JP3011129U - 有機物の分解消化装置 - Google Patents
有機物の分解消化装置Info
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 分解消化槽に投入された有機物の気相条件を
良好に調え、かつその撹拌混合を低負荷で行ない得る装
置の提供。 【構成】 分解消化槽1の内周壁に、各三箇所に落下部
15aを有する三段のカスケード板15を固設し、撹拌
機構6を、回転軸6aと、これから各カスケード板15
上及び分解消化槽1の底板4上に延びる攪拌棒6cから
なる四段の攪拌部6bとで構成し、回転軸6a及び攪拌
棒6cを相互に連通させ、エアコンプレッサ6eを前者
に、ノズル孔nを後者に設ける。回転軸6aに電動モー
タ6dを接続する。分解消化槽1の下部に搬送筒部7b
の周側上部を開口した横移送部7を配し、これで、有機
物を給排出口8又は縦移送部9に移送する。分解消化槽
1の側部に、横移送部7からの有機物を引き上げて上方
からこれに投入する縦移送部9を立設する。
良好に調え、かつその撹拌混合を低負荷で行ない得る装
置の提供。 【構成】 分解消化槽1の内周壁に、各三箇所に落下部
15aを有する三段のカスケード板15を固設し、撹拌
機構6を、回転軸6aと、これから各カスケード板15
上及び分解消化槽1の底板4上に延びる攪拌棒6cから
なる四段の攪拌部6bとで構成し、回転軸6a及び攪拌
棒6cを相互に連通させ、エアコンプレッサ6eを前者
に、ノズル孔nを後者に設ける。回転軸6aに電動モー
タ6dを接続する。分解消化槽1の下部に搬送筒部7b
の周側上部を開口した横移送部7を配し、これで、有機
物を給排出口8又は縦移送部9に移送する。分解消化槽
1の側部に、横移送部7からの有機物を引き上げて上方
からこれに投入する縦移送部9を立設する。
Description
【0001】
本考案は、これに、レストラン又は食堂等の厨房又は食品工場から排出される 生ゴミやこれらの排水処理施設より発生する余剰汚泥の脱水ケーキ等の要廃棄有 機物を概ね水と二酸化炭素に分解して固形成分を消化減容させる有機物の分解消 化装置に関するものである。
【0002】
この種の従来装置の一つに、支持体に、両端を閉じた円筒状の処理容器を横向 きかつその軸心を中心に回転自在に配し、その端部に、使用者がこれを回転させ るためのハンドルを固設し、かつ上記処理容器の周側の一部に生ゴミの投入口を 開閉自在に構成した生ゴミ処理機がある。
【0003】 この従来装置は、投入口を開いて生ゴミを投入し、その前に又は後から、自然 菌を濃縮したとされる菌であって、人、ペット及び植物に無害な菌及び水分調整 材を添加し、更に前記ハンドルを用いて処理容器を1〜2回手回しし、その後放 置すれば、投入した生ゴミを消化減容させることができるとされている。より具 体的には、野菜、魚及び肉類は5〜10日で原形がなくなり、悪臭も殆ど気にな らない、とされている。
【0004】 しかし本件考案者等が実際にテストしたところ、前記処理容器は密閉されてい るので、外部に殆ど悪臭が漏れないことは認められるが、内部では過剰水分の除 去や空気の導入が行われないので、好気性菌の維持・増殖が困難になり、腐敗が 進行することとなる、と云う不都合な結果を得ている。
【0005】 またこの種の他の従来装置には、支持体に、八角筒状の処理容器を横向きかつ その軸心を中心に回転自在に配し、上記処理容器の周側の一部に生ゴミの投入口 を開閉自在に構成し、かつ投入口の蓋体に多数の小孔を穿設した生ゴミ消滅機が ある。
【0006】 この従来装置は、予め特殊処理した木質細片を充填剤として処理容器中に存在 させておき、その処理容器中に、投入口の蓋体をあけて生ゴミを投入し、必要に 応じて該処理容器を1〜2回手回しし、その後放置すれば、投入した生ゴミを消 化消滅させることができ、悪臭も殆ど気にならない、とされている。また前記充 填剤は1年間で10%程度減少するので、その補充を必要とする、と説明されて いる。
【0007】 しかしこの従来装置についても、本件考案者等が実際にテストしたところによ れば、先に説明した従来例と同様に、好気性菌の維持・増殖が充分ではなく腐敗 が進行してしまう、と云う不都合な結果を得ている。
【0008】 廃棄物処理の原則は減容化、安定化及び無害化を進めることであるが、以上の ような従来装置では、好気性菌の活動の条件が整えられないため、その維持増殖 が困難になり、投入した生ゴミ等の有機物に腐敗が生じる等の不都合な結果とな っている。 そこで本件出願人は、以上の従来技術の問題点を解決し、最小限のエネルギー で好気性菌の増殖の条件を調え、廃棄物である種々の有機物を殆ど水と二酸化炭 素に分解して固形物を最小限まで減容し得る簡易な装置として有機物の分解消化 装置を提案した(特開平6−246252号)。
【0009】 この技術は、 軸心を中心に回転自在に配した分解消化槽であって、内外を通じる複数の小孔 を有する分解消化槽と、 上記分解消化槽を、その軸心を中心に回転させる回転駆動手段と、 上記分解消化槽の内部に配した有機物破砕攪拌手段であって、上記分解消化槽 の回転にともないその内部に投入された有機物を破砕して攪拌し得る有機物破砕 攪拌手段と で構成した有機物の分解消化装置である。
【0010】 この技術は、前記目的を達成し得る優れたものであるが、内部に投入した被処 理有機物を前記有機物破砕攪拌手段によって破砕攪拌するために、分解消化槽を 回転させるものであり、その点で、大型の装置に構成するには困難な面がある。 それ故、増大する大量の有機性廃棄物の処理には適せず、主としてレストランや 食堂等の小規模の設備から廃棄される有機物の分解消化処理に適するものである 。
【0011】 しかして本件考案者は、以上の事情から、増大する大量の有機性廃棄物の処理 に適する大型の分解消化槽を構成し得る技術の開発を進め、大量の有機性廃棄物 を短期間で分解消化し、増大する廃棄物や下水処理場等の余剰汚泥のスピーディ な分解消化処理を確保し得るとともに、狭いスペース中に設置し得る有機物の分 解消化装置を開発し、提案した(特願平6−218011号)。この技術は、現 時点では、未だ公知となっているものではない。
