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JP3080722B2 - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JP3080722B2
JP3080722B2 JP03269069A JP26906991A JP3080722B2 JP 3080722 B2 JP3080722 B2 JP 3080722B2 JP 03269069 A JP03269069 A JP 03269069A JP 26906991 A JP26906991 A JP 26906991A JP 3080722 B2 JP3080722 B2 JP 3080722B2
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film
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magnetic
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国博 上田
隆敬 古武家
研二 横山
保導 徳岡
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TDK Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は連続薄膜型の磁性層を有
する磁気記録媒体の炭素質保護膜及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】強磁性薄膜を磁性層とする連続薄膜型の
磁気記録媒体が種々実用化されている。このうち、計算
機等に用いられるハードタイプの磁気ディスクでは、剛
性基板上に強磁性薄膜を設層している。ハードタイプの
磁気ディスクに記録再生を行なう磁気ヘッドとしては、
各種浮上型磁気ヘッドが用いられている。
【0003】このような場合には、コンタクト・スター
ト・ストップ(CSS)時に、磁気ディスクは磁気ヘッ
ドにより損傷を受ける。また、記録密度を高めるために
は、磁気ヘッドの浮上量をできるだけ小さくしようとい
う要請が強いが、このときCSS時のディスクの損傷は
より一層大きくなる。
【0004】このような耐久性を高めるためには、ディ
スク表面に固体トップコート膜を設ける必要があり、一
般には、各種固体潤滑剤を用いたトップコート膜が適用
されている。このようなトップコート膜には、カーボン
潤滑保護膜がある。例えば、特開平2−161612号
には、2層のカーボンスパッタトップコート膜を設ける
旨が提案されている。
【0005】しかし、このようなカーボンスパッタトッ
プコート膜では、潤滑性、耐久性が十分ではない。ま
た、上記の2層構成では、下層を耐久性に優れたものと
し、上層を潤滑性に優れたものとすることから、製法も
煩雑である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、摩擦
特性および耐久性に優れた磁気記録媒体を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(6)の本発明により達成される。 (1) 基体上に強磁性薄膜を有し、この強磁性薄膜上
に炭素質保護膜を有する磁気記録媒体において、前記炭
素質保護膜はスパッタ法により作製したものであり、前
記炭素質保護膜中に異相として存在する不純物量が5体
積%以下であり、かつ前記炭素質保護膜は実質的にアモ
ルファス状態とする磁気記録媒体。 (2) 前記炭素質保護膜の膜厚が150〜500Aで
ある上記(1)に記載の磁気記録媒体。 (3) 前記炭素質保護膜は、ラマン散乱スペクトルの
測定で、sp2 ピークに対するsp3 ピークの面積比
[sp3 (面積)/sp2 (面積)]が3以下である上
記(1)または(2)に記載の磁気記録媒体。 (4) 前記強磁性薄膜は強磁性金属の連続薄膜である
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の磁気記録媒
体。 (5) 基体上に強磁性薄膜を有し、この強磁性薄膜上
に炭素質保護膜を有する磁気記録媒体を製造するに際
し、前記炭素質保護膜をスパッタ法により作製し、この
スパッタに際し、スパッタガスによる放電能力をW/
(F・M)[ここで、Wは投入電力(Joule/sec )であ
り、Fはスパッタガスの流量、Mはスパッタガス分子量
でF・Mの単位はkg/secである。]で定義したとき、こ
の値が5×107 〜109 Joule/kgであり、かつ反応圧
