JP2911382B2 - ポリマーコンポジットフィルムの製造法 - Google Patents
ポリマーコンポジットフィルムの製造法Info
- Publication number
- JP2911382B2 JP2911382B2 JP4215795A JP4215795A JP2911382B2 JP 2911382 B2 JP2911382 B2 JP 2911382B2 JP 4215795 A JP4215795 A JP 4215795A JP 4215795 A JP4215795 A JP 4215795A JP 2911382 B2 JP2911382 B2 JP 2911382B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- polyamic acid
- polymer
- composite film
- polymerizable monomer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Polymerisation Methods In General (AREA)
- Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ポリマーコンポジッ
トフィルムの製造法に関するものである。さらに詳しく
は、この発明は、エレクトロクロミック材料、コンデン
サ等の誘電体膜や液晶表示材料の偏光膜等として有用
な、ポリアミック酸と共役系高分子との新しいポリマー
コンポジットフィルムの製造法に関するものである。
トフィルムの製造法に関するものである。さらに詳しく
は、この発明は、エレクトロクロミック材料、コンデン
サ等の誘電体膜や液晶表示材料の偏光膜等として有用
な、ポリアミック酸と共役系高分子との新しいポリマー
コンポジットフィルムの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、ポリアミック酸を
用いたポリマーコンポジットフィルムの製造法が知られ
ている。たとえば、ポリアミック酸の溶液中に可溶化し
たポリアニリンを溶解し、これをキャスティング法やス
ピンコート法によりフィルム化する方法や、金属基板上
に塗布したポリアミック酸をピリジン−無水酢酸混合液
で脱水イミド化し、その表面に液浸透性のあるポリイミ
ドフィルムを形成させた金属基板を電極として、ピロー
ル及び過塩素酸リチウムを含む溶液中で電解重合するこ
とにより、ポリイミド−ポリピコールコンポジットポリ
マーを形成する方法等が知られている。
用いたポリマーコンポジットフィルムの製造法が知られ
ている。たとえば、ポリアミック酸の溶液中に可溶化し
たポリアニリンを溶解し、これをキャスティング法やス
ピンコート法によりフィルム化する方法や、金属基板上
に塗布したポリアミック酸をピリジン−無水酢酸混合液
で脱水イミド化し、その表面に液浸透性のあるポリイミ
ドフィルムを形成させた金属基板を電極として、ピロー
ル及び過塩素酸リチウムを含む溶液中で電解重合するこ
とにより、ポリイミド−ポリピコールコンポジットポリ
マーを形成する方法等が知られている。
【0003】しかしながら、前者の方法の場合、この方
法が適用できる共役系高分子は、脱ドープによって可溶
化したポリアニリンのほか、アルキル化したピロールや
チオフェン等のポリマーのように、共役系高分子そのも
のを可溶化することが必要とされる。このような可溶化
は面倒な手順が必要であり、また対象とされる共役系高
分子にも制約があった。
法が適用できる共役系高分子は、脱ドープによって可溶
化したポリアニリンのほか、アルキル化したピロールや
チオフェン等のポリマーのように、共役系高分子そのも
のを可溶化することが必要とされる。このような可溶化
は面倒な手順が必要であり、また対象とされる共役系高
分子にも制約があった。
【0004】また、後者の方法の場合には、あらかじめ
マトリックスとなるポリイミドフィルムを形成し、その
後に電解重合を行うことを特徴としているが、このよう
な方法でコンポジットポリマーを形成した場合、マトリ
ックスポリマー中に共役系高分子が樹脂状に析出し、両
者の混合率が低くなる、等の問題がある。そこでこの発
明は、以上通りの事情を鑑みてなされたものであり、従
来法の場合の共役系高分子の可溶化処理や、その種類の
制約、そしてマトリックスポリマー中での共役系高分子
の樹脂状析出等という諸問題を解消し、ポリアミック酸
を用いて、共役系高分子とのポリマーコンポジットフィ
ルムを簡便に品質よく製造することのできる新しい製造
法を提供することを目的としている。
マトリックスとなるポリイミドフィルムを形成し、その
後に電解重合を行うことを特徴としているが、このよう
な方法でコンポジットポリマーを形成した場合、マトリ
ックスポリマー中に共役系高分子が樹脂状に析出し、両
