JP3238625U - ガス流からオイル蒸気を分離するためのフィルタエレメント - Google Patents

Abstract

【課題】ガス流からオイル蒸気を分離するためのフィルターエレメントを提供する。【解決手段】ガス流に対して透過性の管状外側スクリーン１０と、ガス流に対して透過性の管状内側スクリーン１３と、を備え、外側スクリーン及び内側スクリーンは、外側スクリーンと内側スクリーンとの間の中間空間１８が第１のエンドキャップ１６及び第２のエンドキャップ１７上でガス流に対して封鎖されるように、一方では第１のエンドキャップに、他方では第２のエンドキャップに両端が収容されており、第１のエンドキャップ及び／又は第２のエンドキャップは、フィルタエレメント９の環境を、内側スクリーンによって封じ込まれる内部空間２０と流体接触させるための開口１９を備え、中間空間は、オイル蒸気吸着粒体２１の充填床で満たされ、オイル蒸気吸着粒体は、個々に０．００１ｍｍから１．５ｍｍの間の有効粒径を有する。【選択図】図１

Description

本考案は、ガス流からオイル蒸気を分離するためのフィルタエレメント及びフィルタ装置に関する。

本明細書において、「オイル蒸気」は、炭素数６から１６の炭素質成分又は炭素質成分群を意味する。

本考案は、より詳細には、
－ガス流に対して透過性の管状外側スクリーンと、
－外側スクリーンの内面によって境界が定められた内部空間に設けられガス流に対して透過性の管状内側スクリーンと、
を備え、
外側スクリーンと内側スクリーンとの間の中間空間は、オイル蒸気吸着粒体の充填床で満たされており、オイル蒸気吸着粒体のほとんど全ては、０．００１ｍｍから１．５ｍｍの有効粒径を有する、フィルタエレメントに関する。

本明細書において、「有効粒径」は、オイル蒸気吸着粒体の容積に相当する容積を有する球状粒子の直径を意味する。

オイル蒸気吸着床で完全に満たされたガス流からオイル蒸気を分離するための円筒形フィルタエレメントは従来から知られており、このような円筒形フィルタエレメントの代表直径は、この円筒形フィルタエレメントの代表長さよりも小さく、ガス流は円筒形フィルタエレメントの軸方向にオイル蒸気吸着床を流れる。

オイル蒸気吸着床は、一般的に、活性炭のようなオイル蒸気吸着材料の粒体を備える。これらの粒体は、例えば球状又は棒状のような規則的な形状とすること又は不規則な形状とすることができる。このような粒体の代表寸法は、一般的に、０．５ｍｍから５．０ｍｍの間で変化する。

このような円筒形フィルタエレメントの代表直径が小さいほど、オイル蒸気吸着床を通るガス流の流速が高くなる。

この流速は、オイル蒸気吸着床を横切る一般的には５０ｍｂａｒから１０００ｍｂａｒの間の大きな圧力損失及びオイル蒸気吸着床の吸着剤容量の制限につながる。

この大きな圧力損失及び吸着剤容量の制限を避けるために、オイル蒸気吸着床を通る流速は、一般的に１．５ｍ／ｓの値に制限する必要がある。

フィルタエレメントの代表直径を大きくすることは、通常、フィルタエレメントの周りのフィルタハウジングで課せられる空間制限により不可能である。

フィルタエレメントを有するフィルタ装置に適用されるガス流の流速を低減することは、多くの場合、この流速が、フィルタ装置の上流側をガス流が流れる装置が原因で課せられるので同様に不可能である。

ガス流の流速を、フィルタ装置内で並列に接続された追加のフィルタエレメントに分配することは、フィルタエレメント及び配管のための追加コスト、従って追加設置コストを意味することになる。

英国特許第１，０９６，９８９号には、ガス流からオイル蒸気を分離するための円筒形吸着ユニットが記載されており、このユニットは、互いに対して同心状に配置され、２つのエンドキャップの間に収容された内側スクリーン及び外側スクリーンを備え、内側スクリーンと外側スクリーンとエンドキャップとの間の空間は、活性アルミナ又は活性炭などの多孔質吸着材によって満たされている。

ガス流は、外側スクリーンの穿孔を通り、吸着ユニットに対して半径方向の様式で多孔質吸着材を通り、最後に内側スクリーンの穿孔を通って多孔質吸着材から離れる。

多孔質吸着材を通るガス流の半径方向の流れは、ガス流が多孔質吸着材を軸方向に流れる必要がある場合の同じ寸法を有する吸着ユニットと比較して、多孔質吸着材を通るガス流の流量を減少させる。

