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JP3197221B2 - 吸収性が改善された粉末状経鼻投与組成物 - Google Patents

吸収性が改善された粉末状経鼻投与組成物

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JP3197221B2
JP3197221B2 JP26183796A JP26183796A JP3197221B2 JP 3197221 B2 JP3197221 B2 JP 3197221B2 JP 26183796 A JP26183796 A JP 26183796A JP 26183796 A JP26183796 A JP 26183796A JP 3197221 B2 JP3197221 B2 JP 3197221B2
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peptide
weight
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雅彦 土肥
義久 西部
悠治 牧野
隆雄 藤井
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Teijin Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薬物の吸収性が改善
された粉末状経鼻投与用組成物に関する。更に詳しく
は、特定の種類、組成、粒子径の基剤を用いた鼻粘膜か
らの薬物の吸収性が改善された粉末状経鼻投与用組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】いくつかの非ペプチド・蛋白質性薬物、
例えば消炎ステロイド薬、鎮痛消炎薬、鎮咳薬、抗ヒス
タミン薬、抗アレルギー薬、制吐薬、睡眠導入薬、ビタ
ミン剤、性ステロイドホルモン薬、抗腫瘍薬、抗不整脈
・高血圧薬、抗不安・向精神薬、抗潰瘍薬、強心薬、鎮
痛薬等の薬物においては、1.作用部位が鼻粘膜局所で
あること、2.速効性が望まれること、3.経口投与に
よる吸収率が低いこと、などの理由により経鼻投与剤の
開発が望まれている。また、ペプチド・蛋白質性薬物の
多くは、経口投与されても胃腸管内の蛋白質分解酵素に
より分解される等の理由により容易に体内吸収されな
い。そこで、治療に使用するためには注射により投与せ
ざるを得ないことが多い。しかし、注射は苦痛、通院の
必要性等により患者に負担をかけている。従って、経鼻
投与剤のような注射に変わる非侵襲的な投与方法の開発
が望まれている。
【0003】経鼻投与は薬物を鼻粘膜を通して循環血に
移行させる投与方法であり、他のルート、例えば経皮投
与、経眼投与、経直腸投与、経肺投与等とともに精力的
に薬物の非注射型の投与方法として研究されている。そ
れらの投与方法のなかでも、鼻粘膜は皮膚、眼粘膜、直
腸粘膜等と比較して血管系が発達しており、投与もし易
く、一部の薬物については経鼻投与製剤として実用化さ
れているものもある。また、経口投与に比べ血中への薬
物の吸収が速く、注射投与並の即効性を期待することも
できる。しかしながら、薬物の鼻粘膜からの吸収性は、
薬物の脂溶性等の物理的性質及び分子量等に依存するた
め、水溶性の高い薬物、脂溶性の高い薬物、及び分子量
の大きいペプチド・蛋白質性薬物等においては、吸収性
が低いことが指摘されている。そこで、これらの薬物の
鼻粘膜からの吸収性を向上するための工夫が提案されて
いる。
【0004】例えば、鈴木ら(特公昭60−34925
号公報)は、セルロースエーテルからなる経鼻組成物に
より、薬物を治療効果を得るのに十分な濃度で効率的に
供給する持続性鼻腔用製剤を提供している。またNolte
ら(Hormone Metabolic Research Vol.22, 170-174,
1991)、Bruiceら(Diabetic Medicine Vol.8, 366-37
0, 1991 )は、吸収促進剤すなわちグリコール酸ナトリ
ウムもしくはタウロフシジン酸ナトリウムを含有させた
インシュリン経鼻投与製剤について報告している。しか
し、これらの吸収促進剤は鼻粘膜への刺激性が問題にな
っており、実用化には至っていない。一方、鈴木ら(特
公昭62−42888号公報)は、水吸収性でかつ水難
溶性の基剤からなる粉末状経鼻投与組成物により、刺激
性の添加物を使用しないでも、ポリペプチド類を経鼻吸
収させる方法を開示している。この方法によりインシュ
リン、カルシトニン等のポリペプチドが従来の液状経鼻
投与組成物と比較し著しく効率よく吸収されることが報
告されている。
【0005】さらに同公報には、水吸収性でかつ水難溶
性の基剤に水吸収性でかつ水易溶性の基剤を、水吸収性
でかつ水難溶性の基剤に対して0.1〜60重量%、特
に好ましくは1〜50重量%の使用量で併用すると、徐
放性が付与された粉末状経鼻投与組成物が提供されるこ
とが開示されている。例えば、実施例2の結晶セルロー
ス(水吸収性でかつ水難溶性の基剤)にその80重量%
の水吸収性でかつポリアクリル酸ナトリウム(水吸収性
でかつ水易溶性の基剤)を併用した製剤では、結晶セル
ロース単独の製剤と比較して、血糖降下率には差がない
(最高血中濃度には差のない)が、徐放性に基づく血中
濃度の持続効果が示唆されている。また実施例14の結
晶セルロースにその25重量%のヒドロキシプロピルセ
ルロース(水吸収性でかつ水易溶性の基剤)を併用した
製剤では、結晶セルロース単独の製剤と比較して、最高
血中濃度では劣るが、持続性は優ることが記載されてい
る。また、実施例4では、ヒドロキシプロピルセルロー
ス単独の製剤と結晶セルロース単独の製剤を比較し、ヒ
ドロキシプロピルセルロースは結晶セルロースよりイン
シュリンの血中からの消失を遅延させることはできる
が、最高血中濃度では著しく劣ることが記載されてい
る。
【0006】そして同公報には、かかる水吸収性でかつ
水難溶性の基剤と水吸収性でかつ水易溶性の基剤からな
る組成物の製法として、ポリペプチドと水吸収性でかつ
水難溶性の基剤とを機械的に混合する際に同時に水吸収
性でかつ水易溶性の基剤を添加し混合する方法、ポリペ
プチドと水吸収性でかつ水難溶性の基剤とを水に加えて
練合する際に同時に水吸収性でかつ水易溶性の基剤を添
加し混合する方法、ポリペプチドと水吸収性でかつ水易
溶性の基剤を凍結乾燥させて水吸収性でかつ水難溶性の
基剤を機械的に混合する方法を挙げている。例えば同公
報の実施例1(b)では、インシュリンの塩酸水溶液に
カルボポール934(水吸収性でかつ水易溶性の基剤)
を溶解させ、凍結乾燥し、その後結晶セルロース(水吸
収性でかつ水難溶性の基剤)と混合し、90重量%以上
の粒子の粒子径が75〜149ミクロンの組成物を得
て、これを上記実施例2において評価している。さらに
また、同公報には組成物の粒子径についても記載され、
10ミクロンより小さな粒子は、投与時に鼻腔外への逸
脱もしくは肺内への到達が懸念され、また250ミクロ