者の混合率が低くなる、等の問題がある。そこでこの発
明は、以上通りの事情を鑑みてなされたものであり、従
来法の場合の共役系高分子の可溶化処理や、その種類の
制約、そしてマトリックスポリマー中での共役系高分子
の樹脂状析出等という諸問題を解消し、ポリアミック酸
を用いて、共役系高分子とのポリマーコンポジットフィ
ルムを簡便に品質よく製造することのできる新しい製造
法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、ポリアミック酸および塩素含有
液中に電解酸化重合性モノマーを加えて電解液とし、こ
れを電解して陽極上にポリアミック酸と電解酸化重合性
モノマーの重合体のフィルムを同時に析出させることを
特徴とするポリマーコンポジットフィルムの製造法を提
供する。
を解決するものとして、ポリアミック酸および塩素含有
液中に電解酸化重合性モノマーを加えて電解液とし、こ
れを電解して陽極上にポリアミック酸と電解酸化重合性
モノマーの重合体のフィルムを同時に析出させることを
特徴とするポリマーコンポジットフィルムの製造法を提
供する。
【0006】そしてまた、この発明は、上記方法におけ
るフィルムの析出に続いて、このフィルムを加熱イミド
化することでポリイミドと電解酸化重合性モノマーの重
合体のフィルムを形成することを特徴とするポリマーコ
ンポジットフィルムの製造法をも提供する。さらに詳し
く説明すると、上記のこの発明の方法において用いるポ
リアミック酸としては、その種類が特に限定されるもの
でなく、たとえば芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボ
ン酸無水物の脱水縮合によって得られるポリアミック酸
等の公知のものをはじめとして各種のものが使用され
る。そして、この例示における芳香族ジアミン類として
は、フェニレンジアミン、ベンジジン、ジアミノジフェ
ニルメタン、ジアミノフェニルエーテル等が、また、芳
香族テトラカルボン酸無水物としては、ピロメリック酸
二無水物、ビフタル酸二無水物等が例示される。芳香族
ジアミンと芳香族テトラカルボン酸無水物との脱水縮合
においては、一般的にはそのモル比において、両者は、
5:1〜1:1程度を基準として適宜に使用され反応温
度は、常温〜80℃程度が適宜に設定される。溶媒とし
ては、非プロトン性極性溶媒等が用いられる。
るフィルムの析出に続いて、このフィルムを加熱イミド
化することでポリイミドと電解酸化重合性モノマーの重
合体のフィルムを形成することを特徴とするポリマーコ
ンポジットフィルムの製造法をも提供する。さらに詳し
く説明すると、上記のこの発明の方法において用いるポ
リアミック酸としては、その種類が特に限定されるもの
でなく、たとえば芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボ
ン酸無水物の脱水縮合によって得られるポリアミック酸
等の公知のものをはじめとして各種のものが使用され
る。そして、この例示における芳香族ジアミン類として
は、フェニレンジアミン、ベンジジン、ジアミノジフェ
ニルメタン、ジアミノフェニルエーテル等が、また、芳
香族テトラカルボン酸無水物としては、ピロメリック酸
二無水物、ビフタル酸二無水物等が例示される。芳香族
ジアミンと芳香族テトラカルボン酸無水物との脱水縮合
においては、一般的にはそのモル比において、両者は、
5:1〜1:1程度を基準として適宜に使用され反応温
度は、常温〜80℃程度が適宜に設定される。溶媒とし
ては、非プロトン性極性溶媒等が用いられる。
【0007】ポリアミック酸は、これを中和するための
塩基とともに使用されるが、この塩基としては、中和後
の塩が溶媒に可溶であれば特に限定されるものでなく、
トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルア
ミン類、ピリジン、キノリンなどの含窒素芳香族化合
物、アニリン、トルイジン、フェニレンジアミンなどの
芳香族アミン類などが例示される。
塩基とともに使用されるが、この塩基としては、中和後
の塩が溶媒に可溶であれば特に限定されるものでなく、
トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルア
ミン類、ピリジン、キノリンなどの含窒素芳香族化合
物、アニリン、トルイジン、フェニレンジアミンなどの
芳香族アミン類などが例示される。
【0008】また、中和に用いる塩基としては、アニリ
ン、ピロールのようなそれ自身電解酸化重合性を有する
もの、またはこれらの電解酸化重合性を有するものと他
の塩基を組み合わせたものを用いることができる。これ
らの電解酸化重合性を有する塩基を用いた場合、必ずし
も下記の電解酸化重合性モノマーを更に添加する必要は
ない。塩基の使用量については、特に臨界的でなく、ポ
