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JP2946491B2 - ケラチンのミセル水溶液の製造法 - Google Patents

ケラチンのミセル水溶液の製造法

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JP2946491B2 JP31244890A JP31244890A JP2946491B2 JP 2946491 B2 JP2946491 B2 JP 2946491B2 JP 31244890 A JP31244890 A JP 31244890A JP 31244890 A JP31244890 A JP 31244890A JP 2946491 B2 JP2946491 B2 JP 2946491B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、不可逆的なジスルフィド結合の変成を伴わ
ないケラチンのミセル水溶液の製造法に関する。本発明
方法にて得られたミセル水溶液はケラチン高分子膜、フ
ィルム、繊維、スポンジ等各種産業の製品の製造に用い
られる。
[従来の技術] 毛髪、獣毛、羽毛等の動物組織中に構造タンパクとし
て存在するケラチンは従来より膜、繊維などの産業素材
の原料として注目されている。
しかしながら、ケラチンは通常の溶媒に対し不溶ない
し難溶である。このため天然原料中のケラチンを利用す
るには、加水分解による大幅な短分子量化、またはケラ
チンのジスルフィド結合の還元処理あるいは生成したチ
オール基の化学処理による非可逆的保護化等を必要とす
る。すなわち、ケラチンを含有する天然物を濃厚な酸ま
たはアルカリにより処理して生成した加水分解物;還元
剤と高濃度尿素水溶液等のタンパク質変成剤とを併用し
ケラチンのジスルフィド結合を還元開裂してチオール基
としたケラチン水溶液;該ケラチンのチオール基の再結
合防止のためにモノヨード酢酸や亜硫酸ナトリウム/テ
トラチオン酸ナトリウム等により不可逆的に化学修飾し
たケラチン誘導体;あるいは還元開裂とタンパク質分解
酵素により短分子量化したケラチン水溶液などの形態と
して使用されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、酸化処理によって得たタンパク質から
ケラチンを復元するには複雑な化学処理が必要であり回
収収率は著しく低い。一方、還元処理では、アルカリ性
条件下、水を主成分としたメタノール、エタノール、ア
ミドなどの溶媒中、チオールなどの還元剤と尿素などの
タンパク質変成剤とからなる可溶化剤の存在下にケラチ
ンを還元可溶化し、透析、限外濾過等により可溶化剤を
除去する。また、透析中にケラチンが不溶化するのを防
止するため還元処理後、ケラチン溶液に界面活性剤を添
加することも提案されている(特開昭63−301809号)。
このような還元処理は酸化処理に比べ簡便なケラチンの
調製法であるが、髪、羊毛や角のような堅いケラチン含
有物を原料とした場合、ケラチンの抽出速度は緩慢であ
りケラチン回収率も低い。
さらに、ケラチン含有物質を水性または有機性媒体中
で還元して得られた液に金属塩を加えて変性ケラチン物
質を沈澱として分離する方法も提案されている(特開昭
53−23999号)。しかしながら、かかる方法は産業廃水
の処理に用いられる重金属吸着能を備えた変性ケラチン
物質の製造に関するものであり、ケラチンのミセル水溶
液の製造、ケラチンの抽出速度の改善については何ら記
載されていない。
[課題を解決するための手段] そこで本発明者は、ケラチンを含有する天然物からケ
ラチンを効率的に抽出する方法について鋭意検討を行っ
た。その結果、ケラチン含有物質を還元剤およびタンパ
ク質変成剤にさらに界面活性剤を含む水中にて撹拌加熱
し、ついでこれを透析処理することによりケラチンを効
率的に抽出することができ、ケラチンのミセル水溶液が
得られるとの知見を得た。
すなわち本発明は、ケラチン含有物質を水性媒体中、
界面活性剤の存在下に還元し、得られたミセル水溶液を
透析することを特徴とするケラチンのミセル水溶液の製
