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JP3216262B2 - 車両灯具用加熱硬化型防曇剤組成物及び車両灯具 - Google Patents

車両灯具用加熱硬化型防曇剤組成物及び車両灯具

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JP3216262B2
JP3216262B2 JP26236992A JP26236992A JP3216262B2 JP 3216262 B2 JP3216262 B2 JP 3216262B2 JP 26236992 A JP26236992 A JP 26236992A JP 26236992 A JP26236992 A JP 26236992A JP 3216262 B2 JP3216262 B2 JP 3216262B2
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meth
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acrylamide
vehicle lighting
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広樹 水谷
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義宏 押部
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車などに装着さ
れている車両灯具用の加熱硬化型防曇剤組成物及び車両
灯具に関するものである。さらに詳しくは、使用時に内
部温度が60〜140℃の高温環境に晒される車両灯具
におけるプラスチック製レンズ等の内部表面に適用され
る加熱硬化型防曇剤組成物及びこの加熱硬化型防曇剤組
成物を塗工して得られる車両灯具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは各種透明プラスチック材料
へ防曇性を付与する方法として、次のような防曇剤を提
案した(特開平2−255854号公報)。すなわち、
第1は、親水性重合体部分と疎水性重合体部分からなる
ブロック又はグラフト共重合体と界面活性剤からなる防
曇剤である。第2は、疎水性重合体部分とアクリルアミ
ド誘導体から形成される親水性重合体部分とからなり、
自己架橋性を有するブロック又はグラフト共重合体と界
面活性剤とを含有する防曇剤である。第3は、疎水性重
合体部分とアクリルアミド誘導体と(メタ)アクリル酸
ヒドロキシアルキルから形成される親水性重合体部分と
からなり、自己架橋性を有するブロック共重合体と界面
活性剤とを含有するポリエステル用防曇剤である。
【0003】一方、車両灯具の防曇化に関しては、灯具
使用時の高温環境、すなわち60〜140℃の温度下に
おいても、防曇性、灯具レンズの外観、塗膜強度及び密
着性が極めて長期に維持されることの4点が基本的性能
として求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、本発明者ら
による、自己架橋性を有する特定組成のブロック又はグ
ラフト共重合体と界面活性剤とからなる防曇剤の場合に
おいては、通常の温度範囲である−20〜60℃未満の
環境下での外見、防曇性、密着性、塗膜強度は極めて長
期に維持される。しかし、高温環境下すなわち60〜1
40℃の温度下では、防曇塗膜は経時的にその防曇性と
密着性が低下するという問題があった。従って、このよ
うな高温環境下においても通常の環境下と同じく、実使
用可能な外観、密着性、防曇性及び塗膜強度が長期に維
持される防曇剤組成物及び防曇加工方法の開発が強く求
められていた。
【0005】この発明は上記のような従来技術の問題に
着目してなされたものであり、その目的は、特に60〜
140℃という高温環境下での防曇性と密着性を改善す
ることにより、車両灯具の実使用環境における−20〜
140℃の温度下で、優れた防曇性、密着性、塗膜強度
及び塗膜外観を長期にわたって発現できる車両灯具用加
熱硬化型防曇剤組成物及びこの防曇剤組成物を塗工した
車両灯具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために、本発明者らの提案した前記防曇性塗
膜について、60〜140℃の高温環境下でその防曇性
及び密着性が低下する原因について検討した。その結
果、塗膜が60〜140℃という高温環境下に置かれる
ことにより、防曇性塗膜の架橋反応が進行して架橋密度
が経時的に高くなり、塗膜中への水の浸透が初期に比べ
て低下したため、防曇性は経時的に低下した。
【0007】一方、密着性は経時的な架橋反応の進行に
より塗膜内に内部応力が蓄積されるとともに、基材の膨
張に塗膜が追従できなくなったため低下した。この塗膜
の架橋反応を進行させる要因は、次の2点であった。す
なわち、第1点はブロック又はグラフト共重合体の親水
性重合体部分を形成するヒドロキシル基を有する親水性
単量体同士が反応することである。第2点は、親水性重
合体部分を構成するグリシジル基、N−メチロール基、
N−メチロールエーテル基、カルボキシル基、酸無水物
基のいずれかの架橋官能基を有するビニル型単量体と疎
水性重合体部分を構成するグリシジル基、N−メチロー
ル基、N−メチロールエーテル基、カルボキシル基、酸
無水物基のいずれかの架橋官能基を有するビニル型単量
体との架橋反応が防曇性塗膜形成時に全ての架橋官能基
が反応することなく、実用上可能な塗膜強度を発現する
架橋反応が起こり、60〜140℃という高温環境下で
未反応の架橋官能基がさらに反応することである。
【0008】本発明者らは、先に提案した技術を生かし
ながら、高温環境下での防曇性と密着性を低下させる上
