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JP3034032B2 - 腸疾患用薬剤 - Google Patents

腸疾患用薬剤

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Publication number
JP3034032B2
JP3034032B2 JP3503465A JP50346591A JP3034032B2 JP 3034032 B2 JP3034032 B2 JP 3034032B2 JP 3503465 A JP3503465 A JP 3503465A JP 50346591 A JP50346591 A JP 50346591A JP 3034032 B2 JP3034032 B2 JP 3034032B2
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JP
Japan
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growth factor
insulin
peptide
igf
mammalian
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JP3503465A
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フランシス ジョン バラード
リーンナ クリスティン リード
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グロペップ プロプライエタリー リミテッド
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、インシュリン様成長因子−I(IGF−I)
およびその類似体に関する。更に詳細には、本発明は、
IGF−Iおよびその類似体を用いて、例えば腸の疾患の
影響に関する腸の機能の障害を治療することに関する。
IGF−Iは、培養中の細胞の成長を促進することが認
められている小さなタンパク質である。動物の成長は、
下垂体不全、正常および異化作用状態でも促進される。
腎臓の機能も改善される。これらの研究により、IGF−
Iはヒトにおいて (1) 成長ホルモン不全症を治療するため、 (2) 火傷、感染症または他の外傷に続く異化作用状
態における体タンパク質の損失を抑制するため、および (3) 腎臓疾患に罹っている患者の治療として、 有効に適用することができると考えられている。
多くのヒトの疾患によって、被験者の腸組織は正常な
消化または吸収に要するよりも少ない量となったり、或
いは罹病しているが正常な長さの腸であって、消化また
は吸収が損なわれるものとなっている。これらの二つの
範疇に当て嵌まるヒトの疾患の例には、短腸症候群、慢
性の潰瘍性腸疾患、大腸炎およびクローン病のような炎
症性腸疾患、および乳児における壊死性全腸炎が挙げら
れる。
IGF−Iは、従来技術においては、腹部消化管、すな
わち胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸および結腸から成
る細胞型の成長または機能を増加させることは知られて
いない。前記の疾患に侵されるのは、腸のこれらの領域
である。腸の組織はIGF−Iのレセプターを含んでおり
(例えば、エム・ラブルス(M.Laburthe)ら、Am.J.Phy
siol.,254,G457,1988;D.J.Pillionら、Am.J.Physiol.,2
57,E27,1989;エイチ・ウェルナー(H.Werner)ら、Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA,86,7451,1989を参照)、ある種の
条件下ではIGF−IまたはIGF−IメッセンジャーRNAを
合成することが知られている(例えば、ピー・ケイ・ル
ンド(P.K.Lund)ら、J.Biol.Chem.,261,14539,1986;エ
イ・ジェイ・デルコール(A.J.D′Ercole)ら、Pediat
