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JP2934459B2 - 4輪駆動車の不等トルク配分制御装置 - Google Patents

4輪駆動車の不等トルク配分制御装置

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JP2934459B2
JP2934459B2 JP25475489A JP25475489A JP2934459B2 JP 2934459 B2 JP2934459 B2 JP 2934459B2 JP 25475489 A JP25475489 A JP 25475489A JP 25475489 A JP25475489 A JP 25475489A JP 2934459 B2 JP2934459 B2 JP 2934459B2
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JP
Japan
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torque
rear wheel
escape
wheel
torque distribution
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JP25475489A
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JPH03118229A (ja
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一成 手塚
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Subaru Corp
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Fuji Jukogyo KK
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Publication date
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  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、センターディファレンシャル装置付でトル
クスプリット制御される4輪駆動車において、前後輪の
トルク配分を走行条件に応じてアクティブに不等配分す
る不等トルク配分制御装置に関し、詳しくは、後輪スリ
ップ率のフィードバック制御における前輪スリップ時の
脱出対策に関する。
〔従来の技術〕
一般にフルタイム式の4輪駆動車として、センターデ
ィファレンシャル装置を備え、このセンターディファレ
ンシャル装置に差動制限用油圧クラッチを付設し、この
差動制限トルクを電子制御して前後輪のトルク配分を可
変にすることで、4輪駆動車の性能の直進安定性,加速
性の他に、更に動力,運転性能の向上を図ることが提案
されている。ここで、トルク配分を可変に制御するため
には、センターディファレンシャル装置において予め前
後輪の基準トルクを不等配分にする必要があり、この場
合に前輪重視と後輪重視との2つの方式が考えられる。
従って、前輪重視ではフロントエンジン・フロントドラ
イブ(FF)傾向になり、直進安定性はよいがドリフトア
ウト傾向となり、極限状態における旋回性能は必ずしも
良くない。逆に後輪重視ではフロントエンジン・リヤド
ライブ(FR)傾向になって、操縦性および高μ路での回
頭感,旋回性能はよいがスピンが生じ易く、特に低μ路
では直進安定性に欠ける。一方、4輪駆動車においての
最大の不都合は4輪の同時スリップであり、この場合は
操縦不能になることから常に回避する必要がある。この
4輪の同時スリップ防止に関し、後輪重視のトルク配分
にセッティングし、むしろ常に後輪を先にスリップさせ
て4輪スリップを防ぎ、安定性を確保することが望まれ
る。
また、4輪駆動車の直進安定性は駆動力が4輪に分散
するため、4つの各車輪では駆動力が少ない分だけ横力
に余裕が生じ、これに伴い安定性が向上するのである。
