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JP2944787B2 - SiC系酸化物焼結体およびその製造方法 - Google Patents

SiC系酸化物焼結体およびその製造方法

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JP2944787B2
JP2944787B2 JP3167472A JP16747291A JP2944787B2 JP 2944787 B2 JP2944787 B2 JP 2944787B2 JP 3167472 A JP3167472 A JP 3167472A JP 16747291 A JP16747291 A JP 16747291A JP 2944787 B2 JP2944787 B2 JP 2944787B2
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守 大森
敏雄 平井
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強度や信頼性低下の原
因となるセラミックス中のポアやマイクロクラックをな
くすことによって、高い強度と信頼性をもつ組織的に均
一なSiC系酸化物セラミックスの焼結体、特にSiC−希
土類酸化物−アルミナ系焼結体とそれを製造する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】セラミックス材料は、高温での強度が大
きく、耐熱性, 耐酸化性および耐食性に優れているた
め、構造材料として有望視されている。特に、金属の使
用限界を超えた温度で使用される構造材料へのセラミッ
クスの応用には多大の関心が寄せられている。こうした
セラミックスの中でも、SiCは耐熱性や耐酸化性に優れ
ているため、高温でも使用できる構造材料の1つとして
極めて有望である。
【0003】しかしながら、このSiCは、一般に焼結し
にくいため、助剤の添加なしでは緻密な焼結体を得るこ
とが極めて困難である。例えば、このような困難を克服
する技術として、従来、SiC粉に焼結助剤として金属Al
を加えてホットプレスする技術が、R.A.AlliegroやL.B.
Coffinらによって提案されている(J.Am.CERAM.Soc.,39
(1956) 386-89 参照)。しかし、SiCに単に金属Alの
みを添加することでは、無加圧下での焼結によって優れ
た特性を有する焼結体を生成させることはできない。
【0004】また、無加圧下でのSiC焼結体は、硼素と
炭素とを添加して合成された例が、S.Prochazka によっ
て報告されている(Special Ceramics No.6 P171-182,
1975参照)。さらに、焼結助剤として金属Alとともに炭
素を加えることで、SiC粉を無加圧下で焼結できる技術
が、W.BockerやH.Landfermann らの報告にかかる「Powd
er Met. Int., 11(1979) 83-85) 」で提案されている。
【0005】また、SiC粉に焼結助剤としてAl2O3 を添
加してもホットプレスにより緻密な焼結体を合成するこ
とができる技術が提案されている(U.S.Pat.No.352065
6)。さらには、SiC粉に焼結助剤としてAl2O3 を添加
し、無加圧下2000℃以下の温度に10時間保持することに
より97〜98%の緻密体を得る技術も提案されている( 鈴
木恵一朗, 炭化珪素セラミックス, P. 345-366, 内田,
老鶴圃参照) 。
【0006】ところが、硼素と炭素,あるいはAlと炭
素を焼結助剤とするものは固相焼結でポアが残りやす
い。また、Al2O3 を焼結助剤として得られたSiC焼結体
は、液相焼結による緻密な焼結体にはなるが、Al2O3
SiCとの反応のためポアが生成する。その結果、強度60
0MPa以下、破壊靱性値5 MPa・m1/2といずれも小さく、
しかもセラミックスの信頼性を示す指標であるワイブル
係数のm値が10以下と小さいため、信頼性の乏しい材料
といえるものであった。
【0007】これに対して、SiCを他のセラミックスと
複合化することにより、SiC焼結体の強度および靱性値
を向上させ信頼性を改善する技術が、先に、本発明者ら
の一人によって提案されている。例えば、無加圧下の焼
結によって、緻密なSiC−希土類酸化物−アルミナ系複
合焼結体を製造する技術が、大森や武居らの報告にかか
る「 J,Am.Ceram.Soc., 65 (1982) C-92) 」で提案され
ている。また、前記焼結のおいて、焼成温度を2150℃と
高くし、Al金属とSi半導体とを生成させることによって