【0012】 この技術の内容を述べれば次の通りである。 即ち、 側壁に断熱材を配し、かつ底部を水分透過部材で構成した縦形の分解消化槽と 、 上記分解消化槽中に配する攪拌手段であって、該分解消化槽中に投入される有 機物を、それ自体の動作で攪拌する攪拌手段と、 前記分解消化槽の下部に位置し、有機物を、選択的に、給排出口又は後記縦移 送手段に移送する横移送手段であって、前記分解消化槽を降下して来る有機物を 受け入れる開口部を上部に備えた横移送手段と、 上記横移送手段で移送されて来る有機物を引き上げて上方から前記分解消化槽 中に投入する縦移送手段と、 で構成した有機物の分解消化装置である。
【0013】 この技術によれば、狭いスペースに大型の分解消化槽を備えた装置を設置でき る等、前記目的の多くを達成でき、極めて有効なものである。 しかしその分解消化槽を縦方向に長く、即ち、深くすればする程、それに応じ て可能な限り多量の被処理有機物を投入した場合には、その被処理有機物の積み 重なりにより、下部の被処理有機物にかかる荷重が大きくなり、これを撹拌する 撹拌手段にかかる負荷も非常に大きなものとなる。それ故、その強度を高める必 要があり、かつ駆動体のパワーも大きなものが必要になると云う新たな問題点も 生じて来ることともなったものである。
【0014】
本考案に於ては、前記公知例の問題点を解決するとともに、未だ公知となって いない本件考案者の技術の若干の問題点、即ち、縦長の分解消化槽を必要なだけ 長く構成し、これに被処理有機物を可能な限り多量投入しても、その下部の被処 理有機物及びその位置の被処理有機物を撹拌する撹拌手段に過度の負荷をかけな いで済む有機物の分解消化装置を提供することを、併せて解決の課題とするもの である。更に加えて、被処理有機物の気相条件を一層良好にし、効率よく分解消 化作用を行ない得る分解消化装置を提供することをも解決の課題とするものであ る。
【0015】
本考案の構成の要旨とするところは、 側壁に断熱材を配し、かつ底部を水分透過部材で構成した縦形の分解消化槽と 、 上記分解消化槽の内周壁の上下方向途中に、水平状態で中心方向に延びる一段 以上のカスケード板であって、被処理有機物の落下部となる一以上の不連続離間 部を有するカスケード板と、 前記分解消化槽中に配する攪拌手段であって、少なくとも前記カスケード板上 に位置する被処理有機物を、該撹拌手段それ自体の動作で攪拌しつつ前記不連続 離間部に移送する攪拌手段と、 前記分解消化槽の下部に位置し、被処理有機物を、選択的に、給排出口又は後 記縦移送手段に移送する横移送手段であって、前記分解消化槽の底部から降下し て来る被処理有機物を受け入れる開口部を上部に備えた横移送手段と、 上記横移送手段で移送されて来る被処理有機物を引き上げて上方から前記分解 消化槽の最上段のカスケード板上に投入する縦移送手段と、 で構成した有機物の分解消化装置であり、これによって前記課題を解決するこ とができる。
【0016】 前記分解消化槽は、設置スペースを広げないために、縦形とする必要があるが 、形状としては方形容器状あるいは円筒容器状等を自由に採用することができる 。もっとも前記撹拌手段を垂直に立てた回転軸を中心として回転するような構成 にした場合には、円筒容器状でなければ不適当である。
【0017】 前記カスケード板は、前記したように、一段以上のそれにより縦形の分解消化 槽の内部を上下に並ぶ二段以上に、一定の範囲内で、区分するためのものである が、特に二段以上の前記カスケード板を用いた場合には、上下直近のカスケード 板相互の不連続離間部が上下で一致することのないように構成するのが適当であ る。 また分解消化槽内に一段のカスケード板を配した場合であれ、二段以上のカス ケード板を配した場合であれ、前記縦移送手段の上部の排出口を、最上段のカス ケード板の不連続離間部と上下で一致することのない位置に配することとするの が適当である。
【0018】 また前記攪拌手段は、前記したように、それ自体の動作、例えば、回転とか、 揺動とかの動作により、分解消化槽中に投入された生ゴミ等の被処理有機物を各 カスケード板上及び/又は分解消化槽の底部上毎に破砕し、攪拌し、混合し、か つカスケード板に形成した落下口である不連続離間部に移送することができるも のであれば、その構成は自由である。
【0019】 例えば、前記分解消化槽を直立させた円筒状容器で構成した場合には、前記攪 拌手段を、該分解消化槽の軸心に沿って立ち上げた回転軸と、該回転軸に、前記 各カスケード板の上方及び分解消化槽の底部の上方毎に配した攪拌部であって、 該回転軸に直交する向きに配した複数本の攪拌棒からなる攪拌部とで構成するこ とができる。 また前記撹拌手段を、以上のように、撹拌部を分解消化槽の軸心に沿って立ち 上げた回転軸で回転させるように構成した場合には、前記カスケード板の内端と 上記撹拌手段の回転軸の周側との間に、その間を通じて空気の上下方向の流通を 図り得る間隙を残す構成とすることが適当である。
【0020】 また前記分解消化槽には、その内部での好気性バクテリアの活動を良好にし、 嫌気性バクテリアの活動を抑制するために、空気の導入手段を設けるのが適当で あるが、前記のように、攪拌手段を回転軸と複数の攪拌棒からなる攪拌部とで構 成する場合には、上記回転軸及び攪拌棒を相互に連通するパイプ部材で構成し、 該回転軸に空気の供給手段を接続し、該回転軸を通じて空気を攪拌棒に送給し、 攪拌棒に開口した一以上のノズル孔から分解消化槽内に空気を噴出させるように 構成するのが良い。こうすることによって被処理有機物中に容易に万遍なく空気 を吹き込むことが可能になる。
【0021】 もっとも空気の導入手段は、以上のものに限らず、種々の構成を自由に採用す ることができ、被処理有機物の種類と条件とによっては、分解消化槽の上部に空 気の導入用の開口を設けるだけでも良い。屋外に設置した場合でも雨滴等が入ら ないように、例えば、分解消化槽を分解消化槽本体と蓋体とで構成し、蓋体を載 置する分解消化槽の上端部の一箇所又は複数箇所に、空気導入用切欠を設ける等 の手段によって空気を導入することとしても良い。被処理有機物への空気の導入 が充分に行なわれ得る限り、これ以外の手段を採用することも更に自由である。