ンを越えるものについては粘膜上での滞留性が悪く、よ
って組成物の90重量%粒子径が20〜150ミクロン
の範囲にあることが好ましいことを開示している。
【0007】なお、薬物の吸収性は、通常生体膜を透過
して血中に移行した薬物の量の時間変化として評価され
るが、より詳しくは血中濃度の最高値(最高血中濃度)
とある値以上の血中濃度の継続時間(持続時間)の2面
で評価されよう。そして一般的には最高血中濃度と持続
時間のいずれも同時に大きいほうが治療効果と治療効率
の両面から望ましいのはいうまでもないが、ペプチド・
蛋白質性薬物のように本来吸収されにくい薬物について
は、血中濃度を可能な限り上昇させること、すなわち最
高血中濃度が大きいこと、がまず必要であることを認識
すべきである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ペプチド・蛋白質性薬
物は一般的には高価である。また、吸収率が低いと血中
濃度のバラツキが大きいことになり期待された治療効果
が安定して得られないことが多い。従って、より吸収率
の高いペプチド・蛋白質性薬物の経鼻投与方法の提供が
求められている。特に、安全でかつ、より吸収率の高い
経鼻投与方法の提供が強く求められている。特にまた、
高い吸収率といっても、前述のようにより高い最高血中
濃度を提供できる経鼻投与方法が求められている。この
ことは非ペプチド・蛋白質性薬物でも同様である。
【0009】ところで前述の鈴木らの方法(特公昭60
−34925号公報)では、もともと良好な経鼻吸収性
を示す薬物については、薬物の有効量を持続的に放出さ
せることや、薬効を示す量を吸収させることが一応可能
である。同公報によると、消炎ステロイド等とセルロー
スエーテル等の基剤とを併用することにより、その有効
量を持続的に放出させ得たことが開示されている。具体
的に、同公報の実施例5、6によれば、消炎ステロイド
の1つであるトリアムシノロンアセトニドをヒドロキシ
プロピルセルロースまたはメチルセルロースと共に経鼻
投与すると、対照水溶液と比べ治療効果の持続性が得ら
れることが開示されている。しかしながら同公報の技術
は、薬物と共に鼻腔内へ投与された基剤が鼻粘膜上でゲ
ル化することにより薬物と共に鼻粘膜上に滞留し、薬物
が基剤より徐々に放出され吸収されるという現象に基づ
いていると考えられ、そのため、薬物の吸収を促進させ
るという機能が十分に備わっておらず、先に示した水溶
性の高い薬物、脂溶性の高い薬物や、分子量の大きいペ
プチド・蛋白質性薬物においては、高い吸収率は認めら
れず、これらの薬物を治療効果、治療効率の点から有効
利用できる経鼻投与方法の開発が強く望まれている。
【0010】また鈴木らの方法(特公昭62−4288
8号公報)では同公報の実施例6で、カルシトニンを結
晶セルロースと共に経鼻投与すると、対照となる経鼻液
剤と比べて最高血中濃度と血中濃度の持続性に優れた製
剤が得られている。しかしながらこの場合でも、ペプチ
ド・蛋白質性薬物の経鼻吸収率(経鼻投与後の薬物の血
中濃度・時間曲線下面積(AUC))は注射剤投与後の
それの10〜20%を越えることはない。また、水吸収
性でかつ水難溶性の基剤と水吸収性でかつ水易溶性の基
剤との併用効果としては、水吸収性でかつ水難溶性の基
剤単独に比べての徐放効果(徐放性ないし持続性)のみ
が挙げられ(同公報中の記載によれば”ポリペプチド類
が徐々に吸収されるようになり”とある)、実施例も含
めて徐放効果以外の効果については何ら示唆されていな
い。すなわち、同公報には、水吸収性でかつ水難溶性の
基剤に水吸収性でかつ水易溶性の基剤を併用すると、水
吸収性でかつ水難溶性の基剤単独に比較してペプチド・
蛋白質性薬物の最高血中濃度が高くなることは全く記載
されていない。さらに、そのように2種類の基剤を併用
した場合に、非ペプチド・蛋白質性薬物の最高血中濃度
が高くなることは全く記載されていない。またさらに、
同公報は、結晶セルロースを初めとする多数の水吸収性
でかつ水難溶性の基剤やヒドロキシプロピルセルロース
を初めとする多数の水吸収性でかつ水易溶性を例示して
いるが、これらのうちの特定の種類の基剤の組み合わせ
がペプチド・蛋白質性薬物および非ペプチド・蛋白質性
薬物について優れた最高血中濃度を示す経鼻投与製剤を
提供できることについては全く記載していない。
【0011】すなわち本発明の目的は、薬物の吸収性に
優れた経鼻投与組成物を提供することにある。また本発
明の目的は、薬物の吸収性、なかでも最高血中濃度のよ
り高い経鼻投与組成物を提供することにある。さらに本
発明の目的は、水溶性の高い薬物、脂溶性の高い薬物
や、分子量の大きいペプチド・蛋白質性薬物についても
その吸収性に優れた、なかでも最高血中濃度のより高い
経鼻投与組成物を提供することにある。またさらに本発
明の目的は、水溶性の高い薬物、脂溶性の高い薬物以外
の薬物や、非ペプチド・蛋白質性薬物などのもともと良
好な経鼻吸収性を示す薬物についてもその吸収性のより
優れた、なかでも最高血中濃度のより高い経鼻投与組成
物を提供することにある。
【0012】ところで、特公昭62−42888号公報
では粉末状経鼻投与組成物の90重量%粒子径が20〜
150ミクロンの範囲にあることが好ましいとされてい
る。しかしながら、この組成物の粒子の粒度分布をさら
に細かく分類した場合に、鼻腔内での粒子の沈着分布が
どうなるか、あるいはこの分布を制御できるかについて
は未知であった。本発明者らはこの点について鋭意検討
し、10〜50ミクロンの粉末は鼻腔内の奥、咽頭部近
くおよび、下鼻甲介後部に主に沈着分布し、50〜10
0ミクロンの粉末は中鼻甲介を中心とした鼻腔中間部に
沈着分布し、さらに100〜350ミクロンの粉末は鼻
腔内の前部、鼻前庭や上鼻甲介、中鼻甲介の前部に主に
沈着分布することを見いだした。この100〜350ミ
クロンのうち、150ミクロン以上の粒子は鼻への沈着
性が悪いといわれていた粒子径であり、このような比較
的大きな粒子径をもつ粉末が噴霧後鼻腔前部に分布した
ことは驚くべきことであった。また同時に、本発明者ら
は、鼻腔粘膜の繊毛運動についても鋭意検討し、鼻腔後
部の粘膜の繊毛運動によるクリアランスは鼻腔前部に比
べ比較的速いことを見出した。さらには、水吸収性でか
つ水難溶性の基剤にある特定量の水吸収性でかつゲル形
成性の基剤を組み合わせることにより、驚くべきことに
最高血中濃度を特公昭62−42888号公報よりも一
段と向上させることを見いだした。そこでこれらの知見
に基づき、水吸収性でかつゲル形成性の基剤の90重量
%以上の粒子の粒子径を10〜100ミクロン、水吸収
性でかつ水難溶性の基剤の90重量%以上の粒子の粒子
径を10〜350ミクロンと限定することにより、特公
昭62−42888号公報では認められなかった最高血
中濃度を著しく向上させるという発見に至った。
【0013】これは、2種の基剤の粒子径を変えたこと
により、噴霧後の鼻腔内での分布が変わったことによる
ものであると推測される。この原因については、現在鋭
