JP2977366B2 - オーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法 - Google Patents
オーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法Info
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- JP2977366B2 JP2977366B2 JP4096760A JP9676092A JP2977366B2 JP 2977366 B2 JP2977366 B2 JP 2977366B2 JP 4096760 A JP4096760 A JP 4096760A JP 9676092 A JP9676092 A JP 9676092A JP 2977366 B2 JP2977366 B2 JP 2977366B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳片と鋳型壁面の間に
相対速度差のない、いわゆる同期式連続鋳造プロセスに
よって鋳造した製品厚さに近い厚さの鋳片を冷間圧延し
て、オーステナイト系ステンレス鋼薄板を製造する方法
に関するものである。
相対速度差のない、いわゆる同期式連続鋳造プロセスに
よって鋳造した製品厚さに近い厚さの鋳片を冷間圧延し
て、オーステナイト系ステンレス鋼薄板を製造する方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】同期式連続鋳造プロセスとは、たとえば
「鉄と鋼」'85-A197〜A256に特集された論文に紹介され
ているような、双ロール法、双ベルト法、単ロール法
等、鋳片と鋳型壁面間に相対速度差のない同期式連続鋳
造プロセスである。これら同期式連続鋳造プロセスの一
つである双ロール式連続鋳造法は、平行又は傾斜配置し
た一対の同径あるいは異径冷却ロールとその両端面をシ
ールするサイド堰とによって構成した連続鋳造鋳型内に
金属溶湯を注入し、両冷却ロールの円周面状にそれぞれ
凝固殻を生成させ、回転する両冷却ロールの最近接位置
(いわゆる「キッシングポイント」)付近で凝固殻同士
を合体させて一体の薄帯状鋳片として送出する連続鋳造
方法である。
「鉄と鋼」'85-A197〜A256に特集された論文に紹介され
ているような、双ロール法、双ベルト法、単ロール法
等、鋳片と鋳型壁面間に相対速度差のない同期式連続鋳
造プロセスである。これら同期式連続鋳造プロセスの一
つである双ロール式連続鋳造法は、平行又は傾斜配置し
た一対の同径あるいは異径冷却ロールとその両端面をシ
ールするサイド堰とによって構成した連続鋳造鋳型内に
金属溶湯を注入し、両冷却ロールの円周面状にそれぞれ
凝固殻を生成させ、回転する両冷却ロールの最近接位置
(いわゆる「キッシングポイント」)付近で凝固殻同士
を合体させて一体の薄帯状鋳片として送出する連続鋳造
方法である。
【0003】例えば、双ロール式連続鋳造法により鋳造
される薄帯状鋳片は、厚さ数mm(通常1〜10mm程
度)であり、熱間圧延を経ずに冷間圧延を行って薄板製
品を製造することができる。そのため、振動鋳型等を用
いる連続鋳造により厚さ100mm超の熱間圧延用スラ
ブとしての鋳片を鋳造し、これを熱間圧延してから冷間
圧延する製造方法(スラブ鋳片/熱間圧延プロセス)に
比べて、生産効率およびコストが格段に有利になる。
される薄帯状鋳片は、厚さ数mm(通常1〜10mm程
度)であり、熱間圧延を経ずに冷間圧延を行って薄板製
品を製造することができる。そのため、振動鋳型等を用
いる連続鋳造により厚さ100mm超の熱間圧延用スラ
ブとしての鋳片を鋳造し、これを熱間圧延してから冷間
圧延する製造方法(スラブ鋳片/熱間圧延プロセス)に
比べて、生産効率およびコストが格段に有利になる。
【0004】冷間圧延されたオーステナイト系ステンレ
ス鋼薄板は、種々の冷間成形加工を施されて産業用およ
び家庭用の耐食性構造材および外装材として広く用いら
れている付加価値の高い製品であり、その製造に双ロー
ル式連続鋳造法等を適用することにより高い経済効果が
得られることが期待される。しかし、双ロール式連続鋳
造法等により鋳造した薄帯状鋳片を熱間圧延を経ずに冷
間圧延する際には、次の問題があった。
ス鋼薄板は、種々の冷間成形加工を施されて産業用およ
び家庭用の耐食性構造材および外装材として広く用いら
れている付加価値の高い製品であり、その製造に双ロー
ル式連続鋳造法等を適用することにより高い経済効果が
得られることが期待される。しかし、双ロール式連続鋳
造法等により鋳造した薄帯状鋳片を熱間圧延を経ずに冷
間圧延する際には、次の問題があった。
【0005】すなわち、スラブ鋳片/熱間圧延プロセス
で得られる熱延ホットコイルは、エッジ形状が比較的良
好で、エッジトリムを行わずに冷間圧延することができ
