JP3154564B2 - モノクローナル抗体の改変方法 - Google Patents
モノクローナル抗体の改変方法Info
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- Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はモノクローナル抗体の
改変方法に関するものである。さらに詳しくは、この発
明は、結合性の高いヒト型モノクローナル抗体の取得を
も可能とする、新しいモノクローナル抗体の抗原結合性
の改変方法に関するものである。
改変方法に関するものである。さらに詳しくは、この発
明は、結合性の高いヒト型モノクローナル抗体の取得を
も可能とする、新しいモノクローナル抗体の抗原結合性
の改変方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、各種の診断薬やド
ラッグデリバリーシステムにおける担体等として有用な
モノクローナル抗体の様々な種類のものが開発され、そ
の抗原特異性の検討や、応用等の試みが進められてい
る。しかしながら、ヒト型モノクローナル抗体は医薬と
して期待の高い生理活性物質の一つであるが、マウス型
抗体等を取得する場合と異なり、抗原感作により積極的
に特異性親和性の高い抗体を取得することは困難であ
る。従ってこれまでのところ必ずしも結合性の高いヒト
型モノクローナル抗体が取得できているとは言い難いの
が実情である。
ラッグデリバリーシステムにおける担体等として有用な
モノクローナル抗体の様々な種類のものが開発され、そ
の抗原特異性の検討や、応用等の試みが進められてい
る。しかしながら、ヒト型モノクローナル抗体は医薬と
して期待の高い生理活性物質の一つであるが、マウス型
抗体等を取得する場合と異なり、抗原感作により積極的
に特異性親和性の高い抗体を取得することは困難であ
る。従ってこれまでのところ必ずしも結合性の高いヒト
型モノクローナル抗体が取得できているとは言い難いの
が実情である。
【0003】このような状況において、この発明の発明
者は、従来のモノクローナル抗体の開発やその機能につ
いての検討において、抗体に結合している糖鎖には全く
注意が払われてこなかったことに注目し、この結合糖鎖
の役割について検討を進めてきた。その結果、モノクロ
ーナル抗体、特にヒト型モノクローナル抗体の抗原結合
性は、この糖鎖構造に依存しているとの知見を得た。
者は、従来のモノクローナル抗体の開発やその機能につ
いての検討において、抗体に結合している糖鎖には全く
注意が払われてこなかったことに注目し、この結合糖鎖
の役割について検討を進めてきた。その結果、モノクロ
ーナル抗体、特にヒト型モノクローナル抗体の抗原結合
性は、この糖鎖構造に依存しているとの知見を得た。
【0004】そこで、この発明は、上記の通りの従来技
術の限界を克服し、この抗体に結合する糖鎖に注目する
ことによって、より抗原結合性の高いモノクローナル抗
体を生成させることのできる新しい技術手段を提供する
ことを目的としている。
術の限界を克服し、この抗体に結合する糖鎖に注目する
ことによって、より抗原結合性の高いモノクローナル抗
体を生成させることのできる新しい技術手段を提供する
ことを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、
上記の通りの課題を解決するものとして、モノクローナ
ル抗体産生株から分離したレクチン耐性株の糖鎖合成変
異ハイブリドーマにより抗原結合性を変異させたモノク
ローナル抗体を産生させることを特徴とするモノクロー
ナル抗体の改変方法を提供する。
上記の通りの課題を解決するものとして、モノクローナ
ル抗体産生株から分離したレクチン耐性株の糖鎖合成変
異ハイブリドーマにより抗原結合性を変異させたモノク
ローナル抗体を産生させることを特徴とするモノクロー
ナル抗体の改変方法を提供する。
【0006】そしてまた、この発明は、モノクローナル
抗体、特に上記の改変したモノクローナル抗体をグリコ
シダーゼ処理によって糖鎖刈り込みし、さらに抗原結合
性を変異させることを特徴とするモノクローナル抗体の
改変方法をも提供するものである。この方法によって、
抗原特異性が認識されつつもその結合性に大きな問題が
あったモノクローナル抗体や、抗原特異性そのものの変
異が期待されるモノクローナル抗体、特に、ヒト型モノ
クローナル抗体について、実用的な診断薬やドラッグデ
リバリーシステムのミサイル療法等に有用な改変が可能
となる。
抗体、特に上記の改変したモノクローナル抗体をグリコ