r.Res.,20,253,1986;エイチ・エイ・ハンソン(H.A.Han
sson)ら、Histochemisty,89,403,1988;ダブリュ・エル
・ローウェ、ジュニア(W.L.Lowe,Jr.)、J.Clin.Inves
t.,84,619,1989を参照)。
以前に、IGF−Iを、小人マウス、下垂体切除ラッ
ト、糖尿病ラット、絶食マウスおよびラット、正常ラッ
ト、ミニプードルおよび正常なヒト被験者に投与したこ
とがあった。
IGF−Iの量も、マウスにIGF−I発現トランスジーン
(transgene)の挿入により増加した。これらの研究の
多くでは、IGF−I処理により体成長が増加した。IGF−
Iの多量投与による望ましくない副作用は、低血糖症で
あることが注目された。しかしながら、報告された研究
のいずれにも、腹部消化管へのIGF−Iの影響について
は全く記載されていない。例えば、トランスゲネシスに
よってIGF−Iの過剰発現が起こりトランスジェニック
マウスに実質的な体成長を生じる一つの研究では、十二
指腸の画分重量はIGF−欠損動物と同じであった(アー
ル・アール・ベーリンガー(R.R.Behringer)ら、Endoc
rinology,127,1033,1990)。もう一つの研究では、乳児
ラットへIGF−Iを低投与量で投与しても胃腸器官の重
量は変化しなかった(ジー・ピー・ヤング(G.P.Youn
g)ら、Digestion,46S2,240,1990)。特に、IGF−Iを
投与した後の腸の重量の増加についての報告は見られな
い。
したがって、本発明の目的は、従来技術に関係した問
題点の一つ以上を克服しまたは少なくとも緩和すること
である。
本発明の方法の第一の態様は、腸の機能の障害を有す
るヒトを包含する動物を哺乳類、好ましくはヒトIGF−
Iを用いることによって治療することに関する。
したがって、本発明の第一の態様では、ヒトを包含す
る動物の腸の機能障害の治療法であって、治療を行う患
者に哺乳類のインシュリン様成長因子−I(IGF−I)
またはそのペプチド類似体の有効量を投与することから
成る方法を提供する。
本明細書で用いられる「腸の機能の障害」という用語
は、胃、十二指腸、空腸および回腸、および結腸の一ケ
所以上の障害を意味する。これらの障害は、胃腸疾患お
よび/または外科治療に関することがある。したがっ
て、本明細書では、胃腸疾患の治療に対する一般的用語
に関しては、疾病を持たない胃腸の治療であって、その
一部を外科的に除去してしまったものおよび残りの位置
量の成長促進が遊離である場合を包含することを理解す
べきである。
本明細書に用いられる「ペプチド類似体」という用語
は、本出願人の国際特許出願PCT/AU88/00246号明細書お
よびPCT/AU88/00485号明細書に関するペプチド類似体の
1個以上、またはそれから誘導される融合タンパク質で
あって、国際特許出願PCT/AU90/00210号明細書に記載の
ものを包含するものであり、前記に関して、その全開示
内容は参考として本明細書に引用されている。
哺乳類のIGF−IまたはIGF−Iの類似体の有効量は、
治療前の腸組織の重量に比較して約20%を上回るだけの
腸組織の重量を増加させるのに要するものと定義され
る。
驚くべきことには、IGF−Iとその類似体は、胃、十
二指腸、空腸および回腸、および結腸の重量並びに全腸
重量を増加させることを本出願人らは見出した。特に重
要なことは、成長に関するこれらの効果が、 (a) 空腸と回腸の実質的な部分を外科手術によって
除去することによって、腸の機能が予め著しく低下して
しまっている動物、 (b) 糖質コルチコイドを投与して異化状態を生じさ
せた動物、 (c) 医薬品、ストレプトゾトシンによって糖尿病を
誘発させ、腸の成長をIGF−Iの効果が既に促進した成
長状態を上回るようにした動物、および (d) 腎臓の機能を低下させた動物、 を包含する一定条件下の動物で起こることを見出したと
いう事実である。
糖質コルチコイドは、数種類の腸疾患に特徴的な炎症
の現行の治療法としてヒトに投与されるので、糖質コル
チコイドの存在下においても腸の成長をIGF−Iまたは
その類似体によって部分的に回復させることができると
いうこの事実を見出したことは、驚くべきことであり且