その結果、多孔質吸着材を横切る圧力損失は、ガス流の軸方向流を有する大型吸着ユニットの場合よりも著しく低くなることになる。

残念ながら、関連する吸着ユニットは、英国特許第１，０９６，９８９号の３頁、４９－５１行目に記載されているように、限定された吸着容量を特徴とする。

英国特許第１，０９６，９８９号に記載されているような吸着ユニットは、一般的には、モル基準でガス流からオイル蒸気の９０％－９５％を分離することができるに過ぎない。

ガス流が軸方向に流れるオイル蒸気吸着床を横切る高い圧力損失を防ぐために、例えば米国特許第３，１４９，０２３号又は英国特許第１，２６５，０９８号に記載されているように、オイル蒸気吸着粒子を含浸させた織布又は不織布フィルタ媒体が開発されている。

この織布又は不織布フィルタ媒体は、一般的に、円筒形に巻かれて、ガス流が半径方向に流れるフィルタ媒体を形成する。

しかしながら、このようなフィルタ媒体の欠点は、ガス流から除去することができるオイル蒸気の量に直接比例するオイル蒸気吸着材の総量が、フィルタ媒体のほんの一部のみがオイル蒸気吸着材料によって取り込まれるので、同じ寸法を有するオイル蒸気吸着床におけるよりもはるかに小さいということである。

さらに、オイル蒸気吸着床粒子を含浸させた巻かれたフィルタ媒体は、過負荷がかかった場合に亀裂などの損傷を受けやすい。この損傷は、まだ無傷のフィルタ媒体の周りにガス流のバイパスを形成し、これに沿ってガス流がオイル蒸気を十分に分離することなくフィルタエレメントから出る可能性がある。

英国特許第２，１０９，２６８号には、ガス流が半径方向に流れるフィルタ媒体を有するフィルタエレメントが記載されており、フィルタ媒体は、内側管状活性炭粒子充填床で構成され、その周りに活性炭粒子を含浸させた折り畳み紙媒体が巻き付けられている。

しかしながら、このような組み合わせを使用すると、複雑な層状構造につながり、結果的にフィルタエレメントにおけるフィルタ媒体の取り付けが複雑になる。

この場合、活性炭粒子を含浸させた折り畳み紙媒体は、過負荷がかかったときに損傷を受けやすいという欠点もある。

英国特許第１，０９６，９８９号 米国特許第３，１４９，０２３号 英国特許第１，２６５，０９８号 英国特許第２，１０９，２６８号

本考案は、上記及び／又は他の欠点の少なくとも１つを解決することを目的とする。

この目的のために、本考案は、ガス流からオイル蒸気を分離するためのフィルタエレメントに関し、フィルタエレメントは、
－ガス流に対して透過性の管状外側スクリーンと、
－外側スクリーンの内面によって境界が定められた内部空間に設けられガス流に対して透過性の管状内側スクリーンと、
を備え、
外側スクリーン及び内側スクリーンは、外側スクリーンと内側スクリーンとの間の中間空間が第１のエンドキャップ及び第２のエンドキャップ上でガス流に対して封鎖されるように、一方では第１のエンドキャップに、他方では第２のエンドキャップに両端が収容されており、第１のエンドキャップ及び／又は第２のエンドキャップは、フィルタエレメント（９）の環境を、内側スクリーンによって封じ込まれる内部空間と流体接触させるための開口を備え、
中間空間は、オイル蒸気吸着粒体の充填床で満たされ、オイル蒸気吸着粒体のほとんど全ては、個々に０．００１ｍｍから１．５ｍｍの間の有効粒径を有することを特徴とする。

本明細書において、「満たされる」は、中間空間を通るガス流に対して充填床の周りの中間空間にバイパスが存在しないように、中間空間が充填床でほぼ完全に満たされることを意味する。

本明細書において、「オイル蒸気吸着粒体」は、オイル蒸気吸収粒体とオイル蒸気吸着粒体の両方を意味することができる。

本明細書において、「蒸気吸着粒体のほとんど全てが個々に」という表現は、オイル蒸気吸着粒体が個々に考慮されることを意味する。換言すると、オイル蒸気吸着粒体のほとんど全ては、個々に、場合によっては０．００１ｍｍと１．５ｍｍとの間の異なる有効粒径を有する。

