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JP2962134B2 - 疲労亀裂進展抑制効果を有する鋼板 - Google Patents

疲労亀裂進展抑制効果を有する鋼板

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Publication number
JP2962134B2
JP2962134B2 JP3853894A JP3853894A JP2962134B2 JP 2962134 B2 JP2962134 B2 JP 2962134B2 JP 3853894 A JP3853894 A JP 3853894A JP 3853894 A JP3853894 A JP 3853894A JP 2962134 B2 JP2962134 B2 JP 2962134B2
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JP
Japan
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less
steel sheet
fatigue crack
hardness
soft
Prior art date
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JP3853894A
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JPH07242992A (ja
Inventor
正人 山下
知哉 藤原
和茂 有持
英昭 幸
秀治 岡口
威 一ノ瀬
隆弘 櫛田
登 誉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP3853894A priority Critical patent/JP2962134B2/ja
Publication of JPH07242992A publication Critical patent/JPH07242992A/ja
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  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木建築構造物、
船体、海洋構造物や装置およびラインパイプ等の材料と
して好適な、大気中および腐食環境中において疲労亀裂
進展抑制特性(以下、単に疲労亀裂進展特性と記す)に
優れる鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、土木建築構造物等は大型化および
軽量化が要求されており、このため、構造用鋼材の高強
度化が望まれている。船体用材料等でも、大型化および
コストダウンの観点から高張力鋼の使用が拡大され始め
ている。しかし、高強度鋼を使用する場合、当然設計応
力が上昇するために疲労破壊が重要な問題となる。
【0003】一方、構造用鋼材等の厚鋼板では一般に溶
接施工が施されるため、溶接部から疲労亀裂が発生する
場合が多い。したがって、溶接部から発生進展する疲労
亀裂を鋼材で停留させることができれば、構造物の疲労
寿命を延長するのに有効である。
【0004】疲労亀裂の進展を停留させるためには、特
開平5−148541号公報にあるように疲労亀裂先端
にマイクロクラックを発生させる方法がある。しかし、
この方法の効果は、低ΔK(ΔK:最大応力拡大係数と
最小応力拡大係数との差)領域、すなわち、亀裂が長く
なく応力レベルが低い場合に限られ、溶接部から発生し
てある程度の長さを有しており、中ΔK領域にある亀裂
に関しては、少ないと考えられる。
【0005】日本機械学会論文集A編,vol.45
(1979),P.440〜445にあるように、機械
構造用鋼の分野で疲労耐久限度におよぼす組織の影響が
調査されているが、長さが約500μmを超える長い亀
裂においては、その進展は組織の影響を受けにくいこと
が指摘されており、疲労亀裂の進展抑制をさらに向上さ
せようとする場合に必要な、比較的長い亀裂の進展を抑
制するための知見は示されていない。
【0006】特開平4−329848号公報には、疲労
強度が重要な特性である自動車用ホイールをはじめとす
る各種用途の熱延鋼板に関して、二相組織中の母相と第
二相の硬さ、面積率および第二相の粒径を限定すれば、
良好な疲労強度が得られることが示されているものの、
疲労亀裂の進展挙動については十分に検討がなされてい
るとは言えず、また組織間の硬度差に着目した疲労亀裂
の進展抑制効果については明らかになっていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記課題を解
決するためになされたものであり、具体的な目的は、土