述の2つの要因を除去し、塗膜の架橋密度、ブロック又
はグラフト共重合体の親水性と疎水性の調整等について
鋭意検討した結果、この発明を完成した。
【0009】即ち、この発明における第1の発明の車両
灯具用加熱硬化型防曇剤組成物は、N−メチロール(メ
タ)アクリルアミド1〜15重量%、前記一般式化1又
は化2で表されるN置換又は非置換の(メタ)アクリル
アミド系化合物の少なくとも一種以上35〜86重量%
及び(メタ)アクリル酸低級アルキルの少なくとも一種
以上15〜50重量%より形成される親水性重合体部分
と、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有す
るビニル型単量体1〜30重量%及びこのビニル型単量
体と共重合性を有する(メタ)アクリル酸低級アルキル
70〜99重量%より形成される疎水性重合体部分とか
らなり、前記親水性重合体部分と疎水性重合体部分の重
量比が50/50〜95/5であるブロック又はグラフ
ト共重合体を含有することを特徴とする。
【0010】また、第2の発明の車両灯具用加熱硬化型
防曇剤組成物は、前記ブロック又はグラフト共重合体
は、その親水性重合体部分がN−メチロール(メタ)ア
クリルアミド1〜15重量%、前記一般式化1又は化2
で表されるN置換又は非置換の(メタ)アクリルアミド
系化合物の少なくとも一種以上20〜79重量%、(メ
タ)アクリル酸低級アルキルの少なくとも一種以上15
〜50重量%及び前記一般式化3で表される(メタ)ア
クリル酸低級アルコキシアルキレングリコールの少なく
とも一種以上5〜50重量%より形成されることを特徴
とする。
【0011】さらに、第3の発明の車両灯具用加熱硬化
型防曇剤組成物は、第1又は第2の発明の車両灯具用加
熱硬化型防曇剤組成物に界面活性剤を配合し、ブロック
又はグラフト共重合体と界面活性剤との配合割合が固形
分重量比で100:0.5〜30であることを特徴とす
る。第4の発明の車両灯具は、第1〜3の発明の車両灯
具用加熱硬化型防曇剤組成物を基材に塗工し、70〜1
45℃の温度で加熱硬化して表面に防曇性塗膜を形成し
てなることを特徴とする。
【0012】次に、この発明について順次詳細に説明す
る。まず、この発明におけるブロック又はグラフト共重
合体について説明する。ブロック又はグラフト共重合体
の親水性重合体部分は、N−メチロール(メタ)アクリ
ルアミド1〜15重量%、前記化1又は化2で表される
N置換又は非置換の(メタ)アクリルアミド系化合物の
少なくとも一種以上35〜86重量%、(メタ)アクリ
ル酸低級アルキルの少なくとも一種15〜50重量%よ
り構成されるか、又はN−メチロール(メタ)アクリル
アミド1〜15重量%、前記化1又は化2で表されるN
置換又は非置換の(メタ)アクリルアミド系化合物の少
なくとも一種以上20〜79重量%、(メタ)アクリル
酸低級アルキルの少なくとも一種15〜50重量%、前
記化3で表される(メタ)アクリル酸低級アルコキシア
ルキレングリコールの少なくとも一種5〜50重量%よ
り構成される。
【0013】温度範囲60〜140℃の高温環境下にお
ける防曇性を発現する塗膜と基材との密着性を長期に維
持するとともに、実用的な塗膜強度を発現するには、単
量体としてN−メチロール(メタ)アクリルアミドを用
いることが必要である。また、その存在量により架橋密
度を最適値に調整することができ、その存在量は1〜1
5重量%である。1重量%に満たない場合、塗膜の架橋
密度が不足し、十分な塗膜強度が得られない。一方、1
5重量%を越える場合、架橋密度が高くなり過ぎて防曇
性が低下し、しかも、初期と60〜140℃の高温環境
下における基材との密着性も低下する。
【0014】さらに、親水性重合体部分は、これを構成
する単量体がN−メチロール(メタ)アクリルアミド
と、前記化1又は化2で表されるN置換又は非置換の
(メタ)アクリルアミド系化合物の少なくとも一種以上
と、(メタ)アクリル酸低級アルキルの少なくとも一種
以上からなる成分系の場合、N置換又は非置換の(メ
タ)アクリルアミド系化合物の少なくとも一種以上35
〜86重量%より構成される。一方、N−メチロール
(メタ)アクリルアミドと、前記化1又は化2で表され
るN置換又は非置換の(メタ)アクリルアミド系化合物
の少なくとも一種以上と、(メタ)アクリル酸低級アル
キルの少なくとも一種以上と、前記化3で表される(メ
タ)アクリル酸低級アルコキシアルキレングリコールの
少なくとも一種からなる成分系の場合、N置換又は非置
換の(メタ)アクリルアミド系化合物の少なくとも一種
以上20〜79重量%より構成される。
【0015】特に、前記化1又は化2で表されるN置換
又は非置換の(メタ)アクリルアミド系化合物の少なく
とも一種以上の単量体から構成することにより、塗膜の
初期及び60〜140℃の高温環境下における優れた防
曇性が長期にわたって維持される。各成分系において、
この単量体が35重量%又は20重量%に満たない場
合、初期と高温環境下における防曇性が低下する。一
方、86重量%又は79重量%を越える場合、塗膜への
水の浸透力が強くなり過ぎ、塗膜強度が低下する。
【0016】前記化1又は化2で表されるN置換又は非
置換の(メタ)アクリルアミド系化合物としては、例え
ば(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N′−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジ
エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N′−ジメチルアミノプロピル(メタ)
アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、
N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)ア