【0022】 前記分解消化槽に投入される被処理物は有機物であるから、通性嫌気性菌又は 好気性バクテリアその他によって、殆どが水と二酸化炭素とに分解される。水は ときに水蒸気となる。また前記分解過程にともなって若干の有臭のガスが発生す ることもあり、それ故、上記分解過程で発生することのあるガス類は脱臭手段を 通じて排出するのが好ましい。例えば、前記分解消化槽にガス排出管を介して脱 臭手段を接続し、これを通じてガス類の排出を行なうように構成する訳である。 脱臭手段としては、云うまでもなく、既存の手段を自由に採用することができる 。 もっともこの装置によれば、被処理有機物の分解消化は良好に進行し、水と二 酸化炭素に良好に分解されるので、有臭のガス類の発生は比較的少なく、脱臭手 段無しに排気しても問題は少ない。
【0023】 ところで、前記横移送手段の給排出口は、文字通り、被処理有機物をここから 投入したり、分解消化残渣をここから取り出したりするための出入り口であるが 、特に、被処理有機物を投入する際には、後の分解消化のためにできるだけ細か く砕かれていた方が都合が良い。そこで前記横移送手段の給排出口には、投入す る被処理有機物を破砕する破砕手段を付設しておくことが好ましい。
【0024】 また前記分解消化槽の底部を構成する水分透過部材は、生ゴミ等とともに投入 される過剰水分及び内部で発生した水の排出を目的とするものであるから、この 内部に投入され、細片化された生ゴミその他の被処理有機物の固形分については 容易に外部に通過できない程度の径の多数の小孔を穿設したパンチング板材や、 網材等で構成することができる。該小孔の径又は網の目のサイズは0.5〜10 mm程度が適当である。なおこの底部の下方には降下する水を受け止めて一時保持 する受皿乃至タンクを構成しておく必要がある。この水には被処理有機物が溶け 込んでいる可能性があるので、更に分解消化処理して排水するように構成するの が適当である。
【0025】 前記横移送手段は、操作者の選択に従い被処理有機物を縦移送手段側に移送し 、又は被処理有機物の分解残渣等を前記給排出口に逆移送できる構成であり、か つ上方が開放しており、分解消化槽を降下して来る被処理有機物がそれに容易に 進入することができるものであれば、具体的な構成は自由である。例えば、搬送 筒部の周側上部が開口したスクリューコンベア等を用いることができる。これを 正逆回転可能に構成しておけば良い。
【0026】 また縦移送手段も前記横移送手段で運び込まれた被処理有機物を分解消化槽の 上方まで縦移送できるものであれば、その具体的構成を問わない。この縦移送手 段は、分解消化槽の内部又は外部に設置することができる。勿論、その設置位置 に対応して前記横移送手段の移送先が定められるべきは云うまでもない。
【0027】 なお前記縦移送手段、横移送手段及び前記攪拌手段は、基本的に、相互に連動 して動作させることとし、適当な時間、定期的に又は不定期的に動作させるため の制御手段を構成する。この動作としては、例えば、1時間動作して8時間停止 するサイクルを繰り返すように設定したり、又は、被処理有機物の投入の都度、 一定時間動作するように設定することもできる。 もっとも前記横移送手段は、必要に応じて、他の二つ、即ち、縦移送手段及び 攪拌手段と連動せずに、被処理有機物の分解残渣等を、給排出口に逆送する動作 を設定できるように構成しておくべきことは云うまでもない。
【0028】
しかして本考案の有機物の分解消化装置は、以上のように構成したので、次の ように使用することができる。
【0029】 分解消化槽内には、予め、鋸くずや枯葉等を60%程度の充填率になるように 投入し、必要に応じて光合成菌、変異バクテリア又は酵素剤等を添加しておくこ ととする。加えて前記横移送手段、縦移送手段及び攪拌手段についての制御手段 を適当な動作条件に設定しておくこととする。
【0030】 こうした準備の後、使用を開始し、分解消化槽の中に被処理有機物を投入する 。投入は、横移送手段及び縦移送手段を用いて行なう。これらが動作している状 態で、前記給排出口より被処理有機物を投入する。給排出口に破砕手段を付設し てある場合には、被処理有機物は、これによって破砕されつつ給排出口に投入さ れることとなる。投入された被処理有機物は、破砕され、又はされないで、横移 送手段により縦移送手段の最下部の受け入れ口まで移送され、ここで受け取られ 、縦移送され、その上端の排出口より前記分解消化槽中の最上段のカスケード板 上に投下されることになる。
【0031】 最上部のカスケード板上に投下された被処理有機物は、このとき、連動して動 作している攪拌手段により、そのカスケード板上で破砕されて細片化され、かつ 攪拌混合されながら、該カスケード板に形成した落下口である不連続離間部に移 送される。上記過程で種々の被処理有機物が混じり合い、また密着しあった被処 理有機物片間にすき間が空いてその間に空気が導入されたりしながら移送され、 上記落下口である不連続離間部から下方のカスケード板上に落下することとなる 。
【0032】 また、被処理有機物の種類やその条件に応じて適切な空気の導入手段が構成さ れていることにより、以上の攪拌過程で、被処理有機物の細片間に一層適切に空 気が導入されることにもなる。 こうして被処理有機物は、細片化され、攪拌されつつカスケード板の落下口で ある不連続離間部に移送され、ここから落下して行くこととなる。 また他方では、前記攪拌過程で、被処理有機物に含まれていた過剰水分、及び 有機物の分解消化過程で発生する水も落下口である不連続離間部に送られ、ここ から滴下することとなる。
【0033】 以上のようにして落下した被処理有機物片及び水は、直近上下のカスケード板 に形成した落下口である不連続離間部が上下一致する位置には存在していないの で、ストレートに最下部の底部まで落下するようなことはなく、直下のカスケー ド板上に落下し、以上と同様な過程を経て、更にその下方のカスケード板又は分 解消化槽の底部に落下して行くこととなる。
【0034】 そして以上のような過程を経て分解消化槽の底部まで落下した被処理有機物片 は、攪拌手段で攪拌されつつ、ついには前記横移送手段に、その上部の開口部か ら導入され、前記したと同様に、縦移送手段の最下部の受け入れ口まで移送され 、ここで受け取られ、縦移送され、その上端の排出口より再度最上段のカスケー ド板上に投下されることになる。
【0035】 しかして横移送手段、縦移送手段及び攪拌手段が動作している間は、分解消化 槽に投入された被処理有機物は、各段のカスケード板上で攪拌手段により攪拌さ れつつ、落下口である不連続離間部まで移送され、最上段のカスケード板上から 順次下方のカスケード板上に落下し、最下部の分解消化槽の底部に落下した被処 理有機物は、順次横移送手段及び縦移送手段により、分解消化槽の上部に運ばれ て最上段のカスケード板上に戻るというサイクルを繰り返すこととなる。
