JP3195113B2 - すべり軸受 - Google Patents
すべり軸受Info
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- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
Description
ンクシャフトのジャーナル部及びコンロッドの大端部な
どに使用されるすべり軸受に関するものである。特に本
発明は、通常ライニングと称されるケルメット、アルミ
ニウム軸受合金などの軸受合金層と、Niめっきなどの
中間層と、Pb−Sn−In合金表面層(通常「オーバ
レイ」と称される)を含んでなるすべり軸受の耐焼付性
及び耐疲労性を中間層とオーバレイの間の境界層を特定
することにより改良する技術に関するものである。
ーバレイの間の境界層の金属組織に着目してすべり軸受
の性能を上記と同様の観点から向上する試みが特開平4
−168295号公報にてなされており、ここでは境界
層を52%以上のSnを含有するSn−In固溶体とす
ることが提案されている。この発明では、境界層の固溶
体組織が表面層(オーバレイ)との密着性が良いという
ことが述べられている。
動車においてはすべり軸受の焼付が起こり、軸受の性能
不足が指摘されるに至った。トラブルが起こった軸受を
観察すると、焼付が起こった部分のオーバレイでは局部
的温度上昇により溶融が起こり、溶融部でオーバレイの
剥離が起こっていることが認められた。
C程度と想定されており、この温度はPb合金の融点よ
りはるかに低いので、オーバレイが溶融することは想定
されていなかった。これに反して、高速走行車で焼付い
た軸受では、メッキ組織(Pb,Sn,Inなどがほと
んど識別されない粒子分散組織−部分的に熱拡散の跡も
認められる)とは明らかに異なる溶融−凝固組織(Pb
マトリックス中にSnなどが分散した組織)が認められ
た。
−Sn−In三元系オーバレイを施したすべり軸受の性
能を検討したところ軸受が熱負荷を受け、オーバレイ中
のSn,InがNiめっき層界面に拡散して生成した化
合物層の中に種々の化合物が存在し、そのなかでInS
n4 の割合が多い場合はオーバレイ界面の融点が低下
し、摺動時の発熱により低融点相が溶け出し、溶融剥離
から焼付に至ることが解明された。
成量を少なくすることによりPb−Sn−In三元系オ
ーバレイを施したすべり軸受の耐焼付性を高めることを
目的とするものである。
成する本発明のすべり軸受の第一は、ライニングと、N
i系中間層と、Pb−Sn−In合金表面層とを含んで
なるすべり軸受において、Ni系中間層とPb−Sn−
In合金層との間に厚みが0.1〜5μmでありかつ、
組成がIn20〜73重量%、Sn8%以下(0を含
む)及び残部が実質的にNiであり、さらに主としてN
i−In系金属間化合物からなる境界層が形成されてい
ることを特徴とするすべり軸受であり、またその第二
は、ライニングと、Ni系中間層と、Pb−Sn−In
合金表面層とを含んでなるすべり軸受において、Ni系
中間層とPb−Sn−In合金層との間に厚みが0.1
〜5μmでありかつ、組成がIn10重量%以下(0を
含む)、Sn20〜74重量%及び残部が実質的にNi
であり、さらに主としてNi−Sn系金属間化合物から
なる境界層が形成されていることを特徴とするすべり軸
受である。
いて境界層とはオーバレイとNiバリアなどの中間層と
の間に存在し、光学顕微鏡でこれらより識別され、金属
間化合物より構成される層である。本発明においては境
界層の組成を上述のように定めたのはこの範囲では低融
点化合物であるInSn4が形成されないかあるいは形
成されてその量は非常にわずかであるからである。
すべり軸受であり、オーバレイ中のIn含有量が高い場
合にこの境界層が形成される。ここで、境界層のIn含
有量が20重量%未満であると、化合物層中の相対的な
Sn量が増加してしまい、InSn4が形成され易くな
る。一方、境界層のIn含有量が73重量%を超える
と、化合物を形成しない純Inが発生しInSn4 化合
物が生成されるおそれが高くなる。次に境界層中のSn
量がゼロであるとInSn4 化合物が生成されないの
で、境界層中のSn量はゼロでも差し支えない。一方S
n含有量が8%を超えるとInSn4 化合物が生成され
るおそれが高くなる。
境界層で疲労剥離が起こり易くなって耐疲労性が低下す