従って、上述の後輪重視のトルク配分で安定性を確保す
るには、後輪の横力を高く保持する必要がある。
ところで、駆動力と横力は車輪のグリップ力の範囲で
相反する要素であり、これは路面,タイヤの摩擦係数に
伴うスリップ率により大きく変化する。特に、所定のス
リップ率(10〜20%)以上の領域では、駆動力と共に横
力が著しく低下して安定性を損うため、後輪のスリップ
率がこの所定のスリップ率を越えないように制御する。
また、所定のスリップ率以下では、横力の低下に応じて
前輪側にトルク配分制御すれば、後輪スリップを防止し
て駆動力が確保されるのであり、こうして後輪側スリッ
プ率に基づいてトルク配分制御することが望まれる。
そこで従来、上記4輪駆動車のトルク配分制御に関し
ては、例えば特開昭62−88617号公報の先行技術があ
る。ここで、センターディファレンシャル装置にシンプ
ルプラネタリギヤを用いて基準トルク配分を不等配分化
する。また、前後輪の回転状態からスリップの有無を判
断して、センターディファレンシャル装置の差動を制限
するように制御することが示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、上記先行技術のものにあっては、シングル
プラネタリギヤ式のセンターディファレンシャル装置で
あるため、トルク配分比がサンギヤとリングギヤとの径
の比により決定され、この形状に限界があることから、
充分後輪に片寄った不等トルク配分に定めることは難し
い。このため、トルク配分制御域も狭い。
また、基本的には前後輪のスリップ状態によりトルク
配分を制御する方法であるから、センターディファレン
シャル装置のディファレンシャルロック的制御になる。
従って、車輪のスリップ状態は判断されず、スリップ状
態に対応して安定性,操縦制を適正化するようなアクテ
ィブなトルク配分制御ができない。
そこで、車両の安定性等の挙動に対し直接影響を与え
る後輪スリップ率の値で前後輪トルク配分を制御するこ
とが望まれるが、この場合は前輪が悪路に入ってスリッ
プする状況には対処できない。即ち、前輪のみのスリッ
プ時には後輪スリップ率の値が略零,またはスリップ率
算出のために用いられる対地車速として近似的に前輪回
転速度を適用すると後輪スリップ率は負の値になり、セ
ンターディファレンシャル装置が差動制限制御されるこ
となくフリーの状態に保持される。このため、前輪スリ
ップは解除されないで脱出不能になることがあり、この
点で前輪スリップ時の対策を施す必要がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、その目
的とするところは、後輪スリップ率による広い制御域で
の不等トルク配分制御において、前輪スリップ時にも差
動制限して確実に脱出することが可能な4輪駆動車の不
等トルク配分制御装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、基
準トルク配分を後輪偏重の不等トルク配分に定めるセン
ターディファレンシャル装置と、後輪側と前輪側との差
動を制限して後輪側から前輪側へのトルクの移動を許容
する差動制限装置とを備え、上記差動制限装置における
差動制限トルクを制御して前後輪へのトルク配分を可変
に制御するセンターディファレンシャル装置付き4輪駆
動車において、上記センターディファレンシャル装置
を、前輪より先に後輪がスリップするように上記基準ト
ルク配分を十分に後輪偏重に設定したギヤ列で構成する
とともに、後輪のスリップ率を算出する後輪スリップ率
算出手段と、上記後輪スリップ率に応じて上記差動制限
トルクに設定する差動制限トルク設定手段と、上記後輪
スリップ率に応じた差動制限トルクが発生していない状
況において前輪スリップが検出された場合に、上記差動
制限トルクを上記センターディファレンシャル装置をロ
ックするための所定の脱出トルクに設定する脱出トルク
設定手段とを備えたことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、上記脱出トルク設定手段は、
前後輪回転数差または前輪スリップ率に対して上記脱出
トルクを増大関数で設定することを特徴とするものであ
る。