リアミック酸の中和相当量、たとえば中和点の0.5〜
3倍程度までであってよい。
ン、ピロールのようなそれ自身電解酸化重合性を有する
もの、またはこれらの電解酸化重合性を有するものと他
の塩基を組み合わせたものを用いることができる。これ
らの電解酸化重合性を有する塩基を用いた場合、必ずし
も下記の電解酸化重合性モノマーを更に添加する必要は
ない。塩基の使用量については、特に臨界的でなく、ポ
リアミック酸の中和相当量、たとえば中和点の0.5〜
3倍程度までであってよい。
【0009】ポリアミック酸と塩基とを含有する液に
は、ポリアミック酸の塩溶液形成のための溶媒が用いら
れる。この場合の溶媒は、その種類が特に限定されるも
のではないが、通常は、非プロトン性高極性溶媒が好適
に用いられる。このものとしては、たとえばN,N−ジ
メチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセ
トアミド(DMA)、N−メチルピロリジノン(NM
P)、ジメチルスルホキサイド(DMSO)などが例示
される。
は、ポリアミック酸の塩溶液形成のための溶媒が用いら
れる。この場合の溶媒は、その種類が特に限定されるも
のではないが、通常は、非プロトン性高極性溶媒が好適
に用いられる。このものとしては、たとえばN,N−ジ
メチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセ
トアミド(DMA)、N−メチルピロリジノン(NM
P)、ジメチルスルホキサイド(DMSO)などが例示
される。
【0010】このような溶媒によって形成したポリアミ
ック酸の塩溶液中には、電解酸化重合性のモノマーを加
えて電解液とするが、この場合の電解酸化重合性モノマ
ーについてもその種類に特段の制限はない。たとえば、
ピリジン、ピロール、チオフェン等の複素環化合物、ア
ニリン、ジフェニルアミン等の芳香族アミン類、ベンゼ
ン、ピレン、フルオランセン等の芳香族炭化水素、アズ
レン等の非ベンゼン系芳香族炭化水素などがこの電解酸
化重合性モノマーとして例示される。これらの配合量に
ついても特に臨界的でなく、コンポジットフィルムの所
要の組成、物性等に応じて決められる。たとえば電解酸
化重合性モノマーとしてアニリンを用いる場合には、モ
ノマー/ポリアミック酸の比が0.1〜200程度まで
適宜に変更してその混合率を定めることができる。
ック酸の塩溶液中には、電解酸化重合性のモノマーを加
えて電解液とするが、この場合の電解酸化重合性モノマ
ーについてもその種類に特段の制限はない。たとえば、
ピリジン、ピロール、チオフェン等の複素環化合物、ア
ニリン、ジフェニルアミン等の芳香族アミン類、ベンゼ
ン、ピレン、フルオランセン等の芳香族炭化水素、アズ
レン等の非ベンゼン系芳香族炭化水素などがこの電解酸
化重合性モノマーとして例示される。これらの配合量に
ついても特に臨界的でなく、コンポジットフィルムの所
要の組成、物性等に応じて決められる。たとえば電解酸
化重合性モノマーとしてアニリンを用いる場合には、モ
ノマー/ポリアミック酸の比が0.1〜200程度まで
適宜に変更してその混合率を定めることができる。
【0011】これらの電解酸化重合性モノマーの添加に
よって電解液を調製する際には、前記のポリアミック酸
の貧溶媒を加えて電解液とするのが通常は好ましい。こ
の貧溶媒としては、特に限定されるものではなく、メタ
ノール、エタノールのようなアルコール類、ヘキサン、
シクロヘキサンなどの炭化水素類、ニトロメタン、ニト
ロベンゼンなどのニトロ化合物、ベンゼン、トルエンな
どの芳香族化合物、アセトニトリル、ベンゾニトリルな
どのニトリル類などがたとえば例示される。これら溶媒
の使用量は、前記の極性溶媒100重量部に対し、通常
は20〜300重量部程度の割合とすることができる。
また、一般的な目安としてのポリアミック酸の電解液中
の濃度は、0.01〜10%程度として考えられ、電解
酸化重合性モノマーの濃度も、このポリアミック酸の濃
度に応じて定めることができる。
よって電解液を調製する際には、前記のポリアミック酸
の貧溶媒を加えて電解液とするのが通常は好ましい。こ
の貧溶媒としては、特に限定されるものではなく、メタ
ノール、エタノールのようなアルコール類、ヘキサン、
シクロヘキサンなどの炭化水素類、ニトロメタン、ニト
ロベンゼンなどのニトロ化合物、ベンゼン、トルエンな
どの芳香族化合物、アセトニトリル、ベンゾニトリルな
どのニトリル類などがたとえば例示される。これら溶媒
の使用量は、前記の極性溶媒100重量部に対し、通常
は20〜300重量部程度の割合とすることができる。
また、一般的な目安としてのポリアミック酸の電解液中
の濃度は、0.01〜10%程度として考えられ、電解
酸化重合性モノマーの濃度も、このポリアミック酸の濃
度に応じて定めることができる。
