JP2901388B2 - アンチロックブレーキ用モジュレータ - Google Patents
アンチロックブレーキ用モジュレータInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用のアンチロック
ブレーキ装置において、マスシリンダから車輪ブレーキ
に伝達されるブレーキ油圧を制御するモジュレータに関
する。
ブレーキ装置において、マスシリンダから車輪ブレーキ
に伝達されるブレーキ油圧を制御するモジュレータに関
する。
【0002】
【従来の技術】例えば、従来のアンチロックブレーキ用
モジュレータを図5を参照して簡単に説明する。モジュ
レータ2は、マスタシリンダに連通する入力油圧室4
と、車輪ブレーキに連通する出力油圧室6と、前記両油
圧室4、6を連通、遮断するカットバルブ8とを備え、
前記カットバルブ8の開成、閉成を行うとともに、出力
油圧側の体積を変動させるべく、前記カットバルブ8の
下部にエキスパンダピストン10が設けられている。こ
のエキスパンダピストン10は、その下部に偏心部材で
あるクランクピン12に設けられたリング体14が当接
するように構成されている。前記クランクピン12は、
一端を直流電気モータ16の駆動軸18にクランク20
を介して接続され、他端を渦巻きばねから構成されたリ
ターンスプリング22に接続されている。図6に示すよ
うに、クランク20は、駆動軸18に形成したピニオン
18aに内歯ギア20aを介して接続されるとともに、
その外周部にストッパ20bを有し、このストッパ20
bがモジュレータ本体2aに当接することでクランクピ
ン12の回動角度を上死点、下死点間の180°の範囲
に規制している(図6参照)。さらにクランクピン12
は、渦巻きばねで構成されるリターンスプリング22の
弾性力によって、常に上死点に向かう方向、すなわち、
リング体14によってエキスパンダピストン10がカッ
トバルブ8を開成する方向に付勢している。
モジュレータを図5を参照して簡単に説明する。モジュ
レータ2は、マスタシリンダに連通する入力油圧室4
と、車輪ブレーキに連通する出力油圧室6と、前記両油
圧室4、6を連通、遮断するカットバルブ8とを備え、
前記カットバルブ8の開成、閉成を行うとともに、出力
油圧側の体積を変動させるべく、前記カットバルブ8の
下部にエキスパンダピストン10が設けられている。こ
のエキスパンダピストン10は、その下部に偏心部材で
あるクランクピン12に設けられたリング体14が当接
するように構成されている。前記クランクピン12は、
一端を直流電気モータ16の駆動軸18にクランク20
を介して接続され、他端を渦巻きばねから構成されたリ
ターンスプリング22に接続されている。図6に示すよ
うに、クランク20は、駆動軸18に形成したピニオン
18aに内歯ギア20aを介して接続されるとともに、
その外周部にストッパ20bを有し、このストッパ20
bがモジュレータ本体2aに当接することでクランクピ
ン12の回動角度を上死点、下死点間の180°の範囲
に規制している(図6参照)。さらにクランクピン12
は、渦巻きばねで構成されるリターンスプリング22の
弾性力によって、常に上死点に向かう方向、すなわち、
リング体14によってエキスパンダピストン10がカッ
トバルブ8を開成する方向に付勢している。
【0003】このように構成されたモジュレータ2は、
次のように作用する。すなわち、通常制動時には、クラ
ンク20がリターンスプリング22とモジュレータ本体
2aによって上死点に保持され、クランクピン12のリ
ング体14がエキスパンダピストン10を押し上げてい
る。したがって、カットバルブ8が開成し、ブレーキ油
圧はマスタシリンダから両油圧室4、6を介してキャリ
パシリンダに伝達される。この場合、上死点(エキスパ
ンダピストン10の変位方向に対して平行な位置)にク
ランクピン12のリング体14を拘束しているため、ブ
レーキ油圧によってエキスパンダピストン10は押圧さ
れてもリング体14にモーメントは働かず、クランクピ
ン12は回動しない。一方、アンチロックブレーキ制御
を行う場合には、直流電気モータ16の駆動軸18を回
