
gt10に挿入して得たクローンの解析及びcDNAを
PCRにて増幅して得られたクローンの解析結果の両者
を併せて決定した。図1はNANB型肝炎ウイルスゲノ
ムの5′末端を制限酵素切断部位とともに示し、使用す
るプライマーの位置も示す。図中、実線はバクテリオフ
ァージλgt10のライブラリーによるクローンで塩基
配列を決定した範囲を、点線はPCRによるクローンで
塩基配列を決定した範囲を示す。HC−J1のnt45
4〜2109の1656塩基はプライマー#8から得た
cDNAをλgt10ファージベクター(Amersh
am)に挿入して得られたクローンφ41により決定し
た。つぎにこのシークエンスをもとに合成した、nt8
24〜843の新しいプライマー#25(5′−TCC
CTGTTGCATAGTTCACG−3′)を用い
て、HC−J4のcDNAライブラリーから順次4つの
cDNAクローンφ60、φ61、φ66、φ75を得
て、上流のnt18〜843の塩基配列を決めた。HC
−J4について、さらに上流の5′末端を特定するため
にnt246〜265のアンチセンスプライマー#36
(5′−AACACTACTCGGCTAGCAGT−
3′)を用いてcDNAを合成したのち、ターミナルデ
オキシヌクレオチジルトランスフェラーゼによりcDN
Aの5′末端にdA付加を行い、2段階のone−si
dedPCR増幅を行った、すなわち、1回目はオリゴ
dTプライマー(20−mer)とnt188〜207
のアンチセンスプライマー#48(5′−GTTGAT
CCAAGAAAGGACCC−3′)を用いて35サ
イクルのPCR増幅を行い、2回目はそのPCR産物を
鋳型にしてオリゴdTプライマー(20−mer)とn
t140〜160のアンチセンスプライマー#109
(21−mer;5′−ACCGGATCCGCAGA
CCACTAT−3′)を用いて30サイクルのPCR
を行った。得られたPCR産物をM13ファージベクタ
ーにサブクローニングした。完全長の5′末端配列を有
すると考えられる6個の独立したクローン、C896
2、C8968、C8970、C8974、C903
4、C9036が得られ、nt1〜17の塩基配列を決
定した。
【0024】一方HC−J1の上流のシークエンスは、
nt18〜843についてはプライマー#44(5’−
GCGACACTCCACCATGAAT−3’)と#
25(5’−TCCCTGTTGCATAGTTCAC
G−3’)を用いたPCRによって得られたクローンC
2503、C2508、及びC2510によって決めら
れた。さらに上流の5’末端は、HC−J4と同様の方
法により得られた16個のクローン、C8931、C8
932、C8935、C8937、C8942、C89
44、C8949、C8950、C8951、C895
4、C8955、C9023、C9026、C903
0、C9031、C9032を用いて、nt1〜37の
塩基配列を決めた。次にHC−J1の5’末端側下流の
塩基配列を決定するため、プライマー#148(5’−
TGCACCTGGATGAACTCAAC−3’)と
#146(5’−AGTAGCATCATCCACAA
GCA−3’)を用いて30サイクルのPCRを行っ
た。得られたクローンのC11444、C11450、
C11451によりnt1984〜2560の塩基配列
を決定した。一方、HC−J4のnt738〜1900
までの下流シークエンス1163塩基はプライマー#3
0(5’−CTCATGGGGTACATTCCGCT
−3’)と#42(5’−TCGGTCGTCCCCA
CCACAAC−3’)を用いたPCRによって得られ
た3つのクローンC2821、C3173、C3192
によって決められた。さらにHC−J4の下流の塩基配
列を決定するため、プライマー#57(5’−TATT
GCTTCACCCCAAGCCC−3’)と#146
(5’−AGTAGCATCATCCACAAGCA−
3’)を用いて30サイクルのPCRを行った。得られ
たクローンC11462、C11463、C11464
によりnt1860〜2560の塩基配列を決定した。
以上の解析結果により、HC−J1、HC−J4は5’