シダーゼ処理によって糖鎖刈り込みし、さらに抗原結合
性を変異させることを特徴とするモノクローナル抗体の
改変方法をも提供するものである。この方法によって、
抗原特異性が認識されつつもその結合性に大きな問題が
あったモノクローナル抗体や、抗原特異性そのものの変
異が期待されるモノクローナル抗体、特に、ヒト型モノ
クローナル抗体について、実用的な診断薬やドラッグデ
リバリーシステムのミサイル療法等に有用な改変が可能
となる。
【0007】モノクローナル抗体に結合する糖鎖に着目
し、新しい技術手段を切拓いたこの発明は、今後のモノ
クローナル抗体技術にとって極めて重要な、かつ、画期
的な手段を提供すると言ってよい。もちろん、対象とす
るモノクローナル抗体の種類には限定はない。抗体に結
合する糖鎖の認識によって、その改変は、目的と応用の
いかんによって具体的条件、プロセスが適宜に決定され
る。
し、新しい技術手段を切拓いたこの発明は、今後のモノ
クローナル抗体技術にとって極めて重要な、かつ、画期
的な手段を提供すると言ってよい。もちろん、対象とす
るモノクローナル抗体の種類には限定はない。抗体に結
合する糖鎖の認識によって、その改変は、目的と応用の
いかんによって具体的条件、プロセスが適宜に決定され
る。
【0008】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発
明の方法と、改変されたモノクローナル抗体について説
明する。
明の方法と、改変されたモノクローナル抗体について説
明する。
【0009】
【実施例】実施例1 (糖鎖合成変異ハイブリドーマ)モノクローナル抗体と
しては、肺ガン特異的モノクローナル抗体であるHB4
C5およびHF10B4の亜株であるC5TNおよびB
4TNを選択した。
しては、肺ガン特異的モノクローナル抗体であるHB4
C5およびHF10B4の亜株であるC5TNおよびB
4TNを選択した。
【0010】このC5TNおよびB4TN抗体は抗原特
異性が明かとなっているヒト型モノクローン抗体であ
り、これら抗体のライトチェーンは、図1に示す様に、
ヒト血清Igのライトチェーンと比較して分子サイズが
大きく、また、N−グリコシド糖鎖合成を阻害するツニ
カマイシン(TM)処理により分子サイズが低下すると
いう特徴を有している。このことは、これら抗体のライ
トチェーンにはN−グリコシド糖鎖が結合していること
を示している。通常、抗体ライトチェーンには糖鎖は結
合していないとされてきたことから、ライトチェーンに
糖鎖が結合していることは非常にユニークなことであ
る。また、C5TN抗体に関しては、ライトチェーンの
一次構造解析を行った。
異性が明かとなっているヒト型モノクローン抗体であ
り、これら抗体のライトチェーンは、図1に示す様に、
ヒト血清Igのライトチェーンと比較して分子サイズが
大きく、また、N−グリコシド糖鎖合成を阻害するツニ
カマイシン(TM)処理により分子サイズが低下すると
いう特徴を有している。このことは、これら抗体のライ
トチェーンにはN−グリコシド糖鎖が結合していること
を示している。通常、抗体ライトチェーンには糖鎖は結
合していないとされてきたことから、ライトチェーンに
糖鎖が結合していることは非常にユニークなことであ
る。また、C5TN抗体に関しては、ライトチェーンの
一次構造解析を行った。
【0011】この解析によって、抗体可変領域中でも特
に抗体の抗原認識に重要な領域、CDR−1にN−グリ
コシド糖鎖結合配列が認められたことから、この部分に
糖鎖が結合していることが明らかになった。抗原結合領
域に、本来存在しない糖鎖が存在することから、糖鎖が
これら抗体の抗原結合性に重要な役割をになっていると
言える。
に抗体の抗原認識に重要な領域、CDR−1にN−グリ
コシド糖鎖結合配列が認められたことから、この部分に
糖鎖が結合していることが明らかになった。抗原結合領
域に、本来存在しない糖鎖が存在することから、糖鎖が
これら抗体の抗原結合性に重要な役割をになっていると
言える。
【0012】そこで、抗体を産生する細胞自体の糖鎖合
成が変異していればその細胞の合成する抗体の糖鎖構造
も変異していると考えられることから、糖鎖合成変異株
をレクチンの持つ細胞毒性を利用して分離した。レクチ
ンはコンカナバリンA(以下、ConAと略す)とし、
まず1μg/mlのConAを含む無血清培地に1×1
06 /mlの細胞を植付け、2週間培養して生き残った
細胞を分離した。分離した細胞のなかにはConAを含
まない培地で継代後、再びConA含有培地で培養する
と死滅するクローンが多数存在したので、得られたクロ