【0012】電解反応は、通常の陽極と陰極とを備えた
電解槽中において行うことができる。この電解によっ
て、両極間に任意の電圧を印加し、陽極表面にポリアミ
ック酸と電解酸化重合性モノマーの重合体のポリマーコ
ンポジットフィルムを析出させる。電圧は、ポリアミッ
ク酸の濃度や中和用塩基の濃度、さらには電解酸化重合
性モノマーの濃度等、さらには所定のコンポジットフィ
ルムの膜厚に応じて変更されるが、通常は、ポリアミッ
ク酸の濃度との関係としては、ポリアミック酸が0.1
〜1wt%であるとすると、3〜30Vの範囲とするこ
と等によって適宜に設定される。
電解槽中において行うことができる。この電解によっ
て、両極間に任意の電圧を印加し、陽極表面にポリアミ
ック酸と電解酸化重合性モノマーの重合体のポリマーコ
ンポジットフィルムを析出させる。電圧は、ポリアミッ
ク酸の濃度や中和用塩基の濃度、さらには電解酸化重合
性モノマーの濃度等、さらには所定のコンポジットフィ
ルムの膜厚に応じて変更されるが、通常は、ポリアミッ
ク酸の濃度との関係としては、ポリアミック酸が0.1
〜1wt%であるとすると、3〜30Vの範囲とするこ
と等によって適宜に設定される。
【0013】陽極表面では、ポリアミック酸の電着と電
解酸化重合性モノマーの重合反応が同時に起こり、印加
した電圧に相応する膜厚のポリアミック酸−電解重合ポ
リマーコンポジットフィルムが形成される。このコンポ
ジットフィルムの膜厚は、前記したポリアミック酸並び
に電解酸化重合性モノマーの濃度や電解条件によって、
たとえば数百オングストローム(またはÅ)〜100μ
m程度までのものとして容易に定めることができる。も
ちろん、この数値は何ら限定的なものではない。ポリマ
ーフィルムがその表面に形成される陽極材料としては、
電極として使用しうる電気伝導度を備えた物であれば、
材質、形状における制限はない。
解酸化重合性モノマーの重合反応が同時に起こり、印加
した電圧に相応する膜厚のポリアミック酸−電解重合ポ
リマーコンポジットフィルムが形成される。このコンポ
ジットフィルムの膜厚は、前記したポリアミック酸並び
に電解酸化重合性モノマーの濃度や電解条件によって、
たとえば数百オングストローム(またはÅ)〜100μ
m程度までのものとして容易に定めることができる。も
ちろん、この数値は何ら限定的なものではない。ポリマ
ーフィルムがその表面に形成される陽極材料としては、
電極として使用しうる電気伝導度を備えた物であれば、
材質、形状における制限はない。
【0014】このようにして得られたこの発明のポリア
ミック酸−電解重合ポリマーコンポジットフィルムで
は、ポリアミック酸アニオンによって電解重合ポリマー
がドーピングされ、イオン化した状態のポリマーとな
る。そして、さらにこの発明では、必要に応じて、この
ようにして得られたポリマーコンポジットフィルムを加
熱イミド化する。ドーパントとして働いていたカルボン
酸基が脱水閉環し、脱ドープが起きることによって中性
のポリイミド−電解重合ポリマーコンポジットとなる。
加熱イミド化では、通常は、110〜180℃程度の温
度において数分〜数時間の加熱とすることができる。
ミック酸−電解重合ポリマーコンポジットフィルムで
は、ポリアミック酸アニオンによって電解重合ポリマー
がドーピングされ、イオン化した状態のポリマーとな
る。そして、さらにこの発明では、必要に応じて、この
ようにして得られたポリマーコンポジットフィルムを加
熱イミド化する。ドーパントとして働いていたカルボン
酸基が脱水閉環し、脱ドープが起きることによって中性
のポリイミド−電解重合ポリマーコンポジットとなる。
加熱イミド化では、通常は、110〜180℃程度の温
度において数分〜数時間の加熱とすることができる。
【0015】この発明で得られるコンポジットフィルム
は、内部に電気化学的な活性を有する電解重合ポリマー
を有するために、たとえばポリアニリンのようにドープ
−脱ドープによってその色調を変える電解重合ポリマー
を用いた場合、イミド化した後のコンポジットフィルム
を電解液中で酸化還元することでエレクトロクロミズム
性を発現することができる。
は、内部に電気化学的な活性を有する電解重合ポリマー
を有するために、たとえばポリアニリンのようにドープ
−脱ドープによってその色調を変える電解重合ポリマー
を用いた場合、イミド化した後のコンポジットフィルム
を電解液中で酸化還元することでエレクトロクロミズム
性を発現することができる。
【0016】また、電解重合ポリマーは比較的長い共役
鎖を有しており、その特性がコンポジットポリマー中で
十分発現できる条件にあれば、フィルム中の電子による
分極率が高くなり、ホストであるポリアミック酸やポリ
イミドの誘電率より高い誘電率を有するポリマーフィル
ムが得られる可能性がある。こうした高い誘電率を有す
るポリマーフィルムは、コンデンサの誘電体膜等に非常
に有用である。