本考案によるこのようなフィルタエレメントは、オイル蒸気吸着粒体で完全に満たされ、ガス流が軸方向に流れることになる同じ寸法の公知のフィルタエレメントに比べて、フィルタエレメントを横切る圧力損失が小さく、吸着剤容量が大きいという利点を有する。

この場合、本考案によるフィルタエレメントの飽和時間、従って寿命を、オイル蒸気吸収粒体で完全に満たされている公知のフィルタエレメントよりも長くできることは非常に驚くべきことである。

また、本考案によるフィルタエレメントでは、フィルタエレメントの吸着剤容量は、ガス流が半径方向に流れ、オイル蒸気吸着粒子を含浸させた織布又は不織布が巻かれたフィルタ媒体を備えることになる同じ寸法の公知のフィルタエレメントの場合よりも大きくすることができる。

この場合、本考案によるフィルタエレメントを横切る圧力損失を、ガス流が半径方向に流れ、オイル蒸気吸着粒子を含浸させた織布又は不織布が巻かれたフィルタ媒体を備える公知のフィルタエレメントの場合より小さくできることは非常に驚くべきことである。

また、オイル蒸気吸着粒子を含浸させた織布又は不織布が巻かれたフィルタ媒体を備えるフィルタエレメントと比較して、オイル蒸気吸着粒体の充填床は、亀裂に対して敏感でない。

好ましくは、オイル蒸気吸着粒体のほとんど全ては、個々に少なくとも０．０１ｍｍ、好ましくは少なくとも０．１ｍｍの有効粒径を有する。

好ましくは、オイル蒸気吸着粒体のほとんど全ては、個々に多くても１．０ｍｍ、好ましくは多くても０．５ｍｍの有効粒径を有する。

好ましくは、オイル蒸気吸着粒体の９０％以上は、個々に０．１ｍｍと０．５ｍｍとの間の有効粒径を有する。

好ましくは、オイル蒸気吸着粒体は、０．１５ｍｍと０．４５ｍｍとの間の平均有効粒径を有する。

好ましくは、オイル蒸気吸着粒体は、少なくとも８００ｍ²／ｇ、好ましくは少なくとも９００ｍ²／ｇ、より好ましくは１０００ｍ²／ｇの比表面積を有する。

オイル蒸気吸着粒体の比表面積が大きいほど、フィルタエレメントの吸着容量が大きくなる。

オイル蒸気吸着粒体は、好ましくは少なくとも４００ｋｇ／ｍ³、好ましくは少なくとも５００ｋｇ／ｍ³、より好ましくは少なくとも６００ｋｇ／ｍ³、さらに好ましくは少なくとも７００ｋｇ／ｍ³の嵩密度を有する。

オイル蒸気吸着粒体の嵩密度が大きいほど、フィルタエレメントの吸着剤容量が大きくなる。

本考案によるフィルタエレメントの好ましい実施形態では、オイル蒸気吸着粒体は、天然又は合成起源の炭素質多孔質材料で構成される。

炭素質多孔質材料は、分離されたオイル蒸気との良好な結合強度を提供する。
炭素質多孔質材料は、好ましくは活性炭で構成される。
活性炭は、他のオイル蒸気吸着材料と比較して低コストで利用可能である。

本考案によるフィルタエレメントの別の好ましい実施形態では、外側スクリーン及び／又は内側スクリーンは、
－オイル蒸気吸着粒体が通過できないようになっている孔を有する焼結ポリマー、好ましくはポリプロピレン、及び／又は、
－オイル蒸気吸着粒体が通過できないようになっている穿孔を有する有孔金属、好ましくはステンレス鋼、
を備える。

本考案によるフィルタエレメントの別の好ましい実施形態では、外側スクリーン及び／又は内側スクリーンは、構造化材料と積層された延伸材で構成され、構造化材料の中の孔は、オイル蒸気吸着粒体が通過できないようになっている。

本明細書において、「延伸材」は、規則的な穿孔パターンを有するグリッドを形成するように切断されて延伸された板状の材料を意味する。

焼結ポリマー及び／又は有孔金属又は延伸材のいずれかの利点は、これが、外側スクリーン及び／又は内側スクリーンを、既存のフィルタエレメントで外側スクリーン及び／又は内側スクリーンに通常使用される不織材料だけのものよりも、硬質にすることある。