る。これに対して、双ロール式連続鋳造等で得られる薄
帯状鋳片をホットコイルとして用いる場合、エッジ部の
凝固遅れ等に起因した鋳ばりが発生しており、場合によ
ってはエッジ欠損に至ることもある。そのため冷間圧延
前に上記の欠陥を除去するためのエッジトリム処理(側
縁部切断除去)を行う必要がある。
で得られる熱延ホットコイルは、エッジ形状が比較的良
好で、エッジトリムを行わずに冷間圧延することができ
る。これに対して、双ロール式連続鋳造等で得られる薄
帯状鋳片をホットコイルとして用いる場合、エッジ部の
凝固遅れ等に起因した鋳ばりが発生しており、場合によ
ってはエッジ欠損に至ることもある。そのため冷間圧延
前に上記の欠陥を除去するためのエッジトリム処理(側
縁部切断除去)を行う必要がある。
【0006】しかし、オーステナイト系ステンレス鋼、
特にSUS304に代表される18−8系オーステナイ
トステンレス鋼は、冷間加工によってマルテンサイト変
態が生じるため、エッジトリムによって両エッジが硬化
する。これをそのまま冷間圧延すると、圧延中に耳割れ
が発生し、板破断の原因になる。
特にSUS304に代表される18−8系オーステナイ
トステンレス鋼は、冷間加工によってマルテンサイト変
態が生じるため、エッジトリムによって両エッジが硬化
する。これをそのまま冷間圧延すると、圧延中に耳割れ
が発生し、板破断の原因になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、鋳片と鋳型
壁面との間に相対速度差のない、いわゆる同期式連続鋳
造法によってオーステナイト系ステンレス鋼薄板を製造
するに際し、エッジトリム処理による鋳片エッジ部の硬
化を防止することにより、冷間圧延前の焼鈍をしなくと
も、耳割れや板破断等のトラブルを生ぜずに安定して冷
間圧延を行えるようにする方法を提供することを目的と
する。
壁面との間に相対速度差のない、いわゆる同期式連続鋳
造法によってオーステナイト系ステンレス鋼薄板を製造
するに際し、エッジトリム処理による鋳片エッジ部の硬
化を防止することにより、冷間圧延前の焼鈍をしなくと
も、耳割れや板破断等のトラブルを生ぜずに安定して冷
間圧延を行えるようにする方法を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、鋳片と鋳型壁
面が同期して移動する連続鋳造法により薄帯状鋳片を鋳
造し、この鋳片をエッジトリムしてから冷間圧延する際
に、下記 1 式で定義されるMd30の値+50℃以上の温
度で上記エッジトリムを行うことを特徴とするオーステ
ナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法である。Md30 = 4
13-462(%C+%N)-9.2%Si-8.1%Mn-13.7%Cr-18.5%Mo-9.5(%N
i+%Cu)... 1 式
面が同期して移動する連続鋳造法により薄帯状鋳片を鋳
造し、この鋳片をエッジトリムしてから冷間圧延する際
に、下記 1 式で定義されるMd30の値+50℃以上の温
度で上記エッジトリムを行うことを特徴とするオーステ
ナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法である。Md30 = 4
13-462(%C+%N)-9.2%Si-8.1%Mn-13.7%Cr-18.5%Mo-9.5(%N
i+%Cu)... 1 式
【0009】
【作用】エッジトリム後に焼鈍を行うと冷間圧延中の耳
割れ発生は無いことから、冷間圧延中の耳割れ発生の原
因は、エッジトリム処理における切断面近傍に発生した
硬いマルテンサイト相と元々の軟らかいオーステナイト
相とが混在した状態で冷間圧延を受けることであると考
えられる。
割れ発生は無いことから、冷間圧延中の耳割れ発生の原
因は、エッジトリム処理における切断面近傍に発生した
硬いマルテンサイト相と元々の軟らかいオーステナイト
相とが混在した状態で冷間圧延を受けることであると考
えられる。
【0010】本発明者は、エッジトリム処理でマルテン
サイト変態が生じないようにするには、鋳片のMd30の値
+50℃以上の温度でエッジトリム処理を行えばよいこ
とを見出した。以下に、実施例によって本発明を更に詳
細に説明する。
サイト変態が生じないようにするには、鋳片のMd30の値
+50℃以上の温度でエッジトリム処理を行えばよいこ
とを見出した。以下に、実施例によって本発明を更に詳
細に説明する。
【0011】
【実施例】双ロール式連続鋳造法により、表1に示す4
水準のMd30の値を有するSUS304薄帯状鋳片を鋳造
し、デスケールした後、20〜100℃の温度でシャー
切断によりエッジトリム処理した材料を焼鈍をせずに、
1パス(圧下率10%)の冷間圧延を施した。冷間圧延
後の材料について耳割れの有無を目視判定した結果を表