意検討中であるが、先述の細かい粒子径の違いによる基
剤の分布の違いがもたらしていることが予想される。す
なわち、10〜100ミクロンの水吸収性でかつゲル形
成性の基剤は、中鼻甲介を中心とした鼻腔の中部から奥
の部分に薬物とともに分布し、そこでゲル化することに
より鼻腔全体に投与された組成物を滞留させ、一方10
〜350ミクロンの水吸収性でかつ水難溶性の基剤は、
薬物とともに鼻腔の前部、特に鼻前庭や上鼻甲介前部か
ら鼻腔の中部に分布され薬物の高い吸収をもたらし、結
果として”薬物の最高血中濃度を増加させ、治療効果を
高める”という効果が生じるものと考えられる。
【0014】このような知見に加え、本発明者らは、あ
る種の水吸収性でかつ水難溶性の基剤と水吸収性でかつ
ゲル形成性の基剤を特定の組成で組み合わせ、さらにそ
れらの基剤の粒子径をそれぞれ特定の粒子径とすること
によって、鼻粘膜から吸収された薬物の最高血中濃度が
従来の経鼻投与組成物より著しく増加されること、すな
わち薬物の吸収性が改善された粉末状経鼻投与組成物を
提供できること、また従来鼻粘膜からの吸収性の低かっ
た薬物の吸収性が改善された粉末状経鼻投与組成物を提
供できることを発見した。しかも、特公昭62−428
88号公報において同じ水吸収性でかつゲル形成性の基
剤として挙げられているポリアクリル酸ナトリウム、ポ
リアクリル酸カリウム、ポリエチレングリコール、ポリ
ビニルピロリドン、アミローズ、プルランなどの場合に
は、前記の水吸収性でかつ水難溶性の基剤と併用して
も、そのような効果を全く示さないことは予想もできな
いことであった。また同様に同じ水吸収性でかつ水難溶
性の基剤として挙げられているヒドロキシプロピルデン
プン、カルボキシメチルデンプン、アミロース、アミロ
ペクチン、ペクチン、カゼインナトリウム、アラビアガ
ム、グルコマンナン、架橋ポリアクリル酸及びその塩、
架橋ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタ
アクリレートなどの場合にも、前記の水吸収性でかつゲ
ル形成性の基剤と併用しても、そのような効果を全く示
さないことは予想もできないことであった。
【0015】さらに、そのような粉末状経鼻投与組成物
ではペプチド・蛋白質性薬物のみならず同時に非ペプチ
ド・蛋白質性薬物の最高血中濃度をも従来の技術よりも
増大させることを見出した。またさらに、本発明者らは
各薬物の最高血中濃度は、基剤中の水吸収性でかつ水難
溶性の基剤と水吸収性でかつゲル形成性の基剤の量の和
に対する水吸収性でかつゲル形成性の基剤の量に依存し
て変化し、さらにその割合は薬物の分子量に依存するこ
と、例えば薬物がペプチド・蛋白質性薬物である場合、
その分子量によって好ましい基剤の配合比率が存在する
ことを発見した。これらの発見に基づき、本発明者らは
上記の従来技術の限界に対し鋭意研究し、従来の粉末状
経鼻投与組成物に比べて著しく高い最高血中濃度を与え
る粉末状経鼻投与組成物が提供されることを見出し、本
発明に到達したものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、 ア.薬物と、 イ.ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ムからなる群から選ばれる1種以上の水吸収性でかつゲ
ル形成性の基剤と、 ウ.結晶セルロース、αーセルロース、架橋カルボキシ
メチルセルロースナトリウム、架橋デンプン、ゼラチ
ン、カゼイン、トラガントガム、ポリビニルピロリド
ン、キチン、キトサンからなる群から選ばれる1種以上
の水吸収性でかつ水難溶性の基剤とを含んでなる粉末状
経鼻投与組成物であって、(1)該水吸収性でかつゲル
形成性の基剤の量が、該水吸収性でかつ水難溶性の基剤
と該水吸収性でかつゲル形成性の基剤の量の和の約5〜
40重量%であり、(2)該水吸収性でかつ水難溶性の
基剤の90重量%以上の粒子の粒子径が10ミクロン〜
350ミクロンの範囲であり、(3)該水吸収性でかつ
ゲル形成性の基剤90重量%以上の粒子の粒子径が10
ミクロン〜100ミクロンの範囲である、粉末状経鼻投
与組成物である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の薬物としては、例えば非
ペプチド・蛋白質性薬物および分子量が30,000以
内であるペプチド・蛋白質性薬物を挙げることができ
る。非ペプチド・蛋白質性薬物としては、幅広く非ペプ
チド・蛋白質性薬物に利用可能であり、例えば、消炎ス
テロイド薬、鎮痛消炎薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン
薬、抗アレルギー薬、制吐薬、睡眠導入薬、ビタミン
剤、性ステロイドホルモン薬、抗腫瘍薬、抗不整脈・高
血圧薬、抗不安・向精神薬、抗潰瘍薬、強心薬、鎮痛
薬、気管支拡張薬、肥満治療薬、血小板凝集抑制薬、糖
尿病薬、筋弛緩薬、および抗リウマチ薬からなる群より
選ばれる1種以上の非ペプチド・蛋白質性薬物を挙げる
ことができる。
【0018】そのような非ペプチド・蛋白質性薬物とし
て詳しくは、例えばヒドロコルチゾン、プレドニゾロ
ン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾ
ン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、フル
オコルチン、ブデソニド、サルブタモール、サルメテロ
ールなどの消炎ステロイドまたは非ステロイド系消炎
薬;アセトアミノフェン、フェナセチン、アスピリン、
アミノピリン、スルピリン、フェニルブタゾン、メフェ
ナム酸、フルフェナム酸、イブフェナック、イブプロフ
ェン、アルクロフェナック、ジクロフェナック、インド
メタシンなどの鎮痛消炎薬;クロモグリク酸ナトリウ
ム、リン酸コデイン、塩酸イソプロテレノール等の鎮咳
去痰薬;ジフェンヒドラミン、トリプロリジン、イソチ
ペンジル、クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン薬;ア
ンレキサノクス、アゼラスチン、オザクレル、トラニラ
スト、ケトチフェン等の抗アレルギー薬;オンダンセト
ロン、グラニセトロン、メトクロプラミド、シサプリ
ド、ドンペリドン等の制吐薬;ブロチゾラム等の催眠導
入薬;シアノコバラミン、メコバラミン等のビタミン
剤;エストラジオール、エストリオール、プロゲステロ
ン、テストステロン等の性ステロイドホルモン薬;タモ
キシフェン、テガフール等の抗腫瘍薬;プロプラノロー
ル、アテノロール、ニカルジピン等の抗不整脈・高血圧
薬;ジアゼパム、ニトラゼパム等の抗不安・向精神薬;
シメチジン、ラニチジン等の抗潰瘍薬;ドパミン等の強
心薬;ブプレノルフィン等の鎮痛薬;オキシトロピウ
ム、オザクレル等の気管支拡張薬;マジンドール等の肥
満治療薬;ベラプロスト、カルバシクリン等の血小板凝
集抑制薬;アカルボース、ソルビニール等の糖尿病薬;
ビナペルウム、イナペリゾン等の筋弛緩薬;アクタリッ
ト、プラトニン等の抗リウマチ薬等が挙げられる。
【0019】また本発明のペプチド・蛋白質性薬物とし
ては、その分子量が30,000以内であるものが好ま
しく、そのような分子量30,000以内のペプチド・
蛋白質性薬物としては、例えば黄体形成ホルモン放出ホ
ルモン類、成長ホルモン放出因子類、ソマトスタチン誘
導体類、バゾプレッシン類、オキシトシン類、ヒルジン
誘導体類、エンケファリン類、副腎皮質刺激ホルモン誘
導体類、ブラジキニン誘導体類、カルシトニン類、イン
シュリン類、グルカゴン誘導体類、成長ホルモン類、成
長ホルモン放出ホルモン類、黄体形成ホルモン類、イン
シュリン様成長因子類、カルシトニン遺伝子関連ペプチ
ド類、心房性ナトリウム利尿ペプチド誘導体類、インタ
ーフェロン類、エリスロポエチン、顆粒球コロニー形成
刺激因子、マクロファージ形成刺激因子、副甲状腺ホル
モン類、副甲状腺ホルモン放出ホルモン、プロラクチ
ン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、およびアンギオ
テンシン類等からなる群から選ばれる1種以上のペプチ
ド・蛋白質性薬物が挙げられる。
【0020】本発明では水吸収性でかつゲル形成性の基
剤として、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナ
トリウムからなる群から選ばれる1種以上の水吸収性で
かつゲル形成性の基剤を用いる。これらのなかでも本発
明の水吸収性でかつゲル形成性の基剤としては、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ースナトリウムからなる群から選ばれる1種以上の水吸
収性でかつゲル形成性の基剤が好ましく、なかでも特に
ヒドロキシプロピルセルロースを好ましいものとしてあ
げることができる。また更に、本発明では水吸収性でか
つゲル形成性の基剤として使用されるヒドロキシプロピ
ルセルロースは、その2%水溶液の粘度が150〜4,
000cpsであるのが好ましい。ヒドロキシプロピル
セルロースにはこれより低粘度のものもあるが、150
cpsよりも低粘度のものを使用した場合には、本発明
の最高血中濃度の上昇効果が必ずしも十分でないことが
ある。
【0021】本発明では水吸収性でかつ水難溶性の基剤
として、結晶セルロース、αーセルロース、架橋カルボ
キシメチルセルロースナトリウム、架橋デンプン、ゼラ
チン、カゼイン、トラガントガム、ポリビニルピロリド
ン、キチン、キトサンからなる群から選ばれる1種以上
の水吸収性でかつ水難溶性の基剤を用いる。これらのな
かでも本発明の水吸収性でかつ水難溶性の基剤として
は、結晶セルロース、αーセルロース、架橋カルボキシ
メチルセルロースナトリウム、架橋デンプン、ゼラチ
ン、カゼイン、トラガントガム、ポリビニルピロリド
ン、キチン、およびキトサンからなる群から選ばれる1
種以上の水吸収性でかつ水難溶性の基剤が好ましく、な
かでも特に結晶セルロースを好ましいものとしてあげる
ことができる。水吸収性でかつゲル形成性の基剤と水吸
収性でかつ水難溶性の基剤の好ましい組み合わせとて
は、上記のようなそれぞれの好適例同志の組み合わせが
挙げられ、特に好ましい組み合わせとしては水吸収性で
かつゲル形成性の基剤としてのヒドロキシプロピルセル
ロースと水吸収性でかつ水難溶性の基剤としての結晶セ
ルロースを挙げることができる。
【0022】本発明で使用される水吸収性でかつゲル形
成性の基剤の量は、水吸収性でかつ水難溶性の基剤と該
水吸収性でかつゲル形成性の基剤の和の約5〜40重量
%であり、好ましくは30〜40重量%である。かかる
水吸収性でかつゲル形成性の基剤の量は本発明の薬物の
種類にも依存し、本発明の薬物が非ペプチド・蛋白質性
薬物の場合には上記のように5〜40重量%であり、な
かでも30〜40重量%である場合には最高血中濃度の
上昇効果が顕著であり好ましい。また本発明の薬物がペ
プチド・蛋白質性薬物の場合に、さらに分子量に依存し
て細分され、その分子量が500〜1,500の場合に
は水吸収性でかつゲル形成性の基剤の量が5〜30重量
%である場合に最高血中濃度の上昇効果が顕著であり好
ましく、特に好ましくは20〜30重量%である。ま
た、ペプチド・蛋白質性薬物の分子量が1,500〜3
0,000の場合には水吸収性でかつゲル形成性の基剤
の量が5〜20重量%である場合に最高血中濃度の上昇
効果が顕著であり好ましく、特に好ましくは10〜20
重量%である。そのような場合の分子量が500〜1,
500のペプチド・蛋白質性薬物としては、バゾプレッ
シン類、黄体形成ホルモン放出ホルモン類、成長ホルモ
ン放出因子類、ソマトスタチン誘導体類、オキシトシン
類、ヒルジン誘導体類、エンケファリン類、副腎皮質刺
激ホルモン誘導体類、ブラジキニン誘導体類からなる群
から選ばれる1種以上のペプチド・蛋白質性薬物を挙げ
ることができ、また分子量1,500〜30,000の
ペプチド・蛋白質性薬物としては、カルシトニン類、イ
ンシュリン類、グルカゴン誘導体類、成長ホルモン類、
成長ホルモン放出ホルモン類、黄体形成ホルモン類、イ
ンシュリン様成長因子類、カルシトニン遺伝子関連ペプ
チド類、心房性ナトリウム利尿ペプチド誘導体類、イン
ターフェロン類、エリスロポエチン、顆粒球コロニー形
成刺激因子、マクロファージ形成刺激因子、副甲状腺ホ
ルモン類、副甲状腺ホルモン放出ホルモン、プロラクチ
ン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、およびアンギオ
テンシン類からなる群から選ばれる1種以上のペプチド
・蛋白質性薬物を挙げることができる。
【0023】また、本発明の組成物の粒子径は、水吸収
性でかつ水難溶性の基剤の90重量%以上の粒子の粒子
径は10〜350ミクロンであり、かつ水吸収性でかつ
ゲル形成性の基剤の90重量%以上の粒子の粒子径は1
0〜100ミクロンである。なかでも、水吸収性でかつ
水難溶性の基剤の90重量%以上の粒子の粒子径を10
〜250ミクロン、かつ水吸収性でかつゲル形成性の基
剤の90重量%以上の粒子の粒子径は10〜100ミク
ロンとした場合、および水吸収性でかつ水難溶性の基剤
の90重量%以上の粒子の粒子径を10〜250ミクロ
ン、かつ水吸収性でかつゲル形成性の基剤の90重量%
以上の粒子の粒子径は10〜50ミクロンとした場合に
は、さらなる最高血中濃度の増加を得ることができるの
で好ましい。すなわち、本発明の組成物の特に好ましい
粒子径は、水吸収性でかつ水難溶性の基剤の90重量%
以上の粒子の粒子径は10〜250ミクロンであり、か
つ水吸収性でかつゲル形成性の基剤の90重量%以上の
粒子の粒子径は10〜50ミクロンである。
【0024】本発明の組成物を製造するには以下の方法
によるのが望ましい。すなわち 1.その90重量%以上の粒子の粒子径が10〜350
ミクロンの範囲にある水吸収性でかつ水難溶性の基剤に
薬物を機械的に混合させた後、その90重量%以上の粒
子の粒子径が10〜100ミクロンの範囲にある水吸収
性でかつゲル形成性の基剤を機械的に混合する方法、 2.水吸収性でかつ水難溶性の基剤に薬物を凍結乾燥に
より付着させた後、その90重量%以上の粒子の粒子径
が10〜350ミクロンとなるように粉砕、篩過し、そ
の後その90重量%以上の粒子の粒子径が10〜100
ミクロンの範囲にある水吸収性でかつゲル形成性の基剤
を機械的に混合する方法、もしくは 3.その90重量%以上の粒子の粒子径が10〜350
ミクロンの範囲にある水吸収性でかつ水難溶性の基剤、
その90重量%以上の粒子の粒子径が10〜100ミク
ロンの範囲にある水吸収性でかつゲル形成性の基剤およ
び薬物を同時に機械的に混合する方法 である。なお本発明の組成物を製造する際、薬物を水吸
収性でかつ水難溶性の基剤と凍結乾燥させる製法以外の
場合薬物もあらかじめ、その90重量%以上の粒子の粒
子径を10〜350ミクロンとしておくことが望まし
い。
【0025】なお本発明で使用される薬物の量は有効治
療量であり、それぞれの薬物により固有である。通常そ
れぞれの薬物が注射投与に用いられている量の同量から
20倍量、より好ましくは同量から10倍量である。ま
た本発明の組成物の薬物と、基剤(水吸収性でかつ水難
溶性の基剤と水吸収性でかつゲル形成性の基剤の和)の
量比は、鼻腔に適用できる粉の量に限界があるため、薬
物の治療必要量に依存してくるので一概に限定できない
が、薬物1重量に対し、同量以上が好ましく、特に好ま
しくは薬物1重量に対し5重量以上、さらに好ましくは
10重量以上である。
【0026】また、本発明の組成物には、製剤としての
物性、外観、あるいは臭い等を改良するため、必要に応
じて公知の滑沢剤、結合剤、希釈剤、着色剤、保存剤、
防腐剤、矯臭剤等を添加してもよい。滑沢剤としては、
例えばタルク、ステアリン酸およびその塩、ワックス等
が、結合剤としては、例えばデンプン、デキストリン等
が、希釈剤としては、例えばデンプン、乳糖等が、着色
剤としては、例えば赤色2号等が、保存剤としては、ア
スコルビン酸等が、防腐剤としては、例えばパラオキシ
安息香酸エステル類等が、矯臭剤としては、例えばメン
トール等が挙げられる。また、本発明の組成物は製剤と
して投与されるために適当な投与形態とされる。そのよ
うな形態としては、本発明を投与単位ごとに充填したカ
プセル剤があり、これを適当な投与器により鼻腔内に噴
霧する。また、本発明の組成物を投与単位ごともしくは
複数の単位量適当な容器に収納し、投与操作時に投与単
位を投与もしくは分割投与してもよい。
【0027】かくして本発明により、水溶性の高い薬
物、脂溶性の高い薬物や、分子量の大きいペプチド・蛋
白質性薬物についても、鼻腔からの吸収性に優れ、最高
血中濃度が従来の経鼻投与組成物よりも著しく増加され
た、新規な粉末状経鼻投与組成物を提供するものであ
る。これにより、高価なペプチド・蛋白質性薬物だけで
なく非ペプチド・蛋白質性薬物についても、従来と同様
の使用量でもより著しく高い最高血中濃度を得ることが
可能となり、薬物の使用量を低減することができるだけ
でなく、血中濃度のバラツキを小さくして、所望の治療
効果を安定して得られることが予想される。さらに本発
明は、より高い最高血中濃度を与えるだけでなく、従来
の粉末状経鼻投与組成物と同様に薬物の吸収性(血中濃
度の持続性)にも優れ、刺激性のある吸収促進剤などを
特に用いる必要がなく安全で、所望の治療効果を安定し
て得られることが予想される。本発明により、薬物の経
鼻投与により従来に比べ高い最高血中濃度が達成できる
ことは、非注射型の薬物の投与による薬物療法にとって
も極めて高い意義があるものといえよう。
【0028】
【実施例】以下に、実施例、対照例を挙げて本発明を詳
述するが、これらは本発明を何ら限定するものではな
い。
【0029】[実施例1〜4]実施例1〜4および対照
例1〜5として、消炎ステロイドの一つであるプロピオ
ン酸ベクロメタゾン(SICOR社製)10mgに、表
1に記載した各種の基剤をそれぞれ150mgづつ混合
し、滑択剤としてステアリン酸マグネシウム0.16m
gを加え、粉末組成物を調整した。このとき、微結晶セ
ルロース(旭化成社製:Avicel PH101)
は、その90重量%以上の粒子の粒子径を100〜25
0ミクロンとしたもの、ヒドロキシプロピルセルロース
(日本曹達社製:HPCーH)は、その90重量%以上
の粒子の粒子径を10〜100ミクロンとしたものをそ
れぞれ使用した。なお、表1においては微結晶セルロー
スを結晶性セルロ−スとして記載しているが“結晶セル
ロ−ス“と同義である(以下、同様)。
【0030】
【表1】
【0031】これらの組成物を(実施例1〜4、対照例
1〜5)を白色在来種雄性家兎(体重2.5〜3.0k
g)の鼻腔内に粉末投与器(帝人社製:パブライザー)
にて組成物の投与量が、2mg/kgとなるように投与
した。一定時間後に耳静脈より採血し、血中のプロピオ
ン酸ベクロメタゾンをRIA法により測定した。結果を
表2に示す。基剤全体中にしめるヒドロキシプロピルセ
ルロースの割合が5〜40重量%の場合に、0%(対照
例1)よりも高い最高血中濃度を示し、さらに30〜4
0%の場合(実施例3、4)により高い最高血中濃度を
示し、本発明の組成物は、著しく吸収性を改善し最高血
中濃度を上昇させていることがわかる。
【0032】
【表2】
【0033】[実施例5〜8]実施例5〜8および対照
例6〜10として、制吐薬の一つであるメトクロプラミ
ド(SIGMA社製)100mgに、表3に記載した各
種の基剤をそれぞれ200mgづつ混合し、滑択剤とし
てステアリン酸マグネシウム0.30mgを加え、粉末
組成物を調整した。このとき、微結晶セルロース(旭化
成社製:Avicel PH101)は、その90重量
%以上の粒子の粒子径を50〜350ミクロンとしたも
の、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達社製:H
PCーH)は、その90重量%以上の粒子の粒子径を1
0〜100ミクロンとしたものをそれぞれ使用した。
【0034】
【表3】
【0035】これらの組成物を(実施例5〜8、対照例
6〜10)を白色在来種雄性家兎(体重2.5〜3.0
kg)の鼻腔内に粉末投与器(帝人社製:パブライザ
ー)にて組成物の投与量が、3mg/kgとなるように
投与した。一定時間後に耳静脈より採血し、血中のメト
クロプラミドをHPLC法により測定した。結果を表4
に示す。基剤全体中にしめるヒドロキシプロピルセルロ
ースの割合が5〜40重量%の場合に、0%(対照例
5)よりも高い最高血中濃度を示し、さらに30〜40
%の場合(実施例7、8)により高い最高血中濃度を示
し、本発明の組成物は、著しく吸収性を改善し最高血中
濃度を上昇させていることがわかる。
【0036】
【表4】
【0037】[実施例9〜11]実施例9〜11および
対照例11〜15として、黄体形成ホルモンの一つであ
る酢酸リュープロライド(Bachem社製)10mg
に、表5に記載した各種の基剤をそれぞれ200mgづ
つ混合し、滑択剤としてステアリン酸マグネシウム0.
21mgを加え、粉末組成物を調整した。このとき、酢
酸リュープロライドは凍結乾燥品を乳鉢で粉砕し、その
90重量%以上の粒子の粒径を10〜150ミクロンと
したものを、微結晶セルロース(旭化成社製:Avic
el PH101)は、その90重量%以上の粒子の粒
子径を50〜350ミクロンとしたものを、ヒドロキシ
プロピルセルロース(日本曹達社製:HPCーH)は、
その90重量%以上の粒子の粒子径を10〜100ミク
ロンとしたものをそれぞれ使用した。
【0038】
【表5】
【0039】これらの組成物を(実施例9〜11、対照
例11〜15)を白色在来種雄性家兎(体重2.5〜
3.0kg)の鼻腔内に粉末投与器(帝人社製:パブラ
イザー)にて組成物の投与量が、2.5mg/kgとな
るように投与した。一定時間後に耳静脈より採血し、血
中の酢酸リュープロライドをRIA法により測定した。
また対照例16として、酢酸リュープロライドの水溶液
を同時に投与した。結果を表6に示す。基剤全体中にし
めるヒドロキシプロピルセルロースの割合が5〜30重
量%の場合に、0%(対照例11)よりも高い最高血中
濃度を示し、さらに20〜30%の場合(実施例10、
11)により高い最高血中濃度を示し、実施例の組成物
は、著しく吸収性を改善し最高血中濃度を上昇させてい
ることがわかる。
【0040】
【表6】
【0041】[実施例12〜14]実施例12〜14お
よび対照例17〜22として、カルシトニン類の一つで
あるサケカルシトニン(Bachem社製)0.10m
gに、表7に記載した各種の基剤をそれぞれ150mg
づつ混合し、滑択剤としてステアリン酸マグネシウム
0.16mgを加え、粉末組成物を調整した。このと
き、サケカルシトニンは凍結乾燥品を乳鉢で粉砕し、そ
の90重量%以上の粒子の粒径を10〜150ミクロン
としたものを、微結晶セルロース(旭化成社製:Avi
cel PH101)は、その90重量%以上の粒子の
粒子径を50〜350ミクロンとしたものを、ヒドロキ
シプロピルセルロース(日本曹達社製:HPCーH)
は、その90重量%以上の粒子の粒子径を10〜100
ミクロンとしたものをそれぞれ使用した。
【0042】
【表7】
【0043】これらの組成物を(実施例12〜14、対
照例17〜22)を白色在来種雄性家兎(体重2.5〜
3.0kg)の鼻腔内に粉末投与器(帝人社製:パブラ
イザー)にて組成物の投与量が、0.6mg/kgとな
るように投与した。一定時間後に耳静脈より採血し、血
中のサケカルシトニンをRIA法により測定した。また
対照例23として、サケカルシトニンの水溶液を同時に
投与した。結果を表8に示す。基剤全体中にしめるヒド
ロキシプロピルセルロースの割合が5〜20重量%の場
合に、0%(対照例17)よりも高い最高血中濃度を示
し、さらに10〜20%の場合(実施例13、14)に
より高い最高血中濃度を示し、実施例の組成物は、著し
く吸収性を改善し最高血中濃度を上昇させていることが
わかる。
【0044】
【表8】
【0045】[実施例15〜17]実施例15〜17お
よび対照例24〜30として、成長ホルモン類の一つで
あるヒト成長ホルモン(Bachem社製)10mg
に、表9に記載した各種の基剤をそれぞれ240mgづ
つ混合し、滑択剤としてステアリン酸マグネシウム0.
25mgを加え、粉末組成物を調整した。このとき、ヒ
ト成長ホルモンは凍結乾燥品を乳鉢で粉砕し、その90
重量%以上の粒子の粒径を10〜150ミクロンとした
ものを、微結晶セルロース(旭化成社製:Avicel
PH101)は、その90重量%以上の粒子の粒子径
を50〜350ミクロンとしたものを、ヒドロキシプロ
ピルセルロース(日本曹達社製:HPCーH)は、その
90重量%以上の粒子の粒子径を10〜100ミクロン
としたものをそれぞれ使用した。
【0046】
【表9】
【0047】これらの組成物を(実施例15〜17、対
照例23〜29)を白色在来種雄性家兎(体重2.5〜
3.0kg)の鼻腔内に粉末投与器(帝人社製:パブラ
イザー)にて組成物の投与量が、2.5mg/kgとな
るように投与した。一定時間後に耳静脈より採血し、血
中のヒト成長ホルモンをRIA法により測定した。また
対照例30として、ヒト成長ホルモンの水溶液を同時に
投与した。結果を表10に示す。基剤全体中にしめるヒ
ドロキシプロピルセルロースの割合が5〜20重量%の
場合に、0%(対照例24)よりも高い最高血中濃度を
示し、さらに10〜20%の場合(実施れ16、17)
により高い最高血中濃度を示し、実施例の組成物は、著
しく吸収性を改善し最高血中濃度を上昇させていること
がわかる。
【0048】
【表10】
【0049】[実施例18〜26]下記表11に記載し
た2種の基剤を用いて、主薬として酢酸リュープロライ
ド(Bachem社製)を含有した、水吸収性でかつ水
難溶性の基剤と水吸収性でかつゲル形成性の基剤の重量
比が80:20の組成物を調製し、実施例10と同様の
条件で、家兎に投与した。また、対照例31〜39とし
て同11表に示した基剤を用いて実施例18〜26同様
に組成物を調製し、家兎への投与を行った。ここで、表
11記載の水吸収性でかつ水難溶性の基剤の90重量%
以上の粒子の粒子径は50〜350ミクロンと、水吸収
性でかつゲル形成性の基剤の90重量%以上の粒子の粒
子径は10〜100ミクロンとしたものをそれぞれ用い
た。
【0050】
【表11】
【0051】得られた最高血中濃度並びにその時間を表
12に示す。実施例18〜26が、著しく高い最高血中
濃度を与えるのに対し、対照例31〜39は吸収するも
のの実施例と比較し、最高血中濃度が低いことがわか
る。
【0052】
【表12】
【0053】[実施例27〜30]下記表13に記載し
た2種の基剤を用いて、主薬として酢酸リュープロライ
ド(Bachem社製)を含有した、水吸収性でかつ水
難溶性の基剤と水吸収性でかつゲル形成性の基剤の重量
比が80:20の組成物を調製し、実施例10と同様の
条件で、家兎に投与した。また、対照例40〜45とし
て同13表に示した基剤を用いて実施例27〜30同様
に組成物を調製し、家兎への投与を行った。ここで、表
13記載の水吸収性でかつ水難溶性の基剤の90重量%
以上の粒子の粒子径は50〜350ミクロンと、水吸収
性でかつゲル形成性の基剤の90重量%以上の粒子の粒
子径は10〜100ミクロンとしたものをそれぞれ用い
た。
【0054】
【表13】
【0055】得られた最高血中濃度並びにその時間を表
14に示す。実施例27〜30が、著しく高い最高血中
濃度を与えるのに対し、対照例40〜45は吸収するも
のの実施例と比較し、最高血中濃度が低いことがわか
る。
【0056】
【表14】
【0057】[実施例31〜58]下記の表15に記載
の各種の薬物についてヒドロキシプロピルセルロースの
重量とヒドロキシプロピルセルロースと微結晶セルロー
スとの重量の和にしめる割合を5、10、20、30、
40、50重量%とした基剤を用いた粉末状組成物を調
製し、先の実施例と同様に家兎に投与してその血中濃度
を放射能により測定した。
【0058】
【表15】
【0059】同様に各種の薬物の微結晶セルロースのみ
からなる粉末状組成物を調製し、家兎へ投与した。ここ
で微結晶性セルロースはその90重量%以上の粒子の粒
子径が50〜350ミクロンのものを、ヒドロキシプロ
ピルセルロースはその90重量%以上の粒子の粒子径が
10〜100ミクロンのものをそれぞれ使用した。微結
晶セルロース単独時の最高血中濃度を1.0としたとき
のそれぞれの最高血中濃度の相対値を表16に示した。
これより、非ぺプチド・蛋白質性薬物の場合は、ヒドロ
キシプロピルセルロースが5〜40重量%のときに最高
血中濃度の増加が著しく、特に30〜40重量%のとき
に最高血中濃度の増加はさらに著しい、また分子量が5
00から1,500のぺプチド・蛋白質性薬物の場合
は、ヒドロキシプロピルセルロースが5〜30重量%の
ときに最高血中濃度の増加が著しく、特に20〜30重
量%のときに最高血中濃度の増加はさらに著しい、また
分子量が1,500から30,000のぺプチド・蛋白
質性薬物の場合は、ヒドロキシプロピルセルロースが5
〜20重量%のときに最高血中濃度の増加が著しく、特
に10〜20重量%のときに最高血中濃度の増加はさら
に著しいことがわかる。
【0060】
【表16】
【0061】[実施例59〜61]実施例59〜61お
よび対照例46〜49(対照例48は欠番)として、性