力が5Pa以下である磁気記録媒体の製造方法。 (6) 前記スパッタガスが、Ar、KrおよびXeの
うちの少なくとも1種以上である上記(5)に記載の磁
気記録媒体の製造方法。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【作用】本発明では、W/(F・M)値が5×107
109 Joule/kgで、かつ反応圧力が5Pa以下となる条件
でスパッタを行ない、強磁性薄膜上に実質的にアモルフ
ァス状態の炭素質保護膜を形成している。
【0015】本出願人は、従来のカーボンスパッタ膜に
ついて種々の検討を加えたところ、このようなカーボン
スパッタ膜には、金属炭化物等の不純物が5体積%をこ
えた値〜10体積%程度存在し、かつこれが摩擦特性お
よび耐久性を悪化させる原因となっていることを確認し
ている。また、この不純物は汎用されているマグネトロ
ンスパッタ法を例にすると、この装置においてターゲッ
ト載置面の外周を覆うシールドリングがスパッタされる
ことによるもので、このシールドリングはステンレス鋼
等の金属製であることに起因して生成するものと考えら
れる。
【0016】ところが、本発明ではスパッタ条件を前記
のように規制しているので、この不純物量を5体積%以
下まで抑制することができ、さらに膜質、膜厚を所定の
ものにすることによって本発明の効果を得ることができ
る。
【0017】なお、特開平2−161612号には、2
層構成のカーボンスパッタトップコート膜を設ける旨が
開示されている。このとき下層は耐久性に優れた膜質、
上層は潤滑性に優れた膜質とするものである。そして、
レーザーラマン分光分析によれば、下層はiカーボンの
ラマンスペクトルに、上層はアモルファスカーボンとi
カーボンが重畳したものに近似するとされている。
【0018】本発明における炭素質保護膜は1層のみの
構成で潤滑性と耐久性を得るものであり、上記公報の構
成とは明らかに異なるものである。また、本発明のよう
に、不純物についての記載は全くなく、不純物が耐久
性、潤滑性を悪化させることについては示唆すらされて
いない。さらに、ラマン散乱スペクトルにおけるsp2
ピークに対するsp3 ピークの面積比については全くふ
れられていない。
【0019】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0020】本発明の磁気記録媒体は、具体的にはハー
ドタイプの磁気ディスクである。そして、磁性層である
強磁性薄膜上に炭素質保護膜を有するものである。
【0021】<炭素質保護膜>本発明において、磁性層
上に設層される炭素質保護膜は炭素を含有するものであ
り、炭素のみを含有するものであることが好ましく、こ
のような炭素質保護膜中における不純物量は5体積%以
下、好ましくは2体積%以下とする。そして、その下限
値は検出限界外の体積%程度である。
【0022】この場合の不純物は、主に、成膜時の不要
な反応等により生成するものと考えられ、主として金属
炭化物であると推定される。このほか、金属窒化物、金
属酸化物なども存在すると考えられる。
【0023】上記のように、炭素質保護膜中の不純物量
を5体積%以下とすることによって、均質な膜を得るこ
とができ、潤滑保護膜として有効に機能し、本発明の効
果が得られる。一方、不純物量が5体積%をこえると、
本発明の効果は臨界的に減少し、膜の潤滑性、耐久性が
不十分となる。これは、均質な膜とならないためにヘッ
ドからの応力が異物である不純物に集中し、そこから膜
の破壊が発生したり、また、不純物は、前記のとおり、
大部分が硬質である金属炭化物であるため、ヘッドに損
傷を与えることになるからである。
【0024】このような不純物は、異相として膜中に存
在し、その存在量は、透過型電子顕微鏡(TEM)によ
る観察などから求めることができる。また、不純物にお
ける化合物の同定はオージェ電子分光法(AES)、X
線光電子分光法(ESCA)等によって行なうことがで
き、各化合物の存在量はオージェ電子分光法(AES)
等によって求めることができる。
【0025】本発明における炭素質保護膜は、炭素をタ
ーゲットとしてスパッタ法により成膜する。
【0026】本発明におけるスパッタ法には特に制限は
なく、公知の種々の方法を採用することができる。通常
は、成膜レートが高いことから、マグネトロンスパッタ
法が好ましく用いられ、DCであってもRFであっても
よい。また、ホローカソードエンハンストマグネトロン
スパッタ法でもよい。
【0027】この場合、スパッタガス(衝撃ガス)によ
る放電能力をW/(F・M)[ここでは、Wは投入電力
