JP3213393B2 - 生分解性に優れた酢酸セルロース - Google Patents
生分解性に優れた酢酸セルロースInfo
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Description
セルロースに関する。
用されている。たとえば、従来、金属材料のみが使用さ
れていた自動車の部品においても、プラスチックが多量
に使用されてきている。ところが、最近、環境汚染に対
する社会要請が高くなってきたことから、各種の産業廃
棄物の処理が問題となっている。
ック製品の処理については、大きく別けて2つの方向が
ある。一つは、プラスチック製品の再利用を行うもので
あり、もう一つは、生態系において、生分解するもので
ある。特に後者の生分解プラスチックについては、早く
より研究され、種々の提案がなされている。
るところでは、脂肪族系のプラスチックがあるが、これ
らはフィルム等の成形品にした場合の物理的強度が低い
ため、実使用が難しいものであった。一方、最近、コー
ンスターチやデンプンなどを、従来のプラスチックの代
表とも言えるポリエチレン、ポリプロピレンなどに混入
せしめるという提案がなされている。しかし、このプラ
スチックは、自然界に廃棄した際、確かに従来のプラス
チックに比べ、形態の崩壊という効果はあるが、実質的
な生分解とはいい難いものであった。
B)が、生分解性を有するポリマーとして、脚光を浴び
ている。すなわち、PHBは、ある種の微生物が、それ
を菌体内に蓄積することが確認され、生分解性を有する
ことが判明し、医療材料などに利用することが考えられ
ている。しかし、PHBも対衝撃性に劣る、堅く、脆い
という物性上の問題を有している。
ー、各種フィルム成型品に利用されている酢酸セルロー
スも、その利用範囲が広く、その使用量、分野とも拡大
しつつある。しかし、従来の酢酸セルロースの研究の歴
史は、分解性との戦いであり、できるだけ安定性に富ん
だ酢酸セルロースを製造するための研究がほとんどで、
その生分解性については、あまり検討されていなかっ
た。
セルロース、あるいはセルロイドのもつ燃えやすいとい
う欠点を補うために開発された樹脂であり、できるだけ
安定なものをという要求に対し検討されてきた。
を溶媒として、セルロース原料を無水酢酸と反応させる
が、この時、触媒として脱水作用を有する強酸を利用す
る。一般的には硫酸が用いられるが、この硫酸は触媒と
して作用するだけでなく、硫酸セルロースになるような
反応も引き起こす。その結果、反応の方法によっては、
この硫酸基が反応終了物にも残存する。過去の研究よ
り、この硫酸基が、酢酸セルロースの熱安定性を悪化さ
せる原因と考えられ、これを除去する試みがなされてき
た。しかし、反応条件によってこれを完全に除去するこ
とは出来ていない。そこで、硫酸基をフリーにしないた
め、アルカリ金属、アルカリ土類金属を添加し、安定性
を付与しようという試みがなされ、現在に至っている。
身は天然物であるので、分解性を有することは周知の事
実であるが、一般にセルロース誘導体は、その置換度が
高くなると、分解性を失うことが知られている。酢酸セ
ルロースも、これと同様で、一般に用いられている置換
度2.5 以上のものは、全く生分解性を有していない。以
上の事実から考察して、酢酸セルロースに生分解性をも
たせるということは、先ず、酢酸セルロースをセルロー
スに加水分解する過程が必要である。
応方法によっては、硫酸基を残存せしめることができ、
それが、水と熱を加えられると、硫酸基がフリーの硫酸
となり、加水分解の条件が整うことになる。しかし、生
分解性をもたせるために酢酸セルロースの硫酸基を多数
残存せしめることは、熱安定性を低下させるため実用上
好ましくない。なんとなれば、生分解性を有する酢酸セ
ルロースとしては実使用時には、熱的に安定であり、廃
棄された後、分解することが必要であるからである。
し、しかも優れた生分解性を有する酢酸セルロースは未
だ得られていないのが現状であり、従って本発明は種々
の分野に有用な酢酸セルロースにその物性を低下させる
ことなく生分解性を付与することを目的とする。
言われているセルロースの性質に鑑み、鋭意検討を重ね
た結果、酢酸セルロースを得るために用いられる硫酸触
媒の、硫酸エステルとして残存するもの、中和され塩と
して残存するもの等を含めた酢酸セルロース中の残存総
硫酸量と、安定剤として添加しているアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属の酢酸セルロース中の量との比率を特定
範囲とすることによって、酢酸セルロースがその熱安定
性を低下することなく生分解性を持つことを見出し、本
発明を完成するに至った。
された酢酸セルロースにおいて、当該酢酸セルロース中
に残存する総硫酸量(a)と、当該酢酸セルロース中に含
まれているアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の
総量(b)の下記式:
セチル置換度が2.0〜2.5未満である酢酸セルロースを提
供するものである。
を促進するためには、硫酸を用いた反応で得られる。す
なわち、リンター、パルプを問わず、いかなる形態でも
よいセルロース原料を、一般に知られている条件下、酢
酸−無水酢酸−硫酸の系で反応せしめ、3酢酸セルロー
スを得る。2酢酸セルロースを得るためには更に熟成反
応を行う。反応終了後には、ドープ状態となっている。
