JP3193274B2 - Vベルト式自動変速機用ウエイトローラ - Google Patents
Vベルト式自動変速機用ウエイトローラInfo
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- JP3193274B2 JP3193274B2 JP19380395A JP19380395A JP3193274B2 JP 3193274 B2 JP3193274 B2 JP 3193274B2 JP 19380395 A JP19380395 A JP 19380395A JP 19380395 A JP19380395 A JP 19380395A JP 3193274 B2 JP3193274 B2 JP 3193274B2
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- plate
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクータ型自動二
輪車や雪上車等に用いられるVベルト式自動変速機に装
備されるウエイトローラに関する。
輪車や雪上車等に用いられるVベルト式自動変速機に装
備されるウエイトローラに関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なVベルト式自動変速機は、駆動
プーリおよび従動プーリにVベルトを巻回し、回転速度
に応じて、両プーリに対するVベルトの巻掛け径を無段
階的に変化させることにより、最適な変速比を得る構造
である。具体的には、両プーリは、回転軸に固定された
固定プーリプレートと、この固定プーリプレートに対向
配置され固定プーリプレートに対して進退可能に設けら
れた可動プーリプレートとの組み合わせで構成されてい
る。駆動プーリにおける可動プーリプレートの背面側に
はカムプレートが固定軸に固定して配設され、これらプ
レートの間に、ウエイトローラが挟持されている。そし
て、駆動プーリが回転すると、ウエイトローラは、遠心
力によりカムプレートおよび可動プーリプレートに形成
されたカム面に沿って駆動プーリの外周側に移動すると
ともに可動プーリプレートを固定プーリプレート側に押
動し、これによって、駆動プーリへのVベルトの巻掛け
径が変化すると同時に、従動プーリへのVベルトの巻掛
け径も変化するようになっている。
プーリおよび従動プーリにVベルトを巻回し、回転速度
に応じて、両プーリに対するVベルトの巻掛け径を無段
階的に変化させることにより、最適な変速比を得る構造
である。具体的には、両プーリは、回転軸に固定された
固定プーリプレートと、この固定プーリプレートに対向
配置され固定プーリプレートに対して進退可能に設けら
れた可動プーリプレートとの組み合わせで構成されてい
る。駆動プーリにおける可動プーリプレートの背面側に
はカムプレートが固定軸に固定して配設され、これらプ
レートの間に、ウエイトローラが挟持されている。そし
て、駆動プーリが回転すると、ウエイトローラは、遠心
力によりカムプレートおよび可動プーリプレートに形成
されたカム面に沿って駆動プーリの外周側に移動すると
ともに可動プーリプレートを固定プーリプレート側に押
動し、これによって、駆動プーリへのVベルトの巻掛け
径が変化すると同時に、従動プーリへのVベルトの巻掛
け径も変化するようになっている。
【0003】上記ウエイトローラは、通常、所定重量を
有する金属製の円筒体が主体とされており、金属製であ
る可動プーリプレートあるいはカムプレートに対して絶
えず摺動するものである。そのため、金属どうしの接触
では相互の摩耗、傷付き等の問題が生じ、また、摺動抵
抗も大きくなるおそれがある。そこで従来のウエイトロ
ーラには、金属よりなる円筒状のローラ本体の外周面
に、樹脂がコーティングしてなる表層部が形成されてい
る。その樹脂としては、脂肪族ポリアミド樹脂いわゆる
脂肪族ナイロンが広く用いられ、この樹脂に、補強材と
して炭素繊維を混入し、また、固体潤滑材としてポリテ
トラフルオルエチレン樹脂(PTFE)を混入し、ウエ