緻密なSiC−希土類酸化物−アルミナ系複合焼結体を製
造する技術も提案されている( 大森,武居, J.Mater.Sc
i, 23(1988) 3744−3749参照) 。
【0008】ところが、この方法で合成されたものでは
小さな欠陥が焼結体内部に存在し、それを起点に破壊が
始まるため、材料としての信頼性に欠け、実用的な使用
に大きな問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このSiC−希土類酸化
物−アルミナ系焼結体の生成機構は次のように考えられ
る。まず、第1段階で、希土類酸化物とアルミナから酸
化物固溶体、あるいは酸化物の化合物を生成し、次い
で、第2段階では、上記SiCが前記酸化物中に固溶, 拡
散してSiC粒の粒成長が図られ収縮して緻密な焼結体が
生成する。
【0010】ところが、前記第2段階では、SiC粉は酸
化物に固溶すると同時に化学反応が起こり、SiCがアル
ミナと反応してCO, CO2およびSi0 などのガスを発生す
る。その結果、焼結体中にボイドやポアなどの欠陥が生
じ、SiCと酸化物との界面の強度が低下するという欠点
があった。
【0011】本発明の目的は、このSiC−希土類酸化物
−アルミナ系焼結体について、上述したようなボイドや
ポアなどの欠陥のない、高強度、高靭性で信頼性の高い
焼結体とすると共に、その有利な製造方法についての新
規な技術を提案することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上掲の目的を実現するた
めに鋭意研究した結果、焼結体の加熱昇温速度が重要な
ファクターとなることを突き止め、次のような要旨構成
で本発明を完成した。すなわち、本発明は、希土類酸化
物95〜5重量%およびAl2O3 5〜95重量%からなる混合
酸化物粉80〜10重量%と;SiC 粉20〜90重量%と;を混
合し、その混合物を成形した後、非酸化性雰囲気中にお
いて、1700〜2100℃の温度にまで達する時間が60分以内
である急速昇温の加熱を施し、次いでその温度に 0.1〜
30分間保持して合成することを特徴とするSiC系酸化物
焼結体の製造方法とそれによって合成されるSiC系酸化
物焼結体,および、このSiC系酸化物焼結体を、さらに
1600〜2000℃の温度、0.2 〜10 MPaの圧力でHIP処理
することを特徴とするSiC系酸化物焼結体の製造方法と
それによって合成されるSiC系酸化物焼結体,を提供す
る。
【0013】
【作用】本発明者らは、SiC系酸化物焼結体のような複
合材料では、SiCと酸化物との界面および組織の制御が
重要であり、この結合の制御は焼成の温度条件によって
行われる、ことに気づき、さらに鋭意研究した結果、適
正焼成温度で、かつ急速昇温による短時間での焼結を施
すことが、強度や信頼性低下の原因となる焼結体中のポ
アやボイドの防止に有効であることを見出し、本発明に
想到した。
【0014】本発明の第一の方法は、まず、希土類酸化
物粉95〜5重量%とAl2O3 粉 5〜95重量%からなる混合
酸化物粉80〜10重量%と、SiC粉20〜90重量%とを混合
する。
【0015】ここに、希土類酸化物としては、Sc2O3,Y2
O3, La2O3, CeO2, Pr2O3, Nd2O3, Sm2O3,Eu2O3, Gd2O3,
Tb2O3, Dy2O3, Ho2O3, Er2O3, Tm2O3, Yb2O3,Lu2O3
用いられる。
【0016】前記混合酸化物粉中の希土類酸化物粉とAl
2O3 粉との混合割合は、希土類酸化物粉95〜5重量%お
よびAl2O3 粉5〜95重量%とすることが好ましい。これ
は、Al2O3 粉が5%未満では焼結効果が小さく、95%を
超えると緻密な焼結体が得られなくなるからである。そ
して、SiC粉と前記混合酸化物粉との混合割合は、混合
酸化物粉80〜10重量%とSiC粉20〜90重量%とすること
が好ましい。これは、SiC粉が20%未満ではSiCの複合
効果が発揮されず、また90%を超える値ではSiCが多く
なり緻密な焼結体とならないからである。
【0017】前記混合酸化物粉とSiC粉との混合に当っ
ては、粉体の混合あるいは混練に用いられる通常の機械
を使用することができる。なお、この混合は、2〜30重
量%の有機高分子( ポリエチレングリコール, ポリビニ
ルアルコール, でん粉等) を溶解した溶液に入れて混合
することが好ましい。その理由は、2%以下では有機高
分子による結合効果が小さく、30%以上ではこの高分子
を除去するのが困難だからである。
【0018】次に、上述のようにして得られた混合原料
を乾燥し、成形して、所望の生成形体を得る。このとき
の成形は、一般に使用されている従来成形技術を適用す