つ有利である。
本発明の好ましい態様では、哺乳類、好ましくはヒト
にペプチド類似体であるIGF−Iを投与する。好ましく
は、このペプチド類似体は、1〜5個のアミノ酸残基が
哺乳類のIGF−IのN−末端からなくなっている類似体
である。好ましくは、3個のアミノ酸残基がそこからな
くなっている。この様なペプチド類似体は、デス(1〜
3)IGF−Iと呼ばれている。
或いは、このペプチド類似体は少なくともグルタミン
酸残基が哺乳類のIGF−IのN−末端から3位でなくな
っており、任意に異なるアミノ酸残基によって置換され
ている類似体である。好ましくは、この類似体は、グル
タミン酸残基がアルギニン残基によって置換されている
ものである。
更に好ましくは、このペプチド類似体は、 から選択されるN−末端配列を有し、Cys残基が通常は
N−末端から6位にあることが示されている。
更に別の態様では、ペプチド類似体は、 メチオニンブタ成長ホルモンのおおよそ最初の約100
個のN−末端アミノ酸またはそのフラグメントを含む第
一のアミノ酸配列と、 哺乳類のインシュリン様成長因子−Iまたはその類似
体の第二のアミノ酸配列であって、第一のアミノ酸配列
のC−末端に連結したもの を含む融合タンパク質である。
好ましくは、第一のアミノ酸配列は、メチオニンブタ
成長ホルモンまたはそのフラグメントのおおよそ第一の
約46個の、更に好ましくは第一の11個のN−末端アミノ
酸を含む。
IGF−I類似体は、共通して所有されている国際出願P
CT/AU86/00246明細書に記載のデス(1−3)IGF−Iを
包含し、この明細書は参考として本明細書に包含され且
つIGF−Iの要求投与量よりも少ない投与量で培養細胞
の成長を増加させることが示された。本発明の開発にお
いて、デス(1−3)IGF−Iは、IGF−I自体の濃度よ
りも低能度の類似体が腸組織の成長を比較的増加させる
ので、腸機能の障害の治療において、インビボではこの
効力が増加することを意外にも見出した。
IGF−I類似体は、共通して所有されている国際出願P
CT/AU90/00210号明細書の実施例13として記載の融合タ
ンパク質MpGH(11)VN/R3 IGF−I(LR3と省略)を包含
し、この明細書は本明細書に参考として包含され、且つ
IGF−Iの要求投与量よりも少ない投与量で培養細胞の
成長を増加させることが示された。本発明では、IGF−
I自体の濃度よりも低濃度の類似体が腸組織の成長を比
較的増加させるので、腸機能の障害の治療において、LR
3の効力が増大することを意外にも示した。
特にこの方法は、ヒトの被験者のIGF−IまたはIGF−
Iの類似体での治療に適合するが、この方法は腸の疾患
を有する動物へ獣医用としても適用することができる。
したがって、もう一つの態様では、本発明は、 (a) 哺乳類、好ましくはヒトのIGF−Iまたはその
ペプチド類似体の有効量と、 (b) その製薬上または獣医学上許容し得る希釈剤、
キャリヤーまたは賦形剤、 を含む腸機能障害の治療用の製薬または獣医学組成物を
提供する。
好ましい形態では、本発明は製薬または獣医学組成物
であって、IGF−IまたはIGF−Iの類似体が約10〜200
0、好ましくは100〜1000μg/kg体重/日の投与量を提供
するのに十分な量で存在するものを提供する。
本発明の更に好ましい態様では、腸機能障害の治療法
であって、 (a) 哺乳類、好ましくはヒトのIGF−Iまたはその
ペプチド類似体の有効量と、 (b) その製薬上または獣医学上許容し得る希釈剤、
キャリヤーまたは賦形剤、 を含む製薬または獣医学組成物を、治療を行う患者に、
静脈内、皮下、筋肉内または腸内に、約10〜2000、好ま
しくは100〜1000μg/kg体重/日の投与量で投与するこ
とを含む方法が提供される。治療は、約1〜60日、好ま
しくは約5〜30日間の期間継続することができる。
投与量、投与間隔および治療期間は、腸疾患の程度お
よび投与経路によって調整することができる。血中グル
コースを監視して、低血糖を防ぐことができるように注
意すべきである。
デス(1−3)IGF−Iおよび関連の類似体の投与の
ための投与量および間隔は、IGF−I自身の効力に対し