る。また境界層の厚みが0.1μm以下であるとめっき
した直後の境界層の状態と実質的に差が無く、軸受使用
中に熱履歴によりオーバレイ中の添加元素、すなわちI
n,SnがNiバリヤに拡散し、Niバリヤ界面で富化
する。するとInSn4 が非常に生成し易くなるので好
ましくない。
すべり軸受であり、オーバレイ中のSn含有量が高い場
合にこの境界層が形成される。ここで、境界層のSn含
有量が20重量%未満であると、化合物層中の相対的I
n量が増大してしまい、InSn4 が形成され易くな
る。一方、境界層のSn含有量が74重量%を超える
と、化合物を形成しない純Snが発生し、InSn4 が
形成され易くなる。次に境界層中のIn量がゼロである
とInSn4 化合物が生成されないので、境界層中のI
n量はゼロでも差し支えない。一方In含有量が10%
を超えるとInSn4化合物が生成されるおそれが高くな
る。
Ni2In3,Ni3Sn,Ni3Sn2,Ni3Sn4などの金属間化合物から
構成される。Ni2In3 は10%を超えると、In−Sn
系状態図でγ相として知られているInSn4が生成する傾
向も大となる。なおこのInSn4 はIn固溶体と極めて低
融点の共晶を形成することが状態図で知られている。し
かし、上記のように境界層の組成を限定することにより
このInSn4 系化合物の多量生成は避けることができる。
いからIn析出相が形成することは状態図上ではほとん
ど起こり得ないが、めっき組織ではInが金属形態で存
在することも十分にあり得るので、境界層では拡散によ
りInが富化しIn析出相が生成しInSn4 と低融
点の共晶をつくるおそれがある。よって本発明ではIn
Sn4 による溶融現象が起こらないように、境界層の
組成を上述のように定めた。
合金の好ましい組成につき説明する。Snはオーバレイ
のなじみ性、耐食性、耐疲労性および耐摩耗性などを高
める元素である。Snの含有量が2%未満ではこれらの
効果がない。一方Snが10%以上になると、Snはケ
ルメットなどの表面に境界層として被着されたNiめっ
き層に拡散してNi−Sn化合物を作り易くなる。この
化合物層が厚くなると、オーバレイが剥離を起こし易く
なる。
金の融点が低下し、その溶融が起こり易くなり、高速運
転下での焼付が起こり易くなる。ここで、Pb合金また
はオーバレイの融点とはインゴットの融点ではなくめっ
きにより作られたオーバレイ合金の融点である。好まし
いSn量は3〜8%である。
向上する元素である。Inの量が0.05%未満ではこ
れらの効果がない。一方、Inの量が10%を超える
と、オーバレイの融点が低下して上述の不所望の現象が
起こる。したがって、本発明ではInの含有量は0.0
5〜10%であることが必要であり、好ましくは0.5
〜8%、より好ましくは7〜8%である。
境界層を作り分けるには、オーバレイ中のSn、In
量、ならびに熱処理の温度・時間をコントロールすれば
よい。
イニング上に三元系めっきにより作成する。好ましく
は、公知のホウフッ化鉛150〜200g/l,ホウフ
ッ化Sn5〜15g/l,ゼラチン約2g/l,ハイド
ロキノン約2g/lのめっき浴を使用して、めっき時間
を調節してめっきを行うとPb−Sn三元合金めっきが
得られる。同様に公知のフラッシュめっきまたはシアン
化アルカリ浴によりInめっきを行い、最後にIn層と
Pb−Snニ元合金めっき層間の拡散を行う。オーバー
レイのめっき厚さは3〜25μm であることが好まし
い。
金属間化合物を優先的に形成するような条件の熱処理を
行う。そのためには保持温度は120〜180℃、保持
温度への昇温速度は10〜100℃/分、保持温度から
の冷却速度は1〜100℃/分での熱処理を行うことが
必要である。より好ましい冷却速度は10〜50℃/分
である。本発明のすべり軸受用鉛合金は高速回転・走行
条件下での耐焼付性及び耐疲労性の両方が良好である。
本発明で言う高速走行あるいは高速回転とは回転数60
00rpm以上又は周速16m/s以上を意味する。以
下実施例によりさらに詳しく本発明を説明する。
成及び厚みを示すオーバレイを1〜3μmのNiめっき
を施したケルメット上にめっきした。ただしサンプルN
