JP2867159B2 - 腐れ漆の賦活方法 - Google Patents
腐れ漆の賦活方法Info
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- Paints Or Removers (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [発明の利用分野] 本発明は、主として腐敗のために常温乾燥性を実質的
に発現しない変質漆、いわゆる腐れ漆の新規な賦活方法
の関する。
に発現しない変質漆、いわゆる腐れ漆の新規な賦活方法
の関する。
[従来の技術とその課題] 天然漆液の成分は、ウルシオール(油性)、ゴム質
(多糖類−水可溶分)、含窒素分(糖蛋白−水不溶
分)、ラッカーゼ(酸素−水可溶分)などの多成分系を
なしており、樹木から採取された段階では過剰の水分を
含むために、不透明な油中水型(water in oil)のエマ
ルジョンとなっている。
(多糖類−水可溶分)、含窒素分(糖蛋白−水不溶
分)、ラッカーゼ(酸素−水可溶分)などの多成分系を
なしており、樹木から採取された段階では過剰の水分を
含むために、不透明な油中水型(water in oil)のエマ
ルジョンとなっている。
ところで、天然漆に含まれる糖または蛋白などの成分
の一部または全部が腐敗した腐れ漆と称する変質漆があ
る。これは特有の腐臭を発し、そのままでは勿論、どの
ように処理しても、得られた漆は実質的に常温乾燥が進
行しないものである。すなわち、塗料用原料としては通
常使用され得ないものである。
の一部または全部が腐敗した腐れ漆と称する変質漆があ
る。これは特有の腐臭を発し、そのままでは勿論、どの
ように処理しても、得られた漆は実質的に常温乾燥が進
行しないものである。すなわち、塗料用原料としては通
常使用され得ないものである。
従って、従来腐臭を発する腐れ漆単独では全く利用さ
れず、通常の正常な漆液に混合し、いわば増量材的に使
用されるのみであった。また、従来このような腐れ漆の
賦活方法または再生方法は全く提供されていない。
れず、通常の正常な漆液に混合し、いわば増量材的に使
用されるのみであった。また、従来このような腐れ漆の
賦活方法または再生方法は全く提供されていない。
[課題を解決するための手段] 本発明は、従来廃棄せざるを得なかった腐れ漆賦活ま
たは再生することを目的とするものである。
たは再生することを目的とするものである。
すなわち、本発明は、実質的に薄膜状にした腐れ漆に
対し剪断力をかけることを特徴とする、腐れ漆の常温硬
化を賦活させる方法に関するものである。
対し剪断力をかけることを特徴とする、腐れ漆の常温硬
化を賦活させる方法に関するものである。
以下に、本発明について更に詳述する。
本発明の処理対象として用いる漆液は、腐敗臭を発
し、通常の漆風呂(漆乾燥装置)腐れ漆と称する、従来
単独では全く利用されずにただ廃棄する他はなかった漆
液である。通常の腐敗していない漆液は、空気に触れる
と硬化し、その表面に硬化膜を生じるなどの現象を示す
が、腐れ漆と称する漆液は、空気に触れても実質的に表
面に変化を生じない。すなわち、乾燥性を実質的に有し
ないことでもその腐敗が確認できる。しかしながら、通
常は、たとえば150℃以上の高温硬化性はある程度は保
持しているものである。
し、通常の漆風呂(漆乾燥装置)腐れ漆と称する、従来
単独では全く利用されずにただ廃棄する他はなかった漆
液である。通常の腐敗していない漆液は、空気に触れる
と硬化し、その表面に硬化膜を生じるなどの現象を示す
が、腐れ漆と称する漆液は、空気に触れても実質的に表
面に変化を生じない。すなわち、乾燥性を実質的に有し
ないことでもその腐敗が確認できる。しかしながら、通
常は、たとえば150℃以上の高温硬化性はある程度は保
持しているものである。
ここで、適宜の方法により予め適当な含水量に脱水さ
れたものを原料とすることもできるが、好ましくは10重
量%以上の水を含んでいる腐れ漆、言い替えれば、脱水
操作も必要なものを原料とする。10重量%未満の水分量
では得られた塗膜物性として光沢や透明性の向上が得ら
れないので好ましくない。
れたものを原料とすることもできるが、好ましくは10重
量%以上の水を含んでいる腐れ漆、言い替えれば、脱水
操作も必要なものを原料とする。10重量%未満の水分量
では得られた塗膜物性として光沢や透明性の向上が得ら
れないので好ましくない。
なお、本発明においては、薄膜状の漆液に剪断力をか
けるという点から、木片、ゴミなどの夾雑物をある程度
除いたものを処理の対象とする。フィルターによる濾過
は、必要に応じて本発明の方法の前後において行なうこ
とができる。
けるという点から、木片、ゴミなどの夾雑物をある程度
除いたものを処理の対象とする。フィルターによる濾過
は、必要に応じて本発明の方法の前後において行なうこ
とができる。
上記の処理操作は、腐れ漆液を実質的に薄膜の状態に
して行なう。薄膜の厚さは特に限定されないが、薄いほ
ど好ましい。通常は、1000ミクロン以下、好ましくは50
0ミクロン以下、さらに好ましくは300ミクロン以下の厚
さである。いわゆる分子状の厚みにしてもよい。
して行なう。薄膜の厚さは特に限定されないが、薄いほ
ど好ましい。通常は、1000ミクロン以下、好ましくは50
0ミクロン以下、さらに好ましくは300ミクロン以下の厚
さである。いわゆる分子状の厚みにしてもよい。
本発明においては、薄膜状の漆に対しては剪断力を積
極的にかけることが必要である。それ故、単に自重で壁
面を伝わって液が落下するような場合、あるいは遠心力
により薄膜を形成するような場合に、液にかかる剪断力
はここで言う剪断力とは見なさない。たとえば、遠心力
を利用して処理液を薄膜状とする方法もあるが。これの
みでは剪断力は通常不十分であって、別個になんらかの
手段で薄膜状の漆液に剪断力を付与することが必要であ
る。
極的にかけることが必要である。それ故、単に自重で壁
面を伝わって液が落下するような場合、あるいは遠心力
により薄膜を形成するような場合に、液にかかる剪断力
はここで言う剪断力とは見なさない。たとえば、遠心力
を利用して処理液を薄膜状とする方法もあるが。これの
みでは剪断力は通常不十分であって、別個になんらかの
手段で薄膜状の漆液に剪断力を付与することが必要であ
る。
具体的な本発明の方法に係る処理装置の1例として
は、いわゆるワイパー型の薄膜処理装置がある。この装
置は、ワイバーが壁面を実質的に接触するような状態で
該壁面を掃引する構造であり、その壁面を伝わって落下
する漆はワイパーの掃引動作により薄膜状となり、また
この際剪断力を受けることになる。より具体的には、円
筒内壁面を伝わって落下する漆は、該円筒内に設置され
た回転するワイパーにより擦過され薄膜状となると共に
剪断力を受ける。最終的には、漆は壁面を伝わって落下
し円筒下部で捕集される。もちろん、この装置に限るこ
とはなく、漆液を薄膜とし、これに剪断力をかけ得る構
造のものであれば何れの装置も利用することができる。
は、いわゆるワイパー型の薄膜処理装置がある。この装
置は、ワイバーが壁面を実質的に接触するような状態で
該壁面を掃引する構造であり、その壁面を伝わって落下
する漆はワイパーの掃引動作により薄膜状となり、また
この際剪断力を受けることになる。より具体的には、円
筒内壁面を伝わって落下する漆は、該円筒内に設置され
た回転するワイパーにより擦過され薄膜状となると共に
剪断力を受ける。最終的には、漆は壁面を伝わって落下
し円筒下部で捕集される。もちろん、この装置に限るこ
とはなく、漆液を薄膜とし、これに剪断力をかけ得る構
造のものであれば何れの装置も利用することができる。
本発明においては、前述のように漆を薄膜状にして剪
断力をかけることが肝要である。処理対象の漆が薄膜状
であり、膜厚が均一となるので、剪断力をかけることに
より発生する熱除去が容易に行なわれ、その結果局部的
発熱の蓄積が抑制できる。
断力をかけることが肝要である。処理対象の漆が薄膜状
であり、膜厚が均一となるので、剪断力をかけることに
より発生する熱除去が容易に行なわれ、その結果局部的
発熱の蓄積が抑制できる。
温度は常温以上であればよく、剪断力をかけることに
よる摩擦熱に起因する発熱があるので、必要により僅か
に加熱する程度である。加熱する場合は、漆薄膜の温度
を90℃以下、好ましくは30〜80℃にすることが適当であ
る。もちろん発生する摩擦熱の程度によっては、敢えて
加熱することも必要ではなく、むしろ適宜の手段、たと
えば水冷却などの方法により冷却することが必要とな
る。
よる摩擦熱に起因する発熱があるので、必要により僅か
に加熱する程度である。加熱する場合は、漆薄膜の温度
を90℃以下、好ましくは30〜80℃にすることが適当であ
る。もちろん発生する摩擦熱の程度によっては、敢えて
加熱することも必要ではなく、むしろ適宜の手段、たと
えば水冷却などの方法により冷却することが必要とな
る。
本発明の方法による漆の処理は、回分方式あるいは連
続方式の何れでも実施可能である。しかし薄膜状態の時
間を一定にすることができる連続供給方式が、漆中の粒
子を均一にすることができる点から好ましい。
続方式の何れでも実施可能である。しかし薄膜状態の時
間を一定にすることができる連続供給方式が、漆中の粒
子を均一にすることができる点から好ましい。
処理時間、すなわち滞留時間は特に制限されない。し
かしながら、通常は、連続供給方式で処理する場合、比
較的含水率の高い漆であっても、数十秒から数十分間と
いう短時間で処理は完了できる。
かしながら、通常は、連続供給方式で処理する場合、比
較的含水率の高い漆であっても、数十秒から数十分間と
いう短時間で処理は完了できる。
前述のように、本発明の好ましい原料は、水分含量10
%以上の腐れ漆であるが、これを処理する場合には、原
料の脱水も同時に行なうことが好ましい。
%以上の腐れ漆であるが、これを処理する場合には、原
料の脱水も同時に行なうことが好ましい。
脱水するためには、従来公知の何れの方法も採用する
ことができる。たとえば、漆液の薄膜の雰囲気を減圧に
して脱水するか、あるいはある程度の流速で乾燥気体、
たとえば窒素などを漆液の薄膜表面上に流すことにより
脱水するなどの方法を採用することができる。脱水操作
は、処理速度が速いので減圧下に行なう方法が好まし
い。この場合の減圧度は、150mmHg以下の減圧度、好ま
しくは50mmHg以下、さらに好ましくは20mmHg以下の減圧
度に保つ。減圧は真空ポンプなど適宜の手段により達成
できる。
ことができる。たとえば、漆液の薄膜の雰囲気を減圧に
して脱水するか、あるいはある程度の流速で乾燥気体、
たとえば窒素などを漆液の薄膜表面上に流すことにより
脱水するなどの方法を採用することができる。脱水操作
は、処理速度が速いので減圧下に行なう方法が好まし
い。この場合の減圧度は、150mmHg以下の減圧度、好ま
しくは50mmHg以下、さらに好ましくは20mmHg以下の減圧
度に保つ。減圧は真空ポンプなど適宜の手段により達成
できる。
次に、必要に応じて、得られた漆液をさらに従来の伝
統的な精製工程である「なやし」または「くろめ」など
の工程にかけることもできる。
統的な精製工程である「なやし」または「くろめ」など
の工程にかけることもできる。
本発明の方法により賦活された漆は、従来の伝統的な
方法により精製された漆と同様に、適宜に配合すること
により、たとえば漆塗料として利用することができる。
方法により精製された漆と同様に、適宜に配合すること
により、たとえば漆塗料として利用することができる。
[発明の効果] 本発明の方法により、常温硬化性がないために従来単
独では使用できず、いわば増量材的な利用方法しかなか
った腐れ漆(変質漆)を、単独でも漆塗料として十分利
用できるものに変えることができる。すなわち、腐れ漆
が賦活または再生される。しかも、従来工程の「なや
し」と「くろめ」の両工程に特にかけることなく十分に
塗料原料として使用できるものである。
独では使用できず、いわば増量材的な利用方法しかなか
った腐れ漆(変質漆)を、単独でも漆塗料として十分利
用できるものに変えることができる。すなわち、腐れ漆
が賦活または再生される。しかも、従来工程の「なや
し」と「くろめ」の両工程に特にかけることなく十分に
塗料原料として使用できるものである。
[実施例] 以下に、実施例により本発明を詳述する。
(実施例) 下記の仕様のワイパー式減圧薄膜蒸留装置(神鋼ファ
ウドラー社製2−03型薄膜蒸留装置)を利用し、本発明
の方法により腐臭が明瞭に認められる腐れ漆(水分含量
29重量%、粘度5.3ポイズ)を脱水しながら処理した。
ウドラー社製2−03型薄膜蒸留装置)を利用し、本発明
の方法により腐臭が明瞭に認められる腐れ漆(水分含量
29重量%、粘度5.3ポイズ)を脱水しながら処理した。
ガラス円筒直径×長さ: 5cm×22cm ワイパー材質: テフロン樹脂 ワイパー回転数: 375rpm ワイパー/内筒間隙: 200ミクロン以下 真空ポンプにより10mmHgに減圧をしつつ、60cc/hrの
処理量で、円筒壁面に腐れ漆を流下させ、同時にワイパ
ーにより内筒内壁面上に漆薄膜を形成させると共に剪断
力を付与した。ここで、ワイパーはガラス製内筒壁面に
原料漆をいわば潤滑剤として見かけ上接触する状態であ
った。それ故、形成されている漆薄膜の厚みは薄く200
μ以下であった。
処理量で、円筒壁面に腐れ漆を流下させ、同時にワイパ
ーにより内筒内壁面上に漆薄膜を形成させると共に剪断
力を付与した。ここで、ワイパーはガラス製内筒壁面に
原料漆をいわば潤滑剤として見かけ上接触する状態であ
った。それ故、形成されている漆薄膜の厚みは薄く200
μ以下であった。
滞留時間は5分以内であった。処理液を円筒下部の受
けフラスコに捕集した。
けフラスコに捕集した。
得られた漆(以下「漆A」という)について物性など
を測定し次表にまとめて示す。
を測定し次表にまとめて示す。
(比較例1) ロータリーエバポーレーターを利用して、実施例で用
いた腐れ漆を脱水しながら処理した。すなわち、フラス
コに100gの腐れ漆を入れ、温度38〜43℃のウォーターバ
ス中でこのフラスコを回転させながら、真空ポンプによ
り減圧度3〜100mmHgで脱水した。処理時間としては、
漆液が透明になるまで約2.5時間が必要であった。ま
た、このとき、腐れ漆はフラスコ内壁上で約1000ミクロ
ンの薄膜状をなしていた。得られた漆(以下「漆B」と
いう)の物性も合わせて次表に示す。塗膜試験において
漆は乾燥しなかった。
いた腐れ漆を脱水しながら処理した。すなわち、フラス
コに100gの腐れ漆を入れ、温度38〜43℃のウォーターバ
ス中でこのフラスコを回転させながら、真空ポンプによ
り減圧度3〜100mmHgで脱水した。処理時間としては、
漆液が透明になるまで約2.5時間が必要であった。ま
た、このとき、腐れ漆はフラスコ内壁上で約1000ミクロ
ンの薄膜状をなしていた。得られた漆(以下「漆B」と
いう)の物性も合わせて次表に示す。塗膜試験において
漆は乾燥しなかった。
(比較例2) 実施例1で用いた腐れ漆を伝統的な方法である「くろ
め」および「なやし」工程により約10時間かけて処理し
た。得られた漆(以下「漆C」という)の物性を同じく
次表に示す。漆は全く乾燥性がなかった。
め」および「なやし」工程により約10時間かけて処理し
た。得られた漆(以下「漆C」という)の物性を同じく
次表に示す。漆は全く乾燥性がなかった。
−塗膜試験− 得られた漆液について、以下のようにして塗膜試験を
行なった。なお、原料の腐れ漆についても同様に試験を
行なった。
行なった。なお、原料の腐れ漆についても同様に試験を
行なった。
(塗膜形成条件および乾燥条件) ガラス板上に漆液をアプリケーターにより膜厚76μで
塗布した後、温度20〜25℃、相対湿度60〜70%の漆風呂
の中で乾燥させた。
塗布した後、温度20〜25℃、相対湿度60〜70%の漆風呂
の中で乾燥させた。
(試験項目) JIS K5400の塗料一般試験法に従い以下の項目につい
て試験した。
て試験した。
水 分:カールフィッシャー水分測定装置により各漆液
の水分を測定した。
の水分を測定した。
粘 度:コーン・プレート型粘度測定装置により各漆液
の25℃における粘度を測定した。
の25℃における粘度を測定した。
乾燥性:塗布膜について乾燥性を求めた。
光 沢:乾燥塗膜について60゜鏡面反射計により光沢を
測定した。
測定した。
硬 度:鉛筆硬度によって乾燥塗膜の硬度を示す。
塗膜透明性:目視によった。
○は透明であることを示し、×は不透明であること
を示す。
を示す。
測定結果は次表の通りである。
以上の結果から明らかなように、全く常温乾燥性のな
かった腐れ漆が、本発明の処理により賦活または再生さ
れた。
かった腐れ漆が、本発明の処理により賦活または再生さ
れた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−205469(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09F 1/02 C09D 93/00
Claims (2)
- 【請求項1】薄膜状の腐れ漆液に対し剪断力をかけるこ
とを特徴とする、常温乾燥性を実質的に発現しない腐れ
漆の常温乾燥性を賦活させる方法。 - 【請求項2】水分含量10重量%以上の腐れ漆を原料と
し、脱水も同時に行なうことを特徴とする請求項1記載
の腐れ漆の常温乾燥性を賦活させる方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP602490A JP2867159B2 (ja) | 1990-01-11 | 1990-01-11 | 腐れ漆の賦活方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP602490A JP2867159B2 (ja) | 1990-01-11 | 1990-01-11 | 腐れ漆の賦活方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03210376A JPH03210376A (ja) | 1991-09-13 |
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JP (1) | JP2867159B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7191347B2 (ja) * | 2020-10-30 | 2022-12-19 | 秀悟 及川 | 高品質黒目漆の製造方法 |
-
1990
- 1990-01-11 JP JP602490A patent/JP2867159B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH03210376A (ja) | 1991-09-13 |
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