木建築構造物や船体、海洋構造物や装置、ラインパイプ
等の材料として使用される鋼材であって、疲労亀裂が進
展しにくい性質を有する鋼板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は下記の
(1)〜(4)の鋼板にある。
【0009】(1)質量%で、C:0.01〜0.3
%、Si: 0.1〜0.5%、Mn:0.3〜2.0
%およびsol.Al:0.005〜0.1%、さら
に、Cr:1.5%以下(無添加でもよい)、Mo:
0.6%以下(無添加でもよい)、Ni:0.5%以下
(無添加でもよい)、Cu:1.0%以下(無添加でも
よい)、Nb:0.1%以下(無添加でもよい)、T
i:0.1%以下(無添加でもよい)およびV:0.1
%以下(無添加でもよい)を含み、残部はFeと不可避
不純物からなる鋼板であって、その組織は硬質部の素地
とその素地に分散した軟質部とからなり、この2部分の
硬度差がビッカース硬度で150以上であることを特徴
とする疲労亀裂進展抑制効果を有する鋼板。
【0010】(2)上記(1)の成分の鋼板であって、
その組織は硬質部の素地とこの素地に分散した軟質部か
らなり、硬質部の素地と軟質部との硬度差がビッカース
硬度で150以上、軟質部の平均粒径が50μm以下で
あることを特徴とする疲労亀裂進展抑制効果を有する鋼
板。
【0011】(3)上記(1)の成分の鋼板であって、
その組織は硬質部の素地とこの素地に分散した軟質部か
らなり、この2部分の硬度差がビッカース硬度で150
以上、硬質部の平均間隔が50μm以下であることを特
徴とする疲労亀裂進展抑制効果を有する鋼板。
【0012】(4)上記(1)の成分の鋼板であって、
その組織は硬質部の素地とこの素地に分散した軟質部か
らなり、この2部分の硬度差がビッカース硬度で150
以上、硬質部の平均間隔が50μm以下、かつ、軟質部
の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする疲労
亀裂進展抑制効果を有する鋼板。
【0013】ここでいう硬質部とは、マルテンサイト、
ベイナイト、パーライト、疑似パーライトおよび焼戻し
マルテンサイトの1種以上から、軟質部とはフェライト
から、それぞれ構成される組織を意味する。
【0014】本発明は、疲労挙動に及ぼす材料因子につ
いて検討して得た次の〜の知見に基づいている。
【0015】鋼材の疲労挙動を調査した結果によれ
ば、複合組織であって、構成組織間の硬度差が大きい場
合、疲労亀裂が停留しやすいこと。そして、この効果
は、硬質部と軟質部との存在比率(体積率)によって、
あまり影響を受けないこと。
【0016】複合組織中の各組織間の硬度差をある値
以上にした場合、またこれに加えて軟質部の平均粒径を
一定値以下に抑制した場合、または、硬質部の平均間隔
(分散距離)を一定値以下に抑制した場合、進展する亀
裂が硬質部と軟質部の境界近傍に到達した際、先端にお
ける塑性変形が抑制されることにより、上述の疲労亀裂
の停留が起こること。
【0017】Cr、Mo、NiおよびCuのいずれか
を少量添加することにより、鋼材の耐食性等を向上さ
せ、腐食環境中においても疲労亀裂進展特性を向上させ
る効果が期待できること。
【0018】また、Nb、TiおよびVのいずれかを添
加すれば、炭化物を生成することにより軟質部(フェラ
イト)を強化する効果が得られ、軟質部内を進展する疲
労亀裂進展速度は低下すること。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の鋼板の化学組成、
その組織および軟質部と硬質部の硬度差の限定理由を作
用効果とともに説明する。%は質量%を意味する。
【0020】1)鋼板の化学組成 C:0.01〜0.3% Cは鋼の強度を高める成分である。本発明鋼板の用途に
必要な強度レベルを保持するために、C含有量は0.0
1%以上とした。これを下回ると本発明の鋼板の用途に
必要な強度と組織を確保するのが困難である。一方、本
発明の鋼板の主要な用途では必ず溶接施工を受けるの
で、溶接割れの発生を防止するために、C含有量の上限
は0.3%とした。望ましいC含有量の範囲は0.03
〜0.18%である。
【0021】Si:0.1〜0.5% Siは鋼の脱酸のために必要な成分である。Si含有量
が0.1%未満ではこの効果が期待できない。一方、
0.5%を超えると鋼の靱性が損なわれる。望ましいS
i含有量の範囲は0.25〜0.4%である。
【0022】Mn:0.3〜2.0% Mnは鋼の強度を向上させる成分である。Mn含有量が
0.3%未満では本発明の鋼板の用途に必要な強度を確
保するのが困難である。しかし、MnもCと同様、溶接
熱影響部を硬化させ溶接割れをもたらす成分であること
から、その含有量には上限がある。すなわち、2.0%
を上回ると溶接割れが発生しやすくなる。望ましいMn