請求項3記載の発明は、上記脱出トルク設定手段は、
前輪スリップが解除されるまでの時間の経過に応じて上
記脱出トルクを増大して設定することを特徴とする。
〔作用〕
上記構成に基づき、車両走行時にセンターディファレ
ンシャル装置により充分に後輪偏重の基準トルク配分に
分配され、4輪駆動の性能の他にFR車的な回頭感も発揮
する。また低μ路では、後輪が先にスリップしてそのス
リップ率に応じた差動制限トルクが前輪に移動し、スリ
ップを防止して安定性を発揮する。一方、前輪スリップ
の有無も判断されており、前輪スリップ時には、各別に
脱出トルクでセンターディファレンシャル装置を差動制
限することで、前輪スリップが回避されて脱出すること
が可能になる。
〔実 施 例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図において、センターディファレンシャル付4輪
駆動車の駆動系の概要について述べると、符号1はエン
ジン、2はクラッチ、3は変速機であり、変速機出力軸
4がセンターディファレンシャル装置20に入力する。セ
ンターディファレンシャル装置20から前方にフロントド
ライブ軸5が、後方にリヤドライブ軸6が出力し、フロ
ントドライブ軸5は、フロントディファレンシャル装置
7,車軸8を介して左右の前輪9に連結し、リヤドライブ
軸6は、プロペラ軸10,リヤディファレンシャル装置11,
車軸12を介して左右の後輪13に連結して、伝動構成され
る。
センターディファレンシャル装置20は、複合プラネタ
リギヤ式であり、出力軸4の第1のサンギヤ21と、リヤ
ドライブ軸6の第2のサンギヤ22とを有し、ピニオン群
23の第1,第2のピニオンギヤ23a,23bが、第1,第2のサ
ンギヤ21,22に噛合う。そしてピニオン群23を軸支する
キャリヤ24がリダクションドライブギヤ25に結合し、リ
ダクションドライブギヤ25がフロントドライブ軸5のリ
ダクションドリブンギヤ26に噛合って成る。
こうして変速機出力軸4の動力が、第1のサンギヤ21
に入力してピニオン群23を遊星回転させ、これに伴いキ
ャリヤ24からリダクションドライブギヤ25,リダクショ
ンドリブンギヤ26,フロントドライブ軸5等を介して前
輪側と、第2のサンギヤ22からプロペラ軸10等を介して
後輪側に、所定の基準トルク配分で分割して伝達する。
また旋回時の前後輪の回転数差を、ピニオン群23の遊星
回転により吸収するようになっている。
ここで、センターディファレンシャル装置20によるト
ルク配分について詳記すると、複合プラネタリギヤ式で
あり、第1のサンギヤ21と第1のピニオンギヤ23aが、
第2のサンギヤ22と第2のピニオンギヤ23bが、それぞ
れ噛合っている。従って、前輪側トルクTFと後輪側ト
ルクTRは、入力トルクTiに対しこれら4つのギヤの噛
合いピッチ円半径で自由に設定されることになり、この
ため基準トルク配分を、例えば TF:TR≒34:66 のように充分に後輪偏重に設定することが可能になる。
また、上記センターディファレンシャル装置20には差
動制限装置としての油圧クラッチ27が付設され、この油
圧クラッチ27は、例えばセンターディファレンシャル装
置20の直後方でドラム27aをキャリヤ24に、ハブ27bをリ
ヤドライブ軸6に結合して同軸上に配置される。そして
油圧クラッチ27に差動制限トルクTcが生じると、差動制
限トルクTcに応じて後輪側から前輪側にバイパスしてト
ルク移動し、前後輪トルク配分を、上述の後輪偏重から
直結のディファレンシャルロック状態に及び可変に制御
する。
ここで、フロントエンジンの搭載により車両の静的重
量配分は、例えば WF:WR≒62:38 のようになっており、直結時には、この重量配分WF:WR
に応じてトルク配分される。従って、差動制限トルクTc
により前後輪トルク配分は、後輪偏重の34:66の基準ト
ルク配分から前輪偏重の62:38の重量配分に及ぶ広い範
囲で制御されることになる。
次いで、油圧クラッチ27の油圧制御系について述べ
る。
油圧制御手段は、符号30がオイルポンプであり、変速
機3が自動変速機の場合はその自動変速用のものであ
り、レギュレータ弁31で調圧されたライン圧油路32が、
クラッチ制御弁33,油路34を介して油圧クラッチ27に連