動させ、クランク20を介して上死点から下死点に向け
てクランクピン12を回動させる。これによりリング体
14も回動し、エキスパンダピストン10もブレーキ油
圧により速やかにリング体14に追随して下降し、カッ
トバルブ8を閉成する。その後、出力油圧室6の容積を
増大させてキャリパシリンダに伝達されるブレーキ油圧
を減少させる。アンチロックブレーキ制御を解除する場
合は、直流電気モータ16に対する給電を停止させ、ま
たは逆回転方向に給電し、クランクピン12がリターン
スプリング22の弾性力および直流電気モータ16の逆
回転力で原位置、すなわち、上死点に復帰させられ、ブ
レーキ油圧が増加する。
次のように作用する。すなわち、通常制動時には、クラ
ンク20がリターンスプリング22とモジュレータ本体
2aによって上死点に保持され、クランクピン12のリ
ング体14がエキスパンダピストン10を押し上げてい
る。したがって、カットバルブ8が開成し、ブレーキ油
圧はマスタシリンダから両油圧室4、6を介してキャリ
パシリンダに伝達される。この場合、上死点(エキスパ
ンダピストン10の変位方向に対して平行な位置)にク
ランクピン12のリング体14を拘束しているため、ブ
レーキ油圧によってエキスパンダピストン10は押圧さ
れてもリング体14にモーメントは働かず、クランクピ
ン12は回動しない。一方、アンチロックブレーキ制御
を行う場合には、直流電気モータ16の駆動軸18を回
動させ、クランク20を介して上死点から下死点に向け
てクランクピン12を回動させる。これによりリング体
14も回動し、エキスパンダピストン10もブレーキ油
圧により速やかにリング体14に追随して下降し、カッ
トバルブ8を閉成する。その後、出力油圧室6の容積を
増大させてキャリパシリンダに伝達されるブレーキ油圧
を減少させる。アンチロックブレーキ制御を解除する場
合は、直流電気モータ16に対する給電を停止させ、ま
たは逆回転方向に給電し、クランクピン12がリターン
スプリング22の弾性力および直流電気モータ16の逆
回転力で原位置、すなわち、上死点に復帰させられ、ブ
レーキ油圧が増加する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように構成された
アンチロックブレーキ用のモジュレータ2においては、
部品の小型軽量化、性能の向上が求められている。
アンチロックブレーキ用のモジュレータ2においては、
部品の小型軽量化、性能の向上が求められている。
【0005】そこで、前記モジュレータ2の小型軽量化
を図る際に、直流電気モータ16の小型化か先ず考えら
れる。該直流電気モータ16は、必要なモータトルクを
減じるように、すなわち、クランクピン12を回動させ
る際に必要な最大トルクを減じることが要求されてい
る。この場合、リターンスプリング22の弾性力によっ
てクランクピン12に作用する力を減ずればよい。しか
しながら、該モジュレータ2のリターンスプリング22
は渦巻き型であり、回転角度に比例して弾性力が増大す
るため、最大弾性力の減少を図ることは困難である。
を図る際に、直流電気モータ16の小型化か先ず考えら
れる。該直流電気モータ16は、必要なモータトルクを
減じるように、すなわち、クランクピン12を回動させ
る際に必要な最大トルクを減じることが要求されてい
る。この場合、リターンスプリング22の弾性力によっ
てクランクピン12に作用する力を減ずればよい。しか
しながら、該モジュレータ2のリターンスプリング22
は渦巻き型であり、回転角度に比例して弾性力が増大す
るため、最大弾性力の減少を図ることは困難である。
【0006】また、前記モジュレータ2において、応答
性の一層の向上が望まれている。応答性とは、通常制動
状態からアンチロックブレーキ制御に切り換える際のブ
レーキ油圧の変化速度を指す。すなわち、アンチロック
ブレーキ制御に切り換える場合、クランクピン12によ
るリング体14の回動により、エキスパンダピストン1
0が変位し、カットバルブ8が閉成してブレーキ油圧が
変化する。この際、リング体14は上死点から動き始め
る回動運動であるため、リング体14の一定角度の回動
に対して前記リング体14に当接するエキスパンダピス
