従来から、建築用接着剤やシーリング剤として、作業性が良く、耐久性に優れた1液型の反応硬化性樹脂を用いた流動性のある粘性材料が使用されているが、それらは、一般的に、使用される時までは外気と遮断された容器に保存することで液状の流動状態を保ち、目的の場所に塗布された時に硬化するといった特性がある。このため、このような接着剤等を保存する容器としては、外気との遮断性に優れた金属容器等が使用されていたが、金属容器は、その重量が重く、また使用後の容器が廃棄物としてかさ高くなるという問題点があった。
そこで、外気との遮断性が良く、その重量が軽量で、かつ使用後の廃棄物の嵩高さが低減される容器として、可撓性の積層フィルムにて形成されたアルミラミネートパックや、アルミラミネート紙容器等が、各種提案されて、好適に使用されている。例えば、そのような流体充填用容器の一例として、特開平10−14519号公報(特許文献1)においては、基材フィルムおよびヒートシール性基材を順次に積層した積層体を袋状に形成し、そのような袋状容器の長さ方向の一方の端部を、先端に向かうに従って先細形状となるように形成し、内部に封入した粘性流体を絞り出す際に、そのような先細とされた端部を切断することによって吐出口となるようにした包装袋が、明らかにされている。
しかし、そのような流体充填用容器(包装袋)にあっては、可撓性を有するシートにて形成されている流体充填用容器本体の一部に、吐出口が設けられるようになっているところから、吐出口が柔らかく、変形し易いために、目的とする塗布場所に対して、その吐出口を押し当てたとき、かかる吐出口の先が潰れてしまい、内部に封入された接着剤等の粘性流体が押し出し難くなるといった問題が生じると共に、そのような柔らかな吐出口の形状が安定しないところから、例えば収容された接着剤等の流体をビード状に塗布する際に、その塗布量が安定せず、目視にて塗布量を確認することが困難となるといった問題をも内在するものであった。
また、接着剤等の高粘性流体を収容する容器として、特許第3845833号公報(特許文献2)においては、2枚のフィルム状材料の一端側にのみ第3のフィルム状材料を配して袋状に形成し、接着剤等の内容物を密封状態で収容してなるパウチと、そのパウチの第3のフィルム状材料部分に接着によって取り付けられる取出口とからなる容器が、明らかにされている。このような容器にあっては、所定の押出ガンに装填せしめて、ピストンによりパウチを変形させることによって、容器内の内容物を所要量ずつ押し出しながら、使用されることとなるのであるが、硬質の筒状の取出口(押出ノズル)を塗布する位置に対して容易に位置決めすることが出来ると共に、柔軟なフィルム状材料によって容器本体部が形成されているために、内容物をほぼ余すことなく押し出すことが可能となり、また使用後(内容物を取り出した後)においては、容器の嵩を小さくすることが出来ることとなって、その処理に要する費用を大幅に削減することが出来る利点がある。
しかしながら、そのような高粘性流体を収容する容器にあっては、パウチ(容器)の外側から、押出ノズルを形成する部材(取出口)が接着によって取り付けられるようになっているところから、容器内部から流体を絞り出すにあたって、かかる容器に圧力をかけたときに、その内圧で、パウチと押出ノズルの接合部に圧力がかかり、パウチと取出口の間の接合(接着)が外れて、穴が開いてしまい、そこから、内容物が漏れてしまうといった問題を内在しているのである。
そこで、本願出願人は、そのような問題を解決するために、実用新案登録第3109689号公報において、可撓性の積層フィルムから構成される筒状の容器本体部の一端側に先細形状のノズル部を一体に形成し、該ノズル部の内周面に、該ノズル部に対応した先細形状とされ且つ先端が開口した筒形状を呈する剛性部材を固着せしめて、かかるノズル部の自由な変形が阻止され得るようにした流体充填用容器を明らかにした。このような流体充填用容器によれば、容器本体が可撓性の積層フィルムから形成されているところから、容器内部に収容された接着剤やシーリング剤等の流体を使い切った後、容器本体を容易に小さく圧縮せしめて、容器使用後の廃棄物の量を効果的に減少することが出来ることに加えて、容器本体部の一端側に円錐形状のノズル部が一体に形成され、そのようなノズル部の内周面に、該ノズル部に対応した形状で、先端が開口した筒形状を呈する剛性部材が固着せしめられているところから、容器本体と同じ可撓性を有したフィルム製のノズル部の自由な変形が効果的に阻止され得、以て、該ノズル部の先端を開口して形成される容器内部に収容された流体の吐出口を、流体の塗布面に対して、安定して押し当てることが可能となるのである。また、そのような剛性部材がノズル部の内周面に固着されているところから、容器内に収容された流体を絞り出すために、容器本体に圧力を加えた際にも、従来の、容器の外側からノズル部材を接着した容器のように、ノズル部材の接続が外れて、穴が開いてしまうといった問題も、効果的に解消せしめられ得ることとなる。