ーンを2μg/ml濃度のConA含有培地で2週間か
けて選択し、生き残った株をConA耐性株とした。こ
うして、C5TNでは2クローン、B4TNでは3クロ
ーンのConA耐性株を得た。実施例2 (抗原結合性変異モノクローナル抗体)実施例1によっ
て得たB4TN−ConA耐性株からモノクローナル抗
体を産生させた。図2は、B4TNおよびそのConA
耐性株の産生する抗体をSDS−PAGE後、ウエスタ
ンプロットし、ライトチェーンのみを抗ライトチェーン
抗体で検出したものである。B4TN抗体のライトチェ
ーンの分子サイズと比較してわかるように、ConA耐
性株から得られた抗体のライトチェーンは、クローンご
とにサイズが異なっていた。
成が変異していればその細胞の合成する抗体の糖鎖構造
も変異していると考えられることから、糖鎖合成変異株
をレクチンの持つ細胞毒性を利用して分離した。レクチ
ンはコンカナバリンA(以下、ConAと略す)とし、
まず1μg/mlのConAを含む無血清培地に1×1
06 /mlの細胞を植付け、2週間培養して生き残った
細胞を分離した。分離した細胞のなかにはConAを含
まない培地で継代後、再びConA含有培地で培養する
と死滅するクローンが多数存在したので、得られたクロ
ーンを2μg/ml濃度のConA含有培地で2週間か
けて選択し、生き残った株をConA耐性株とした。こ
うして、C5TNでは2クローン、B4TNでは3クロ
ーンのConA耐性株を得た。実施例2 (抗原結合性変異モノクローナル抗体)実施例1によっ
て得たB4TN−ConA耐性株からモノクローナル抗
体を産生させた。図2は、B4TNおよびそのConA
耐性株の産生する抗体をSDS−PAGE後、ウエスタ
ンプロットし、ライトチェーンのみを抗ライトチェーン
抗体で検出したものである。B4TN抗体のライトチェ
ーンの分子サイズと比較してわかるように、ConA耐
性株から得られた抗体のライトチェーンは、クローンご
とにサイズが異なっていた。
【0013】ここには示していないが、これらクローン
をツニカマイシン処理してN−グリコシド糖鎖の結合を
阻害すると分子サイズが同一のライトチェーンが得られ
たことから、こうしたサイズの相違はライトチェーンに
結合した糖鎖構造の違いを反映しているものと考えられ
る。次にこれら抗体の抗原との結合性をELISA法を
用いて検討した。
をツニカマイシン処理してN−グリコシド糖鎖の結合を
阻害すると分子サイズが同一のライトチェーンが得られ
たことから、こうしたサイズの相違はライトチェーンに
結合した糖鎖構造の違いを反映しているものと考えられ
る。次にこれら抗体の抗原との結合性をELISA法を
用いて検討した。
【0014】その結果を示したものが図3(a)(b)
(c)である。図3中で白丸で示したB4TN抗体は、
牛カルボキシペプチダーゼA(Cpase A)、カン
ジダチトクロームC(Cyt C)、二本鎖DNA(d
s DNA)と結合する。一方、黒で示したB4TN−
ConA耐性株の産生する抗体は、クローン間で、抗原
結合性が著しく異なっていた。黒四角で示したクローン
A抗体は、B4TNと比較して分子サイズの小さなライ
トチェーンからなる抗体である。この抗体はカルボキシ
ペプチダーゼAとの結合力はコントロールに比べ低い
が、シトクロームCに対する結合力は約30倍高い値を
示した。しかしながら、二本鎖DNAとは全く結合しな
かた。
(c)である。図3中で白丸で示したB4TN抗体は、
牛カルボキシペプチダーゼA(Cpase A)、カン
ジダチトクロームC(Cyt C)、二本鎖DNA(d
s DNA)と結合する。一方、黒で示したB4TN−
ConA耐性株の産生する抗体は、クローン間で、抗原
結合性が著しく異なっていた。黒四角で示したクローン
A抗体は、B4TNと比較して分子サイズの小さなライ
トチェーンからなる抗体である。この抗体はカルボキシ
ペプチダーゼAとの結合力はコントロールに比べ低い
が、シトクロームCに対する結合力は約30倍高い値を
示した。しかしながら、二本鎖DNAとは全く結合しな
かた。
【0015】黒三角で示したクローンB抗体は、シトク
ロームCとほぼ同じ結合性を示したが、カルボキシペプ
チダーゼAに対する結合性は低く、二本鎖DNAとは全
く結合しなかった。クローンB抗体よりも小さなライト
チェーンからなるクローンC抗体はいずれの物質ともあ
まり結合しなかった。こうした特異性の変化が、糖鎖構
造の変異によるものかを検討するために、ツニカマイシ
ン処理によりN−グリコシド糖類freeの抗体を取得
し、その結合性を検討した。その結果は図4(a)
(b)(c)に示した通り、いずれの抗体も結合性が低