【0036】 一方、前記したように、各カスケード板上に於ける前記攪拌過程で、被処理有 機物に含まれていた過剰水分、及び被処理有機物の分解消化過程で発生した水は 、それぞれカスケード板の落下口である不連続離間部に送られ、ここから滴下し 、最下部の分解消化槽の底部まで順次滴下すると、水分透過部材で構成した底部 を通じて、その下方に排出されることとなる。したがって各カスケード板上及び 分解消化槽の底部上の被処理有機物の水分状態は適切に調整されることとなる。
【0037】 以上の動作過程に於いて、分解消化槽は、カスケード板により、一定範囲では 、上下方向の複数段に区分されていることとなり、投入される被処理有機物は、 各段に分けられる結果となって、分解消化槽の高さ一杯に、それが高く積み重な るようなことがない。それ故、下部の被処理有機物でもそれ以上の全ての被処理 有機物の荷重がかかっている訳ではないので、前記撹拌手段の動作に極端に大き なパワーを必要とすることもなく、かつ極端に強度の高い部材で構成する必要も なく、スムーズに動作をさせることができる。 また撹拌手段で撹拌されて良好な気相条件の整った被処理有機物のうち下方の それが上方のそれの重みで潰れ気相条件が悪化するようなこともない。
【0038】 撹拌手段等の静止している過程では、前記動作の過程を経て、分解消化槽内に 投入された被処理有機物は、破砕撹拌混合され、かつ過剰水分も除去されて、予 め充填してある枯葉等の充填剤とともに団粒化し、好気性の微生物の増殖に好適 な条件となり、破砕された有機物細片は徐々に分解され、二酸化炭素と水とにな って排出されていくこととなる。水は自然流下及び前記強制流下の過程を経て最 終的には最下部の分解消化槽の底部より排出され、二酸化炭素、水蒸気その他の ガスは、前記のように、脱臭手段が設けてある場合は、これを介して脱臭された 上で大気に放出され、また設けてない場合は、そのまま分解消化槽の上部から大 気に放出されることとなる。 こうして、被処理有機物の種類性質にもよるが、微生物の活動によって概ね温 度が上昇し、一層条件が良くなるとますます微生物の活動が活発になり、分解消 化作用は進行する。こうして固形成分は徐々に減少することとなる。
【0039】 しかして高効率で被処理有機物の分解消化作用が行なわれるので、云うまでも なく、その能力内で、毎日、被処理有機物が投入された場合は、以上に述べたと ころが繰り返され、有機物であるかぎり、二酸化炭素と水とになって排出される ため、固形成分は最終的には殆ど残留しないこととなる。
【0040】 なお冬季等の微生物の活動条件が悪い時期にも、この考案装置では、断熱材に よって内外を熱的に遮断するようにしているので、分解消化槽内に生成した良好 な環境条件は容易に維持され、高効率の分解消化作用が継続される。 また分解消化槽の底部から下部の受皿又はタンク等に流出した水は、その中に 溶け込み又は混じっている有機物を分解消化した上で放流する。
【0041】
以下図面に基づいて本考案の一実施例を説明する。 図1に示したように、円筒形の分解消化槽1を、その軸心を直立させた状態、 即ち、縦向きに配設する。この分解消化槽1は、この例では、耐食性金属で構成 したもので、その容量は8.8m3である。周側を二重構造とし、その間に断熱 材2を充填する。
【0042】 またその分解消化槽1の内周壁には、図1に示したように、上下方向に間隔を あけて中央側に張出す三段のカスケード板15、15、15を配し、各一段のカ スケード板15は、図2に示したように、平面から見てドーナツ型の基本形状の 板材を三箇所で切り欠いて、セクター状の不連続離間部である落下口15a、1 5a、15aを形成したものである。図2に示したように、この例では、各落下 口15aは、約30度の角度幅を持ったセクター状の不連続離間部とし、一段の カスケード板15には、該各落下口15aは、120度の中心間角度間隔で、上 記のように、三箇所に構成したものである。
【0043】 上下に配した三段のカスケード板15、15、15は、上下直近のそれら相互 の落下口15a、15a、15aが、図3に示したように、60度ずれた位置に 位置するように配設する。したがって最上部のカスケード板15の落下口15a 、15a、15aと二段目のカスケード板15の落下口15a、15a、15a とは、相互に60度づれた位置に位置し、最上部のカスケード板15の落下口1 5a、15a、15aと最下部、即ち、三段目のカスケード板15の落下口15 a、15a、15aとは、相互に上下同一の位置に位置するように配設する。
【0044】 なお、前記のように、カスケード板15、15、15はドーナツ型の基本形状 であるから、中央部側には、後述する撹拌機構6の回転軸6aの外周との間に、 上下のカスケード板15、15、15間の空気の流通を確保するに充分な間隙1 5bを残したものである。
【0045】 また前記分解消化槽1内の下部途中には多数の小孔3、3…を穿設した底板4 を固設し、その下方に上記小孔3、3…を通じて流下する水分を一時保持するタ ンク部5を構成する。
【0046】 前記分解消化槽1には、この中への空気の導入手段を兼ねた攪拌機構6を構成 する。分解消化槽1の軸心に沿って回転軸6aを立ち上げ、該回転軸6aに、上 下方向に間隔をあけて四段の攪拌部6bを構成する。図1に示したように、最上 段の撹拌部6bは最上段のカスケード板15の上方に、二段目の撹拌部6bは二 段目のカスケード板15の上方に、三段目の撹拌部6bは三段目のカスケード板 15の上方に、そして最下段の撹拌部6bは前記底板4の上方に、それぞれ位置 するように構成する。
【0047】 また各攪拌部6bは、前記回転軸6aから120度の定角度間隔で水平かつ放 射方向に延びる3本の攪拌棒6c、6c、6cで構成したものである。図3に示 したように、上下直近の撹拌部6b、6bの攪拌棒6c、6c、6c相互は60 度だけづれた位置に位置するように構成してある。同図中で二段目の撹拌部6b の攪拌棒6c、6c、6cは平行斜線を描いて最上段のそれらと区別してある。 二段目のカスケード板15にも平行斜線を描いて最上段のカスケード板15と区 別してある。 また前記回転軸6aは、前記底板4を貫通してその下部まで延長してあり、下 端には減速機を介して電動モータ6dを接続してある。