ところで、そのような構成とされた流体充填用容器にあっては、ノズル部の内周面に固着された剛性部材によって、容器のノズル部(吐出口)を塗布面に対して安定して押し当てることが出来るようにはなるものの、その塗布面に押し当てられる吐出口形状は、先細の筒形状とされた剛性部材の形状、換言すれば、筒形状の先端部に開口する一定の穴形状に限られることとなる。即ち、容器から押し出される流体が、剛性部材の先端穴の大きさに対応した一定の太さと形状において、ビード状(線状)に1本の筋となって、塗布面に塗り付けられることとなるのである。しかしながら、作業状況によっては、そのような1本筋の塗り付け形態以外にも、一度に複数の小さな筋が形成されるように塗り付けたり、薄く幅広に塗り広げたりと、色々な塗布形態が要請されるところから、そのような各種の塗布形態に容易に対応出来る流体充填用容器が、望まれているのである。
また、かかる流体充填用容器にあっては、作業時に容器を開封して、内部に封入された接着剤等の流体を必要量だけ取り出した後に、容器内部に流体が残っていても、容器を再度密閉して、次の作業時まで外気と遮断して保存することは、困難なことであった。例えば、フィルム製のノズル部の先端をカットすることで、開口した場合において、その開口部位に、粘着テープ等を貼り付けることにより、容器を再度密閉することは可能ではあるが、そのような密閉形態では、外気との遮断が不完全であったり、また、そのような手段によって開封や密閉を繰り返すには、余計な手間がかかり、作業性を悪化させてしまう恐れがある。そのため、一度開封した流体充填用容器でも、容易に再密封して、内部に収容された接着剤等の流体を、外気と確実に遮断することが出来るようにすることも、望まれているのである。
特開平10−14519号公報
特許第3845833号公報
実用新案登録第3109689号公報
ここにおいて、本考案は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、容器に設けられた吐出口を塗布位置へと容易に位置決め可能とし、容器に封入された流体の容器からの吐出量(塗布位置への塗布量)を安定して保つことを可能とすると共に、かかる吐出口の形状を、塗布作業の内容に合わせて容易に変更可能とした流体充填用容器を提供することにある。
そして、本考案にあっては、そのような課題を解決するために、筒状の容器本体部の一端側に、先細形状のノズル部が一体に形成され、該ノズル部の先端を開口せしめることによって、収容流体が吐出させられ得るようにした、可撓性の積層フィルムから構成される流体充填用容器にして、前記ノズル部に対応した先細形状であって、且つ先端が開口した筒形状を呈する剛性部材を、該ノズル部内に挿入位置せしめて、該剛性部材の基端部において該ノズル部の内周面に固着させてなると共に、該剛性部材の該ノズル部に対する固着部位よりも先端側の外周面にネジ部を設けて、該ノズル部が取り除かれて該剛性部材が露出せしめられた際に、該剛性部材に、所定のノズル口を有する交換ノズル部材を外挿して、該交換ノズル部材が該剛性部材の前記ネジ部に螺着せしめられ得るようにしたことを特徴とする流体充填用容器を、その要旨とするものである。
なお、本考案に従う流体充填用容器の望ましい態様の一つによれば、前記ノズル部が円錐形状を呈している一方、前記剛性部材が截頭円錐筒形状を呈している。
また、このような本考案に従う流体充填用容器の望ましい態様の他の一つによれば、前記積層フィルムがヒートシール性を有し、該積層フィルムからなる前記ノズル部の内周面が、前記剛性部材に加熱接着せしめられることとなる。