て類似体の相対的効力に比例して調整される水準に設定
することができる。例えば、デス(1−3)IGF−Iま
たはLR3の水準は、比例してデス(1−3)IGF−Iまた
はLR3の増加した効力による全IGF−Iペプチドの効力を
下回る。デス(1−3)IGF−I LR3 50〜500μg/kg体
重/日の投与量が好ましい。
本発明の更にもう一つの態様では、哺乳類のインシュ
リン様成長因子−I(IGF−I)またはそのペプチド類
似体の、腸機能障害の治療用の製薬または獣医学製剤の
製造への使用が提供される。
製薬または獣医学製剤は、従来の手法を用いて調整す
ることができる。
本発明の利益およびパメーターを添付の実施例に関し
て更に詳細に記載することにする。しかしながら、下記
の説明は例示のためだけのものと理解すべきであり、前
記の説明の一般性を制限するためのものと考えるべきで
はない。
例1 成長ホルモン欠損1it/1itマウスの胃の成長に対するIGF
−Iおよびデス(1−3)IGF−Iの効果 6週齢の1it/1itマウスを個々に飼育し、一日毎に体
重を測定し、8週齢までに体成長を実質的に停止させ
た。
マウスを次に無作為に体重と性別にしたがって5群に
分け、 (a) HCl(10ミリモル/リットル)1部、及びリン
酸カリウム(50ミリモル/リットル)、NaCl(150ミリ
モル/リットル)および0.1%ヒト血清アルブミン、pH
7.4(希釈剤)9部を含む無菌溶液120μl、 (b) 3μgのIGF−Iを含む希釈剤120μl、 (c) 3μgのデス(1−3)IGF−Iを含む希釈剤1
20μl、 (d) 30μgのIGF−Iを含む希釈剤120μl、または (e) 30μgのデス(1−3)IGF−Iを含む希釈剤1
20μg、 を20日間毎日注射した。それぞれの投与量は、皮下に一
回は午前9〜10時に、もう1回は午後4〜5時に2度の
注射として皮下に投与した。動物は、7日毎に体重を測
定し、その身長を測定した。
21日目に動物を麻酔薬の過剰投与によって屠殺して、
組織を取り出して秤量した。体重、動物の身長(尾を含
む)および胃の重量を下記の表1に示す。値は平均値±
標準誤差であり、希釈剤で処理したコントロール動物か
らの統計学的有意性は、*P<0.05;**P<0.01とし
て示した。動物の数は、括弧内に示した。
初期の体重のそれぞれの群について10gであったの
で、一日投与量はkg体重当たりそれぞれペプチド約300
μgおよび3000μgに相当した。
希釈剤の群の百分率で表わした胃の重量は、それぞれ
IGF−I 300μgおよび3000μg/kg体重/日では105%
および123%であり、それぞれデス(1−3)IGF−1
300μgおよび3000μg/kg体重/日では110%および123
%であった。
例2 デキサメサゾン処理ラットの腸の重量に対するIGF−I
およびデス(1−3)IGF−I LR3の効果 平均体重が152g(範囲138〜164g)であり、代謝ケー
ジに入れておいた雄のフーデドウイスター(Hooded Wis
ter)ラットに、エーテル麻酔下にて肩甲骨の部分の皮
下にアルゼット(Alzet)モデル2001浸透圧ポンプを挿
入した。一つのポンプは20μg/日のデキサメサゾンを送
液し、もう一方のポンプでは、 (a) 希釈材としての0.1M酢酸、 (b) 111μg/日のIGF−I、 (c) 278μg/日のIGF−I、 (d) 695μg/日のIGF−I、 (e) 44μg/日のデス(1−3)GF−、 (f) 111μg/日のデス(1−3)IGF−I、 (g) 278μg/日のデス(1−3)IGF−I、 (h) 44μg/日のLR3、 (i) 111μg/日のLR3、 (j) 278μg/日のLR3、 を送液した。
動物を代謝ケージに7日間入れておき、体重、食物お
よび窒素摂取量および窒素排泄量を毎日測定した。この
期間の後、動物を麻酔下にて瀉血によって殺し、胃から
結腸間での胃腸管を取出し、胃、十二指腸、回腸と空
腸、盲腸および結腸に分離した。総ての部分から食物ま
たは糞便内容物を取り除いて、秤量した。
体重および胃腸管の様々な部分の重量を、表2に平均
±標準誤差として示す。希釈剤で処理した群からの統計
学的有意性を、*P<0.05;**P<0.01;***P<0.