ることができる。また、この成形時に用いる加圧は、従
来の片押プレス,両押プレス,静水圧プレス,その他の
方式を用いることができる。
【0019】次に、前記生成形体を、1700〜2100℃の温
度にまで達する時間が60分以内という短時間で急速昇温
させ、そして、その温度に 0.1〜30分間保持して焼結体
とする。このような焼成方法というのは、焼結に有効な
ものは希土類酸化物とAl2O3 からなる酸化物固溶体また
は酸化物化合物が重要な作用を担う。すなわち、この酸
化物固溶体または化合物は、焼成温度近傍においてSiC
との反応性が大きく、しかも、焼成温度に長く保持する
と、SiCとアルミナとの反応によってCO,CO2およびSiO
などのガスが生成する。その結果、生成したガスは、焼
結体中のボイド, ポア等の欠陥になる。そして、このよ
うな欠陥は、焼結体の材料としての信頼性を極端に下
げ、強度と靭性とを低下させる原因となる。
【0020】すなわち、本発明において、急速昇温する
理由というのは、まさに上記欠陥の発生を防ぐためであ
り、適性な焼成温度と昇温時間とを含めた焼結時間の厳
密な制御が必要となる所以である。
【0021】このように、希土類酸化物とAl2O3 との反
応による固溶体あるいは化合物の生成を素早く行い、Si
Cの粒結合を均一に行わせ、かつSiCと酸化物との反応
を制御するためには、室温から焼成温度までの昇温速度
を急速に行わなければならないのである。好ましくは、
焼成温度までの到達時間が1〜60分の範囲であることが
必要である。この範囲は、可能な限り短い時間(1分未
満)を下限とし、上限の60分はそれを超える時間になる
と、SiCの分解が顕著になり上記欠陥が発生し易くなる
ことから制限される。
【0022】次に、焼成温度は、1700〜2100℃の範囲が
好ましい。これは、1700℃より低いと緻密な焼結体は得
られず、一方、2100℃より高いとSiCの分解が顕著にな
り、上記欠陥が多く発生するからである。なお、この焼
成温度は希土類酸化物の種類, Al2O3 との混合割合、さ
らにはSiCと混合酸化物との混合割合によって異なるも
のである。
【0023】次に、焼成時の雰囲気としては、酸素の含
有量の少ない窒素ガス, アルゴンガス, ヘリウムガス,
などの非酸化性雰囲気または真空が望ましい。
【0024】次に、焼成温度での保持時間は、0.1 〜30
分の範囲であることが好ましい。これは、30分を超える
保持時間ではSiCの分解が顕著になり、上記欠陥が発生
しやすくなるからであり、下限の 0.1分は、焼成温度に
到達したと同時に加熱を停止する条件である。
【0025】このような本発明の第一の方法で合成され
た焼結体は、大きい欠陥がほとんどなく、きわめて信頼
性が大きく、平均強度と靭性値の大きい材料となった。
さらに、本発明の焼結体の曲げ強度をワイブルプロット
して得られる、”セラミックスの信頼性を示す指標であ
るワイブル係数(m) ”は、20以上を示し、この点、通常
焼結法で得られるSiC焼結体のワイブル係数mは10前後
であるので、本発明の方法で合成されたSiC焼結体のこ
のm値は、その2倍以上に改善されていることが判っ
た。しかも、このような方法によって得られた焼結体の
組織は均一であった。これは、急速昇温により、均一に
混合された粉体が急速に焼結されるため、組織の偏析が
起こらなかったためと考えられる。
【0026】次に、上記SiC系酸化物焼結体に発生する
数少ない小さな欠陥をも問題とされる用途においては、
本発明の第二の方法によって合成されるSiC系希土類酸
化物−アルミナ系焼結体が好適に用いられる。
【0027】すなわち、本発明の第二の方法は、第一の
方法で合成されたSiC系酸化物焼結体を、さらに熱間静
水圧プレス(HIP)処理を施すことにより、焼結体の
微小欠陥を除去するものである。
【0028】通常HIP処理8圧力が高いほど大きい欠
陥まで容易に除くことができる。しかし、圧力が高いと
装置が高価になり、その圧力保持も困難になってくる。
本発明の第一の方法で合成されるSiC系酸化物焼結体
は、発生する欠陥の大きさが小さく、かつ非常に少ない
ため、低圧力でのHIP処理によって欠陥を完全に除去
することができる。すなわち、合成されたSiC系酸化物
焼結体を1600〜2000℃の温度で、圧力0.2 〜10MPaの不
活性ガスでHIP処理することで、かかる欠陥を除去で
きる。
【0029】ここに、不活性ガスの圧力は0.2 〜10MPa
の範囲が好ましい。これは、0.2 MPa未満ではHIP処
理しても欠陥を除くことができないからである。また、
10MPaを超える圧力では、圧力容器の価格が高くなり
実用的でないからである。
【0030】このような本発明の第二の方法で合成され
