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JP3195354B2 - バストネス石を金属酸化物と反応させる方法 - Google Patents

バストネス石を金属酸化物と反応させる方法

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JP3195354B2
JP3195354B2 JP50588995A JP50588995A JP3195354B2 JP 3195354 B2 JP3195354 B2 JP 3195354B2 JP 50588995 A JP50588995 A JP 50588995A JP 50588995 A JP50588995 A JP 50588995A JP 3195354 B2 JP3195354 B2 JP 3195354B2
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    • C10G11/00Catalytic cracking, in the absence of hydrogen, of hydrocarbon oils
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  • Solid Thermionic Cathode (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、概して、バストネス石を、2価及び/又は
3価の金属酸化物、例えば合成スピネル、特にSOx吸収
体/触媒物質として用いられる合成スピネルを作るのに
典型的に用いられるものと、化学的に反応させることに
関する。
発明の背景 〔バストネス石に関して:〕 一般的に言って、用語「バストネス石」とは、ある種
の希土類金属のフッ化炭酸塩からなると見做すことので
きる1群の鉱物の名称である。しかしながら、その様な
物質を記述するのに用いられる命名法はしばしばかなり
曖昧である。例えば、バストネス石の主成分は「希土
類」であるから、そのような物質はときどき希土類酸化
物と呼ばれる。これらの物質は一般に「ランタノイド」
とも呼ばれる。この用語は明らかにランタンなる語の訛
りである。ランタンは勿論周期律表中のランタナイド族
の第一のメンバー(即ち、最低の原子番号メンバー)で
ある。当業者は、ランタナイド類が1つのグループとし
て考えられているとき、全てのランタナイド類を一般的
に表わすためにランタノイド類に対する記号(“Ln")
を使用することは珍しくない。同様に、全体のランタナ
イド族の種々の酸化物をLnOと、そしてそれらのオキシ
フルオライドをLnOFと呼ぶのも習慣になっている。これ
ら全ての考察が与えられると、バストネス石のような物
質は多数の他の元素を含んでいるが、バストネス石の化
学構造を、一般に、式:(Ce,La)(CO3)Fと表すのは
非常に普通のことである。例えば、鉱物バストネス石
は、その主たる金属成分をランタン及びセリウムとして
種々雑多の希土類元素を約65〜80wt%(希土類元素酸化
物として計算して)含んでいる。この事実はこれら物質
の化学式として(Ce,La)(CO3)Fが広く使用されてい
ることを説明する。しかしながら、バストネス石鉱物
は、殆ど常に少量の種々の他の希土類元素、例えばプラ
セオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピューム、及
びガドリニウムを含んでいる。例えば、典型的なバスト
ネス石鉱物を化学分析すると、全希土類元素(酸化物と
して計算する)に対する個々の希土類元素(酸化物とし
て計算する)の割合は次の一般的な範囲に入るであろ
う:45〜55wt%CeO2、29〜35wt%La2O3、11〜15wt%Nd2O
3、2.5〜5.5wt%Pr2O3、0.3〜0.7wt%Sm2O3、0.1〜0.3w
t%Gd2O3、0.05〜0.15wt%Eu2O3及び0.05〜0.35wt%の
他の希土類元素。
次に、バストネス石は幾分化学的に反応性の鉱物であ
ることに注意すべきである。結局、それは比較的温和な
化学的及び/又は物理的処理過程、例えばスチーム処
理、か焼及び酸浸出で変性され得る。例えば、天然産の
バストネス石を空気中で、およそ700℃でか焼すると、
それは化学反応を行い、その幾らかの希土類フルオロ炭
酸塩は希土類オキシフルオライドに転化する。そのよう
な変性の他の例によって、鉱物バストネス石は、含有す
るストロンチウム及びバリウムを抜くためにある種の強
酸で浸出することができる。それら全てが何であれ、本
発明は、天然産の形のバストネス石及び何であれ化学的
に及び/又は物理的に処理した形のその鉱物を意図して
いる。従って、本発明の開示にとって、用語「バストネ
ス石」、「処理されたバストネス石」、「バストネス石
鉱物」、「バストネス石様物質」等は、天然に見出され
るバストネス石の原料鉱物の形だけでなく、広く種々の
物理的又は化学的の処理された形のバストネス石鉱物を
含むものと解釈されるべきである。実際、この特許の開
示にとって、これらの用語は、全希土類元素に亘って、
天然に生ずるバストネス石鉱物に実質的に類似の希土類
元素の分布を有するどんな合成物質をも含むものと解釈
されるべきである。
〔バストネス石の触媒用途〕
バストネス石は、流動接触クラッキング(“FCC")ユ
ニットの触媒再生ゾーンに存在する条件下でSOxと化学
的に反応する初期能力を有する。結局、バストネス石
は、種々の炭化水素クラッキング触媒の再生によって生
成されるSOxの酸化を触媒させるために主の炭化水素ク
ラッキング触媒と物理的に組み合わせられてきた。バス
トネス石は、またSO3ガスを吸収する能力を有する。例
えば、米国特許No.4366083(083特許)、4311581(581
特許)及び4341661(661特許)は、種々の炭化水素クラ
ッキング触媒との物理的混合物として循環されるバスト
ネス石粒子のSOx触媒活性及び/又はSOx吸収活性を教え
ている。しかしながら、バストネス石組成物はSOx用添
加物質として広く使用されなかった。その理由は、それ
より遙かに良好なSOx触媒物質(例えば、セリア、バナ
ジア、等)が存在したからであり、またバストネス石は
流動接触クラッキングユニット又はその触媒再生ユニッ
ト中で容易に再生されないため良好な長期間吸収剤では
なかったからである。即ち、バストネス石はその最初の
FCCユニットの旅の間にSO3ガスを容易に吸収するが、そ
の後の再生ステップでSO3がバストネス石から容易に追
い出されないのである。結局、SO3ガスの吸収のプロセ
スの能力を維持するために、多量の初期の量のバストネ
ス石(例えば、バルク(bulk)触媒の15%)をそのユニ
ットのバルク触媒中に使用しなければならない。そして
バストネス石の供給は連続的に増大しなければならな
い。後者の過程は「メークアップ(make−up)」触媒中
に多量のバストネス石を使用することを含み、この触媒
は間欠的にFCCユニットに供給される。得られた大きな
割合の非炭化水素クラッキング触媒材料はFCCユニット
中で実施される全体の触媒プロセスを不安定にする傾向
がある。結局、容易に「再生される」ことのできる他の
物質(例えば、アルミナ、セリア、ランタン等及びアル
ミナを担体としてこれにセリア、ランタン等を含浸した
もの)が、SO3吸収の目的でバストネス石よりも好んで
使用されてきた。
しかしながら、上記文献のいずれも、バストネス石が
物理的に混合される炭化水素の接触クラッキング触媒物
質と化学的に反応させ得る方法を教えていない。即ち、
083特許、581特許及び661特許は最も広い教えの下で
は、バストネス石は2つの方法の内のいずれかを使用で
きる:(1)バストネス石粒子は分離された別々の炭化
水素クラッキング触媒粒子と混合できる−即ち、バスト
ネス粒子と炭化水素クラッキング触媒粒子はFCCユニッ
トを循環する間に充分に混合される−しかしながら、そ
れらは分離した別々の粒子種の形で残る、又は(2)バ
ストネス石粒子は物理的にマトリックス中に添加でき、
このマトリックスは炭化水素クラッキング触媒粒子とバ
ストネス石粒子とからなる−即ち、これらの異なる2種
の粒子はバインダー物質の使用によって相互に「接着さ
れ」て、複合材料を形成する。例えば、083特許、581特
許及び661特許は、結晶性アルミノケイ酸塩ゼオライト
炭化水素クラッキング触媒は、無機耐火性酸化物バイン
ダー材料の使用によってバストネス石粒子に「接着さ
れ」ることができることを教えている。換言すれば、バ
ストネス石粒子は、そのマトリックスがバストネス石粒
子、アルミノケイ酸塩ゼオライト粒子及びマトリックス
バインダー材料からなる全体の粒子中に物理的に分散さ
れている。
〔金属酸化物物質に関して:〕
種々の金属酸化物物質、例えば米国特許No.4381991
(991特許)及び4369130特許(130特許)に記載された
ものが、SO3吸収剤/触媒物質として用いられてきた。
殆どの場合、これらの物質は2価及び/又は3価の金属
酸化物、例えばアルカリ土類金属の酸化物である。991
特許に記載されたもののような2価又は3価の酸化物が
相互に組み合わせられると、得られた物質は、ときに
は、「スピネル」又は合成スピネルと一般に呼ばれる別
のグループの金属酸化物と考えられる。実際、用語「ス
ピネル」は、ある種の金属酸化物成分を有する広い種類
の鉱物を記述するために、しばしばゆるやかに使用され
る。「スピネル」と呼べる多数の金属酸化物物質がこの
用語で指定されないことも事実である。例えば、991特
許の例10(第22欄、第53行)に記載されたプロセスで製
造された物質は、真正に合成スピネルと呼べるが、この
特許の記載では用語「スピネル」は特に使用されていな
い。
用語「スピネル」は、2又はそれ以上の金属酸化物の
種々の組み合わせであって、これら金属が異なった原子
価を有するものを含む天然産の種々の物質を記述するの
にも使用される。この用語のより正確な使用によれば、
これは八面体晶癖で立方晶系に結晶する金属酸化物物質
(鉱物又は合成)を意味する。スピネルは、マグネシウ
ム、亜鉛、セリウム、ランタン、鉄、マンガン、アルミ
ニウム、及びクロムの2価及び3価の酸化物の組み合わ
であるとしばしば考えられてきた。スピネルの形の鉱物
のより重要なものの幾つかは、スピネル(MgAl2O4)、
亜鉛セン晶石、亜鉛スピネル(ZnAl2O4)、フランクリ
ナイト(Zn,Mn2+,Fe2+)(Fe3+,Mn3+2O4、及びクロム
鉄鉱(FeCr2O4)である。スピネルは、一般に、しばし
ば次の一般式示される:R2+OR2 3+O3(ここに、Rはプラ
ス2の原子価を有する金属であり、R2はプラスの原子価
を有する。殆どの場合、2価の酸化物はMgO、ZnO、Fe
O、及びMnOである。3価の酸化物は一般にAl2O3、Fe
2O3、Mn2O3、La2O3、Ce2O3、及びCr2O3である。これら
の物質の内で、MgAl2O4が最も重要である−実際、用語
「スピネル」はこれらの内でしばしばマグネシヤ/アル
ミナ(MgO/Al2O3)の形のものを意味している。
他の意味では、スピネルは第1の酸化状態を有する第
1の金属、及び第1の金属よりも高い酸化状態を有する
第2の金属からなり、ここに各金属は格子構造中に酸素
と適当に結合している。第1及び第2の金属は同じ金属
であってもよい。換言すれば、同じ金属が与えられたス
ピネル中に2又はそれ以上の異なった酸化状態にあって
もよい。どんな与えられたスピネルにおいても、第1の
金属対第2の金属の原子比は、与えられたスピネルの種
々の成分についての典型的な化学量論的式に一致する必
要はない。従って、より広い意味で、スピネルは連続的
に変わる割合の2価及び3価の金属酸化物から成ってい
ると考えることができる。即ち、スピネルは次の一般式
で表される:nR2+OmR3+ 2O3(ここに、n対mの比は変化
する)。当業者は、連続的に変わりうる原子の比は、
「固溶体」として知られている物質に一般に生じるもの
であることを認めるであろう。
〔金属酸化物結晶の触媒への使用〕
スピネルと一般に呼ばれるような金属酸化物結晶は、
石油精製操作において触媒として殆ど50年使用されてき
た。しかしながら、そのような物質を触媒に使用するこ
とには「上がったり下がったり」の発展的発達があった
ことを認識することは、本特許の開示の範囲の適正な理
解をするために相当に重要である。
当初は、鉱物スピネルは原油をクラッキングして種々
の精製品にするのに用いられた。鉱物のスピネルの使用
は、結局は、ある種の合成スピネルの使用に導いた。両
方の種類のスピネル(天然産のもの及び合成品)がその
ように使用されたのは、それらがそれらの広い多孔質な
表面に分散された比較的多数の触媒活性な酸部位を有し
ているからである。石油産業はある種の非常に特殊な目
的のために種々の合成スピネルを「仕立てる」ことも学
んだ。例えば、過剰のアルミナを有するスピネルマトリ
ックスがある種の流動接触クラッキング操作に使用する
ために発達した。それは、これらが耐久性、耐磨耗性を
有する傾向があったからである。この特性は3価の酸化
アルミニウム、コランダム鉱物(その天然の姿)は非常
に硬いことによる。実際、それはモース硬度でダイヤモ
ンドに次ぐのである。
しかしながら、石油クラッキング触媒としての天然産
の、及び合成のスピネルの使用は、他のより触媒活性の
高い物質、例えば結晶性アルミノシリケートゼオライト
を使用して石油クラッキングが実施されるようになった
とき、結局、段階的に廃止された。このスピネルの段階
的廃止は純粋に物理的な配慮によってもなされざる得な
かった。例えば、現在の石油クラッキング操作において
使用されるMS−FCC触媒(micro−spheroidal,fluid ca
talytic cracking catalysts)は、実質的に球形でな
ければならない。それらは、また、均一な流動を達成す
るために比較的狭い範囲のサイズと密度を有するように
作られなければならない。FCC触媒は、それらの化学組
成と殆ど同じ程度にそれらのサイズ、形状及び密度に注
意を払いつつ製造されなければならない。
残念ながら、これらの物理的要請は、スピネルをFCC
ユニットに使用するに関して、幾つかの問題を提起し
た。これらの殆どは、一般にスピネル、特に天然産のス
ピネルは、流動プロセスに使用するのに適したサイズ、
形状、及び/又は密度を有していないという事実を巡る
問題であった。結局、それらは容易にFCCユニットから
水ひされた。そのような水ひ損失は非常に大きなもの
で、従って非常にコスト高であった。一方、スピネル
を、FCC粒子を作るのに通常使用されるマトリックス形
成物質と物理的に結合すると、このスピネルは、炭化水
素クラッキング触媒としての有効性が減った。いずれに
せよ、上記の触媒としての及び物理的欠点は、石油精製
産業がより効果的なFCC触媒(例えば、アルミノシリケ
ートゼオライト)を発達させることを刺激した。それら
の努力が実って、やがてスピネルは石油クラッキングの
舞台から殆ど消滅した。
しかしながら、ある種の結晶性金属酸化物(例えば、
スピネル)の触媒としての使用に関する興味が比較的最
近復活した。この新しく見出された興味は、そのような
物質は、それらの石油クラッキング能力は別として、硫
黄含有化石燃料を燃焼し及び/もしくは触媒し並びに/
又は炭素及び硫黄で汚染された炭化水素クラッキング触
媒を再生する過程で排出される有害な硫黄酸化物(S
Ox)、例えばSO2及びSO3の濃度を低下するのに使用でき
る。
この点に関して、スピネルは、生来、何がしかのSO3
触媒活性を有しているが、それらはSO3吸収剤として比
較的効果的であることに、特に注意しなければならな
い。即ち、スピネルは、それがどんなSO3触媒活性を持
っていようとも、三酸化硫黄を吸収する独特で明瞭な能
力をも持っている。この特徴は注目に値する。それは硫
黄を硫黄酸化物含有ガスから回収するためには、そのSO
2は、最初にSO3に転化しなければならない。SO3がSOx
収剤−これは殆どの場合SO3吸収剤である−によって取
り出されるのはSO2がSO3に転化されて後である。このこ
とは、効果的にSO2ガスを吸収する経済的に適当な物質
がないという事実に基づいている。しかしながら、スピ
ネルを含んで、幾つかの経済的に実施可能な、SO3ガス
を吸収可能な物質がある。従って、ガス流のSO2は、SO3
に変えて、SO3が吸収剤によって取り出されるようにし
なければならない。換言すれば、ガス流の望ましくない
硫黄物質を除くことができるのは、SO2がSO3に転化され
て後、始めてできることである。結局、必要なSO3吸収
機能を発揮するために、スピネルは種々のSOx触媒(例
えば、セリウム及び/又はバナジウム)と物理的に組み
合わせられてきた。換言すれば、殆どの部分において、
二酸化硫黄を三酸化硫黄に酸化するのを触媒するのに奉
仕するのは、通常は別個のSOx触媒種(例えば、セリウ
ム及び/又はバナジウム)であり、一方、スピネルは、
そのようなセリウム又はバナジウムSOx触媒物質の使用
によって一旦形成された三酸化硫黄を吸収するのに殆ど
奉仕する。
次に、殆どの先行技術の方法によって、種々の結晶性
金属酸化物物質(例えばスピネル)を製造する過程にお
いて、ある種の化学反応が容易に起こって、種々の複雑
な化合物、例えば酸化マグネシウム(MgO)、化学量論
的スピネル(MgAl2O4)等が形成される。殆どの先行技
術のプロセスにおいて、これらの複雑な化合物は、スピ
ネルの諸成分の内の過剰な1成分の結晶性マトリックス
の全体に亘って緩やかに分散される(例えばアルミナマ
トリックス中のマグネシヤ/アルミナスピネル)。この
点を強調するために、本発明者らは、スピネル中に「緩
やかに」分散されているMgO(即ち、スピネルの結晶格
子構造の一部を構成していないMgO)を記述し、特徴付