001として示す。それぞれの群に6匹の動物がいた。
胃から結腸を介する全腸の重量をIGF−I、デス(1
−3)IGF−IおよびLR3についての投与量−応答曲線の
形式で全体重の画分として、図1に示す。
回腸と結腸との中心部分では、部分を縦に切断して、
削り取り、粘膜層を取り除いた。この層の重量を、粘膜
+筋肉の百分率として表わした。回腸の同じ部分のタン
パク質含量を測定して、組織のg湿重量当たりのmgとし
て表わした。これらの値を、表3に平均値±標準誤差と
して示す。希釈剤で処理した動物からの統計学的有意性
はANOVA(P>0.05)を用いては得られなかった。
この例では、IGF−I、デス(1−3)IGF−Iまたは
LR3を投与後にデキサメサゾン処理ラットの腸の様々な
部分の重量が著しく増加することを示している。効果
は、投与量によって変わり、IGF−Iと同じ投与量では
デス(1−3)IGF−IまたはLR3の方が大きい。
それぞれの部分の長さは増加しないかまたは増加して
も僅かであるので、増加成長は主として腸の断面積の膨
脹によって起こる。
腸重量の増加は、比例して体重について起こる増加を
上回ることは図1から明らかである。
粘膜によって示される重量百分率はIGF処理によって
影響されないので、空腸および結腸の粘膜および筋肉部
分の両方が増加成長を示す。
空腸および結腸のタンパク質含量百分率はIGF処理に
よって変化しないので、成長は組織タンパク質での増加
によって起こる。
例3 例2におけるラットからの十二指腸の定量的組織学 例1における所定の動物からの十二指腸の中央点をボ
ーイン固定法で固定し、脱水して、埋設し、横断面を切
断し、ヘマトキシリンとエオシンで染色して定量的組織
学的分析を行った。例2の群(a)、(c)、(g)お
よび(j)の総ての動物を処理して、絨毛の高さ、陰窩
の深さ、粘膜面積、粘膜下組織面積、外部筋面積および
総断面積の測定値を得た。それぞれの十二指腸につい
て、30個の絨毛の高さ、30個の陰窩の深さおよび8個の
面積測定値を平均して、代表的値を得た。平均値±SEM
(N=6)を表4に示す。
この例では278μg/日の投与量でのIGF−I、デス(1
−3)IGF−IまたはLR3によって生成した十二指腸の成
長は統計学的に有意な(P<0.01)断面積の増加を伴う
ことを示している。この増加は、筋層も増加するが、主
として粘膜面積の増加である。粘膜の多くを構成し、消
化および吸収に重要な役割を果たす絨毛の高さも増加す
る。
例4 空腸および回腸を部分切除した後に処理したラットの腸
重量に対するIGF−Iおよびデス(1−3)IGF−Iの効
果 平均体重が175g(範囲160〜193g)で、代謝ゲージに
入れておいた雄のスプラーグ・ドーレイ(Sprague Dawl
ey)ラットに、例2と同様にしてアルゼット2001型浸透
圧ポンプを挿入した。成長因子の投与量は、IGF−Iと
デス(1−3)IGF−Iについては170μg/日並びに1GF
−Iでは高投与量の425μg/日であった。ポンプを皮下
にアミレンヒドレート中トリブロモメタノール麻酔と無
菌技術を用いて挿入すると同時に、空腸および回腸を正
中切開によって露出させた。腸のこれらの部分の中央80
%を、トライツ靭帯から10cmから始めて回盲弁から10cm
までを取出した。この腸および腹腔をペニシリン(1000
U/ml)を含む無菌食塩水で繰り返し洗浄した。更に感染
を防止するため、動物に外科手術の前および4日後にプ
ロカインペニシリン0.6mlを注射した。動物を代謝ケー
ジに戻して、自由に食餌および水に接近できるようにし
た。体重、食物摂取量、窒素摂取量および窒素生成量を
毎日測定した。
処理から7日後に、動物を麻酔下にて瀉血して殺し胃
から結腸までの胃腸管を取出して、胃、十二指腸、残り
の空腸と回腸、結腸および盲腸とに分離した。腸の総て