通する。また、ライン圧油路32は、パイロット弁35,オ
リフィス36を有する油路37によりデューティソレノイド
弁38に連通し、デューティソレノイド弁38によるデュー
ティ圧が油路39を介してクラッチ制御弁33の制御側に作
用するようになっている。こうして、デューティソレノ
イド弁38のデューティ圧によりクラッチ制御弁33を動作
することで、油圧クラッチ27のクラッチ圧と共に差動制
限トルクTcが可変に制御される。
更に、電子制御系について述べるが、先ず基本的制御
方法について述べる。
本発明の制御方法は、後輪偏重で常に先にスリップす
る後輪のスリップ率に基づいてトルク配分をフィードバ
ック制御するものであり、スリップ率Sに対する駆動力
Tと横力Fとの関係は、第2図(a)に示すようになっ
ている。即ち、ノンスリップ(S=0)の状態で最大の
横力Fは、スリップ率Sの増大に応じて徐々に低下し、
また駆動力Tは、S=0の零から増大し所定のスリップ
率Sa(10〜20%)以降は低下する特性である。従って、
S≦Saの範囲に制御すれば、横力Fは高い状態を保って
後輪による安定性を確保し得ることがわかる。
またスリップ率Sは、対地車速V,タイヤ半径r,後輪角
速度ωRを用いて、以下のように表わされる。
S=(r・ωR−V)/r・ωR ここで、約3:7の不等トルク配分で後輪スリップ率S
がS<Saの略線型領域内で制御される場合は、前輪のス
リップ率Sは常に小さくて車速と近似的に同一すること
ができる。即ち、前輪角速度ωF,タイヤ半径rとする
と、 V≒r・ωF になる。従って、上述のスリップ率Sは以下のように表
わせる。
S=(r・ωR−r・ωF)/r・ωR =(ωR−ωF)/ωR 更に、旋回時のセンターディファレンシャル機能を十
分発揮させるため不感帯として、所定のスリップ率Sb
(例えば3%)が設定され、これにより制御域DはSb<
S<Saになる。そこで、この制御域Dにおいてスリップ
率Sを算出し、このスリップ率Sに対し差動制限トルク
Tcを増大関数的に制御すれば、後輪偏重から前輪側にト
ルク移動して後輪横力Fを常に高く保ち得ることにな
る。
このことから、電子制御系において前輪回転数センサ
40,後輪回転数センサ41を有し、前輪回転数センサ40の
前輪角速度ωF,後輪回転数センサ41の後輪角速度ωRが
制御ユニット50の後輪スリップ率算出手段51に入力し、
上述の式によりスリップ率Sを算出する。このスリップ
率Sは、差動制限トルク設定手段52に入力し、差動制限
トルクTcを定める。ここで差動制限トルクTcは、スリッ
プ率Sに対しSb<S<Saの制御域で第2図(b)に示す
ように、増大関数で設定されており、このマップを検索
して差動制限トルクTcを設定する。この差動制限トルク
Tcは制御量設定手段53に入力して、差動制限トルクTcに
応じたデューティ比Dに変換され、このデューティ信号
が駆動手段54を介してデューティソレノイド弁38に出力
するようになっている。
一方、前輪スリップ時(例えば前輪脱輪時)の脱出対
策として、前輪角速度ωF,後輪角速度ωRが入力する前
輪スリップ判定手段55を有し、ωF>ωRの場合に前輪
スリップと判断する。この前輪スリップの判断結果は脱
出トルク設定手段56に入力し、第2図(c)に示す(ω
F−ωR)に対するマップから脱出トルクTaを設定す
る。ここで前輪スリップ時は、車両がほとんど停止して
おり、この状態で急激にディファレンシャルロックする
と急発進することがあるため、この脱出トルクTaは、
(ωF−ωR)ほ大きさに応じて増大するように設定さ
れている。一方、第2図(d)のようにωF<ωRとな
るまで時間tの経過に応じて脱出トルクTaを徐々に大き
くするように設定してもよい。そしてこの脱出トルクTa
も制御量設定手段53に入力して、上述と同様にデューテ
ィ信号に変換して出力する。
なお、通常の後輪スリップ時はTa=0であり、前輪ス
リップ時はTc=0であるため、制御量設定手段53では、
差動制限トルクTcまたは脱出トルクTaの入力状態に応じ
ていずれか一方のトルクのデューティ信号を出力する。
次いで、かかる構成の不等トルク配分制御装置の作用
を、第3図のフローチャートと第4図の特性図を用いて
述べる。