トン10の変位量は上死点近くほど小さい。したがっ
て、切り換え初期のカットバルブ8の変位(開成→閉
成)も小さく、ブレーキ油圧の変化も少ないため、制御
切り換えの初期の応答性が悪いという不都合がある。
性の一層の向上が望まれている。応答性とは、通常制動
状態からアンチロックブレーキ制御に切り換える際のブ
レーキ油圧の変化速度を指す。すなわち、アンチロック
ブレーキ制御に切り換える場合、クランクピン12によ
るリング体14の回動により、エキスパンダピストン1
0が変位し、カットバルブ8が閉成してブレーキ油圧が
変化する。この際、リング体14は上死点から動き始め
る回動運動であるため、リング体14の一定角度の回動
に対して前記リング体14に当接するエキスパンダピス
トン10の変位量は上死点近くほど小さい。したがっ
て、切り換え初期のカットバルブ8の変位(開成→閉
成)も小さく、ブレーキ油圧の変化も少ないため、制御
切り換えの初期の応答性が悪いという不都合がある。
【0007】本発明は、この種の問題を解決するために
なされたものであって、アンチロックブレーキ用モジュ
レータの小型化が図れ、また、通常制動状態からアンチ
ロックブレーキ制御へ切り換える際にブレーキ油圧の初
期変化の応答性のよいアンチロックブレーキ用モジュレ
ータを提供することを目的とする。
なされたものであって、アンチロックブレーキ用モジュ
レータの小型化が図れ、また、通常制動状態からアンチ
ロックブレーキ制御へ切り換える際にブレーキ油圧の初
期変化の応答性のよいアンチロックブレーキ用モジュレ
ータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、マスタシリンダに連通する入力油圧室
と、車輪ブレーキに連通する出力油圧室と、前記入力油
圧室および前記出力油圧室を連通する連通路に設けら
れ、前記入力油圧室側に移動することで前記連通路を開
放する一方、前記出力油圧室側に移動することで前記連
通路を遮断するカットバルブと、前記出力油圧室側に進
退自在に設けられて前記出力油圧室を構成し、通常制動
時に前記入力油圧室側に移動して一端部により前記カッ
トバルブを開弁動作させる一方、アンチロック制動時に
前記入力油圧室側から離間する方向に移動して前記一端
部により前記カットバルブを閉弁動作させるとともに、
前記出力油圧室の容積を変動させるエキスパンダピスト
ンと、前記エキスパンダピストンの他端部に連接する偏
心部材を有し、前記エキスパンダピストンを進退移動さ
せるべく回動するクランクと、前記エキスパンダピスト
ンを前記入力油圧室側に移動させるべく、前記偏心部材
を押圧付勢するコイルスプリングとを備え、前記コイル
スプリングは、縮退方向が前記エキスパンダピストンの
前記入力油圧室側への移動方向に対して90°<θs<
180°となる角度θsに設定されることを特徴とす
る。
めに、本発明は、マスタシリンダに連通する入力油圧室
と、車輪ブレーキに連通する出力油圧室と、前記入力油
圧室および前記出力油圧室を連通する連通路に設けら
れ、前記入力油圧室側に移動することで前記連通路を開
放する一方、前記出力油圧室側に移動することで前記連
通路を遮断するカットバルブと、前記出力油圧室側に進
退自在に設けられて前記出力油圧室を構成し、通常制動
時に前記入力油圧室側に移動して一端部により前記カッ
トバルブを開弁動作させる一方、アンチロック制動時に
前記入力油圧室側から離間する方向に移動して前記一端
部により前記カットバルブを閉弁動作させるとともに、
前記出力油圧室の容積を変動させるエキスパンダピスト
ンと、前記エキスパンダピストンの他端部に連接する偏
心部材を有し、前記エキスパンダピストンを進退移動さ
せるべく回動するクランクと、前記エキスパンダピスト
ンを前記入力油圧室側に移動させるべく、前記偏心部材
を押圧付勢するコイルスプリングとを備え、前記コイル
スプリングは、縮退方向が前記エキスパンダピストンの
前記入力油圧室側への移動方向に対して90°<θs<
180°となる角度θsに設定されることを特徴とす
る。
【0009】また、本発明は、マスタシリンダに連通す
る入力油圧室と、車輪ブレーキに連通する出力油圧室