の集めた部分から、食物または糞便の内容物を取り除い
て、秤量した。体重および腸の様々な部分の重量を、平
均値±標準誤差として表5に示す。希釈剤で処理下群か
らの統計学的有意性を、*P<0.05;**P<0.01とし
て示す。希釈剤およびデス(1−3)IGF−I群では7
匹の動物であり、低投与量のIGF−Iの群では6匹、高
投与量のIGF−Iの群では5匹であった。
この例では、デス(1−3)IGF−Iおよび2.5倍の投
与量のIGF−Iは、腸に著しい成長効果を生じることを
示している。デス(1−3)IGF−Iの投与量と同じIGF
−Iの投与量では、統計学的に有意な効果は得られなか
った。
残留空腸と回腸を除いた総腸重量を希釈剤群の百分率
として表わしたものは、IGF−I 170μg/日では113
%、IGFPI 425μg/日では131%およびデス(1−3)I
GF−I 170μg/日では125%であった。
例5 糖尿病ラットの腸成長に対するIGF−I、デス(1−
3)IGF−IおよびMPGH(11)VN/R3 IGF−I(LR3)の
効果 体重が約150gの雄のフーデド・ウイスターラットに、
ストレプトゾトシンを70mg/kgの投与量で腹腔内に注射
して、代謝ケージに移した。糖尿病は、血中グルコース
の測定によって確認した。7日後に(平均体重162g)、
動物に例1と正確に同じ方法で浸透圧ポンプを移植し、
例1と正確に同じ投与量を送液した。7日間処理した後
に、動物を屠殺して、下記の腸器官の重量を測定した:
胃、十二指腸、回腸と空腸、および結腸。これらの値を
表6に示し、総腸重量を図2に示す。それぞれの値は、
6匹の動物についての平均値±SEMである。統計学的有
意性(ANOVA:最小有意差)を、希釈剤で処理下糖尿病ラ
ットに対して*P<0.05、**P<0.01、***P<0.
001によって示す。
これらの結果は、IGF−Iおよび低投与量のデス(1
−3)IGF−IまたはLR3が、胃、回腸と空腸、結腸およ
び総腸重量に対して実質的な成長効果を生じることを示
している。十二指腸に就いての効果は幾分小さい。
糖尿病ラットにおけるIGFの応答は、未処理の動物で
もこの条件に関連した過食症の結果としてすでに重くな
った腸重量を有するので、特に重要である。例えば、糖
尿病をインシュリン投与によって治療した別の群の動物
では回腸と空腸の重量は5.08±0.29gであった。これ
は、インシュリンで治療した動物の体重がずっと重いと
いう事実にも拘らず、表5における希釈剤等より低い。
例6 部分腎摘出の後のラットの腸重量に対するIGF−Iおよ
びデス(1−3)IGF−Iの効果 部分的腎疾患を、2段階でのほぼ完全に近い腎摘出に
よって雄のスプラーグ・ドーレイラット(95〜125g)に
生じさせた。これは、左腎動脈の末端分枝を連結するこ
とによって左腎の少なくとも半分を虚血させ(0日
目)、1週間後に右腎摘出を行い、この時点で右頸静脈
にもカニューレを挿入する(7日目)ことによる側腹部
切開によって行った。部分腎摘出したラットを14日目に
選択して、検出可能なタンパク尿および疑似的に操作し
たコントロール動物の少なくとも二倍に増加した尿量お
よび血清尿水準に基づく検討の処理期間に包含した。16
日目に、ハロタン麻酔下で背胸郭部の皮下に埋設したミ
ニ浸透圧ポンプ(アルゼット2001型、アルザ・カンパニ
ー(Alza Co.)パロ・アルト、カルフォルニア)によっ
て処置を開始した。腎を摘出したラットを無作為に、希
釈剤処理(0.1M酢酸)、低投与量IGF−I処理(170μg/
日)、高投与量IGF−I処理(425μg/日)、またはデス
(1−3)IGF−I処理(170μg/日)の4群に分けた。
ポンプ挿入時の平均体重は193gであった。動物を23日目
に屠殺して、例2と同様にして腸重量を測定した。これ
らを表7に示す。希釈剤で処理下動物からの統計学的有