さらに、本考案の他の好ましい態様の一つにあっては、前記ノズル部に対応する三角形部が前記容器本体部に対応する矩形部の対応する辺部の一つに一体的に形成されてなる五角形状の積層フィルムを用い、該積層フィルムの2枚を重ね合わせて、その周縁部を所定幅において互いに固着せしめることによって、前記ノズル部と前記容器本体部が形成されるようになっている。
更にまた、本考案に従う流体充填用容器の望ましい態様の別の一つにあっては、前記容器本体部の他端側となる底部が、所定の流体の収容のために開口せしめられており、また、前記容器本体部の開口された底部から前記収容流体が収容された状態下において、かかる底部が封止せしめられている。
加えて、かかる本考案に従う流体充填用容器の望ましい態様の更に別の一つによれば、前記剛性部材のネジ部に対して、キャップ部材を螺着せしめることによって、該剛性部材の先端開口が外気から遮断され得るようになっている。
要するに、このような本考案に従う流体充填用容器によれば、容器本体が可撓性の積層フィルムから形成されているところから、容器内部に収容された接着剤やシーリング剤等の粘性流体を使い切った後、そのような柔らかいフィルム製の容器本体を、容易に小さく圧縮せしめることが可能となり、容器を使用した後の廃棄物の量を、従来の金属製の容器等よりも、効果的に減少することが出来ることに加えて、筒状とされた容器本体部の一端側に円錐形状のノズル部が一体に形成され、該ノズル部の先端を開口せしめることによって、収容流体が吐出せしめられるようにされているところから、容器本体に別体として形成されたノズル部材等を取り付けて、吐出口を形成する必要がないため、かかる流体充填用容器を製造する際の工数を有利に簡略化することが可能となると共に、その製造コストも効果的に減少せしめることが出来る。しかも、このように容器本体の端部に、容器内部に封入された流体を絞り出す吐出口が形成されるようになっているところから、容器から内部の流体を絞り出す為に、作業者が容器本体部を持った際に、内容物が作業者の手等に付着してしまうようなことも、有利に回避され得るのである。
また、かかる本考案に従う流体充填用容器にあっては、前記した容器本体の一端側に形成された先細形状のノズル部の内周面に、該ノズル部に対応した形状で、先端が開口した筒形状を呈する剛性部材が固着せしめられているところから、容器本体と同じ可撓性を有したフィルム製のノズル部の自由な変形が効果的に阻止され得ることとなり、以て、該ノズル部の先端を開口して形成される容器内部に収容された流体の吐出口を、流体の塗布面に対して、安定して押し当てることが可能となるのである。しかも、そのような吐出口の形状が、先細の筒形状を呈する剛性部材によって、安定して一定に保たれていることによって、収容流体の吐出方向を一定させることが出来ることに加えて、吐出口から流出する流体の量、換言すれば、容器内部から塗布面に対して塗り付けられる流体の塗布量を、安定して一定量に保つことが可能となるのである。
さらに、剛性部材が、ノズル部の内周面に固着されているところから、容器内に収容された流体を絞り出すために、容器本体に圧力を加えた際にも、従来の、容器の外側からノズル部材を貼着した容器のように、貼着部にかかる圧力によってノズル部材が外れて穴が開いてしまい、内部に封入された流体が、その穴から漏れてしまうといった問題も、効果的に解消せしめられ得ることとなる。
しかも、そのような剛性部材の外周面には、ネジ部が設けられているところから、容器本体のノズル部が取り除かれて、剛性部材が外部に露出せしめられた際に、別の形態のノズル口を有する交換ノズル部材を剛性部材に外挿して、剛性部材の外周面に設けられたネジ部に螺着することで、流体充填用容器に対して、所望の交換ノズル部材を容易に取り付けたり、取り外したりすることが可能となっている。従って、そのような容易に脱着可能とされた交換ノズル部材を、作業に合わせた形状とされたノズル形状のものに交換することが出来るようになっているところから、容器内の接着剤等の粘性流体を塗布面に対して吐出する際の作業性を、効果的に向上することが可能となるのである。また、そのようにして取り付けられる交換ノズル部材として、先端が閉じた交換ノズル部材であるキャップ部材を用いるようにすることにより、一度開封した流体充填用容器を再密封し、内部に残存した流体を外気と遮断して、保存をすることが可能となるという効果を、発揮せしめることも可能となるのである。