2に示す。
水準のMd30の値を有するSUS304薄帯状鋳片を鋳造
し、デスケールした後、20〜100℃の温度でシャー
切断によりエッジトリム処理した材料を焼鈍をせずに、
1パス(圧下率10%)の冷間圧延を施した。冷間圧延
後の材料について耳割れの有無を目視判定した結果を表
2に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】表1の4水準のMd30の値の材料(A,B,
C,D)は、それぞれそのMd30の値+50℃以上の温度
でエッジトリムを行った場合には、耳割れを発生せずに
安定して冷間圧延することができた。
C,D)は、それぞれそのMd30の値+50℃以上の温度
でエッジトリムを行った場合には、耳割れを発生せずに
安定して冷間圧延することができた。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
エッジトリム処理による鋳片エッジ部の硬化を防止する
ことにより、冷間圧延前の焼鈍をしなくとも、耳割れや
板破断等のトラブルを生ぜずに安定して冷間圧延を行
い、オーステナイト系ステンレス鋼薄板を製造すること
ができる。
エッジトリム処理による鋳片エッジ部の硬化を防止する
ことにより、冷間圧延前の焼鈍をしなくとも、耳割れや
板破断等のトラブルを生ぜずに安定して冷間圧延を行
い、オーステナイト系ステンレス鋼薄板を製造すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 周一 山口県光市大字島田3434番地 新日本製 鐵株式会社光製鐵所内 (56)参考文献 特開 平3−100124(JP,A) 特開 平3−42151(JP,A) 特開 平4−158902(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 1/46 B21B 3/02 B22D 11/06 C21D 8/02 - 8/04 C21D 9/46 - 9/48
Claims (1)
- 【請求項1】 鋳型壁面と鋳片が同期して移動する連続
鋳造法により薄帯状鋳片を鋳造し、該鋳片をエッジトリ
ムしてから冷間圧延する際に、 1 式で定義されるMd30
の値+50℃以上の温度で前記エッジトリムを行うこと
を特徴とするオーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造
方法。 Md30 = 413-462(%C+%N)-9.2%Si-8.1%Mn-13.7%Cr-18.5%Mo-9.5(%Ni+%Cu)... 1
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4096760A JP2977366B2 (ja) | 1992-04-16 | 1992-04-16 | オーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4096760A JP2977366B2 (ja) | 1992-04-16 | 1992-04-16 | オーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05293506A JPH05293506A (ja) | 1993-11-09 |
JP2977366B2 true JP2977366B2 (ja) | 1999-11-15 |
Family
ID=14173607
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4096760A Expired - Fee Related JP2977366B2 (ja) | 1992-04-16 | 1992-04-16 | オーステナイト系ステンレス鋼薄板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2977366B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6150819B2 (ja) * | 2011-12-28 | 2017-06-21 | ポスコPosco | 高強度オーステナイト系ステンレス鋼及びその製造方法 |
-
1992
- 1992-04-16 JP JP4096760A patent/JP2977366B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05293506A (ja) | 1993-11-09 |
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Date | Code | Title | Description |
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