【0048】 前記回転軸6a及び攪拌棒6c、6c…は、いずれもパイプ部材で構成し、相 互を連通状態に結合する。上記各攪拌棒6c、6c…には、複数のノズル孔n、 n…を開口しておくものとする。そして前記回転軸6aの上端にはエアコンプレ ッサ6eを接続する。エアコンプレッサ6eは、ユニバーサルジョイントを用い て、回転自在な状態で接続する。
【0049】 しかして攪拌機構6の回転軸6aが電動モータ6dの作用により回転すれば、 攪拌棒6C、6c、6cで構成される各攪拌部6bにより、分解消化槽1内の各 カスケード板15及び底板4上の被処理有機物の破砕・攪拌及び移送作用が行な われ、被処理有機物は、各落下口15bを通じて、順次下方の各カスケード板1 5上又は底板4上へ落下させられてゆく。このような過程で、被処理有機物片間 の気相条件が良好となり、更に、これらの被処理有機物片は、各段のカスケード 板15及び底板4上に分散されるので、全量が積み重なった場合のように、下部 のそれに大きな荷重がかかることがない。それ故、良好になった気相条件が壊さ れることもないし、これらを破砕・撹拌及び移送する前記撹拌機構6の電動モー タ6dに過負荷がかかることもない。
【0050】 他方、前記エアコンプレッサ6eが動作すれば、その圧縮空気がパイプ部材で 構成された回転軸6aを通じて各攪拌棒6cに送り込まれ、それらのノズル孔n 、n…を通じて、その周囲の被処理有機物片間に噴出されることとなる。しかし て被処理有機物片間に極めて均一かつ良好に空気を吹き込むことができ、一層気 相条件は良好なものとなる。
【0051】 また前記底板4の直下には、分解消化槽1の軸心から少しづらして横移送部7 を構成する。この横移送部7はスクリューコンベアで構成し、スクリュー部材7 aを外装している搬送筒部7bの上部側を切欠き開放し、かつ前記底板4の該横 移送部7に沿った部位も切欠き開口しておき、この開口を通じて、底板4上を前 記撹拌部6bで破砕・撹拌されつつ移送される被処理有機物が、搬送部7b中に 落下進入できるようにする。
【0052】 上記横移送部7の一端(図1中左端)には被処理有機物の給排出口8を接続す る。この給排出口8は、横移送部7の軸心を中心に回動自在に配し、排出口とし て使用する場合には下向きにできるようにしておく。また同じ端部には、電動モ ータ7cを接続し、前記スクリューコンベアのスクリュー部材7aを正逆回転駆 動できるように構成する。
【0053】 また前記横移送部7の他端(図1中右端)には縦移送部9の下端の受け入れ口 を接続する。この縦移送部9は、分解消化槽1の外側部に直立させたもので、こ の縦移送部9もスクリューコンベアで構成したものである。その下部に於いて、 スクリュー部材9aを外装している搬送筒部9bの一部を切り欠いて、前記横移 送部7の末端と接続するものである。スクリュー部材9aの下端には電動モータ 9cを接続する。またこの縦移送部9の上端には、搬送筒部9bから分解消化槽 1の上部にその先端が突き込んだ排出口9dを構成しておくものとする。この排 出口9dは、これから排出される被処理有機物が概ね最上段のカスケード板15 上に載るように位置決めする。
【0054】 他方、分解消化槽1の外側部には、脱臭塔10を付設する。これは筒形の塔本 体10aの中間部に接触材を充填した接触材充填部10bを構成し、その上部に は液体噴霧ノズル部10c及び接触材充填部10bから立上るガス排気管10d を設け、更に下部には、前記接触材充填部10bから雫状になって垂れ落ちる水 を保持するタンク部10eを構成する。このタンク部10eには、その中に溜っ た水を排出する排水口10fが付設してある。
【0055】 前記脱臭塔10の接触材充填部10bには、分解消化槽1からのガスを導入す るガス導入管11を接続し、更に、前記液体噴霧ノズル部10cには、分解消化 槽1の最下部のタンク部5に流下した水をポンプ装置12で汲み上げ送給するべ く接続する。前記ガス導入管11の途中にはガスを吸引する吸引ファン13を挿 入する。
【0056】 なお図中14は分解消化槽1の上部蓋体である。
【0057】 ところで、前記横移送部7、縦移送部9、攪拌機構6及び前記ポンプ装置12 は、基本的に、相互に連動して動作させることとし、所望の時間、定期的又は不 定期的に動作させるための制御部(図示せず)を構成する。この動作は、例えば 、1時間動作して8時間停止するサイクルを繰り返すように設定したり、又は、 有機物の投入の都度、一定時間動作するように設定したりすることができるよう に構成する。 勿論、前記横移送部7については、必要に応じて、特に他の二者、即ち、縦移 送部9及び攪拌機構6と連動せずに、有機物の分解残渣等を、給排出口8に逆送 する動作を行ない得るように構成する。
【0058】 しかしてこの実施例の有機物の分解消化装置は、以上のように構成したので、 次のように使用することができる。
【0059】 この装置の動作開始に先立って、予め制御部について条件の設定を行う。この 例では、前記横移送部7、縦移送部9及び攪拌機構6は2時間の動作の後、6時 間停止するサイクルで動作させ、攪拌機構6は、回転軸6aが6rpmの回転速度 で回転するように設定した。前記脱臭塔10に、分解消化槽1の最下部のタンク 部5に流下した水分を送り込むポンプ装置12及び分解消化槽1内のガスを吸引 して脱臭塔10に送り込む吸引ファン13は、前記タンク部5の水位がポンプの 動作に不都合になるほど低下した場合を除いて、常時動作するように設定した。 なお前記タンク部5の水位は図示しないセンサで常時チェックするように構成 してある。
【0060】 またこの例では、分解消化槽1中に、予めオガ屑(木質粒体)及び炭粒を充填 率58%程度(約5100リットル)になるまで床材として充填し、分解菌とし て、床材に対して6%(容量%、約306リットル)の変異バクテリア(通性嫌 気性菌:空気の存在不存在に拘らず良好に活動する。自然状態で存在する好気性 菌と良好に共存する)を添加した。
【0061】 こうして動作条件を設定し、運転を開始して、前記横移送部7の給排出口8よ り被処理有機物を投入する。ここでは、食品工場で発生した野菜屑、生魚屑及び 廃油等の有機物を投入した。