このような一般的に使用される不織布材料は、経時的にある程度の膨張を示すと共に充填床の重量によって大きく撓むので、内側スクリーンと外側スクリーンとの間の中間空間の容積が増加する。その結果、経時的に中間空間が完全に満たされなくなり、内側スクリーンと外側スクリーンとの間の充填床の回りの中間空間にバイパスが形成される場合がある。オイル蒸気は、このようなバイパスを通って、充填床に吸着されることなくガス流とともに運ばれる場合がある。

さらに、このような一般的に使用される不織布材料は、本考案のような焼結ポリマー及び／又は有孔金属又は膨張材料のいずれよりも、亀裂などの損傷を受けやすい。

構造化材料は、好ましくはガラス繊維で作られている。

もしくは、構造化材料は、好ましくは織布又は不織布のポリマー媒体、好ましくはポリプロピレン媒体である。

本考案によるフィルタエレメントの別の好ましい実施形態では、内側スクリーン及び外側スクリーンは、軸対称であり、互いに対して同心円状に配置されている。

この場合、外側スクリーンの内面と内側スクリーンの外面との間の垂直距離は、好ましくは少なくとも５．０ｍｍ、好ましくは少なくとも１０．０ｍｍ、より好ましくは少なくとも２０．０ｍｍ、さらに好ましくは少なくとも３０．０ｍｍ、さらにより好ましくは４０．０ｍｍ、最も好ましくは少なくとも５０．０ｍｍである。

この垂直距離が大きいほど、フィルタエレメントが含むオイル蒸気吸着材料が多くなり、その結果、フィルタエレメントの飽和時間が長くなる。

また、本考案は、ガス流からオイル蒸気を分離するためのフィルタ装置に関し、フィルタ装置は、本考案によるフィルタエレメントを備えることを特徴としている。

このようなフィルタ装置は、本考案のフィルタエレメントの上述した実施形態と同じ利点を有することは言うまでもない。

本考案の特徴をよりよく示すために、非制限的な例としての本考案によるガス流からオイル蒸気を分離するためのフィルタエレメント及びそのようなフィルタエレメントを備えるフィルタ装置の好ましい実施形態は、添付図面を参照して以下に説明される。

本考案によるフィルタエレメントを備えるフィルタ装置の断面図である。

図１は、ガス流からオイル蒸気を分離するための本考案によるフィルタ装置１を示す。

ガス流は、例えば、圧縮空気の流れとすることができるが、本考案はこれに限定されない。

フィルタ装置１は、フィルタハウジング２を備え、フィルタハウジング２は、リッド３及びポット４で構成され、これらは各々の上に取り付けられてフィルタハウジング２を形成するようになっている。

図示の例では、ポット４はリッド３にねじ込まれ、リッド３及びポット４の両方は、協働するねじ山５を備える。

代替的に又は追加的に、ポット４は、バヨネットマウント及び／又は何らかの他の方法によって、リッド３内に取り付けることも可能である。

リッド３は、浄化されるガスのための入口６と、浄化されたガスのための出口７とを備える。典型的には、リッド３を備えたフィルタ装置１は、圧縮機設置のような機械配管に取り付けられる。この目的のために、リッド３は、入口６及び出口７でそれに適したフランジを備えることができる。

さらに、リッド３には、換気開口８を備えることができる。このような換気開口８は、フィルタハウジング２の内部が依然として加圧されている間にポット４がリッド３から分解されるときに可聴警告信号を生成する。従って、ポット４は、安全な方法で、すなわち、フィルタハウジング２の内圧が完全に放出され、フィルタハウジング２の外部環境の圧力と同じ値に達したときにのみ、リッド３から完全に回して外すこと又は分解することができる。

フィルタハウジング２の中には、より詳細にはポット４の中には、フィルタエレメント９が装着されている。

フィルタエレメント９は、
－ガス流に対して透過性があり、第１の外側スクリーン端１１と、第１の外側スクリーン端１１とは異なる第２の外側スクリーン端１２とを有する管状外側スクリーン１０と、
－外側スクリーン１０の内面によって境界が定められた内部空間内に設けられガス流に対して透過性があり、第１の内側スクリーン端１４と、第１の内側スクリーン端１４とは異なる第２の内側スクリーン端１５とを有する管状内側スクリーン１３と、
－第１の外側スクリーン端１１及び第１の内側スクリーン端部１４がこれによりシールされるように収容される第１のエンドキャップ１６と、第２外側スクリーン端１２及び第２の内側スクリーン端１５がこれによりシールされるように収容される第２のエンドキャップ１７と、
を備え、
外側スクリーン１０と内側スクリーン１３との間の中間空間１８は、第１のエンドキャップ１６及び第２のエンドキャップ１７上のガス流に対して封鎖されるようになっており、第２のエンドキャップ１７は開口１９を備え、内側スクリーン１３と第１エンドキャップ１６によって封じ込まれる内部空間２０が、開口１９に沿ってフィルタエレメント９の環境と流体接触するように構成される。