クリロイルモルホリン等を使用することができる。これ
らの単量体及び以下に述べるいずれの単量体も市販品と
して入手することができ、また公知の方法に従って合成
したものを使用することもできる。
【0017】また、親水性重合体部分は、第1又は第2
の発明のいずれにおいても、高温環境下における密着性
及び塗膜強度を確保するために、従来配合されていなか
った(メタ)アクリル酸低級アルキルの少なくとも一種
以上を配合することが必要であり、その含有量は15〜
50重量%の範囲である。この単量体が15重量%未満
の場合、60〜140℃の高温環境下での塗膜強度が不
足する。逆に、50重量%を越える場合、(メタ)アク
リル酸低級アルキルが疎水性であるために塗膜の親水性
が低下し、初期又は高温環境下での防曇性が低下する。
【0018】(メタ)アクリル酸低級アルキルとして
は、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メ
タ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−
ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アク
リル酸t−ブチル等が使用できる。
【0019】親水性重合体部分は、第2の発明において
前記化3で表される(メタ)アクリル酸低級アルコキシ
アルキレングリコールの少なくとも一種以上5〜50重
量%を含有する。この単量体は前記化1又は化2で表わ
されるN置換又は非置換の(メタ)アクリルアミド系化
合物と比べて親水性はやや低く、(メタ)アクリル酸低
級アルキルと比べて疎水性が低いという特性を有するこ
とから、親水性重合体の親水性と疎水性を調整する目的
と、ヒドロキシル基がアルキル基で封鎖されていること
から、N−メチロール基との反応性を抑制する目的で用
いられる。
【0020】つまり、親水性重合体部分を構成する単量
体中の前記化1又は化2で表されるN置換又は非置換の
(メタ)アクリルアミド系化合物の割合が高い場合、こ
の単量体の一部を前記化3で表される(メタ)アクリル
酸低級アルコキシアルキレングリコールに置き換えるこ
とにより、初期及び高温環境下での塗膜強度を大幅に低
下させることなく、防曇性を向上させることができる。
この単量体の配合割合が、5重量%に満たない場合、塗
膜の防曇性が不足し、50重量%を越える場合、塗膜強
度が不足する。
【0021】この前記化3で表される(メタ)アクリル
酸低級アルコキシアルキレングリコールとしては、(メ
タ)アクリル酸メトキシエチレングリコール(ここで、
nは1〜10の整数が好適である)、(メタ)アクリル
酸エトキシエチレングリコール(ここで、nは1〜10
の整数が好適である)、(メタ)アクリル酸メトキシプ
ロピレングリコール(ここで、nは1〜10の整数が好
適である)等が使用できる。
【0022】次に、ブロック又はグラフト共重合体の疎
水性重合体部分について説明する。この疎水性重合体部
分は、スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有
するビニル型単量体1〜30重量%と、これと共重合性
を有する(メタ)アクリル酸低級アルキル70〜99重
量%より構成される。スルホン酸基、カルボキシル基又
はリン酸基を有するビニル型単量体が1重量%を満たさ
ない場合塗膜の透明性が低下し、30重量%を越える場
合塗膜と基材の密着性が低下する。また、この単量体は
親水性重合体部分におけるN−メチロール(メタ)アク
リルアミドの架橋反応時の酸触媒としての機能をも果た
す。なお、この発明で主として起こる架橋反応は、N−
メチロール(メタ)アクリルアミド同士の架橋反応であ
る。
【0023】この単量体としては、例えば(メタ)アク
リル酸−3−スルホプロピル、(メタ)アクリル酸−2
−スルホエチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イ
タコン酸、イタコン酸半エステル、マレイン酸半エステ
ル、マレイン酸、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキ
シエチル)アシッドホスフェート等を使用することがで
きる。
【0024】また、前記共重合性の(メタ)アクリル酸
低級アルキルは、炭素数1〜4の直鎖又は分岐状のアル
キル基を有する(メタ)アクリル酸低級アルキルであ
る。この単量体の配合割合が70重量%未満では塗膜と
基材との密着性が低下し、99重量%を越えると塗膜の
透明性が低下する。この単量体としては、前述した(メ
タ)アクリル酸低級アルキルが使用される。
【0025】次に、ブロック又はグラフト共重合体中に
おける親水性重合体部分と疎水性重合体部分の重量比は
50/50〜95/5であることが必要である。親水性
重合体部分の割合が50重量%未満の場合、ブロック又
はグラフト共重合体の親水性が低下し、またブロック又
はグラフト共重合体と界面活性剤の相互作用が弱くな
り、その結果初期の防曇性だけでなく、防曇持続性が低
下する。一方、疎水性重合体部分の割合が5重量%未満
の場合には、塗膜強度と基材に対する密着性が損なわれ
る。
【0026】この発明の親水性重合体部分と疎水性重合
体部分からなるブロック又はグラフト共重合体は、従来
公知の方法で合成できるが、特に工業的な生産性の容易
さ、多義にわたる性能的な面より、ポリメリックペルオ
キシド、ポリアゾ化合物、ラジカル共重合ペルオキシド
を重合開始剤としたラジカル重合法により製造されるも
のが好ましい。この場合、使用されるラジカル重合開始
剤としては、従来公知の1分子中に2個以上のペルオキ
シ結合又はアゾ結合を有する化合物、1分子中にラジカ
ル共重合性基とペルオキシ結合を有する化合物が用いら
れ、重合方法としては、通常の塊状重合法、懸濁重合
法、溶液重合法、乳化重合法等が採用される。