た焼結体は、数少ない微小欠陥も完全に除去され、前述
した焼結体の材料としての信頼性は一段と高くなり、相
対的に平均強度は大きくなる。
【0031】
【実施例】
(実施例1)α型SiC粉 500g,Y2O3粉 425gおよびAl
2O3 粉75gを5%のポリエチレングリコール水溶液に入
れ、10時間湿式混合し、その後、乾燥した。次に、この
乾燥粉体を成形して生成形体を得、これを電気炉に入れ
て、アルゴンガス中で室温から1950℃まで10分で昇温
し、この温度に5分間保持して焼結体を得た。
【0032】得られた焼結体を研磨し、光学顕微鏡で欠
陥の存在を調べたが、欠陥は存在しなかった。また、曲
げ強度試験を行った結果、強度値をワイブルプロットし
て求めたワイブル係数の値はm=21であり、強度および
破壊靭性値は、それぞれ1200MPa,10MP・m1/2であっ
た。この試料を0.9 MPaのArガス圧下,1850℃で1時
間HIP処理した結果、m値は25に上昇した。
【0033】(実施例2)α型SiC粉 250g,Sm2O3
700gおよびAl2O3 粉50gを4%のポリエチレングリコ
ール水溶液に入れ撹拌混合し、その後、乾燥した。次
に、この乾燥粉体を成形して生成形体を得、これを電気
炉に入れて、室温から1920℃まで40分で昇温し、この温
度に1分間保持して焼結体を得た。
【0034】得られた焼結体の曲げ強度試験を行った結
果、ワイブル係数の値はm=22であり、強度および破壊
靭性値は、それぞれ1100MPa,11MP・m1/2であった。こ
の試料を10MPaのArガス圧下,1800℃で30分間HIP
処理した結果、m値は28に上昇した。
【0035】(実施例3)β型SiC粉 700g,La2O3
228gおよびAl2O3 粉72gを3%のポリエチレングリコ
ール水溶液に入れ撹拌混合し、その後、乾燥した。次
に、この乾燥粉体を成形して生成形体を得、これを電気
炉に入れて、窒素ガス中で室温から1900℃まで30分で昇
温し、この温度に2分間保持して焼結体を得た。
【0036】得られた焼結体を加工し、曲げ強度用の試
料を作製し、曲げ強度試験を行った。その結果、ワイブ
ル係数の値はm=22であり、強度および破壊靭性値は、
それぞれ1100MPa,11MP・m1/2であった。この試料を0.
9 MPaのArガス圧下,1850℃で10分間HIP処理した
結果、m値は26に上昇した。
【0037】(実施例4)α型SiC粉(平均粒径 0.3μ
m) 200 g,Yb2O3 粉 720gおよびAl2O3 粉80gをアル
コールと混合し、ボールミルを使って24時間湿式混合
し、その後、アルコールを除去し乾燥した。次に、この
乾燥粉体を6%のポリエチレングリコール水溶液に入れ
て撹拌混合し、その後、乾燥した。そして、この乾燥粉
体を成形して生成形体を得、これを電気炉に入れて、ア
ルゴンガス中で室温から1950℃まで30分で昇温し、この
温度に1分間保持して焼結体を得た。
【0038】得られた焼結体の曲げ強度試験を行った結
果、ワイブル係数の値はm=23であり、強度および破壊
靭性値は、それぞれ1050MPa,10MP・m1/2であった。こ
の試料を0.8 MPaのArガス圧下,1700℃で2時間HI
P処理した結果、m値は27に上昇した。
【0039】(実施例5)α型SiC粉 800g,Ho2O3
40g, Al2O3 粉 160gをアルコールと混合し、ボールミ
ルを使って24時間湿式混合し、その後、乾燥した。次
に、この乾燥粉体を成形して生成形体を得、これを電気
炉に入れて、窒素ガス中で室温から2000℃まで3分で昇
温し、この温度に 0.1分間保持して焼結体を得た。そし
て、得られた焼結体を98MPaのアルゴンガス圧下で1800
℃で30分間、HIP処理を施した。
【0040】得られた焼結体の曲げ強度試験を行った結
果、ワイブル係数の値はm=28であり、強度および破壊
靭性値は、それぞれ1500MPa,12MP・m1/2であった。
【0041】このように、従来の方法で得られるSiC焼
結体のワイブル係数の値がm=10以下であり、強度およ
び破壊靭性値が、それぞれ 600MPa以下,5MP・m1/2
あることから考えると、この実施例で得られた本発明に
係るSiC焼結体の前記物性値は、全て従来材より優れる
ことが確認できた。
【0042】(実施例6)α型SiC粉45g,Y2O3粉44.9
g, Al2O3 粉10.1gを常法に従って混合し成形した後、
アルゴンガス雰囲気中で100 ℃/分の昇温速度で1950℃
まで温度を上げ、1950℃に10分間保持して焼結体を得
た。得られた焼結体を研磨し、この試料の研磨面の走査
型電子顕微鏡写真を図1に示す。この写真から明らかな