末端側にそれぞれ配列図1、2に示す塩基配列を有する
ものと決定した(配列番号1、2)。
【0025】(5)cDNAライブラリーの構築による
J5、5′末端側塩基配列の決定 HC−J5ゲノムの5′末端側の塩基配列は図1−
(C)に示すように、cDNAをPCRにて増幅して得
られたクローンの解析結果より決定した。HC−J5検
体より上記と同様の方法でRNAを抽出し、そのシーク
エンスを決定した。nt6〜1868は次に示すプライ
マーの組み合わせによるPCRにて得られた各クローン
から決められた。
【0026】さらに5′末端側を特定するために、実施
例1−(4)と同様の方法にて3個のcDNAクロー
ン、C8995、C8997、C8998を得、nt1
〜160の塩基配列を決めた。
【0027】以上の解析結果により、HC−J5は5’
末端側に配列番号3に示す塩基配列を有するものと決定
した。なお、HC−J5における5’側非コード領域で
は、HC−J1におけるnt6ないし10の連続する5
個のシトシンのうちの1個が欠落しており、合計340
の非コード領域塩基を有することが明らかとなった。
【0028】(6)cDNAライブラリーの構築による
J6、5′末端側塩基配列の決定 HC−J6ゲノムの5′末端側の塩基配列は図1−
(d)に示すように、cDNAをPCRにて増幅して得
られたクローンの解析結果より決定した。HC−J6検
体より上記と同様の方法でRNAを抽出し、そのシーク
エンスを決定した。nt24〜2551は次に示すプラ
イマーの組み合わせによるPCRにて得られたクローン
から決められた。
【0029】さらに5′末端側を特定するため、実施例
1−(4)と同様の方法にて13個のcDNAクロー
ン、C9577、C9579、C9581、C958
4、C9587、C9590、C9591、C959
5、C9606、C9609、C9615、C961
6、C9619を得、nt1〜160の塩基配列を決め
た。
【0030】以上の解析結果により、HC−J6は5’
末端に配列番号4に示す塩基配列を有するものと決定し
た。なお、HC−J6における5’側非コード領域で
は、HC−J1におけるnt6ないし10の連続する5
個のシトシンのうちの1個が欠落しており、合計340
個の非コード領域塩基を有することが明らかとなった。
【0031】(7)cDNAライブラリーの構築による
J7、5′末端側塩基配列の決定 HC−J7ゲノムの5′末端側の塩基配列は図1−
(e)に示すように、cDNAをPCRにて増幅して得
られたクローンの解析結果より決定した。HC−J7検
体より上記と同様の方法でRNAを抽出し、そのシーク
エンスを決定した。nt24〜2498は次に示すプラ
イマーの組み合わせによるPCRにて得られた各クロー
ンから決められた。
【0032】さらに5′末端側を特定するため、実施例
1−(4)と同様の方法にて8個のcDNAクローン、
C10513、C10515、C10521、C105
54、C10558、C10568、C11231、C
11232を得、nt1〜160の塩基配列を決めた。
【0033】以上の解析結果より、HC−J7は5’末
端側に配列番号5に示す塩基配列を有するものと決定し
た。本実施例により開示されたHC−J1、J4、J
5、J6、J7の5’末端側塩基配列は、前記ヨーロッ
パ特許公開第388,232号に記載されたHCVシー
クエンスとは異なり、本発明により初めて開示されたも
のである。
【0034】(8)アミノ酸配列の決定 HC−J1、J4、J5、J6、J7の各ゲノムの5’
末端側塩基配列をもとに、5’非翻訳領域の340塩基
ないし341塩基を除き、開始コドンATGより始まる
構造遺伝子領域によってコードされる733アミノ酸
(J1、J4)、515アミノ酸(J5)、737アミ
ノ酸(J6)、719アミノ酸(J7)の配列を決定し
た。各配列はHC−J1(P−733−1:配列番号1
1)、HC−J4(P−733−2:配列番号12)、
HC−J5(P−515:配列番号13)、HC−J6
(P−737:配列番号14)、HC−J7(P−71
9:配列番号15)に示す通りである。
【0035】(9)コア領域の特定 HC−J1とHC−J4の2つの株間で、構造蛋白質を