鎖を有しており、その特性がコンポジットポリマー中で
十分発現できる条件にあれば、フィルム中の電子による
分極率が高くなり、ホストであるポリアミック酸やポリ
イミドの誘電率より高い誘電率を有するポリマーフィル
ムが得られる可能性がある。こうした高い誘電率を有す
るポリマーフィルムは、コンデンサの誘電体膜等に非常
に有用である。
【0017】その一方で、仮にコンポジットフィルム中
の電解重合ポリマーがその共役系を十分広げることがで
きないようなコンフォメーションをとったとすれば、今
度は逆にポリイミドの結晶性を妨げる等の効果によって
誘導率はホストの物より小さくなる可能性も有る。この
場合は、IC基板の絶縁薄膜等として有用となる。以下、
実施例を示してさらに詳しくこの発明の方法について説
明する。
の電解重合ポリマーがその共役系を十分広げることがで
きないようなコンフォメーションをとったとすれば、今
度は逆にポリイミドの結晶性を妨げる等の効果によって
誘導率はホストの物より小さくなる可能性も有る。この
場合は、IC基板の絶縁薄膜等として有用となる。以下、
実施例を示してさらに詳しくこの発明の方法について説
明する。
【0018】
【実施例】実施例1 8.00重量部のジアミノジフェニルエーテルを178
重量部のN−メチルピロリジノン(NMP)に溶解し、
攪拌しながら11.76重量部のビフタル酸二無水物を
加える。さらに1昼夜攪拌を続けることにより、10w
t%ポリアミック酸のNMP溶液を得る。
重量部のN−メチルピロリジノン(NMP)に溶解し、
攪拌しながら11.76重量部のビフタル酸二無水物を
加える。さらに1昼夜攪拌を続けることにより、10w
t%ポリアミック酸のNMP溶液を得る。
【0019】こうして得られた10%ポリアミック酸N
MP溶液10重量部を33重量部のN,N−ジメチルホ
ルムアミド(DMF)で希釈し、0.205重量部のト
リエチルアミン、次いで0.376重量部のアニリンを
加えて混合する。この溶液にさらに66重量部のメタノ
ールを加えて混合し、電解液とする。次いでこの電解液
をステンレス製陰極を備えた電解槽中に入れ、10W×
50L×0.1mmのステンレス陽極をセットし、両極
間に2Vの電圧を印加して陽極表面に厚さ2.1μmの
ポリアミック酸−ポリアニリンコンポジットフィルムを
得た。
MP溶液10重量部を33重量部のN,N−ジメチルホ
ルムアミド(DMF)で希釈し、0.205重量部のト
リエチルアミン、次いで0.376重量部のアニリンを
加えて混合する。この溶液にさらに66重量部のメタノ
ールを加えて混合し、電解液とする。次いでこの電解液
をステンレス製陰極を備えた電解槽中に入れ、10W×
50L×0.1mmのステンレス陽極をセットし、両極
間に2Vの電圧を印加して陽極表面に厚さ2.1μmの
ポリアミック酸−ポリアニリンコンポジットフィルムを
得た。
【0020】得られたフィルムの紫外可視吸収スペクト
ル及び赤外線吸収スペクトルを計測し、フィルムを構成
する物質を同定した。添付した図面の図1は、この発明
によって生成したポリアミック酸−ポリアニリンコンポ
ジットフィルムの紫外可視吸収スペクトルの測定結果を
示したものである。
ル及び赤外線吸収スペクトルを計測し、フィルムを構成
する物質を同定した。添付した図面の図1は、この発明
によって生成したポリアミック酸−ポリアニリンコンポ
ジットフィルムの紫外可視吸収スペクトルの測定結果を
示したものである。
【0021】この図1では、ポリアミック酸単独では認
められない530nm付近と740nm付近のバンドが
認められ、得られたフィルムがポリアミック酸とポリア
ニリンの複合体であることが確認された。また、図2
は、赤外線吸収スペクトルの測定結果を示したものであ
る。この図2では、実施例1で得られたフィルムにおい
て、−N=の構造に起因する振動に相当する1500及
び1600cm-1近傍のピークがアニリンを添加してい
ない比較例1、2と比較して明らかに強くなっており、
得られたフィルムがポリアミック酸とポリアニリンの複
合体であることが赤外線吸収スペクトルの測定からも確
認された。実施例2 実施例1において印加する電圧を3Vとする他は実施例
1に準じて行い、厚さ5.3μmのポリアミック酸−ポ
リアニリンコンポジットフィルムを得た。
められない530nm付近と740nm付近のバンドが
認められ、得られたフィルムがポリアミック酸とポリア
ニリンの複合体であることが確認された。また、図2
は、赤外線吸収スペクトルの測定結果を示したものであ
る。この図2では、実施例1で得られたフィルムにおい
て、−N=の構造に起因する振動に相当する1500及
び1600cm-1近傍のピークがアニリンを添加してい
ない比較例1、2と比較して明らかに強くなっており、
得られたフィルムがポリアミック酸とポリアニリンの複
合体であることが赤外線吸収スペクトルの測定からも確