【0027】次に、この発明のブロック共重合体の代表
的な製造例として、ポリメリックペルオキシドを重合開
始剤とする重合法について以下に説明する。まず、ポリ
メリックペルオキシドを用いて親水性重合体部分を形成
する単量体の重合を行うと、連鎖中にペルオキシ結合が
導入されたペルオキシ結合含有親水性重合体が得られ
る。これに疎水性重合体部分を形成する単量体を加えて
重合を行うと、親水性重合体連鎖中のペルオキシ結合に
おいて開裂し、効率よくブロック共重合体が得られる。
【0028】また、この発明のグラフト共重合体の代表
的な製造例をラジカル共重合性基含有ペルオキシドを重
合開始剤として説明する。まず、ラジカル共重合性基含
有ペルオキシドのペルオキシ結合が開裂しない条件で通
常の遊離基重合開始剤により親水性の重合体を形成する
ビニル型単量体を共重合することにより、ペルオキシ結
合を含有する親水性共重合体が得られる。次に、このペ
ルオキシ結合が開裂する条件で、これに疎水性の重合体
を形成するビニル型単量体を加えて重合を行うと、親水
性重合体中のペルオキシ結合において開裂し、効率よく
グラフト共重合体が得られる。このようにして合成され
るブロック又はグラフト共重合体は、親水性重合体部分
及び疎水性重合体部分の分子量を自由に調節することが
可能である。
【0029】次に、第3の発明の加熱硬化型防曇剤組成
物においては界面活性剤を配合する。この界面活性剤と
しては、一般に使用されるもので、非イオン系界面活性
剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両
性イオン系界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性
剤である。これらのうち、効果の持続性の点から、非イ
オン系界面活性剤又は陰イオン系界面活性剤が好まし
く、特にポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル
類とジアルキルスルホコハク酸塩の組合せが、防曇性の
持続性及び塗膜の外観変化を防止する観点から好適であ
る。
【0030】非イオン系界面活性剤としては、例えばポ
リオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチ
レンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエ
ーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル
類、ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキ
シエチレンノニルフェノール等のポリオキシエチレンア
ルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレングリコ
ールモノステアレート等のポリオキシエチレンアシルエ
ステル類、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイ
ド付加物、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等
のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ア
ルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルリン酸エステル等のリン酸エステル類、シュガー
エステル類、セルロースエーテル類等が使用される。
【0031】陰イオン系界面活性剤としては、例えばオ
レイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸
塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウ
ム等の高級アルコール硫酸エステル類、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン
酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩及びア
ルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸
ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ジア
ルキルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレン
サルフェート塩等が使用される。
【0032】陽イオン系界面活性剤としては、例えばエ
タノールアミン類、ラウリルアミンアセテート、トリエ
タノールアミンモノ蟻酸塩、ステアラミドエチルジエチ
ルアミン酢酸塩等のアミン塩、ラウリルトリメチルアン
モニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロラ
イド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、
ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ス
テアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の
第4級アンモニウム塩等が使用される。
【0033】両性イオン系界面活性剤としては、例えば
ジメチルアルキルラウリルベタイン、ジメチルアルキル
ステアリルベタイン等の脂肪酸型両性界面活性剤、ジメ
チルアルキルスルホベタインのようなスルホン酸型両性
界面活性剤、アルキルグリシン等が使用される。
【0034】これら界面活性剤の配合割合は固形分重量
比で、ブロック又はグラフト共重合体:界面活性剤=1
00:0.5〜30である。界面活性剤の配合量が0.