以下、本考案を更に具体的に明らかにするために、本考案の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本考案に従う流体充填用容器の一例が、内部に接着剤等の所定の粘性流体を収容せしめた状態において、その平面形態で示されており、更に、図2の(a)及び(b)には、かかる図1におけるA−A断面及びB−B断面が、それぞれ、示されている。そして、それらの図より明らかな如く、容器10は、ヒートシール性を有する2枚のシート12,12の周縁部が、加熱シール(ヒートシール)されることによって閉塞されて(貼り付けられて)、内部に所定の粘性流体14が充填され得る袋状の容器として、形成されているのである。
より詳細には、容器10は、アルミニウム箔とポリエチレン等の合成樹脂層とが積層された、ヒートシール性を有する可撓性の積層フィルムからなるシート12を用いて、形成されている。そして、かかる容器10は、目的とする流体充填用容器の外形を与えるように、ここでは、長手の矩形部の一つの辺部に三角形部が一体的に形成されてなる構造の細長な五角形形状にカットされた2枚のシート12,12を重ね合わせて、それらシート12,12の周縁部を、全周に亘って所定幅においてヒートシールすることにより、ヒートシール部16(16a,16b)を形成して、内部に接着剤等の所定の流体を封入可能とした、流体充填容器として形成されているのである。
そして、かかる容器10は、重ね合わされた五角形形状のシート12,12の、長手の矩形形状部から形成される容器本体部18と、かかる矩形形状部の対応する辺部の一つに一体的に形成されている三角形形状部から形成されるノズル部20にて構成されている。なお、そのような容器本体部18は、シート12,12の矩形形状部分の、周縁部がヒートシールされて、袋状とされているところから、容器内部に流体を封入した際は、図2(b)に示される如く、略円柱乃至は楕円柱形状を呈することとなり、また、容器10の軸方向(図1において横方向)の一方の端部に形成されるノズル部20は、その先端に向かうに従って縮径された、次第に先細の円錐突起形状を呈することとなる。
また、そのような容器10内部のノズル部20部分、換言すれば、容器10のノズル部20の内周面には、図1や図2(a)にも示される如く、樹脂等の剛性を有する材料にて構成され、該ノズル部20の内周面形状に対応した形状とされた、剛性部材としてのノズル部品22が、該ノズル部品22の外周面とノズル部20を形成するシート12の内周面とが加熱接着せしめられてなる形態において、固定されている。このようなノズル部品22は、図3の(a),(b)及び(c)に示されるように、所定厚さをもった円錐形筒体の先端が切り取られて、開口せしめられてなる截頭円錐筒形状を呈しており、先端側の開口部24と基端側の基端部26との間の外周面の一部、より詳細には、ノズル部20に対して加熱接着されることとなる基端部26よりも先端側の部位の一部に、所定のピッチにおいてネジ山が形成されたネジ部28が設けられて、後述する交換ノズル部材が、かかるネジ部28に螺着せしめられ得るようになっている。そして、そのようなノズル部品22が、容器10のノズル部20の内周面に対して接着固定されていることで、容器10内に収容された流体は、かかる円錐筒体形状のノズル部品22内を通過した後、開口部24を通じてノズル部20の先端に導かれるようになっている。
ところで、このような構成とされた容器10は、例えば、以下のような手順によって、製作されることとなる。即ち、先ず、上述したように、長手の矩形部の一つの辺部に三角形部が一体的に形成されてなる構造の細長な五角形形状にカットされた2枚のシート12,12を準備し、それらを重ね合わせた後に、それらシート12,12の周縁部を、前記三角形部が設けられていない矩形部の対応する他方の辺部(容器の底部に相当する)を残して、全周に亘って所定幅においてヒートシールすることにより、ヒートシール部16aを形成して、袋状となるように形成する。そして、そのような袋状に形成されたシート12,12の、三角形形状部から構成されるノズル部20の内側部分に、ノズル部品22を配置した後に、かかるノズル部品22の外周面(基端部26)とノズル部20を形成するシート12,12の内周面とを加熱接着することによって、加熱接着部30を形成して、容器10のノズル部20にノズル部品22を接着固定する。その後、容器10を構成するシート12,12の周縁部のうち、ヒートシールせずに残された辺部(容器底部)、つまり、袋状体の開口部から容器10内に粘性流体14を充填した後に、かかる辺部を、所定幅においてヒートシールすることによって、ヒートシール部16bを形成し、袋状体の開口部を閉塞し、密封することで、容器内に接着剤等の所定の粘性流体が封入された、流体充填容器としての容器10とされるのである。
そして、このような構成とされた容器10に収容された粘性流体14は、ノズル部20を形成するシート12の先端部を、はさみ等の刃物で切断することによって、図4(a)に示される如く、密封された容器10を開封して、ノズル部品22の先端部が露出するようにした後、容器10の本体部18を押圧して容器10に圧力を加えることにより、ノズル部品22の開口部24を通じて、容器10内部から押し出されることとなるのである。
しかも、かかる容器10においては、図4(b)に示されるように、ノズル部品22のネジ部28が外部に露出した状態となるようにノズル部20のシート12を切り取って、換言すれば、加熱接着部30よりも先端側のノズル部20を構成するシート12部分を切り取って、密封された容器10を開封することが出来る。そして、そのようにネジ部28が外部に露出するように容器10を開封することにより、各種の交換ノズル部材をノズル部品22に外挿し、かかるネジ部28に対して螺着することによって取り付けることが可能となるのである。
なお、このように取り付けられる交換ノズル部材としては、公知の各種のものが使用可能であるが、例えば、図5(a)〜(d)に示されるような形状のものを、その一例として挙げることが出来る。かかる図5に示された交換ノズル40にあっては、円筒形状の取付部42と、この取付部42から円筒形状で立ち上がると共に、先端に向かうに従って扁平な略角柱形状となるノズル形状部44とから構成されており、取付部42の内周面には、ノズル部品22のネジ部28に対応した形状の雌ネジ部48が形成され、更に、ノズル形状部44の先端部位には、4つのノズル口46が設けられている。このような形状の交換ノズル40を用いることによって、ノズル部品22の開口部24を通じて容器10内部から押し出された粘性流体14が、ノズル部品22に外挿された交換ノズル40のノズル口46を通過して、ここでは、4つのノズル口46から塗布面に対して塗布されるようになるのである。
このように、本考案に従う容器10にあっては、ヒートシール性を有するシートを所定形状にカットし、それの必要個所を加熱シールするのみで、容器10が形成されるようになっているところから、容易に、所望の形状や大きさの流体充填用容器を形成することが可能となるのである。そして、容器10内に封入された粘性流体14の取出口が形成される、先細形状とされたノズル部20に、容器10の本体を形成するシート12よりも剛性の高い材質にて形成されたノズル部品22が、その内周面に加熱接着されているところから、ノズル部20の自由な変形が効果的に阻止され得ることとなり、かかるノズル部20、換言すれば、容器10内の粘性流体14が吐出されるノズル部品22の開口部24を、塗布面に対して安定して押し当てることが出来るようになるのである。更に、ノズル部20の形状が、かかる剛性を有したノズル部品22によって、安定して保たれていることによって、容器10に収容された粘性流体14の吐出方向を安定して保つことが出来ると共に、容器10から絞り出される粘性流体14の量、つまり、容器10の内部から塗布面に対して塗り付けられる粘性流体14の塗布量を、安定して一定量に保つことが可能となる。
しかも、かかる容器10においては、ノズル部品22の外周面にネジ部28が形成されて、このネジ部28を用いて、容器10に対して各種の交換ノズル部材を容易に取り付け可能となっているところから、ノズル形状を作業状況に合わせることが出来、以て、容器10を用いた流体の塗布作業の作業性を、効果的に向上することが可能となるのである。更に、そのようなネジ部28に対して、ノズル部材22を覆蓋するキャップ部材も容易に取り付けることが出来るところから、開封してしまった容器10内に粘性流体14が残っている場合でも、簡単に且つ確実に蓋をして、粘性流体14を外気と遮断して保存することが可能となるのである。
