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JP3068868B2 - エンジンバルブ用耐熱鋼 - Google Patents

エンジンバルブ用耐熱鋼

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JP3068868B2
JP3068868B2 JP3025727A JP2572791A JP3068868B2 JP 3068868 B2 JP3068868 B2 JP 3068868B2 JP 3025727 A JP3025727 A JP 3025727A JP 2572791 A JP2572791 A JP 2572791A JP 3068868 B2 JP3068868 B2 JP 3068868B2
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光司 佐藤
新次 柴田
千芳利 前田
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日立金属株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の内燃機関に
用いられるエンジンバルブ用耐熱鋼に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、排気バルブ鋼には、高温強度、ガ
ソリン中に含まれる鉛や硫黄に対する耐食性、および耐
酸化性が適度に優れ、しかも安価な利点を有する高Mn
系耐熱鋼として知られる21−4N鋼(0.55C-0.2Si-9
Mn-4Ni-21Cr-0.4N)が広く用いられてきた。しか
し、近年、ガソリンエンジンの高効率、高出力化による
燃焼温度の上昇に伴い、21−4N鋼より、さらに高温
強度の優れたバルブ用耐熱鋼に対する要求が高まり、こ
れまでに、いくつかの鋼が提案されている(特公昭61-27
41号、特開昭60-77964号、特開昭59-211557号、特開昭6
3-89645号、特開平1-219147号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】21−4N鋼の高温強
度改良を目的とした、上述の鋼は、いずれも0.15%以上
のCを含み、またV,Nb,Mo,W等の合金元素の添加量
を増加させている。これらの公知鋼の合金元素は比較的
高いC量からも判るように、炭化物の析出強化を主な目
的として添加されている。しかしながら、このような炭
化物の析出強化は850℃以上の高温強度に対して、必ず
しも満足のいく強化機構ではなく、より優れた耐熱鋼の
開発が望まれていた。また、高温強度向上を目的として
添加されるV,Nb,Moといった合金元素はかえって21
−4N鋼より耐酸化性を低下させるといった問題点もあ
った。また、実際のエンジンバルブの疲労損傷は、酸化
鉛や硫黄による腐食がクラックの起点となることが多
く、耐食性、特に酸化鉛と硫黄に対する耐食性を同時に
評価できる酸化鉛と硫黄鉛による混合鉛の耐食性を改善
することはバルブの寿命向上に大きく寄与する。
【0004】さらに、従来、21−4N鋼より高級材料
として、排気エンジンバルブ用合金にNi基超耐熱合金
のインコネル751(INCONELは商標である)が使用されてき
た。インコネル751の問題点としては、析出強化元素
であるガンマプライム相(Ni3(Al,Ti,Nb))が、高温
長時間加熱中に粗大化してしまい、正規熱処理後に比
べ、高温強度の低下が大きすぎること、およびインコ
ネル751は、Ni含有量が高いために、Sを含む腐食環境
中での減量が大きく、従って混合鉛耐食性が悪いという
2つの問題点があった。本発明の目的は、21−4N系
の高Mn耐熱鋼を基本組成とし、かつNi基超耐熱合金で
あるインコネル751合金に限りなく近い、あるいは一部
の特性がインコネル751を越えるような優れた高温強度
と耐食性、耐酸化性を兼備するエンジンバルブ用耐熱鋼
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題点を鑑み、エンジンバルブ用耐熱鋼の強化手段として
従来の炭化物の析出強化よりも、むしろ各種元素の固溶
強化による強化を試みた。その結果、本発明の第1の特
徴として、Cを必要最小限の添加にとどめ、固溶強化元
素として置換型固溶強化元素のうち、耐酸化性の劣化の
度合いが少なく、最もクリープ強度向上に効果のあった
Wと侵入型固溶強化元素であるNの相互作用を組合せた
強化機構により、良好な耐酸化性と高温強度を兼ね備え
た特性を有する鋼を新規に見出したものである。さらに
本発明者らは、第2の特徴として、21−4N系の高M
n耐熱鋼において、従来オーステナイト生成元素とし
て、有意な差が見出されていなかったNiとCoのうち、
Coの適度な添加は、高温疲労強度の向上に大いに役立
つことも明らかにした。また、本発明の耐熱鋼の第3の
特徴は、先に述べた21−4N鋼の改良鋼と異なり、耐
酸化性に対し有害な作用を及ぼす元素であるVやMoを