本考案の範囲内において、第１のエンドキャップ１６が開口１９を備えること、又はエンドキャップ１６のみが開口を備えることは排除されない。

中間空間１８は、オイル蒸気吸着粒体の充填床で満たされ、オイル蒸気吸着粒体２１のほとんど全ては、個々に０．００１ｍｍから１．５ｍｍの間の有効粒径を有する。

好ましくは、粒体２１の９０％以上は、個々に０．１ｍｍから０．５ｍｍの間の有効粒径を有する。

粒体２１は、好ましくは、０．１５ｍｍから０．４５ｍｍの間の平均有効粒径を有する。

さらに、粒体２１は、好ましくは、少なくとも８００ｍ²／ｇの比表面積（surface-to-weight ratio）を有する。

粒体２１は、好ましくは、少なくとも４００ｋｇ／ｍ³の嵩密度を有する。

好ましくは、しかし本考案では必須ではないが、上記の粒体２１は、天然又は合成起源の炭素質多孔質材料、好ましくは活性炭で構成される。

外側スクリーン１０及び／又は内側スクリーン１３は、
－粒体２１が通過できないほど小さい孔を有する、焼結ポリマー、好ましくはポリプロピレン、及び／又は、
－粒体２１が通過できないほど小さい穿孔を有する、有孔金属、好ましくはステンレス鋼、を備える。

代替的に又は追加的に、外側スクリーン１０及び／又は内側スクリーン１３は、構造化材料と積層された延伸材で構成され、構造化材料の孔は、粒体２１が孔を通過することができないほど小さい。

構造化材料は、好ましくは、ガラス繊維、又は織布もしくは不織布のポリマー媒体、好ましくはポリプロピレン媒体で作られている。

この場合、内側スクリーン１３及び外側スクリーン１０は、軸対称であり、互いに対して同心円状に配置されている。

この場合、内側スクリーン１０及び外側スクリーン１３の内面と外面との間の垂直距離は、好ましくは少なくとも５．０ｍｍである。

フィルタエレメント９を有するフィルタ装置１は、少なくともガス単位体積当たりのオイル蒸気０．２５ｍｇ、好ましくは少なくともガス単位体積当たりのオイル蒸気０．３０ｍｇ、より好ましくは少なくともガス単位体積当たりのオイル蒸気０．３５ｍｇ、さらに好ましくは少なくともガス単位体積当たりのオイル蒸気０．４０ｍｇ、さらに好ましくは少なくともガス単位体積当たりのオイル蒸気０．４５ｍｇのオイル蒸気濃度を有するガス流からオイル蒸気を分離するために使用される。

さらに、フィルタエレメント９を有するフィルタ装置１は、多くともガス単位体積当たりのオイル蒸気０．０１０ｍｇ、好ましくは多くともガス単位体積当たりのオイル蒸気０．００５ｍｇ、より好ましくは多くともガス単位体積当たりのオイル蒸気０．００３ｍｇのオイル蒸気濃度までのガス流からオイル蒸気を分離するために使用される。

比較例
ＩＳＯ規格第８５７３－５に従って、典型的に圧縮機設備において、オイル蒸気を分離するためのフィルタ媒体を有する公知の様々なフィルタ装置について一対一の試験を実施した。圧縮機設備は、オイル蒸気を分離するためのフィルタ装置の上流に、
－ガスを圧縮するためのオイル噴射式圧縮機と、
－圧縮されたガスから水蒸気を分離するための冷却乾燥機と、
－炭素数１６以上のオイルエアロゾルを分離するための合体フィルタと、
を有する。

この場合、オイル蒸気を分離するためのフィルタ装置に流入するガス中のオイル蒸気の入口濃度は、ガス単位体積当たりのオイル蒸気０．５ｍｇ程度の濃度に維持される。
フィルタ装置に流入するガスの圧力は７ｂａｒ、温度は０－３５℃である。