【0062】 これらの被処理有機物は、横移送部7のスクリュー部材7aで分解消化槽1の 下部を通過して前記縦移送部9の最下部の受け入れ口まで運ばれる。この間、既 に分解消化槽1中に投入され、底板4上に位置している床材の一部が若干搬送筒 部7bの開口している上部側から降下混合することもある。こうして縦移送部9 の受け入れ口に運ばれた被処理有機物は、更にこの縦移送部9のスクリュー部材 9aにより最上部まで運ばれ、分解消化槽1の最上部に投入されることとなる。
【0063】 分解消化槽1の上部に投入された被処理有機物の大部分は、前記最上段のカス ケード板15上に載り、設定条件にしたがって、先ず初めは、攪拌機構6が回転 攪拌動作しているので、それらの被処理有機物は、カスケード板15上で、前記 床材と混合され、破砕されつつ落下口15a、15a、15a方向に移送され、 徐々にここから二段目のカスケード板15上に落下して行くこととなる。二段目 のカスケード板15上でも同じことが行なわれ、被処理有機物は、三段目のカス ケード板15上に落下し、更に同じことが行なわれて底板4上に落下する。
【0064】 即ち、前記設定条件のように、2時間の動作時には、攪拌機構6の回転軸6a が6rpmの回転速度で回転させられ、前記のように、投入された被処理有機物は 、各カスケード板15及び底板4上で、攪拌機構6の回転動作にともない、攪拌 棒6c、6c…により小さな塊に破砕分断され、また既に投入されている変異バ クテリア担体等の床材とも混じり合うこととなる。過剰水分も流下し易くなり、 各々のカスケード板15に於いて、落下口15a、15a、15aより順次落下 してゆき、ついには底板4の小孔3、3…よりその下方のタンク部5に流下し、 水分状態もより適切となる。そしてこのような状態で、被処理有機物は、順次各 カスケード板15上を上記撹拌棒6c、6c、6cにより移送されて、落下口1 5a、15a、15aに移動し、ここから次の段のカスケード板15上又は底板 4上に落下し、同じことが行なわれる。
【0065】 それ故、被処理有機物は、前記撹拌破砕混合過程で気相条件が良好になるが、 更に各カスケード板15の落下口15a、15a、15aからの落下の過程でも それが促進され、かつ各カスケード板15によって被処理有機物の積み重なりが 分断され、下方のそれが上方のそれの荷重によって押し潰されることがないので 、気相条件は良好な状態を保持し得るものである。 また、上記のように、各カスケード板15によって被処理有機物の積み重なり が分断され、下方のそれに上方のそれの悉くの荷重がかかる訳ではないので、前 記撹拌機構6に過負荷がかかることがなく、限度一杯の被処理有機物をこの分解 消化槽1中に投入しても正常な運転を維持し易い。
【0066】 また以上の撹拌機構6の動作の過程では、同時に、前記エアコンプレッサ6e も動作しており、これで発生された圧縮空気が回転軸6aを介して攪拌棒6c、 6c…に送り出され、そのノズル孔n、n…より噴出されるので、攪拌され、床 材と混合されつつある被処理有機物片の間に、確実かつ均一に空気が導入され、 存在する好気性のバクテリア類の活動を活発にすることができる。
【0067】 前記給排出口8からの被処理有機物の投入がなくなり、これが横移送部7に送 られてこなくなると、今度は、分解消化槽1の最下部から初めは床材が、そして 時間の経過とともに床材と被処理有機物との混合物が、搬送筒部7bの上部の開 口から降下進入するようになり、これが前記縦移送部9に運ばれ、この縦移送部 9によって分解消化槽1の上部まで運ばれて順次再投入されることとなる。こう して分解消化槽1内では、前記攪拌機構6による水平方向の攪拌破砕混合と横移 送部7及び縦移送部9による上下方向の混合とが行なわれることとなる。
【0068】 以上の動作は、前記設定条件にしたがって、2時間行なわれ、これに引続く6 時間、停止される。そしてまた2時間の動作が行なわれ、また6時間停止すると いうように繰り返される。
【0069】 こうして分解消化槽1内の被処理有機物は、床材として投入されているオガ屑 粒体や炭粒とともに団粒化し、前記したように、カスケード板15、15、15 の作用にも加わって、好気性の微生物の増殖に極めて好適な条件となり、変異バ クテリア、及びその他自然状態で存在する好気性のバクテリアによっても、徐々 に分解され、二酸化炭素と水とに分解される。
【0070】 前記したように、被処理有機物に含まれていた過剰水分及びその分解過程で生 じた水分は、分解消化槽1内を徐々に降下して底板4の小孔3、3…を通じてそ の下方の前記タンク部5に流下する。タンク部5に流下した水はポンプ装置12 で汲み上げられ、前記脱臭塔10の接触材充填部10bに、液体噴霧ノズル部1 0cを通じて噴霧供給される。 また二酸化炭素等を含む発生ガスは、分解消化槽1の上部で、前記吸引ファン 13に吸引され、ガス導入管11を通じて前記脱臭塔10の接触材充填部10b 中に導入される。
【0071】 前記分解消化槽1の最下部のタンク部5に流下した水は、前記変異バクテリア 、及びその他、好気性のバクテリアをも含んでおり、これが前記のように、脱臭 塔10の接触材充填部10bに供給されると、バクテリアは接触材に付着して、 水のなかに溶け込んでいる有機物を分解しつつ増殖し、更に前記のように、接触 材充填部10b中に導入されたガス中の臭い成分も対応するバクテリアに分解さ れることとなる。
【0072】 しかして接触材充填部10b中に供給された水は、この中に含まれる有機物が 分解され、浄化されて、下方のタンク部10eに滴下し、また接触材充填部10 b中に導入されたガスもその臭い成分が除去されて前記ガス排気管10dを通じ て大気中に放出される。前記タンク部10eに滴下した水は、排水口10fを通 じて排水される。
【0073】 この例では、以上のようにして、1994年7月21日〜1994年10月2 0日の間に、食品工場で発生した野菜屑、生魚屑及び廃油等を、そのまま、65 0Kg/日の投入割合で投入継続したところ、順調に分解消化が行われた。 その間、良好な温度条件(45〜65℃)を維持し得た。変異バクテリアは、 前記期間中に1度も追加する必要がなかった。 また床材が消耗して細かな粉状になってしまうので、実施開始から3ケ月であ る前記期間末、即ち、10月20日に、前記給排出口8を下向きにした上で、前 記横移送部7を、逆移送させ、分解消化槽1内の分解残渣を取り出した。400 リットル程度が取り出されたが、これは、無機質分等の本来の分解残渣の他に、 分解可能な有機質分が、実際上、分解残渣と分離取り出し不可能なため相当量含 まれているものである。