添加しない点にある。さらに、本発明の耐熱鋼の第4の
特徴は高温強度の向上と混合鉛耐食性、耐酸化性向上に
対し、MnとCrの最適な成分範囲を明らかにした点にあ
る。
【0006】すなわち、本発明のうちの第1発明は、重
量%で、C 0.02%以上0.15%未満、Si 0.05〜1.0%、Mn
4.5%以上7.5%未満、Ni 9.0〜15.0%、Co 1.0〜5.0%、
Cr22.0〜26.0%、W 4.0〜8.0%、Nb 0.01〜0.50%、N
0.40%を越え0.70%以下、B0.02%以下、および不可避の
不純物を含み、残部Feの組成の鋼からなることを特徴
とするエンジンバルブ用耐熱鋼であり、第2発明は大気
中において、1000℃で100時間保持したときの酸化減量
が2.0mg/cm2以下、重量%で60%PbOと40%PbSO4から
なる混合鉛中の耐食試験の腐食減量が920℃で1時間保持
したときに100mg/cm2以下、850℃の疲労強度が17kgf/mm
2以上、900℃における引張強さが24kgf/mm2以上、およ
び900℃における6kgf/mm2の応力負荷時のクリープ破断
寿命が50時間以上である第1発明に記載のエンジンバル
ブ用耐熱鋼であり、第3発明は、900℃で300時間保持後
の900℃における引張強さが18kgf/mm2以上であることを
特徴とする第1発明に記載のエンジンバルブ用耐熱鋼で
ある。
【0007】
【作用】まず、本発明における数値の限定理由について
述べる。Cは極めて強いオーステナイト生成元素で、基
地をオーステナイトにし、強度を上げるために必要な元
素であるので、最低0.02%を必要とする。しかし、C量
が増加するにつれて炭化物の生成量が増加し、0.15%以
上になると添加合金元素の多くが炭化物を生成し、850
℃以上の温度での基地の強化に役立たない。また、高温
のクリープ強度向上に対しては、結晶粒が適度な大きさ
に成長することが望ましく、このような炭化物の増加は
粒成長を抑制し、クリープ強度に対し有効でない。さら
に、過度のCの添加は、本発明鋼の主要強化元素である
Nの固溶度を低下させることになるので、Cの範囲を0.
02%以上0.15%未満に限定する。バルブ用耐熱鋼にあっ
て、C量をこのように低く限定していることは本合金の
1つの大きな特徴である。
【0008】Siは、溶解時の脱酸剤、ならびに高温で
の耐酸化性を付与するのに有効な元素であり、最低0.05
%を必要とする。しかし、1.0%を越えるSiは高温強度に
対して有効でないので、Siの範囲は0.05〜1.0%とし
た。
【0009】Mnは、基地のオーステナイトを安定化さ
せ、高価なNi、Coの代替元素として作用する。また、
MnはNの溶解度も高めるので、最低限4.5%必要であ
る。しかし、7.5%以上のMnは耐酸化性、耐食性に対し
て有害なスピネル構造の酸化皮膜を生成し、高温強度も
低下させる。また、Crとの相乗作用で有害なシグマ相
を析出しやすくなるので、Mnは4.5%以上7.5%未満とす
る。
【0010】Crは密着性の高い酸化皮膜を生成するた
め、バルブ用耐熱鋼の耐食性、耐酸化性向上に不可欠な
元素で、MnよりもさらにNの溶解度を高める作用も大
きく、本発明鋼においてCrは最低22.0%を必要とする。
しかし、26%を越えるとMnとの相乗作用によりシグマ相
が析出しやすくなるのでCrは22.0〜26.0%に限定する。
上述のような低いMn量と高いCr量の打合せによって、
高温強度と耐食性、耐酸化性をともに向上させたところ
が本発明の特徴のひとつである。
【0011】Niは基地のオーステナイトを安定化する
ために必要な元素であり、強度、耐食性、耐酸化性を保
つために、9.0%以上必要である。しかし、15%を超える
Niの添加は、本発明鋼の主要強化元素であるNの固溶
度を減ずることと、鋼を高価にすることのために、Ni
は9.0〜15.0%に限定する。
【0012】Coは、従来21−4N系の高Mn耐熱鋼に
おいて、耐酸化鉛性の改良以外に特にオーステナイト生
成元素であるNiとの差を明確にはされていなかった。
本発明者らは、Coの影響を十分検討した結果、Coは積
層欠陥エネルギーを低下させ、疲労強度向上に対し、明
らかに効果をもたらすことがわかった。そのために必要
なCoは最低1.0%であるが、5.0%を超える過度の添加
は、さほど疲労強度の向上に役立たず、Nの固溶度を低
下させることと、いたずらに鋼の価格を高めるためにC
oは1.0〜5.0%とする。
【0013】WはMoと同族の元素でMoと同様、基地に
置換型原子として固溶すると同時に、一部が炭化物を生
成して高温強度を保つ。しかし、WはMoの2倍の原子
量をもつがゆえに、高温における拡散速度が小さく、そ
の結果、クリープ破断強度を向上する効果が大きい。ま
た、置換型固溶強化元素であるWは侵入型固溶強化元素
であるNとの相互作用により、それぞれ単独の添加の場
合に比べ、より一層高温強度向上に役立つ。また、Wは
Moと異なり、鋼の耐酸化性をほとんど低下させない。
以上の理由により、Wは本発明鋼の必須添加元素であ
り、4.0%未満では十分な高温強度が得られず、また、8.