5重量部に満たない場合長期にわたる防曇持続性が得ら
れず、30重量部を越える場合塗膜の耐水性と塗膜強度
が低くなる。
【0035】ブロック又はグラフト共重合体と界面活性
剤の混合方法としては、ブロック又はグラフト共重合体
を有機溶剤又は水と有機溶剤との混合溶剤又は水に溶解
したり、分散したりしてその中に界面活性剤を加えても
よく、またブロック又はグラフト共重合体を形成する単
量体と一緒に界面活性剤を加えてもよい。
【0036】この場合に用いる溶剤としては、水、メタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノ
ール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアル
コール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、
ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビ
トール、ブチルカルビトール等のアルコールエーテル系
溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等
のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル
等のエステル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素系溶剤、ホルムアミド、ジメチルホル
ムアミド等のアミド系溶剤等があげられる。これらのう
ち、アルコール系溶剤、アルコールエーテル系溶剤及び
これらの混合溶剤が特に好適である。
【0037】この発明の加熱硬化型防曇剤組成物におい
ては、必要により紫外線吸収剤、レベリング剤、硬化触
媒、酸化防止剤等の慣用の各種添加剤を配合することが
できる。
【0038】次に、この発明の車両灯具用加熱硬化型防
曇剤組成物を用いた車両灯具の防曇加工について説明す
る。すなわち、灯具のプラスチック製レンズの内部表面
に通常の塗料における塗工手段で塗工し、70〜145
℃の温度で加熱硬化することによって、塗膜を形成させ
る。プラスチック製レンズとしては、ポリカーボネー
ト、ポリメタクリル酸メチル等のレンズが使用される。
この防曇加工により、防曇性を付与されたプラスチック
製レンズを組込んだ車両灯具は実使用環境下において、
塗膜の外観及び密着性はもちろんのこと、防曇性、塗膜
強度が極めて長期に維持されるものとなる。
【0039】また、塗工環境としては相対湿度が60%
R.H.以下であることが好ましい。これは、この発明
の防曇剤組成物が非常に親水性が高く、水を吸収する傾
向があるためである。すなわち、相対湿度60%R.
H.を越える環境下で塗工した場合、加熱硬化後に塗膜
が白化して外観が低下する傾向を示す。この白化傾向を
抑制するには溶剤揮発時の水の吸着量が少なく、蒸発速
度の遅い溶剤を一部併用することが有効である。
【0040】塗工手段としては、通常の塗料における塗
布手段、即ちロールコート法、スプレー法、浸漬法、ハ
ケ塗り法、スピンコート法、フローコート法、バーコー
タ法等が適用される。
【0041】
【実施例】以下、実施例及び比較例をあげてこの発明を
具体的に説明する。なお、部数表示はいずれも重量基準
である。 (参考例1〜15)(ブロック共重合体の合成) 下記化4で表されるポリメリックペルオキシドを重合開
始剤に用いた2段階重合により、ブロック共重合体を以
下のように合成した。なお、以下に示す重合条件は、親
水性重合体部分を形成する第1段重合、疎水性重合体部
分を形成する第2段重合のいずれも、仕込んだ単量体が
各段階においてほぼ完全にポリマー化される条件であ
る。
【0042】
【化4】−〔CO(CH2 4 COO(C2 4 O)3
CO(CH2 4 COOO〕10−温度計、撹拌装置及び
還流冷却管を備えた反応器に、メチルセロソルブ100
部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら70℃に加熱
し、それに、 メチルセロソルブ A 部 化4で示されるポリメリックペルオキシド B 部 N−メチロール(メタ)アクリルアミド C 部 化1又は化2で示される化合物 D 部 (メタ)アクリル酸低級アルキル E 部 化3で示される化合物 F 部 からなる混合液を2時間かけて仕込み、さらに2時間重
合反応を行った(第1段重合)。その後さらに、 メチルセロソルブ G 部 スルホン酸基、カルボキシル基、又はリン酸基を有する ビニル型単量体 H 部 (メタ)アクリル酸低級アルキル I 部 からなる混合液を30分かけて仕込み、75℃で5時間
重合反応を行った。なお、上記A〜Iの部数及び重合結
果を表1〜3に示した。 (参考例16〜27)(グラフト共重合体の合成) t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボ
ネートを用いてグラフト共重合体を合成した。なお、以
下に示す重合条件は、親水性重合体部分を形成する第1
段重合、疎水性重合体を形成する第2段重合の各段階に
おいて、仕込んだ単量体がほぼ完全にポリマー化される
条件である。
【0043】まず、前記参考例1で用いた反応器にメチ
ルセロソルブ100部を仕込み、窒素ガスを吹き込みな
がら85℃に加熱し、それに、 メチルセロソルブ 33.6部 t−ブチルペルオキシオクタノエート 4.0部 t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート 2.4部 N−メチロール(メタ)アクリルアミド C部 化1又は化2で示される化合物 D部 (メタ)アクリル酸低級アルキル E部 化4で示される化合物 F部 からなる混合液を2時間かけて仕込み、さらに7時間重