イトローラの耐摩耗性の向上と摩擦係数および摺動抵抗
の低減を図っていた。
有する金属製の円筒体が主体とされており、金属製であ
る可動プーリプレートあるいはカムプレートに対して絶
えず摺動するものである。そのため、金属どうしの接触
では相互の摩耗、傷付き等の問題が生じ、また、摺動抵
抗も大きくなるおそれがある。そこで従来のウエイトロ
ーラには、金属よりなる円筒状のローラ本体の外周面
に、樹脂がコーティングしてなる表層部が形成されてい
る。その樹脂としては、脂肪族ポリアミド樹脂いわゆる
脂肪族ナイロンが広く用いられ、この樹脂に、補強材と
して炭素繊維を混入し、また、固体潤滑材としてポリテ
トラフルオルエチレン樹脂(PTFE)を混入し、ウエ
イトローラの耐摩耗性の向上と摩擦係数および摺動抵抗
の低減を図っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記ウエイトローラに
おいては、一定した変速特性が長期にわたって得られる
ように、前記表層部には、耐熱性と耐摩耗性および摩擦
係数の安定性が要求される。ところが、上記のような脂
肪族ポリアミド樹脂製を用いた表層部では、場合によっ
ては耐熱性が不足し、高温時における耐摩耗性が充分で
なかったり、温度変化や経時変化に対する摩擦係数の安
定性に欠ける場合があった。
おいては、一定した変速特性が長期にわたって得られる
ように、前記表層部には、耐熱性と耐摩耗性および摩擦
係数の安定性が要求される。ところが、上記のような脂
肪族ポリアミド樹脂製を用いた表層部では、場合によっ
ては耐熱性が不足し、高温時における耐摩耗性が充分で
なかったり、温度変化や経時変化に対する摩擦係数の安
定性に欠ける場合があった。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、耐熱性に優れ、高温時においても充分な耐摩耗性
を有し、しかも摩擦係数の安定したVベルト式自動変速
機用ウエイトローラを提供することを目的としている。
あり、耐熱性に優れ、高温時においても充分な耐摩耗性
を有し、しかも摩擦係数の安定したVベルト式自動変速
機用ウエイトローラを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであって、請求項1に記載のV
ベルト式自動変速機用ウエイトローラは、回転軸に固定
された固定プーリプレートに対して進退自在に配設され
てVベルトのベルト溝を形成する可動プーリプレート
と、該可動プーリプレートの背面側に配設され、かつ前
記回転軸に固定されたカムプレートとの間に狭持され、
両プーリプレートからなるプーリの回転に伴う遠心力に
より、前記可動プーリプレートを前記固定プーリプレー
ト側に押動して前記プーリに対するベルトの巻掛け径を
変えるVベルト式自動変速機用ウエイトローラであっ
て、円筒上の金属製ローラ本体と、該ローラ本体の外周
面を覆って形成された樹脂製表層部とからなり、この表
層部を、補強材であるチタン酸カリウムと潤滑材である
ワックスが混入されている芳香族ポリアミド樹脂で形成
したことを特徴としている。
するためになされたものであって、請求項1に記載のV
ベルト式自動変速機用ウエイトローラは、回転軸に固定
された固定プーリプレートに対して進退自在に配設され
てVベルトのベルト溝を形成する可動プーリプレート
と、該可動プーリプレートの背面側に配設され、かつ前
記回転軸に固定されたカムプレートとの間に狭持され、
両プーリプレートからなるプーリの回転に伴う遠心力に
より、前記可動プーリプレートを前記固定プーリプレー
ト側に押動して前記プーリに対するベルトの巻掛け径を
変えるVベルト式自動変速機用ウエイトローラであっ
て、円筒上の金属製ローラ本体と、該ローラ本体の外周
面を覆って形成された樹脂製表層部とからなり、この表
層部を、補強材であるチタン酸カリウムと潤滑材である
ワックスが混入されている芳香族ポリアミド樹脂で形成
したことを特徴としている。
【0007】本発明の請求項2に記載のVベルト式自動
変速機用ウエイトローラは、前記芳香族ポリアミド樹脂
が全体の65%、チタン酸カリウムが30%、ワックス