と、前記入力油圧室および前記出力油圧室を連通する連
通路に設けられ、前記入力油圧室側に移動することで前
記連通路を開放する一方、前記出力油圧室側に移動する
ことで前記連通路を遮断するカットバルブと、前記出力
油圧室側に進退自在に設けられて前記出力油圧室を構成
し、通常制動時に前記入力油圧室側に移動して一端部に
より前記カットバルブを開弁動作させる一方、アンチロ
ック制動時に前記入力油圧室側から離間する方向に移動
して前記一端部により前記カットバルブを閉弁動作させ
るとともに、前記出力油圧室の容積を変動させるエキス
パンダピストンと、前記エキスパンダピストンの他端部
に連接する偏心部材を有し、前記エキスパンダピストン
を進退移動させるべく回動するクランクと、前記エキス
パンダピストンを前記入力油圧室側に移動させるべく、
前記偏心部材を押圧付勢するコイルスプリングと、前記
エキスパンダピストンによる通常制動からアンチロック
制動への切り替え時点での前記偏心部材の回動開始角度
を規制する規制部材とを備え、 前記規制部材は、前記エ
キスパンダピストンの前記入力油圧室側への移動方向に
対する前記クランクの回動軸から前記偏心部材に至る線
分の回動開始角度θpを0°<θp≦90°に規制する
ことを特徴とする。
る入力油圧室と、車輪ブレーキに連通する出力油圧室
と、前記入力油圧室および前記出力油圧室を連通する連
通路に設けられ、前記入力油圧室側に移動することで前
記連通路を開放する一方、前記出力油圧室側に移動する
ことで前記連通路を遮断するカットバルブと、前記出力
油圧室側に進退自在に設けられて前記出力油圧室を構成
し、通常制動時に前記入力油圧室側に移動して一端部に
より前記カットバルブを開弁動作させる一方、アンチロ
ック制動時に前記入力油圧室側から離間する方向に移動
して前記一端部により前記カットバルブを閉弁動作させ
るとともに、前記出力油圧室の容積を変動させるエキス
パンダピストンと、前記エキスパンダピストンの他端部
に連接する偏心部材を有し、前記エキスパンダピストン
を進退移動させるべく回動するクランクと、前記エキス
パンダピストンを前記入力油圧室側に移動させるべく、
前記偏心部材を押圧付勢するコイルスプリングと、前記
エキスパンダピストンによる通常制動からアンチロック
制動への切り替え時点での前記偏心部材の回動開始角度
を規制する規制部材とを備え、 前記規制部材は、前記エ
キスパンダピストンの前記入力油圧室側への移動方向に
対する前記クランクの回動軸から前記偏心部材に至る線
分の回動開始角度θpを0°<θp≦90°に規制する
ことを特徴とする。
【0010】
【作用】コイルスプリングはエキスパンダピストンの変
位方向に対して所定角度傾斜して配設されるため、上死
点から下死点に向けてのコイルスプリングの弾性トルク
は、単調増加するのではなく、偏心部材の変位方向がコ
イルスプリングの変位方向と略平行になったところで最
大になり、以後減少する。したがって、コイルスプリン
グの最大弾性トルクを減少させて、モータの小型化、す
なわち、アンチロックブレーキ用モジュレータの小型化
が図れる。
位方向に対して所定角度傾斜して配設されるため、上死
点から下死点に向けてのコイルスプリングの弾性トルク
は、単調増加するのではなく、偏心部材の変位方向がコ
イルスプリングの変位方向と略平行になったところで最
大になり、以後減少する。したがって、コイルスプリン
グの最大弾性トルクを減少させて、モータの小型化、す
なわち、アンチロックブレーキ用モジュレータの小型化
が図れる。
【0011】また、偏心部材の上限位置を上死点から下
死点方向に所定量偏位させた位置に規制する規制手段を
備えたため、通常制動状態からアンチロックブレーキ制
御への切り換え初期において、偏心部材の一定角度の回
動運動によるエキスパンダピストンの初期変位量が増大
する。したがって、前記切り換え初期、ブレーキ油圧の
変化、すなわち応答性が向上する。
死点方向に所定量偏位させた位置に規制する規制手段を
備えたため、通常制動状態からアンチロックブレーキ制
御への切り換え初期において、偏心部材の一定角度の回
動運動によるエキスパンダピストンの初期変位量が増大
する。したがって、前記切り換え初期、ブレーキ油圧の