造法を提供するものである。また、本発明はケラチン含
有物質を水性媒体中、界面活性剤の存在下、超音波照射
のもとに還元することを特徴とするケラチンのミセル水
溶液の製造法を提供するものである。また、従来の方法
により得られたケラチン粉末自体を上記水性媒体中還元
剤とともに撹拌加熱して溶解し、容易にケラチン溶液を
得ることもできる。
本発明製造法においては、まずケラチン含有物質を水
性媒体中、界面活性剤の存在下に還元する。この還元に
は、ケラチン含有物質中に存在するケラチンのジスルフ
ィド結合をチオール基に還元する還元剤が一般に用いら
れる。また、この反応は通常タンパク質変成剤を添加し
て行われる。
該ケラチン含有物質は真性ケラチンを含むものであれ
ばよく、例えば人髪、羊、馬や牛の獣毛、鶏など鳥類の
羽毛が好ましく用いられるが、爪、牛の角やひずめなど
も用いられる。またケラチン粉末は、種々の公知の方法
(例えば、T.T.Sun and H.Green,J.Biol.Chem.,253,205
3−2060(1978))により調製したものが用いられる。
上記水性媒体は水単独、または水と水混和性の有機溶
媒との混合物であってよく、含水率が50重量%以上、好
ましくは80重量%以上の溶媒を用いる。水混和性の有機
溶媒としてはたとえばメタノール、エタノールなどの低
級脂肪酸アルコールなどが挙げられる。
また、上記還元剤としては、2−メルカプトエタノー
ル、チオグリコール酸、トルエン−ω−チオール、ジチ
オスレイトール、ジチオエリスリトールなどのチオール
類;トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィンな
どのトリアルキルホスフィン、亜硫酸水素ナトリウムな
どの無機還元化合物などが挙げられる。
還元剤の使用量は、ケラチン含有物質10gに対して0.0
5〜0.50モルであるが、反応効率および経済性からケラ
チン含有物質10gに対して0.05〜0.20モル用いるのが好
ましい。
上記界面活性剤としては、アルキル硫酸塩(例えばド
デシル硫酸ナトリウム)、アルキル硫酸エステル塩、脂
肪酸アルコールリン酸エステル塩、スルホコハク酸エス
テル塩などのアニオン活性剤; 次式: [式中、R1、R2、R3およびR4の1〜2個は直鎖もしくは
分岐鎖を有する炭素数8〜20のアルキル基またはヒドロ
キシアルキル基であり、残余は炭素数1〜3のアルキル
基もしくはヒドロキシアルキル基またはベンジル基を示
し、Xはハロゲン原子または炭素数1〜2個のアルキル
硫酸基またはアルキルピリジウムハライドなどの芳香族
四級アミン塩など]で示されるカチオン界面活性剤;脂
肪酸アミンのN−カルボキシメチル体、N−スルホアル
キル化体、イミダゾリンスルホン酸などのベタイン系の
両性界面活性剤(疎水基は主として炭素数12〜14のアル
キル基もしくはアシル基、対イオンはアルカリ金属な
ど);ポリオキシエチレンアルキルエーテル型、脂肪酸
エステル型、ポリエチレンイミン型、ポリグリセリンエ
ーテル型、エステル型などの非イオン性界面活性剤(疎
水基は主として炭素数12〜14のアルキル基もしくはアシ
ル基);などが挙げられる。これらのうち、特にアニオ
ン界面活性剤が好ましい。これら界面活性剤の添加量は
ケラチン含有物質の10〜50重量%、好ましくは10〜25重
量%である。
また、前記タンパク質変成剤はケラチン中の水素結合
を切断するもので、その具体例としては尿素、チオ尿素
等が挙げられる。堅い組織のケラチン含有物質を使用す
る場合は、タンパク質に対して溶解作用を有する水酸化
ナトリウム、アンモニア等のアルカリあるいは塩化亜
鉛、ヨウ化ナトリウム、臭化リチウムなどの無機塩など
を溶解助剤として用いるのが好ましい。タンパク変成剤
の使用量はケラチン含有物質の溶解性、あるいは次工程
の透析処理の効率を考慮して適宜決定されるが、ケラチ
ン含有物質に対して通常3〜20重量倍、好ましくは5〜
15重量倍である。例えば尿素を用いた場合は通常3〜15
重量倍、好ましくは5〜12重量倍である。
本発明製造法において還元工程の具体的操作は例えば