【0074】 またこの装置でし尿の分解消化をも行った。実施期間は、1994年7月21 日〜1994年10月20日である。 この場合は、横移送部7、縦移送部9及び攪拌機構6を、1時間の動作の後、 7時間停止するサイクルで動作させ、その攪拌機構6を5rpmの回転速度で回転 するように設定した。前記脱臭塔10に水を送るポンプ装置12及びガスを送り 込む吸引ファン13は常時動作させておくように設定した。 分解消化槽1には、予めオガ屑(木質粒体)及び鉱物粒を充填率が67%程度 になるように床材として充填した。分解菌として光合成菌を用いた。
【0075】 し尿を260リットル/日の投入割合で投入継続したところ、臭気が消失し、 蠅の発生はなかった。また昇温しなかった。光合成菌の追加投入も不要であった 。
【0076】
本考案では、撹拌手段で、分解消化槽内に投入された被処理有機物を単に攪拌 混合するのではなく、該分解消化槽内に一段以上のカスケード板を構成し、各カ スケード板上で、被処理有機物を粉砕撹拌しつつ、その落下口まで移送するよう に攪拌手段を構成したので、投入された被処理有機物は、各カスケード板で上下 方向の積み重なりが分断され、上方のそれの荷重を下方のそれが受けるというこ とがなくなるものである。
【0077】 それ故、撹拌手段にかかる負荷が小さくなり、小さな容量の駆動体でも駆動可 能となる。またカスケード板の落下口からの落下の過程で被処理有機物はより分 散状態が促進され、気相条件が良好になり、加えて、落下後は、各々のカスケー ド板上又は分解消化槽の底部上で、上方の被処理有機物の重量で下方のそれが押 し潰されることがないので、良好な気相条件が破壊されることもない。 しかして、本件出願人の提案した未だ公知となっていない特願平6−2180 11号の技術と比較しても約30%程の分解消化速度の向上が得らたものである 。
【0078】 また、前記のように、横移送手段と縦移送手段とを設けて、分解消化槽の下部 の被処理有機物を上方に移動して投下することとしたため、上部の被処理有機物 が下方に順次降下し、最下部に至った被処理有機物が上方に移動して投下される と云う上下方向の循環も生じ、前記一段以上のカスケード板を設けて、上下方向 の有機物の積み重なりを分断したことと相まって、前記分解消化槽を、縦形の高 さの高いものに構成しても、内部の被処理有機物の攪拌混合が極めて良好に行な われ、前記のように、気相条件が良好に保持できるので、分解消化作用が良好に 行なわれ得るという利点が得られる。
【0079】 そして以上のように、高さの高い縦形に構成しても被処理有機物の分解消化を 良好に行なえるため、高さを一層高くして容量の大きなものに構成し得る一方で 、縦形であるため、横形のものに比べて遥かに小さな設置スペースで大容量の分 解消化槽を構成し得るものである。
【0080】 また従来例及び本件出願人の提案した特開平6−246252号の技術のいず れも分解消化槽を回転する構成になっており、これによって内部の被処理有機物 を撹拌混合することとしているが、これに対して、本件出願人は、未だ公知にな っていない特願平6−218011号によって、分解消化槽を縦形で固定タイプ とし、その内部に、それ自体の動作によって撹拌作用を行なう攪拌手段を構成す ることにより、その分解消化槽の大型化を容易にする技術を提案し、本考案に於 て、更にそれにカスケード板を加えることにより、一層大型化を図り得、現時点 で要望されつつある大量の有機性廃棄物の分解消化処理を一層効率的に行なうこ とを可能としたものである。
【0081】 なお本考案に於いて、前記分解消化槽を直立させた円筒状容器で構成し、前記 攪拌手段を、該分解消化槽の軸心に沿って立ち上げた回転軸と、該回転軸に、前 記各カスケード板の上方及び分解消化槽の底部の上方毎に配した攪拌部であって 、該回転軸に直交する向きに配した複数本の攪拌棒からなる攪拌部とで構成し、 更に前記攪拌手段の回転軸及び攪拌棒を相互に連通するパイプ部材で構成し、空 気の供給手段を前記回転軸に接続し、これを通じて空気を攪拌棒に送給し、攪拌 棒に開口した一以上のノズル孔から空気を噴出させるように構成した場合には、 被処理有機物の攪拌混合過程で、被処理有機物片間の隙間に攪拌棒のノズル孔か ら空気を吹き込むことができるため、被処理有機物に確実かつ均一に空気を吹き 込むことが容易になり、気相条件が良好となり、好気性のバクテリアの活動が良 好となって、被処理有機物の分解消化が高効率で進行することとなる。
【0082】 前記カスケード板の作用によって被処理有機物片中に細かな空間が多数発生し 、気相条件が良好となるため、前記空気供給手段の作用と相まって、被処理有機 物中への温風の供給も良好に行なえるため、寒冷地でも充分良好に分解消化作用 を行なうことができる。
【0083】 本考案に於ては、前記したように、攪拌手段、横移送手段及び縦移動手段によ って被処理有機物の攪拌混合を良好にし、これによって、予め投入し、又は途中 で投入することのあるバクテリア担体である床材との混合を良好にしつつ、気相 条件をもととのえて、好気性バクテリアの増殖を促進する。こうして被処理有機 物の分解消化は高効率で行なわれることとなる。即ち、それらの被処理有機物を 高効率で、殆ど水と二酸化炭素に分解して固形物を最小限まで減容し得ることと なる。
【0084】 また分解消化作用で生じた又は被処理有機物の投入時に含まれていた過剰水分 は、分解消化槽の底部から流下するようになっており、これによって水分状態も 調整される。前記過剰水分は、前記攪拌手段による攪拌動作によって保持されて いた被処理有機物から分離して流下する作用もあり、これによっても水分状態の 調整が行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の側断面概略説明図。
【図2】一実施例の一段のカスケード板の平面図。
【図3】分解消化槽の内部を最上部から見た状態のカス
ケード板及び撹拌機構の概略平面図(二段目の撹拌部の
攪拌棒は平行斜線を描いて最上段のそれらと区別してあ
り、二段目のカスケード板にも平行斜線を描いて最上段
のそれと区別してある)。