変化、すなわち応答性が向上する。
【0012】
【実施例】本発明に係るアンチロックブレーキ用モジュ
レータについて、好適な実施例を挙げ、添付の図面を参
照しながら以下詳細に説明する。従来例と略同一の構成
要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略
する。
レータについて、好適な実施例を挙げ、添付の図面を参
照しながら以下詳細に説明する。従来例と略同一の構成
要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略
する。
【0013】図1に示すモジュレータ30のエキスパン
ダピストン10に当接される偏心部材であるリング体1
4は、図示しないモータにより回動する駆動軸に接続さ
れ、回動中心32を中心にして回動する。本実施例にお
いては、リング体14の回動角度を規制するようにスト
ッパ34、36が設けられている。ストッパ34、36
によって、リング体14の回動運動の上限位置、下限位
置を規制している。ここでは、リング体14の上限位置
を仮想的な上死点であるエキスパンダピストン10の変
位方向から角度θp(0°<θp≦90°)のところに
設定している。
ダピストン10に当接される偏心部材であるリング体1
4は、図示しないモータにより回動する駆動軸に接続さ
れ、回動中心32を中心にして回動する。本実施例にお
いては、リング体14の回動角度を規制するようにスト
ッパ34、36が設けられている。ストッパ34、36
によって、リング体14の回動運動の上限位置、下限位
置を規制している。ここでは、リング体14の上限位置
を仮想的な上死点であるエキスパンダピストン10の変
位方向から角度θp(0°<θp≦90°)のところに
設定している。
【0014】リターンスプリング38はコイルスプリン
グから構成され、エキスパンダピストン10の変位方向
に対して図で、反時計回りの回動方向に角度θs(90
°<θs<180°)を有するように設定される。該リ
ターンスプリング38は、通常制動時にエキスパンダピ
ストン10がブレーキ油圧により下向きの押圧力を付与
されてもリング体14に回動動作を生じさせない十分な
弾性トルクを有する。
グから構成され、エキスパンダピストン10の変位方向
に対して図で、反時計回りの回動方向に角度θs(90
°<θs<180°)を有するように設定される。該リ
ターンスプリング38は、通常制動時にエキスパンダピ
ストン10がブレーキ油圧により下向きの押圧力を付与
されてもリング体14に回動動作を生じさせない十分な
弾性トルクを有する。
【0015】このように構成されるモジュレータ30
は、以下のように作用する。
は、以下のように作用する。
【0016】モジュレータ30の通常制動時には、リン
グ体14が上限位置にあり、カットバルブ8が開成さ
れ、ブレーキ油圧はマスタシリンダから両油圧室4、6
を介してキャリパシリンダに伝達される。また、アンチ
ロックブレーキ制御作動時には、図示しないモータによ
りリング体14が回動され、これによりエキスパンダピ
ストン10が下降してカットバルブ8が閉成するととも
に、出力油圧室6の容積が増大してブレーキ油圧が低下
する。
グ体14が上限位置にあり、カットバルブ8が開成さ
れ、ブレーキ油圧はマスタシリンダから両油圧室4、6
を介してキャリパシリンダに伝達される。また、アンチ
ロックブレーキ制御作動時には、図示しないモータによ
りリング体14が回動され、これによりエキスパンダピ
ストン10が下降してカットバルブ8が閉成するととも
に、出力油圧室6の容積が増大してブレーキ油圧が低下
する。
【0017】このように作動するモジュレータ30にお
いて、リング体14を上限位置から下限位置に回動させ
る場合、モータに生じるトルクは、リング体14の回動
に伴うリターンスプリング38の変位、すなわち弾性力
にリング体14の回転中心32とリターンスプリング3
8の荷重作動点40までの垂直距離を乗じた値である。
本実施例においては、リターンスプリング38をエキス
パンダピストン10の変位方向に対して角度θsに配設
したため、リング体14が略角度θs−90°まで回動