が5%を占めることを特徴としている。
変速機用ウエイトローラは、前記芳香族ポリアミド樹脂
が全体の65%、チタン酸カリウムが30%、ワックス
が5%を占めることを特徴としている。
【0008】
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態を説明する。 (1)一実施形態の構成 図1は、スクータ型自動二輪車等に搭載されるスイング
式パワーユニットを示している。このパワーユニット
は、エンジン1と、このエンジン1の動力を後輪3に伝
達するVベルト式自動変速機2と、自動変速機2と後輪
3との間に介装された図示せぬ遠心クラッチおよび減速
機構と、これら自動変速機2、遠心クラッチおよび減速
機構を覆って保持するユニットケース4とから構成され
ている。
実施形態を説明する。 (1)一実施形態の構成 図1は、スクータ型自動二輪車等に搭載されるスイング
式パワーユニットを示している。このパワーユニット
は、エンジン1と、このエンジン1の動力を後輪3に伝
達するVベルト式自動変速機2と、自動変速機2と後輪
3との間に介装された図示せぬ遠心クラッチおよび減速
機構と、これら自動変速機2、遠心クラッチおよび減速
機構を覆って保持するユニットケース4とから構成され
ている。
【0010】エンジン1は、シリンダ5と、このシリン
ダ5内に摺動自在に嵌挿されたピストン6と、このピス
トン6にコンロッド7を介して連結されたクランク軸
(回転軸)8と、このクランク軸8を回転自在に支持す
るクランクケース9とを備えている。クランク軸8の一
端部に、前記自動変速機2が連結されている。
ダ5内に摺動自在に嵌挿されたピストン6と、このピス
トン6にコンロッド7を介して連結されたクランク軸
(回転軸)8と、このクランク軸8を回転自在に支持す
るクランクケース9とを備えている。クランク軸8の一
端部に、前記自動変速機2が連結されている。
【0011】この自動変速機2は、クランク軸8上に支
持された駆動プーリ10と、前記後輪3の車軸に遠心ク
ラッチおよび減速機構を介して連結された従動軸に支持
された図示せぬ従動プーリと、駆動プーリ10と従動プ
ーリとに巻回されたVベルト11とを備えている。駆動
プーリ10は、固定プーリプレート20と、この固定プ
ーリプレート20に対向配置されてVベルト11のベル
ト溝12を形成する可動プーリプレート30と、可動プ
ーリプレート30の背面側に配設されたカムプレート4
0と、可動プーリプレート30とカムプレート40との
間に挟持されたウエイトローラ50とから構成されてい
る。
持された駆動プーリ10と、前記後輪3の車軸に遠心ク
ラッチおよび減速機構を介して連結された従動軸に支持
された図示せぬ従動プーリと、駆動プーリ10と従動プ
ーリとに巻回されたVベルト11とを備えている。駆動
プーリ10は、固定プーリプレート20と、この固定プ
ーリプレート20に対向配置されてVベルト11のベル
ト溝12を形成する可動プーリプレート30と、可動プ
ーリプレート30の背面側に配設されたカムプレート4
0と、可動プーリプレート30とカムプレート40との
間に挟持されたウエイトローラ50とから構成されてい
る。
【0012】図2に示すように、固定プーリプレート2
0は、クランク軸8に固定され、可動プーリプレート3
0は、固定プーリプレート20に対してクランク軸8の
軸線方向に進退自在に設けられている。これらプーリプ
レート20、30は、アルミダイカスト等で傘状に成形
されている。図1および図2においては、可動プーリプ
レート30を、固定プーリプレート20からもっとも離
れた初期状態を上側に示し、固定プーリプレート20に
もっとも近付いた作動終期状態を下側に示している。
0は、クランク軸8に固定され、可動プーリプレート3
0は、固定プーリプレート20に対してクランク軸8の
軸線方向に進退自在に設けられている。これらプーリプ
レート20、30は、アルミダイカスト等で傘状に成形
されている。図1および図2においては、可動プーリプ
レート30を、固定プーリプレート20からもっとも離
れた初期状態を上側に示し、固定プーリプレート20に