先ず、車両走行時にエンジン1の動力がクラッチ2を
介して変速機3に入力し、変速動力がセンターディファ
レンシャル装置20の第1のサンギヤ21に入力する。ここ
で、センターディファレンシャル装置20の各歯車諸元に
より基準トルク配分が、TF:TR=34:66に設定されてい
ることで、変速動力がこのトルク配分でキャリヤ24と第
2のサンギヤ22とに分配して出力される。
一方、このとき前輪回転数センサ40,後輪回転数セン
サ41で前輪角速度ωF,後輪角速度ωRが検出され、これ
が制御ユニット50の後輪スリップ率算出手段51に入力
し、近似的に前輪角速度ωFを用いて後輪スリップ率S
が算出される。そこで、高μ路の走行条件でS≦Sbのほ
とんどスリップしない場合は、差動制限トルク設定手段
52でTc=0に設定され、これに応じたデューティ比Dの
大きい信号がデューティソレノイド弁38に入力する。こ
のため、油圧制御系においてデューティソレノイド弁38
による略零のデューティ圧がクラッチ制御弁33に入力し
てドレン側に切換えることで、油圧クラッチ27はTc=0
の解放状態になる。
そこで、センターディファレンシャル装置20のトルク
配分に基づき、34%のトルクが、キャリヤ24からリダク
ションドライブギヤ25,リダクションドリブンギヤ26,フ
ロントドライブ軸5以降の前輪9に伝達し、66%のトル
クが、リヤドライブ軸6以降の後輪13に伝達し、第4図
の点P1のような後輪偏重の4輪駆動走行となる。そして
このトルク配分ではFR車的になって、回頭感が良好に発
揮される。
また、センターディファレンシャル装置20はフリーの
ため、旋回時には、前後輪の回転数差に応じてピニオン
群23が遊星回転してその回転数差を完全に吸収するので
あり、こうして自由に旋回することが可能になる。
次いで、低μ路の走行条件では、常に先に後輪13がス
リップして後輪スリップ率Sが算出され、Sb<S<Saの
制御域の後輪スリップ率S2で後輪13による安定性を減じ
るようになると、後輪スリップ率S2に応じた差動制限ト
ルクTc2が設定されて、油圧クラッチ27に差動制限トル
クTc2が生じる。そこで、センターディファレンシャル
装置20の差動が制限され、差動制限トルクTc2に応じて
後輪13から前輪9に後輪スリップ回避分のトルクが移動
し、トルク配分は第4図の点P2のようにTF:TR=TF2:T
Rになる。こうして後輪13は、必要最小限のトルクが
減じてスリップを回避し、横力の増大で安定性も増すよ
うになり、全体的駆動力は一定に保持される。
一方、S≧Saの場合で極度に不安定になると、油圧ク
ラッチ27の差動制限トルクTcは最大になる。このため、
センターディファレンシャル装置20はディファレンシャ
ルロックされて直結式4輪駆動走行になり、この場合の
トルク配分は第4図の点P3のように車両重量配分と等し
い前輪偏重になって、走破性,脱出性等が最大限発揮さ
れるのである。
こうして、充分に後輪偏重から車両重量配分に及ぶ広
い範囲で、後輪スリップ率Sからそれを回避する分の差
動制限トルクTcが設定され、この差動制限トルクTcに応
じ前輪にトルクが移動して常に不等トルク配分制御され
る。これによりトルク移動は必要最小限で、スリップが
常に確実に防止され、FR車的回頭感も充分に発揮され続
ける。また、駆動力最大のスリップ率Sa以上は直結にな
って、これ以上スリップすることが確実に防止されるよ
うになる。
ところで、前輪9のみが脱輪してスリップ(空転)す
る状況では、ωF》ωRの関係になり、後輪スリップ率
Sの値は負で差動制限トルクTcが生じなくなる。しかし
このとき、前輪スリップ判定手段55でこの前輪スリップ
が判断されて脱出トルク設定手段56で脱出トルクTaが設
定され、差動制限トルクTcに代り脱出トルクTaに応じた
デューティ信号が出力する。そこで、脱出トルクTaによ
りセンターディファレンシャル装置20の差動が徐々に制
限され、前輪9のスリップが回避されて車両はゆるやか
に発進して脱輪状態から脱出することが可能になる。そ
して脱出後にωF≦ωRの関係になると、脱出トルクTa
は零になり、再び後輪スリップ率Sによるフィードバッ
ク制御に復帰する。
以上、本発明の実施例について述べたが、前輪スリッ
プ率算出手段57で前輪スリップ率SFを後輪角速度ωR