構成するアミノ酸配列の相同性を計算すると、aa1〜
191(コア領域)では96.6%、aa192〜38
3(エンベロープ領域)では77.6%、aa1〜38
3全体では87.2%の相同性を有する。HC−J1、
HC−J4、HC−J5、HC−J6、HC−J7のい
ずれの株間においても下流のaa192〜383(エン
ベロープ領域)と比較して、上流のaa1〜191(コ
ア領域)がはるかに高い相同性を示し、株間の保存性が
高いことが明らかとなった。aa〜191のアミノ酸の
親水性をみると、上流域aa1〜120に3つの高い親
水性部分が認められた。この領域はアルギニンの様な塩
基性アミノ酸に富んでおり(J1においては28/12
0、23%)NANB型肝炎ウイルスのコア蛋白質をコ
ードしている可能性が高い。さらに本発明者らは親水性
スコアの検討から、aa39から74の36アミノ酸配
列(CP−9)がコア蛋白質のエピトープを形成するこ
とを見いだした。(請求項第2項)。CP−9は配列番
号22(CP−9−1:J1)、配列番号23(CP−
9−2:J4)、配列番号24(CP−9−3:J5、
J6、J7)に示すアミノ酸配列を有する。以下CP−
9−1、2、3を総称してCP−9という。このアミノ
酸配列をコードする遺伝子の塩基配列CN−9は配列番
号29(CN−9−1:J1)、配列番号30(CN−
9−2:J4)、配列番号31(CN−9−3:J5)
に示す通りである。HC−J6、HC−J7のCN−9
部分塩基配列はアミノ酸コードが変化しない範囲で配列
番号31の部分置換された配列であり、配列番号4およ
び5のnt456〜563に相当する。(請求項第5
項)以下CN−9−1、2、3を総称してCN−9とい
う。また、実施例、実験例において、CN−9−1をも
ってCN−9−2、CN−9−3を代表させてCN−9
と記載することがあり、またCP−9−1をもってCP
−9−2、CP−9−3を代表させてCP−9と記載す
ることがあるが、CN−9−2、CN−9−3、CP−
9−2、CP−9−3においても同様の作用効果が確認
された。CN−5、CP−5についても同様である。C
P−9は、化学合成によって得られたが、また、CN−
9、または配列番号1ないし5記載の塩基配列のnt4
56〜563に相当するポリヌクレオチドをEsche
richia coli等の宿主細胞に組み込んで発現
させ、得ることもできた。NANB肝炎ウイルスのコア
蛋白質のエピトープを特定できたことにより、合成ペプ
タイド、遺伝子組み替えによる発現ペプタイド、ポリヌ
クレオチドの合成、抗体の製造、NANB肝炎診断薬の
製造、NANB肝炎ワクチン等製品への応用の道が開か
れた。
【0036】実施例2 実施例1に示すアミノ酸配列CP−9のペプタイドを用
いて、NANB肝炎ウイルス抗体測定系を次のように確
立した。 (1)ペプタイドの製造 Merrifieldの固相法に基づき、ペプタイドの
C末端のアミノ酸をまず架橋ポリスチレンに縮合させ、
ついでn末端の方向へ向かってt−プトキシカルボニル
アミノ酸を1個づづ順次縮合させていき、アミノ酸配列
がArg−Arg−Gly−Pro−Arg−Leu−
Gly−Val−Arg−Ala−Thr−Arg−L
ys−Thr−Ser−Glu−Arg−Ser−Gl
n−Pro−Arg−Gly−Arg−Arg−Gln
−Pro−Ile−Pro−Lys−Val−Arg−
Arg−Pro−Glu−Gly−Argであるペプタ
イド(CP−9−1、配列番号22)を合成した(請求
項第2項)。合成後、6N−HCl、110℃、24時
間減圧下で加水分解し、アミノ酸組成を確認した。同様
に配列番号23、配列番号24記載のアミノ酸配列を有
するポリペプタイドCP−9−2、CP−9−3を合成
した。CP−9同様、配列番号21記載のアミノ酸配列
を有するポリペプタイドCP−10を合成した(請求項
第1項)またCP−9同様、配列番号25ないし27記
載のアミノ酸配列を有するポリペプタイドCP−5−
1、CP−5−2、CP−5−3を合成した。(請求項
第3項)。以下CP−5−1、2、3を総称してCP−
5という。CP−10のアミノ酸配列をコードする遺伝
子は配列番号28記載の配列(CN−10)を有する。
CP−10はCN−10、または、配列番号1ないし5
記載の塩基配列のnt354〜410に相当するポリヌ
クレオチドを宿主細胞に組み込んで発現させ、得ること
ができる。CP−5のアミノ酸配列をコードする遺伝子
の塩基配列CN−5は配列番号32(CN−5−1:J
1)、配列番号33(CN−5−2:J4)配列番号3
4(CN−5−3:J6)に示す通りである。CP−5
はCN−5、または配列番号1ないし5記載の塩基配列
のnt642〜701に相当するポリヌクレオチドをE
scherichia coli等の宿主細胞に組み込
んで発現させ、得ることができた。
【0037】(2)NANB型肝炎ウィルス抗体測定系 測定系は、ポリビニルマイクロタイタープレートを用
い、サンドイッチ法で行った。プレートの固相には、本
実施例のペプタイド5μg/ml濃度のものを50μl
をウェルに注入し、室温にて、1晩静置した。その後、
0.05%、Tween20を含む生理的食塩水で5回
洗浄した。オーバーコートとして、30%(v/v)の
牛血清、0.05% Tween20、150mM N
aCl緩衝液(以下「CS緩衝液」という)100μl
をいれ、室温30分静置後、残りをすてた。検体の測定
は、一次反応として、各ウエルにつき30%牛血清を含
むCS緩衝液50μlに検体10μlを加え、室温で1
時間振盪した。反応終了後、洗浄を上記と同様5回行っ
た。二次反応は、標識抗体にHorseradishp
eroxidase 標識マウス抗ヒトIgGモノクロ
ーナル抗体(Fab′フラグメント:22G、特殊免疫
研究所)1ngを牛血清50μlに溶解し室温1時間振
盪し反応させた。洗浄は同様に5回行い、基質として過
酸化水素、発色剤として、O−フェニレンジアミン溶解
液50μlを室温30分反応させた後、4規定硫酸を5
0μlを加え、反応を停止し、吸光度492nmで測定
した。判定基準は、ALT値が34Karmen un
it以下の正常値を示し、なおかつ、anti−HCV
陰性の供血者検体を測定し、吸光度の平均値に0.25
を加えた値(0.05+0.25=0.30)をカット
オフ値とした。
【0038】実施例3 (1)cDNAライブラリーの構築による3′末端側塩
基配列の決定 HC−J1、J4、J5、J6、J7各ゲノムの3′末
端側の塩基配列は図1−(f)に示すように、PCRに
て増幅して得られたクローンの解析結果により決定し
た。HC−J1、J4、J5、J6、J7のnt1〜9
38の938塩基の配列については各検体をプライマー
#80(5′−GACACCCGCTGTTTTGAC
TC−3′)および#60(5′−GTTCTTACT
GCCCAGTTGAA−3′)を用いたPCRにか
け、各増幅産物の塩基配列から決定した。得られたクロ
ーンを次に示す。 nt939より下流の3′末端側塩基配列は以下の方法
に従って決定した。すなわち、各検体より実施例1記載
の方法に従ってRNAを抽出し、ポリ(A)ポリメラー
ゼを用いてRNAの3′末端にポリ(A)を付加した。
オリゴ(dt)20をプライマーとしてcDNA合成を
行い、得られたcDNAをテンプレートとしてPCRに
供した。PCRは第1段階としてセンスプライマーとし
て各株cDNAに特異的な20マーオリゴヌクレオチド
を、アンチセンスプライマーとしてオリゴ(dt)20
を用いて行った、次に、得られたcDNAを第2段階P
CRとして第1段階より下流に相当する特異センスプラ
イマーを、アンチセンスプライマーとしてオリゴ(d
t)20を用いて行った。2段階のPCRで得られた増
幅産物にT4DNAポリラーゼを作用させ両端を平滑に
した後、T4ポリヌクレオチドキナーゼにて5′末端を
リン酸化し、M13mp19ファージベクターのHin
cII部位にサブクローニングして塩基配列を決定し
た。
【0039】各株について、PCRに用いた2種類のプ
ライマーと得られたクローンを以下に示す。 HC−J1 #100(5’−AAGGCTGCCATATGTGGCAA−3’) #91(5’−GCCATATGTGGCAAGTACCT−3’) クローン:C9707,C9714,C9719,C9724,C9726, C9730,C9737,C9738,C9741,C9742 C9746,C9925,C9936,C9943,C9945, C9949) HC−J4 #61(5’−TTGCGAGTCTGGAGACATCG−3’) #78(5’−TGTCCGCGCTAAGCTACTGT−3’) クローン:C8761,C8764,C8776,C8784,C8796, C8800,C8803,C8811,C8812,C8819, C8825,C8849,C8851) HC−J5 #97(5’−AGTCAGGGCGTCCCTCATCT−3’) #90(5’−GCCGTTTGCGGCCGATATCT−3’) クローン:C10820,C10827,C10829,C10843,C1 0844,C10848,C10849,C10864,C108 65,C10872) HC−J6 #97(5’−AGTCAGGGCGTCCCTCATCT−3’) #90(5’−GCCGTTTGCGGCCGATATCT−3’) クローン:C10311,C10313,C10314,C10320,C1 0322,C10323,C10326,C10328,C103 30,C10333,C10334,C10336,C10337 ,C10345,C10346,C10347,C10349,C 10350,C10357) HC−J7 #123(5’−CTTAGAGCGTGGAAGAGTCG−3’) #124(5’−GCCATCTGTGGCCGTTACCT−3’) クローン:C10801,C10804,C10807,C10809,C1 0811,C10812,C10814,C10815,C108 18) 以上の解析結果により、HC−J1,J4,J5,J
6,J7は3’末端側にそれぞれ配列番号6、7、8、
9、10に示す塩基配列を有するものと決定した。本実
施例により開示されたHC−J1、J4、J5、J6、
J7の3’末端側塩基配列は、前記ヨーロッパ特許公開
第388,232号に記載されたHCVシークエンスの
nt7938〜8866(929塩基)において重複す
るが、本発明の配列は明らかにそれと異なり、本発明に
より初めて開示されたものである。
【0040】(2)アミノ酸配列の決定 HC−J1、J4、J5、J6、J7の各ゲノムの3’
末端側塩基配列をもとに、3’非翻訳領域の77塩基を
除く1096塩基の非構造領域によってコードされる3
65アミノ酸の配列を決定した。各配列はHC−J1
(P−365−1:配列番号16)、HC−J4(P−
365−2:配列番号17)、HC−J5(P−365
−3:配列番号18)、HC−J6(P−365−4:
配列番号19)、HC−J7(P−365−5:配列番
号20)に示す通りである。
【0041】実験例 コア領域のエピトープを形成すると考えられるCP−9
(P39−74、36マー)について、さらに長さの異
なる5種類のペプタイド(919−36、P27−3
6、P19−27、P10−27、P10−18)に分
けて合成し、吸収試験を行った。吸収試験は、検体と1
00μl/mlの濃度に調整した5種類のペプタイドを
30μlずつ当量混合し、37℃2時間反応させた後、
測定に供した。測定法は、実施例1に示すとおりであ
る。その結果は表4に示すとおりである。
【0042】
【表4】
【0043】anti−CP9陽性検体について測定し
た結果、検体1及び2の吸収率からCP−9は、その全
体が抗原性を保持するペプタイドであることが確認され
た。
【0044】実験例 実施例2で確立したNANB型肝炎ウイルス抗体測定系
を用いて、輸血後NANB型肝炎と、肝疾患検体で従来
のanti−HCV測定キットとの比較を行った。その
結果、本発明の検出系が特異性及び急性期での検出のい
ずれの点においても従来の測定キットよりもはるかに優
れることが確認された。
【0045】(1)輸血後NANB型肝炎 本例では、2回にわたり、7単位の輸血を行い約2ケ月
後に肝機能異常を示す、NANB型肝炎を発症した例に
ついて調べた。本症例について、レトロスペクティブに
anti−HCV及び本発明キットで供血者血液を測定