下しながらも、同様の結合性を示した。このことから、
こうした特異性の変化はペプチドレベルの変異ではな
く、糖鎖構造の違いによるものであることが明らかであ
る。実施例3 (抗原結合性変異モノクローナル抗体)実施例1によっ
て得たC5TN−ConA耐性株からモノクローナル抗
体を産生させた。
ロームCとほぼ同じ結合性を示したが、カルボキシペプ
チダーゼAに対する結合性は低く、二本鎖DNAとは全
く結合しなかった。クローンB抗体よりも小さなライト
チェーンからなるクローンC抗体はいずれの物質ともあ
まり結合しなかった。こうした特異性の変化が、糖鎖構
造の変異によるものかを検討するために、ツニカマイシ
ン処理によりN−グリコシド糖類freeの抗体を取得
し、その結合性を検討した。その結果は図4(a)
(b)(c)に示した通り、いずれの抗体も結合性が低
下しながらも、同様の結合性を示した。このことから、
こうした特異性の変化はペプチドレベルの変異ではな
く、糖鎖構造の違いによるものであることが明らかであ
る。実施例3 (抗原結合性変異モノクローナル抗体)実施例1によっ
て得たC5TN−ConA耐性株からモノクローナル抗
体を産生させた。
【0016】図5は、SDS−PAGE後、ウエスタン
プロットしたものである。また、実施例2と同様にして
抗体結合性を評価した。図6(a)(b)(c)および
図7(a)(b)(c)はその結果を示したものであ
る。コントロール抗体はいずれの物質とも結合するが、
これに対し、ConA耐性株によって産生された分子サ
イズの小さなライトチェーンを有する黒四角で示したク
ローンB抗体は、カルボキシペプチダーゼAに対する結
合性は約10分の1に低下しているものの、シトクロー
ムCとは逆に高い結合性を示した。さらに二本鎖DNA
とは全く結合しなかった。
プロットしたものである。また、実施例2と同様にして
抗体結合性を評価した。図6(a)(b)(c)および
図7(a)(b)(c)はその結果を示したものであ
る。コントロール抗体はいずれの物質とも結合するが、
これに対し、ConA耐性株によって産生された分子サ
イズの小さなライトチェーンを有する黒四角で示したク
ローンB抗体は、カルボキシペプチダーゼAに対する結
合性は約10分の1に低下しているものの、シトクロー
ムCとは逆に高い結合性を示した。さらに二本鎖DNA
とは全く結合しなかった。
【0017】一方、分子サイズの若干大きなライトチェ
ーンを有する黒三角で示したクローンA抗体はいずれの
物質とも全く結合しなかった。この全く結合のないクロ
ーンA抗体もツニカマイシン処理により、図7(a)
(b)(c)に示した通り、N−グリコシド糖鎖を除去
するとカルボキシペプチダーゼAおよびシトクロームC
と他の抗体同様な結合力で結合した。
ーンを有する黒三角で示したクローンA抗体はいずれの
物質とも全く結合しなかった。この全く結合のないクロ
ーンA抗体もツニカマイシン処理により、図7(a)
(b)(c)に示した通り、N−グリコシド糖鎖を除去
するとカルボキシペプチダーゼAおよびシトクロームC
と他の抗体同様な結合力で結合した。
【0018】これらの結果は、糖鎖構造の違いが抗体特
異性に多大な影響を及ぼしていることを示している。実施例4 結合性を全く示さなかった実施例3のクローンA抗体と
オリジナル抗体であるC5TN抗体のライトチェーン
は、ノイラミニダーゼやハイマンノース型糖鎖に作用す
るエンドグリコシダーゼH処理により分子サイズが低下
することから、ライトチェーンに結合している糖鎖は図
8で代表される様なハイブリッド型糖鎖と推定した。
異性に多大な影響を及ぼしていることを示している。実施例4 結合性を全く示さなかった実施例3のクローンA抗体と
オリジナル抗体であるC5TN抗体のライトチェーン
は、ノイラミニダーゼやハイマンノース型糖鎖に作用す
るエンドグリコシダーゼH処理により分子サイズが低下
することから、ライトチェーンに結合している糖鎖は図
8で代表される様なハイブリッド型糖鎖と推定した。
【0019】そこで、ハイブリッド型糖鎖の刈りこみを
行うべく、オリジナル抗体のC5TN抗体とクローンA
抗体の両抗体を種々のエキソ及びエンドクリコシダーゼ
で処理し、糖鎖の刈り込みと、抗体結合性との関係を検
討した。その結果を示したものが、次の表1および表2
である。表中のNOは、図8にも示したが、次のものを
示している。
行うべく、オリジナル抗体のC5TN抗体とクローンA
抗体の両抗体を種々のエキソ及びエンドクリコシダーゼ
で処理し、糖鎖の刈り込みと、抗体結合性との関係を検
討した。その結果を示したものが、次の表1および表2