0%を越えるWの添加はWの窒化物を生成し、固溶強度に
対し十分な効果をもたらさず、いたずらに鋼の比重と価
格を高めるだけなので、Wは4.0〜8.0%に限定する。同
族元素であるWとMoの差を明確にし、合金元素として
Wのみを含有することもまた、本発明の1つの特徴であ
る。
【0014】Nbは高温まで安定な微細一次炭化物を生
成し、オーステナイトの結晶粒粗大化を防止して、適度
な結晶粒径が得られ、その結果、良好な高温引張強度
と、クリープ破断強度が得られる。そのために、必要な
Nb量は0.01%以上であるが、0.50%を越える添加は耐酸
化性を著しく低下させるので、Nbの含有量は0.01〜0.5
0%とする。
【0015】NはCと並ぶ強いオーステナイト生成元素
であるが、本発明鋼においてはCと異なってNb、W、
Cr等の合金元素とほとんど化合物を作らず、侵入型固
溶強化元素として働く。そのために、本発明鋼が目的と
する850℃以上の高温強度向上に対し上述の置換型固溶
強化元素とともに非常に有効に働く。より詳しくは、固
溶化処理+時効処理後の固溶窒素は、高温で長時間加熱
すると基地中に微細な窒化物を生成するが、その析出量
と成長速度が小さいために長時間高温に曝されても特性
の低下は比較的少ない。これに対して高級材料としてバ
ルブに使用されるインコネル751は正規の熱処理直後の
高温強度は本発明鋼より優れているものの、高温で長時
間加熱すると析出強化相であるガンマプライム相が凝集
する結果、本発明鋼を高温に長時間曝した後の高温強度
と同等になる。本発明鋼の組成範囲では、Nが0.40%以
下の場合には上記の効果が得られず、一方Nの固溶度は
最大0.70%であるので、Nは0.40%を越え0.70%以下に限
定する。
【0016】Bは微量添加により、結晶粒界に偏析し、
クリープ破断強度と熱間加工性改善に役立つが、そのた
めに有効な量は0.02%以下である。本発明に係わるエン
ジンバルブ用耐熱鋼は、上記した主要元素と、下記に示
す不可避の不純物と残部Feから構成される鉄基の合金
である。 P≦0.04% V≦0.1% Ca≦0.02% S≦0.03% Ta≦0.1% Cu≦0.30% Mg≦0.02%
【0017】次に、本発明の第2発明の数値限定理由に
ついて解説する。本発明は前記組成の鋼を、溶解精錬
後、造塊し、鍛造または圧延等で所望の形状に成形す
る。次いで、21−4N鋼の標準的な溶体化処理温度で
ある1050〜1150℃の温度範囲で15〜60分の溶体化処理
後、急冷する。そして再び加熱して750℃前後にて1〜4
時間の時効処理をして、使用する。
【0018】このようにして得られたエンジンバルブ用
耐熱鋼は、21−4N鋼以上の耐食性、耐酸化性と、上
述の21−4N改良鋼以上の高温強度とを兼備させるた
めに、以下に示す特性を同時に満足することが望まし
い。すなわち、本発明鋼は大気中において、1000℃で10
0時間保持したときの酸化減量が2.0mg/cm2以下、重量%
で60%PbO+40%PbSO4の混合鉛耐食試験の腐食減量
が920℃で1時間(h)保持したときに100mg/cm2以下、850
℃の疲労強度が17kgf/mm2以上、900℃における引張強さ
が24kgf/mm2以上、900℃における6kgf/mm2の応力負荷時
のクリープ破断寿命が50時間以上とする。上記高温特性
のうちのひとつでも未達の場合には、エンジンバルブ用
耐熱鋼として不十分なため、それぞれの値を2.0mg/cm2
以下、100mg/cm2以下、17kgf/mm2以上、24kgf/mm2以上
および50時間以上に限定する。さらに、本発明の第3発
明の数値限定について解説する。本発明鋼は、前述の2
1−4N鋼の標準的な溶体化処理および時効処理を施し
た状態の特性だけでなく、前記熱処理の後、高温に長時
間曝した後の高温強度が高いことが望ましい。具体的に
は、Ni基のエンジンバルブ用合金として知られている
インコネル751を正規の熱処理後に900℃で300時間保持