o.3はアルミニウム合金にめっきした例である。Pb−Snめっき組成及び条件 Pb(BF4)2 :50〜200 g/l Sn(BF4)2 : 5〜30 g/l HBF4 :50〜200 g/l H.Q. : 0.1〜10 g/l ペプトン : 0.1〜10 g/l ゼラチン : 0.1〜10 g/l 電流密度 : 1〜10A/dm2 浴温 :20〜30℃Inめっき浴組成及び条件 スルファミン酸In :100〜200 g/l スルファミン酸Na :100〜200 g/l スルファミン酸 : 10〜50 g/l NaCl : 20〜80 g/l ブドウ糖 : 5〜11 g/l トリエタノールアミン:1.5〜3.5 g/l 電流密度 : 1〜2A/dm2 浴温 : 25〜35℃
である。焼付試験 試験機 :多面積テスター 回転数 :2400rpm(20m/s) 負荷荷重:10kg/cm2 給油法:パッド給油
立上がりを焼付きと判定し、またオーバレイ表面を電子
顕微鏡で観察することにより溶融剥離の発生状況を確認
した。結果を表1に示す。
回折のピークプロファイルを示す。ここでケルメットの
Cu,Pbのピーク、NiバリヤからのNiのピークの
他は、熱処理により始めて現れる境界層からのピークで
ある。このピークとしてはNi3 Sn4 がほとんどであ
り、InSn4 は検出されないことが明らかである。
ルは剥離発生温度(耐焼付性)及び繰り返し数(耐疲労
性)の両方について優れた性能を示すことが明らかであ
る。
ーバレイと中間層との境界相の組織を特定することによ
り高速走行下での溶融現象を防止することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 ライニングと、Ni系中間層と、Pb−
Sn−In合金表面層とを含んでなるすべり軸受におい
て、前記Ni系中間層と前記Pb−Sn−In合金層と
の間に厚みが0.1〜5μmでありかつ、組成がIn2
0〜73重量%、Sn8%以下(0を含む)及び残部が
実質的にNiであり、さらに主としてNi−In系金属
間化合物からなる境界層が形成されていることを特徴と
するすべり軸受。 - 【請求項2】 ライニングと、Ni系中間層と、Pb−
Sn−In合金表面層とを含んでなるすべり軸受材料に
おいて、前記Ni系中間層と前記Pb−Sn−In合金
層との間に厚みが0.1〜5μmでありかつ、組成がI
n10重量%以下(0を含む)、Sn20〜74重量%
及び残部が実質的にNiであり、さらに主としてNi−
Sn系金属間化合物からなる境界層が形成されているこ
とを特徴とするすべり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07404393A JP3195113B2 (ja) | 1993-03-31 | 1993-03-31 | すべり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07404393A JP3195113B2 (ja) | 1993-03-31 | 1993-03-31 | すべり軸受 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06287796A JPH06287796A (ja) | 1994-10-11 |
JP3195113B2 true JP3195113B2 (ja) | 2001-08-06 |
Family
ID=13535756
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP07404393A Expired - Lifetime JP3195113B2 (ja) | 1993-03-31 | 1993-03-31 | すべり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3195113B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7113793B2 (ja) * | 2019-07-31 | 2022-08-05 | 大同メタル工業株式会社 | 摺動部材 |
-
1993
- 1993-03-31 JP JP07404393A patent/JP3195113B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06287796A (ja) | 1994-10-11 |
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