もっとも近付いた作動終期状態を下側に示している。
【0013】図3に示すように、可動プーリプレート3
0のカムプレート40に面する外面側には、クランク軸
8と平行なガイド31が周方向に複数形成されている。
カムプレート40は、たとえばスチールを傘状にプレス
加工して成形されたものが用いられ、クランク軸8に固
定されている。カムプレート40の周縁部には前記ガイ
ド31に対応して周方向に複数のスライダ41が取り付
けられ、このスライダ41に、可動プーリプレート30
のガイド31が嵌合することで、可動プーリプレート3
0がカムプレート40と一体に回転するとともに、固定
プーリプレート20に対する可動プーリプレート30の
進退が案内されるようになっている。可動プーリプレー
ト30とカムプレート40との互いの対向面には、外周
方向に向かうにしたがって漸次近接し合うカム面32、
42がそれぞれ形成され、これらカム面32、42に外
周面が接触する状態で、前記ウエイトローラ50が挟持
されている。さらに、可動プーリプレート30のカム面
の両側には、ウエイトローラ50の周縁部を挟んでウエ
イトローラ50の径方向への移動をガイドするガイド壁
33が形成されている。
0のカムプレート40に面する外面側には、クランク軸
8と平行なガイド31が周方向に複数形成されている。
カムプレート40は、たとえばスチールを傘状にプレス
加工して成形されたものが用いられ、クランク軸8に固
定されている。カムプレート40の周縁部には前記ガイ
ド31に対応して周方向に複数のスライダ41が取り付
けられ、このスライダ41に、可動プーリプレート30
のガイド31が嵌合することで、可動プーリプレート3
0がカムプレート40と一体に回転するとともに、固定
プーリプレート20に対する可動プーリプレート30の
進退が案内されるようになっている。可動プーリプレー
ト30とカムプレート40との互いの対向面には、外周
方向に向かうにしたがって漸次近接し合うカム面32、
42がそれぞれ形成され、これらカム面32、42に外
周面が接触する状態で、前記ウエイトローラ50が挟持
されている。さらに、可動プーリプレート30のカム面
の両側には、ウエイトローラ50の周縁部を挟んでウエ
イトローラ50の径方向への移動をガイドするガイド壁
33が形成されている。
【0014】このウエイトローラ50は、図4に示すよ
うに、円筒状のローラ本体51と、このローラ本体51
の外周面を覆う樹脂製表層部52とから構成されてい
る。ローラ本体51は、真鍮や鉄等の金属でできてい
る。一方、表層部52は、芳香族ポリアミド樹脂を主体
として構成されており、このポリアミド樹脂に、繊維系
あるいは粒状系等の補強材と、液体系あるいは固体系等
の潤滑剤がそれぞれ適宜量混入されている。表層部52
はローラ本体51の両側の周縁部から端面を覆うカバー
部53が形成されており、このカバー部53が、前記ガ
イド壁33に摺接するようになっている。
うに、円筒状のローラ本体51と、このローラ本体51
の外周面を覆う樹脂製表層部52とから構成されてい
る。ローラ本体51は、真鍮や鉄等の金属でできてい
る。一方、表層部52は、芳香族ポリアミド樹脂を主体
として構成されており、このポリアミド樹脂に、繊維系
あるいは粒状系等の補強材と、液体系あるいは固体系等
の潤滑剤がそれぞれ適宜量混入されている。表層部52
はローラ本体51の両側の周縁部から端面を覆うカバー
部53が形成されており、このカバー部53が、前記ガ
イド壁33に摺接するようになっている。
【0015】前記芳香族ポリアミド樹脂は、脂肪族ポリ
アミド樹脂とは異なり、主鎖にベンゼン核(ベンゼン環
とも言う)が導入されたポリアミド樹脂である。
アミド樹脂とは異なり、主鎖にベンゼン核(ベンゼン環
とも言う)が導入されたポリアミド樹脂である。
【0016】具体的には、半芳香族ポリアミド樹脂とし
て、次式に示すポリフタルアミド樹脂(PPA)、変性
ポリアミド6T樹脂(PA6T)、
て、次式に示すポリフタルアミド樹脂(PPA)、変性
ポリアミド6T樹脂(PA6T)、
【化1】 もしくは、次式に示すポリメタキシレンアジパミド樹脂