したところ、表1に示すように吸光度>2.000であ
って供血者血液が陽性であることを示した。
【0046】
【表1】
【0047】また、患者血清では、輸血後2ケ月目で、
肝機能の上昇と共に本発明の測定系が吸光度2を越える
陽性を示しているのに対し、anti−HCVは本発明
より1ケ月遅れて3ケ月目で初めて(+)を示してい
る。このように、本発明の抗体測定系では、抗HCV測
定系に比べ、供血者血液での検出の特異性、及び患者血
清でのより早期の抗体検出のいずれの点でも有意の差が
認められた。
【0048】(2)肝疾患検体でのanti−CP9 肝疾患検体の分類別にanti−CP9陽性率を測定し
た結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】散発性NANB急性肝炎の例では、19例
中13例(68%)、輸血後NANB肝炎例では18例
中15例(83%)で、anti−CP9が陽性であっ
た。NANB慢性肝疾患例では、慢性肝炎で133例中
103例(77%)、肝硬変で113例中70例(62
%)、肝癌で41例中31例(76%)が陽性であっ
た。一方、A型急性肝炎では8例中1例が低い陽性であ
ったが、B型急性肝炎では11例中全例が陰性であっ
た。B型慢性肝炎、肝硬変、肝癌はそれぞれ7%、12
%、14%が陽性であった。自己免疫疾患のルポイド肝
炎、原発性胆汁性肝硬変症では、それぞれ6例、9例に
ついていずれも陰性であった。カイロン社のanti−
HCVのデータ(Science 1989:244:
362−366)では、輸血後急性NANB型肝炎7
0.8%(24例中17例)、散発性NANB型肝炎5
6.6%(58例中34例)であることと比較すると、
急性肝炎での捕促率でanti−CP9がより高く優れ
ていることがわかった。又、日本のデータからB型急性
肝炎に関して、2.4%(82例中2例)が陽性を示す
(オルソ カタログ 臨床研究編)に対し、本発明のa
nti−CP9は、前述のように全くクロスしておら
ず、anti−CP9の特異性の高いことが示された。
【0051】(3)オルソanti−HCVキットとの
一致、不一致検体のRNA検出 anti−CP9とanti−HCVの測定結果が一致
する割合はNANB急性肝炎(発症時)で49%、NA
NB慢性肝疾患例では慢性肝炎、肝硬変、肝癌いずれも
66〜67%であった。anti−HCV陰性でant
i−CP9陽性(吸光度2以上)のNANB型慢性肝疾
患例では表2に示すように11例中1例を除く10例
で、HCV RNAの存在が確認された。以上の結果か
ら、NANB型慢性肝疾患の診断においてanti−C
P9が特異性、及び感度に優れることが確認された。
【0052】(4)NANB型急性肝炎検体での抗体検
出の比較 NANB型急性肝炎の、輸血例3例と、散発
性例4例について、肝炎発症時(0月)、発症後3ケ
月、発症後6ケ月の3ポイントでanti−CP9とa
nti−HCVを測定し、両抗体の陽転時期を比較し
た。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】anti−CP9は、輸血例4、散発性例
3のいずれにおいても肝炎発症時に既に陽性であるのに
対し、anti−HCVは、7例中1例(散発性)が肝
炎発症時に陽性であるのみで、5例は3ケ月、残りの1
例は6ケ月後になってはじめて陽性となっており、NA
NB型急性肝炎においてanti−CP9はanti−
HCVに比較して、早期に出現する抗体を特異的に検出
できることが確認された(図3)。以上のことから、従
来の除外診断によることなく、NANB型急性肝炎の診
断が本発明のanti−CP9で可能となった。
【0055】実験例 アミノ酸配列CP−10(P5−23、19マー)のペ
プタイドを用いたNANB型肝炎ウイルス抗体測定例を
以下に示す。測定法は実施例2に示すとおりである。a
nti−CP10とanti−CP9は、ほぼ同程度の
陽性率を示すが検体6にみられるように、anti−C
P10は、anti−CP9陰性検体でも陽性のケース
であり、anti−CP9の測定を補足するものと考え