したときリターンスプリング38によるトルクが最大と
なり、それ以上回動するとばねの弾性力と前記回動中心
32から荷重作動点40までの垂直距離を乗じた値が減
少するため逆にトルクの値は減少する。したがって、図
2に示すように、従来の渦巻きばねから構成されるリタ
ーンスプリング22のように、リング体14の回動角度
の増大に伴ってトルクも単調増加する(図2、a1参
照)のでなく、回動角度が略角度θs−90°で最大ト
ルク値を示し、以後トルクは減少する(図2、b1参
照)。したがって、図2から明らかなようにモータにか
かる必要な最大トルク値も減少し、モータの小型軽量
化、すなわち、モジュレータ30の小型軽量化を行うこ
とが可能となる。また、従来例と本実施例とにおいて、
必要モータトルクを同一とした場合には、図3に示すよ
うに上限位置におけるリング体14のトルクTs、すな
わちリターンスプリング38の弾性力を強く設定でき
る。したがって、モジュレータ2の通常制動時のブレー
キ油圧によるエキスパンダピストン10の変位を一層確
実に阻止できる。
いて、リング体14を上限位置から下限位置に回動させ
る場合、モータに生じるトルクは、リング体14の回動
に伴うリターンスプリング38の変位、すなわち弾性力
にリング体14の回転中心32とリターンスプリング3
8の荷重作動点40までの垂直距離を乗じた値である。
本実施例においては、リターンスプリング38をエキス
パンダピストン10の変位方向に対して角度θsに配設
したため、リング体14が略角度θs−90°まで回動
したときリターンスプリング38によるトルクが最大と
なり、それ以上回動するとばねの弾性力と前記回動中心
32から荷重作動点40までの垂直距離を乗じた値が減
少するため逆にトルクの値は減少する。したがって、図
2に示すように、従来の渦巻きばねから構成されるリタ
ーンスプリング22のように、リング体14の回動角度
の増大に伴ってトルクも単調増加する(図2、a1参
照)のでなく、回動角度が略角度θs−90°で最大ト
ルク値を示し、以後トルクは減少する(図2、b1参
照)。したがって、図2から明らかなようにモータにか
かる必要な最大トルク値も減少し、モータの小型軽量
化、すなわち、モジュレータ30の小型軽量化を行うこ
とが可能となる。また、従来例と本実施例とにおいて、
必要モータトルクを同一とした場合には、図3に示すよ
うに上限位置におけるリング体14のトルクTs、すな
わちリターンスプリング38の弾性力を強く設定でき
る。したがって、モジュレータ2の通常制動時のブレー
キ油圧によるエキスパンダピストン10の変位を一層確
実に阻止できる。
【0018】さらに、本実施例においては、ストッパ3
4を設け、エキスパンダピストン10の上限位置におい
てエキスパンダピストン10の変位方向に対するリング
体14を角度θpになるように規制したため(図1参
照)、図4に示すように、従来のもののようにエキスパ
ンダピストン10の変位方向に平行な角度(θ=0°、
上死点)を上限位置にしたものに対して、リング体14
の回動始めの同一角度θに対するエキスパンダピストン
10の変位量S2が従来の変位量S1に対して増大す
る。したがって、モジュレータ2の通常制動時からアン
チロックブレーキ制御に切り換える場合、切り換え初期
のエキスパンダピストン10の応答性が一層よくなる。
4を設け、エキスパンダピストン10の上限位置におい
てエキスパンダピストン10の変位方向に対するリング
体14を角度θpになるように規制したため(図1参
照)、図4に示すように、従来のもののようにエキスパ
ンダピストン10の変位方向に平行な角度(θ=0°、
上死点)を上限位置にしたものに対して、リング体14
の回動始めの同一角度θに対するエキスパンダピストン
10の変位量S2が従来の変位量S1に対して増大す
る。したがって、モジュレータ2の通常制動時からアン
チロックブレーキ制御に切り換える場合、切り換え初期
のエキスパンダピストン10の応答性が一層よくなる。
【0019】
【発明の効果】本発明に係るアンチロックブレーキ用モ
ジュレータによれば、以下の効果が得られる。
ジュレータによれば、以下の効果が得られる。