(PA−MXD6)等が用いられる。
(PA−MXD6)等が用いられる。
【化2】 これらのポリアミド樹脂は、半芳香族ポリアミド樹脂の
基本構造を示しているが、全芳香族ポリアミド樹脂でも
よい。その全芳香族ポリアミド樹脂としては、アラミド
樹脂等が用いられる。
基本構造を示しているが、全芳香族ポリアミド樹脂でも
よい。その全芳香族ポリアミド樹脂としては、アラミド
樹脂等が用いられる。
【0017】前記繊維系補強材としては、ガラス繊維、
炭素繊維、アラミド繊維等の有機繊維、セラミックス繊
維、金属繊維等が用いられる。またこれらの他に、繊維
系補強材として、針状結晶いわゆるウィスカーが特に有
効であり、このウィスカーとしては、チタン酸カリウ
ム、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ほう酸アルミ
ニウム等が用いられる。また、粒状補強材としては、ガ
ラスビーズ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、マ
イカ等が用いられる。
炭素繊維、アラミド繊維等の有機繊維、セラミックス繊
維、金属繊維等が用いられる。またこれらの他に、繊維
系補強材として、針状結晶いわゆるウィスカーが特に有
効であり、このウィスカーとしては、チタン酸カリウ
ム、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ほう酸アルミ
ニウム等が用いられる。また、粒状補強材としては、ガ
ラスビーズ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、マ
イカ等が用いられる。
【0018】また、前記液体系の潤滑材としては、油脂
類、液体ワックス等が用いられる。また、固体系の潤滑
材としては、ポリテトラフルオルエチレン樹脂(PTF
E)、二硫化モリブデン(MoS2 )、黒鉛、オレフィ
ン系樹脂等の固体ワックス、オレフィン系樹脂等が用い
られる。ただし、ローラ本体51がポリテトラフルオル
エチレン樹脂(PTFE)である場合、潤滑材としてこ
れは用いない。
類、液体ワックス等が用いられる。また、固体系の潤滑
材としては、ポリテトラフルオルエチレン樹脂(PTF
E)、二硫化モリブデン(MoS2 )、黒鉛、オレフィ
ン系樹脂等の固体ワックス、オレフィン系樹脂等が用い
られる。ただし、ローラ本体51がポリテトラフルオル
エチレン樹脂(PTFE)である場合、潤滑材としてこ
れは用いない。
【0019】(2)一実施形態の作用 次いで、上記自動変速機2の作用を説明する。 a.基本動作 エンジン1が運転される、すなわちシリンダ5内のピス
トン6が往復動してクランク軸8が回転すると、駆動プ
ーリ10がクランク軸8と一体に回転し、この駆動プー
リ10の回転がVベルト11、従動プーリ、遠心クラッ
チ、減速機構を経て後輪3に伝達される。ここで、駆動
プーリ10の回転に応じて、ウエイトローラ50が、遠
心力により、可動プーリプレート30とカムプレート4
0のカム面32、42を転動もしくは摺動して外周側に
移動する。このようにしてカム面32、42間を移動す
るウエイトローラ50は、可動プーリプレート30を固
定プーリプレート20側に押動する。これによって、駆
動プーリ10へのVベルト11の巻掛け径が変化すると
同時に、従動プーリへのVベルト11の巻掛け径も変化
する。つまり、駆動プーリ10へのVベルト11の巻掛
け径が、低速回転時には小さく、高速回転時には大きく
なり、この間が無段階的に変化することにより、回転速
度に応じた変速がなされる。
トン6が往復動してクランク軸8が回転すると、駆動プ
ーリ10がクランク軸8と一体に回転し、この駆動プー
リ10の回転がVベルト11、従動プーリ、遠心クラッ
チ、減速機構を経て後輪3に伝達される。ここで、駆動
プーリ10の回転に応じて、ウエイトローラ50が、遠
心力により、可動プーリプレート30とカムプレート4
0のカム面32、42を転動もしくは摺動して外周側に
移動する。このようにしてカム面32、42間を移動す
るウエイトローラ50は、可動プーリプレート30を固