公知の様々なフィルタ媒体について、フィルタ装置を横切る圧力損失、オイル蒸気の初期破過濃度、及び関連するフィルタ媒体において５０％の破過に達するのに必要な時間を、表１に列挙する。

本明細書において、「初期破過濃度」とは、まだ飽和していないフィルタ媒体から出てくるガス中に最初に現れるようなオイル蒸気の濃度を意味する。
この初期破過濃度が低いほど、フィルタ装置の初期性能が高い。

本明細書において、「破過５０％」とは、フィルタ媒体から出るガス中に現れるオイル蒸気の濃度が、入口オイル蒸気濃度の５０％であることを意味する。

表１のデータから、オイル蒸気吸着粒子を含浸させた巻き式フィルタ媒体では、完全充填床として設計されたフィルタ媒体に対して、フィルタ装置全体の圧力損失が小さくなっていることが明らかである。

さらに、巻き式フィルタ媒体は、一般に、完全充填床として設計されたフィルタ媒体よりも、初期破過濃度が低く、場合によっては５０％の破過に達するまでの時間が長いことが分かる。

このことから、巻き式フィルタ媒体を有するフィルタ装置は、一般的に、完全充填床として設計されたフィルタ媒体を有するフィルタ装置よりも、圧力損失及び初期破過濃度に関して高いレベルの性能を有し、場合によっては、さらに飽和時間、結果的には寿命が長いと結論付けることができる。

本考案によるフィルタエレメントを有するフィルタ装置について、上記の比較例と同じ条件で試験を実施した。

フィルタエレメントは、焼結ポリプロピレン製の２つの同心円筒状スクリーンを備え、２つのスクリーンの間の中間空間は、活性炭粒子の充填床で満たされている。

活性炭粒子は０．００１ｍｍから１．５ｍｍの間の有効粒径を有し、９０％以上の活性炭粒子は０．１ｍｍから０．３１５ｍｍの間の有効粒径を有し、活性炭粒子は０．２１ｍｍの平均有効粒径を有する。

活性炭粒子は、７３５ｋｇ／ｍ³の嵩密度及び１０５０ｍ²／ｇの比表面積を有する。
本考案によるフィルタ装置を横切る圧力損失は僅か７５ｍｂａｒであるが、初期破過濃度は０．００３ｍｇ／ｍ³より低く、５０％の破過を達成するのに必要な時間は１００時間より長い。

このことから、本考案によるフィルタ装置は、一般に、以下のような性能を有すると結論付けることができる。すなわち、
－初期破過濃度に関して、より高いレベルの性能、すなわちより低い初期破過濃度を有する。
－比較例として上述したフィルタ装置よりも短い飽和時間、従って寿命を有する。

多くの場合、本考案によるフィルタ装置を横切る圧力損失は、比較例として上述したフィルタ装置を横切る圧力損失よりも低い。

本考案によるフィルタ装置は、完全充填床として設計されたフィルタ媒体を有する比較例のフィルタ装置よりも、圧力損失、初期破過濃度、飽和時間／寿命に関して高いレベルの性能を有していることに留意されたい。

本考案は、実施例として記載され、図示された実施形態に限定されるものではなく、本考案によるフィルタ装置は、実用新案登録請求の範囲に定義された本考案の範囲を超えることなく、何らかの形状及びサイズで実施することが可能である。

９ フィルタエレメント
１０ 外側スクリーン
１３ 内側スクリーン
１６ 第１のエンドキャップ
１７ 第２のエンドキャップ
１８ 中間空間
１９ 開口
２０ 内部空間
２１ オイル蒸気吸着粒体

Claims (17)