である。表中のNOは、図8にも示したが、次のものを
示している。
【0020】No.1:マンノシダーゼ処理 No.2:ノイラミニダーゼ処理 No.3:ガラクトシダーゼ処理 No.4:N−アセチルヘキソサミニダーゼ処理 No.5:エンドグリコシダーゼ処理
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】C5TN抗体では、マンノシダーゼ処理に
より、若干結合力が高まる程度であったが、ノイラミニ
ダーゼ処理によりいずれの物質に対する結合性が顕著に
増大した。一方これら物質と全く結合しなかったクロー
ンA抗体は、マンノシダーゼ処理では変化がなかったも
のの、ノイラミニダーゼ処理によりカルボキシペプチダ
ーゼA及びシトクロームCと結合するようになった。し
かしながら二本鎖DNAに対する結合性には全く変化が
なかった。ガラクトシダーゼ感受性を比較するとC5T
N抗体では若干の増大しか認められなかったものの、ク
ローンA抗体では一段と結合力が増大した。N−アセチ
ルヘキソサミニダーゼ処理では両抗体共に若干の増大に
留まった。また、エンドグリコシダーゼHによる糖鎖の
根元からの除去は若干の増大を示した程度であった。
より、若干結合力が高まる程度であったが、ノイラミニ
ダーゼ処理によりいずれの物質に対する結合性が顕著に
増大した。一方これら物質と全く結合しなかったクロー
ンA抗体は、マンノシダーゼ処理では変化がなかったも
のの、ノイラミニダーゼ処理によりカルボキシペプチダ
ーゼA及びシトクロームCと結合するようになった。し
かしながら二本鎖DNAに対する結合性には全く変化が
なかった。ガラクトシダーゼ感受性を比較するとC5T
N抗体では若干の増大しか認められなかったものの、ク
ローンA抗体では一段と結合力が増大した。N−アセチ
ルヘキソサミニダーゼ処理では両抗体共に若干の増大に
留まった。また、エンドグリコシダーゼHによる糖鎖の
根元からの除去は若干の増大を示した程度であった。
【0024】これらの結果から、糖鎖構造の微細な違い
が抗体特異性に多大な影響を及ぼし得ることが明かとな
った。
が抗体特異性に多大な影響を及ぼし得ることが明かとな
った。
【0025】
【発明の効果】以上のようにレクチン耐性株を取得し、
その中から目的とする物質に結合する抗体を産生してい
るハイブリドーマをスクリーニングすることにより、任
意の抗原特異的ヒト型モノクローナル抗体の取得が可能
となる。さらに、こうして得られた抗体を種々のグリコ
シダーゼで処理することにより、結合性、親和性のバリ
エーションを広げることが可能となる。
その中から目的とする物質に結合する抗体を産生してい
るハイブリドーマをスクリーニングすることにより、任
意の抗原特異的ヒト型モノクローナル抗体の取得が可能
となる。さらに、こうして得られた抗体を種々のグリコ
シダーゼで処理することにより、結合性、親和性のバリ
エーションを広げることが可能となる。
【図1】オリジナル抗体の例としてのC5TNとB4T
Nのライトチェーンのウエスタンプロット図である。
Nのライトチェーンのウエスタンプロット図である。
【図2】B4TNとそのConA耐性株の産生するモノ
クローナル抗体のライトチェーンのウエスタンプロット
図である。
クローナル抗体のライトチェーンのウエスタンプロット
図である。
【図3】(a)(b)(c)は、抗原結合性をELIS
A法によって評価した濃度相関図である。
A法によって評価した濃度相関図である。
【図4】(a)(b)(c)は、図3のもののツニカマ
イシン処理の結果を示した濃度相関図である。
イシン処理の結果を示した濃度相関図である。
【図5】C5TNとそのConA耐性株の産生するモノ
クローナル抗体のライトチェーンのウエスタンプロット
図である。
クローナル抗体のライトチェーンのウエスタンプロット
図である。
【図6】(a)(b)(c)は、抗原結合性の濃度相関
図である。
図である。
【図7】(a)(b)(c)は図6のものの、ツニカマ
イシン処理の結果を示した濃度相関図である。
イシン処理の結果を示した濃度相関図である。
【図8】ライトチェーンの糖鎖構成図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 21/08 A61K 39/395 BIOSIS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG)
Claims (6)
- 【請求項1】 モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ
株からレクチン耐性の糖鎖合成変異ハイブリドーマ株を