認された。実施例2 実施例1において印加する電圧を3Vとする他は実施例
1に準じて行い、厚さ5.3μmのポリアミック酸−ポ
リアニリンコンポジットフィルムを得た。
【0022】得られたフィルムの紫外可視吸収スペクト
ルを計測し、フィルムを構成する物質を同定した。図1
に示したように、実施例1と同様にポリアミック酸単独
では認められない530nm付近と740nm付近のバ
ンドが認められ、得られたフィルムがポリアミック酸と
ポリアニリンの複合体であることが確認された。実施例3 実施例1において得られたポリアミック酸−ポリアニリ
ンコンポジットフィルムを150℃で30分間加熱イミ
ド化し、ポリイミド−ポリアニリンコンポジットフィル
ムを得た。膜厚は1.0μmであった。
ルを計測し、フィルムを構成する物質を同定した。図1
に示したように、実施例1と同様にポリアミック酸単独
では認められない530nm付近と740nm付近のバ
ンドが認められ、得られたフィルムがポリアミック酸と
ポリアニリンの複合体であることが確認された。実施例3 実施例1において得られたポリアミック酸−ポリアニリ
ンコンポジットフィルムを150℃で30分間加熱イミ
ド化し、ポリイミド−ポリアニリンコンポジットフィル
ムを得た。膜厚は1.0μmであった。
【0023】加熱イミド化により得たこのフィルムの紫
外可視吸収スペクトル及び赤外線吸収スペクトルを計測
し、フィルムを構成する物質を同定した。図3の紫外可
視吸収スペクトルでは、740nm付近のバンドは消失
し、共役系高分子のπ−π*遷移が起因と考えられる5
30nmのバンドが残っていることが確認された。
外可視吸収スペクトル及び赤外線吸収スペクトルを計測
し、フィルムを構成する物質を同定した。図3の紫外可
視吸収スペクトルでは、740nm付近のバンドは消失
し、共役系高分子のπ−π*遷移が起因と考えられる5
30nmのバンドが残っていることが確認された。
【0024】これは、加熱イミド化によってポリアミッ
ク酸のカルボニル基が閉環し脱ドープが起こったため
に、中性のポリアニリンとポリイミドとがコンポジット
になったことを示している。また、図4の赤外線吸収ス
ペクトルでは、実施例1と同様に−N=の構造に起因す
る振動に相当する1500及び1600cm-1近傍のピ
ークが明らかに強くなっており、フィルムがポリイミド
とポリアニリンの複合体であることが赤外線吸収スペク
トルの測定からも確認された。実施例4 実施例2において得られたポリアミック酸−ポリアニリ
ンコンポジットフィルムを用いるほかは実施例3に準じ
て加熱イミド化した。得られたフィルムの膜厚は3.3
μmであった。
ク酸のカルボニル基が閉環し脱ドープが起こったため
に、中性のポリアニリンとポリイミドとがコンポジット
になったことを示している。また、図4の赤外線吸収ス
ペクトルでは、実施例1と同様に−N=の構造に起因す
る振動に相当する1500及び1600cm-1近傍のピ
ークが明らかに強くなっており、フィルムがポリイミド
とポリアニリンの複合体であることが赤外線吸収スペク
トルの測定からも確認された。実施例4 実施例2において得られたポリアミック酸−ポリアニリ
ンコンポジットフィルムを用いるほかは実施例3に準じ
て加熱イミド化した。得られたフィルムの膜厚は3.3
μmであった。
【0025】得られたフィルムの紫外可視吸収スペクト
ルを計測し、フィルムを構成する物質を同定した。図3
に示したように、実施例3と同様に、740nm付近の
バンドは消失し、共役系高分子のπ−π*遷移が起因と
考えられる530nmのバンドが残っていることが確認
された。
ルを計測し、フィルムを構成する物質を同定した。図3
に示したように、実施例3と同様に、740nm付近の
バンドは消失し、共役系高分子のπ−π*遷移が起因と
考えられる530nmのバンドが残っていることが確認
された。
【0026】これは、加熱イミド化によってポリアミッ
ク酸のカルボニル基が閉環し脱ドープが起こったため
に、中性のポリアニリンとポリイミドとがコンポジット
になったことを示している。比較例1 実施例1において、アニリンを添加しないで電解液と
し、3Vの電圧を印加した他は実施例1に準じて電解反
応を行った。膜厚5.5μmの電着ポリアミック酸フィ
ルムを得た。
ク酸のカルボニル基が閉環し脱ドープが起こったため
に、中性のポリアニリンとポリイミドとがコンポジット
になったことを示している。比較例1 実施例1において、アニリンを添加しないで電解液と
し、3Vの電圧を印加した他は実施例1に準じて電解反
応を行った。膜厚5.5μmの電着ポリアミック酸フィ
ルムを得た。
【0027】得られたフィルムの紫外可視吸収スペクト
ルを計測した。また、赤外線吸収スペクトルも計測し
た。その結果は、各々、図1および図2に示した。実施
例1および実施例2との対比からも明らかなように、ポ