合反応を行った(第1段重合)。その後さらに、110
℃まで加熱して、 メチルセロソルブ G部 スルホン酸基、カルボキシル基、又はリン酸基を有する ビニル型単量体 H部 (メタ)アクリル酸低級アルキル I部 からなる混合液を30分かけて仕込み、110℃で7時
間重合反応を行った。上記C〜Iの部数及び重合結果を
表4及び表5に示した。 (参考例28〜30)(ランダム共重合体の合成) 参考例1の合成で用いた反応器にメチルセロソルブ10
0部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら85℃に加熱
し、それに、 メチルセロソルブ 36部 t−ブチルペルオキシオクタノエート 4部 N−メチロール(メタ)アクリルアミド C部 化1又は化2で示される化合物 D部 (メタ)アクリル酸低級アルキル E部 化3で示される化合物 G部 スルホン酸基、カルボキシル基又はリン酸基を有する ビニル型単量体 H部 (メタ)アクリル酸低級アルキル I部 からなる混合液を2時間かけて仕込み、さらに9時間重
合反応を行った。上記C〜Iの部数及び重合結果を表6
に示した。
【0044】なお、表1〜6における略号は次の意味を
表す。 N−MAAm:N−メチロールアクリルアミド DMAAm:N,N´−ジメチルアクリルアミド ACMO:N−アクリロイルモルホリン MMA:メタクリル酸メチル IBMA:メタクリル酸i−ブチル M20G:メタクリル酸メトキシジエチレングリコール M40G:メタクリル酸メトキシテトラエチレングリコ
ール AA:アクリル酸 MAA:メタクリル酸 SEM:メタクリル酸2−スルホエチル MC:メチルセロソルブ また、重合結果の欄における固形分は重量%を表す。粘
度は重合溶液の25℃における粘度(ポイズ、P)を表
す。親水性重合体の比率は、全重合体量に占める第1段
重合で合成された重合体の割合(%)を表す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】(実施例1〜20及び比較例1〜13) 前記参考例1〜30で合成した重合体を全て重合体の固
形分が20重量%になるようにメチルセロソルブで希釈
した車両灯具用加熱硬化型防曇剤組成物と、希釈した重
合体溶液に界面活性剤を配合して車両灯具用加熱硬化型
防曇剤組成物を得た。その配合組成を表7〜9に示し
た。次いで、各組成物をその乾燥膜厚が5μmとなるよ
うに相対湿度60%R.H.以下の環境下でバーコータ
を用いて基材に塗布し、各々の条件で加熱硬化を行っ
た。なお、表7〜9における略号は次の意味を表す。
【0052】界面活性剤 (a) :ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、日
本油脂株式会社製商品名ノニオンNS−212 (b) :ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、
日本油脂株式会社製商品名ノニオンHS−210 (c) : n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、日
本油脂株式会社製商品名ニューレックスR (d) : ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、日本油脂
株式会社製商品名ラピゾール B80 (e) : オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、日本油脂株式会社製商品名カチオンAB (f) : ジメチルアルキルヤシベタイン、日本油脂株式会
社製商品名アノンBF 基材 PC:ポリカーボネート、PMMA:ポリメタクリル酸
メチル 硬化条件 (1):80℃で60分、(2):120℃で30分、(3):14
0℃で10分
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】
【表9】
【0056】このようにして得られたそれぞれの塗膜に
ついて、下記に示す評価方法により物性を評価した。そ
の結果を表10〜14に示す。 (1)密着性 JIS D0202に準じた碁盤目セロテープ剥離試験
を行った。すなわち、塗膜表面にカッターナイフで基材
に達するよう100個のクロスカットを作り、セロハン
粘着テープ(ニチバン株式会社製)を貼付け、接着面と
垂直方向に剥離し、剥がれずに残ったクロスカットの数
を次のような記号で表した。 (a) :100/100、(b) :30/100、(c) :1
5/100、(d) :0/100 (2)塗膜強度 各環境下に放置した塗膜外観の変化を目視により判定し
た。
【0057】○:外観変化のないもの、×:外観に変化
の見られたもの (3)呼気テスト 各環境下に放置された塗膜を20℃の恒温室内に置き、
その塗膜に息を吹きかけ、曇りの状態を目視によって判
定した。
【0058】◎:全く曇らないもの、○:水滴が瞬時に
ぬれ拡がるもの、△:やや曇りが見られるもの、×:全
面が曇るもの (4)60℃スチームテスト 20℃の恒温室内での塗膜を60℃の温水蒸気に晒し、
曇り始めるまでの時間を測定した。なお、表10〜14
において、「≧5」は5時間以上であることを表し、
「直後」はすぐに曇ることを表す。
【0059】次に、上記各試験に供した試験片の環境条
件について以下に示す。 (A)初期:加熱乾燥直後の塗膜物性 (B)耐湿性:塗膜を50℃で相対湿度98%R.H.