の含有量は0.7〜1.4%である。
【0023】sol.Al:0.005〜0.1% Alは、鋼の脱酸のためにsol.AlとしてAl含有
量が0.005%以上となるようする必要がある。しか
し、sol.Al含有量が0.1%を上回ると鋼の清浄
度および靱性が損なわれる。
【0024】本発明の鋼板の一つは、上記の成分の外、
残部がFeと不可避不純物からなるものである。不純物
の中のPとSは、それぞれ0.025%以下、0.02
0%以下に抑えるのが望ましい。
【0025】本発明の鋼板は必要に応じて上記の各成分
に加えてさらに、次の7種類の成分の中の1種または2
種以上を含むものであってもよい。
【0026】Cr:1.5%以下 Crは、腐食環境下での疲労亀裂進展特性の改善および
軟質部の転位構造の制御と微視的塑性変形の抑制に有効
な成分である。したがって、積極的に添加する場合Cr
含有量は0.01%以上とするのが望ましい。しかし、
Cr含有量が1.5%を超えると、これらの効果が飽和
する上に鋼の強度が過剰に上昇しすぎ、靱性が損なわれ
る。より望ましいのは0.3〜1.0%の範囲である。
【0027】Mo:0.6%以下 Moも、腐食環境下での疲労亀裂進展抑制特性の改善お
よび軟質部の転位構造の制御と微視的塑性変形の抑制に
有効な成分である。したがって、積極的に添加する場合
Mo含有量の下限は0.05%とするのが望ましい。し
かし、Mo含有量が0.6%を超えると、これらの効果
が飽和する上に鋼の強度が過剰に上昇しすぎ、靱性が損
なわれる。より望ましいのは0.1〜0.4%の範囲で
ある。
【0028】Ni:0.5%以下 Niも、腐食環境下での疲労亀裂進展抑制特性の改善お
よび軟質部の転位構造の制御と微視的塑性変形の抑制に
有効な成分である。したがって、積極的に添加する場合
Ni含有量の下限は0.1%とするのが望ましい。しか
し、Ni含有量が0.5%を超えると、これらの効果が
飽和する上に鋼の強度が過剰に上昇しすぎ、靱性が損な
われる。より望ましいのは0.2〜0.4%の範囲であ
る。
【0029】Cu:1.0%以下 Cuも、腐食環境下での疲労亀裂進展抑制特性の改善お
よび軟質部の転位構造の制御と微視的組成変形の抑制に
有効な成分である。ただし、Cu含有量が0.1%未満
ではその効果が小さいので、積極的に添加する場合Cu
含有量は0.1%以上とするのが望ましい。しかし、C
u含有量が1.0%を超えると、これらの効果が飽和す
る上に鋼の強度が過剰に上昇しすぎ、靱性が損なわれ
る。より望ましいのは、0.3〜0.5%の範囲であ
る。
【0030】以上のCr、Mo、NiおよびCuは、い
ずれも耐食性を向上させる作用を有し、この効果も相俟
って腐食環境下での疲労亀裂進展抑制特性が改善され
る。
【0031】Nb、Ti、V:いずれも0.1%以下 Nb、TiおよびVは、いずれも炭化物を生成すること
により、軟質部を細粒化して強化するため、腐食環境下
での疲労亀裂進展抑制特性の改善に有効な成分である。
したがって、これらの3種類の成分から1種以上を選ん
で積極的に添加する場合には、含有量はいずれも0.0
1%以上とするのが望ましい。しかし、含有量が0.1
%を超えると上記効果が飽和する上に鋼の強度が過剰に
上昇しすぎ、靱性が損なわれる。より望ましいのは、T
iおよびNbでともに0.01〜0.03%、Vで0.
02〜0.05%の範囲である。
【0032】2)鋼板の組織および硬度差 上記の化学組成を有する本発明鋼板は、通常の溶製、鋳
造(連続鋳造またはインゴット鋳造)の後、熱間鍛造ま
たは熱間圧延を行い、熱処理を施す製造工程で得ること
ができる。
【0033】本発明鋼板は、硬質部の素地とこの素地に
分散した軟質部からなる複合組織を有するものである。
硬質部はマルテンサイト、ベイナイト、パーライト、疑
似パーライトおよび焼戻しマルテンサイトの1種以上か
らなる組織、軟質部はフェライト組織である。
【0034】これは、硬質部と軟質部の2種類の組織を
複合形成させて、その界面近傍において亀裂進展の停留
効果を得るためである。この効果は、硬質部と軟質部と
の存在比率(体積率)によって、あまり影響を受けな
い。したがって、本発明鋼板では、上記の存在比率は特
に限定されない。
【0035】本発明鋼板の一つは、上記の組織におい
て、さらに硬質部と軟質部との硬度の差をビッカース
(以下、Hvという)で150以上としたものである。
【0036】軟質部と硬質部との硬度差をHvで150
以上にする理由は次のとおりである。この硬度差が15
0以上になると、亀裂先端の転位の移動が軟質部と硬質
部との界面で阻止されるとともに、バーガースベクトル
が界面に直交する転位が、両部の界面近傍の軟質部内に
配列するため、傾角粒界が形成される。この傾角粒界
は、粒界一次転位のみにより構成されるため、粒界凝集
力が高く、破壊の抵抗となりやすい。さらに、形成され
た傾角粒界には転位が突入しにくいため、引き続き繰り
返し応力が作用する場合には、粒界に隣接する軟質部側
に新しい傾角粒界が形成される。このようなステップを
繰り返すことにより、大きな体積を有する傾角粒界の集
合部が形成される。この集合部は亀裂進展の抵抗とな
り、鋼材の亀裂進展抑制特性を向上させるのである。
【0037】本発明鋼板の他の一つは、硬質部の素地と
この素地中に分散した軟質部とからなる組織とし、硬質
部の素地と分散した軟質部との硬度差をHvで150以
上、さらに軟質部の平均粒径を50μm以下としたもの
である。
【0038】軟質部の分散形態としては、ランダム状、
複数で平行する点列状および点列ネットワーク状または
からまった点列ネットワーク状、複数で平行する連続状
および連続ネットワーク状またはからまった連続ネット
ワーク状などがある。これらの軟質部はフェライトであ
り、この平均粒径を50μm以下とするのである。
【0039】このような複合組織と硬度差においても、
硬質部と軟質部との界面近傍において亀裂進展の停留効
果を得ることができる。
【0040】軟質部の平均粒径を50μm以下に制御す
る理由とその効果は、次のとおりである。
【0041】この制御により、短範囲で結晶方位を変化
させ結晶粒内の転位の移動を抑制するとともに、粒界に
到達した転位が隣接結晶粒内へ移動する場合においても
バーガースベクトルに変化が生じるために、粒界転位が
残留して粒界を強化することができ、高い亀裂停留効果
が発現する。軟質部の平均粒径が50μmを超えると高
い亀裂停留効果が得られない。
【0042】本発明鋼板のさらに他の一つは、その組織
を硬質部(素地)と軟質部(分散相)とからなるものと
し、その2部分の硬度差をHvで150以上、さらに硬
質部の平均間隔(分散距離)を50μm以下としたもの
である。ここで、硬質部の平均間隔とは中心間距離を指
すものである。
【0043】このような複合組織も、硬質、軟質の両部
からなり、適正な硬度差を有するため、その界面近傍で
亀裂進展の停留効果を得ることができる。
【0044】硬質部の平均間隔が50μm以下で分散す
るように制御した場合には、この制御により軟質部内の
微視的な塑性変形を抑制し、亀裂停留効果が顕著にな
る。硬質部の平均間隔が50μmを超えると、その顕著
な効果が得られなくなる。
【0045】本発明鋼板では、前記の複合組織と硬度差
を維持し、さらに軟質部の平均粒径が50μm以下と硬
質部の平均間隔が50μm以下との両方の条件を満たせ
ば、一層好ましい効果を得ることができる。
【0046】
【実施例】表1に示す化学組成の鋼を連続鋳造により厚
さ160mmのスラブとし、熱間で直送して熱間圧延に
供し、厚さ40mmの鋼板とした。得られた鋼板の組織
と硬度差を制御するため、これらの鋼板に表2に示す条
件で加工熱処理を施した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】すなわち、鋼番1〜24の各鋼に対し、加
熱温度、圧延条件、冷却速度等を適切に制御することに
よって、種々の組織、軟質部と硬質部の硬度差、軟質部
の平均粒径、硬質部の平均間隔(分散距離)を有し、引
張強度が41〜86kgf/mmの範囲の鋼板とし
た。比較例として、焼入れ後、表2に記載の条件で焼戻
し処理をおこなった鋼板も評価した。
【0050】これらの鋼板から採取した試験材を試番1
54とし、組織、軟質部の平均粒径、硬質部の平均間
隔、硬度差及び疲労亀裂進展抑制特性を調査した。
【0051】鋼板の組織調査と硬度の測定は、サンプル
をエポキシ樹脂に埋め込み、切断、断面の研磨、エッチ
ングを施して、顕微鏡観察および微小領域の硬度測定を
行うことにより行った。
【0052】疲労亀裂進展抑制特性の調査は、図1
(b)に示すCT試験片1と図1(a)に示すサーボパ
ルサ装置を用いる疲労試験法によった。
【0053】図1(a)に示す装置では、1はCT試験
片、2は試験溶液槽、3は溶液循環ポンプ、4はロード
セル、5は油圧シリンダー、6は油圧源、7はサーボバ
ルブ、8は波形発生器、9は負荷制御器であり、試験溶
液槽2中で試験片1に油圧シリンダー5により繰返し応
力を負荷することができる。疲労試験条件は次のとおり
である。
【0054】 f(繰返し速度)=30Hz R(応力比)=0.1 T(試験温度)=室温 試験雰囲気:湿潤硫化水素環境中 (水10%を含む懸濁させた原油に、硫化水素濃度1
%、残りは窒素の混合ガスを試験期間中常時吹き込み) ASTM,D−1141−52で規定する人工海水中 大気中 疲労試験結果の検討によれば、いずれの試験片の場合も
中ΔK領域(本試験では約50〜300kgf/mm
3/2)における第2領域で、Paris則〔Tran
s.ASME,Ser.D.85.523(196
3)〕、すなわちda/dN=C(ΔK) 、ただし、
〔ΔK〕:kgf/mm 3/2 ,〔da/dN〕:mm