けるために、「自由酸化マグネシウム」と表現する。こ
の明細書において、そのような全ての過剰の化合物(例
えば、自由酸化マグネシウム、化学量論的スピネル、
等)も「自由な、複合金属酸化物」と呼ぶ。
しかしながら、用語の如何を問わず、この緩やかに分
布した複合金属酸化物は、得られる物質にある種の性質
を与えることが知られている。例えば、触媒再生の技術
分野では、スピネル中に緩やかに分布したMgOが多量に
存在するとそのSOx吸収能力及び/又はSOx触媒能力を高
めることができることは長い間認められてきた。しかし
ながら、これらの技術の専門家は間もなく、過剰のMgO
の存在によって特徴付けられるマグネシヤ/アルミナス
ピネルを作ることによってSOx活性を増すことを追求す
るとき、得られるスピネルの硬さが大幅に減ることを知
った。これはMgOはアルミナ程に硬くなく、それ故アル
ミナ程に耐磨耗性ではないからである。結局、流動床に
おいて遭遇する厳しい磨耗及び衝突の条件においては、
先行技術は、比較的多量の「自由酸化マグネシウム」を
含むMS−FCC合成スピネル粒子の許容できない程に厳し
く急速な崩壊(従って損失)を経験した。
そのような欠点にも拘わらず、結晶格子物質(SOx
媒及び/又は吸収剤として作用する)中に2又はそれ以
上の金属酸化物の混合物を使用することを扱った先行文
献を深く読むと、多数の当業者の間に存在する「学派」
は、そのような複合化合物(例えば、自由マグネシヤ、
化学量論的なスピネル、等のような複合金属酸化物)
は、これら物質に不可避の−非常に望ましくさえある−
付属物(attribute)であるとの頑な立場に立っている
ことが明らかである。例えば、米国特許No.4728635(63
5特許)第4欄、第31行参照のこと。ここには30%まで
のそのような自由マグネシヤが推薦されている。
しかしながら、本発明者は、自由酸化マグネシウムの
ような「自由」複合金属酸化物が存在することはSOx
収剤/触媒物質として使用されるスピネル又はスピネル
様物質にとって本質的に「望ましくない」付属物であ
り、できるだけ避けなければならない、との立場を取る
反対の学派に、非常にきっぱりと属するものである。即
ち、本発明者は、ここに述べるバストネス石/金属酸化
物は、もし過剰(化学量論的式において厳密なものより
も過剰の量)の酸化マグネシウムがその物質の「マグネ
シウムに富んだ」均質な結晶構造体の中に−その物質の
金属酸化物結晶構造体と結合していない「自由」酸化マ
グネシウムの形で存在するのと反対に−固溶体の一部と
して存在するならば、そのSOx吸収剤及び/又は触媒の
性能を高めることができる、という意見を持っている。
しかしながら、酸化マグネシウムがスピネルの他の化
学成分と結合している態様からもたらされるSOx触媒の
性質に関して、本発明者は全く単独で自分の考えを持っ
ている訳ではないことは注意されるべきである。例え
ば、米国特許No.4471070(070特許)は、合成スピネル
を作る種々の方法を教えているが、そこでは、得られる
スピネルのSOx触媒活性を高めるためにマグネシウム対
アルミニウムの原子比を意図的に0.17〜1.0に保持して
いる。ここで指摘しておきたいことは、0.17〜1.0の比
は、「マグネシウムリッチ」(マグネシウム対アルミニ
ウムの比が0.5より大きく1.0以下のとき)のスピネルを
含んでいることである。前記635特許も、先に引用した
自由アルカリ土類金属酸化物、例えばMgOの存在が好ま
しいとの記載にも拘わらず、アルカリ土類金属(例え
ば、Mg)対アルミニウムの比を0.17〜2.5にしたスピネ
ルを作る方法を教えていることに注意すべきである。即
ち、事実上、635特許は格子構造体の一部として「過剰
の」酸化マグネシウムを有すると同時に、同じスピネル
と他の方法で結合している「自由」マグネシヤを有する
スピネルを作る方法を教えている。従って、635特許
は、自由酸化マグネシウムの存在することが好ましいこ
とを述べているが、そのスピネルは(本発明者の言葉を
用いて)、この物質のマグネシウム対アルミニウム比が
0.5より大きく1以下であるときは、「マグネシウムリ
ッチな」スピネルとして特徴付けられる。
他の面においては、結晶性金属酸化物の触媒としての
使用に関して、先行技術は、ある種の金属イオン、例え
ば鉄、クロム、バナジウム、マンガン、ガリウム、ホウ
素、コバルト、第IB族金属、セリウム、第IV族金属、白
金族金属、希土類金属、Te、Nb、Ta、Sc、Zn、Y、Mo、
W、Tl、Re、U、Th又はこれらの混合物のイオンがある
種のスピネルのアルミニウムイオンの全部又は一部と置
き換わることができることは、長い間認められてきた。
幾分同じ手法で、先行技術は、種々の金属酸化物吸収剤
は、それがランタン、セリウム、プラセオジム、サマリ
ウム及びジスプロシウムから選ばれた少なくとも1つの
自由な又は組み合わされた希土類金属と結合すると、こ
れらの金属酸化物によってガスからSOxを除くことがで
きると言う事実を利用している。例えば、特に結晶性金
属酸化物及びマグネシウム/アルミニウムスピネルは、
それらの粒子をある種の金属含有溶液(例えば、セリウ
ム、バナジウム、白金、等)に含浸させ、次いで得られ
た含浸スピネル粒子を焼成することにより種々の触媒活
性金属と物理的に組み合わせ、これにより一層有効なSO
x触媒を作ることができることは周知の事である。
実際、炭化水素クラッキング触媒として及び/又はSO
x吸収剤(又は触媒)として、合成スピネルのような結
晶性金属酸化物物質を使用することに関して、先行技術
は、得られる物質のSOx吸収(又は触媒)能力を高める
ために、あらゆる種類のそのような結晶性金属酸化物物
質との、種々の触媒活性物質(例えば、セリウム、バナ
ジウム、等)のよりよい組み合わせ方を見出すことに、
大いに焦点を当ててきた。そのような技術を教える代表
的な特許としては、米国特許No.4381991、4497902、440
5443、4369130、4360108、4233276及び4325811がある。
類似のSOx吸収法は、米国特許No.4423019、3835031、41
53534、4238317、4267072、4221677、4218344、4206039
及び4153535にも教えられている。
先行技術に関する最後の注意として、本発明者は、米
国特許No.5108979(「979特許」)に記載された技術
は、SOx吸収剤/触媒物質としての結晶性金属酸化物物
質(例えば、スピナル)を使用することに関連する上述
の問題点の幾つかに対応して開発されたことを指摘した
い。実際、979特許の教えは本発明を記載するための非
常に便利な出発点を表している。それ故、この979特許
を特に引用して本明細書の記載に加える。とりわけ、こ
の979特許は、種々の自由複合金属酸化物化合物、例え
ば自由酸化マグネシウム及び化学量論的なスピネルの生
成を、実質的に全ての成分(例えば、マグネシヤ、アル
ミナ、等)を「強制して」得られた物質の規則的な結晶
格子構造体の一体の部分となるようにする(そのような
結晶性構造体と緩やかにのみ組み合わされているのとは
対照的に)製造方法によって避けることができることを
教えている。979特許におけるこれら物質を結晶格子中
に強制的に存在させることはこの979特許に記載された
製造方法によって達成された。この製造方法は、当初の
反応混合物におけるある予定されたpHレベルの使用と共
に、非常に小さなサイズの成分物質(例えば、5nmより
小さいもの)を使用することを含む。
この979特許に記載された技術の基礎を形成する実験
作業の幾つかを追求するために、この特許に記載された
種々のスピネル物質中に、種々の密度を有し、触媒とし
て不活性な成分を物理的に添加することを目的として、
本発明者は、拡大された実験プログラムに従事した。そ
のような行動の必要性が起こったのは、979特許のに記
載された方法によって製造されるスピネルの幾つかは、
それ自体、密度が低くてある種のFCC運転における最適
な流動化に適しなかったからである。結局、得られる粒
子の全体としての密度を上げるために、スピネルの密度
よりも高い密度を有する種々の物質を一体化していない
マトリックス中でスピネル形成成分と物理的に混合し
た。この目的に向けて、バストネス石を、そのような密
度向上物質として使用した。事実上、比較的重いバスト
ネス石粒子及び比較的軽いスピネル粒子は、「相互に接
着し」て複合粒子を形成し、これは1又はそれ以上の触
媒バインダー物質により結合され、得られた複合粒子は
流動化に、より適した密度を有していた。
とりわけ、バストネス石を種々のスピネル形成成分と
物理的に混合することに関する本発明者の実験プログラ
ムは、そのような物質のマトリックス中にバストネス石
が物理的に存在すれば、実際、FCC粒子を望みのレベル
に上げるが、それ自体では、得られるSOx吸収剤/触媒
としてのバストネス石/スピネル複合物質の有効性を改
善しないことを明らかにするのに役立った。しかしなが
ら、バストネス石をそのようなスピネルマトリックス材
料中に物理的に添加するよりよい方法を探している内
に、本発明者は、バストネス石がスピネル形成成分(例
えば、アルミナ、マグネシヤ、等)と化学的に反応する
−種々の触媒バインダー材料の使用によってスピネル形
成物質と単に物理的に結合する(混合物として)のと対
照的に−ことができるあるプロセスを発見した。
次いで、本発明者は、バストネス石がスピネルを形成
することのできるような種々の金属酸化物成分と実際に
化学的に反応すると(単にそれらと混合するのではな
く)、得られたバストネス石/金属酸化物物質のSOx
収能力及び/又は触媒能力に非常に劇的な増加が生ずる
ことを発見した。この発見をした後、次いで本発明者
は、これらのバストネス石/金属酸化物物質のSOx吸収
能力/触媒能力を、(a)種々の金属酸化物単独、
(b)スピネル単独、(c)バストネス石単独、及び
(d)バストネス石とスピネルの物理的混合物(異なっ
た粒子種の混合物であり、またバインダー材料の使用に
よって複合粒子に相互に結合されたバストネス石粒子と
スピネル粒子の混合物と考えられる)、と比較すること
を狙った研究プログラムに従事した。この実験プログラ
ムは本発明者の化学的に反応させたバストネス石/金属
酸化物物質は次のことに使えることをも確立した:
(i)SO2のSO3への酸化を触媒すること、(ii)同じ物
質のSOx触媒活性で形成されたSO3を吸収すること、(ii
i)他の別個のSOx触媒種、例えばセリウム及びバナジウ
ム(例えば、触媒として不活性なスピネルでセリウム又
はバナジウムを含浸したもの)により形成されたSOx
吸収すること、及び/又は(iv)SO2のSO3への酸化反応
を触媒し、それを他種の別個の触媒、例えばアルミノシ
リケート炭化水素クラッキング触媒(特に所謂「残渣油
(bottoms)」クラッキング触媒)によって吸収させる
ことである。
これらの知見をもたらした実験証拠を、この明細書の
以下の部分に述べる。しかしながら、今は、ここに述べ
る方法は、979特許に記載されたプロセスに付随する状
況と結果をより良いものにすると言うことに止めること
にする。例えば、本明細書のプロセスにおいては、979
特許に記載されたスピネル中の複合金属酸化物を望みの
ように「存在させない」でおくこともでき、その場合97
9特許に記載されたプロセス及び/又は物質に付随する
ある種の困難な欠点を排除できる。しかしながら、より
重要なことは、本発明者はここに記載したバストネス石
/結晶性金属酸化物物質は非常に良好なSOx吸収剤であ
ることを発見したことである。それらが、979特許に記
載されたプロセスが避けようとした複合金属を高濃度で
含んでいても、そうである。実際、そのような望ましく
ない自由複合金属酸化物化合物が本発明者のバストネス
石/結晶性金属酸化物物質中に生成しても、また、それ
らが979特許のプロセスにおいて許される濃度よりも大
きい濃度(即ち、5wt%より大きな濃度)で存在して
も、ここに述べたバストネス石/結晶性金属酸化物物質
は、979特許に記載された方法によって製造されるスピ
ネルの示すものより優れたSOx吸収剤活性を持っている
ことを、本発明者は見出した。
この事を注意したので、次に、本発明者は次の事も見
出したことを明らかにすべきである。即ち、もし、979
特許で呼んでいる小さなサイズのスピネル形成成分がバ
ストネス石と化学的に結合すると、得られた物質は、し
ばしば、より大きい粒子を用いて作ったものよりも有効
なSOx触媒/吸収剤物質であることである。いずれにせ
よ、ここに述べたプロセス及びそれによって製造される
製品は、粒子の低密度、制限されたpH及び/又は望まし
くない複合化合物(例えば、自由酸化マグネシウム、化
学量論的なスピネル)の存在に付随する触媒再生問題に
よって邪魔されない。前記触媒再生問題は、979特許に
記載されたスピネルを含む幾つかの先行技術の金属酸化
物ベースのSOx吸収剤/触媒物質のSOx吸収性能を損なう
ものである。
この明細書に記載したプロセスは幾つかの非常に重要
な経済的な利点をも持っている。例えば、これらのプロ
セスは、979特許の教えるプロセスの最も否定的な経済
的側面、即ち、そのスピネル形成成分(例えば、マグネ
シヤ及びアルミナ)は粒径が5nm未満であることという
厳しい要請を完全に排除する。換言すれば、本発明者
は、成分粒子が5nm未満のサイズであるべきことという9
79特許の要請は、対比されるスピネル形成成分がバスト
ネス石成分と化学的に反応させられて、単にそれらと物
理的に混合されたものでないとき、完全に不必要にする
ことができることを見出したのである。実際、本発明者
は、バストネス石がスピネル形成成分(例えば、マグネ
シヤ、アルミナ、等)と化学的に反応すると、全ての成
分(バストネス石を含む)はより大きな粒子サイズを持
つに至る。例えば、約1000nmまでのサイズのアルミナ、
マグネシヤ及びバストネス石粒子は、ここに述べるバス
トネス石/スピネル物質のSOx吸収能力/触媒能力に悪
影響を受けることなく容易に使用することができる。こ
れは非常に重要なポイントである。何故なら、粒度が5n
mより小さいスピネル形成成分は、より大きな粒度を有
する化学的に同じ成分に比べてはるかに高価であるから
である。例えば、20〜1000nmの範囲、特に60〜100nmの
範囲のサイズのアルミナ粒子は、979特許が要求する2
〜5nmの種類のものよりもはるかに廉価である。しかし
ながら、次のことは繰り返す価値がある。即ち、979特
許の粒度限定を否定することは、そのような小さなサイ
ズの成分(即ち、5nm未満のサイズのもの)は本発明プ
ロセスに使用できないという訳ではなく、それらの使用
は強制的ではないというだけである。換言すれば、この
比較的小さなサイズの粒子は経済性という大きな理由の
故にあまり好ましいとは言えないのである。
最後に、ここに述べた方法は−979特許に記載されて
いるのと同じように−FCCユニットからSOxを除去するこ
と以外の目的に使用できる物質の合成にも適用できるこ
とを注意しておきたい。例えば、本発明の方法によって
製造されるバストネス石/金属酸化物物質は次のものに
使用できる:(1)他の反応に使用されるスピネル/結
晶性金属酸化物物質の製造(例えば、石油加工反応、例
えば(i)ナフサの改質、(ii)スチーム、メタン改
質、(iii)水素処理及び水素化工(hydroprocessin
g)、(iv)水素化触媒、(v)メタンカップリング、
(vi)酸化脱水素、及び(vii)プロピレンの酸化)、
(2)その主たる目的が炭化水素の接触クラッキングで
ある触媒によって偶然に製造されたSOxを吸収するため
に、他の全く異なった種類の触媒粒子(例えば、炭化水
素クラッキング触媒、例えば所謂残渣油クラッキング触
媒を作るのに使用されるアルミノシリケート及びアモル
ファスアルミナ)と混合して使用するために特に採用さ
れるバストネス石/結晶性金属酸化物粒子、並びに
(3)触媒とは全く異なった性質(例えば、超伝導性)
を有するバストネス石/結晶性金属酸化物物質。
発明の要約 その最も基礎的な言葉で表現すれば、本発明の方法は
バストネス石を少なくとも1つの金属酸化物物質と化学
的に反応させて、ある新しいバストネス石/金属酸化物
物質であって、バストネス石及び/又は少なくともバス
トネス石の一成分と少なくとも1つの金属酸化物物質を
化学的に反応させたものを形成することに奉仕するもの
である。本発明者は、この化学反応の正確な性質は、バ
ストネス石のLa2O3成分が、得られたバストネス石/金
属酸化物生成物のスピネル様成分の結晶構造の一部とな
るものである、と考えている。そのような物質はSOx
収剤/触媒物質として特に有用である。用語「バストネ
ス石」に関する命名法の緩い性質に関する先の議論を頭
に入れて、本発明者は、更にそれらの最終生成物を一般
式(Ce,La)(CO3)F/R2+O/R2 3+O3の使用で表すことが
できる。この定義に属する可能性のある全ての物質の内
で、バストネス石/マグネシヤ/アルミナ(即ち、(C
e,La)(CO3)F/MgO/Al2O3)が第一に重要である。本発
明は、特にここに記載した物質をSOx吸収剤/触媒物質
として次の態様で使用することに関する:(1)それら
自体、(2)バナジウムやセリムのような公知のSOx
媒と化学的に及び/又は物理的に組み合わせる、(3)
全く異なった種類の触媒粒子、例えば原油の「クラッキ
ング」に一般に使用されているアルミノシリケート触媒
と組み合わせる。
ここに記載された物質を作るための最も一般的な方法
は次のことを含む:(1)R2 3+〔B〕化合物、例えばア
ルミナ(Al2O3)を、R2 3+〔B〕化合物のR2 3+成分1gあ
たり(例えばAl2O3中のアルミニウム1gあたり)約1.0〜
約10.0ミリグラム当量の1塩基酸(例えば、硝酸、蟻