られる。また検体1から5までは、anti−HCV
(カイロン社)が陰性であるが、anti−CP10及
びanti−CP9は陽性でありPCR法によるNAN
BRNAが検出されている。このことからanti−C
P10測定系は、anti−HCVキットに比して、感
度、特異性ともに優れることが確認された(表5)。
【0056】
【表5】
【0057】実験例 アミノ酸配列CP−5(P101−120、20マー)
のペプタイドを用いた、NANB型肝炎ウイルス抗体測
定例を以下に示す。測定法は、実施例2に示すとおりで
ある。anti−CP5とanti−CP9を比較する
と同一検体での陽性率は、anti−CP9の方が高い
が、anti−CP5は検体8〜10の3検体にみられ
るように、anti一CP9陰性検体でも陽性の場合が
あり、anti−CP9の測定系を補足するものと考え
られる。また検体5〜7及び検体10は、anti−H
CV(カイロン社)陰性であるが、anti−CP5お
よびanti−CP9は陽性であり、PCR法によるN
ANB RNAが検出されている。このことから、an
ti−CP5測定系はanti−HCVキットに対し、
感度、特異性ともに優れることが確認された(表6)。
【0058】
【表6】
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、従来の測定法では捕促
できなかったNANB肝炎ウィルスの検出が可能であ
り、特異性及び感度のすぐれた、しかも早期に検出可能
なNANB肝炎検出系を提供する。これによって、早期
にしかも正確に患者の診断を行うことができ、また供血
者血液のスクリーニングにおいてもNANB肝炎ウィル
ス保有者の血液を高率で除去しうる。また、本発明のポ
リヘプタイド及びそれに対する抗体は、ワクチンや免疫
製剤の製造にも使用でき、NANB肝炎ウィルスの構造
遺伝子は、ポリペプチタイド抗原や抗体を見出すのに不
可欠の情報を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】はNANB肝炎ウィルスの塩基配列決定の方法
を示す。(a)はHC−J1株、(b)はHC−J4
株、(c)はHC−J5株、(d)はHC−J6株、
(e)はHC−J7株の各5′−末端側塩基配列の決定
方法を示す図。(f)は各ゲノムの3′末端側塩基配列
の決定方法を示す図。図中、実線はバクテリオファージ
λgt10のライブラリーによるクローンで塩基配列を
決定した範囲、点線はPCRによるクローンで塩基配列
を決定した範囲を示し、クローン名を線の横に示した。
【図2】はNANB肝炎ウィルスの構造蛋白質のアミノ
酸の親水性を示す図、
【図3】は輸血後NANB型肝炎患者のGOT値(黒塗
り)および−CP9(白丸)、−HCV(黒丸)の
変化を示す図。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01N 33/577 C12N 15/00 C (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/09 C07K 14/16 C12N 15/02 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ MEDLINE(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号21記載のアミノ酸配列を有する
    ポリペプタイドCP−10。
  2. 【請求項2】配列番号22記載のアミノ酸配列を有する
    ポリペプタイドCP−9−1。
  3. 【請求項3】配列番号25記載のアミノ酸配列を有する
    ポリペプタイドCP−5−1。
  4. 【請求項4】配列番号28記載の塩基配列を有するポリ
    ヌクレオチドCN−10。
  5. 【請求項5】配列番号29記載の塩基配列を有するポリ
    ヌクレオチドCN−9−1。
  6. 【請求項6】配列番号32記載の塩基配列を有するポリ
    ヌクレオチドCN−5−1。
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