【0020】すなわち、該モジュレータにおいて、コイ
ルスプリングをエキスパンダピストンの変位方向に対し
て所定角度傾斜して配設されるため、エキスパンダピス
トンを変位させる偏心部材の回動に伴うコイルスプリン
グの圧縮によるモータのトルクは偏心部材の回動角度が
コイルスプリング配設の所定角度に一致したところで最
大値となり、それ以上回動させると減少する。したがっ
て、モータの必要とされる最大トルクを低くできるの
で、モータ、すわわちモジュレータの小型化を図れる。
ルスプリングをエキスパンダピストンの変位方向に対し
て所定角度傾斜して配設されるため、エキスパンダピス
トンを変位させる偏心部材の回動に伴うコイルスプリン
グの圧縮によるモータのトルクは偏心部材の回動角度が
コイルスプリング配設の所定角度に一致したところで最
大値となり、それ以上回動させると減少する。したがっ
て、モータの必要とされる最大トルクを低くできるの
で、モータ、すわわちモジュレータの小型化を図れる。
【0021】また、偏心部材の上限位置を回転方向にお
いて上死点から下死点方向に所定量偏位する規制手段を
備えたため、偏心部材の回動始めの角度変化に対するエ
キスパンダピストンの変位量が大きい。したがって、モ
ジュレータの通常制動時からアンチロックブレーキ制御
に切り換える場合、切り換え初期のブレーキ油圧変化量
が増大し、応答性が一層よくなる。
いて上死点から下死点方向に所定量偏位する規制手段を
備えたため、偏心部材の回動始めの角度変化に対するエ
キスパンダピストンの変位量が大きい。したがって、モ
ジュレータの通常制動時からアンチロックブレーキ制御
に切り換える場合、切り換え初期のブレーキ油圧変化量
が増大し、応答性が一層よくなる。
【図1】本発明に係るアンチロックブレーキ用モジュレ
ータの縦断面説明図である。
ータの縦断面説明図である。
【図2】本発明および従来例に係るアンチロックブレー
キ用モジュレータにおいて、偏心部材の回動角度に対す
るモータトルクの変化量を示した関係図である。
キ用モジュレータにおいて、偏心部材の回動角度に対す
るモータトルクの変化量を示した関係図である。
【図3】本発明および従来例に係るアンチロックブレー
キ用モジュレータにおいて、偏心部材の回動角度に対す
る同一最大トルク値を示すモータトルクの変化量を示し
た関係図である。
キ用モジュレータにおいて、偏心部材の回動角度に対す
る同一最大トルク値を示すモータトルクの変化量を示し
た関係図である。
【図4】本発明および従来例に係るアンチロックブレー
キ用モジュレータにおいて、偏心部材の回動角度に対す
るエキスパンダピストンの変位量を示した関係図であ
る。
キ用モジュレータにおいて、偏心部材の回動角度に対す
るエキスパンダピストンの変位量を示した関係図であ
る。
【図5】従来例に係るアンチロックブレーキ用モジュレ
ータの縦断面説明図である。
ータの縦断面説明図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
2、30…モジュレータ 8…カットバルブ 10…エキスパンダピストン 14…リング体 22、38…リターンスプリング 34、36…ストッパ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高瀬 英彦 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平5−4567(JP,A) 特開 平5−4568(JP,A) 特開 平3−109154(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60T 8/32 - 8/86
Claims (2)
- 【請求項1】マスタシリンダに連通する入力油圧室と、 車輪ブレーキに連通する出力油圧室と、 前記入力油圧室および前記出力油圧室を連通する連通路
に設けられ、前記入力油圧室側に移動することで前記連
通路を開放する一方、前記出力油圧室側に移動すること
で前記連通路を遮断するカットバルブと、前記出力油圧室側に進退自在に設けられて前記出力油圧
室を構成し、 通常制動時に前記入力油圧室側に移動して