つぎのようにして行われる。すなわちケラチン含有物質
をその全量が浸るよう通常4〜8モル/のタンパク質
変成剤水溶液、例えば尿素の場合には5〜8モル/の
尿素水溶液に浸漬し、還元剤と界面活性剤を加えてから
容器を密栓し、室温〜100℃にて1〜24時間撹拌するこ
とにより行われる。
上記還元工程においては、反応系に超音波を照射する
こともできる。超音波照射はプローブ型、浴槽型などの
公知の超音波照射装置を用いることができる。超音波照
射の強さは反応系の大きさにより異なるが、例えば反応
系の大きさが1以下のときは出力50〜200Wで充分であ
る。超音波照射により還元反応を促進することができ、
より短時間に収率よくケラチンのミセル水溶液を得るこ
とができる。
このようにして得た反応液は遠心分離や濾過により不
溶物を除去した後、次の透析処理を行う。
透析処理は従来公知の処理手段によって行うことがで
きる。例えば上記のようにして不溶物を除いた反応液、
すなわちケラチン濾過液を例えばセロハンのような半透
膜の容器内に入れ、これを外液を入れた容器内に浸す。
外液としては、ジスルフィド結合をチオール基に還元す
ることができる還元剤を0.1〜0.5%含む水性媒体を用い
ることができ、例えば上記還元工程で用いた水性媒体と
還元剤の混合物を用いることができる。外液はケラチン
濾過液に対し通常20〜40容量倍用いられる。温度は室温
でよく、時間は通常12〜36時間である。このような透析
処理を2〜4回行うことによりケラチン濾過液中のタン
パク質変成剤、界面活性剤を除くことができると共に還
元剤を外液と等濃度に減らすことができ、ケラチンのミ
セル水溶液が得られる。
このようにして得られたケラチンのミセル水溶液をLo
wryのタンパク定量法で検量すると、原料のケラチン含
有物質により変動するが、概ね2〜4重量%である。ま
た、アミノ酸分析によれば、該ケラチン中のシステイン
とシスチンはケラチン含有物質の種類によって変動する
ものの概ねアミノ酸100残基当たりそれぞれ4〜10個、
0.5〜2個を有している。また、電気泳動分析により分
子量15,000〜130,000のタンパク質を主成分とすること
が分かる。
このようなケラチンの可溶化の機構は、不溶性のケラ
チンを高濃度の尿素等のタンパク質変成剤の水素結合相
互作用により水分子との親和性を高めつつジスルフィド
結合を還元しチオール基に変換することによるとされて
いる。しかし、本発明の還元工程(ケラチンの抽出工
程)では、従来の界面活性剤の不存在下(例えば、特開
昭63−301809号)に比べケラチンの収率が1〜2割増加
し(後記第1表および第2表参照)、抽出の速度も2〜
7割と著しく向上する(後記第2表参照)。
また、本発明では還元によるケラチンのジスルフィド
結合のチオール基への変換が充分でないまま短時間で効
率よくケラチンが抽出されるためか、得られたケラチン
には高分子量のものが多く含まれる。例えば、ケラチン
含有物質として髪を用いた場合、50℃、5時間にてケラ
チン抽出率は80%以上にまで進み、また抽出されたケラ
チンの分子量はポリアクリルアミド電気泳動法により分
子量約45000〜120000、12000〜45000各々が全体重量の
約4割および6割であった。それに対して、同じ条件で
あっても界面活性剤の非存在下で髪より抽出されたケラ
チンは分子量約45000以下のものが全体重量の約7割を
占め、それより高分子量のものは3割である。
本発明の上記反応液を光散乱法で調べたところ、会合
分子量25000〜60000を主とする分散が観測された。この
ような会合体は従来の界面活性剤の不存在下での反応液
では観測されなかったので界面活性剤に原因すると考え
られ、おそらくケラチンの疎水性に富むペプチド部位に
界面活性剤が入り込み安定化したミセルを形成すると考
えるのが妥当と思われる。すなわち、ジスルフィド結合
が還元されてチオール基に変換されたケラチンは共存す
る界面活性剤を取り込んでケラチンのミセル分散液とし
て効率よく抽出されたと思われる。事実、核磁気共鳴ス
ペクトルと蛋白分析によれば、透析されたケラチン水溶
液はケラチン蛋白と該界面活性剤を主成分としている。