酸、酢酸等)を含む液体媒体(例えば水)中に分散し、
R2 3+〔B〕ゾル物質(例えば、アルミナゾル)を作り;
(2)R2+〔A〕化合物、例えばマグネシヤ(MgO)をR2
3+〔B〕ゾル物質に混合し、これによってR2+〔A〕/R2
3+〔B〕ゲル組成物(例えば、マグネシヤ/アルミナゲ
ル組成物)を作り;(3)バストネス石物質(例えば、
(Ce,La)(CO3)F物質)を前記R2+〔A〕/R2 3+〔B〕
ゲル組成物に加え、これによりバストネス石/R2+〔A〕
/R2 3+〔B〕全体反応組成物を作り;(4)バストネス
石/R2+〔A〕/R2 3+〔B〕全体反応組成物をスプレー乾
燥して固溶体物質を作り、そして(5)このスプレー乾
燥から得られる固溶体物質を焼成してバストネス石、R
2+酸化物(例えばMgO)及びR2 3+酸化物(例えばAl2O3
の固溶体を作り、即ちバストネス石/R2+O/R3+O3物質
(例えば、バストネス石/マグネシヤ/アルミナ物質)
を作り、この物質は一般的(Ce,La)(CO3)F/R2+O/R2
3+O3又は(Ce,La)(CO3)F/nR2+O/mR2 3+O3で示され、
そして全体反応組成物の望ましくない元素、例えばR2+
〔A〕、R2 3+〔B〕成分の〔A〕、〔B〕等の成分中に
(及び/又は一塩基酸中に及び/又は液体媒体中に)含
まれているものを、ガスとして追い出し、これによって
バストネス石/金属酸化物物質(例えば、バストネス石
/MgO/Al2O3物質)であって、少なくとも1つのバストネ
ス石の成分と用いた少なくとも1つの金属酸化物物質
(例えば、MgO)が相互に化学的に反応しているものを
製造する。
次に、上述のプロセスの特に好ましい幾つかの具体例
があることを注意しておきたい。それらの内の1つは、
R2+〔A〕成分(例えば、MgO)の一部をバストネス石と
反応させ、次いで得られたバストネス石/R2+〔A〕物質
(バストネス石/マグネシヤ)をR2+〔A〕/R2 3+〔B〕
ゲル組成物に(例えば、マグネシヤ/アルミナゲル組成
物に)加えるという追加のステップを含む。請求の範囲
の言葉で表現されたこの好ましいプロセスは次のことを
含む:(1)R2 3+〔B〕化合物、例えばアルミナ(Al2O
3)を、R2 3+〔B〕化合物のR2 3+成分1gあたり(例えば
アルミナ中のアルミニウム1gあたり)約1.0〜約10.0ミ
リグラム当量の1塩基酸を含む液体媒体、例えば水、中
に分散し、R2 3+〔B〕ゾル物質(例えば、アルミナゾル
物質)を作り;(2)R2+〔A〕化合物の第1の部分を
バストネス石物質に加え、得られたバストネス石/R
2〔A〕物質を熟成させ(例えば、約20〜約180分、好ま
しくは少なくとも60分);(3)R2+〔A〕化合物(例
えば、マグネシヤ)の第2の部分を前記R2 3+〔B〕ゾル
物質に加え、これによってR2+〔A〕/R2 3+〔B〕ゲル組
成物を作り、(4)前記得られたバストネス石/R
2+〔A〕物質を前記R2+〔A〕/R2 3+〔B〕ゲル組成物に
加えてバストネス石/R2+〔A〕/R2 3+〔B〕全体反応組
成物を作り;(5)このバストネス石/R2+〔A〕/R2 3+
〔B〕全体反応組成物をスプレー乾燥して粒子を作り、
そして(6)のスプレー乾燥から得られた粒子を焼成し
てバストネス石、R2+酸化物(R2+O)及びR2 3+酸化物(R
2 3+O3)の固溶体の結晶を作り、即ちバストネス石/金
属酸化物物質を作り、この物質は一般式(Ce,La)(C
O3)F/R2+O/R2 3+O3(又は(Ce,La)(CO3)F/nR2+O/mR2
3+O3)(例えば、(Ce,La)(CO3)F/MgO/Al2O3)で示
され、そして全体反応組成物の望ましくない元素、例え
ば当初のR2+〔A〕、R2 3+〔B〕化合物の〔A〕、
〔B〕等の成分中に(及び/又は液体媒体中に及び/又
は1塩基酸中に)含まれているものを、ガスとして追い
出し、これによってバストネス石/金属酸化物物質であ
って、少なくとも1つのバストネス石の成分と1又はそ
れ以上の金属酸化物物質が相互に化学的に反応している
ものを製造する。ここで再び述べると、より好ましい物
質は、La2O3のようなバストネス石の1成分が、得られ
たバストネス石/金属酸化物物質のR2+O成分(例えばMg
O)と化学的に反応しているものである。この時点で次
のことも注意しておきたい。即ち、本発明者は、バスト
ネス石及び金属酸化物の間で起こる化学反応は、バスト
ネス石のLa2O3成分が、全体のバストネス石/金属酸化
物物質のスピネル様MgOAl2O3成分の結晶格子構造に移転
されているものであるという意見である。
ここに述べるプロセスの最も好ましい具体例は、R2 3+
〔B〕成分としてアルミナを、R2+〔A〕としてマグネ
シヤを用いるものであろう。このR2+アルミナは以下の
方法に従って用いるのが最良である:(1)アルミナ中
のアルミニウム1gあたり約5.0ミリグラム当量の1塩基
酸を含む水中にそれを分散し、(2)マグネシヤ含有化
合物、特にマグネシヤが真の溶液であるもの、を前記ア
ルミナ分散液に混合してゲルを形成し、(3)バストネ
ス石をこのゲルに加え、(4)このゲルをスプレー乾燥
し、そして(5)スプレー乾燥した生成物を焼成する。
この特定の具体例のより一層好ましい変形では次のこと
をするであろう:(1)アルミナ中のアルミニウム1gあ
たり5.0ミリグラム当量の酢酸を含む水溶液中にアルミ
ナを分散し、(2)全体のプロセスで用いられるマグネ
シヤ化合物の約3分の1をバストネス石に加え、得られ
た物質を少なくとも1時間熟成し、(3)全体のプロセ
スで用いられるマグネシヤ化合物の残りをアルミナに加
えてマグネシヤ/アルミナゲルを形成し、(4)バスト
ネス石及びマグネシヤ混合物を前記マグネシヤ/アルミ
ナゲルに加え、(5)このゲルをスプレー乾燥し、そし
て(6)スプレー乾燥した生成物を焼成する。
〔成分の出所〕
本発明の方法は広範な種類の出発物質を用いることが
できる。そのような物質のリストは次のものを含むが、
決してこれらに限られるものではない:(i)R2+成分
はマグネシウム、亜鉛、カルシウム、鉄及びマンガンか
らなる群から選ばれる、(ii)R2 3+成分はアルミニウ
ム、セリウム、鉄、ホウ素、マンガン、ランタン、クロ
ム等(即ち、類似の原子価を有するもの)からなる群か
ら選ばれる、(iii)バストネス石物質は、天然産のバ
ストネス石、処理されたバストネス石(例えば、焼成さ
れた及び/又は酸で浸出されたバストネス石)又は合成
バストネス石様物質(即ち、バストネス石鉱物に比肩し
うる金属酸化物成分の比肩しうる相対的割合のもの)か
ら選ばれる、(iv)1塩基酸は蟻酸、酢酸、又は硝酸か
らなる群から選ばれる、(v)液体媒体は水、アルコー
ル、エーテル、ケトン(特にアセトン)及びこれらの混
合物からなる群から選ばれる。
R2+カチオンと結合される〔A〕アニオンのより一層
好ましい種類は、酸化物、アセテート、ヒドロキシアセ
テート(これらは偶然に、本発明の実施にとって特に有
効なアニオン種である)、ニトレート、ヒドロキシニト
レート、エチレート、エトキサイド及びこれらの混合物
から選ぶことができる。R2 3+カチオンと結合するより一
層好ましいアニオン〔B〕種は、アセテート、ヒドロキ
シアセテート(これらは、ここではやはり特に好まし
い)、ニトレート、酸化物、水酸化物、ヒドロキシニト
レート及びこれらの混合物から選ぶことができる。従っ
て、最も好ましい出発物質としては、得られるR
2+〔A〕化合物がR2+ヒドロキシアセテート、R2+アセテ
ート、R2+ニトレート、R2+オキサイド、R2+ヒドロキシ
ニトレート、R2+アセテート、R2+エチレートからなる群
から選ばれ、R2 3+〔B〕化合物がR2 3+ヒドロキシアセテ
ート、R2 3+アセテート、R2 3+ニトレート、R2 3+ヒドロキ
シニトレート、R2 3+アセテート、R2 3+水酸化物、R2 3+
化物、等からなる群から選ばれるカチオン−アニオンの
組み合わせを挙げることができよう。しかしながら、結
局、最も好ましいR2+〔A〕化合物はマグネシウム
〔A〕化合物(例えば、マグネシヤ)であり、最も好ま
しいR2 3+〔B〕化合物はアルミニウム〔B〕化合物(例
えば、アルミナ)である。
次いでに、次のことも注意しておきたい。即ち、ここ
に述べたプロセスの比較的一般的な具体例を実施するに
せよ(ここではR2+〔A〕成分は分離してバストネス石
と反応させられることはない)、より一層好ましい具体
例を実施するにせよ(ここでは、R2+〔A〕成分(例え
ば、マグネシヤ)の一部が分離してバストネス石と反応
させられ、次いでR2+〔A〕/R2 3+〔B〕ゲルに加えられ
る)、2塩基酸又は3塩基酸が、以下に述べるpH調製の
目的で使用できる。更に、R2 3+〔B〕成分中のR2 3+1gあ
たり(例えば、アルミナ中のアルミニウム1gあたり)約
1.0〜約10.0ミリグラム当量の酸当量(acid equivalen
cy)を与えるような量で酸を使用しなければならない。
有機1塩基酸も無機1塩基酸も、これらの混合物も本発
明者のR2 3+〔B〕分散の目的に使用できる。ここで述べ
たプロセスにおいて用いられる焼成条件の下で分解した
とき残留物を残さない傾向のある1塩基酸が特に好まし
い。この理由で、2つの最も好ましい有機1塩基酸の種
類は酢酸及び蟻酸である。同様な理由で、最も好ましい
1塩基の鉱酸は硝酸である。
〔酸成分のミリグラム当量〕 ここに述べたプロセスは、R2 3+〔B〕化合物中のR2 3+
1gあたり(例えば、アルミナ中のアルミニウム1gあた
り)の酸のミリグラム当量数に影響される−分散液のpH
自体ではなく−ことを発見して、本発明者は、この酸当
量の範囲を定義する目的で実験プログラムを実施した。
このプログラムは、R2 3+〔B〕化合物(即ち、アルミ
ナ)中のR2 3+1gあたり約1.0〜約10.0ミリグラム当量の
1塩基酸を使用すると、広範な種類の出発物質について
最良の全体的な結果を与えることを確立させた。少なく
とも4.0ミリグラム当量の使用、より好ましくは約5.0ミ
リグラム当量の使用は、広範な種類のR2+〔A〕、R2 3+
〔B〕、バストネス石成分−そして特に、バストネス石
/マグネシヤ/アルミナの全体の反応組成物−にとっ
て、特に良好な結果を与える。
ここに述べるプロセスにおいて使用できる酸の性質の
問題について最後のコメントをすると、用語「pH」及び
「ミリグラム当量」(“meq")は、この明細書にとって
相互に区別しなければならない。この区別をするため
に、用語「pH」は、酸の単位体積あたりの水素イオン
(H+)濃度を意味するものと考えるのが有用であろう。
次に、pH条件に影響される多数の化学反応において、ど
んなH+イオン源が使用されるかは、通常重要ではない−
即ち、「pH提供」H+イオンが1、2、又は3塩基酸源に
由来するかどうかは重要ではない。しかしながら、これ
は、本発明のプロセスでは全く当てはまらない。本発明
にとって、1塩基酸源からの「ミリグラム当量」の概念
が全てであり−非常に広範なpH範囲で、本発明のR
2+〔B〕(例えば、アルミナ)分散ステップを実施する
のに用いられる1塩基酸を1.0〜10.0ミリグラム当量使
用することによってどんなpHが生ずるかは特に問題では
ない。本発明の実施のために本発明者が好むアルミナ
は、分散のために1.0〜10.0ミリグラム当量の1塩基酸
が用いられたとき、95%を超える(最も好ましくは、9
8.5%を超える)分散性をそれらが持っていることを特
徴とする。
例えば、この明細書の開示事項によれば、もし、本発
明者が、例えばpH3.0の溶液に分散性アルミナを添加す
る場合において、もしその酸の「価数(valence)」が
分からなければ(即ち、pH3.0を与えている酸が1塩基
酸か、2塩基酸か、3塩基酸か分からなければ)、何が
起こるかはっきりしたことは何も分からない。もし、pH
3.0を作りだした酸が、典型的な2塩基酸である硫酸で
あるときは、アルミナは単にスラリーを生じ、ゾルを生
じないであろう。即ち、それは結局は沈殿し、本発明を
実施するのに適した物質を生じない。一方、適当な量の
1塩基酸、例えば硝酸を使用すれば、早晩ゲル化する使
用可能なアルミナゾルを生じ−それ故、本発明の実施に
よく適しているであろう。換言すれば、この明細書の開
示事項に従って、硫酸を加えることによって、全体の反
応混合物のpH、又はR2 3+〔B〕ゾルのpHを変えることは
できるが、R2 3+〔B〕ゾルを作るのに当初使用した1塩
基酸が不十分な量(例えば、この明細書の例7に記載し
た場合のように)又は過剰な量であるときは、適当な全
体の反応混合物を作ることはできない。次いでながら、
既に酸を有する幾つかの商業的に入手可能なR2 3+O3物質
(例えば、アルミナ粉末)が存在することを申し上げた
い。結局、1塩基酸を既に備えたアルミナの場合には、
本発明の目的に適した分散体を作るためになすべきこと
は、全体的なアルミナ/酸物質を水のような液体媒体に
加え、攪拌することである。換言すれば、もし既にアル
ミナを伴う酸が1塩基酸であり、またもしこの酸が本発
明プロセスを実施するに充分な「グラム当量」を与える
ものであれば、このアルミナは水のような適当な液体媒
体を混合する必要があるだけである。もしそうでなけれ
ば、適当な量の1塩基酸をこのアルミナ分散液に加えな
ければならないであろう。
しかしながら、一旦R2〔B〕化合物(例えば、アルミ
ナ)が1塩基酸の使用によって適正に分散され、組成物
が作られたならば、種々の2及び/又は3塩基酸(1塩
基酸だけでなく硫酸)を用いてR2〔B〕分散体及び/又
は全体としての反応組成物のpHを調節することができ
る。例えば、一旦与えられた全体的反応組成物がこの明
細書の開示事項に従って形成されたならば、その全体的
な反応組成物のpHは、約2.0〜10.0の様々に変化させる
ことができる。そしてこのpH範囲は非常に広範な1、2
又は3塩基酸を用いて達成することができる。実際、ア
ルカリ性の反応体をさえ用いて、このpH範囲のアルカリ
側にpH調節をしてもよい。
これらpHを達成するときに、もし全体の反応組成物の
pHが約2.0より小さくなると、分散されたR2〔B〕粒
子、特に分散されたアルミナ粒子は溶解されてイオンの
形になることを、本発明者は一般に見出したことを述べ
ておきたい。これは本発明方法にとって非常に致命的な
ものであるから、避けるべきである。ついでながら、ア
ルミナゾル系は約6.0〜8.0のpH値では非常に粘稠になる
が、pH値約8.5〜約11.0では再び粘度が下がることを述
べておきたい。次に、上限(pH値11.0)は技術的限度の
性質であるというよりも、実際的な限度の性質から来
る。このことは、本発明の実施に最も好ましいアルカリ
性反応体(もし本当にどれかを使用するとすれば)、通
常pH値約11.0〜約11.5である水酸化アンモニウムの形で
商業的に入手可能であるという事実から来る。ある種の
金属含有アルカリ性反応体、例えばナトリウム、リチウ
ム又はカリウムの水酸化物は、本発明の反応系のいずれ
のpHをも調節するために使用するべきではない。それ
は、これら金属は、得られた触媒物質を「毒する」傾向
があるからである。
次に、本発明のR2 3+〔B〕成分(例えば、アルミナ)
を分散するために必要なH+イオンは種々の種類の酸の
内、1塩基酸から供給できるから、また、そのような各
酸種は異なった分子量を持っているであろうから、本発
明の1.0〜10.0ミリグラム当量パラメーターの中で、な
んらかの更なる「内部調節」が、1塩基酸のある種の他
の特性に基づいて通常秩序立てられるであろう。例え
ば、本発明者がR2 3+〔B〕成分を分散するときに使用す
る最も好ましい酸の分子量は、次のようである。名称 分子量 蟻酸 HCOOH 46 酢酸 CH3COOH 60 硝酸 HNO3 63 塩酸 HCl 36.5 従って、これら種々の酸種の各々から同じ数のH+イオ
ンを供給するためには、各酸の分子量を考慮に入れなけ
ればならないであろう。より具体的な例を挙げるなら
ば、蟻酸46gで供給されるのと同じ数のH+イオンを供給
するためには60gの酢酸が必要であろう。ついでに述べ
るが、一般的な化学用語において、そのような酸の分子
量は、しばしば1グラム当量の酸と見做され、もしそれ
が1塩基酸であれば、この量は1グラムイオンのH+イオ
ンを含むと見做される。従って、定量的に述べれば、そ
のような酸のミリグラム当量は、少なくともこの明細書
においては、1塩基酸の重量×1000/この酸の分子量、
と考えることができる。従って、もし何時も同じ酸を用
いるのであれば、R2 3+O3化合物(例えば、アルミナ)中
のアルミニウムの1gあたりのその酸のgを「グラム当
量」と、そしてその千倍を「ミリグラム当量」と単に指
定することができよう。
「酸当量(acid equivalency)」の概念についての
本発明者の関心に関して注意すべき酸関連概念は、−pH
と異なり−酸の「強度」である。再び、本発明者は、R2
3+〔B〕成分の分散に使用されるH+イオンの数に第1に
関心を持っており、その分散体自体のpHに関心を持って
いない。これに関して、他の概念上の困難は、酸は、溶
液中でそれらが解離している度合が異なるという事実で
ある。説明のために、2つの酸、酢酸及び硝酸を考えよ
う。これらの2つの酸及びそれらのイオンの間に成り立
つ平衡は次のようである: CH3COOH←→H+CH3COO- NHO3←→H+NO3 - 次に、各酸の正確に同じ数のミリグラム当量を取るこ
とはできるが、酢酸は所謂「弱」酸なので、大きな割合
のCH3COOH成分が、H+イオン及びCH3COO-イオン(アセテ
ートイオン)と共存する。一方、硝酸のHNO3は、H+イオ
ン及びNO3 -イオン(ニトレートイオン)とは実質的に共
存していない。従って、これは「強」酸と見做される。
従って、同じ数のミリグラム当量の酸について、硝酸
は、酢酸の供給するよりも多くのH+イオンをアルミナに