(Joule/sec )であり、Fはスパッタガスの流量、Mは
スパッタガス分子量でF・Mの単位はkg/secである。]
で定義したとき、この値が5×107 〜109 Joule/k
g、このましくは1×108 〜6×108 Joule/kgとな
るような条件とする。
【0028】このようなスパッタ条件とすることによっ
て、膜中における不純物量を5体積%以下に抑えること
ができる。そして、W/(F・M)値が5×107 Joul
e/kg未満となると、炭素質膜に欠落が生じる。また、1
9Joule/kg をこえると、不純物量が5体積%をこえて
しまう。
【0029】本発明におけるスパッタガスは、不純物の
生成を抑制し、スパッタ率が高いことなどから、不活性
ガスであるAr、KrおよびXeのうちの少なくとも1
種以上とすればよく、中でもArを用いることがコスト
等の面で有利である。
【0030】さらに、スパッタの際の反応圧力は5Pa以
下とし、このときの下限は0.5Pa程度、そして、好ま
しくは4〜1Paとすればよい。このように圧力を低いも
のとすることによってターゲット表面での侵食領域が拡
がり、膜中への不純物の混入が減少する。
【0031】本発明における炭素質保護膜の膜厚は15
0〜500A、好ましくは200〜300Aとすればよ
い。このような膜厚とすることによって本発明の実効が
得られる。膜厚が150A未満となると保護膜としての
機能が低下し、500Aをこえるとスペーシングロスが
増大する。なお、膜厚は段差計等により測定すればよ
い。
【0032】また、本発明における炭素質保護膜は、実
質的にアモルファス状態であり、TEM写真およびX線
回析分析(XRD)の結果から確認することができる。
【0033】また、ラマン散乱スペクトル測定における
sp2 ピークに対するsp3 ピークの面積比[sp3
(面積)/sp2 (面積)]は3以下、好ましくは2以
下、特に実用的には0.5〜1.6であることが好まし
い。ピーク比を上記範囲とすることによって、十分な潤
滑性および耐久性を得ることができる。これに対し、ピ
ーク比が3をこえると、潤滑性および耐久性が悪くな
る。
【0034】本発明における炭素質保護膜は、潤滑性が
良好であることから表面保護膜としてはこれのみです
み、このほかに潤滑性を増すために新たに液体潤滑層を
設層する必要はなくなる。
【0035】このような炭素質保護膜が設層されるハー
ドタイプの磁気ディスクについて説明する。
【0036】<基体>本発明の磁気ディスクで用いる基
体は、非磁性の剛性材質であれば特に制限はなく、強磁
性薄膜蒸着時の熱に耐える各種樹脂、金属、セラミック
ス等はいずれも使用可能である。この場合、剛性基板と
しては、特に樹脂製の剛性基板であることが好ましい。
樹脂製の基板では耐久性が低下するので、本発明の効果
は増大する。なお、基板が剛性であるとは、いわゆるフ
ロッピーディスク用のフレキシブルな基板を排除する意
である。このため、基板のヤング率をE、厚さをtとし
たとき、E・t3 ≧1×107 dyn・cm、より好ましくは
E・t3 ≧3×107 dyn・cmであることが好ましい。
【0037】用いる樹脂には特に制限がなく、熱可塑性
樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等何れの樹脂を
使用してもよい。
【0038】この場合、基板をキャスティング法で成型
する場合は、例えば、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ア
クリル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、シリコーン樹
脂、ポリエステルおよびこれらの変性体等が使用でき
る。
【0039】インジェクション法で成型する場合は、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹
脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ポリ
スチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリ
ル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、、ポリアセタ
ール、ポリエステル、ポリサルホン、ポリオキシベンジ
レン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトン、ポ
リエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイ
ド、ポリケトンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド
イミド、ポリアクリルイミド、ポリエーテルイミド、ポ
リオレフィン、アモルファスポリオレフィンおよびこれ
らの変性体等が使用できる。
【0040】樹脂基板の寸法は目的に応じて選定すれば
よいが、通常、厚さ0.8〜1.9mm程度、直径60〜
130mm程度である。
【0041】なお、剛性の基板としては、前記のとお
り、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金
属、ガラス、セラミックス等も使用可能である。また、
基板上には、下地層が設けられていてもよい。下地層の
材質には特に制限がなく、各種の無機材料、有機材料、
金属ないし合金等を用いればよく、成膜方法や膜厚等も
目的や用途等に応じて適宜選択すればよい。
【0042】<磁性層>必要に応じて下地層を設けた基
板上には、直接あるいは中間層を介して磁性層が形成さ
れる。
【0043】本発明の磁性層は、強磁性薄膜である。薄
膜の材質は、例えば、Fe、CoおよびNiから選ばれ
る1種以上とすればよく、このものを含有する強磁性金
属の連続薄膜、特にCo系の連続薄膜で構成すればよ
い。
【0044】磁性層の組成の具体例としては、Co−N
i合金、Co−Ni−Cr合金、Co−Cr合金、Co
−Cr−B合金、Co−Cr−Mn合金、Co−Cr−
Mn−B合金、Co−Cr−Ta合金、Co−Cr−S
i−Al合金、Co−V合金、Co−Ni−P合金、C
o−P合金、Co−Zn−P合金、Co−Ni−Pt合
金、Co−Pt合金、Co−Ni−Mn−Re−P合金
等が挙げられる。なお、これら合金には、必要に応じ、
O、N、Si、Al、Mn、Ar等の元素が0.1重量
%程度以下含有されていてもよい。この他、γ−Fe2
3 等の強磁性の酸化物薄膜であってもよい。磁性層の
膜厚は、300〜1000A が好ましい。300A 未満
では、記録再生時における出力が不十分であり、100
0A をこえると出力は十分であるが、記録密度が低下す
るため、不利である。
【0045】下地層と、磁性層との間には、必要に応じ
て、非磁性中間層が設けられる。例えば、磁性層をCo
−Ni、Co−Ni−Cr、Co−Cr、Co−Cr−
Ta、Co−Ni−P、Co−Zn−P、Co−Ni−
Mn−Re−P等にて構成する場合、非磁性中間層を設
けることにより、磁性層のエピタキシャル成長を良好に
行なうことができ、磁気特性が向上する。非磁性中間層
は、例えば、CrおよびWから選ばれる1種以上、特に
Crおよび/またはWを含有する連続薄膜にて構成すれ
ばよい。この場合、用いる金属は単体でも合金でもよい
が、合金の場合、前記金属を80重量%以上含有するこ
とが好ましい。
【0046】非磁性中間層の膜厚は、500〜5000
A が好ましい。500A 未満では、コバルト合金のエピ
タキシャル成長が十分に行なわれないため良好な磁気特
性が得られない。5000A をこえると、磁気特性が、
ほぼ一定値に収束してくるため、磁気特性上意味がな
く、量産上不利である。
【0047】このような非磁性中間層や前記磁性層は、
それぞれ、蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、C
VD等の各種気相成膜法にて成膜すればよく、特にスパ
ッタにて成膜することが好ましい。
【0048】本発明では、前記のように炭素質保護膜の
みで、磁性層と炭素質保護膜との間には別の保護膜を必
ずしも介在させる必要はないが、場合によっては、磁性
層上にプラズマ重合膜等の保護膜を設け、この保護膜上
にさらに本発明の炭素質保護膜を設けるようにしてもよ
い。
【0049】<媒体構造>本発明の磁気記録媒体におい
ては基板には、溝を形成することが好ましい。溝の形
状、パターン、寸法等には特に制限がないが、溝をディ
スクの周方向に形成することが好ましい。溝は、基板を
回転させながら研磨テープ等を作用させ、基板表面に、
同心円状等に不規則に形成したいわゆるテクスチャー加
工による溝であっても、基板表面に成形時に同心円状、
渦巻状等に規則的に形成した溝であっても、あるいは、
両者であってもよい。規則的な溝は、トラッキング用の
グルーブとして使用することができ、記録密度が向上す
る。
【0050】このような場合の溝の寸法や溝配置間隔
は、溝の幅が0.1〜10μm 、特に0.5〜2μm 程
度、溝間間隙が0.1〜10μm 、特に0.5〜2μm
程度、溝の深さが100〜5000A 、特に500〜1
000A 程度が好ましい。