このような抽出法、いわゆるミセル抽出法は特に爪やひ
ずめ等の堅いケラチン含有物質からのケラチンに対して
有効であることが後記第1表からわかる。
なお、本発明での超音波照射で得られたケラチン水溶
液は、ケラチン含有原料が同じであれば超音波非照射下
で得られたケラチン水溶液と本質的同等のアミノ酸組成
とタンパク質組成を有していることがアミノ酸分析とポ
リアクリルアミド電気泳動法より示唆された。
得られたミセル水溶液は、公知の成膜法、成形法によ
り種々の高分子量膜、フィルム、繊維、スポンジ等に成
形される。
[実施例] つぎに本発明を実施例、比較例にもとづきさらに具体
的に説明する。
実施例1 羊毛(Collidale種より採取)20gを8M尿素水溶液370m
lに浸漬し、ドデシル硫酸ナトリウム12gと2−メルカプ
トエタノール35mlを添加した。ついで容器を密栓し60℃
にて8時間撹拌しながら出力80Wにて超音波照射した。
反応物を室温にもどしてから不溶物を濾過により除去し
た。濾液をセロファンチューブに入れて0.3重量%2−
メルカプトエタノール水溶液(10)に対して2回透析
した。得られた無色透明の透析液470mlは少量の2−メ
ルカプトエタノールと該界面活性剤を含んだ目的のケラ
チンのミセル水溶液である。
Lowry法によりこの溶液のタンパク定量を行ったとこ
ろ0.27gのケラチンを含みケラチン濃度は2.7%でケラチ
ン収率は63%であった。また、該水溶液を凍結乾燥して
得たケラチン粉末のアミノ酸分析を行ったところ、アミ
ノ酸100残基当たり、システインが7.8個、シスチンが0.
7個であった。また、ポリアクリルアミド電気泳動法で
調べたところ、分子量15,000から70,000のタンパク質が
主成分であった。
実施例2 超音波照射を行わず反応時間を24時間とした以外は実
施例1と同様にして羊毛20gを処理し、少量の2−メル
カプトエタノールと界面活性剤を含む無色透明の透析液
としてケラチンのミセル水溶液(480ml)を得た。この
溶液を実施例1と同様にしてタンパク定量したところ、
ケラチン濃度2.5%でケラチン収率は60%であった。ま
た、この水溶液を凍結乾燥して得たケラチン粉末のアミ
ノ酸分析を行ったところ、アミノ酸100残基当たり、シ
ステインが7.5個、シスチンが0.9個であった。また、ポ
リアクリルアミド電気泳動法で調べたところ、分子量1
5,000から70,000のタンパク質が主成分であった。
比較例1 界面活性剤を添加したかった以外は実施例2と同様に
してケラチンのミセル水溶液を調製した。結果を第1表
に示す。
実施例3 人髪を中性洗剤で水洗後、ヘキサンで洗浄した。この
人髪5gを8M尿素水溶液120mlに浸漬した。これにドデシ
ル硫酸ナトリウム5gと2−メルカプトエタノール8mlを
添加し、容器を密栓し、50℃にて5〜35時間撹拌した。
5、10および35時間後に各々反応物を10ml採取し不溶物
を濾過により除去した。得られた濾液をセロファンチュ
ーブに入れて0.3重量%の2−メルカプトエタノール水
溶液2に対して2回透析し、少量の2−メルカプトエ
タノールと界面活性剤を含んだ無色透明の透析液として
目的のケラチンのミセル水溶液を得た。この溶液10gをL
owry法によりタンパク定量したところ第2表に示すケラ
チン収率を得た。また該水溶液を凍結乾燥して得たケラ
チン粉末のアミノ酸分析を行ったところ、アミノ酸100
残基当たりシステインが8個、シスチンが1.2個であっ
た。またポリアクリルアミド電気泳動法で調べたとこ
ろ、分子量45,000〜120,000および12,000〜45,000の蛋
白質を含み、それぞれ4割と6割とするが示唆された。
比較例2 界面活性剤を添加しなかった以外は実施例3と同様に
してケラチンのミセル水溶液を調製した。結果を第2表
に示す。
実施例4 鶏羽10gを60重量%臭化リチウム水溶液180mlに浸漬
し、ドデシル硫酸ナトリウム5gと2−メルカプトエタノ
ール10mlを添加後、容器を密栓し45℃にて2時間振盪し
ながら出力80Wにて超音波照射した。不溶物を濾過によ
り除去した反応液をセロファンチューブに入れて0.3重
量%2−メルカプトエタノール水溶液10に対して2回