ケード板及び撹拌機構の概略平面図(二段目の撹拌部の
攪拌棒は平行斜線を描いて最上段のそれらと区別してあ
り、二段目のカスケード板にも平行斜線を描いて最上段
のそれと区別してある)。
1 分解消化槽 2 断熱材 3 小孔 4 底板 5 タンク部 6 攪拌機構 6a 回転軸 6b 攪拌部 6c 攪拌棒 6d 電動モータ 6e エアコンプレッサ 7 横移送部 7a スクリュー部材 7b 搬送筒部 7c 電動モータ 8 給排出口 9 縦移送部 9a スクリュー部材 9b 搬送筒部 9c 電動モータ 9d 排出口 10 脱臭塔 10a 塔本体 10b 接触材充填部 10c 液体噴霧ノズル部 10d ガス排気管 10e タンク部 10f 排水口 11 ガス導入管 12 ポンプ装置 13 吸引ファン 14 上部蓋体 15 カスケード板 15a 落下口 15b 間隙 n ノズル孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 川隅 利勝 茨城県水戸市谷津町1−69
Claims (6)
- 【請求項1】 側壁に断熱材を配し、かつ底部を水分透
過部材で構成した縦形の分解消化槽と、 上記分解消化槽の内周壁の上下方向途中に、水平状態で
中心方向に延びる一段以上のカスケード板であって、被
処理有機物の落下部となる一以上の不連続離間部を有す
るカスケード板と、 前記分解消化槽中に配する攪拌手段であって、少なくと
も前記カスケード板上に位置する被処理有機物を、該撹
拌手段それ自体の動作で攪拌しつつ前記不連続離間部に
移送する攪拌手段と、 前記分解消化槽の下部に位置し、被処理有機物を、選択
的に、給排出口又は後記縦移送手段に移送する横移送手
段であって、前記分解消化槽の底部から降下して来る被
処理有機物を受け入れる開口部を上部に備えた横移送手
段と、 上記横移送手段で移送されて来る被処理有機物を引き上
げて上方から前記分解消化槽の最上段のカスケード板上
に投入する縦移送手段と、 で構成した有機物の分解消化装置。 - 【請求項2】 前記分解消化槽の内周壁の上下方向途中
に二段以上のカスケード板を配設し、上下直近のカスケ
ード板相互の不連続離間部が上下で一致することのない
ように構成されている請求項1の有機物の分解消化装
置。 - 【請求項3】 前記縦移送手段の上部の排出口を、最上
段のカスケード板の不連続離間部と上下で一致すること
のない位置に配した請求項1の有機物の分解消化装置。 - 【請求項4】 前記分解消化槽を直立させた円筒状容器
で構成し、前記攪拌手段を、該分解消化槽の軸心に沿っ
て立ち上げた回転軸と、該回転軸に、前記各カスケード
板の上方及び分解消化槽の底部の上方毎に配した攪拌部
であって、該回転軸に直交する向きに配した複数本の攪
拌棒からなる攪拌部とで構成した請求項1の有機物の分
解消化装置。 - 【請求項5】 前記攪拌手段の回転軸及び攪拌棒を相互
に連通するパイプ部材で構成し、空気の供給手段を前記
回転軸に接続し、これを通じて空気を攪拌棒に送給し、
攪拌棒に開口した一以上のノズル孔から空気を噴出させ
るように構成した請求項4の有機物の分解消化装置。 - 【請求項6】 前記カスケード板の内端と前記撹拌手段
の回転軸の周側との間に、その間を通じて空気の上下方
向の流通を図り得る間隙を残した請求項4又は5の有機
物の分解消化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1994015147U JP3011129U (ja) | 1994-11-14 | 1994-11-14 | 有機物の分解消化装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1994015147U JP3011129U (ja) | 1994-11-14 | 1994-11-14 | 有機物の分解消化装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3011129U true JP3011129U (ja) | 1995-05-16 |
Family
ID=43146867
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1994015147U Expired - Lifetime JP3011129U (ja) | 1994-11-14 | 1994-11-14 | 有機物の分解消化装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3011129U (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5859151A (en) | 1994-06-21 | 1999-01-12 | The B. F. Goodrich Company | Degradable blend composition |
JP3414898B2 (ja) | 1995-08-14 | 2003-06-09 | 富士電機株式会社 | 生ゴミ処理装置 |
KR100856890B1 (ko) * | 2008-04-28 | 2008-09-05 | (주) 캠프 | 음식물 쓰레기 처리기의 바스켓 조립체 |
KR100915608B1 (ko) * | 2007-07-25 | 2009-09-07 | 주식회사그린훼미리 | 유기성 폐기물 처리장치 |
-
1994
- 1994-11-14 JP JP1994015147U patent/JP3011129U/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5859151A (en) | 1994-06-21 | 1999-01-12 | The B. F. Goodrich Company | Degradable blend composition |
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KR100856890B1 (ko) * | 2008-04-28 | 2008-09-05 | (주) 캠프 | 음식물 쓰레기 처리기의 바스켓 조립체 |
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