/cycleが成り立つことが判明した。したがって、
疲労亀裂進展特性は、この中ΔK領域のΔK=50およ
び100kgf/mm 3/2 における、亀裂進展速度d
a/dN(mm/cycle)の平均値(da/dN)
で評価することとした。表3〜表6に上記の調査、測
定および疲労試験の結果を示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】各試験片の(da/dN)からわかるよ
うに、本発明例である試験No.1〜35では(da/
dN)mが小さく、高い疲労亀裂進展抵抗を有してい
る。一方、硬度差が本発明で定める範囲外にある試験
No.38〜56の場合では(da/dN)が大き
く、疲労亀裂進展抑制特性は改善されていない。
【0060】
【発明の効果】本発明の鋼板は、中ΔK領域においても
疲労亀裂進展抑制特性に優れており、溶接部から疲労亀
裂が発生した場合でも、従来鋼に比べて疲労寿命の延長
が期待できる。したがって、土木建築構造物、船体、海
洋構造物、海洋装置およびラインパイプなどに用いられ
る鋼材として適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は試験装置の概要を示す図、(b)は疲
労試験片の形状を示す図である。
【符号の説明】
1:CT試験片、 2:試験溶液槽、 3:溶液循環
ポンプ、 4:ロードセル、 5:油圧シリンダー、6:油圧源、 7:サーボバルブ、8:波形発生器、 9:負荷制御
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 幸 英昭 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 岡口 秀治 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 一ノ瀬 威 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 櫛田 隆弘 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 誉田 登 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−87746(JP,A) 特開 平7−11383(JP,A) 特開 平4−337026(JP,A) 特開 平4−329848(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、C:0.01〜0.3%、S
    i:0.1〜0.5%、Mn:0.3〜2.0%および
    sol.Al:0.005〜0.1%、さらに、Cr:
    1.5%以下(無添加でもよい)、Mo:0.6%以下
    (無添加でもよい)、Ni:0.5%以下(無添加でも
    よい)、Cu:1.0%以下(無添加でもよい)、N
    b:0.1%以下(無添加でもよい)、Ti:0.1%
    以下(無添加でもよい)およびV:0.1%以下(無添
    加でもよい)を含み、残部はFeと不可避不純物からな
    る鋼板であって、その組織は硬質部の素地とこの素地に
    分散した軟質部とからなり、この2部分の硬度差がビッ
    カース硬度で150以上であることを特徴とする疲労亀
    裂進展抑制効果を有する鋼板。
  2. 【請求項2】請求項1に記載する化学組成を有する鋼板
    であって、その組織は硬質部の素地とこの素地に分散し
    た軟質部からなり、硬質部の素地と軟質部との硬度差が
    ビッカース硬度で150以上、軟質部の平均粒径が50
    μm以下であることを特徴とする疲労亀裂進展抑制効果
    を有する鋼板。
  3. 【請求項3】請求項1に記載する化学組成を有する鋼板
    であって、その組織は硬質部の素地とこの素地に分散し
    た軟質部とからなり、この2部分の硬度差がビッカース
    硬度で150以上、硬質部の平均間隔が50μm以下で
    あることを特徴とする疲労亀裂進展抑制効果を有する鋼
    板。
  4. 【請求項4】 請求項に記載する化学組成を有する 鋼板で
    あって、その組織は硬質部の素地とこの素地に分散した
    軟質部とからなり、この2部分の硬度差がビッカース硬
    度で150以上、硬質部の平均間隔が50μm以下、か
    つ、軟質部の平均粒径が50μm以下であることを特徴
    とする疲労亀裂進展抑制効果を有する鋼板。
JP3853894A 1994-03-09 1994-03-09 疲労亀裂進展抑制効果を有する鋼板 Expired - Lifetime JP2962134B2 (ja)

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