を用いて以下のように算出する。
SF=(ωF−ωR)/ωF そしてこの前輪スリップ時に前輪スリップ率SFによ
り、脱出トルクTaを定めてもよい(第2図(b))。
また、前輪角速度ωFを模知いた後輪スリップ率Sの
算出値の負の領域で、脱出トルクTaを定めてもよい。
〔発明の効果〕
以上述べてきたように、本発明によれば、 センターディファレンシャル装置付で充分な後輪偏重
の不等トルク配分制御であるから、4輪駆動車の直進
性,安定性の他に、FR車的な回頭感,旋回性等の性能も
発揮し得る。
さらに、駆動力が後輪に片寄ることで常に先にスリッ
プする後輪のスリップ率を算出し、このスリップ率に応
じ差動制限トルクを設定してトルク配分制御するので、
常にトルク移動量はスリップ回避に必要最小限のものに
なって、安定性と上述の操縦性を共に向上し得る。
さらにまた、後輪スリップ率によるトルク配分制御に
おいて、前輪スリップ時には各別に脱出トルクを定めて
センターディファレンシャル装置を差動制御するので、
前輪スリップ時に確実に脱出することができ走破性も向
上する。
また、脱出トルクは前輪スリップの状態に応じて徐々
に作用するため、急発進等が防止されて安全性も高くな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の4輪駆動車の不等トルク配分制御装置
の実施例を示す構成図、 第2図(a)はスリップ率に対する駆動力,横力の特性
図,(b)は後輪スリップ率に対する差動制限トルクの
特性図,(c),(d)は脱出トルクの特性図、 第3図は不等トルク配分制御の作用のフローチャート
図、 第4図は不等トルク配分制御状態を示す特性図である。 3……変速機、9……前輪、13……後輪、20……センタ
ーディファレンシャル装置、27……油圧クラッチ、33…
…クラッチ制御弁、38……デューティソレノイド弁、50
……制御ユニット、51……後輪スリップ率算出手段、52
……差動制限トルク設定手段、53……制御量設定手段、
55……前輪スリップ判定手段、56……脱出トルク設定手

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基準トルク配分を後輪偏重の不等トルク配
    分に定めるセンターディファレンシャル装置と、後輪側
    と前輪側との差動を制限して後輪側から前輪側へのトル
    クの移動を許容する差動制限装置とを備え、上記差動制
    限装置における差動制限トルクを制御して前後輪へのト
    ルク配分を可変に制御するセンターディファレンシャル
    装置付き4輪駆動車において、 上記センターディファレンシャル装置を、前輪より先に
    後輪がスリップするように上記基準トルク配分を十分に
    後輪偏重に設定したギヤ列で構成するとともに、 後輪のスリップ率を算出する後輪スリップ率算出手段
    と、上記後輪スリップ率に応じて上記差動制限トルクに
    設定する差動制限トルク設定手段と、上記後輪スリップ
    率に応じた差動制限トルクが発生していない状況におい
    て前輪スリップが検出された場合に、上記差動制限トル
    クを上記センターディファレンシャル装置をロックする
    ための所定の脱出トルクに設定する脱出トルク設定手段
    とを備えたことを特徴とする4輪駆動車の不等トルク配
    分制御装置。
  2. 【請求項2】上記脱出トルク設定手段は、前後輪回転数
    差または前輪スリップ率に対して上記脱出トルクを増大
    関数で設定することを特徴とする請求項1記載の4輪駆
    動車の不等トルク配分制御装置。
  3. 【請求項3】上記脱出トルク設定手段は、前輪スリップ
    が解除されるまでの時間の経過に応じて上記脱出トルク
    を増大して設定することを特徴とする請求項1記載の4
    輪駆動車の不等トルク配分制御装置。
JP25475489A 1989-09-29 1989-09-29 4輪駆動車の不等トルク配分制御装置 Expired - Lifetime JP2934459B2 (ja)

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