定プーリプレート20側に押動する。これによって、駆
動プーリ10へのVベルト11の巻掛け径が変化すると
同時に、従動プーリへのVベルト11の巻掛け径も変化
する。つまり、駆動プーリ10へのVベルト11の巻掛
け径が、低速回転時には小さく、高速回転時には大きく
なり、この間が無段階的に変化することにより、回転速
度に応じた変速がなされる。
【0020】b.ウエイトローラ50の作用 上記一実施形態のウエイトローラ50は、外周面の表層
部52が、可動プーリプレート30とカムプレート40
のカム面32、42に対して絶えず転動もしくは摺動し
て可動プーリプレート30を押動する。表層部52は、
上述の如く芳香族ポリアミド樹脂を主体に構成されたも
のであるので、脂肪族ポリアミド樹脂に比べると特に耐
熱性が向上している。したがって、高温時においても充
分な耐摩耗性を有している。さらに、温度変化および経
時的にも摩擦係数が安定しているとともに、摩擦係数が
低い。
部52が、可動プーリプレート30とカムプレート40
のカム面32、42に対して絶えず転動もしくは摺動し
て可動プーリプレート30を押動する。表層部52は、
上述の如く芳香族ポリアミド樹脂を主体に構成されたも
のであるので、脂肪族ポリアミド樹脂に比べると特に耐
熱性が向上している。したがって、高温時においても充
分な耐摩耗性を有している。さらに、温度変化および経
時的にも摩擦係数が安定しているとともに、摩擦係数が
低い。
【0021】また、そのポリアミド樹脂に前述した補強
材が混入されているので、強度の向上が一層図られる。
特に、前記チタン酸カリウム等のウィスカーは、炭素繊
維等の繊維系補強材と比べると結晶体の長さおよび径が
それぞれ数十分の一と小さいことから、表層部52には
端部のカバー部53まで十分かつ均一に分散して混入さ
せることができるので、一段と耐摩耗性が向上するとと
もに、偏摩耗がない。さらに、表層部52のポリアミド
樹脂には、上述した潤滑材が混入されていることによ
り、表層部52の摩擦係数が大幅に低減し、よって摺動
抵抗のきわめて少ない円滑な動作が実現される。
材が混入されているので、強度の向上が一層図られる。
特に、前記チタン酸カリウム等のウィスカーは、炭素繊
維等の繊維系補強材と比べると結晶体の長さおよび径が
それぞれ数十分の一と小さいことから、表層部52には
端部のカバー部53まで十分かつ均一に分散して混入さ
せることができるので、一段と耐摩耗性が向上するとと
もに、偏摩耗がない。さらに、表層部52のポリアミド
樹脂には、上述した潤滑材が混入されていることによ
り、表層部52の摩擦係数が大幅に低減し、よって摺動
抵抗のきわめて少ない円滑な動作が実現される。
【0022】このように、ウエイトローラ50の表層部
52は、高温時においても高い耐摩耗性を有し、かつ摩
擦抵抗が大幅に低減され、かつ安定しているので、自動
変速機2は、一定した変速特性が長期にわたって得ら
れ、ひいてはパワーユニット全体の性能が長期にわたっ
て維持される。
52は、高温時においても高い耐摩耗性を有し、かつ摩
擦抵抗が大幅に低減され、かつ安定しているので、自動
変速機2は、一定した変速特性が長期にわたって得ら
れ、ひいてはパワーユニット全体の性能が長期にわたっ
て維持される。
【0023】
【実施例】次に、本発明に基づく実施例と、従来材であ
る比較例の摩擦係数および摩耗度を実験し、両者を比較
した。なお、組成比(%)は、重量%である。 (実施例)樹 脂−ポリフタルアミド樹脂(PPA):芳香族ポリアミド樹脂 65%程度 補強材−ウィスカー:チタン酸カリウム30% 潤滑材−ワックス5%程度。ただし5〜20%でよく、この範囲な らば同様の効果を示す。 (比較例)樹 脂−ナイロン46(PA46):脂肪族ポリアミド樹脂80% 補強材−炭素繊維10% 潤滑材−固体潤滑材:ポリテトラフルオルエチレン樹脂(PTFE) 10%
る比較例の摩擦係数および摩耗度を実験し、両者を比較