安定剤としてのアルカリ金属、あるいはアルカリ土類金
属は、いかなる方法で加えてもよい。すなわち、この反
応終了時のドープに加えるか、沈澱析出後の固体状態で
加える。好ましくは、これらの方法を併用するのが効果
的である。
の添加量を調整し、残存硫酸量とのバランスをとること
が重要である。一般的に耐熱性に優れた酢酸セルロース
を得るためにはアルカリ金属又はアルカリ土類金属での
処理を十分に行なう。市販の酢酸セルロースの場合、酢
酸セルロース中に残存する総硫酸量(a)と、当該酢酸セ
ルロース中に含まれているアルカリ金属及び/又はアル
カリ土類金属の総量(b)の比は1.0を越える。これに対し
て本発明では、酢酸セルロース中に残存する総硫酸量
(a)と、当該酢酸セルロース中に含まれているアルカリ
金属及び/又はアルカリ土類金属の総量(b)のモル比
(b)/(a) が0.1〜0.54となるようにアルカリ金属又はア
ルカリ土類金属を添加することが必要である。この比が
上記の範囲を外れると、生分解性が不充分となる。
類金属としては、カルシウム、マグネシウム、ナトリウ
ム、バリウム、カリウム等が挙げられる。これらは、ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物として添加す
る、あるいは酢酸塩として添加しても良い。
置換度は2.0〜2.5未満である。
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
酸セルロースを得た。その性状は、アセチル置換度2.3
8、総硫酸量0.013 %、安定剤として加えられているカ
ルシウムおよびマグネシウムは、それぞれ21ppm、5ppm
であり、その硫酸量とのモル比率(存在比)は0.54で
あった。尚、ここで上記の各値は次のようにして求めた
ものである。
きた亜硫酸ガスを10%過酸化水素水溶液にトラップし
て、これを規定水酸化ナトリウム水溶液にて滴定する。
得られる値はSO4 2- 換算の量である。 アルカリ金属、アルカリ土類金属量の測定 原子吸光により測定する。 存在比の計算 以下の数式によって算出された値。
加えた水(基礎培養基)を培養瓶に採り、試料(粉末)
を 100mg/リットル、活性汚泥を懸濁物質として30mg/
リットル加え、閉鎖系酸素消費測定装置で、経時的に酸
素消費量を測定し、次式により分解率を算出した。 分解率(%)=(酸素消費量mgO/理論酸素要求量m
gO)×100 比較例1 実施例1の方法と同じ方法で製造された酢酸セルロース
に、安定剤として加えるカルシウム、マグネシウムの量
を増やして処理した。その結果、得られた酢酸セルロー
スは、アセチル置換度2.42、総硫酸量0.017 %、カルシ
ウム90ppm 、マグネシウム15ppm で、総硫酸量とのモル
比率(存在比)は1.63であった。
ンプルについて、同種の活性汚泥にて、分解性評価を行
なった。その結果を表1に示す。表中の数字は分解率
(%)を示す。
サンプルについて、以下の方法で耐熱性評価を行なっ
た。即ち、得られた酢酸セルロースを粉砕し、それを試
験管に入れ、120 ℃のオイルバスに入れ、15分漬けた
後、その変色の程度を目視にて判定した。その結果、実
施例1の酢酸セルロースの変色は比較例1の酢酸セルロ
ースと同程度であり、実際の使用に十分な耐熱性を有し
ていることがわかった。
Claims (1)
- 【請求項1】 硫酸触媒を用いて製造された酢酸セルロ
ースにおいて、当該酢酸セルロース中に残存する総硫酸
量(a)と、当該酢酸セルロース中に含まれているアルカ
リ金属及び/又はアルカリ土類金属の総量(b)の下記
式: 【数1】 から求められるモル比(b)/(a)が0.1〜0.54であり、ア
セチル置換度が2.0〜2.5未満である酢酸セルロース。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP20228592A JP3213393B2 (ja) | 1992-07-29 | 1992-07-29 | 生分解性に優れた酢酸セルロース |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20228592A JP3213393B2 (ja) | 1992-07-29 | 1992-07-29 | 生分解性に優れた酢酸セルロース |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0649275A JPH0649275A (ja) | 1994-02-22 |
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Family
ID=16455008
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP20228592A Expired - Lifetime JP3213393B2 (ja) | 1992-07-29 | 1992-07-29 | 生分解性に優れた酢酸セルロース |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
1992
- 1992-07-29 JP JP20228592A patent/JP3213393B2/ja not_active Expired - Lifetime
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