供給するであろう。残念ながら、この「強度」効果を正
確に定量する容易な方法がない。従って、この明細書に
おいて、本発明者は用いた1塩基酸の強度について調節
するために、1.0〜10.0ミリグラム当量パラメーターに
頼らざるを得ないのである。しかしながら、一般に、本
発明者は本発明にとって、硝酸及び塩酸は、R2 3+〔B〕
化合物、例えばアルミナを分散する能力においては、通
常酢酸よりも2〜3倍有効であることを見出した。即
ち、この分散作用を行わせるに当たっては、約1meqの硝
酸又は塩酸は、約2.0〜3.0meqの酢酸とほぼ同じ効果を
与えるのである。他の例を挙げると、本発明者は次のこ
とを見出した。即ち、アルミナを分散する蟻酸の能力
は、「弱酸」(酢酸)及び「強酸」(硝酸)によって提
供されるものの間のどこかにある。
ある種の分散性R2 3+O3化合物、特に分散性アルミナを
取り扱うにあたって、H+イオンの数(及びある程度まで
はそれらの濃度)は得られるゾルの粘度に影響するだけ
でなく、種々の度合でクラスター(cluster)のサイズ
及びゾルがゲル化する速度に影響する。1塩基酸成分を
使用することに関する最後の注意として、本発明者は次
のことを指摘したい。即ち、一旦R2+〔A〕及びR
2 3+〔B〕成分を何にするか決めたら(例えば、マグネ
シヤ及びアルミナ)、その特定の物質のバストネス石と
の相互作用は、ある種の特定の1塩基酸の使用によって
更に促進することができるという事である。例えば、本
発明者は、マグネシヤ/アルミナの全体反応組成物を作
るのに酢酸が特に有効であることを確立した。
〔理論的推測〕
1塩基酸が有効なSOx吸収剤/触媒物質を作り、一方
で2又は3塩基酸が作らない理由は、バストネス石のLa
2O3成分が、バストネス石の格子から比較的容易に、最
終生成物物質を作り上げている少なくとも1つの金属酸
化物物質の格子に移動する化学的環境を1塩基酸が作り
だすからであるという意見を持っている。ここに述べる
物質のSOxを吸収し及び/又は触媒する能力の劇的な改
善に対する1つの非常にもっともらしく思われる説明
は、一旦ランタン成分(例えば、La2O3)がバストネス
石格子から離れる(次いでR2O・La2O3化合物、例えばMg
O・La2O3を形成する)と、残りのバストネス石物質は
「ボイド」又は「孔」をその結晶構造体中に作ることで
あるように思われる。本発明者は、そのようなボイドの
存在はSOxのような反応体が、得られたバストネス石/
金属酸化物物質及び/又は得られたバストネス石/金属
酸化物物質の何らかの残りの成分(例えば、バストネス
石のセリア成分)と接触し、これによってこれらがSOx
触媒作用、SOx吸収及びSOx再生条件を提供し、これがこ
れらの物質をSOx添加剤として非常に有用なものとして
いると考えている。ある程度までは、この理由付けは幾
つかの一般的な観察によって支持される。例えば、一般
に、R2 3+ゾルを作っているときR2+O化合物(例えばマグ
ネシヤ)が既にR2 3+化合物(例えばアルミナ)と緊密に
結合していると、バストネス石から金属酸化物へのLa2O
3の移動はさほど顕著でないことを、本発明者は述べ
た。それと同時に、本発明者は、バストネス石格子から
金属酸化物格子へのLa2O3の移動を行う、より効果的
で、従ってより好ましい方法は、R2 3+O3ゾルをバストネ
ス石と混合する前のこのゾルの調製の間に酸当量条件を
調節することであるということを見出した。La2O3をバ
ストネス石から取ってR2+〔A〕成分に(例えば、得ら
れる物質のマグネシヤ成分に)移動させるために特別な
ステップを取ると、本発明プロセスを、通常一層効果的
にすることができる。例えば、R2+〔A〕(例えば、マ
グネシヤ)成分の一部(例えば、R2+〔A〕成分の約20
〜40wt%、最も好ましくは約33wt%)を、バストネス石
をR2 3+〔B〕(例えば、アルミナ)成分と結合させる前
に、バストネス石と反応させるときは、このLa2O3の移
動は特に顕著なようである。
〔成分の相対的割合〕
本発明の最初の「反応生成物」(即ち、R2+〔A〕、R
2 3+〔B〕及びバストネス石)は、最も好ましくは、い
ずれであれ与えられた全反応組成物(即ち、最初の反応
成分プラス液体媒体及び酸成分から作られる組成物)の
約10〜約50wt%であろう。全体の反応混合物中における
相互の関係において、最初の反応成分の相対的割合は、
最終生成物物質における、即ち、バストネス石/R2+O/R2
3+O3粒子における反応成分の相対的割合に等しくないで
あろう。これは、液体媒体及び殆ど全ての酸成分は、こ
こに記載したプロセスのスプレー乾燥及び焼成ステップ
の間に完全に追い出されるからである。いずれにせよ、
与えられた全体の反応混合物における諸成分の相対的割
合は、最も好ましくは、この全体のプロセスの最終生成
物が「乾燥した」(即ち、焼成された)最終生成物の状
態(例えば、MS−FCC粒子)にあるとき、バストネス石
が最終諸成分の約5%〜約50%を構成するようなもので
ある。全体のバストネス石/R2+O/R2 3+O3最終生成物のR
2+R2 3+O3(例えば、MgOAl2O3成分)は、もし他の成分が
何も使用されていないならば、本発明者の最終生成物質
の残りの全部の50〜95wt%を構成する。最終生成物質の
一部となるどんな任意のSOx触媒物質(例えば、セリ
ア)もそれらが前記最終生成物質の約10.0wt%未満とな
るような割合で用いられるべきである。
製造プロセスを高めるために使用されるどんな任意の
成分(例えば、粘度調整剤、ガス発生剤、等)も、もし
いずれかが使用されるならば、与えられた全体の反応混
合物の約5〜約25wt%を構成することができる。より好
ましくは、そのような任意の製造成分は、もし使用され
るならば、全体の反応混合物の約10%を構成するであろ
う。殆どの場合、製造プロセスを高めるために使用され
るこれらの任意成分は、本発明者のスプレー乾燥及び焼
成ステップによって殆ど完全に追い出される。また、相
対的な割合に関する問題で更に他の注意として、本発明
者は次のことを指摘しておきたい。即ち、一般に、ここ
に述べたプロセスの1塩基酸成分は、この発明を実施す
るための1.0〜10.0ミリグラム当量の要請を満たすため
に、与えられた全体の反応混合物の約1.0〜約10.0wt%
のみを含むであろう。これらの1塩基酸は、同様に、本
発明者の焼成ステップで実質的に追い出されるであろ
う。しかしながら、この1塩基酸についての1.0〜10.0w
t%の範囲は酢酸マグネシウムのようなある種の可溶性
マグネシヤ化合物を作るのに使用される全ての酸を勘定
に入れていない。この酢酸マグネシウムはMg〔B〕物質
を作るのに使用されており、この場合マグネシウムは真
の溶液の中にある。しかしながら、この場合、再び、全
ての酢酸マグネシウムを構成する酸は、本発明者の焼成
ステップの間に完全に追い出される。
液体媒体は、最も好ましい全体の反応組成物の残りの
50〜90wt%の殆どを構成するであろう。即ち、液体媒体
は、最も好ましくは、次のものの全重量の50〜90%を構
成するのが最も好ましい:(1)主たる反応成分(及
び、もし使用されていれば、任意成分)、(2)1塩基
酸、及び(3)液体媒体。従って、例えば、40wt%の反
応成分R2+〔A〕、R2 3+〔B〕反応成分及びバストネス
石並びに10wt%の酸及び揮発性の任意成分は、本発明者
の好ましい割合に従えば、50wt%の液体媒体、例えば
水、アルコール、等(もし全体の反応組成物中において
比較的少量の1塩基酸成分の重量を無視するならば)を
含むであろう。再び、殆どの酸、殆どの揮発性任意成分
(例えば、ガス発生剤、粘度調節剤、等)及び殆ど全て
の液体媒体はスプレー乾燥及び焼成ステップで揮発する
という事実について調節し、R2+〔A〕及びR2 3+〔B〕
成分の〔A〕及び〔B〕成分は焼成プロセスの間に酸素
で置き換えられるという事実について調節するならば、
最初の全体の反応混合物は、おそらく10wt%の揮発性任
意成分、10wt%のバストネス石、40wt%の金属酸化物成
分、及び50wt%の水(及び少量の酸)が焼成されて、最
終の「乾燥重量」生成物を生じ、これは約20%のバスト
ネス石及び約80%の金属酸化物物質からなる。
更に他の例を挙げると、もし上に挙げた主たる反応成
分が、全反応混合物の40wt%であり、その反応成分の50
wt%がバストネス石であるときは、得られた全反応混合
物は、バストネス石(20%)、R2+〔A〕及びR
2 3+〔B〕(20%)、任意で揮発性の成分(10%)及び
液体媒体(50%)からなるであろう。この全体の反応混
合物を焼成し最終生成物にすれば、これは約50%のバス
トネス石、25%のR2+〔A〕及び25%のR2 3+〔B〕を含
む。これは、本質的に全ての他の成分がスプレー乾燥及
び焼成過程によって最終的に追い出されるからである。
成分の相対的割合に関して、本発明者はR2+/R2 3+濃度
(即ち、マグネシヤ/アルミナ)をR2+対R2 3+の原子比
として表すことを好むということを申し上げたい。即
ち、マグネシヤ/アルミナ系の場合においては、Mg/Al
原子比1.0は50%のマグネシヤリッチ(rich)の物質で
あるだろう。いずれにせよ、本発明者の実験プログラム
によれば、このR2+/R2 3+比は約0.5(化学量論的比)〜
約1.5であり、約1.0が非常に好ましい。本発明者は、つ
いでに、先行技術の幾つかはこの比を超えてはならない
ということを教えていることを述べておきたい。しかし
ながら、本発明者は、化学的に反応させたバストネス石
を使用すると、この比較的高い値を用いることができる
ことを見出した。実際、本発明者はしばしば、最も好ま
しい比は1.0より高いところにあることを見出した。
再び、これら物質のバストネス石成分についての好ま
しい割合の範囲は、得られるバストネス石/金属酸化物
物質の約5〜約50%である。最終生成物質における最も
好ましいバストネス石の量は、通常約33%であろう。バ
ストネス石及びR2O成分(例えば、マグネシヤ)を予備
混合するとき、特にマグネシウム化合物がアセテート又
は硝酸塩の形であるときは、本発明者は最終生成物に望
みの比を達成することを望む。そして、最終生成物にこ
の比を得るために、バストネス石と共に用いられる全マ
グネシウムの約5〜約50%を予備混合する。その後、得
られたマグネシウム/バストネス石組成物をアルミニウ
ム化合物(例えば、アルミナ)及びのこりのマグネシウ
ム化合物からなる組成物に加える。
〔スプレー乾燥操作〕
本発明者のスプレー乾燥操作は触媒製造技術分野で周
知の技術によって実施することができ(例えば979特許
に開示されたものは用いて非常に良好である)、FCCプ
ロセスに使用するための粒子を作ることができる。例え
ば、そのようなスプレー乾燥を用いて、本質的に全ての
粒子が標準U.S.200メッシュ篩に保持され、本質的に全
ての粒子が標準U.S.60メッシュ篩を通過するような粒度
範囲を持った粒子を作ることができるであろう。最終生
成物の他の物理的な形(例えば、比較的大きな粒子又は
ペレット)は、一般にさほど好ましくないが、ある種の
特定の場合、例えばバストネス石/結晶性金属酸化物最
終生成物質が流動床接触プロセスで用いられないとき、
有用になるであろう。
〔任意の乾燥過程〕
スプレー乾燥ステップに加えて、スプレー乾燥ステッ
プから自然に得られる乾燥の後に実施される別個の乾燥
ステップを使用することによって、本発明者の全体のプ
ロセスは促進されるであろう。例えば、979特許に教え
られているような追加の乾燥過程を用いることができ
る。そのような追加の乾燥は、それらが当初に全体の反
応組成物中に存在した均質な状態に、諸成分をよりよく
「凍結する」の役立つであろう。この追加の乾燥は、こ
の粒子の隙間に未だ存在し、及び/又はスプレー乾燥ス
テップの粒状生成物と結合し(例えば、水和水として結
合し)ているであろう全ての残留する痕跡量の液体媒体
を更に除くのに役立つであろう。この別個の乾燥ステッ
プの乾燥時間は、通常約0.2〜約24時間かかり、温度
は、好ましくは、約93.3℃〜約260℃(約200゜F〜約500
゜F)(大気圧下で)であるが、いずれの場合にも、用
いた液体媒体の沸点より高い温度(例えば、水の場合10
0℃(212゜F)より高い)である。
〔焼成過程〕
そのような乾燥と脱水−もしそのようなステップが用
いられていればの話であるが−の後、残っているのはス
プレー乾燥によって得られた無水の粒子の固体マトリッ
クスを取り出し、焼成ステップによりR2+〔A〕及びR2
3+〔B〕成分のR2+及びR2 3+等の成分をそれらの酸化物
形、例えばR2+O、R2 3+O3等に転化することである。事実
上、この焼成ステップは〔A〕及び〔B〕成分を追い出
し、これらを酸素で置き換え、これによってR2+及びR2
3+等の成分の酸化物の形のみを有する最終生成物を作り
だす。この焼成ステップは、得られるバストネス石/結
晶性金属酸化物物質の「望ましい」成分を除く全てをガ
ス状酸化物として追い出す。例えば、この焼成ステップ
は、全反応混合物の液体媒体、酸、粘度調整剤及びガス
発生剤成分を追い出すであろう。そのような焼成は、ス
プレー乾燥ステップの−又は任意の脱水ステップの−生
成物を約538℃〜約1093℃(約1000゜F〜約2000゜F)で
(好ましくは大気圧下で)約60分〜約240分、最も好ま
しくは約732℃(約1350゜F)で約180分加熱することに
より容易に達成される。しかしながら、触媒粒子はそれ
らの融解温度に上げるべきではない。
〔他の任意の過程〕
先に述べたように、1又はそれ以上の粘度調整剤及び
/又はガス発生剤を最初の、全体反応混合物に加えるこ
とができる。そのような粘度調整剤は、全体の反応組成
物が蒸発を行っている間に最初の全体反応組成物中に存
在する均質に分散した諸成分を「凍結する」のを助ける
のに使用され得る。事実上そのような粘度調整剤は、反
応混合物の粘度を上げ、これによって、それらが全反応
組成物の液相中に全体として懸濁している間に反応成分
種の可動性を下げることによって、反応の動力学プロセ
スを抑制する(inhibit the process reaction kin
etics)。換言すれば、そのような物質は蒸発を行って
いる全反応組成物に、ある種の望ましくない化学反応
(例えば、化学量論的スピネルの形成)が起こる前に固
体マトリックスを形成するよりよい機会を提供すること
ができる。この目的のために、澱粉及び/又はアラビヤ
ゴムが特に好ましい粘度調整剤である。広範な種類の公
知のガス発生剤を、焼成の間にガス(例えば、〔A〕及
び〔B〕成分から形成されるもの)の発生を盛んにする
ために全反応組成物に、同様に加えることができる。再
び、これらの粘度調整剤及び/又はガス発生剤は、本発
明者の焼成ステップで追い出されるであろう。
ここに述べたプロセスの他の好ましい変形は次のもの
を含むであろう:(1)非有機増粘剤、例えばアルミナ
(即ち、他にマグネシヤ、アルミナ、バストネス石の全
体反応組成物に用いられるアルミナに加えて用いられる
アルミナ)の使用、(2)反応組成物がスプレー乾燥機
に送られる前にこの反応組成物の固体含量を調節するこ
と、(3)R2 3+O3ゾル(例えば、アルミナゾル)を、他
の成分と反応させるためにこのゾルを熟成すること。
最後に、種々の金属原子、例えばパナジウム、セリウ
ム、白金等も、この明細書に記載したプロセスによって
製造されるバストネス石/結晶性金属酸化物物質と結合
させることができる。例えば、この結合は、これら成分
を、主たる「反応性成分」(R2+〔A〕、R2 3+〔B〕及
びバストネス石)に直接加えることにより、又はこの明
細書のバストネス石/スピネル生成物をこれらが形成さ
れた後含浸させることにより、又はセリア含有粒子及び
バストネス石/スピネル粒子を触媒製造の技術分野で周
知の種々の触媒バインダー物質の使用により「相互に接
着した」複合粒子を形成することにより、達成すること
ができる。そのような技術の一層特別な例を挙げれば、
シュウ酸中の五酸化バナジウムV2O5を本発明者の得たバ
ストネス石/結晶性金属酸化物物質に浸漬することがで
きる。得られたバナジウムで浸漬したバストネス石/結
晶性金属酸化物物質を、次いで、約121℃(約250゜F)
で約60〜約240分再乾燥し、次いで約732℃(約1350゜
F)で約180分再焼成する。この焼成により、このシュウ
酸はCO2及び水蒸気に分解し、これらはガスとして追い
出され、バナジウムを触媒活性なVO2 +イオンの形で残
す。そのような含浸法によって作られるバストネス石/
結晶性金属酸化物物質は、約0.5〜約4wt%のバナジウム
を含有し、約2wt%が特に好ましい割合である。
〔任意のゴール、複合金属の濃度の件〕
強制的ではないが、1つの任意の、そして好ましい、
ここに述べたプロセスのゴールは、望ましくない複合化
合物、例えば自由酸化マグネシウム及び/又は化学量論
的スピネルの含量が5wt%未満であるバストネス石/金
属酸化物物質を作ることである。このことは、この物質
がSOx吸収剤及び/又は触媒として使用されるべき場合
に、特に本当である。好ましくは、本発明者のバストネ
ス石/金属酸化物物質はより少ない複合化合物濃度を有
するであろう。従って、この明細書において、本発明者
の次の表現:バストネス石/結晶性金属酸化物物質中に
望ましくない複合化合物が「殆どない」とか、そのよう
な化合物が「実質的にない」とか、そのような複合化合
物が「無い」、「少量」、「最小量」存在するバストネ
ス石/金属酸化物物質等の表現、は、そのような望まし
くない複合金属酸化物化合物を約5wt%未満有するバス
トネス石/結晶性金属酸化物物質を意味するものと解す
ることができる。
しかしながら、こう言ったからといっても、次のこと
を強調したい。即ち、979特許に記載されたスピネル物
質の場合と異なって、複合化合物濃度を5%又はそれ以
下にすることは、この明細書の教示の下では有効なSOx
吸収剤/触媒物質の製造に本質的ではない。実際、5wt
%より多くの(そして約10wt%までの)そのような複合
金属酸化物を有するバストネス石/金属酸化物物質は、
やはり本発明の教示及び/又は精神の範囲内に充分入る
のである。即ち、−979特許に記載されたスピネルと鋭
く対照的であるが−5%より多くのそのような複合化合
物を有するバストネス石/結晶性金属酸化物物質は、そ
れにも拘わらず、非常に有効なSOx吸収剤/触媒物質で
ある。実際、本発明者は、そのようなバストネス石/金
属酸化物物質は、通常、979特許のプロセスで作った5
%未満の複合化合物を有する類似のスピネルよりも有効
であることを見出した。しかしながら、実際、約5wt%
未満の複合化合物を有する本発明のバストネス石/結晶
性金属酸化物物質は、しばしばそのような複合金属酸化
物化合物を5%より多く有するバストネス石/結晶性金
属酸化物物質よりも良いSOx吸収触媒物質であることは
確かである。実際、この特許文書の図1及び2を比較す
れば、バストネス石を場合によっては「自由MgO」と化
学的に反応させることを示唆している。即ち、図1の自
由MgOのピークは、これがバストネス石と化学的に反応
していれば、この物質のXRDパターンから殆ど消えてい
る。この観察は、本発明者の理論、即ち、生起している
化学反応の内で最も尤もらしく思われるものは、バスト
ネス石のLa2O3成分がスピネル様物質の酸化マグネシウ
ム成分と反応しているものであるという理論と一致して
いるようである。SOx添加剤として、そのXRDパターンが
図1及び2に描かれた2つの物質のSOx添加剤としての
相対的な性能は、本発明者が先に述べた、SOx触媒一般
中に自由MgOのような複合化合物が存在することに反対
する「見解」を支持するように見える。
本発明者の化学的に反応させたパストネス石成分は、
得られたバストネス石/結晶性金属酸化物物質の結晶性
構造体の一体的な一部となるかも知れず、ならないかも
知れないと言うことも強調したい。即ち、1又はそれ以
上の本発明者のバストネス石成分(例えばLa2O3)は、
1又はそれ以上の、得られる物質の金属酸化物物質(例
えば、MgO、Al2O3、等)と化学的に反応するとしても、
それ(ら)は、必ずしも得られた物質の規則的な結晶性
構造体の一体的な部分となるとは限らないのである。
現在のところ、本発明者のX線回折(XRD)データ
は、化学的に反応したバストネス石のいずれかの部分
(例えば、La2O3)が、与えられた金属酸化物物質の結
晶構造内の規則的な反復単位の一体的な部分になってい
るか否か;又は反対に、そのような成分(例えば、La2O
3)が単に前記金属酸化物物質中に分散して、その格子
構造の一部になっていない−「自由マグネシウム」酸化
物がスピネルの結晶格子構造体中に緩く分散している状
態で−(この種の緩い分散を防ぐための手段(例えば、
979特許に教えられているようなもの)が取られていな
いとき)のか否か、に関する疑問に対してはっきりした
答えを持たない。換言すれば、化学的に反応したバスト
ネス石(又はバストネス石の一成分、例えばLa2O3
は、実際に、得られた物質の全体的な結晶性構造の規則
的な反復単位にならないで、結晶性金属酸化物中に分散
しているかも知れない。
一方、バストネス石(又は特定のバストネス石成分、
例えばLa2O3)は、全体としてのバストネス石/金属酸
化物物質内で、得られた酸化物の(例えば、マグネシヤ
の)結晶構造の規則的な部分を形成しているかも知れな
い。再び、現在のところ、本発明者は、起こった化学反
応は本質的にバストネス石と、得られたバストネス石/
金属酸化物物質の全体的な金属酸化物成分のR2+O成分
(例えば、MgO)との間の化学反応であるという慎重な
意見である。しかし、本発明者は、バストネス石とR2 3+
O3成分(例えば、Al2O3)との反応、又はバストネス石
もしくはその特定の成分と、全体物質の内の全体的R2+O
/R2 3+O3(例えばMgO/Al2O3)結晶性金属酸化物成分との
反応の可能性を完全に排除するものではない。これら全
てが何であれ、大量の実験的証拠(例えば、X線回折、
熱重量分析及び流動接触クラッキングパイロットプラン
ト)は、バストネス石と、少なくとも1つの金属酸化物
成分(例えば、マグネシヤもしくはアルミナ)及び/又
は全体的な結晶性金属酸化物分子(例えば、マグネシヤ
/アルミナ結晶性物質)との間に、実際、何らかの種類
の化学反応が起こっていることを明らかに示している。
図面の簡単な説明 図1は、Mg/Al原子比が1に等しいスピネル物質のXRD
パターンを描いている。
図2は、そのXRDパターンが図1に描かれているスピ
ネルを本発明の方法に従ってバストネス石と化学的に反
応させたときに得られる物質についてのXRDパターンを
描いている。
図3は、粒度1000nmのアルミナ出発物質を用いて作っ
たバストネス石/スピネル物質についてのXRDパターン
である。
図4は、異なった量のミリグラム当量の酸/アルミニ
ウムグラムを用いて調製したアルミナゾルを用いて作っ
た2つの調合物(セリアの含浸されたスピネル及びバス
トネス石/スピネル物質)についてのXRD強度比のプロ
ットである。
図5は、セリアSOx触媒を含浸したスピネル対本発明
に従って作ったバストネス石/スピネルのSOx吸収性能
の比較を描いている。
好ましい態様の説明 〔化学的に反応させた実験プログラム、バストネス石/
結晶性金属酸化物物質の性質及び使用〕 本発明者の種々の実験プログラムは次のことを確立し
た:(1)バストネス石と、これらのプロセスに使用さ
れた1又はそれ以上の金属酸化物成分(例えば、R2+O及
び/又はR2 3+O3)との間に−又はバストネス石と、全体
としてのバストネス石/金属酸化物物質の全体的金属酸
化物成分(即ち、R2+OR2 3+O3成分、例えばMgOAl2O3)と
の間に、化学反応が実際に起こっていること、(2)得
られたバストネス石/結晶性金属酸化物物質中の複合化
合物、例えば自由酸化マグネシウム、化学量論的スピネ
ル等の存在は、いずれにせよこれら物質のSOx吸収能力
/触媒能力にとって致命的ではない(例えば、979特許
に教示されているスピネルのそれらに比べて)が、それ
にも拘わらず、SOx吸収剤/触媒物質としてのここに記
載された物質のより大きな有効性のために最小にすべき
であること、(3)バストネス石と結晶性金属酸化物物
質が単に混合している、即ち触媒バインダー物質の使用
によって相互に「接着されている」(化学的に反応して
いるのではなく)マトリックスは、バストネス石が得ら
れた物質の少なくとも1つの金属酸化物成分と実際に化
学的に反応している本発明者のバストネス石/結晶性金
属酸化物物質に比べて、SOx吸収剤/触媒物質として遙
かに有効性が低いこと、(4)SOx吸収剤及び/又は触
媒に関して、広範な種類の先行技術の物質に対して本発
明者の物質は非常に大きな相対的な優位性を持っている
こと、(5)本発明者のバストネス石/結晶性金属酸化
物物質はSOx吸収剤/触媒反応以外の化学反応における
別個の触媒として作用する能力があること、(6)ここ
に述べたバストネス石/金属酸化物はSO2のSO3への酸化
を触媒し、それを他の全く異なった触媒によって(例え
ば、アルミノシリケート炭化水素クラッキング触媒によ
って)吸収させる能力、(7)バストネス石と、他の成
分、例えばR2+〔A〕及びR2 3+〔B〕との間の反応を達
成するのに用いうる酸当量条件の性質と範囲、(8)バ
ストネス石と金属酸化物との間の化学反応の可能性−バ
ストネス石の格子からのLa2O3の、全体としての得られ
た物質の得られた金属酸化物成分の格子への−最も可能
性の高いのは得られたバストネス石/結晶性金属酸化物
物質の全体的なR2+OR2 3+O3(例えば、MgOAl2O3)成分の
R2O(例えば、MgO)成分の格子への、可能性のある移
動、並びに(9)ここに述べたバストネス石/スピネル
物質が、それらが他の触媒と混合されたとき−粒子の混
合物としてであれ、複合粒子としてであれ−SOx添加剤
の機能を発揮する能力。
〔代表的なTGA試験〕
SOxの種々の実験添加剤への吸収速度の測定は、修正
した熱重量分析装置(TGA)によって行った。そのよう
な試験に用いた装置はマイクロコンピューターを連結し
たPolymer Laboratories STA 1500(商標)熱重量分
析装置から成っていた。一般的に言えば、与えられたサ
ンプルの約10ミリグラムを、磁器サンプルボートに乗
せ、種々の条件で加熱した。SOx吸収量は、SOxの導入が
開始された時点での重量に対して規格化した。用いたSO
2混合ガスの組成は、通常、1000ppmのSO2、5%のCO2
1%のO2で残りが窒素であった。これらのTGA試験は、
大規模のFCCパイロットプラントにおいて実施された一
連の実験と共に、本発明者のバストネス石/金属酸化物
(例えば、バストネス石/スピネル物質)のFCC再生器
の煙道ガスからSOxを除くことについての有用性及び/
又はそれらのFCCユニットでの持続した使用のための
「再生される」能力、を確立した。種々のX線回折測定
と組み合わせて考察したとき、これらのTGA及びパイロ
ットプラント試験は、本発明者を次の結論に導いた:バ
ストネス石とスピネルとの間に化学反応が起こっている
こと、及び、この反応がないときは、他の点では全く同
じ成分が、それらのSOx吸収剤の性質/触媒の性質に関
して非常に急速に「老化」するか又は失活する。
本発明のより重要な試験結果の幾つかに付いての議論
を始める前に、生じている最も重要な反応に関する二三
の基礎的な詳細をよりよく理解することは有用であろ
う。この目的のために、最初に次の化学反応を考える: (1)SO2 +1/2O2→SO3 速度R−1 (2)SO3 +MO →MOSO4 速度R−2 (3)MOSO4+H →MO+H2S 速度R−3 次に、これらの化学反応を評価するにあたって、本発
明者は、これらのプロセスの相対的反応速度を決定する
のに最も関心を持った。実際において、反応(1)及び
(2)は、FCC再生器中で、それぞれR−1及びR−2
の速度で起こる。還元反応(3)は、FCC反応器中で反
応速度R−3で起こる。反応(1)は二酸化硫黄の三酸
化硫黄への転化に関する。再び、二酸化硫黄は三酸化硫
黄に転化されて始めてガス流中の硫黄分は吸収され、こ
の流れから除かれる。反応R−2は、一旦SO3が形成さ
れると、その吸収に最も関係がある。一般的に言って、
本発明者は反応R−1の速度、SO2のSO3への表面で触媒
された酸化の速度は、上述の一連の反応において、「支
配的な」反応である。例えば、これらの異なった諸反応
を検討してみて、本発明者は、ここに記載した物質につ
いては、R−2吸収速度はR−1触媒反応速度よりも一
般に速い(即ち、吸収速度は、SO2ガスのSO3ガスへの表
面で触媒された酸化の速度よりも速い)ことを見出し
た。これらのR−2吸収反応を考察して、本発明者は、
与えられたSOx吸収物質の全体的な「捕捉容量」−SO3
スが上記吸収物質と反応する速度ではなく−より重要な
ファクターであることを見出した。
第三の反応速度R−3は、SOx吸収物質中で形成され
た金属硫酸塩が還元されてその金属酸化物(MO)の形に
返ることを含む。再び、反応(3)は、FCCユニットの
再生器中でよりもむしろ、FCC反応器中で起こる。いず
れにせよ、本発明者は、反応R−3が遅いときは、これ
は「恒久的な」金属硫酸塩が、SOx触媒中に形成される
ことを意味することを見出した。結局、この吸収剤は−
そのSO3吸収能力又はそのSO2のSO3への転化能力の喪失
を通じて−そのSOxを吸収する能力を落とす。
全体的な実験プログラムの一部として、本発明者は、
また、SO2のSO3への酸化の高い速度を与えることのでき
ることの知られていた別個のSOx触媒(例えば、セリウ
ム、バナジウム)を有する高速度のSOx吸収を発揮する
ある種の物質も加えた。例えば、そのような目的に、セ
リアを含浸させたセリア粒子又はスピネル粒子を用い
た。本発明者は、SOx触媒速度(R−1)が高められる
と、好ましさの比較的低いSOx吸収剤でも大量のSO3を捕
捉することができる(例えば、それらは、先行技術の及
び/又は商業的に入手可能なSOx吸収剤によって捕捉さ
れるSO3よりも多くのSO3を捕捉した)ことを常時見出し
た。
〔FCCパイロットプラント老化の検討〕
本発明者の用いたパイロットプラントは反応器、スト
リッパー及び再生器からなっていた。触媒は、反応器−
ストリッパー及び再生器の間を連続的に循環した。この
反応器中で、この循環する触媒は炭化水素供給原料と接
触した。触媒の表面で起こる反応、所謂「クラッキング
反応」の結果、この触媒は「コークス」沈着物で汚れ、
このコークスは硫黄汚染物も含んでいた。このコークス
の付着した触媒はストリッパーに送られ、ここでそれは
スチームと接触させられて同伴した炭化水素を除かれ
る。次いで、このストリップされた触媒は再生器に流れ
ていき、ここで空気と接触してコークス沈積物を燃焼除
去して触媒活性を回復する。コークス沈着物の一部であ
る硫黄が燃焼されて二酸化硫黄になるのはこの時点であ
る。これらの実験の一部として、煙道ガス中の二酸化硫
黄はSOx分析器で連続的に記録された。
本発明者の行った典型的な実験において、FCCパイロ
ットプラントは、最初に、SOxを除くような添加剤を含
まない触媒から出発した。装置の運転が安定し、煙道ガ
スのSOx含量が確かめられた後、試験しようとする添加
剤を循環触媒流中に注入した。使用した添加剤の通常の
量は、循環する滞留物の中の触媒の1wt%であった。次
いで、この煙道ガスのSOx含量を48時間まで監視した。
一方、もしこの添加剤が煙道ガス中のSOxを除かなかっ
た場合は、この実験は二三時間以内に終了した。一般
に、実験添加剤を試験した後、実験添加剤と同じ条件で
公知の性能の標準的な添加剤を試験した。これを行った
のは、同じ炭化水素供給原料又は触媒を毎回の実験で使
用するのは必ずしも実際的ではなかったからである。
幾つかの典型的なパイロットプラントの結果を以下に
示す: 表 1 サンプルの説明 除去されたSOx、wt% セリア/スピネル 90 化学的に加熱した 92 バストネス石/スピネル セリア/スピネル 80 バストネス石/スピネルの 10 物理的混合物 ここに述べたプロセスによって製造した物質のSOx
能は、はるかに高価なSOx吸収剤/触媒物質、例えばセ
リアを含浸したスピネルに比肩しうると言うに止めてお
こう。本発明者の化学的に反応させたバストネス石/ス
ピネル物質は、バストネス石とスピネルの物理的混合物
よりも遙かに有効なSOx添加剤であった。この事実は、
そのようなバストネス石/スピネル混合物を多数の吸収
/再生サイクルを通して走らせた後、明らかとなる。こ
の効果をより一層検討するために、本発明者は後に述べ
る一連の大規模なFCCパイロットプラント試験を行っ
た。ここでは、広範な種類のSOx吸収剤/触媒物質を繰
り返し使用し、再生した。
この種のパイロットプラントデータの提示の他の方法
として、同じスピネル物質を用いたセリアを含浸したス
ピネル対化学的に反応させたバストネス石/スピネル物
質のSOx吸収能力の比較を図5に示す。両方の物質を繰
り返し使用し、40時間にわたって再生した。そのような
試験はSOx「放出」に基づいている。これは、FCC試験ユ
ニットで加工された新しい供給原料物質の1000バレルあ
たり放出されるSOxのキログラムとして表す。例えば、
図5に示すデータは本発明者の化学的に反応したバスト
ネス石/スピネル物質の1つについての曲線(即ち、曲
線A○−○−○)は、この試験の全40時間の期間に亘っ
て、常にセリアを含浸させたスピネルについての曲線
(即ち、曲線BΔ−Δ−Δ)の直ぐ上に横たわってい
る。このことは、本発明者のSOx吸収剤は遙かに高価な
セリア含浸スピネルと殆ど同じ性能を示したことを意味
する。ついでに、図5に与えられた「ベースライン放出
100kg/mbbl」なる表現は、比較の目的で、大量のFCC触
媒滞留物中に何らのSOx触媒も用いないときは、1000バ
レルの供給原料あたり100kgのSOxを得ると予想されると
いう、任意の、しかし広く使用されている工業的な標準
的な意味をもった名称であることを述べておこう。
次に、本発明者の他の実験によれば、バストネス石
は、それ自体では、それをFCCユニットに最初の数回の
通過の後に持続的なSO3吸収能を殆ど示さないというこ
とが明らかとなった。例えば、例7の過程で製造された
物質は(これは1塩基酸の充分なミリグラム当量数を持
たないことを特徴とする)、長期間の結果は悪いもので
あった。実際、製造された物質は、それらがバストネス
石とスピネルの物理的混合物で、バストネス石/スピネ
ル物質の化学的に反応したものではないかのように行動
した。ついでに、米国特許No.4311581(「581特許」)
に記載されたプロセスについてのデータは、バストネス
石はSO3ガスと金属硫酸塩生成物を一旦形成すると、そ
れは再生できないということに関する本発明者の観察を
確認する傾向があることを述べておきたい。例えば、58
1特許のデータは、SOxを80%還元するためには、15wt%
のバストネス石がバルクの(bulk)触媒中に存在しなけ
ればならないことを示している。これは本明細書の例5
に記載された添加剤と鋭い対照をなす。この例において
は本発明者の化学的に反応させたバストネス石/スピネ
ルSOx添加剤の1つをたったの1wt%使用したバルク触媒
の使用によってSOxの平均約90wt%の減少が達成されて
いる。実際、その性能が図5の曲線に描られたSOx添加
剤はたったの30%のバストネス石を含んでいただけだっ
た。結局、バルク触媒滞留中のバストネス石の濃度は、
581特許に記載されたプロセスに使用された15%に比べ