環境下に300時間放置後の塗膜物性 (C)耐冷熱サイクル性:塗膜を120℃で15.5時
間、室温で30分間、−30℃で7.5時間、室温で3
0分間それぞれ放置する条件を1サイクルとして、10
サイクル後の塗膜物性 (D)耐熱性:基材がポリカーボネートの場合120℃
で、基材がポリメタクリル酸メチルの場合90℃で、1
000時間放置後の塗膜物性 (A)〜(D)までの各環境下での評価結果を表10〜
14に示した。
【0060】
【表10】
【0061】
【表11】
【0062】
【表12】
【0063】
【表13】
【0064】
【表14】
【0065】上記表1〜14に示されるように、ブロッ
ク又はグラフト共重合体の親水性重合体部分に所定範囲
の単量体から形成される部分が含まれていないもの(比
較例1、3〜8)と親水性重合体部分と疎水性重合体部
分との重量比率が所定の範囲でないもの(比較例2、
9)は防曇性、密着性又は塗膜強度のいずれかが劣る。
また、ランダム共重合体を使用したもの(比較例10〜
12)は、防曇性及び密着性が極めて悪い。また、界面
活性剤を所定量より多く配合したもの(比較例13)は
塗膜強度が悪くなる。
【0066】それに対し、各実施例の加熱硬化型防曇剤
組成物は、初期の防曇性が優れているとともに、120
℃又は90℃で1000時間の環境下に放置されても物
性が変化しない。なお、界面活性剤を併用することで防
曇性が長期に維持され、特にポリオキシエチレンアルキ
ルアリールエーテル類とジアルキルスルホコハク酸塩の
組合わせが好ましいことがわかる(例えば、実施例8、
9、14、19、20と実施例1、17との比較)。 (実施例21〜23)次に、塗膜外観に及ぼす塗工環境
下の相対湿度の影響を試験した。用いた防曇剤組成物の
配合については表15に示した。ここで用いた重合体は
表10〜14の試験で良好な結果であった参考例9をメ
チルセロソルブよりも蒸発速度の遅いエチルセロソルブ
との混合溶剤で固形分20%に希釈し、界面活性剤を配
合して車両灯具用加熱硬化型防曇剤組成物を得た。表1
5中、メチルセロソルブをMC、エチルセロソルブをE
Cで表す。
【0067】
【表15】
【0068】(実施例24〜35)表15に記載した防
曇剤組成物を相対湿度45〜80%R.H.の塗工環境
下で乾燥膜厚5μmになるように塗工し、塗膜外観の変
化を塗工前後のヘーズ値で評価した。その評価結果を表
16に示した。なお、基材及び硬化条件に記載した略号
は上記と同じものである。
【0069】塗膜外観の評価は以下の基準で行った。 ◎:塗工前後のヘーズ値の差が0.5%未満 ○:塗工前後のヘーズ値の差が0.5%以上1.0%未
満 △:塗工前後のヘーズ値の差が1.0%以上1.5%未
満 ×:塗工前後のヘーズ値の差が1.5%以上
【0070】
【表16】
【0071】(実施例36〜39及び比較例14、1
5) 前記各環境下で物性が良好であった実施例8、14、1
9、20について、実際に自動車の灯具のレンズ内面に
相対湿度60%R.H.以下の環境下でスプレー法又は
フローコート法で乾燥膜厚が5μmになるように塗工
し、加熱硬化して防曇性塗膜を形成させた。この防曇加
工したレンズを灯具に組み込み、実際の自動車に取付け
た。表17、18に塗工条件を示す。
【0072】
【表17】
【0073】
【表18】
【0074】上記実施例36〜39、比較例14、15
で得られた灯具を実際に自動車に取付けて6ヶ月間試験
した。この期間において、環境温度は60〜140℃ま
で上昇した。その結果、比較例14及び15の防曇加工
が施されていない灯具は曇りが発生したのに対して、実
施例36〜39の灯具は曇りが発生することなく、塗膜
外観、塗膜の密着性も低下していなかった。
【0075】従って、この発明の車両灯具用加熱硬化型
防曇剤組成物は、車両灯具のレンズ内面に極めて長期に
防曇性を付与するために好適である。
【0076】
【発明の効果】以上詳述したように、第1〜3の発明の
車両灯具用加熱硬化型防曇剤組成物は、特に60〜14
0℃という高温環境下での防曇性と密着性を改善するこ
とにより、車両灯具の実使用環境下において、初期に発
現される優れた防曇性、密着性、塗膜強度及び塗膜外観
が極めて長期にわたって良好に維持されるという優れた
効果を奏する。また、第2の発明によれば、親水性と疎
水性の調整及び架橋密度の調整が容易で、塗膜強度を低
下させることなく、防曇性を向上させることができると
いう効果が得られる。
【0077】第3の発明によれば、長期にわたる防曇持
続性を図ることができるとともに、塗膜外観を良好に保