ステロイドホルモンの一つであるジプロピオン酸エスト
ラジオール(和光純薬工業(株)社製)10mgに、表
17に記載した粒度にあらかじめ調製した結晶セルロー
ス(旭化成社製:Avicel PH101)およびヒ
ドロキシプロピルセルロース(日本曹達社製:HPC−
H)をそれぞれ140mg、および60mgづつ混合
し、滑択剤としてステアリン酸マグネシウム0.21m
gを加え、粉末組成物を調整した。また対照例50〜5
2として同表に示した粒度の結晶セルロース200mg
とジプロピオン酸エストラジオール10mgを混合し組
成物を調製した。
【0062】
【表17】
【0063】これらの組成物を(実施例59〜61、対
照例46〜52)を白色在来種雄性家兎(体重2.5〜
3.0kg)の鼻腔内に粉末投与器(帝人社製:パブラ
イザー)にて組成物の投与量が、2mg/kgとなるよ
うに投与した。一定時間後に耳静脈より採血し、血中の
ジプロピオン酸エストラジオールをRIA法により測定
した。結果を表18に示す。水吸収性でかつ水難溶性の
基剤である結晶セルロースの粒度が、その90%重量が
50〜350ミクロンにあり、水吸収性でかつゲル形成
性の基剤であるヒドロキシプロピルセルロースの粒度
が、その90重量%が10〜100ミクロンの場合(実
施例59)に、他(対照例46〜52)よりも高い最高
血中濃度を示し、さらに水吸収性でかつ水難溶性の基剤
である結晶セルロースの粒度が、その90%重量が10
0〜250ミクロンにあり、水吸収性でかつゲル形成性
の基剤であるヒドロキシプロピルセルロースの粒度が、
その90重量%が10〜100ミクロンの場合(実施例
60)およびに水吸収性でかつ水難溶性の基剤である結
晶セルロースの粒度が、その90%重量が100〜25
0ミクロンにあり、水吸収性でかつゲル形成性の基剤で
あるヒドロキシプロピルセルロースの粒度が、その90
重量%が20〜50ミクロンの場合(実施例61)さら
に著しい最高血中濃度を示し、この組成物は、著しく吸
収性を改善し最高血中濃度を上昇させていることがわか
る。
【0064】
【表18】
【0065】[実施例62〜64]実施例62〜64お
よび対照例53〜56(対照例55は欠番)として、カ
ルシトニン類の一つであるサケカルシトニン(Bach
em社製)0.10mgに、表19に記載した粒度にあ
らかじめ調製した結晶セルロース(旭化成社製:Avi
cel PH101)およびヒドロキシプロピルセルロ
ース(日本曹達社製:HPC−H)をそれぞれ120m
g、および30mgづつ混合し、滑択剤としてステアリ
ン酸マグネシウム0.16mgを加え、粉末組成物を調
整した。また対照例57〜59として同表に示した粒度
の結晶セルロース150mgとサケカルシトニン0.1
0mgを混合し組成物を調製した。
【0066】
【表19】
【0067】これらの組成物を(実施例62〜64、対
照例53〜59)を白色在来種雄性家兎(体重2.5〜
3.0kg)の鼻腔内に粉末投与器(帝人社製:パブラ
イザー)にて組成物の投与量が、0.6mg/kgとな
るように投与した。一定時間後に耳静脈より採血し、血
中のサケカルシトニンをRIA法により測定した。結果
を表20に示す。結晶セルロースが、その90重量%以
上の粒子の粒子径が10〜100ミクロンにあり、ヒド
ロキシプロピルセルロースが、その90重量%以上の粒
子の粒子径が50〜350ミクロンの場合(実施例6
2)に、他(対照例53〜59)よりも高い最高血中濃
度を示し、さらに結晶セルロースが、その90重量%以
上の粒子の粒子径が100〜250ミクロンにあり、ヒ
ドロキシプロピルセルロースが、その90重量%以上の
粒子の粒子径が10〜100ミクロンの場合(実施例6
3)、およびに結晶セルロースが、その90重量%以上
の粒子の粒子径が100〜250ミクロンにあり、ヒド
ロキシプロピルセルロースが、その90重量%以上の粒
子の粒子径が20〜50ミクロンの場合(実施例6
4)、さらに著しい最高血中濃度を示し、実施例の組成
物は、著しく吸収性を改善し最高血中濃度を上昇させて
いることがわかる。
【0068】また結晶セルロース及びヒドロキシプロピ
ルセルロースの90重量%以上の粒子の粒子径が20〜
150ミクロンの場合(対照例53)、結晶セルロース
単独の場合(対照例59)に比べ最高血中濃度での差は
認められず、若干の持続性が認められた。また、結晶セ
ルロースの90重量%以上の粒子の粒子径を10〜10
0ミクロン、ヒドロキシプロピルセルロースの90重量
%以上の粒子の粒子径を50〜350ミクロンとして組
成物を調製した場合(対照例56)、結晶セルロース単
独に比べ最高血中濃度の著しい低下が確認された。
【0069】
【表20】
【0070】[実施例65〜66]実施例65〜66お
よび対照例60〜62として、黄体形成ホルモン放出ホ
ルモン類の一つであるリュープロライド(Bachem
社製)10mgに、その90重量%以上の粒子の粒子径
を50〜350ミクロンに調製した結晶セルロース(旭
化成社製:Avicel PH101)およびその90
重量%以上の粒子の粒子径を10〜100ミクロンに調
製したヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達社製:
HPC)をそれぞれ160mg、および40mgづつ混
合し、滑択剤としてステアリン酸マグネシウム0.21
mgを加え、粉末組成物を調整した。ただし、使用した
ヒドロキシプロピルセルロースの粘度は2%水溶液で
2.0〜2.9cpsのもの(対照例60)、3.0〜
5.9cpsのもの(対照例61)、6.0〜10.0
cpsのもの(対照例62)、150〜400cpsの
もの(実施例65)、および1000〜4000cps
(実施例66)のものを使用した。これらの組成物(実
施例65〜66、対照例60〜62)を白色在来種雄性
家兎(体重2.5〜3.0kg)の鼻腔内に粉末投与器
(帝人社製:パブライザー)にて組成物の投与量が、
2.5mg/kgとなるように投与した。一定時間後に
耳静脈より採血し、血中のリュープロライドをRIA法
により測定した。結果を表21に示す。ヒドロキシプロ
ピルセルロースの粘度が150cps以上の時に、著し
く吸収性を改善し最高血中濃度を上昇させていることが
わかる。
【0071】
【表21】
【0072】[実施例67]実施例67及び対照例63
〜65として、ペプチド・蛋白質性薬物のモデル化合物
となり得る親水性多糖のFITC−dextran(S
igma社製、平均分子量4400)10mgに、表2
2に記載したような粒子径をその90重量%以上の粒子
がもつ、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達社
製:HPC)、結晶セルロース(旭化成社製:Avic
el PH101)をそれぞれ19mg、171mgづ
つ混合(実施例67、対照例63、64)、もしくは、
結晶セルロース(旭化成社製:Avicel PH10
1)のみ190mgを混合(対照例65)し、粉末状組
成物を調製した。これらの組成物を白色在来種雄性家兎
(体重3kg)の鼻腔内に粉末投与器(帝人社製:パブ
ライザー)にて組成物の投与量が4mg/kgとなるよ
うに投与した。一定時間後に耳静脈より採血し、血中の
FITC−dextran(FD4)濃度をHPLCに
より測定した。結果を図1に示す。水吸収性でかつ水難
溶性の基剤である結晶セルロースに、その11重量%の
水吸収性でかつゲル形成性の基剤であるヒドロキシプロ
ピルセルロースを組み合わせることにより、結晶セルロ
ースのみよりも最高血中濃度を向上させることができ、
さらにはヒドロキシプロピルセルロースの粒子径を38
〜50ミクロンとした本発明の組成物により、さらに有
意に最高血中濃度を向上させることができることがわか
る。
【0073】
【表22】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の吸収性が改善された粉末状経
鼻投与組成物(実施例67:−○−と、対照例の粉末状
経鼻投与組成物(対照例63〜65:各々、−□−、−
△−、−×−を家兎に投与した場合のFITC−dex
tran濃度(ng/ml)を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 38/11 A61K 47/36 38/17 47/38 38/21 47/42 38/22 37/02 38/23 37/24 38/26 37/26 38/27 37/28 38/28 37/30 38/55 37/34 45/00 37/36 47/32 37/42 47/36 37/43 47/38 37/64 47/42 37/66 H (72)発明者 藤井 隆雄 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社 東京研究センタ−内 (56)参考文献 特開 昭60−224616(JP,A) 特表 平7−507303(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 47/30 - 47/42

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ア.薬物と、 イ.ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
    ルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエ
    チルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウ
    ムからなる群から選ばれる1種以上の水吸収性でかつゲ
    ル形成性の基剤と、ウ.結晶セルロース、α−セルロー
    ス、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋
    デンプン、ゼラチン、カゼイン、トラガントガム、およ
    ポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる1種以
    上の水吸収性でかつ水難溶性の基剤とを含んでなる粉末
    状経鼻投与組成物であって、 (1)該水吸収性でかつゲル形成性の基剤の量が、該水
    吸収性でかつ水難溶性の基剤と該水吸収性でかつゲル形
    成性の基剤の量の和の5〜40重量%であり、 (2)該水吸収性でかつ水難溶性の基剤の90重量%以
    上の粒子の粒子径が10ミクロン〜350ミクロンの範
    囲であり、 (3)該水吸収性でかつゲル形成性の基剤の90重量%
    以上の粒子の粒子径が10ミクロン〜100ミクロンの
    範囲である、 粉末状経鼻投与組成物。
  2. 【請求項2】 該水吸収性でかつ水難溶性の基剤の90
    重量%以上の粒子の粒子径が38〜250ミクロンの範
    囲であり、該水吸収性でかつゲル形成性の基剤の90重
    量%以上の粒子の粒子径が10〜65ミクロンの範囲で
    ある、請求項1記載の粉末状経鼻投与組成物。
  3. 【請求項3】 該薬物が、非ペプチド・蛋白質性薬物お
    よび分子量が30,000以内であるペプチド・蛋白質
    性薬物からなる群より選ばれた薬物である請求項1又は
    2に記載の粉末状経鼻投与組成物。
  4. 【請求項4】 該非ペプチド・蛋白質性薬物が、消炎ス
    テロイド薬、鎮痛消炎薬、鎮咳去痰薬、抗ヒスタミン
    薬、抗アレルギー薬、制吐薬、睡眠導入薬、ビタミン
    剤、性ステロイドホルモン薬、抗腫瘍薬、抗不整脈・高
    血圧薬、抗不安・向精神薬、抗潰瘍薬、強心薬、鎮痛
    薬、気管支拡張薬、肥満治療薬、血小板凝集抑制薬、糖
    尿病薬、筋弛緩薬、および抗リウマチ薬からなる群より
    選ばれる1種以上の非ペプチド・蛋白質性薬物である請
    求項3記載の粉末状経鼻投与組成物。
  5. 【請求項5】 該ペプチド・蛋白質性薬物が、黄体形成
    ホルモン放出ホルモン類、成長ホルモン放出因子類、ソ
    マトスタチン誘導体類、バゾプレッシン類、オキシトシ
    ン類、ヒルジン誘導体類、エンケファリン類、副腎皮質
    刺激ホルモン誘導体類、ブラジキニン誘導体類、カルシ
    トニン類、インシュリン類、グルカゴン誘導体類、成長
    ホルモン類、成長ホルモン放出ホルモン類、黄体形成ホ
    ルモン類、インシュリン様成長因子類、カルシトニン遺
    伝子関連ペプチド類、心房性ナトリウム利尿ペプチド誘
    導体類、インターフェロン類、エリスロポエチン、顆粒
    球コロニー形成刺激因子、マクロファージ形成刺激因
    子、副甲状腺ホルモン類、副甲状腺ホルモン放出ホルモ
    ン、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、
    およびアンギオテンシン類からなる群から選ばれる1種
    以上のペプチド・蛋白質性薬物である請求項3記載の粉
    末状経鼻投与組成物。
  6. 【請求項6】 該薬物が、その分子量500〜1,50
    0のペプチド・蛋白質性薬物であり、該水吸収性でかつ
    ゲル形成性の基剤の量が、該水吸収性でかつ水難溶性の
    基剤と該水吸収性でかつゲル形成性の基剤の量の和の約
    5〜30重量%である請求項1記載の粉末状経鼻投与組
    成物。
  7. 【請求項7】 該ペプチド・蛋白質性薬物が、バゾプレ
    ッシン類、黄体形成ホルモン放出ホルモン類、成長ホル
    モン放出因子類、ソマトスタチン誘導体類、オキシトシ
    ン類、ヒルジン誘導体類、エンケファリン類、副腎皮質
    刺激ホルモン誘導体類、ブラジキニン誘導体類からなる
    群から選ばれる1種以上のペプチド・蛋白質性薬物であ
    る請求項6記載の粉末状経鼻投与組成物。
  8. 【請求項8】 該薬物が、その分子量1,500〜3
    0,000のペプチド・蛋白質性薬物であり、該水吸収
    性でかつゲル形成性の基剤の量が、該水吸収性でかつ水
    難溶性の基剤と該水吸収性でかつゲル形成性の基剤の量
    の和の約5〜20重量%である請求項1記載の粉末状経
    鼻投与組成物。
  9. 【請求項9】 該ペプチド・蛋白質性薬物が、カルシト
    ニン類、インシュリン類、グルカゴン誘導体類、成長ホ
    ルモン類、成長ホルモン放出ホルモン類、黄体形成ホル
    モン類、インシュリン様成長因子類、カルシトニン遺伝
    子関連ペプチド類、心房性ナトリウム利尿ペプチド誘導
    体類、インターフェロン類、エリスロポエチン、顆粒球
    コロニー形成刺激因子、マクロファージ形成刺激因子、
    副甲状腺ホルモン類、副甲状腺ホルモン放出ホルモン、
    プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、およ
    びアンギオテンシン類からなる群から選ばれる1種以上
    のペプチド・蛋白質性薬物である請求項8記載の粉末状
    経鼻投与組成物。
  10. 【請求項10】 該水吸収性でかつ水難溶性の基剤が、
    結晶セルロース、α−セルロース、架橋カルボキシメチ
    ルセルロースナトリウム、架橋デンプン、ゼラチン、カ
    ゼイン、トラガントガム、およびポリビニルピロリドン
    からなる群から選ばれる1種以上の水吸収性でかつ水難
    溶性の基剤である請求項1〜9のいずれか一項記載の粉
    末状経鼻投与組成物。
  11. 【請求項11】 該水吸収性でかつ水難溶性の基剤が、
    結晶セルロースである請求項1〜9のいずれか1項記載
    の粉末状経鼻投与組成物。
  12. 【請求項12】 該水吸収性でかつゲル形成性の基剤
    が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
    ルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメ
    チルセルロースナトリウムからなる群から選ばれる1種
    以上の水吸収性でかつゲル形成性の基剤である請求項1
    〜11のいずれか1項記載の粉末状経鼻投与組成物。
  13. 【請求項13】 該水吸収性でかつゲル形成性の基剤
    が、ヒドロキシプロピルセルロースである請求項1〜1
    1のいずれか1項記載の粉末状経鼻投与組成物。
  14. 【請求項14】 該ヒドロキシプロピルセルロ−スが、
    その2%水溶液での粘度が150〜4,000cpsの
    ヒドロキシプロピルセルロースである請求項13記載の
    粉末状経鼻投与組成物。
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