した。なお、組成比(%)は、重量%である。 (実施例)樹 脂−ポリフタルアミド樹脂(PPA):芳香族ポリアミド樹脂 65%程度 補強材−ウィスカー:チタン酸カリウム30% 潤滑材−ワックス5%程度。ただし5〜20%でよく、この範囲な らば同様の効果を示す。 (比較例)樹 脂−ナイロン46(PA46):脂肪族ポリアミド樹脂80% 補強材−炭素繊維10% 潤滑材−固体潤滑材:ポリテトラフルオルエチレン樹脂(PTFE) 10%
【0024】図5は、温度変化に伴う比摩耗量(耐摩耗
性)の試験結果を、図6は摩擦係数の経時変化の試験結
果をそれぞれ示している。温度変化に伴う比摩耗量に関
しては、本発明に基づく実施例は低温から高温に至るま
で低くほぼ一定しているのに比べ、脂肪族ポリアミド樹
脂を主体とする比較例は温度上昇に伴って増大し、耐摩
耗性が著しく劣化している。摩擦係数に関しては、本発
明に基づく実施例は低く一定しているのに比べ、脂肪族
ポリアミド樹脂を主体とする比較例は本発明の樹脂と比
較すると高く、かつある程度時間が経過すると急激に上
昇し、その後また下がるが、初期値よりも高い数値で推
移している。
性)の試験結果を、図6は摩擦係数の経時変化の試験結
果をそれぞれ示している。温度変化に伴う比摩耗量に関
しては、本発明に基づく実施例は低温から高温に至るま
で低くほぼ一定しているのに比べ、脂肪族ポリアミド樹
脂を主体とする比較例は温度上昇に伴って増大し、耐摩
耗性が著しく劣化している。摩擦係数に関しては、本発
明に基づく実施例は低く一定しているのに比べ、脂肪族
ポリアミド樹脂を主体とする比較例は本発明の樹脂と比
較すると高く、かつある程度時間が経過すると急激に上
昇し、その後また下がるが、初期値よりも高い数値で推
移している。
【0025】以上で明らかなように、本発明に基づく芳
香族ポリアミド樹脂は、高温時においても高い耐摩耗性
が発揮されるとともに、摩擦係数が大幅に低減し、かつ
安定性を有するので、Vベルト式自動変速機のウエイト
ローラの表層部を形成する材質としてきわめて好適であ
る。
香族ポリアミド樹脂は、高温時においても高い耐摩耗性
が発揮されるとともに、摩擦係数が大幅に低減し、かつ
安定性を有するので、Vベルト式自動変速機のウエイト
ローラの表層部を形成する材質としてきわめて好適であ
る。
【0026】なお、上記一実施形態は、スクータ型自動
二輪車等に搭載されるスイング式パワーユニットに組み
込まれるVベルト式自動変速機を例示しているが、本発
明はこのようなパワーユニットに限らず、雪上車等の他
の動力機構に備えられるVベルト式自動変速機に適用で
きる。
二輪車等に搭載されるスイング式パワーユニットに組み
込まれるVベルト式自動変速機を例示しているが、本発
明はこのようなパワーユニットに限らず、雪上車等の他
の動力機構に備えられるVベルト式自動変速機に適用で
きる。
【0027】以上説明したように、本発明のVベルト式
自動変速機用ウエイトローラによれば、外周面を構成す
る表層部が、補強材であるチタン酸カリウムと潤滑材で
あるワックスが混入されている芳香族ポリアミド樹脂で
形成されているので、高温時においても充分な耐熱性、
耐磨耗性を有し、且つ、摩擦係数も小さい。したがっ
て、可動プーリプレートを押動する動作が安定し、ひい
てはVベルト式自動変速機の変速特性が初期設定のまま
長期にわたって維持される。
自動変速機用ウエイトローラによれば、外周面を構成す
る表層部が、補強材であるチタン酸カリウムと潤滑材で
あるワックスが混入されている芳香族ポリアミド樹脂で
形成されているので、高温時においても充分な耐熱性、
耐磨耗性を有し、且つ、摩擦係数も小さい。したがっ
て、可動プーリプレートを押動する動作が安定し、ひい
てはVベルト式自動変速機の変速特性が初期設定のまま
長期にわたって維持される。
【0028】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態のVベルト式自動変速機の
一部平面図である。
一部平面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】可動プーリプレートの背面図である。
【図4】一実施形態のウエイトローラの断面図である。