後の900℃における引張強さとほぼ同等である18kgf/mm2
以上の強度が望ましい。したがって、本発明において
は、900℃で300時間保持後の900℃における引張強さが1
8kgf/mm2以上に限定する。
【0019】
【実施例】表1に示す組成の本発明鋼、比較鋼および従
来合金は、大気誘導炉にて溶製し、10kgのインゴットに
した後、1100℃加熱で30mm角の棒材に鍛伸した。本発明
鋼および比較鋼の固溶化処理は、1150℃で30分保持後、
空冷とし、従来合金の固溶化処理は1050℃で30分保持後
空冷とした。さらに本発明鋼、比較鋼および従来合金は
750℃で4時間保持後、空冷の時効処理を行なった。その
後、所定の試験片形状に加工し、実験に供した。なお表
1のうち、比較鋼No.15はB無添加の組成であり、この
鋼のみ鍛伸中に疵の発生が多く、熱間加工性に問題があ
った。本発明鋼の熱間加工性は全く問題なかったことか
らBは本発明に必須の添加元素であることがわかる。確
性試験項目は、850℃−107回の回転曲げ疲労強度、900
℃の引張強さ、900℃−6kgf/mm2におけるクリープ破断
寿命、1000℃×100時間(h)加熱(大気中)後の酸化減量、
および60重量%PbO+40重量%PbSO4の混合鉛腐食剤
中で920℃における1時間(h)加熱後の腐食減量である。
さらに、本発明鋼No.1〜4と従来合金No.21および22に
ついては、900℃×300時間(h)加熱後の900℃における引
張強さの測定を実施した。これらの実験結果を表2およ
び表3に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】試料No.1〜4は本発明鋼、No.11〜16は比
較鋼、No.21,22は従来合金である。従来合金のうち、
No.21は21−4N鋼であり、No.22はインコネル751
である。表2より、本発明鋼は、いずれも第2発明に記
載の限定値を全て満足する。それに対し、比較鋼No.11
は高温強度は本発明鋼と同等の特性を示すが、耐酸化性
と混合鉛耐食性については、本発明鋼に劣っている。こ
れは、本発明鋼に対して、No.11のMnが高いこと、お
よびCrが低いことが原因であり、耐食性、耐酸化性に
対し、MnとCrの含有量がいかに影響を及ぼすことがわ
かる。比較鋼No.12は本発明鋼に対し、Cが高く、Nの
低い組成をもつが、この鋼は、各種高温強度がすべて本
発明鋼に劣っている。したがって、No.12のような高C
系の従来の炭化物の析出強化型鋼では、固溶強化型であ
る本発明鋼のような高い高温強度が得られないことがわ
かる。また、比較鋼No.13は本発明鋼No.1のCoをNi
で置換した組成を持つが、両者を比べると比較鋼No.13
の疲労強度は明らかに低く、本発明鋼における疲労強度
の向上にCoがいかに貢献しているかが明らかである。
また、比較鋼No.14のような高Nb含有鋼は、高温強度
こそ本発明鋼並みの値を示すが、耐酸化性および混合鉛
耐食性が著しく悪いことがわかる。比較鋼No.15は、本
発明鋼に対し、B無添加の組成を持つが、この鋼は粒界
強化に寄与するBを含有しないために前述したように熱
間加工性が低下すること、およびクリープ破断寿命が低
下する欠点がある。また、比較鋼No.16は、本発明鋼N
o.1のWの一部を当量(重量%換算でW 2%はMo 1%に相
当)のMoで置換した鋼であるが、この鋼もNo.1に比べ
ると高温強度は全て低く、特にクリープ破断寿命の差が
大きい。これは明らかに、WとMoの拡散速度に起因す
るものである。また、No.16の酸化減量と混合鉛腐食減
量は、No.1に比べて大きく、Moは本発明鋼の耐酸化
性、耐食性を劣化させることがわかる。
【0024】本発明鋼と従来合金のNo.21(21−4N
鋼)とを比較すると全ての点において本発明鋼がNo.21
を上回る特性を示すことがわかる。また、本発明鋼は従
来合金のNo.22(インコネル751)と比較しても、本発明
鋼のクリープ破断寿命はNo.22を上回るほどであり、そ