意性を、*P<0.05、**P<0.01によって示す。
この例は、部分腎摘出によって処理したラットにおけ
る7日間のIGF−Iまたはデス(1−3)IGF−Iによる
処理によって腸重量が増加することを示している。
最後に、各種の他の修正および/または変更を、本明
細書に記載の本発明の精神から離反することなく行うこ
とができることを理解すべきである。
フロントページの続き (72)発明者 リード リーンナ クリスティン オーストラリア国5068 サウス オース トラリア,ケンシントン,ハイ ストリ ート 4/46 (56)参考文献 特開 昭64−66199(JP,A) 国際公開89/10129(WO,A1) 国際公開89/5822(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 37/36 C07K 14/65 CA(STN) REGISTRY(STN) WPIL(DERWENT)

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】哺乳類のインシュリン様成長因子−I、ま
    たはそのペプチド類似体であって、インシュリン様成長
    因子−Iのペプチドフラグメントであり、その1以上の
    アミノ酸が欠失及び/または置換していてもよいペプチ
    ドフラグメント、及びインシュリン様成長因子−Iまた
    は前記ペプチドフラグメントを含む融合ペプチドからな
    る群から選択され、かつ、インシュリン様成長因子−I
    と同様な薬理学的効果を有する前記ペプチド類似体の有
    効量を含む、腸組織の重量を増加させることによって腸
    機能障害を治療するためのヒトまたは動物用薬剤。
  2. 【請求項2】前記哺乳類のインシュリン様成長因子−I
    がヒトインシュリン様成長因子−Iである、請求項1に
    記載の薬剤。
  3. 【請求項3】前記哺乳類のインシュリン様成長因子−I
    またはそのペプチド類似体が、約10〜5000μg/kg体重/
    日の投与量を提供するのに十分な量で含まれている、請
    求項1または2に記載の薬剤。
  4. 【請求項4】前記哺乳類のインシュリン様成長因子−I
    のペプチド類似体が、そのN−末端から1〜5個のアミ
    ノ酸残基がなくなっているものである、請求項1に記載
    の薬剤。
  5. 【請求項5】前記哺乳類のインシュリン様成長因子−I
    のペプチド類似体が、そのN−末端から3個のアミノ酸
    残基がなくなっているものである、請求項4に記載の薬
    剤。
  6. 【請求項6】前記哺乳類のインシュリン様成長因子−I
    のペプチド類似体が、少なくともグルタミン酸残基がそ
    のN−末端の3位でなくなっているかまたはその位置で
    異なるアミノ酸残基によって置換されているものであ
    る、請求項1に記載の薬剤。
  7. 【請求項7】グルタミン酸残基がアルギニン残基によっ
    て置換されている、請求項6に記載の薬剤。
  8. 【請求項8】前記哺乳類のインシュリン様成長因子−I
    のペプチド類似体が、 から選択されるN−末端配列を有する、請求項6に記載
    の薬剤。
  9. 【請求項9】前記哺乳類のインシュリン様成長因子−I
    のペプチド類似体が、 メチオニンブタ成長ホルモンの最初の約100個のN−末
    端アミノ酸またはそのフラグメントを含む第一のアミノ
    酸配列と、 哺乳類のインシュリン様成長因子−Iまたはその類似体
    の第二のアミノ酸配列であって、第一のアミノ酸配列の
    C−末端に連結したもの を有する融合タンパク質である、請求項1に記載の薬
    剤。
  10. 【請求項10】前記第一のアミノ酸配列が、メチオニン
    ブタ成長ホルモンまたはそのフラグメントの最初の約46
    個のN−末端アミノ酸を含む、請求項9に記載の薬剤。
  11. 【請求項11】前記第一のアミノ酸配列が、メチオニン
    ブタ成長ホルモンまたはそのフラグメントの最初の約11
    個のN−末端アミノ酸を含む、請求項9に記載の薬剤。
  12. 【請求項12】前記哺乳類のインシュリン様成長因子−
    Iのペプチド類似体が約50〜500μg/kg体重/日の投与
    量を提供するのに十分な量で含まれている、請求項4〜
    11のいずれか1項に記載の薬剤。
  13. 【請求項13】ヒト以外の動物の、腸組織の重量を増加
    させることによって腸機能障害を治療するための方法で
    あって、治療を行う対象に、哺乳類のインシュリン様成
    長因子−Iまたはそのペプチド類似体であって、インシ
    ュリン様成長因子−Iのペプチドフラグメントであり、
    その1以上のアミノ酸が欠失及び/または置換していて
    もよいペピチドフラグメント、及びインシュリン様成長
    因子−Iまたは前記ペプチドフラグメントを含む融合ペ
    プチドからなる群から選択され、かつ、インシュリン様
    成長因子−Iと同様な薬理学的効果を有する前記ペプチ
    ド類似体の有効量を投与することを含む方法。
  14. 【請求項14】前記哺乳類のインシュリン様成長因子−
    Iまたはそのペプチド類似体を約10〜5000μg/kg体重/
    日の量で、約1〜60日間投与する、請求項13に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】(a)哺乳類のインシュリン様成長因子
    −I、またはそのペプチド類似体であって、インシュリ
    ン様成長因子−Iのペプチドフラグメントであり、その
    1以上のアミノ酸が欠失及び/または置換していてもよ
    いペプチドフラグメント、及びインシュリン様成長因子
    −Iまたは前記ペプチドフラグメントを含む融合ペプチ
    ドからなる群から選択され、かつ、インシュリン様成長
    因子−Iと同様な薬理学的効果を有する前記ペプチド類
    似体の有効量と、 (b)その製薬上または獣医学上許容し得る希釈剤、キ
    ャリアーまたは賦形剤を含む、腸組織の重量を増加させ
    ることによって腸機能障害を治療するための製薬または
    獣医学組成物。
  16. 【請求項16】前記哺乳類のインシュリン様成長因子−
    Iまたはその類似体が、約10〜5000μg/kg体重/日の投
    与量を提供するのに十分な量で含まれている、請求項15
    に記載の製薬または獣医学組成物。
  17. 【請求項17】ヒト以外の動物の、腸組織の重量を増加
    させることによって腸機能障害を治療するための方法で
    あって、 (a)哺乳類のインシュリン様成長因子−I、またはそ
    のペプチド類似体であって、インシュリン様成長因子−
    Iのペプチドフラグメントであり、その1以上のアミノ
    酸が欠失及び/または置換していてもよいペプチドフラ
    グメント、及びインシュリン様成長因子−Iまたは前記
    ペプチドフラグメントを含む融合ペプチドからなる群か
    ら選択され、かつ、インシュリン様成長因子−Iと同様
    な薬理学的効果を有する前記ペプチド類似体の有効量
    と、 (b)その獣医学上許容し得る希釈剤、キャリヤーまた
    は賦形剤、 を含む獣医学組成物を、治療を受ける患者に、約10〜50
    00μg/kg体重/日の投与量で、約1〜60日間静脈内、皮
    下、筋肉内または腸内に投与することを含む方法。
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