リアミック酸のフィルムからなることが確認された。比較例2 比較例1で得られた電着ポリアミック酸フィルムを15
0℃で30分間加熱イミド化し、膜厚3.7μmのポリ
イミドフィルムを得た。
ルを計測した。また、赤外線吸収スペクトルも計測し
た。その結果は、各々、図1および図2に示した。実施
例1および実施例2との対比からも明らかなように、ポ
リアミック酸のフィルムからなることが確認された。比較例2 比較例1で得られた電着ポリアミック酸フィルムを15
0℃で30分間加熱イミド化し、膜厚3.7μmのポリ
イミドフィルムを得た。
【0028】得られたフィルムの紫外可視吸収スペクト
ルおよび赤外線吸収スペクトルを計測し、実施例3およ
び4のフィルムの場合と比較した。ポリイミドフィルム
であることが確認された。
ルおよび赤外線吸収スペクトルを計測し、実施例3およ
び4のフィルムの場合と比較した。ポリイミドフィルム
であることが確認された。
【0029】
【発明の効果】この発明により、以上詳しく説明したと
おり、エレクトロクロミック材料、コンデンサ等の誘電
体膜、または液晶表示材料の偏光膜等に利用できる、ポ
リアミック酸および電解酸化重合性モノマーの重合体か
らなるフィルムを得ることができる。
おり、エレクトロクロミック材料、コンデンサ等の誘電
体膜、または液晶表示材料の偏光膜等に利用できる、ポ
リアミック酸および電解酸化重合性モノマーの重合体か
らなるフィルムを得ることができる。
【図1】ポリアミック酸−ポリアニリンコンポジットフ
ィルムの紫外可視吸収スペクトルの測定結果を、ポリア
ミック酸フィルムを比較例として示した図である。
ィルムの紫外可視吸収スペクトルの測定結果を、ポリア
ミック酸フィルムを比較例として示した図である。
【図2】ポリアミック酸−ポリアニリンコンポジットフ
ィルムの赤外線吸収スペクトルの測定結果を、ポリアミ
ック酸フィルムを比較例として示した図である。
ィルムの赤外線吸収スペクトルの測定結果を、ポリアミ
ック酸フィルムを比較例として示した図である。
【図3】ポリイミド−ポリアニリンコンポジットフィル
ムの紫外可視吸収スペクトルの測定結果を、ポリイミド
フィルムを比較例として示した図である。
ムの紫外可視吸収スペクトルの測定結果を、ポリイミド
フィルムを比較例として示した図である。
【図4】ポリイミド−ポリアニリンコンポジットフィル
ムの赤外線吸収スペクトルの測定結果を、ポリイミドフ
ィルムを比較例として示した図である。
ムの赤外線吸収スペクトルの測定結果を、ポリイミドフ
ィルムを比較例として示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C25D 9/02 C25D 9/02 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 79/08 C08G 73/10 C08L 79/00 C08G 73/00 C08J 5/18 CFG CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (2)
- 【請求項1】 ポリアミック酸および塩基含有液中に電
解酸化重合性モノマーを加えて電解液とし、これを電解
して陽極上にポリアミック酸と電解酸化重合性モノマー
の重合体のフィルムを同時に析出させることを特徴とす
るポリマーコンポジットフィルムの製造法。 - 【請求項2】 請求項1の方法により析出させたポリア
ミック酸と電解酸化重合性モノマーの重合体のフィルム
を加熱イミド化処理してポリイミドと電解酸化重合性モ
ノマーの重合体とのフィルムを形成することを特徴とす
るポリマーコンポジットフィルムの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4215795A JP2911382B2 (ja) | 1995-03-01 | 1995-03-01 | ポリマーコンポジットフィルムの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4215795A JP2911382B2 (ja) | 1995-03-01 | 1995-03-01 | ポリマーコンポジットフィルムの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08239471A JPH08239471A (ja) | 1996-09-17 |
JP2911382B2 true JP2911382B2 (ja) | 1999-06-23 |
Family
ID=12628122
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4215795A Expired - Fee Related JP2911382B2 (ja) | 1995-03-01 | 1995-03-01 | ポリマーコンポジットフィルムの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2911382B2 (ja) |