一端部により前記カットバルブを開弁動作させる一方、
アンチロック制動時に前記入力油圧室側から離間する方
向に移動して前記一端部により前記カットバルブを閉弁
動作させるとともに、前記出力油圧室の容積を変動させ
るエキスパンダピストンと、 前記エキスパンダピストンの他端部に連接する偏心部材
を有し、前記エキスパンダピストンを進退移動させるべ
く回動するクランクと、 前記エキスパンダピストンを前記入力油圧室側に移動さ
せるべく、前記偏心部材を押圧付勢するコイルスプリン
グとを備え、 前記コイルスプリングは、縮退方向が前記エキスパンダ
ピストンの前記入力油圧室側への移動方向に対して90
°<θs<180°となる角度θsに設定されることを
特徴とするアンチロックブレーキ用モジュレータ。 - 【請求項2】マスタシリンダに連通する入力油圧室と、 車輪ブレーキに連通する出力油圧室と、 前記入力油圧室および前記出力油圧室を連通する連通路
に設けられ、前記入力油圧室側に移動することで前記連
通路を開放する一方、前記出力油圧室側に移動すること
で前記連通路を遮断するカットバルブと、前記出力油圧室側に進退自在に設けられて前記出力油圧
室を構成し、 通常制動時に前記入力油圧室側に移動して
一端部により前記カットバルブを開弁動作させる一方、
アンチロック制動時に前記入力油圧室側から離間する方
向に移動して前記一端部により前記カットバルブを閉弁
動作させるとともに、前記出力油圧室の容積を変動させ
るエキスパンダピストンと、 前記エキスパンダピストンの他端部に連接する偏心部材
を有し、前記エキスパンダピストンを進退移動させるべ
く回動するクランクと、 前記エキスパンダピストンを前記入力油圧室側に移動さ
せるべく、前記偏心部材を押圧付勢するコイルスプリン
グと、前記エキスパンダピストンによる通常制動からアンチロ
ック制動への切り替え時点での 前記偏心部材の回動開始
角度を規制する規制部材とを備え、 前記規制部材は、前記エキスパンダピストンの前記入力
油圧室側への移動方向に対する前記クランクの回動軸か
ら前記偏心部材に至る線分の回動開始角度θpを0°<
θp≦90°に規制す ることを特徴とするアンチロック
ブレーキ用モジュレータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18489091A JP2901388B2 (ja) | 1991-07-24 | 1991-07-24 | アンチロックブレーキ用モジュレータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18489091A JP2901388B2 (ja) | 1991-07-24 | 1991-07-24 | アンチロックブレーキ用モジュレータ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0524525A JPH0524525A (ja) | 1993-02-02 |
JP2901388B2 true JP2901388B2 (ja) | 1999-06-07 |
Family
ID=16161107
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18489091A Expired - Fee Related JP2901388B2 (ja) | 1991-07-24 | 1991-07-24 | アンチロックブレーキ用モジュレータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2901388B2 (ja) |
-
1991
- 1991-07-24 JP JP18489091A patent/JP2901388B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0524525A (ja) | 1993-02-02 |
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Legal Events
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