また、このように、容器10の本体部18の端部に、容器10内に封入された粘性流体14を絞り出すための取出口(吐出口)が形成されるようになっているので、容器10から粘性流体14を絞り出す為に、作業者が容器10の本体部18を持った際に、その内容物(粘性流体14)が作業者の手等に付着してしまうようなことも、有利に回避され得るのである。
更にまた、ノズル部品22が、ノズル部20の内周面、つまり容器10の内部に固着されているところから、容器10に圧力が加えられた際にも、従来の、容器の外側からノズル部材を貼着した容器のように、貼着部にかかる圧力によってノズル部材が外れて穴が開いてしまい、内部に封入された流体が、その穴から漏れてしまうといった問題も、効果的に解消せしめられ得ることとなる。しかも、かかるノズル部20が円錐形状とされていると共に、ノズル部品22も、そのようなノズル部20の形状に対応した截頭円錐筒形状とされているところから、それらを加熱接着する際に、ノズル部20の内周面とノズル部品22の外周面とが効果的に接触せしめられ、加熱接着が確実に行われ得るようになっていることに加えて、加工性や一体化に優れているのである。また、かかるノズル部20をカットする部位を変化させて、その内部のノズル部品22の先端部も合わせて切断するようにすることよって、容易に開口径を変えることが出来るという利点も、発揮されることとなるのである。
以上、本考案の代表的な実施形態の一つについて詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本考案は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、容器10を形成するシート12は、可撓性のヒートシール性を有するシートであれば、公知の各種のシートが使用可能であり、前述した実施の形態にて明らかにしたもののほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル等の各種の合成樹脂製のシートや、或いはこれらを組み合わせて積層したシート、更には、アルミニウム箔とこれらの合成樹脂の層とを積層せしめた複合シート等が、その流体充填用容器の用途に応じて、適宜選択されて、用いられることとなる。また、その大きさや厚みにおいても、任意のものが使用され得るのである。
また、例示した実施の形態においては、所定形状にカットした2枚のシート12,12を重ね合わせて、それらの周縁部をそれぞれ加熱シールして袋状とし、容器10を形成していたが、1枚のヒートシール性を有するシートを筒状に形成し、その両端部をヒートシールして、目的とする容器10を形成してもよく、或いは例示した2枚のシートよりも多い枚数のシートを用いて、それらを加熱シールせしめることによって、袋状体を形成し、かかる袋状体から、本考案に従って、容器10を形成することも、勿論可能である。
さらに、容器10の外形形状も、例示したものの他、各種の公知の形状が適宜に選択されて、採用され得ると共に、吐出口が設けられるノズル部の形状も、流体充填用容器の使用される現場にあわせて、各種の形状が採用されることとなり、例えば、図6に示す如き形状とすることも、可能である。
加えて、例示の具体例では、ノズル部20は、加工が容易である、ノズル部品22との一体化が容易であることに加えて、カット位置を変えることによって開口径を自由に変えることの出来る等の利点を有する円錐形状とされていたが、勿論、円錐形以外の、公知のノズル形状を採用することが可能である。また、ノズル部品22は、その外周面がノズル部20の内周面形状に対応した形状となるように、樹脂や金属等の容易に変形しない筒状構造を与える剛性材料を用いて、公知の成形手法に従って形成される筒状の剛性部材からなるものであるが、特に、ノズル部20とのヒートシールが容易に行なわれ得るように、それらノズル部品22の外周面(接着面)とノズル部20の内面(接着面)は、同材質の材料、中でも樹脂にて形成されることが望ましい。
その他、一々列挙はしないが、本考案が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施されるものであり、またそのような実施の態様が、本考案の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本考案の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。