分離し、このレクチン耐性ハイブリドーマ株にモノクロ
ーナル抗体を産生させ、これらのモノクローナル抗体か
ら、非改変モノクローナル抗体と比較して抗原結合性が
強化した改変モノクローナル抗体を取得することを特徴
とするモノクローナル抗体の改変方法。 - 【請求項2】 モノクローナル抗体がヒトモノクローナ
ル抗体である請求項1の改変方法。 - 【請求項3】 請求項1または2の方法によって得ら
れ、非改変モノクローナル抗体と比較して抗原結合性が
強化した改変モノクローナル抗体。 - 【請求項4】 グリコシダーゼ処理によってモノクロー
ナル抗体の糖鎖刈り込みを行うことにより、非改変モノ
クローナル抗体と比較して抗原結合性が強化した改変モ
ノクローナル抗体を取得することを特徴とするモノクロ
ーナル抗体の改変方法。 - 【請求項5】 グリコシダーゼ処理するモノクローナル
抗体が、請求項1または2の方法により予め改変された
改変モノクローナル抗体である請求項4の改変方法。 - 【請求項6】 請求項4または5の方法によって得ら
れ、非改変モノクローナル抗体と比較して抗原結合性が
強化した改変モノクローナル抗体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23867492A JP3154564B2 (ja) | 1992-09-07 | 1992-09-07 | モノクローナル抗体の改変方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23867492A JP3154564B2 (ja) | 1992-09-07 | 1992-09-07 | モノクローナル抗体の改変方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0690782A JPH0690782A (ja) | 1994-04-05 |
JP3154564B2 true JP3154564B2 (ja) | 2001-04-09 |
Family
ID=17033632
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23867492A Expired - Lifetime JP3154564B2 (ja) | 1992-09-07 | 1992-09-07 | モノクローナル抗体の改変方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3154564B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ES2571230T3 (es) | 1999-04-09 | 2016-05-24 | Kyowa Hakko Kirin Co Ltd | Procedimiento para controlar la actividad de una molécula inmunofuncional |
PL218428B1 (pl) * | 2000-10-06 | 2014-12-31 | Kyowa Hakko Kogyo Kk | Komórka, sposoby wytwarzania przeciwciał, leki zawierające przeciwciała, komórka CHO i przeciwciało klasy IgG |
US6946292B2 (en) | 2000-10-06 | 2005-09-20 | Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. | Cells producing antibody compositions with increased antibody dependent cytotoxic activity |
BRPI0419274B8 (pt) * | 2004-11-05 | 2021-05-25 | Lead Chem Co Ltd | preparação não aquosa para absorção percutânea contendo analgésico não-esteroidal |
-
1992
- 1992-09-07 JP JP23867492A patent/JP3154564B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0690782A (ja) | 1994-04-05 |
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