【0051】なお、グルーブには情報が記録されないた
め、グルーブは磁気ヘッドの位置に関係なくガードバン
ドとなる。このため、基板に、グルーブを設ければ、ト
ラッキングサーボの精度が比較的低くて済み、サーボ信
号に使用される記録面の面積を少なくできる。また、隣
接トラックからのクロストークが著しく減少する。
【0052】また、連続薄膜型の磁性層の場合、ディス
ク周方向に、前記寸法の溝を特に規則的に形成するとき
には、磁性層のクラック発生がより一層防止され、ディ
スク周方向の配向性が向上し、ディスク周方向の保磁力
が向上する。
【0053】また、以上では、主に片面記録型磁気ディ
スクを説明してきたが、本発明は、両面記録型の磁気デ
ィスクであってもよい。
【0054】<記録再生>このような磁気ディスク媒体
と組合わせて用いられる磁気ヘッドは、浮上型磁気ヘッ
ドである。浮上型磁気ヘッドとしては、メタル・イン・
ギャップ(MIG)型の磁気ヘッドまたは薄膜型の磁気
ヘッドが好適である。
【0055】MIG型磁気ヘッドは、一対のコアの少な
くとも一方のギャップ部対向面に、これらのコアよりも
飽和磁束密度の高い軟磁性薄膜を有する磁気ヘッドであ
る。MIG型磁気ヘッドでは、軟磁性薄膜から強力な磁
束を磁性層に印加できるため、高い保磁力を有する磁性
層に有効な記録を行なうことができる。また、本発明で
は、MIG型の磁気ヘッドの1種であるいわゆるエンハ
ンスト・デュアルギャップ・レングス(EDG)型の磁
気ヘッドを用いてもよい。
【0056】MIG型ヘッドは、スライダ本体とコアが
一体となっているモノリシックヘッドであっても、非極
性のスライダ本体の一部にフェライトコアを埋め込んだ
コンポジットヘッドであってもよい。モノリシックヘッ
ドにあっては、エアベアリング面はコア材質であるMn
−Znフェライト等のフェライトから構成される。ま
た、コンポジットヘッドのスライダは、一般にCaTi
3 等から構成される。
【0057】さらに、薄膜ヘッドのスライダ本体は、一
般にAl23 ・TiC等から形成される。
【0058】このような浮上型ヘッドの浮上量は、スラ
イダの形状変更、ジンバル、サスペンション等の荷重変
更、磁気ディスクの回転数の変更などにより種々の値に
設定することができる。本発明では通常、デジタル信号
を記録するので、飽和記録を行なう。また、飽和記録を
行なうので、オーバーライト記録が可能である。
【0059】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0060】実施例1 外径3.5インチ、厚さ1.27mmのポリカーボネート
製のディスク状剛性基板を射出成形により製造した。こ
の基板表面にはグルーブを形成した。
【0061】グルーブは、ディスクの周方向に形成し、
断面はほぼ矩形とし、その寸法は幅0.8μm 、ランド
部幅0.8μm 、深さ400〜700A とした。この基
板上に、CH4 を原料ガスとして用いて、膜厚200A
のプラズマ重合膜の下地層を形成した。この下地層上に
膜厚500A のCo−Ni−Cr磁性層を成膜した。磁
性層の成膜は、DC−マグネトロンスパッタにて行なっ
た。スパッタ条件は動作圧力を1Paとし、Ar雰囲気
中で行った。なお、ターゲットは、Co70Ni20Cr10
を用いた。これを磁気ディスクサンプルNo. 1とする。
【0062】磁気ディスクサンプルNo. 1において、表
1に示すような条件でDC−マグネトロンスパッタによ
り、磁性層上に炭素質保護膜を形成するほかは、同様に
して磁気ディスクサンプルNo. 2〜No. 7を作製した。
【0063】
【表1】
【0064】なお、磁気ディスクサンプルNo. 2〜No.
7において、不純物の大部分は金属炭化物と考えられ、
主にFeC等と推定される。
【0065】これらの不純物は、TEM観察によると、
異相として存在し、TEM写真像からその存在量(体積
%)を求めた。これらのうち、サンプルNo.2とサン
プルNo.4の炭素質保護膜のTEM写真像を図1、図
2にそれぞれ示す。この結果、図1では不純物の存在が
ほとんど観察されないのに対し、図2では不純物が存在
することがわかった。なお、図2において、不純物が異
相として存在する部分は黒く丸く見える部分である。こ
の写真におけるこれら黒く丸く見える部分の、全体に対
する比率を求めることにより、存在量を算出した。
【0066】また、図3および図4に、サンプルNo. 2
とサンプルNo. 4のX線回析写真を示す。これらの写真
から、ともに炭素質膜はアモルファス状態であることを
示している。
【0067】さらに、図5および図6に、サンプルNo.
2とサンプルNo. 4のラマン散乱スペクトルを示す。こ
のスペクトルから、各サンプルについて、sp2 ピーク
とsp3 ピークとの分離を行ない、sp2 ピークに対す
るsp3 ピークの面積強度比を計算した。この結果も表
1に示す。
【0068】また、炭素質保護膜の膜厚は、いずれも2
50Aとし、段差計により測定した。
【0069】次に、上記磁気ディスクサンプルNo. 1〜
No. 7について、チタン酸カルシウムスライダーのコン
ポジットヘッドを用いて以下の評価を行なった。
【0070】(1)CSS特性 プラス社製3.5”磁気ディスクドライブを用い、CS
Sの1パスを、静止時間10秒→立ち上がり時間5秒→
定常回転の時間10秒→立ち下がり時間30秒と定義
し、定常状態のディスクの回転数を3600rpm とし、
ディスク中心から22mmの位置で、ディスクの摩擦係数
が1.0以上になったとき、または、磁性層に傷が発生
したときのパス回数を求めた。
【0071】(2)摩擦係数μ(1rpm ) 1rpm でディスクを回転し、ヘッドにかかる応力を測定
し、これからμを算出した。荷重は15 gとしてた。
【0072】(3)摩擦係数変化△μ(100rpm ) 100rpm でディスクを回転し、ヘッドにかかる応力を
測定し、これから摩擦係数を算出した。荷重は15 gと
した。そして、時間0のときの摩擦係数を基準とし、3
0分摺動後の摩擦係数の変化率△μ(%)を求めた。
【0073】(4)摩擦係数μ(50℃80%RH) 50℃80%RH中に1週間保存後、1rpm でディスク
を回転し、ヘッドにかかる応力を測定し、これからμを
算出した。荷重は15 gとした。
【0074】(5)摩擦係数変化△μ(1rpm ) CSSを1万パス後に1rpm で測定した摩擦係数を、初
期に測定した摩擦係数にて除した値を求め、初期より何
倍になっているかを計算した。結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】表2から、本発明の効果は明らかである。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、摩擦特性および耐久性
に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】粒子構造を示す図面代用写真であり、サンプル
No. 2の炭素質保護膜のTEM写真像である。
【図2】粒子構造を示す図面代用写真であり、サンプル
No. 4の炭素質保護膜のTEM写真像である。
【図3】粒子構造を示す図面代用写真であり、サンプル
No. 2の炭素質保護膜のX線回析写真である。
【図4】粒子構造を示す図面代用写真であり、サンプル
No. 4の炭素質保護膜のX線回析写真である。
【図5】サンプルNo. 2の炭素質保護膜のラマン散乱ス
ペクトルの結果を示すグラフである。
【図6】サンプルNo. 4の炭素質保護膜のラマン散乱ス
ペクトルの結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徳岡 保導 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−25570(JP,A) 特開 平2−29919(JP,A) 特開 昭64−241124(JP,A) 特開 平1−298097(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/72 G11B 5/84

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に強磁性薄膜を有し、この強磁性
    薄膜上に炭素質保護膜を有する磁気記録媒体において、 前記炭素質保護膜はスパッタ法により作製したものであ
    り、 前記炭素質保護膜中に異相として存在する不純物量が5
    体積%以下であり、かつ前記炭素質保護膜は実質的にア
    モルファス状態とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記炭素質保護膜の膜厚が150〜50
    0Aである請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記炭素質保護膜は、ラマン散乱スペク
    トルの測定で、sp2 ピークに対するsp3 ピークの面
    積比[sp3 (面積)/sp2 (面積)]が3以下であ
    る請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記強磁性薄膜は強磁性金属の連続薄膜
    である請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 基体上に強磁性薄膜を有し、この強磁性
    薄膜上に炭素質保護膜を有する磁気記録媒体を製造する
    に際し、 前記炭素質保護膜をスパッタ法により作製し、このスパ
    ッタに際し、スパッタガスによる放電能力をW/(F・
    M)[ここで、Wは投入電力(Joule/sec )であり、F
    はスパッタガスの流量、Mはスパッタガス分子量でF・
    Mの単位はkg/secである。]で定義したとき、この値が
    5×107 〜109 Joule/kgであり、かつ反応圧力が5
    Pa以下である磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記スパッタガスが、Ar、Krおよび
    Xeのうちの少なくとも1種以上である請求項5に記載
    の磁気記録媒体の製造方法。
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