-
1995
- 1995-03-01 JP JP4215795A patent/JP2911382B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08239471A (ja) | 1996-09-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Li et al. | Novel multifunctional polymers from aromatic diamines by oxidative polymerizations | |
Cao et al. | Spectroscopic studies of polyaniline in solution and in spin-cast films | |
Leclerc et al. | Synthesis and characterization of poly (alkylanilines) | |
KR100362018B1 (ko) | 가용성아닐린전도성중합체 | |
Moraes et al. | Characteristics of polyaniline synthesized in phosphate buffer solution | |
JP2866996B2 (ja) | 有機重合体溶液 | |
Chao et al. | Novel electroactive poly (arylene ether sulfone) copolymers containing pendant oligoaniline groups: Synthesis and properties | |
CN103834009B (zh) | 透明电致变色聚酰亚胺与其形成方法与电致变色组件 | |
Rao et al. | Synthesis of electrically conducting copolymers of aniline with o/m-amino benzoic acid by an inverse emulsion pathway | |
JP2000336154A (ja) | 導電性高分子の製造方法 | |
Özdemir et al. | Synthesis, characterization, and comparison of self‐doped, doped, and undoped forms of polyaniline, poly (o‐anisidine), and poly [aniline‐co‐(o‐anisidine)] | |
JP3409232B2 (ja) | 導電性樹脂成形体とその製造方法 | |
JPS61168651A (ja) | ポリピロール/ポリイミド組成物及びその製造方法 | |
JP2000044683A (ja) | オリゴアニリンユニットを有するジアミン及びポリイミド | |
JPH0425309B2 (ja) | ||
JP3409226B2 (ja) | 半導電性樹脂シート及びその製造方法 | |
JPH05247204A (ja) | 導電性有機重合体の製造方法 | |
Rao et al. | Effect of the sulfonic acid group on copolymers of aniline and toluidine with m‐aminobenzene sulfonic acid | |
JP2911382B2 (ja) | ポリマーコンポジットフィルムの製造法 | |
Saraswat et al. | A novel electro‐organic synthesis of aniline‐based copolymers at platinum electrodes | |
Selampinar et al. | Synthesis of a hexafluoropropylidene‐bis (phthalic anhydride)‐based polyimide and its conducting polymer composites with polypyrrole | |
JP3467345B2 (ja) | 半導電性樹脂シート及びその製造方法 | |
JP2999802B2 (ja) | ポリアニリン―繊維複合材料 | |
JPWO2004111108A1 (ja) | キノキサリンユニットを有するジアミン、ポリイミド前駆体及びポリイミド並びにその利用 | |
JP2942786B2 (ja) | 有機重合体組成物及びこれを用いる導電性有機重合体薄膜の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |