JP2873100B2 - ビシクロ[2,2,1]‐5‐ヘプテン‐2‐カルボニトリルの製造方法 - Google Patents
ビシクロ[2,2,1]‐5‐ヘプテン‐2‐カルボニトリルの製造方法Info
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- JP2873100B2 JP2873100B2 JP41781290A JP41781290A JP2873100B2 JP 2873100 B2 JP2873100 B2 JP 2873100B2 JP 41781290 A JP41781290 A JP 41781290A JP 41781290 A JP41781290 A JP 41781290A JP 2873100 B2 JP2873100 B2 JP 2873100B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリマー製造用原料と
して有用である他、重要な有機合成中間体であるビシク
ロ[2,2,1]‐5‐ヘプテン‐2‐カルボニトリル
(以下、BHCとする。)の製造方法に関するものであ
る。BHCは、例えば、シアン化水素付加反応を行い、
続いて接触水素化反応を行うことにより、有用な脂環式
ジアミンである下記一般式(II)(化2)
して有用である他、重要な有機合成中間体であるビシク
ロ[2,2,1]‐5‐ヘプテン‐2‐カルボニトリル
(以下、BHCとする。)の製造方法に関するものであ
る。BHCは、例えば、シアン化水素付加反応を行い、
続いて接触水素化反応を行うことにより、有用な脂環式
ジアミンである下記一般式(II)(化2)
【化2】 (式中、R1 ,R2 は水素またはアミノメチル基であ
り、同一でない。)で表されるビス(アミノメチル)ノ
ルカンファン(以下、BANとする。)類を製造するこ
とができる。上記のBAN類は、そのままエポキシ樹脂
硬化剤等として利用される他、脂肪族ジカルボン酸との
反応によりポリアミド樹脂の製造に利用されたり、ホス
ゲン化し、ジイソシアナートとして種々の反応に利用さ
れる等、様々な用途に使用される大変有用なジアミンで
ある。
り、同一でない。)で表されるビス(アミノメチル)ノ
ルカンファン(以下、BANとする。)類を製造するこ
とができる。上記のBAN類は、そのままエポキシ樹脂
硬化剤等として利用される他、脂肪族ジカルボン酸との
反応によりポリアミド樹脂の製造に利用されたり、ホス
ゲン化し、ジイソシアナートとして種々の反応に利用さ
れる等、様々な用途に使用される大変有用なジアミンで
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、BHCを製造する方法としては、
アクリロニトリルとシクロペンタジエンのディールス・
アルダー反応によるものが知られている。(関連特許と
して特公昭52−49437がある。)また、アクリロ
ニトリルとジシクロペンタジエンを160℃以上の温度
に加熱反応せしめるという製造方法も知られている。
(特開昭49−48650)
アクリロニトリルとシクロペンタジエンのディールス・
アルダー反応によるものが知られている。(関連特許と
して特公昭52−49437がある。)また、アクリロ
ニトリルとジシクロペンタジエンを160℃以上の温度
に加熱反応せしめるという製造方法も知られている。
(特開昭49−48650)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】まず、前者の方法の原
料であるシクロペンタジエンは、不安定な化合物である
ことから、通常、必要に応じてジシクロペンタジエンの
熱分解により随時調製し使用される。しかしながら、シ
クロペンタジエンの収率は、せいぜい70〜90%であ
り、効率が良い方法とは言えない。そこで、この繁雑か
つ不経済な工程を経ることなく、入手容易で安定な化合
物であるジシクロペンタジエンを直接原料として反応を
行う方法として開発された方法が後者である。すなわ
ち、ジシクロペンタジエンの熱分解反応を反応系内にて
行い、生成したシクロペンタジエンとアクリロニトリル
を反応させるものである。しかしながら、160℃以上
の温度に加熱し、アクリロニトリルとジシクロペンタジ
エンの反応を行った場合には、一段目の反応であるジシ
クロペンタジエンの熱分解反応が吸熱反応であるのに対
し、主反応であるディールス・アルダー反応が発熱反応
であること、およびこの発熱反応の発熱量が大きいこと
から、温度制御が極めて困難であり、暴走反応が進行す
る可能性が高いことがわかった。最悪の場合、暴走反応
による高温・高圧に起因する爆発の恐れもあり、工業的
規模においては、大きな危険を伴い、災害が起きたこと
もある。
料であるシクロペンタジエンは、不安定な化合物である
ことから、通常、必要に応じてジシクロペンタジエンの
熱分解により随時調製し使用される。しかしながら、シ
クロペンタジエンの収率は、せいぜい70〜90%であ
り、効率が良い方法とは言えない。そこで、この繁雑か
つ不経済な工程を経ることなく、入手容易で安定な化合
物であるジシクロペンタジエンを直接原料として反応を
行う方法として開発された方法が後者である。すなわ
ち、ジシクロペンタジエンの熱分解反応を反応系内にて
行い、生成したシクロペンタジエンとアクリロニトリル
を反応させるものである。しかしながら、160℃以上
の温度に加熱し、アクリロニトリルとジシクロペンタジ
エンの反応を行った場合には、一段目の反応であるジシ
クロペンタジエンの熱分解反応が吸熱反応であるのに対
し、主反応であるディールス・アルダー反応が発熱反応
であること、およびこの発熱反応の発熱量が大きいこと
から、温度制御が極めて困難であり、暴走反応が進行す
る可能性が高いことがわかった。最悪の場合、暴走反応
による高温・高圧に起因する爆発の恐れもあり、工業的
規模においては、大きな危険を伴い、災害が起きたこと
もある。
【0004】また、高温高圧に耐えうる反応器を用いた
としても、初期反応から160℃以上の温度で反応を行
うと、BHCとシクロペンタジエンの付加物である下記
式(III )(化3)
としても、初期反応から160℃以上の温度で反応を行
うと、BHCとシクロペンタジエンの付加物である下記
式(III )(化3)
【化3】 で表される化合物1,2,3,4,4a,5,8,8a
‐オクタヒドロ‐1,4:5,8‐ジメタノナフタレン
‐2‐カルボニトリル(以下、BCAとする。)および
シクロペンタジエンの三量体等の高沸点副生物の生成が
顕著となり、原単位の低下を招き、経済的にも好ましく
ない。
‐オクタヒドロ‐1,4:5,8‐ジメタノナフタレン
‐2‐カルボニトリル(以下、BCAとする。)および
シクロペンタジエンの三量体等の高沸点副生物の生成が
顕著となり、原単位の低下を招き、経済的にも好ましく
ない。
【0005】さらに詳細に説明すると、原料の一つであ
るジシクロペンタジエンは、シクロペンタジエンの二量
体であり、シクロペンタジエンは、室温においても容易
に二量化して、ジシクロペンタジエンとして安定に存在
する。また、ジシクロペンタジエンは、140〜170
℃で分解し、シクロペンタジエンに戻る。この際、約1
8kcal/g・moleの熱を吸収することが知られている。
(Kirk-Othmer, Encyclopedia Chem. Technology, 6 ,
p.689, Wiley-Interscience, (1979) )これに対し、こ
うして生成したシクロペンタジエンとアクリロニトリル
の反応熱は、約28kcal/g・moleであることが計算に
より求められ、実験によっても確認できた。この温度領
域におけるアクリロニトリルとシクロペンタジエンの反
応は、直ちに化学量論的に進行する。それゆえ、ジシク
ロペンタジエンの分解反応がこの反応の律速になってい
ると考えられ、差引約10kcal/g・moleの熱が放出さ
れる発熱反応である。実際、特開昭49−48650に
開示されている160℃以上の温度に加熱し、反応を開
始すると、反応温度の上昇が著しく、加熱を中止しても
この傾向は変わらず、冷却除熱を行う必要が生じること
が、実験により明らかとなった。これは、160℃以上
では、前記のとおり律速反応であるジシクロペンタジエ
ンの分解反応の速度が大き過ぎることが考えられる。
(速度定数として次の値が与えられているK=6×10
12EXP(−34000/RT)(1/sec ),Kirk-O
thmer, Encyclopedia Chem. Technology, 7 , p.424, W
iley-Interscience, (1979) )これに伴い発熱量も大き
くなり、さらに反応が加速され、温度の制御が困難とな
り、冷却の時期が遅れた場合に反応が暴走する危険が生
じるものと考えられる。これに加えて、反応温度が高く
なるにつれ、前記のBCA等に代表される副生物の生成
が多くなり、経済的にも好ましくない。そこで、安全か
つ高選択率、高収率でBHCを製造する方法の開発が望
まれていた。
るジシクロペンタジエンは、シクロペンタジエンの二量
体であり、シクロペンタジエンは、室温においても容易
に二量化して、ジシクロペンタジエンとして安定に存在
する。また、ジシクロペンタジエンは、140〜170
℃で分解し、シクロペンタジエンに戻る。この際、約1
8kcal/g・moleの熱を吸収することが知られている。
(Kirk-Othmer, Encyclopedia Chem. Technology, 6 ,
p.689, Wiley-Interscience, (1979) )これに対し、こ
うして生成したシクロペンタジエンとアクリロニトリル
の反応熱は、約28kcal/g・moleであることが計算に
より求められ、実験によっても確認できた。この温度領
域におけるアクリロニトリルとシクロペンタジエンの反
応は、直ちに化学量論的に進行する。それゆえ、ジシク
ロペンタジエンの分解反応がこの反応の律速になってい
ると考えられ、差引約10kcal/g・moleの熱が放出さ
れる発熱反応である。実際、特開昭49−48650に
開示されている160℃以上の温度に加熱し、反応を開
始すると、反応温度の上昇が著しく、加熱を中止しても
この傾向は変わらず、冷却除熱を行う必要が生じること
が、実験により明らかとなった。これは、160℃以上
では、前記のとおり律速反応であるジシクロペンタジエ
ンの分解反応の速度が大き過ぎることが考えられる。
(速度定数として次の値が与えられているK=6×10
12EXP(−34000/RT)(1/sec ),Kirk-O
thmer, Encyclopedia Chem. Technology, 7 , p.424, W
iley-Interscience, (1979) )これに伴い発熱量も大き
くなり、さらに反応が加速され、温度の制御が困難とな
り、冷却の時期が遅れた場合に反応が暴走する危険が生
じるものと考えられる。これに加えて、反応温度が高く
なるにつれ、前記のBCA等に代表される副生物の生成
が多くなり、経済的にも好ましくない。そこで、安全か
つ高選択率、高収率でBHCを製造する方法の開発が望
まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる従
来の課題を踏まえ、鋭意研究した結果、アクリロニトリ
ルとジシクロペンタジエンを加熱反応させる際、少なく
とも初期反応の温度を140℃以上160℃未満とする
ことにより、安全かつ高選択率、高収率にてBHCを製
造できることを見出し、本発明を完成するに至った。す
なわち、アクリロニトリルとジシクロペンタジエンを無
溶媒下で加熱反応させる際に、初期反応の温度を140
℃以上160℃未満とすることを特徴とする上記式
(I)(化1)で表されるビシクロ[2,2,1]‐5
‐ヘプテン‐2‐カルボニトリルの製造方法である。
来の課題を踏まえ、鋭意研究した結果、アクリロニトリ
ルとジシクロペンタジエンを加熱反応させる際、少なく
とも初期反応の温度を140℃以上160℃未満とする
ことにより、安全かつ高選択率、高収率にてBHCを製
造できることを見出し、本発明を完成するに至った。す
なわち、アクリロニトリルとジシクロペンタジエンを無
溶媒下で加熱反応させる際に、初期反応の温度を140
℃以上160℃未満とすることを特徴とする上記式
(I)(化1)で表されるビシクロ[2,2,1]‐5
‐ヘプテン‐2‐カルボニトリルの製造方法である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。アクリロ
ニトリルとジシクロペンタジエンの初期反応の温度は、
140℃以上160℃未満であり、特に好ましくは、1
50〜155℃の範囲である。140℃未満では、ジシ
クロペンタジエンの分解反応がほとんど進行せず、実質
的に十分なBHC収率を得ることは困難である。160
℃以上では、前記の通り、安定した反応温度の制御を行
うことは困難となる。また、反応終了まで140℃以上
160℃未満の温度を継続し反応を行ってもよいが、長
い反応時間を要するため、反応途中より、昇温を行うこ
とも可能である。昇温開始の時期は、ジシクロペンタジ
エンの転化率を経時的に分析することにより見当をつけ
ることができ、50%を越えた時を一つの目安とするこ
とができる。昇温は、160℃以上200℃以下が好ま
しく、170〜180℃の範囲が特に好ましい。さら
に、昇温は、急激に行なわず、少しずつ段階的に行うの
がよい。例えば、一旦170℃に昇温を行いしばらく反
応を行った後、再び180℃まで昇温を行い反応を完結
させるという方法を挙げることができる。
ニトリルとジシクロペンタジエンの初期反応の温度は、
140℃以上160℃未満であり、特に好ましくは、1
50〜155℃の範囲である。140℃未満では、ジシ
クロペンタジエンの分解反応がほとんど進行せず、実質
的に十分なBHC収率を得ることは困難である。160
℃以上では、前記の通り、安定した反応温度の制御を行
うことは困難となる。また、反応終了まで140℃以上
160℃未満の温度を継続し反応を行ってもよいが、長
い反応時間を要するため、反応途中より、昇温を行うこ
とも可能である。昇温開始の時期は、ジシクロペンタジ
エンの転化率を経時的に分析することにより見当をつけ
ることができ、50%を越えた時を一つの目安とするこ
とができる。昇温は、160℃以上200℃以下が好ま
しく、170〜180℃の範囲が特に好ましい。さら
に、昇温は、急激に行なわず、少しずつ段階的に行うの
がよい。例えば、一旦170℃に昇温を行いしばらく反
応を行った後、再び180℃まで昇温を行い反応を完結
させるという方法を挙げることができる。
【0008】アクリロニトリルとジシクロペンタジエン
の仕込みモル比は、化学量論的な反応を行うためには
2:1であるが、目的物BHCとシクロペンタジエンの
付加物の副生を抑制することを考えると、アクリロニト
リルを過剰に用いることがよい結果を与える。したがっ
て、アクリロニトリルとジジシクロペンタジエンの仕込
みモル比は、2:1以上3:1以下の範囲が好ましい。
特に好ましくは、2.05:1〜2.25:1の範囲で
ある。2:1未満では、副生物の生成が顕著となり、好
ましくない。一方、3:1を越える範囲では、アクリロ
ニトリルの重合による損失および反応後の分離、回収を
考慮に入れると、好ましくない。
の仕込みモル比は、化学量論的な反応を行うためには
2:1であるが、目的物BHCとシクロペンタジエンの
付加物の副生を抑制することを考えると、アクリロニト
リルを過剰に用いることがよい結果を与える。したがっ
て、アクリロニトリルとジジシクロペンタジエンの仕込
みモル比は、2:1以上3:1以下の範囲が好ましい。
特に好ましくは、2.05:1〜2.25:1の範囲で
ある。2:1未満では、副生物の生成が顕著となり、好
ましくない。一方、3:1を越える範囲では、アクリロ
ニトリルの重合による損失および反応後の分離、回収を
考慮に入れると、好ましくない。
【0009】また、本発明においては反応に際し、重合
禁止剤を添加することは、必ずしも必要ではないが、添
加しておくことが望ましい。使用される重合禁止剤は、
通常の重合禁止効果を有する化合物であれば特に限定さ
れることはないが、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノ
ンモノメチルエーテル、フェノチアジンおよびクペロン
等を用いることができる。これらは、単独に用いること
はもちろん、二種以上を同時に使用することも可能であ
る。重合禁止剤の使用量は、仕込みアクリロニトリルお
よびジシクロペンタジエンの1重量部につき、0.00
1〜1重量%が好ましい。特に好ましくは、0.01〜
0.5重量%の範囲である。0.001重量%未満の範
囲では、期待する効果は、ほとんど得られず、一方、1
重量%を超えても、効果は、ほとんど変わらず、特に意
味はなく、不経済となる。
禁止剤を添加することは、必ずしも必要ではないが、添
加しておくことが望ましい。使用される重合禁止剤は、
通常の重合禁止効果を有する化合物であれば特に限定さ
れることはないが、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノ
ンモノメチルエーテル、フェノチアジンおよびクペロン
等を用いることができる。これらは、単独に用いること
はもちろん、二種以上を同時に使用することも可能であ
る。重合禁止剤の使用量は、仕込みアクリロニトリルお
よびジシクロペンタジエンの1重量部につき、0.00
1〜1重量%が好ましい。特に好ましくは、0.01〜
0.5重量%の範囲である。0.001重量%未満の範
囲では、期待する効果は、ほとんど得られず、一方、1
重量%を超えても、効果は、ほとんど変わらず、特に意
味はなく、不経済となる。
【0010】反応方式は、回分式または連続式のいずれ
でもよい。また、反応器についても特に制限はなく、例
えば、回分式反応の場合には層型反応器、また、連続式
反応の場合には層型または管型反応器等を選択すること
ができる。また、反応に際して溶媒を使用することも可
能であるが、釜効率を落とすと共に反応後の分離回収を
考えると特に意味はない。
でもよい。また、反応器についても特に制限はなく、例
えば、回分式反応の場合には層型反応器、また、連続式
反応の場合には層型または管型反応器等を選択すること
ができる。また、反応に際して溶媒を使用することも可
能であるが、釜効率を落とすと共に反応後の分離回収を
考えると特に意味はない。
【0011】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、これらは、説明のための単なる代表的な
例示であって、本発明は、これらの例によって何ら制限
されるものではない。反応液組成の分析は、ガスクロマ
トグラフィーを用いて行った。実施例1電磁誘導式撹拌
機を備えた内容積1リットルの層型ステンレス製オート
クレーブにアクリロニトリル334.3g(6.30mo
l )、ジシクロペンタジエン396.6g(3.00mo
l )およびヒドロキノン0.05重量%(0.365
g)を仕込み、攪拌下、昇温を行い、153℃で反応を
開始した。その後、この温度を維持し、5時間反応を行
ったところで反応液のサンプリングを行い、組成の分析
を行った。このサンプリング液を1−Aとし、その結果
を表1に示す。そこで、さらに昇温を行い、170℃で
2時間反応を行った後再びサンプリングを行い、反応液
の組成の分析を行った。このサンプリング液を1−Bと
し、その結果を、表1に示す。次に、さらに昇温し、1
80℃で2時間反応を行い、加熱を終了した。この、反
応終了液を1−Cとする。この組成分析結果を表1に示
す。また、それぞれの組成分析より求めた反応成績は、
表2の通りである。
に説明するが、これらは、説明のための単なる代表的な
例示であって、本発明は、これらの例によって何ら制限
されるものではない。反応液組成の分析は、ガスクロマ
トグラフィーを用いて行った。実施例1電磁誘導式撹拌
機を備えた内容積1リットルの層型ステンレス製オート
クレーブにアクリロニトリル334.3g(6.30mo
l )、ジシクロペンタジエン396.6g(3.00mo
l )およびヒドロキノン0.05重量%(0.365
g)を仕込み、攪拌下、昇温を行い、153℃で反応を
開始した。その後、この温度を維持し、5時間反応を行
ったところで反応液のサンプリングを行い、組成の分析
を行った。このサンプリング液を1−Aとし、その結果
を表1に示す。そこで、さらに昇温を行い、170℃で
2時間反応を行った後再びサンプリングを行い、反応液
の組成の分析を行った。このサンプリング液を1−Bと
し、その結果を、表1に示す。次に、さらに昇温し、1
80℃で2時間反応を行い、加熱を終了した。この、反
応終了液を1−Cとする。この組成分析結果を表1に示
す。また、それぞれの組成分析より求めた反応成績は、
表2の通りである。
【0012】実施例2 内径8mmの管型反応器に、実施例1の仕込みと同様の組
成のヒドロキノンを含むアクリロニトリル、ジシクロペ
ンタジエン混合液を反応原料として50ml/hの速度で
連続的に供給する。その際、反応液の滞留時間が5時間
までは、153℃、その後7時間までは、170℃、そ
して、最終的に9時間まで180℃となるよう反応温度
を制御した。その結果、反応が定常化した後、表1に示
す組成の反応液が、300時間を過ぎても、安定して得
られた。これより求めた反応成績は、表2の通りであ
る。
成のヒドロキノンを含むアクリロニトリル、ジシクロペ
ンタジエン混合液を反応原料として50ml/hの速度で
連続的に供給する。その際、反応液の滞留時間が5時間
までは、153℃、その後7時間までは、170℃、そ
して、最終的に9時間まで180℃となるよう反応温度
を制御した。その結果、反応が定常化した後、表1に示
す組成の反応液が、300時間を過ぎても、安定して得
られた。これより求めた反応成績は、表2の通りであ
る。
【0013】比較例1 実施例1において、初期反応より反応温度を165℃と
すること以外、全く同じ操作を行おうとしたところ、反
応温度の上昇がみられ、約30分で175℃となったた
め、その時点でヒーターによる加熱を終了した。しかし
ながら、反応温度の低下が見られないばかりか、さらに
反応温度は、急激に上昇し、加熱終了後からわずか15
分あまりで250℃に達した。したがって、直ちに冷却
を行い、その後、反応液の組成分析を行った。その結果
を表1に示す。また、これより求めた反応成績は表2の
通りである。
すること以外、全く同じ操作を行おうとしたところ、反
応温度の上昇がみられ、約30分で175℃となったた
め、その時点でヒーターによる加熱を終了した。しかし
ながら、反応温度の低下が見られないばかりか、さらに
反応温度は、急激に上昇し、加熱終了後からわずか15
分あまりで250℃に達した。したがって、直ちに冷却
を行い、その後、反応液の組成分析を行った。その結果
を表1に示す。また、これより求めた反応成績は表2の
通りである。
【0014】比較例2 実施例2において、反応器の全長を短くすることにより
全滞留時間を3時間とし、加熱温度を180℃とするこ
と以外、全く同様の実験を行った。(原料供給速度は、
変えない。)その結果、反応が定常化した後、約50時
間までは、表1および表2に示した組成、反応成績の反
応液が得られたが、反応器内でのポリマー生成による管
閉塞のため、運転が不可能となった。
全滞留時間を3時間とし、加熱温度を180℃とするこ
と以外、全く同様の実験を行った。(原料供給速度は、
変えない。)その結果、反応が定常化した後、約50時
間までは、表1および表2に示した組成、反応成績の反
応液が得られたが、反応器内でのポリマー生成による管
閉塞のため、運転が不可能となった。
【0015】
【表1】
【表2】
【0016】
【発明の効果】本発明は、アクリロニトリルとジシクロ
ペンタジエンを加熱反応せしめる際、少なくとも初期反
応の温度を140℃以上160℃未満とすることによ
り、律速反応であるジシクロペンタジエンの分解反応を
穏和に進行させ、その結果、反応温度の制御が容易とな
り、安全かつ高選択率、高収率でBHCを製造すること
を可能とするものである。したがって、本発明は、ポリ
マー製造用原料、有機合成中間体として非常に重要な化
合物であるBHCの工業的な製造方法として、保安の見
地から見て非常に安全で、かつ経済的にも極めて優れた
方法である。
ペンタジエンを加熱反応せしめる際、少なくとも初期反
応の温度を140℃以上160℃未満とすることによ
り、律速反応であるジシクロペンタジエンの分解反応を
穏和に進行させ、その結果、反応温度の制御が容易とな
り、安全かつ高選択率、高収率でBHCを製造すること
を可能とするものである。したがって、本発明は、ポリ
マー製造用原料、有機合成中間体として非常に重要な化
合物であるBHCの工業的な製造方法として、保安の見
地から見て非常に安全で、かつ経済的にも極めて優れた
方法である。
フロントページの続き (72)発明者 腰塚 一雄 千葉県茂原市東郷1900番地 三井東圧化 学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−156846(JP,A) 特開 昭51−34139(JP,A) 特開 昭49−48650(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 253/30 C07C 255/47
Claims (3)
- 【請求項1】 アクリロニトリルとジシクロペンタジエ
ンを無溶媒下で加熱反応させる際に、初期反応の温度を
140℃以上160℃未満とすることを特徴とする式
(I)(化1) 【化1】 で表されるビシクロ[2,2,1]‐5‐ヘプテン‐2
‐カルボニトリルの製造法。 - 【請求項2】 初期反応を行った後、160℃以上20
0℃以下の温度まで段階的に上げる請求項1の方法。 - 【請求項3】 アクリロニトリルとジシクロペンタジエ
ンのモル比が2:1以上3:1以下である請求項1の方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP41781290A JP2873100B2 (ja) | 1990-12-26 | 1990-12-26 | ビシクロ[2,2,1]‐5‐ヘプテン‐2‐カルボニトリルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP41781290A JP2873100B2 (ja) | 1990-12-26 | 1990-12-26 | ビシクロ[2,2,1]‐5‐ヘプテン‐2‐カルボニトリルの製造方法 |
Publications (2)
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JPH04224553A JPH04224553A (ja) | 1992-08-13 |
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1990
- 1990-12-26 JP JP41781290A patent/JP2873100B2/ja not_active Expired - Lifetime
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