【図5】実施例の温度変化に伴う耐摩耗性の試験結果を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図6】実施例の摩擦係数の試験結果を示すグラフであ
る。
る。
2 Vベルト式自動変速機 8 クランク軸(回転軸) 10 駆動プーリ 11 Vベルト 12 ベルト溝 20 固定プーリプレート 30 可動プーリプレート 40 カムプレート 50 ウエイトローラ 51 ローラ本体 52 表層部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−174199(JP,A) 特開 平5−332411(JP,A) 特開 平5−203004(JP,A) 特開 平8−14346(JP,A) 実開 昭63−184256(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 9/00 - 9/26
Claims (2)
- 【請求項1】 回転軸に固定された固定プーリプレート
に対して進退自在に配設されてVベルトのベルト溝を形
成する可動プーリプレートと、該可動プーリプレートの
背面側に配設され、かつ前記回転軸に固定されたカムプ
レートとの間に狭持され、両プーリプレートからなるプ
ーリの回転に伴う遠心力により、前記可動プーリプレー
トを前記固定プーリプレート側に押動して前記プーリに
対するベルトの巻掛け径を変えるVベルト式自動変速機
用ウエイトローラであって、 円筒上の金属製ローラ本体と、 該ローラ本体の外周面を覆って形成された樹脂製表層部
とからなり、 前記表層部は、補強材であるチタン酸カリウムと潤滑材
であるワックスが混入されている芳香族ポリアミド樹脂
で形成されていることを特徴とするVベルト式自動変速
機用ウエイトローラ。 - 【請求項2】 前記芳香族ポリアミド樹脂が全体の65
%、チタン酸カリウムが30%、ワックスが5%を占め
る請求項1記載のVベルト式自動変速機用ウエイトロー
ラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19380395A JP3193274B2 (ja) | 1995-07-28 | 1995-07-28 | Vベルト式自動変速機用ウエイトローラ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19380395A JP3193274B2 (ja) | 1995-07-28 | 1995-07-28 | Vベルト式自動変速機用ウエイトローラ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0942396A JPH0942396A (ja) | 1997-02-10 |
JP3193274B2 true JP3193274B2 (ja) | 2001-07-30 |
Family
ID=16314037
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19380395A Expired - Fee Related JP3193274B2 (ja) | 1995-07-28 | 1995-07-28 | Vベルト式自動変速機用ウエイトローラ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3193274B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100401469B1 (ko) * | 2001-04-13 | 2003-10-17 | 박종찬 | 컨베이어 벨트 시스템의 로울러를 폴리아미드를 주원료로한 제조방법 |
-
1995
- 1995-07-28 JP JP19380395A patent/JP3193274B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0942396A (ja) | 1997-02-10 |
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