透析した。少量の2−メルカプトエタノールと該界面活
性剤を含んだ無色透明の透析液として目的のケラチンミ
セル水溶液230mlを得た。ケラチン濃度3.3%でケラチン
収率は76%であった。
また、該水溶液を凍結乾燥して得られたケラチン粉末
のアミノ酸分析は、アミノ酸100残基当たり、システイ
ンが6.1個、シスチンが1.2個の存在を示した。また、ポ
リアクリルアミド電気泳動法で調べたところ、分子量1
5,000から70,000のタンパク質が主成分であった。
実施例5 超音波照射を行わず、処理時間を15時間とした以外は
実施例4と同様にしてケラチンのミセル水溶液を調製し
た。結果を第1表に示す。
比較例3 界面活性剤を添加せず処理時間を24時間とした以外は
実施例4と同様にしてケラチンのミセル水溶液を調製し
た。結果を第1表に示す。
実施例6 粉砕した牛角10gを8M尿素水溶液150mlに浸漬し、臭化
リチウム80g、ドデシル硫酸ナトリウム5gと2−メルカ
プトエタノール15mlを添加した後、容器を密栓し、60℃
にて8時間振盪しながら出力80Wにて超音波照射した。
室温にもどしてから不溶物を濾過により除去した。濾液
をセロファンチューブに入れて0.3重量%2−メルカプ
トエタノール溶液10に対して2回透析した。得られた
無色透明の透析液185mlは少量の2−メルカプトエタノ
ールと該界面活性剤を含んだ目的のケラチンのミセル水
溶液である。この溶液のケラチン濃度は3.0%であり、
ケラチン収率は55%であった。また、該水溶液を凍結乾
燥して得たケラチン粉末のアミノ酸分析を行ったとこ
ろ、アミノ酸100残基当たりシステインが4.5個、シスチ
ンが0.6個であった。また、ポリアクリルアミド電気泳
動法で調べたところ、分子量20000〜60000のタンパク質
が主成分であった。
実施例7 超音波照射を行わず処理時間を24時間とした以外は実
施例6と同様にしてケラチンのミセル水溶液を調製し
た。結果を第1表に示す。
比較例4 界面活性剤を添加しなかった以外は実施例7と同様に
したケラチンのミセル水溶液を調製した。結果を第1表
に示す。
つぎに実施例1、実施例2および比較例1(原料:羊
毛)において、反応時間を下記の第2表のごとく変えた
以外は同様の操作を行い各々試験No.1〜4、試験No.5〜
8、試験No.9〜12のミセル水溶液を調製した。また、実
施例3(原料:人髪)の結果を試験No.13〜15に、比較
例2の結果を試験No.16〜18に示す。
前記の第2表および第1図に示すごとく、本発明方法
では短時間で効率よく高いケラチン収率が得られる。
[発明の効果] 本発明製造法によればケラチンが高収率でかつ効率よ
く抽出され、不溶化を生ずることもなく可溶化剤を透析
により除去することができる。また特にアルカリを必要
としないので操作が容易であり得られたミセル水溶液は
室温における安定性が高い。
【図面の簡単な説明】
第1図は還元処理の反応時間とケラチン収率との関係を
示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−301809(JP,A) 特開 平2−51533(JP,A) 特開 平3−11099(JP,A) 特開 昭55−51095(JP,A) 特開 昭56−30909(JP,A) 特開 昭53−23999(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08H 1/00 - 1/06 A61K 7/00 - 7/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケラチン含有物質を水性媒体中、界面活性
    剤の存在下に還元し、得られたミセル水溶液を透析する
    ことを特徴とするケラチンのミセル水溶液の製造法。
  2. 【請求項2】ケラチン含有物質を水性媒体中、界面活性
    剤の存在下、超音波照射のもとに還元することを特徴と
    するケラチンのミセル水溶液の製造法。
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