の他の特性においても従来の21−4N改良鋼の特性を
上回り、インコネル751にかなり近づいていることがわ
かる。さらに、混合鉛耐食性に関して、No.22は本発明
鋼に対し、格段に悪い値を示す。これはNo.22がNiを
ベースとする合金で、ベースのNiと、混合鉛腐食剤に
よって生ずるNiの硫化物とが共晶反応を起し、混合鉛
耐食試験中に溶融するために生じるものであり、従来イ
ンコネル751の特性上、最も問題点とされてきたもので
ある。したがって、バルブの疲労損傷が表面の腐食反応
によって生じるクラックを起点とするような場合、本発
明鋼がインコネル751を上回るバルブの実機寿命をもつ
場合もあり得る。また、表3より、900℃×300時間保持
後の900℃における引張強さには、本発明鋼と従来合金
No.22の差はほとんど見られず、本発明鋼がいかに高温
長時間の安定性に優れた鋼であるかがわかる。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、従来の21−4N系の
高Mn耐熱鋼より飛躍的に優れた高温強度と耐酸化性、
耐食性を有する鋼を提供することができる。しかも、本
発明鋼の長時間加熱後の高温強度は現用の排気バルブ材
であるNi基超耐熱合金のインコネル751並みを維持し、
酸化鉛や硫酸鉛を含む混合鉛腐食に対しては本発明鋼は
インコネル751より著しく改善された特性を有するもの
である。したがって、本発明鋼を用いれば、従来の21
−4N系やインコネル751に比べて自動車エンジンバル
ブの使用温度を上昇させることができ、しかも高温長時
間での特性が安定しているので、高出力・高効率のエン
ジンが製造可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 千芳利 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−210260(JP,A) 特開 昭56−84445(JP,A) 特開 昭60−77964(JP,A) 特開 昭64−79351(JP,A) 特開 平1−219147(JP,A) 特開 昭51−40321(JP,A) 特開 平3−166342(JP,A) 特開 昭58−224153(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 302 C22C 38/58 F01L 3/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C 0.02%以上0.15%未満、Si
    0.05〜1.0%、Mn 4.5%以上7.5%未満、Ni 9.0〜15.0%、
    Co 1.0〜5.0%、Cr 22.0〜26.0%、W 4.0〜8.0%、Nb
    0.01〜0.50%、N 0.40%を越え0.70%以下、B 0.02%以
    下、および不可避の不純物を含み、残部Feの組成の鋼
    からなることを特徴とするエンジンバルブ用耐熱鋼。
  2. 【請求項2】 大気中において、1000℃で100時間保持
    したときの酸化減量が2.0mg/cm2以下、重量%で60%PbO
    と40%PbSO4からなる混合鉛中の耐食試験の腐食減量
    が920℃で1時間保持したときに100mg/cm2以下、850℃の
    疲労強度が17kgf/mm2以上、900℃における引張強さが24
    kgf/mm2以上、および900℃における6kgf/mm2の応力負荷
    時のクリープ破断寿命が50時間以上である請求項1に記
    載のエンジンバルブ用耐熱鋼。
  3. 【請求項3】 900℃で300時間保持後の900℃における
    引張強さが18kgf/mm2以上であることを特徴とする請求
    項1に記載のエンジンバルブ用耐熱鋼。
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