ように、SiCの黒い粒子は、白い酸化物マトリックス中
に均一に分散されポアは見られない。しかも、得られた
焼結体の曲げ強度試験を行った結果、ワイブル係数の値
はm=21であり、強度および破壊靭性値は、それぞれ 8
00MPa,8MP・m1/2であった。この試料を3MPaのAr
ガス圧下,1800℃に30分間HIP処理した結果、m値は
26に上昇した。
【0043】(比較例)実施例6と同一の原料から作っ
た生成形体を、6℃/分の昇温速度で1950℃まで昇温
し、1950に10分間保持して焼結体を得た。得られた焼結
体を研磨し、この試料の研磨面の走査型電子顕微鏡写真
を図2に示す。この写真から明らかなように、白い酸化
物マトリックスとSiCが反応して生成したポアが多く存
在している。しかも、得られた焼結体の曲げ強度試験を
行った結果、強度は150MPaと著しく低下していること
が判った。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、強度
や信頼性低下の原因となるセラミックス中のポアやボイ
ドの発生を、適正焼結温度で、かつ急速昇温による短時
間焼結を施すことによって阻止し、緻密で高い強度と信
頼性をもつ組織的に均一なSiC−希土類酸化物−アルミ
ナ系焼結体を容易に得ることができる。しかも、本発明
のSiC−希土類酸化物−アルミナ系焼結体は、無加圧焼
結で製品とすることができるため、経済的である。
【0045】なお、本発明のSiC−希土類酸化物−アル
ミナ系複合炭化珪素焼結成形体は、ガスタービン翼,球
状体,ガスタービン用部品,腐食性液体用装置部品,坩
堝,ボールミル内張,高温炉用熱交換器および耐火材,
発熱体,燃焼管,ダイカスト用ポンプ,薄肉管,核融合
炉材料,原子炉用材料,太陽炉材料,工具およびその部
品,研削用材料,熱遮蔽物,単結晶用基体電子材料,電
子回路用基体,絶縁材料その他の広い分野で有効に用い
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法で得られた焼結体研磨面の結晶構造
を示す電子顕微鏡写真である。
【図2】従来方法で得られた焼結体研磨面の結晶構造を
示す電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/565 C04B 35/10 C04B 35/50 C04B 35/64

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類酸化物95〜5重量%およびAl2O3
    5〜95重量%からなる混合酸化物80〜10重量%と;SiC
    20〜90重量%と;の混合物を、成形した後、非酸化性雰
    囲気中において、1700〜2100℃の温度にまで達する時間
    が60分以内である急速昇温の加熱を施し、次いでその温
    度に0.1 〜30分間保持して合成されるSiC系酸化物焼結
    体。
  2. 【請求項2】 希土類酸化物95〜5重量%およびAl2O3
    5〜95重量%からなる混合酸化物80〜10重量%と;SiC
    20〜90重量%と;の混合物を、成形した後、非酸化性雰
    囲気中において、1700〜2100℃の温度にまで達する時間
    が60分以内である急速昇温の加熱を施し、次いでその温
    度に0.1 〜30分間保持して合成されたSiC系酸化物焼結
    体を、さらに1600〜2000℃の温度で、0.5 〜10 MPaの圧
    力でHIP処理して製造されたSiC系酸化物焼結体。
  3. 【請求項3】 希土類酸化物95〜5重量%およびAl2O3
    5〜95重量%からなる混合酸化物粉80〜10重量%と,Si
    C 粉20〜90重量%とを混合し、その混合物粉を成形した
    後、非酸化性雰囲気中において、1700〜2100℃の温度に
    まで達する時間が60分以内である急速昇温の加熱を施
    し、次いでその温度に 0.1〜30分間保持して合成するこ
    とを特徴とするSiC系酸化物焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の方法によって製造され
    たSiC系酸化物焼結体を、さらに1600〜2000℃の温度
    で、0.2 〜10MPaの圧力でHIP処理することを特徴と
    するSiC系酸化物焼結体の製造方法。
JP3167472A 1991-06-13 1991-06-13 SiC系酸化物焼結体およびその製造方法 Expired - Lifetime JP2944787B2 (ja)

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