持できるという効果を奏する。さらに、第4の発明の車
両灯具は、前記防曇剤組成物が灯具レンズの内面に塗工
され、70〜145℃で加熱硬化して防曇加工が施され
ることにより、実使用に十分耐えられる防曇性が極めて
長期に維持される上に、形成された防曇塗膜の外観、密
着性及び塗膜強度も維持されるという優れた効果を奏す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08F 293/00 F21Q 1/00 E (72)発明者 大村 博 愛知県知多郡武豊町字六貫山5丁目3番 地1 (56)参考文献 特開 平3−223370(JP,A) 特開 平3−221566(JP,A) 特開 平3−221565(JP,A) 特開 平2−255854(JP,A) 特開 平2−102278(JP,A) 特開 平2−102277(JP,A) 特開 平2−11673(JP,A) 特開 平5−310972(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 5/00 C09D 101/00 - 201/10 C09K 3/18 101

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−メチロール(メタ)アクリルアミド
    1〜15重量%、下記一般式化1又は化2で表されるN
    置換又は非置換の(メタ)アクリルアミド系化合物の少
    なくとも一種以上35〜86重量%及び(メタ)アクリ
    ル酸低級アルキルの少なくとも一種以上15〜50重量
    %より形成される親水性重合体部分と、スルホン酸基、
    カルボキシル基又はリン酸基を有するビニル型単量体1
    〜30重量%及びこのビニル型単量体と共重合性を有す
    る(メタ)アクリル酸低級アルキル70〜99重量%よ
    り形成される疎水性重合体部分とからなり、前記親水性
    重合体部分と疎水性重合体部分の重量比が50/50〜
    95/5であるブロック又はグラフト共重合体を含有す
    ることを特徴とする車両灯具用加熱硬化型防曇剤組成
    物。 【化1】CH2 =CR1 CONR2 3 上式において、R1 は水素原子又はメチル基、R2 は水
    素原子、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル
    基、R3 は水素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分
    岐状のアルキル基又はN,N−ジメチルアミノプロピル
    基を表す。 【化2】 上式において、R1 は水素原子又はメチル基、Aは−
    (CH2 4 −、−(CH2 5 −又は−(CH2 2
    −O−(CH2 2 −を表す。
  2. 【請求項2】 前記ブロック又はグラフト共重合体は、
    その親水性重合体部分がN−メチロール(メタ)アクリ
    ルアミド1〜15重量%、前記一般式化1又は化2で表
    されるN置換又は非置換の(メタ)アクリルアミド系化
    合物の少なくとも一種以上20〜79重量%、(メタ)
    アクリル酸低級アルキルの少なくとも一種以上15〜5
    0重量%及び下記一般式化3で表される(メタ)アクリ
    ル酸低級アルコキシアルキレングリコールの少なくとも
    一種以上5〜50重量%より形成されることを特徴とす
    る請求項1に記載の車両灯具用加熱硬化型防曇剤組成
    物。 【化3】CH2 =CR1 CO(OR2 )n OR3 上式において、R1 は水素原子又はメチル基、R2 はエ
    チレン基又はプロピレン基、R3 はメチル基又はエチル
    基、nは1〜23の整数を表す。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の車両灯具用加熱
    硬化型防曇剤組成物に界面活性剤を配合し、ブロック又
    はグラフト共重合体と界面活性剤との配合割合が固形分
    重量比で100:0.5〜30であることを特徴とする
    車両灯具用加熱硬化型防曇剤組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1,2又は3に記載の車両灯具用
    加熱硬化型防曇剤組成物を基材に塗工し、70〜145
    ℃の温度で加熱硬化して表面に防曇性塗膜を形成してな
    る車両灯具。
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