てたったの0.3%であった。従って、一緒に考慮すれ
ば、これら種々の試験結果は、バストネス石はSOxを除
去するのに優れた初期活性を有するかも知れないが、非
常に老化が速いので、バストネス石を許容できる速度で
連続的にSOxを除くのに使用できるのはそれを大量(例
えば、15%)使用したときにのみ可能であり、それも比
較的短期間である。例7で製造された物質についてのX
線回折データは、スピネルとバストネス石との間の化学
的相互作用は最小であるか又は存在しないことを強く示
した。結局、そのバストネス石成分は非常に急速に老化
し、そのSO2のSO3への転化能力を失った。従って、この
物質の全体としてのSOx除去効率は全く乏しかったので
ある。
〔XRD試験〕
X線回折(XRD)法は、勿論周知である。従って、こ
の明細書のために、ある切断平面に沿った明瞭な「視野
の道(avenue of sight)」を以て原子の列が整列し
ている種々の角度で、結晶格子中に整然としたぎっしり
詰まった原子の列が見えると、簡単に述べるだけで足り
る。即ち、全ての結晶は、3次元において、3つの異な
った軸の観点から「観察する」ことができる。そしてそ
のような道(avenues)の識別は、各3つの軸の各々に
沿った任意の原点から間隔をあけられた原子を勘定する
ことによって行うことができる。そのような平面は3つ
の指数、例えばA,B,C,又はX,Y,Z等で、ある値、2、
5、7、又は4、4、0(これは略して“440"とされ
る)等で識別できる。X線回折試験を行うのに、対象と
なる結晶は、適当な波長のX線が格子によって回折さ
れ、結局、そのようなX線についての検出できる「ピー
ク」を示す平面が観察されるまで、回転される。X線回
折ピーク平面についての臨界的な測定は、結晶の回転角
度である。実際、これらの変数の間に存在するある種の
数理的な関係の故に、そのようなピークは、回転角度で
ある2シータの横座標に対してプロットされた縦座標の
強さとして観察される。従って、そのようなX線回折パ
ターンは、回転角に対応するある種の重要な線を表すも
のと考えることができ、この角度は通常、格子面間隔d
(A)又は2−シーターd間隔、又は2−シータ
(θ)、又は単に「2−シータ値」と指定される。
いずれにせよ、本発明者がこの種のX線回折測定を行
ったのは、望ましい化合物(例えば、バストネス石)又
はバストネス石から引き出された化合物(例えばLa
2O3)又は「望ましくない」化合物(自由酸化マグネシ
ウム)が与えられた物質の結晶格子構造に結合している
度合いを試験するためであった。XRD試験は、本発明の
方法で作られた最終生成物質の正確な分子構造を確立す
る試みのためにも用いた。即ち、本発明のプロセスによ
って調製された種々の物質を、X線回折により、それ自
身で及び他の公知の製造方法と比較することにより及び
/又は商業的な源から得られるある種のSOx吸収剤/触
媒物質との比較によって、検討した。この種のXRDの証
拠は、本発明者のLa2O3移動理論を確認する傾向がある
が、決定的に証明するものではない。例えば、ここに述
べたプロセスによって、XRDにおける種々の物質の2θ
値に大きなシフトが起こることが認められた。このシフ
トは、R2+OR2 3+O3格子系の格子へのLa2O3の移動による
もののようである。この仮説は、本発明者がその走査電
子顕微鏡(SEM)の実験において得た結果を支持するよ
うにも見える。いずれにせよ、これらの実験は、当初は
バストネス石中に見られた少なくとも1つの希土類元素
(例えば、La)の多量が、恐らく最終生成物質の結晶性
金属酸化物成分中に移動することを示した。
本発明者の全体の実験プログラムは次のことを確立し
た。即ち、もし与えられたスピネル物質についての出発
Mg/Al比が知られており、その物質についての2θ値が
知られているならば、本発明者は最終生成物質の最終生
成物スピネル成分における「自由マグネシヤ」の量を計
算することができる。例えば、次にその例を示す: この例において、化学量論的スピネルが作られ、これ
はスピネル中のMg/Al比が0.5であった。得られた物質は
そのXRDパターン中に非常に突出した自由マグネシヤの
ピークを持っていた。出発Mg/Al比が1.0であったという
知識をベースとして、自由マグネシヤは18.7wt%であ
る、と計算された。表2の第2の例において、全てのマ
グネシヤはスピネルの結晶格子中にあるものと見做さ
れ、それ故、「自由」マグネシヤはない。更に、本発明
者は、バストネス石をこれらのMg/Al物質と共に使用し
たとき、スピネル及び自由マグネシヤについて類似のピ
ークを得た。これらは類似して見える。例えば、この種
の典型的な物質は以下のXRDデータを与えた。 Mg/Al 2−シータ Mg/Al XRD 自由MgO wt% 1.0 65.2゜ 0.5 0 従って、2−シータ値65.2゜を得て、本発明者は大き
な自由マグネシヤピークを予期した。しかしながら、そ
のピークは本質的にゼロであった。そのような発見は、
新しい種類の化合物(化学的に反応したバストネス石及
びスピネル物質)が、ここに記載した方法によって製造
されたという非常に強い証拠を構成する。即ち、このデ
ータは、バストネス石とスピネルが相互に化学的に反応
した(単に相互に物理的にのみ混合したのではなく)と
いう強い証拠である。他の種類の実験証拠を勘案して、
そのようなXRDデータの本発明者の解釈は、マグネシヤ
がバストネス石の酸化ランタン(La2O3)成分と反応し
て、得られた物質中にスパネル様成分、MgOLa2O3を形成
したということである。バストネス石格子からの酸化ラ
ンタンの離脱は、今度は、最も高い可能性で、バストネ
ス石のセリウムオキシフルオライド成分を、一層接近し
やすくし、それ故二酸化硫黄の三酸化硫黄への酸化を行
い、SOxの捕捉と再生との繰り返しサイクルを行うこと
ができる様にすると、発明者は暫定的に結論付けた。
しかしながら、このXRDデータを処理するときの1つ
の問題は、ある種のピーク、例えば自由マグネシヤピー
クは、必ずしもゼロではないと言うことである。更に、
全体の物質中のバストネス石について、本発明者の自由
マグネシヤの計算は幾分より暫定的なものとなる。特
に、表2に示した2つの極限値の間の結果を考慮したと
きそうである。いずれにせよ、本発明者はこの問題を、
自由マグネシヤを、自由マグネシヤのXRDピークの強さ
に対するスピネルのXRDピークの強さの比として表現す
ることにより処理した。
図1は、あるスピネルについてのX線回折パターンを
示している。しかしながら、このスピネルは、故意に、
特別に良好なスピネルとはしなかった。即ち、それは多
量の「自由マグネシヤ」を持ち、そのスピネル成分それ
自体は化学量論的なスピネル−このパターンを生じた物
質はMg/Al比が1.0−であった。換言すれば、それは正に
979特許が避けようとした種類のスピネルであった。
いずれにせよ、このXRDパターンは2つの別個のピー
クの存在によって特徴付けられる。1つは約62.5にあっ
てマグネシヤのものであり、1つは65.2にあってスピネ
ルのものである。スピネルピークの強さ対マグネシヤピ
ークの強さは1.5である。比較のために、図2は、約65.
2に2つのθ値を有するスピネルに付いてのXRDパターン
を描いている。それはやはりMg/Al比が1.0である出発組
成物によって発生させられた。しかしながら、そのXRD
パターンが図2描かれた物質のための出発物質は、それ
らも本発明の教示に従ってバストネス石と化学的に反応
させられていた点で異なる。マグネシヤピークの強さに
おける差異は非常に重要である。マグネシヤピークの強
さに対するスピネルピークの強さの比は、この場合6.5
である。即ち、自由マグネシヤは明らかに低い(62.5に
おけるピークの強さに注意)。更に、スピネルの位置は
シフトしていなかった。これらの2つの事実は、バスト
ネス石と自由マグネシヤとの間に化学反応が起こったこ
とを示している。これは、図1では存在しないものであ
る。このスピネルピークの位置がシフトしなかったとい
う観察の最も可能性の高い意味は、自由マグネシヤが単
にスピネルの格子構造に入ったということではなく、バ
ストネス石と化学的に反応したということである。即
ち、もし自由マグネシヤがスピネル格子に入れば、スピ
ネルの2θ値は65.2から64.4にシフトしたであろう。こ
れは明らかに起こらなかった。一方で、もし2θ値が6
4.4にシフトしていれば、それはバストネス石がスピネ
ルと反応しなかったということを意味しよう。このXRD
データはともかく、このバストネス石がマグネシヤと反
応したという事実は、このXRDデータが、二酸化硫黄の
三酸化硫黄への及び/又はSO3の吸収の再生可能な触媒
にバストネス石が転化するという事実と結びついたとき
にのみその本当の重要性をこの特許の開示に与える。
図3は、Condea SB(商標)アルミナを用いて作った
バストネス石スピネルの典型的なXRDパターンである。
このプロットは、1000nmのアルミナ粒子を有するCondea
SB(商標)アルミナを本発明者が用いたとき優れた結
果が得られたことを本発明者が発見したことを確認する
傾向がある。再び、この事実は5nmより小さいサイズの
アルミナ粒子を使用することの、979特許の要請と鋭く
対照的である。このマグネシウムピークは僅かに認識で
き、スピネル/マグネシヤ強度比は13.3である。この事
実も、少なくともいくらかのマグネシヤがバストネス石
と反応しているという本発明者の主張を支持する傾向が
ある。この証拠は、もしマグネシヤが979特許で強調さ
れている条件で行われているようにマグネシヤがアルミ
ナと非常にゆるく結合されているならば、このスピネル
とバストネス石との間に化学反応は起こらないと言うこ
とも示唆している。
図4は、本特許の開示するアルミナゾルを調製するの
に使用される1塩基酸のミリグラム当量は、ここに述べ
たプロセスにとって最も重要であるという事実を確認す
るために与えたものである。これらミリグラム当量は図
4に示されたプロットにおいて横座標として表されてい
る。縦座標はスピネルピーク対自由マグネシヤピークの
比である。例えば、図1において、この比は1.5であ
り、図2においてこれは6.5である。図4は、セリアス
ピネルを用いると、自由マグネシヤの量に関してアルミ
ナの調製方法を変えても、SOx吸収性に何らの効果も及
ぼさないと言うことを事実上示している。この発見は、
本発明者及び他の人達による先行する仕事で、セリアは
スピネル又はスピネルの成分と相互作用をしないという
ことを示すものと一致する。しかしながら、本発明者が
バストネス石を使用すると反対のことが起こる。アルミ
ナゾルを調製するのに使用する酸の量が増えるに連れ
て、自由マグネシヤの量が減り、結局、スピネル対自由
マグネシヤの比は上昇する。再び、これもバストネス石
が何らかの方法でマグネシヤと反対している強い証拠で
ある。
本発明者は、一般に、アルミナゾルを調製するのに使
用する酸のmeqを約4ミリグラム当量より多く、最も好
ましくは約5.0ミリグラム当量使用することが非常に好
ましいことを発見した。図4のデータは本発明者の酸必
要量パラメーターを確認するのにも役立つ。
これらプロセスについての他の、より特殊な変数も確
立された。例えば、あるアルミナゾルを調製するときに
アルミナ1gあたり適当な量のmeqの酸を選択することに
よって、バストネス石をマグネシウムヒドロキシアセテ
ートのようなMg〔A〕化合物と別に反応させるステップ
は完全に除去できることを、本発明者は見出した。いず
れにせよ、本発明者がここに述べるSOx触媒の「標準」
として到達した比較的好ましい組成物の範囲は次のよう
であり、マグネシヤ、アルミナ及び補充的SOx触媒(例
えばバナジウム又はセリア)を使用する: 表 3 任意 マグネシヤ 20 30 50 アルミナ 25 39 50 バストネス石 10 33 50 バナジア 2 3 5 セリア 0 6 15 〔ある種の先行技術物質との比較〕 相対的なSOx吸収能力/触媒能力に関して、本発明方
法によって製造されるバストネス石/金属酸化物物質
(例えば、バストネス石/スピネル物質)を、種々の先
行技術のスピネルと、及び/又はバストネス石単独と、
及び/又は種々のスピネル様又は金属酸化物物質単独
と、比較するために、本発明者は非常に多数の試験を行
った。これらの比較試験は実験室TGA試験及び大規模パ
イロットプラント試験に基づいていた。例のみによっ
て、幾つかの比較のTGA試験の結果を表4に示す。
とりわけ、表4は代表的なスピネル試験物質は、それ
自身では、SOx吸収に関して(これは1分あたりの試験
物質の重量で表した獲得量で表す)比較的低い活性しか
発揮しないことを示している。即ち、比較して言えば、
スピネルについて表4に与えられた0.083のTGA値はSOx
吸収性を殆ど示さない。しかしながら、表4の次のライ
ンは、その同じスピネルに有効量のSOx触媒(例えば、
セリア)が加えられると、SOx吸収に非常に大きな増加
が現れることを示している。換言すれば、0.21なるTGA
の値は、スピネル単独についての0.083の値に比べてSOx
吸収において非常に大きな増加を表す。この種のデータ
は、多数の異なったスピネル又はスピネル様金属酸化物
物質について得られた。この事実は本発明者に次のこと
を結論付けさせた。即ち、二酸化硫黄を三酸化硫黄に転
化するための別個のSOx触媒、例えばセリアが無けれ
ば、非常に少量のSOxしか、スピネル(又はスピネル
様)物質は吸収せず、これはスピネル単独では非常に少
量のSO2しかSO3に酸化されないからである。一方、SO2
が実際にSO3に転化されたときは(セリアによって)、
このスピネルは生成したSO3ガスの非常に良好な吸収剤
として作用する。この方法の唯一の欠点は、SO2の酸化
を行うために使用するセリアは比較的高価な触媒成分で
あり、更にはそれがそのような系中に存在すればセリア
が触媒系中に存在するとき本発明者の焼成ステップの間
に煙道ガス中に形成されるNOxガスを除くための別個の
(そしてコスト高な)工程が必要にもなることである。
次に、バストネス石(及び処理されたバストネス石物
質)は、それ自体、大きなSOx吸収活性(TGA試験で)を
持っているが、それは最初のサイクル、即ち「老化」が
因子となる前についてだけであり、この因子は試験物質
の繰り返し使用と再生を含むパイロットプラント試験に
よって始めて明らかとなる。更に、本発明者の実験プロ
グラム(TGA及びパイロットプラント)は、バストネス
石物質とスピネル又はスピネル様物質の単なる混合は、
得られた粒子混合物のSOx吸収能力にほんのわずかな改
善をもたらすだけであるということを、繰り返し確認し
た。例えば、表4はそのような混合物について0.10の値
を示している。特定の物質がバストネス石及びスピネル
の混合物として(化学的に反応したバストネス石/スピ
ネル物質でなく)行動するという更なる証拠として、バ
ストネス石とスピネルの寄与の重量平均を計算し、得た
値がバストネス石粒子、スピネル粒子混合物について測
定したものと殆ど正確に一致することが挙げられる。再
び、そのような未反応の物質の全ては、FCCパイロット
プラント試験で非常に急速な老化を示した。本発明者
は、これは、バストネス石の急速な老化及びその結果と
してのSOx吸収機能の喪失によるものであると考えてい
る。
いずれにせよ、異なったR2+〔A〕及びR2 3+〔B〕成
分及び/又はこれらの異なった相対的割合を有する広範
な種々のバストネス石/金属酸化物物質について、同様
なデータが得られた。しかしながら、本発明者は、バス
トネス石が金属酸化物物質と化学的に反応したときは、
得られたバストネス石/金属酸化物物質のSOx吸収能に
おいて非常に大きな改善が見られることを常に発見し
た。例えば、表4に示した化学的に反応したバストネス
石−スピネル物質についての0.16TGAの値は、バストネ
ス石単位(1回使用ベースで比較しても−パイロットプ
ラントでの繰り返し使用(この特許の開示の図5に描か
れているように)ではなく)、スピネル単独及びバスト
ネス石とスピネルとの単なる物理的混合物のそれらより
も大幅に高い。実際、化学的に反応したバストネス石/
スピネル物質についての0.16の値は、セリウムを含浸し
たスピネルによって達成された0.22の値に近い。それ
故、このデータは殆ど同じ高レベルのSOx吸収TGA値(例
えば、0.16対0.22)が遙かに廉価に達成されることを示
している。それはセリアはバストネス石よりも遙かに高
価な物質であるからである。本発明者のFCCパイロット
プラントでの幾つかの実験において、本発明者のバスト
ネス石/スピネル物質は、多数のセリア含有スピネルよ
りも良好な結果を実際に与えたことは、繰り返す価値が
ある。
この事及び他の多数の実験証拠に基づいて、本発明者
は次のことを結論した。即ち、この特許の開示するバス
トネス石/結晶性金属物質、即ちバストネス石を金属酸
化物物質と化学的に反応させたとき得られる物質を調製
するときに、それが形成される方法に拘わらず、一旦そ
れが形成されるならば、二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化
する能力において、そして一層重要なことであるが、三
酸化硫黄を吸収する能力において、非常に有効なSOx
収剤/触媒物質を作りだすものはバストネス石と1又は
それ以上の金属酸化物との間の化学反応が起こっている
ことである。
本発明者は、有効でないSOx添加剤であることが分か
ったある種の物質の場合において、バストネス石と金属
酸化物物質との間において化学反応は起こっていないこ
とを、実証した。本発明者は優れたスピネル様物質(幾
つかは64.6の2θ値を持ち、これは979特許の教えの下
では非常に珍重されるべきものである)を製造したが、
これらの「高品質」スピネルは、本特許の開示するバス
トネス石/スピネル物質−本バストネス石/スピネル物
質の「自由」複合金属含量如何に拘わらず−に較べる
と、二酸化硫黄の三酸化硫黄への転化についての、及び
SO3吸収についての有効な触媒ではなかった。しかしな
がら、これらのスピネルは、セリアと組み合わされると
優れた吸収剤であることを再度述べておかなければなら
ない。本発明者のデータの全ては、相互に考慮すれば、
バストネス石(即ち、1又はそれ以上のその構成成分)
と、全体としての結晶性金属酸化物の金属酸化物成分
(例えば、MgO)の少なくとも1つとの間に化学的相互
作用が起こっており、得られたバストネス石/結晶性金
属酸化物物質が、その反応されていない構成成分で単独
で使用されたときに較べて、より良いSOx触媒及び優れ
たSOx吸収剤の両方として作用することを可能にしたの
は、この化学反応が起こったからである。
次に、再び、本発明者の比較例に使用されたスピネル
様物質の多数は2θ値が65.2であり、これは979特許に
用いられた基準の下ではSOx吸収能に関しては貧なスピ
ネルであると考えられるであろう。実際、979特許の教
えの下では、そのようなXRD示度を示すスピネルは許容
できない程に高い複合化合物濃度を有するもの、例えば
過多の「自由」酸化マグネシウムを持ったものであっ
た。しかしながら、非常に驚くべきことに、そのような
65.2の2θスピネル物質は、それをバストネス石と化学
的に反応させると優れたSOx吸収物質/触媒物質を作っ
た。本発明者は、そのような65.2の2θスピネル物質
は、それがバストネス石と単純に混合されたときは相当
に貧なSOx吸収剤を作ることを実証した。
979特許で「良好なスピネル」のために作られたファ
クター(即ち、64.5のXRD 2θ値を有すること)は、
それらをバストネス石と反応させると、SOx添加剤の活
性を低くする。979特許の教えとのこの不一致について
の本発明者の解釈は、もしR2+〔A〕及びR2 3+〔B〕成
分(例えば、マグネシヤ及びアルミナ)が、調製の初期
の反応相の間に過剰に密接に結合すれば(979特許にお
いて要求される小さな粒度の故に)、それらはバストネ
ス石と相互作用しないということ、及びこの配置は、言
ってみれば、スピネルとバストネス石との物理的混合物
のように挙動する物質をもたらすことである。反対に、
もしそのような化学反応が起これば、バストネス石の格
子中に得られた空孔は、恐らくバストネス石物質の残留
セリウムオキシフルオライド(CeOF)成分を、二酸化硫
黄反応体にとって一層接近しやすいものとするであろ
う。しかしながら、幾つかのバストネス石物質について
のX線回折パターンを調べてみたが、バストネス石中に
なんら「明らかな」変化はなかった。それにも拘わら
ず、本発明者は、得られたバストネス石/金属酸化物物
質のR2+O/R2 3+O3成分における(例えば、スピネル成分
における)非常に深い変化を求めてそのような方法を用
いた。
〔炭化水素クラッキング触媒に対する関係〕
本発明者の熱重量測定データ及び本発明者のパイロッ
トプラントデータは、しばしば相互に補足する関係にあ
って、目下考慮中の化学反応の性質について更なる識見
を与えるものであった。例えば、1セットの比較例にお
いて、本発明者の熱重量測定データは、バストネス石は
それ自体及びひとりでに、良好なSOx吸収剤として作用
する−しかし1回だけである(再び表4を参照)。即
ち、バストネス石がSOx吸収剤として繰り返し使用さ
れ、再生されると、そのSOx吸収能は劇的に低下する。
この効果は本発明者のパイロットプラント実験で確認さ
れた。このパイロットプラント実験は、本来的に与えら
れたSOx吸収物質の繰り返し使用、再生及び再使用に関
するものであった。この効果は、バストネス石粒子が炭
化水素クラッキング粒子と単に物理的に混合していても
(別個の粒子種として混合していても、炭化水素クラッ
キング触媒と混合して複合炭化水素クラッキング/SOx
収粒子を形成していても)観察された。このパイロット
プラントデータは、バストネス石がSOx吸収剤として使
用されるときは、多量の「メークアップ(make−up)」
バストネス石をFCCユニットのバルク触媒に連続的に加
えなければならないことを示している。
本発明者の比較実験プログラムは、FCCユニットに普
通に使用されている多数の先行技術の炭化水素クラッキ
ング触媒は、限られてはいるが、幾分かのSOx吸収能力
を発揮することも明らかにした。これは恐らく、殆どの
FCC炭化水素クラッキング触媒中で、ある種の活性な形
のアルミナが広く使用されているからであろう。しかし
ながら、SOxを吸収することができないのは、一般に、
炭化水素クラッキング触媒中には二酸化硫黄を三酸化硫
黄に変えることのできる触媒物質がないという事実に由
来する。換言すれば、もしSO2をSO3に変える触媒−本発
明者のバストネス石/スピネル物質のような−が、炭化
水素クラッキング触媒と共に使用されていれば、多数の
炭化水素クラッキング触媒はSO3を吸収することができ
るであろう。幾つかの実験は、このことが本当であるこ
とを確認した。本発明者のバストネス石/金属酸化物SO
x吸収物質がそのような炭化水素クラッキング系に実際
に加えられると、もしSO2をSO3に転化することを触媒す
る能力が充分にあれば、広範な種類のFCC炭化水素クラ
ッキング触媒−バストネス石/スピネル系(特に残渣油
クラッキング−バストネス石/スピネル系)が、それら
の炭化水素クラッキング機能を行うだけでなく、SOx
収に役立つことができることを見出した。本発明者の物
質はこの機能を特によく発揮し、多量の(例えば、95〜
99wt%)の炭化水素クラッキング系及び少量の(例えば
1〜5wt%)の本発明者のバストネス石/スピネル物質
からなる全体の触媒系のベースを形成することができ
る。本発明者のバストネス石/スピネル物質の種々のFC
C用途において、関連する全体の物質の、最も経済的な
利用のために、SOx酸化触媒種(例えば、セリウム粒子
又はセリウム含浸粒子)を別個に存在させることもでき
る。いずれにせよ、本発明者はそのバストネス石/金属
酸化物SOx添加剤は、広範な種類の他の触媒と−例えば
セリア、酸化触媒類、炭化水素クラッキング触媒類(特
に、所謂「残渣油」クラッキング触媒)と−組み合わせ
ることができることを見出した。本発明者は、ここに述
べたバストネス石/スピネル物質は、補足的なSOx、例
えばセリア、バナジア、等でSOx酸化能力を有するもの
と組み合わせることができる(例えば、全反応混合物を
スプレー乾燥に付す前にこれに添加することにより、又
は本発明者のバナジウム/スピネル物質をセリアを含浸
したスピネル粒子と単純に混合することにより)ことも
見出した。即ち、このようなSOx触媒(セリア、バナジ
ア、等)は、SOx添加剤中にブレンドされる別個の粒子
種として、FCCユニットに添加するのが通常最良である
が、それらはこの特許開示に記載されたバストネス石/
スピネル物質中に直接添加することもできる。
流動接触クラッキング再生器(ここでは炭化水素クラ
ッキング触媒粒子が硫黄含有コークスで汚染されてい
る)からSOxを除去する典型的なプロセスは、次のこと
を含む:(1)小量のバストネス石/スピネル、SOx
収剤−触媒を多量の炭化水素クラッキング触媒と共に循
環し、ここでバストネス石/スピネル、SOx吸収剤/触
媒は、バストネス石/スピネル、SO4吸収剤/触媒のバ
ストネス成分が、前記バストネス石/スピネル、SOx
収剤/触媒の金属酸化物成分と共に化学的に反応してい
るという事実によって特徴付けられる。
そのようなプロセスの異なる変形は、好ましい具体例
を含むことができ、ここではバストネス石/スピネル、
SOx吸収剤−触媒が更に次の事で特徴付けられる:
(1)別個のSOx触媒粒子と共に複合物にされる粒子で
あること、(2)バナジウム及びセリウムからなる群か
ら選ばれる別個のSOx触媒物質を含浸した粒子であるこ
と、(3)残渣油−クラッキング粒子との粒状混合物と
して使用されること。
〔特に好ましい手順と調製〕
(例1) 全研究プログラムの一部として、本発明者は多数の異
なったマグネシウム溶液を調製し、その後これらを多数
の異なったスピネルの調製に用いた。1つの特に好まし
いマグネシウム溶液を調製するために、498gの氷酢酸を
554gミリリットルの水に加えた。得られた混合物に167g
の酸化マグネシウム(これはCombustion Engineering,
Inc.からそれらのMAGOX(商標)製品の形で得た)をゆ
っくりと加えた。次いで、得られた混合物を、全ての酸
化マグネシウムが溶解するまで攪拌した。
(例2) 他の非常に好ましい形のマグネシウム溶液を調製する
ために、249gの氷酢酸を803gミリリットルの水に加え
た。得られた混合物に167gの酸化マグネシウム(これは
Combustion Engineering,Inc.からそれらのMAGOX(商
標)製品の形で得た)を加えた。次いで、得られた混合
物を、30分攪拌した。
(例3) 本発明者は酸化マグネシウムをスラリーの形でも使用
した。これは167gの酸化マグネシウム(これはCombusti
on Engineering,Inc.からそれらのMAGOX(商標)製品
の形で得た)を1052ミリリットルの水に加えることによ
り調製した。得られたスラリーを、Waringブレンダー中
で高速度で混合した。
(例4) 本発明者が最も好むアルミナ成分の幾つかは、アルミ
ニウムアルコレートの加水分解によって調製されたもの
である。この物質の結晶構造の最も特徴とするところ
は、ベーマイト鉱物(α−アルミナ1水和物)のそれで
ある。しかしながら、この広い定義の範囲内で、バスト
ネス石と共にこれら物質(スピネル)を調製するのに使
用できる非常に多数の固体アルミナ及びゾルがある。本
発明者は、特に有効なアルミナはCondea P−3(商
標)(ドイツのCondea Chemie GMBHから得られる)で
あることを見出した。本発明者は、また、Grade SB
(商標)アルミナ(Condea Chemie GMBHから得られ
る)を用いてスピネルを調製した。Grade SBに類似の
他の適当なアルミナは、Catapal A(商標)、Catapal
B(商標)、及びCatapal C(これはそれぞれVista
Chemical Companyから得た)である。これらの一般
的な種類の中で、分散のためにアルミナに混合された、
必要な量の1塩基酸を既に有する分散性アルミナ粉末の
幾つかのグレードもあった。例として、これらのアルミ
ナは、ドイツのCondea Chemie GMBHから得られる“Di
speral Aluminas"(商標)、及びVista Chemical Co
mpanyから得られるDispal Alumina Solと呼ばれる種
類のアルミナの一部として入手できる。上記商業的アル
ミナ製品に類似の結晶構造と分散性とを有するα−アル
ミナ1水和物の他の源は、La Roche Chemical Compa
nyから得られるVersal Aluminas(商標)である。つい
でに、本発明者は1つの特に好ましいアルミナゾルの製
造方法は、先ず25gの氷酢酸を1159ミリリットルの水に
加える。この混合物をWaringブレンダー中で攪拌しなが
ら、これに270gのCondea P−3(商標)アルミナ粉末
をゆっくり加えた。この混合物を20分攪拌した。
(例5) 本発明者の全反応組成物の調製に使用する1つの特に
好ましいバストネス石は、Molycorp,Inc.から得たGrade
4000(商標)、Grade 4010(商標)及びGrade 4100
(商標)であった。Grade 4000は浸出していないバス
トネス石鉱物である。比較として、Grade 4010は浸出
してアルカリ土類金属を除いたバストネス石である。Gr
ade 4100は浸出し、焼成したしたものである。これら
の物質の内で、Grade 4100が幾分好ましい。これは、
それを50wt%のスラリーにスラリー化し、サンドミル中
で2.0μmに微粉砕することによって調製した。
〔ある好ましいバストネス石/スピネル全反応混合物の調製〕
(例6) 2154gのアルミナゾル(例4に記載した)に、846gの
酢酸マグネシウム(例1に記載した)を加えた。次にこ
の混合物を高速度で攪拌した。得られた混合物に、例3
の過程で調製した酸化マグネシウムスラリー846gを加え
た。バストネス石のスラリー(例5のようにして調製し
た)をこの混合物に加えた。得られたスラリーをスプレ
ー乾燥し、次いで732℃(1350゜F)で1時間焼成した。
この物質のX線回折パターンは2θ値が65.2であること
を示した。スピネル対マグネシヤの比は6.5であった。T
GA試験でのこの物質の評価は0.16%/分の吸収を示し
た。
(例7) 884ミリリットルの水に8.5gの氷酢酸を含む酢酸溶液
中に204gのCondea P−3(商標)粉末を分散すること
により、アルミナゾルを調製した。このゾルに、814gの
マグネシヤヒドロキシアセテート(例2のようにして調
製した)を加えた。得られた混合物を高速度で攪拌し
た。この混合物に、206gのMolycorp Grade 4100(商
標)バストネス石(例5に従って調製した)を加え、高
速度で攪拌した。得られたスラリーをスプレー乾燥し、
次いで732℃(1350゜F)で1時間焼成した。この物質の
X線回折パターンは2θ値が64.6であった。スピネル対
マグネシヤの比は1.9であった。この物質のTGAについて
の評価は吸収0.10%/分を示した。
(例8) 982ミリリットルの水に9.2gの氷酢酸を含む酢酸溶液
中に204gのCondea SB(商標)アルミナを分散すること
により、アルミナゾルを調製した。このゾルに、869gの
マグネシヤヒドロキシアセテート(例2のようにして調
製した)を加えた。得られた混合物を高速度で攪拌し
た。この混合物に、221gのMolycorp Grade 4100バス
トネス石(例5に従って調製した)を加え、高速度で攪
拌した。得られたスラリーをスプレー乾燥し、次いで73
2℃(1350゜F)で1時間焼成した。この物質のX線回折
パターンは2θ値が65.14であった。スピネル対マグネ
シヤの比は4.3であった。この物質のTGAについての評価
は吸収0.16%/分を示した。
(例9) 13wt%のマグネシヤを含むマグネシヤ溶液を調製する
ために、119gのマグネシヤを666ミリリットルの水にス
ラリー化した。このスラリーに84gの氷酢酸を加えた。
得られたスラリーを例7に教えられたのと同じ処方によ
って調製された1150gのアルミナゾルに加えた。この混
合物を高速度で攪拌した。この混合物にMolycorp Grad
e 4100(商標)バストネス石(例5のようにして調製
した)を加え、高速度で攪拌した。得られたスラリーを
スプレー乾燥し、次いで732℃(1350゜F)で1時間焼成
した。得られた物質のX線回折パターンは2θ値が65.0
4であった。スピネル対マグネシヤの比は3.7であった。
この物質のTGAについての評価は吸収0.17%/分を示し
た。
(例10) アルミナゾルを調製するにあたって、718ミリリット
ルの水に2.9gの70wt%硝酸を溶解した溶液に、142gのCo
ndea P−3(商標)アルミナ粉末を分散した。154ミ
リリットルの水に174gの70wt%硝酸を溶解した溶液に、
41gのマグネシヤを溶解することによって硝酸マグネシ
ウムを含む溶液を調製した。この溶液をアルミナゾルに
加え、高速度で攪拌した。167ミリリットルの水に41gの
マグネシヤ粉末を加えることにより、水中のマグネシヤ
のスラリーを調製した。これをアルミナ及び硝酸マグネ
シウム混合物に加えた。これに、例5に従って調製した
Molycorp Grade 4100(商標)バストネス石153gを加
えた。得られたスラリーをスプレー乾燥し、次いで732
℃(1350゜F)で1時間焼成した。得られた物質のX線
回折パターンは2θ値が64.94であった。スピネル対マ
グネシヤの比は3.9であった。この物質のTGAについての
評価は吸収0.15%/分を示した。
(例11) 539ミリリットルの水に8.9gの70wt%硝酸を含む硝酸
溶液に、132gのCondea SB(商標)アルミナを分散する
ことにより、アルミナゾルを調製した。このゾルに390g
の硝酸マグネシウム溶液を加えた。この溶液のマグネシ
ヤ含量は20wt%であった。得られた混合物を高速度で攪
拌した。この混合物に、Molycorp Grade 4100(商
標)バストネス石(例5の方法に従って調製)72.8gを
加え高速度で攪拌した。得られたスラリーをスプレー乾
燥し、次いで732℃(1350゜F)で1時間焼成した。得ら
れた物質のX線回折パターンは2θ値が65.13であっ
た。スピネル対マグネシヤの比は13.3であった。この物
質のTGAについての評価は吸収0.16%/分を示した。
(例12) 840ミリリットルの水中に8.5gの氷酢酸を含む酢酸溶
液中に188gのCondea P−3(商標)粉末を分散するこ
とにより、アルミナゾルを調製した。このゾルに、584g
のマグネシウムヒドロキシアセテート(例2のようにし
て調製した)を加えた。得られた混合物を高速度で攪拌
した。102gのMolycorp Grade 4100(商標)バストネ
ス石(例5の手順に従って調製した)及び288gのマグネ
シウムヒドロキシアセテートを前記アルミナゾル及びマ
グネシウムヒドロキシアセテートの混合物に加え、高速
度で攪拌した。このバストネス石及びマグネシウムヒド
ロキシアセテートは予め調製し、1時間熟成しておい
た。最終スラリーをスプレー乾燥し、次いで732℃(135
0゜F)で1時間焼成した。この物質のX線回折パターン
は2θ値が64.82であった。スピネル対マグネシヤの比
は6.7であった。この物質のTGAについての評価は吸収0.
13%/分を示した。
(例13) 例4の手順に従ってアルミナゾルを調製した。このゾ
ルの431gに例2の手順に従って調製したマグネシウムヒ
ドロキシアセテート338gを加えた。得られた混合物を攪
拌し均質なゲルを作った。この物質をマッフル炉中260
℃(500゜F)で乾燥し、次いで732℃(1350゜F)で1時
間焼成した。この物質のX線回折パターンは2θ値が6
4.93であった。スピネル対アルミナの比は2.0であっ
た。この物質のTGAについての評価は吸収0.08%/分を
示した。
(例14) 例4の手順に従ってアルミナゾルを調製した。このゾ
ルの379gに例2の手順に従って調製したマグネシウムヒ
ドロキシアセテート298gを加えた。得られた混合物を攪
拌し均質なゲルを作った。このゲルに44.4gのMolycorp
Grade 5370硝酸セリウムを加え、攪拌して均一な混
合物を作った。この物質をマッフル炉中260℃(500゜
F)で乾燥し、次いで732℃(1350゜F)で1時間焼成し
た。この物質のX線回折パターンは2θ値が64.77であ
った。スピネル対マグネシヤの比は2.6であった。この
物質のTGAについての評価は吸収0.21%/分を示した。
(例15) 与えられた物質における「優れていること」の本発明
者の第2の基準の1つは、与えられたバストネス石/金
属酸化物物質において形成された複合金属の量である。
そのような測定をするために、種々のR2+/R2 3+金属酸化
物物質の出発組成を原子比1.0に固定した。こうしたの
は、単に金属酸化物形成成分の成分組成を所定のレベル
に維持し(例えば、望みのMg/Al原子比1.0を得るために
は55.9wt%のAl2O3及び44.1wt%のMgOとする)、これに
よって「酸当量」が、得られたバストネス石/金属酸化
物物質が何であれその性質における観察された何らかの
変化の原因となる変数となるようにするためである。こ
れらの試験の結果は、ここに述べたプロセスが、Mg/Al
原子比1.0に対して酸のミリグラム当量範囲は1.0〜10.0
であり、5.0が特に好ましいことを示すことを示した。
このように、本発明は、バストネス石と1又はそれ以
上の金属酸化物物質との間に化学反応が生じているとい
う概念に基づいた、種々の科学的理論、特別の例及び精
神に関して述べたが、本発明はこれらに限定されるもの
ではなく、以下の請求の範囲によってのみ限定されるべ
きであることが理解されるべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−111047(JP,A) 特表 平6−506434(JP,A) 米国特許4497902(US,A) 米国特許4642177(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01F 17/00 B01J 8/18 B01J 23/10 C10G 11/00 - 11/22

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バストネス石物質をマグネシウム〔A〕物
    質、アルミニウム〔B〕物質と反応させてバストネス石
    /酸化マグネシウム/酸化アルミニウム生成物を形成す
    る方法であって、次のことを含むもの:(1)アルミニ
    ウム〔B〕ゾル物質を作るためにアルミニウム〔B〕化
    合物中のアルミニウム1gあたり1.0〜10.0ミリグラム当
    量の1塩基酸を含む液体媒体中にアルミニウム〔B〕化
    合物を分散し;(2)マグネシウム〔A〕化合物を前記
    アルミニウム〔B〕ゾル物質と混合し、これによってマ
    グネシウム〔A〕/アルミニウム〔B〕ゲル組成物を作
    り;(3)バストネス石物質を前記マグネシウム〔A〕
    /アルミニウム〔B〕ゲル組成物に混合し、これによっ
    てバストネス石/マグネシウム〔A〕/アルミニウム
    〔B〕全反応組成物を作り;(4)このバストネス石/
    マグネシウム〔A〕/アルミニウム〔B〕全反応組成物
    をスプレー乾燥して固溶体物質を作り;そして(5)こ
    の固溶体物質を焼成して、バストネス石の少なくとも1
    つの成分と少なくとも1つの金属酸化物が相互に化学的
    に反応したバストネス石/酸化マグネシウム/酸化アル
    ミニウム生成物を作ること。
  2. 【請求項2】前記マグネシウム〔A〕化合物の〔A〕ア
    ニオンが、アセテート、ヒドロキシアセテート、ニトレ
    ート、ヒドロキシニトレート、オキサイド、エチレート
    及びエトキサイドからなるアニオンの群から選ばれる請
    求の範囲1の方法。
  3. 【請求項3】前記アルミニウム〔B〕化合物の〔B〕ア
    ニオンが、アセテート、ヒドロキシアセテート、ニトレ
    ート、オキサイド、ヒドロキサイド、及びヒドロキシニ
    トレートからなるアニオンの群から選ばれる請求の範囲
    1又は2の方法。
  4. 【請求項4】前記マグネシウム〔A〕化合物がマグネシ
    ヤであり、前記アルミニウム〔B〕化合物がアルミナで
    ある請求の範囲1〜3のいずれかの方法。
  5. 【請求項5】バストネス石/酸化マグネシウム/酸化ア
    ルミニウム生成物を形成するために、バストネス石物質
    をマグネシウム〔A〕物質、アルミニウム〔B〕物質と
    反応させる方法であって、次のことを含むもの:(1)
    アルミニウム〔B〕ゾル物質を作るためにアルミニウム
    〔B〕化合物中のアルミニウム1gあたり1.0〜10.0ミリ
    グラム当量の1塩基酸を含む液体媒体中にアルミニウム
    〔B〕化合物を分散し;(2)マグネシウム〔A〕化合
    物の第1の部分をバストネス石物質と混合してバストネ
    ス石/マグネシウム〔A〕物質を作り、このバストネス
    石/マグネシウム〔A〕物質を熟成させ;(3)マグネ
    シウム〔A〕化合物の第2の部分をアルミニウム〔B〕
    ゾル物質と混合し、これによってマグネシウム〔A〕/
    アルミニウム〔B〕ゲル組成物を作り;(4)前記バス
    トネス石/マグネシウム〔A〕物質を前記マグネシウム
    〔A〕/アルミニウム〔B〕ゲル組成物に混合し、これ
    によってバストネス石/マグネシウム〔A〕/アルミニ
    ウム〔B〕全反応組成物を作り;(5)このバストネス
    石/マグネシウム〔A〕/アルミニウム〔B〕全反応組
    成物をスプレー乾燥して固溶体物質を作り;そして
    (6)この固溶体物質を焼成して、バストネス石の少な
    くとも1つの成分と少なくとも1つの金属酸化物が相互
    に化学的に反応したバストネス石/酸化マグネシウム/
    酸化アルミニウム生成物を作ること。
  6. 【請求項6】前記マグネシウム〔A〕化合物の〔A〕ア
    ニオンが、アセテート、ヒドロキシアセテート、ニトレ
    ート、ヒドロキシニトレート、オキサイド、エチレート
    及びエトキサイドからなるアニオンの群から選ばれる請
    求の範囲5の方法。
  7. 【請求項7】前記アルミニウム〔B〕化合物の〔B〕ア
    ニオンが、アセテート、ヒドロキシアセテート、ニトレ
    ート、オキサイド、ヒドロキサイド、及びヒドロキシニ
    トレートからなるアニオンの群から選ばれる請求の範囲
    5又は6の方法。
  8. 【請求項8】前記マグネシウム〔A〕化合物がマグネシ
    ヤであり、前記アルミニウム〔B〕化合物がアルミナで
    ある請求の範囲5の方法。
  9. 【請求項9】化学的に反応したバストネス石/酸化マグ
    ネシウム/アルミナ化合物を作る方法であって、次のこ
    とを含むもの:(1)アルミナ1gあたり1.0〜10.0ミリ
    グラム当量の1塩基酸を含む液体媒体中にアルミナを分
    散してアルミナゾルを作り;(2)マグネシウム〔A〕
    化合物を前記アルミナゾルと混合し、これによってマグ
    ネシウム〔A〕/アルミナゲルを作り;(3)バストネ
    ス石物質を前記マグネシウム〔A〕/アルミナゲルに混
    合し、これによってバストネス石/マグネシウム〔A〕
    /アルミナ全反応組成物を作り;(4)このバストネス
    石/マグネシウム〔A〕/アルミナ全反応組成物をスプ
    レー乾燥して固体物質を作り;そして(5)この固体物
    質を焼成して、バストネス石/酸化マグネシウム/酸化
    アルミニウム化合物を作ること。
  10. 【請求項10】化学的に反応したバストネス石/酸化マ
    グネシウム/アルミナ化合物を作る方法であって、次の
    ことを含むもの:(1)アルミナ1gあたり1.0〜10.0ミ
    リグラム当量の1塩基酸を含む液体媒体中にアルミナ化
    合物を分散してアルミナゾルを作り;(2)マグネシウ
    ム〔A〕化合物の第1の部分をバストネス石物質と混合
    してバストネス石/マグネシウム〔A〕物質を作り、こ
    のバストネス石/マグネシウム〔A〕物質を熟成させ;
    (3)マグネシウム〔A〕化合物の第2の部分をアルミ
    ナゾルと混合し、これによってマグネシウム〔A〕/ア
    ルミナゲルを作り;(4)前記バストネス石/マグネシ
    ウム〔A〕物質を前記マグネシウム〔A〕/アルミナゲ
    ルに混合し、これによってバストネス石/マグネシウム
    〔A〕/アルミナ全反応組成物を作り;(5)このバス
    トネス石/マグネシウム〔A〕/アルミナ全反応組成物
    をスプレー乾燥して固体物質を作り;そして(6)この
    固体物質を焼成して、バストネス石/酸化マグネシウム
    /アルミナ化合物を作ること。
  11. 【請求項11】それぞれ硫黄含有コークスで汚染された
    炭化水素クラッキング触媒粒子及びSOx吸収剤触媒粒子
    を前記コークスを除いて再生する流動接触クラッキング
    方法においてSOxを除く方法であって、次のことを含む
    もの:(1)小部分の、SOxを吸収する能力を持つバス
    トネス石/酸化マグネシウム/アルミナ化合物からなる
    SOx吸収剤−触媒粒子を大部分の炭化水素クラッキング
    触媒粒子と共に循環し、ここに前記小部分のSOx吸収剤
    −触媒粒子が流動接触クラッキング過程にてSOxを除く
    ための前記方法において使用される全触媒の1〜5wt%
    を占め、またここにバストネス石/酸化マグネシウム/
    アルミナ化合物が、更に、このバストネス石/酸化マグ
    ネシウム/アルミナ化合物のバストネス石成分が前記バ
    ストネス石/酸化マグネシウム/アルミナ化合物の酸化
    マグネシウム/アルミナ成分と化学的に反応していると
    いう事実によって特徴付けられていること。
  12. 【請求項12】前記バストネス石/酸化マグネシウム/
    アルミナ化合物が、更に、バナジウム、セリウム及び白
    金からなる群から選ばれる別個のSOx触媒物質を有する
    粒子であることを特徴とする請求の範囲11の方法。
  13. 【請求項13】2価又は3価の金属酸化物物質と化学的
    に反応させられて、生じたバストネス石/2価又は3価の
    金属酸化物化合物を形成したバストネス石からなる化合
    物。
  14. 【請求項14】バストネス石/2価又は3価の金属酸化物
    化合物のバストネス石成分のLa2O3成分が前記バストネ
    ス石/2価又は3価の金属酸化物化合物の金属酸化物成分
    に移動している請求の範囲13のバストネス石/2価又は3
    価の金属酸化物化合物。
  15. 【請求項15】硫黄含有コークスで汚染された炭化水素
    クラッキング触媒粒子を前記コークスを除いて再生する
    流動接触クラッキング方法においてSOxを除く方法であ
    って、次のことを含むもの:(1)小部分のバストネス
    石/2価又は3価の金属酸化物SOx吸収剤−触媒を大部分
    の炭化水素クラッキング触媒と共に循環し、ここに前記
    バストネス石/2価又は3価の金属酸化物、SOx吸収剤/
    触媒が、このバストネス石/2価又は3価の金属酸化物、
    SOx吸収剤−触媒のバストネス石成分が前記バストネス
    石/2価又は3価の金属酸化物SOx吸収剤−触媒の2価又
    は3価の金属酸化物成分と化学的に反応しているという
    事実によって特徴付けられていること。
  16. 【請求項16】前記バストネス石/2価又は3価の金属酸
    化物、SOx吸収剤−触媒が、更に別個のSOx触媒物質で含
    浸された粒子であることを特徴とする請求の範囲15の方
    法。
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