1. ガス流からオイル蒸気を分離するためのフィルタエレメント（９）であって、
   －ガス流に対して透過性の管状外側スクリーン（１０）と、
   －前記外側スクリーン（１０）の内面によって境界が定められた内部空間に設けられ前記ガス流に対して透過性の管状内側スクリーン（１３）と、
   を備え、
   前記外側スクリーン（１０）及び前記内側スクリーン（１３）は、前記外側スクリーン（１０）と前記内側スクリーン（１３）との間の中間空間（１８）が第１のエンドキャップ（１６）及び第２のエンドキャップ（１７）上でガス流に対して封鎖されるように、一方では前記第１のエンドキャップ（１６）に、他方では前記第２のエンドキャップ（１７）に両端が収容されており、前記第１のエンドキャップ（１６）及び／又は前記第２のエンドキャップ（１７）は、前記フィルタエレメント（９）の環境を、前記内側スクリーン（１３）によって封じ込まれる内部空間（２０）と流体接触させるための開口（１９）を備え、
   前記中間空間（１８）は、オイル蒸気吸着粒体（２１）の充填床で満たされ、前記オイル蒸気吸着粒体（２１）のほとんど全ては、個々に０．００１ｍｍから１．５ｍｍの間の有効粒径を有する、
   ことを特徴とするフィルタエレメント。
2. 前記オイル蒸気吸着粒体（２１）のほとんど全ては、個々に少なくとも０．０１ｍｍ、好ましくは少なくとも０．１ｍｍの有効粒径を有する、
   請求項１に記載のフィルタエレメント。
3. 前記オイル蒸気吸着粒体（２１）のほとんど全ては、個々に最大１．０ｍｍ、好ましくは最大０．５ｍｍの有効粒径を有する、
   請求項１に記載のフィルタエレメント。
4. 前記オイル蒸気吸着粒体（２１）の９０％以上は、個々に、０．１ｍｍから０．５ｍｍの間の有効粒径を有する、
   請求項１に記載のフィルタエレメント。
5. 前記オイル蒸気吸着粒体（２１）は、０．１５ｍｍから０．４５ｍｍの間の平均有効粒径を有する、
   請求項１に記載のフィルタエレメント。
6. 前記オイル蒸気吸着粒体（２１）は、少なくとも８００ｍ²／ｇ、好ましくは少なくとも９００ｍ²／ｇ、より好ましくは少なくとも１０００ｍ²／ｇの比表面積を有する、
   請求項１に記載のフィルタエレメント。
7. 前記オイル蒸気吸着粒体（２１）は、少なくとも４００ｋｇ／ｍ³、好ましくは少なくとも５００ｋｇ／ｍ³、より好ましくは少なくとも６００ｋｇ／ｍ³、さらに好ましくは少なくとも７００ｋｇ／ｍ³の嵩密度を有する、
   請求項１に記載のフィルタエレメント。
8. 前記オイル蒸気吸着粒体（２１）は、天然又は合成起源の炭素質多孔質材料で構成される、
   請求項１に記載のフィルタエレメント。
9. 前記炭素質多孔質材料は、活性炭で構成される、
   請求項８に記載のフィルタエレメント。
10. 前記外側スクリーン（１０）及び／又は前記内側スクリーン（１３）は、
    －前記オイル蒸気吸着粒体（２１）が通過できないようになっている孔を有する焼結ポリマー、好ましくはポリプロピレン、及び／又は、
    －前記オイル蒸気吸着粒体（２１）が通過できないようになっている穿孔を有する有孔金属、好ましくはステンレス鋼、を備える、
    請求項１に記載のフィルタエレメント。
11. 前記外側スクリーン（１０）及び／又は前記内側スクリーン（１３）は、構造化材料と積層された延伸材で構成され、前記構造化材料の中の孔は、前記オイル蒸気吸着粒体（２１）が通過できないようになっている、
    請求項１に記載のフィルタエレメント。
12. 前記構造化材料は、ガラス繊維で作られている、
    請求項１１に記載のフィルタエレメント。
13. 前記構造化材料は、織布又は不織布のポリマー媒体である、
    請求項１１に記載のフィルタエレメント。
14. 前記ポリマー媒体は、ポリプロピレン媒体である、
    請求項１３に記載のフィルタエレメント。
15. 前記内側スクリーン（１３）及び前記外側スクリーン（１０）は、軸対称であり、互いに対して同心円状に配置されている、
    請求項１に記載のフィルタエレメント。
16. 前記外側スクリーン（１０）の内面と前記内側スクリーン（１３）の外面との間の垂直距離は、少なくとも５．０ｍｍ、好ましくは少なくとも１０．０ｍｍ、より好ましくは少なくとも２０．０ｍｍ、さらに好ましくは少なくとも３０．０ｍｍ、さらにより好ましくは４０．０ｍｍ、最も好ましくは少なくとも５０．０ｍｍである、
    請求項１５に記載のフィルタエレメント。
17. ガス流からオイル蒸気を分離するためのフィルタ装置であって、前記フィルタ装置（１）は、請求項１から１６のいずれかに記載のフィルタエレメント（９）を備えている、
    ことを特徴とするフィルタ装置。

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